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2026.08.02
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カテゴリ: ユマニチュード
「ユマニチュードへの道」イブ・ジネスト 

p.44
人と人が絆を結ぶためには、まずお互いに「人間ですね」と認め合う必要があります。では、人はどのように相手を認め、互いに認め合う関係を築いていくのでしょうか。これは「人はどうやって、自分を確立していくのか?」という問いにも置き換えられます。
 人間について考える前に、動物の哺乳類の絆について考えてみましょう。
 羊のあかちゃんが生まれました。お母さん羊は、あかちゃん羊を懸命になめています。
 なめる目的は単にきれいにするためだけではありません。生まれてすぐにお母さん羊があかちゃん羊をなめることで、「あなたは羊ですよ」「あなたは私の仲間ですよ」と子羊に伝えています。羊の種に迎え入れる、つまり「羊チュード」を行っているのです。
 哺乳類には必ず、2つの誕生があります。第1の誕生は、生物学的な誕生。母親の胎内から外界に出た状態です。
 第2の誕生は社会的な誕生。つまり同じ種に属する仲間として迎え入れられた状態です。この行為はとても重要で、母親になめてもらえなかった哺乳類のあかちゃんは、哺乳できずに死んでしまいます。
 他の哺乳類と同じように、人間も二度、誕生します。一度目は生物学的な誕生で、これは哺乳類のヒト科としての誕生です。そして二度目の単葉は、自分が哺乳類のヒト科に属する存在だと認識する社会的な誕生であり、羊ではない、猫ではない、犬でもない、自分は人間であると認める段階です。


Three Births of Life ( 人 生 に お け る 3 つ の 誕 生 )― 「『あなたは大切な存在です』と伝えるための哲学・技術・科学」
イヴ・ジネスト

 ユマニチュードは、病院・介護施設でのケアの実践の中から生まれたケアの技法です。
ケアの対象は新生児から高齢者まで幅広い年代にわたり、「ケアをする人とは何か」「人とは何か」という命題を対人援助において考え、実践します。
人は、まず生物学的な誕生を迎え、帰属する家族や社会に迎え入れられる社会学的な誕生を迎えます。これをユマニチュードでは、それぞれ「第一の誕生」「第二の誕生」と呼んでいます。
第二の誕生、すなわち周囲の大人から「あなたは人間です」「あなたは大切な存在なのですよ」という愛情に満ちた療育環境を与えられなかった子どもに生じる典型的な例は、チャウシェスク政権崩壊後のルーマニアの孤児院で発見され世界を震撼させた孤児のアタッチメント(愛着)障害に伴うさまざまな症状です。
この子どもたちに生じた変化は、ごく普通の生活を送っていた高齢者が、認知機能の低下やその他の脆弱な状況に陥り、周囲の援助なしでは生活できなくなったときに再び重要な意味を持ちます。このような高齢者は、周囲とのコミュニケーションを断ち、ケアを行う人も「仕方ない」とあきらめてしまいがちになります。
しかし、ここに重大な問題が生じているのです。
ケアを行う人は、たとえ相手を大切に思っていても、相手にそれが分かる形でその気持ちを表出できなければ、ルーマニアの孤児院で発見された子どもの状況と変わらない、ということに無自覚なのです。
ルーマニアの孤児たちが、引き取られ、愛情豊かな生育環境のなかで、過ごすことでどのような変化を遂げるかを検証したブカレスト初期療育プロジェクトが、第二の誕生を迎えることの重要性を示したように、ケアを行う人が「あなたは大切な存在なのだ」と相手に理解できる形で伝え続ける技術を身につけることができれば、多くの認知症高齢者と再び豊かなコミュニケーションを双
方向的に行うことができるようになるのです。
これを私は「第三の誕生」と呼んでいます。





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最終更新日  2026.08.02 05:00:05


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