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2026.07.30
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カテゴリ: ユマニチュード
「ユマニチュードへの道」イヴ・ジネスト


p.39 Q「ユマニチュード」とはどんな意味ですか?

 ユマニチュードとは、フランス語で「人間らしくあること」を意味します。
 哲学的には、「ユマニチュード」という言葉は、フランス領マルティーニ島出身の詩人であり政治家のエメ・セザールが1964年に提唱した「ネグリチュード」という概念に由来します。セザールは「ネグル」という黒人奴隷を意味する言葉から「ネグリチュード」という言葉を生み出しました。
 本来、「ネグル」は屈辱的な言葉ですが、そこから生まれた「ネグリチュード」は、植民地に暮らす黒人たちが自らの黒人らしさを取り戻そうという誇りに満ちた活動となりました。
 その後1980年に、スイスの作家フレディ・クロプフェンシュタインが思索に関するエッセイのなかで、人間らしくある状況をネグリチュードを踏まえて「ユマニチュード」と命名しました。
 身体的な機能が低下し、他者に依存しなければならない境遇になったとしても、人は最期の日まで尊厳をもって暮らし、生涯をとおして人間らしい存在でありつづけることができるはずです。もし、社会から切り離され、誰からも愛を受け取れず、他者との絆を失っている状況があるなら、その人は「ユマニチュードの絆が断たれた状態である」と私は考えます。
 人間らしく扱われなくなった人を、もう一度人間らしい世界と招き入れるために、ケアする者はケアを受ける人に対して何をすべきでしょうか?
 「私はあなたという人を大切に思っています」というメッセージを相手が理解できるように発信しつづける必要があります。



映画『急に具合が悪くなる』公開記念特別座談会〜濱口監督×松田プロデューサー×ジネスト先生×本田先生が語る、映画とケアの未来〜

濱口 ジネストさんから見たこの映画に対する率直な感想をお聞かせいただけますか。


ジネスト先生  この映画に関する私の感想は、本作を拝見したすべてのフランス人、そしてユマニチュードを知っているフランス人たちが感じたことと全く同じです。

みんな私に「この映画はユマニチュードに関する映画だね」というメッセージを送ってきました。しかし、私は必ずこう答えるのです。
「いや、これはユマニチュードについての映画ではないんだよ」と。

確かに、環境としてのユマニチュード――優しさ、自由、人間と人間との関係性――はそこに存在します。ただ、先ほど「ユートピアのようで実現できないもの」という言葉がありましたが、今回撮影された介護施設は、まだユマニチュードの「認証」を受ける前の、導入の初期段階にある施設です。

すでに認証を受けている本物のユマニチュード施設では、本当に完全に自由です。入所者の方は好きな時に、たとえ真夜中の午前2時であっても自由に出入りができます。ご家族もお母様に会いに来て、そのまま一緒に添い寝をすることだってできる。自分の飼い猫を連れて入所することもできますし、お金がある方は食事の時にブルゴーニュワインを楽しんでいます。たとえおむつをつけなければいけない状況であっても、ご夫婦で同じベッドで寝ることだってできるのです。

ユマニチュードの認証を受けるためには、「人間としての権利がすべて尊重される状況」が不可欠です。 今回の映画は、そのユマニチュードに取り組もうとしている、素晴らしい「導入のプロセス」を撮影してくださいました。心から感謝しています。

「ユマニチュード道」です。





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最終更新日  2026.07.30 05:00:04


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