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10/16より全国ロードショーです。オフィシャル・サイト"SCOOBY-DOO 2: MONSTERS UNLEASHED" 監督・・・ラージャ・ゴスネル キャラクター・・・ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラ出演・・・フレディ・プリンゼ・Jr、サラ・ミシェル・ゲラー、マシュー・リラード、リンダ・カーデリニ、セス・グリーン、ピーター・ボイル、アリシア・シルヴァーストーン、他。・物語序盤・八面六臂の大活躍で、数々の怪事件を解決し、様々なモンスターを退治してきたミステリー社のメンバー、フレッド・ダフネ・ヴェルマ・シャギー、そして犬のスクービーは、今や全米中が賞賛するアイドル。これまでに倒してきたモンスター達の人形を展示した博物館がオープンし、セレブ達が来賓し、マスコミも取材に殺到。まさに絶好調のミステリー社であった。しかしそのオープン・セレモニーに、突如、有翼竜と正体不明の仮面の男が乱入し、パーティーをメチャクチャに。一夜にして、ミステリー社の信用は失墜してしまった。汚名を雪ぐべく、メンバー達は仮面の男の行方を追う事に。 元々は懐かしいテレビ・アニメだった「スクービー・ドゥー」の実写版の第二弾です。キャラクターを作ったハンナとバーベラは、トムとジェリーなどを作ったコンビでもあります。オリジナルがアニメ・キャラクターなので、登場人物達はとてもカラフル。アニメから飛び出してきたようです。さて私、前作も試写会で鑑賞しました。この時の感想は惨憺たるもので、こんな馬鹿げた子供騙しの映画を、よくも作ったものだと怒り心頭でした。元々お子様向きおちゃらけ映画が大嫌いなもので、上映中からすっかり冷めてしまったという次第で。それで続編の噂を聞いた時、絶対観るかと誓っていたのですが、何故か観てしまいました(笑)それが自分でも悔しいのですが、なんだか楽しめてしまったのですよ。お腹を抱えて大笑いの大絶賛とはとても申せませんが、一応おバカも許せる範囲でした。前作がヒットしたのか、今回は結構予算があった模様です。オープニングからCG映像が登場して、力が入っているなと感じました。モンスター達もCGで表現されており、全体的にグレードが上がりましたね。見た目にも華やかになり、眺めているだけでも楽しめる映像です。字幕版では厳しいと思われる、低年齢層の子供達が大笑いしていたのも、小難しい台詞など理解できずとも、観ているだけで理解できる単純さがあったからでしょうね。あと、勝因としては、前作よりもストーリー性があったという点でしょう。前作はお化け屋敷の中のドタバタに終始していましたが、今回は少しミステリー仕立てになっています。スクービー達のお笑いネタは、まさにドタバタ漫画そのものなのですが、思わず何度か笑ってしまいました。小さなお子様のいるファミリーには良い作品だと思いますね。ちなみに前作を知らなくても、理解に問題はありません。エンディング曲に、PUFFYが参加しています。これが全米デビューだそうで、英語で歌っています。言われないと、彼女等だと気付かないですね。ノリの良い曲でした。エンドロール後に、スクービーの映像があります。大して意味は無いですが、確り最後まで観ましょう。
Sep 30, 2004

"OXYGEN" 監督・・・リチャード・シェパード出演・・・エイドリアン・ブロディ、モーラ・ティアニー、テリー・キニー、ジェームズ・ノートン、ライラ・ロビンズ、他。・物語序盤・マデリン・フォスターはニューヨーク市警の警官。職務熱心な警官で、夫も亡き父も警官だが、アルコール中毒から抜け出せない自分を憎んでいる。そんなある日、犬を散歩中の婦人が、二人組みの男に誘拐されるという事件が発生した。二人組みは彼女を何処かの森の中に生き埋めにして、その現場を撮影したビデオテープを被害者の夫に届けた。身代金要求額は百万ドル。埋められた箱の中の酸素はもって24時間が限度だった。マデリン達は、現金の受け渡し場所に現れた犯人の一人を、カーチェイスの末に逮捕するが、フーディーニと名乗る男は不敵な笑みを漏らすばかりだった…。 TV用の映画らしいです。エイドリアン・ブロディが出ていたので観ました。「戦場のピアニスト」で一躍有名になりましたが、彼は本来悪役の方が似合っているのではないかと、改めて思いましたね。鷲鼻の顔付きも狡賢そうで(笑)今作でも、ふてぶてしい悪役を演じていて、存在感はピカイチ。主役のモーラ・ティアニーが、目を引くような美女ではないせいもあって、犯人役の方が主役のように見えてしまいました。映画そのものの評価は、テレビ映画としてはそこそこの内容ではないでしょうか?身代金受け渡しの際の警察側の手際の悪さや、犯人逮捕後の取調べも、人質の命が掛かっているのに生易しい態度で、緊迫したムードが途切れてしまった感がありましたが。女刑事のキャラクターも活かしきれていなかったですね。そのせいで、犯人と刑事とのシンクロというテーマが、今ひとつ響いてこなかった。「羊たちの沈黙」のような関係に近かったと思うのですが、マデリンの暗部が描写不測の為、明確にならなかった印象でした。もう少し台詞で補ってほしかったな。ラストも刑事夫妻は、このままどうなってしまうのかと、不安になってしまう締め括り方でしたね。完璧には程遠い妻を、理解して愛している夫。それでも彼女は独り自分を責め続ける。愛では孤独は癒されないのね…。
Sep 29, 2004

"HABLE CON ELLA""TALK TO HER" 監督・・・ペドロ・アルモドバル出演・・・ハヴィエル・カマラ、ダリオ・グランディネッティ、レオノール・ワトリング、ロサリオ・フローレス、ジェラルディン・チャップリン、他。・物語序盤・前衛的な舞台を隣で観ている見知らぬ同士の二人の男。一人は涙を流していた。 バレエ教室に通っていたアリシアは、4年前交通事故に遭って以来、昏睡状態で眠ったままだった。そんな彼女を献身的に介護するのは、看護士のベニグノ。彼はアリシアに愛情を持って、毎日話し掛けていた。一方、女闘牛士リディアは競技中の事故で脳を破損し、植物状態になってしまう。恋人だったジャーナリストのマルコは、悲嘆に暮れる。そんな中、似たような境遇にあるベニグノとマルコは、互いに言葉を交わす内、次第に友情を深めてゆくのだった。 愛は美しいという。愛は尊いという。では一体、愛は何処までなら美しく、尊いのだろうか?観ながら、そんな疑問を自分の中で繰り返していた。この作品に出てくる看護士の取った行動を客観的に鑑みると、かなり気持ち悪いです…笑。ストーカー、変質者、相手の意志を無視した一方的な恋情。表現は色々あると思います。私自身、ベニグノの思いに対して、肯定・否定の境界線で揺れています。共感できる部分も沢山ありました。恋心を抱いている相手に近付きたい。少しでも情報を知りたい。何か身に付けている物が欲しい。恋人となり恋愛関係を構築してゆくのではなく、愛を捧げる対象としてのみ、相手を見守り崇める。これは所謂普通の恋愛関係ではないですが、気持ちとしてよく理解できます。ただ、それが許されるのは、相手の領域に踏み込まないという鉄則を守る事が必須です。ベニグノは禁忌を犯してしまったと思いますね。そこで「美しい愛」のラインを逸脱してしまったかなと。「彼女は俺の女だ」という台詞を吐く彼には、最早美しさと献身の心は感じられませんでした。清らかな愛は、腐敗したエゴに変わってしまったのです。マルコとベニグノの友情のような関係には、心が癒される気がしましたね。マルコの愛も悲しく終わってしまいましたが。ベニグノの行為を愚かだと知りつつも、友人として助力を惜しまず、最後まで見守り続ける。良き友です。作品として好き嫌いが分かれる内容だと思います。同監督の「オールアバウトマイマザー」も、爽快な気分になれる映画ではありませんでしたが、これもその辺は似ています。万人受けはしないので、その点はご理解の上、ご鑑賞下さいといった所でしょうか。
Sep 28, 2004

"Dinner Rush"監督・・・ボブ・ジラルディ 出演・・・ダニー・アイエロ、エドゥアルド・バレリーニ、 ビビアン・ウー、マイク・マクグローン、カーク・アセヴェド、サンドラ・バーンハード、ジョン・コーベット、他。・物語序盤・ニューヨーク・トライベッカ地区にある、人気のイタリアン・レストラン「ジジーノ」。店のオーナーとルイスと相棒のエンリコは、長年レストランでノミ行為を行っていた。最近クイーンズ・ギャングが店に圧力を掛けてきて、そのいざこざの中で、エンリコは殺害されてしまった。現在店を切り盛りしているのは、ルイスの息子ウード。しかし独創的な新作料理を次々に作り、店を繁盛させているウードだが、実質的な権限はルイスに握られていた。ウードは店を任せてほしいと懇願するが、ルイスはウードの料理を認めていない。クイーンズ・ギャングは、ノミ行為の胴元のみならず、このレストランの乗っ取りをも企んでいて、ルイスはその事でも頭を悩ませていた。厨房では、ギャンブル狂の料理人ダンカンがラジオ片手に料理をしている。ウェイトレスはシェフとウードの二人と関係を持っている。ウードもまた別の女とできている。マーサはウェイトレスだが、誇り高いアーティストでもある。博識を誇るバーテンダーは、客相手に賭けを愉しんでいる。今夜もまた「ジジーノ」は客の行列ができるほどの大繁盛だ。 実はどういう映画か予備知識なしで鑑賞したので、前半の一時間が過ぎても、何の映画か判りませんでした(笑)ずっと忙しいレストランの中ばかりで、何も起こらないし、「何じゃ、こりゃぁ?!」と思って眺めていました。レストランを舞台に繰り広げられる群像劇だったのですね。一番最初に出てきたエンリコの話も、いつ繋がるんだろうと思っている内に迂闊にも忘れてしまい、本当に何がなにやら…笑。舞台は本当に狭い空間のみなのですが、その限られた容積の中に人間が溢れ返っているので、登場人物名と相関関係を覚えるだけで大変です。色んな人が犇めき合っているので、簡単にメモしながら観た方が理解しやすいかも、と思いましたね。こんな状況だったので、やっと話が見えてきて、面白くなってきたのは後半も終わりが近付いてきた頃でした(笑)。観終わった後、結構良かったなと思えたので、終わり良ければ全て良しでしょうか。レストラン物なのですが、イタリアンなので(?)暗黒街の香りもして、一風変わった映画でしたね。しかし個人的には、こういう混雑したレストランに入るのは厭ですねぇ。雑誌などに紹介されて、いつも行列が出来ている店って苦手なんですよ。長時間待って、有名な料理を食べるより、すぐに座れてさっと出てくる普通の料理がいいな、私は。ともかく映画では、戦場のような忙しい厨房の様子が、とてもリアルに描かれていました。混雑した店内も、まるでそこにいるような臨場感。人ごみが苦手な私は、息苦しささえ覚えました。早く勘定済ませて、外の空気を吸わせて~って感じです。テンポのあるストーリー展開を求めると失敗します。多くの人物のレストランでの一夜を切り取って描いた作品なので。
Sep 27, 2004

"BOWLING FOR COLUMBINE" 監督・・・マイケル・ムーア出演・・・マイケル・ムーア、チャールトン・ヘストン、マリリン・マンソン、マット・ストーン、ジョージ・W・ブッシュ、他。 ・筋書き、背景・1999年4月20日、アメリカ・コロラド州にある町リトルトンで起こった事件。コロンバイン高校に通う2人の少年は、朝の6時からボーリングをして、その後銃を手に登校した。彼等はそこで銃を乱射し、12人の生徒と1人の教師を射殺、23人を負傷させた後、自らの命を絶った。彼等は黒服に身を包む「トレンチコート・マフィア」と呼ばれる一風変わったグループに所属する青年だった…。この事件を切っ掛けに、アポなしの突撃取材で名を馳せるドキュメンタリーの急先鋒マイケル・ムーアが、アメリカの矛盾だらけの銃社会と異常な殺人事件発生件数の関係を取材する。アメリカ銃社会の象徴とも言える、全米ライフル協会会長のチャールトン・ヘストンにも突撃取材を敢行している。 ジャンルとしてはドキュメンタリーとなりますが、これははっきり言って、マイケル・ムーア監督の書いたシナリオ通りに構成された一つの物語ですね。それが悪いという意味ではありません。とても面白かったので。観ながら何度もクスクス笑ってしまいました。アメリカ人にしては珍しく(?)、アメリカ万歳人間ではなく、良識と客観的な判断力を備えた人物だと思います。同時にとてもユーモアのある方ですね。こういう人ばかりなら、アメリカも平穏な国になるのになぁ(笑)。銃の問題は、映画の中でも振り出しに戻ったと締め括られていましたが、出口が見えませんね。アメリカ社会の抱える問題が色々と見えてきましたが、どうしてアメリカでは銃による殺人や傷害事件が、他の先進諸国と比べて断然多いのか、はっきりとした理由は判りませんでした。本当にどうしてなんだろう?と真剣に悩んでしまいますね。単に銃が蔓延しているからだけではないし、人種の坩堝だからという理由だけでも片付けられません。きっと肉ばかり食べているのと、ついでにカルシウム不足なのが原因ではないでしょうか(笑)どぎつい色の人工着色料の入ったお菓子も、何だか見ているだけでキレそうになります。それは冗談としても、どうしてアメリカ人は、一触即発の緊迫感の中で毎日生活しているのでしょうね?お隣カナダとの対比が、とても印象的でした。家に鍵も掛けない長閑なカナダ人と、ドアに複数の鍵を掛けるアメリカ人。多様な人種を自然に受け入れる雰囲気のカナダと、嫌悪感や差別意識、そして煽られた妄想に怯えるアメリカ。一つ国境を越えるだけで、何が人をそこまで殺伐とさせてしまうのでしょうか?チャールトン・ヘストンは悪の親玉みたいな扱われ方で、少しお気の毒でしたね。護身用に銃を持ちたいという人の気持ちも判るので、一方的に批難する気持ちにもなれません。ただ銃を持つ事で、疑心暗鬼に陥ってしまう矛盾は感じますね。もし銃が身を守ってくれるのなら、アメリカは世界一安全な国になっている筈だと答えた人の言葉が心に残りました。本当に大いなる矛盾です。監督と乱射事件の被害者達の働きかけで、Kマートが弾丸の販売を中止した事には感動しました。無力な市民でも、やればできるという気分にさせてくれますね。勿論、マスコミと世論の後押しがあったからですが、それでも嬉しかった。ドキュメンタリー映画=退屈という私の偏見を見事に覆してくれた作品でした。
Sep 26, 2004

"IMAGINING ARGENTINA" 監督・・・クリストファー・ハンプトン原作・・・ローレンス・ソーントン出演・・・アントニオ・バンデラス、エマ・トンプソン、ルーベン・ブラデズ、クレア・ブルーム、マリア・カナルス、 クノ・ベチェール、他。・物語序盤・1970年代、軍事独裁政権が発足したアルゼンチンは暗黒の時代を迎えていた。各地では市民の失踪事件が続出。彼等の中には政治的な活動家も含まれていたが、少し不平を漏らしただけの、政治的にニュートラルな者達が多かった。ジャーナリストのセシリアは、この多数の失踪事件の裏に、政府組織が絡んでいる事実を掴み、それを記事で取り上げる決意を固めていた。しかしそんな折、彼女の自宅に不審な車がやって来て、彼女を強引に拉致する。セシリアの夫で児童劇団を主宰しているカルロスは、一人娘のテレサと共に、セシリアの行方を懸命に探す。しかし何の手掛かりも得られないまま、空しく時間だけが過ぎていった…。 ・豆知識・1976年3月24日の軍事クーデタにより、アルゼンチンでは史上最も強権的な独裁政権が樹立された。軍事独裁政権は恐怖政治を行い、強制連行・拷問・暴行など、あらゆる形で国民の人権を蹂躙。この弾圧によって強制連行され、行方不明になった犠牲者の数は、推定三万人と言われる。その後、経済政策の失敗、マルヴィナス戦争(フォークランド紛争)での敗北、市民社会からの圧力などにより、独裁政権は1983年12月、権力の移譲を余儀なくされる。これを受けて発足したアルフォンシン民主政権は、旧体制の軍幹部に対して、法的訴追を開始した。しかし時と共に彼等に対する処罰は、特赦などの形で譲歩を重ねてゆく。この悲劇的事件そのものが風化しつつあるのが現状である。 これもまたジャンル分けが難しい作品でした。社会派ドラマと位置づけるのが、一番適当かと思いますが、主人公カルロスに千里眼のような超能力を与えてしまっているので、少しオカルト的な要素もありました。実際に人々が強制連行され、そのまま何処へ消えたのかも判らないままになっているのが真実なので、千里眼という能力でも持ち出さない限り、被害者達が受けた暴虐行為は図り知る事ができないという点から、半ば反則技的に持ち出されたものと思われます。ともかく陰惨な作品である事は間違いないです。これは元がフィクションの小説ですが、現実にも似たような行為があったと推測されます。と言うか、多分現実は更に過酷だったでしょう。現在でも、国家権力によるあらゆる形での、市民の弾圧は世界各地で行われています。映画のラストでもテロップが出ましたが、数千数万単位の人々が連行され、闇から闇へ葬り去られたという、動かしがたい事実があります。日本でも他人事ではありませんよね。戦前・戦中など、国家権力によって、大勢の人間が連れ去られ、殺された歴史があります。拷問シーンでとても怖かったのは、士官の台詞です。「知っている事は全て喋れ。知らない時は我慢しろ。」拷問というのは、本来情報を聞き出す事が目的の筈なのに、いつの間にか、痛めつける事自体が彼等の愉しみに摩り替わっている。人間とは何と醜悪な生き物でしょう。元々、政治活動に関わっていなかったような相手から、重要な情報など聞ける筈もありません。ただ毎日、娯楽の一環ように、暴行や強姦を続ける兵士達。厭な映画です…。社会派ドラマに突っ込みはどうかと思いますが、どうしても脚本として納得いかない点もありました。カルロス達は一度政府側の将校を捕えているのに、何故逃がすのですかね?普通、拷問して吐かせますよ…。奴等と同じにはならないなどと、綺麗事が過ぎるのでは?あと、娘のテレサの緊張感の無さには、少し呆れました。母親が拉致されて捜索活動をしているという事は、自分の身も危険に晒されているという事です。この状況が伝わってこなくて、掴まって当然だろうと思ってしまいました。もう少し脚本に緊迫感を出してもらいたかったですね。
Sep 25, 2004

"EL ESPINAZO DEL DIABLO""THE DEVIL'S BACKBONE" 監督・・・ギレルモ・デル・トロ出演・・・エドゥアルド・ノリエガ、マリサ・パレデス、フェデリコ・ルッピ、フェルナンド・ティエルブ、イレーネ・ビセド、ベルタ・オヘア、他。・物語序盤・20世紀半ば、内戦が続くスペイン。人里離れた荒野にあるサンタ・ルチア孤児院に、12歳の少年カルロスが引率の男に連れられて来る。カルロスの父親は戦死し、彼は孤児となったのである。義足の女院長カルメンによって与えられたのは、12番のベッド。カルロスは知らなかったが、そこは孤児院の中庭に不発の爆弾が投下された夜に行方不明になった、サンティという少年のベッドだった。カルロスは厨房で、奇妙な少年を見掛け、その後も不思議な声に何度も名前を呼ばれるのだった…。 第一に、とてもジャンル分けに困惑する映画でした。宣伝では戦慄のホラー映画のように謳われていましたが、ホラーと言ってしまって良いのでしょうか?確かに幽霊は出るんです。その点ではホラーなのでしょうが、少年の幽霊という要素を除けば、孤児院という閉鎖社会の中で繰り広げられる人間のお話なのですよね。好きか嫌いかと問われると、普通としか答えようのない感じでした。怖くないから悪いのではなくて、ドラマ的にも微妙だったので「普通」です。舞台設定や登場人物、個々のアイテムなどは、おどろおどろしく重苦しい空気を作り出すのに役立っていましたね。乾いた大きな絵画のような世界でした。ハリウッド・テイストとは明らかに一線を画しています。タイトルの「悪魔の背骨」というのは、胎児の病気の名前らしいです。映画中にも、背骨が皮膚の外に飛び出した奇形の胎児が、ラム酒に漬けられて登場します。この酒が高価なのだと、得意げに見せて飲む老教師が気持ち悪い…。スペインでは大御所の俳優さんですが、存在感たっぷりで貫禄がありました。女院長役のマリサ・パレデスもベテラン女優ですね。それぞれの俳優のインパクトはとても強かったです。あとは管理人役、私は初めてスクリーンで観た若手俳優でしたが、このエドゥアルド・ノリエガがイケメン君なのですよ~。濃い~スパニッシュ顔なのですが、私は目鼻立ちの確りしたタイプに弱いのです。「オープン・ユア・アイズ」に主演していたそうですね。要チェックです(笑)この映画の背景にあるのは内戦という過酷な現実です。日本やアメリカのホラーと決定的に違う点はここでしょうね。荒廃が進んでいるとは言え、基本的には平和な社会。つまり、歩いていて爆弾が降ってくる心配も、誰かが家に押し入って来て殺される恐怖も知らない社会です。一方スペインは、内戦という、身内同士が泥沼の殺戮を繰り返している、最も哀しい現実を体験してきてた国。この過酷な世界こそが、彼等の日常です。幽霊など出なくとも、そこに存在している事自体が不安の種なのです。映画では、隔離された孤児院の中で、まるで内戦をする国民を映すように、内部の人間達が醜い関係で結ばれ、牽制しあっています。そういう風に観ろ、という事なのでしょうかねぇ?ただ一本の映画としてどうかと言うと、やっぱり果てしなく普通です…。↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。
Sep 24, 2004

10/2より「予言」と共に二本立てでロードショー。Jホラー・オフィシャル・サイト監督・・・落合正幸 出演・・・佐藤浩市、高嶋政伸、星野真里、羽田美智子、モロ師岡、南果歩、佐野史郎、他。 ・物語序盤・経営危機に追い込まれている、とある病院。院長は出奔し、建物は老朽化、薬品や医療品のストックも残り僅かとなっていた。医師や看護士も次々に辞職してゆく中で、病院に残ったスタッフ達は、過酷な環境下で診察や治療を続けていた。そんな中、全身に大火傷をして長期入院している男性患者が、何故か独りでにベッドから落ちて、危険な状態に陥るという事態が発生する。救命措置に当たった医師の秋葉と魚住、看護士の塩崎、桐野、安積の五人だったが、秋葉の指示ミスによって、安積は塩化カルシウムの代りに塩化カリウムを投与してしまう。その結果、患者は死亡した。深刻な事態に呆然とする五名。彼等は口論の末、医療ミスを隠蔽する事で合意するのだった…。 日本を代表する六人のホラー映画実力派監督が集結し、それぞれ作品を撮影、順次公開してゆく"Jホラーシアター"の第一弾作品です。同時上映は鶴田法男監督の「予言」。今回試写したのは「感染」のみです。この映画のテーマはウィルス。経営状態が逼迫し、まるで陸の孤島と化した、病院という閉鎖空間が舞台です。体が緑色の液状に溶解してゆくという、今迄に症例の無いウィルスに感染した患者が搬入されてきた病院で、医療スタッフが体験する戦慄の一夜。ストーリー設定に粗が無いと言えば嘘になります。大体、得体の知れないウィルスに感染した患者を、素手に近い状態で扱うのが信じ難い…。私が医者だったら、即刻逃亡しますね、あの病院から(笑)。無責任だろうが何だろうが、あんな恐ろしい患者を設備の無い状態で治療できる訳が無いです。問題点もありますが、ホラーエンターティメントとしては面白かったです。出てくる人それぞれが、何処か精神的に壊れています。それが死や病が日常的に蔓延する病院という空間の中で増殖されてゆく。謎のウィルスの着眼点もアイデアが良くて楽しめました。人間が普段、五感で感じているものというのは、脳が作り出しているのですよね。それを人は、恰も真実そのままの姿でそこにあると信じ込んでいる。でも本当は、脳が自らの機能によって、見せたり聞こえさせたりしているに過ぎない。ならば、脳の機能が正常に働くなったら…。人間は自分が狂っている事にすら気付かないのですよね。赤く見える林檎は、本当に赤いのだろうか?一口に赤と言っても、皆も自分と同じ感覚で認識しているのだろうか?なんだか自分の脳が信じられなくなりますね。映画館では一本の値段で二本観られるので、結構お得かも。「予言」も観たいので、公開されたら行こうかな。
Sep 23, 2004

"IN AMERICA" 監督・・・ジム・シェリダン出演: サマンサ・モートン、パディ・コンシダイン、サラ・ボルジャー、エマ・ボルジャー、ジャイモン・フンスー、他。・物語序盤・失業に伴って、アイルランドからアメリカへ移住してきたジョニーとサラ夫妻、二人の娘クリスティーとアリエルの一家。夫妻は末の息子を亡くしており、互いにその痛みを乗り越えられずにいた。彼等はニューヨークの貧しい地区にある、ジャンキーなどが暮らす古びたアパートに部屋を借りて生活し始めた。しかし生活は厳しく、俳優志望のジョニーは連日オーディションに失敗して、タクシー運転手として働き始め、かつて教師だったサラはアイスクリーム屋でウェイトレスの仕事に就いて生計を支える。そんな暮らしの中でも幼い二人の姉妹は楽しみを見付けて、新しい国に適応してゆく。ハロウィンの日、二人の姉妹は、アパート中のドアをノックして周る。漸く応対に出たのは、いつも部屋で奇声を発している気味の悪い黒人の男マテオだった。彼は意外にも親切に二人の姉妹を部屋の中に案内する。 シェリダン監督の半自伝的な作品で、エンドロールの最初には、フランキー・シェリダンの思い出にという文章が出ます。また娘二人も脚本に参加していました。幼い二人の娘が実に可愛いですね。人懐っこくて好奇心旺盛で、頑なになった大人の心も解きほぐしてくれます。映画は姉の視点から語られてます。彼女が三つの願い事をする相手はフランキー。彼女の幼くして不幸にも他界した弟です。残った二人の娘達の為にも、何とか立ち直ろうとする両親ですが、時には生きている娘達よりも、死んだ息子の方に気持ちが傾いてしまいます。よくある事ですよね。本当は生きている家族の方が大切なのに…。人間は、自分が失ったものや持っていないものばかりに気を取られて、自分が持っている大切な物の価値を忘れがちになってしまう生き物ですよね。慈しみ、感謝すべきものは、既に自分の周りに溢れているのに、持たざるものへの嘆きが、心を満たしてしまう…。途中に挿入される娘の歌う歌には、そんな人間の心が静かに歌われていて、心を打ちました。一家の生活は貧しく、移民という事もあって、苦しい環境に甘んじなければならない状況ですが、陽気な二人の娘達に救われて、暗い感じはしませんでした。低下層の暮らしなので、観ていて、身につまされるというか、しょぼくれた気分にはなりましたが(笑)アフリカ系黒人のマテオのキャラも良かったですね。彼自身も辛い問題を抱えて、他人との接触を遮断していたのですが、屈託の無い子供達によって、少しずつ心を開いてゆきます。何か凄いドラマがある訳ではなく、つましい日常の出来事を淡々と描いた作品でしたが、観終わって優しい気分になれる映画でした。クリスティーが歌っていた歌はイーグルスの「デスペラード」でした。歌詞がとてもこの映画に合っていたと思います。ついでに「E.T.」も上手く使われていましたね。
Sep 22, 2004

"HIGHWAYMEN" 監督・・・ロバート・ハーモン出演・・・ジム・カヴィーゼル、ローナ・ミトラ、フランキー・フェイソン、ゴードン・カリー、コルム・フィオール、他。・物語序盤・アメリカ郊外の、とあるモーテルの前。レニーはモーテルのバルコニーから、道路の向こう側で買い物をしている妻を見ていた。妻は車の通過を道路脇で待っていた。しかし突然、その車は彼女に向かって突進し、一瞬の内に彼女を轢き殺してしまった…。それから五年。レニーは妻を轢き逃げした、'72年型キャデラック・エルドラドの行方を独り追い続けていた…。同じ頃、過去に交通事故で両親を失った経験の有る女性モリーは、友達に車で家に送ってもらっていた。片方のヘッドライトを消した不気味な大型車に追い抜かれた後、彼女等はトンネルで交通事故に巻き込まれる。暫くしてやってきたのは先刻の車だった。助けを求めるモリーだが、その車はモリーに向かって猛スピードで走行してきた…。 只今公開中ですが、全国でも主要都市、しかもマイナーな映画館でしか観られない、ある意味貴重な一本です。これをスクリーンで観られる私は果報者でしょうか(笑)「パッション」で痛々しいキリスト役を演じていたカヴィーゼルが主役の映画です。なかなかカッコ良い俳優さんですね。映画自体は、低予算で作ったのが丸わかりで、ストーリー的にも無理があるのは承知の上だと開き直って作られた、紛う事なきB級作品です。ただその点を割り切って鑑賞すると、結構イケてると思いましたね。普通に面白かったです。上映時間も80分強と短く、スリラーというジャンルですので、サクサクと調子よく観られました。使用されている車が、68年型プリマス・バラクーダと72年型キャデラック・エルドラドという、現代劇とは思えない中古車なのですが、これは監督の趣味でしょうか?エルドラドは重量感があって、不気味な存在らしい風格がありましたし、バラクーダも年代物のわりによく走っていましたね。犯人の顔が見えない間は、スピルバーグの「激突!」を髣髴とさせて、なかなかスリルがありました。犯人と追跡者の因縁の確執も、結構良いアイデアでしたし、ヒロインの過去の設定も悪くない。若い女性を轢き殺す事に執着する犯人像も、車同様に、気味が悪くて良かったです。メジャー級の映画と比較すれば、見劣りするのは必至ですが、このレベルの作品の中では良い方ではないでしょうか。使用車種もそうですが、全体的にレトロな雰囲気がしました。カメラワークなども今時の映画のように凝っていなくてストレートです。でも普通に楽しめたので、とりあえず満足。
Sep 21, 2004

"NOBODY KNOWS" 監督、脚本・・・是枝裕和 音楽・・・ゴンチチ 出演・・・柳楽優弥、北浦愛、木村飛影、清水萌々子、韓英恵、YOU、平泉成、タテタカコ、木村祐一、遠藤憲一、寺島進、他。 ・物語序盤・東京のとあるアパートに引っ越してきた親子、福島けい子と12歳の息子の明。けい子は大家に、夫は海外暮らしで、親子二人だけの所帯だと話すが、実は彼女には明の下に、京子・茂・ゆきという三人の子供が居た。けい子は、子供達の出生届すら出していず、学校にも通わせていなかった。そして家事担当の明以外は、その存在が知れないよう、屋外に出る事を禁じていた。それでも、けい子は子供達には優しい母親で、親子五人はそれなりに幸福に暮らしていた。だが、平穏な日々は長くは続かなかった。昔から男癖の悪いけい子に、また新しい恋人ができたらしいのだ。けい子は仕事と偽って、長期で家を留守にする事が増え、遂には少しの生活費を残して、家を出てしまうのだった…。 1988年に実際に起きた事件をモチーフに作られた映画です。2004年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、長男役の柳楽優弥が、日本人初となる男優賞をカンヌ史上最年少で受賞しました。柳楽君始め、子供達が全員自然体ですね。各自演技が上手いというより、子供達が素の状態で居られる環境を、監督が上手に作り出したといった感じでした。特に下の二人の子供は幼さがそのまま画面から溢れ出していて、見ていて本当に可愛かったです。柳楽君は受賞後テレビ画面で観た時より、一回り子供の顔をしていましたね。撮影から時間が経過しているので当たり前ですが、子供の成長は早いわ(笑)映画は子供達の日常を淡々と描いています。筋書きの少なさのわりに、上映時間が長いので、かなり長く感じました。それでも子供達の生活にリアリティーがあったので、退屈する事はありませんでしたが。YOUさんの演じる自分勝手で無責任な母親も、とても良かったですね。「私が幸せになっちゃいけないの?」という台詞が、彼女の人格を端的に語っています。幸せになる権利を前面に押し出す事で、全ての義務や責任から解放されようとするタイプ。いるよなぁ、こういう人…と思わず苦笑い。でもYOUさんのキャラクターが、この女性を憎めない人間にしていました。子供達が置き去りにされ、生活費が底をついてくる中で、徐々に生活のレベルが低下してゆく様が、ゆったりと流れる時間の中でリアルに描写されていました。家の中が汚れ、電気や水道が止められ、着ている服が薄汚れて破れが目立つようになり、髪が無造作に伸び…etc.泣けるとか、同情するとかいう類の映画ではありませんね。悲劇も起こるのですが、可哀想という気持ちは起こりませんでした。「死んだ子の手に触れたら冷たくて、それがとても気持ち悪かった。」その言葉に、作り物でない現実を感じました。圧倒的な現実に直面すると、人は感情を忘れてしまうのではないでしょうか。そんな事を漠然と感じましたね。蛇足ですが、この映画のモチーフになった巣鴨の子供置き去り事件の経緯を調べたら、この映画で感じたリアリティーすら、お綺麗な虚構でしかなかった事を思い知りました。事実は小説より奇なり、といいますが、残酷な現実に勝る映画などありませんね。当たり前ですけど。
Sep 20, 2004

"IL MARE" 監督・・・イ・ヒョンスン 出演・・・イ・ジョンジェ、チョン・ジヒョン、チョ・スンヨン 、キム・ジム、チェ・ユニョン、他。 ・物語序盤・ 海辺に建つ一軒家から、一人の若い女性が引っ越してゆく。彼女は郵便受けに、手紙を残していった。それは次にこの家に住む人に宛てた手紙だった。同じ家。この家に入居してきたばかりの青年は、海辺に因んで家に"IL MARE(海)"という名前を付けた。 とてもロマンチックなラヴ・ファンタジーでした。時間を超えるラヴストーリーと言えば、「ある日どこかで」(1980)が秀作ですが、これもなかなか素敵な作品でした。「犬夜叉」も時空を超えたラヴストーリーかな(笑)海辺にある個性的な一軒家のポストを挟んで、二年という微妙な時間のズレで繋がっている男女が主人公です。季節がクリスマスから新年あたりなのですよね。今観るのは、時期外れでちょっと失敗でした。韓国でもクリスマスは、恋人同士にとって特別な日と捉えられているのでしょうか?(個人的にはこの発想が大嫌い。クリスマスには教会のミサに参加しましょう(笑)。)宗教心が薄い点では、日本と韓国って似てるんですよね。お互いを隔てている時間が二年なので、少し頑張れば会えるという点が、この映画のポイントです。過去に住んでいるのが男性という設定なのですが、二人の時間を超えた文通による心の交流がほのぼのとして良かったですね。違う時代から手紙が届くポストって素敵。ドラえもんに頼んで出してもらいたい道具ですね(笑)二人の間にいる不思議な犬コーラも可愛かったです。また海岸に降りられる階段の付いたイルマーレのデザインも斬新でした。しかし台風の時は危険でしょう、あの家じゃ…笑。恋愛映画は苦手なのですが、これは心温まる作品で好感が持てました。
Sep 19, 2004

"NELL" 監督・・・マイケル・アプテッド出演・・・ジョディ・フォスター、リーアム・ニーソン、ナターシャ・リチャードソン、リチャード・リバティーニ、ニック・サーシー、他。 ・物語序盤・森と湖に囲また、ノース・キャロライナの人里離れた土地。そこで世捨て人同然の暮しをしていた老婦人が亡くなったのを切っ掛けに、それまで戸籍すら存在していなかった一人の女性が発見された。小屋にやってきた地元開業医である精神科医師ジェリーによって見付けられた彼女は、ネルという名前らしいが、人間社会から隔絶され、言葉の不自由だった母親に育てられた為、普通の言葉が通じない。病院勤務の精神科医ポーラは、ネルを病院で保護すべきだと主張するが、ジェリーはネルの同意無しには連れて行けないよう裁判所に命令させてしまった。仕方なくポーラは、ネルの小屋の近くで様子を見る事に。そしてジェリーも同じく、ネルの保護者として、彼女を見守る生活に入った。 公開当時、結構話題になったのに、何故か今まで観ていませんでした。というのも、単純に評判が芳しくなかったからです。この映画、ジョディ・フォスターが設立した映画会社で作られたもので、彼女のパフォーマンスにあまりにも熱が入り過ぎた為、返ってあざといと不評を買ってしまった作品でした。今、過去の経緯などは忘れて、一本の映画として鑑賞すると、とても良い作品ですよね。これに反感を持つ人は、ジョディ・フォスターだからという面が大いにあったと思います。知的なのにわざとらしい演技とか、プロデューサーまでやってでしゃばり過ぎとか…。でも扱っているテーマは、とても素直で優しいものです。人間の本来あるべき姿。社会という枠組みの中で磨耗してしまった、もし残酷な現代社会に組み込まれなければ失わずに済んだ純粋な心。そういうものを思い出させてくれます。確かに自然児を演じるのは並大抵の事ではありません。綺麗事過ぎるという批評も当てはまると思います。ラストの裁判のシーンも、はっきり言って出来すぎています。しかしそれらの批判を差し引いても、この作品は佳作ではないでしょうか。少なくとも私は観ていて目頭が熱くなりましたし、観終わって心地良い気分になれました。私は好きですね、この映画。
Sep 18, 2004

9/25より全国ロードショー。オフィシャル・サイト"THE ALAMO" 監督・・・ジョン・リー・ハンコック出演・・・デニス・クエイド、ビリー・ボブ・ソーントン、ジェイソン・パトリック、ジョルディ・モリャ、パトリック・ウィルソン、エミリオ・エチェバリア、他。 ・物語序盤・ 1936年、アメリカとメキシコの国境地帯テキサス、サン・アントニオ。アメリカ人とメキシコ人は、アラモ砦を挟んで、長年戦いを続けていた。現在、アラモ砦はアメリカ側が占拠しているが、メキシコ側の指導者サンタアナ将軍は、大軍勢を送って、ここを陥落させようと計画を進めていた。一方アメリカ側では、ヒューストン将軍が、テキサス州議会との対立によって、軍司令官を解任されてしまった。彼はサン・アントニオに向かう義勇兵隊長ジム・ボウイ大佐に、アラモ砦に立て篭もって戦うのは不利だと忠告する。同じ頃、アラモ砦の警護の任務に就いたトラヴィス中佐は、兵士達の反感を買って孤立していた。そんなアラモ砦に、伝説の英雄と称えられるデイヴィ・クロケットが現れ、熱い歓迎を受けるが、現実は厳しい局面を迎えていた…。 ◆豆知識◆テキサス州について。広さ 6,704,998km2、人口、全米2位。もとはメキシコ領テキサス州。1836年にアメリカからの移民が反乱を起こし、テキサス共和国として独立。 9年後の1845年にアメリカに合併され、テキサス州となった。 あまりに短い独立期間ゆえに初めからアメリカ領とするために、偽装反乱したとの見方も強い。 有名なアラモ砦の13日間の攻防戦を描いた近代歴史映画です。「アラモ砦を忘れるな」の精神で、アメリカがメキシコ軍を打ち破り、テキサスを合衆国統合へと導いた戦いです。所謂「リメンバー・パールハーバー」みたいな自分の事は棚に上げ、相手の行為だけを非難して、士気を高めようという典型的なスローガンですね。という訳で、この時期にこの映画を作ると聞くと、政治的な思惑を感じずにはいられないのですが、映画を観る限り、政治的なメッセージは感じられませんでした。出来る限り中立の立場に立って、史実を忠実に再現しようと試みた様子が伺われます。ただサンタアナ将軍の描写だけは、如何にも身勝手な独裁者というお定まりのパターンだったのは遺憾ですが…。それを除いては、特にどちらかに肩入れした印象も受けず、不快感もふりませんてせした。この戦いは、メキシコとアメリカ移民との、延々と続いた国境線争いですから、どちらが良いとか悪いとかの問題ではありません。(どちらかと言うと、後からやってきて、我が物顔でアメリカ大陸を占領した白人連中こそ本来略奪者な訳で、彼等が被害者意識を前面に出しても、同情の念は起きませんよね…。)まあ、政治的背景は脇に置いて、映画だけを純粋に観ると、とても好感が持てる内容でした。前述した通り、ヒロイズムやアメリカ万歳といった偏ったベクトルが働いていないので、歴史物として見応えがあります。それだけに、終始一貫とても地味な展開である事も事実です。あちこちに刺激的な要素がある娯楽活劇ではなく、淡々とした歴史物であるという事を踏まえて鑑賞しないと、途中で退屈するかもしれません。あと、少し歴史的な知識が無いと、人間関係や社会構造が判り難いかもしれませんね。簡単に、テキサスは元々メキシコの領土で、そこに住み着いたアメリカ移民達が、アメリカの州としてそこをメキシコ側から独立させようと、長い間両国の間で小競り合いが続いていたという程度で構わないと思います。重厚で真面目な作りになっていますので、正統派の歴史物がお好きな方にお勧めします。
Sep 17, 2004

"HIDALGO" 監督・・・ジョー・ジョンストン 出演・・・ヴィゴ・モーテンセン、オマー・シャリフ、ズレイカ・ロビンソン、アダム・アレクシ=モール、ルイーズ・ロンバード、他。・物語序盤・インディアン達が白人に制圧されつつある19世紀末のアメリカ。フランク・ホプキンスは、マスタング種の愛馬ヒダルゴを駆って、軍の駐屯地に手紙を届ける。その手紙によって、軍は追い詰められた原住民達が反乱を起こすと思い込み、無抵抗の住民達を虐殺。白人とインディアンの混血であるフランクは、その光景を呆然と見詰めていた。それから月日は流れ、フランクはヒダルゴと共に、インディアンと白人との戦いを見世物にしたショーに出演しながら、自暴自棄な生活を送っていた。そんな彼の元へ、世界一早い馬と評判の高いヒダルゴの噂を聞きつけたアラブの族長の使いが現れる。族長はフランク達を、千年もの歴史を誇る競馬耐久レース“オーシャン・オブ・ファイヤー”に招待して、自分達のアラビア種の名馬と競争するよう要請しているとの事だった。そのレースは、灼熱のアラビア砂漠を横断する、全長3000マイル(約4800km)にも及ぶ過酷なサバイバル・レースである。この挑戦を受けたフランクは、遥かなアラビアを目指して旅立つのだった。 実話をベースにした物語ですが、飽く迄"ベース"です。途中で拉致された族長の一人娘を奪還しにゆくなど、無謀な活劇が挿入されていますし、かなり脚色が施されている模様です。ただ全体的には、わりと真面目に地味に作られた作品だと思いますね。時代背景や主人公の生い立ちが、作品に重さを与えています。アラビアの砂漠を舞台にした、異色の西部劇という感じでしょうか。ハラハラ・ドキドキの面白い活劇かと問われれば、はっきり言ってNOなのですが、然程悪い出来でもないです。ヴィゴ・モーテンセンの落ち着いた雰囲気は、少し地味目な作風に似合っていましたし、何より馬が良いです。ヒダルゴを演じていた馬は、茶色と白のまだら模様で、見目はあまり麗しくないのですが、なかなかどうして芸達者でした。物言わぬ動物なのですが、その仕草一つ一つが誰よりも雄弁に彼の愛すべきキャラクターを語っていました。フランクの落としたカウ・ボーイ・ハットを拾い上げて見せたり、口笛で呼ばれると、自分で手綱を解いて走ってきたりします(笑)。フランクにとって、これ以上には無い、良き相棒といった感じでした。もしも私が富豪だったら、飼いたい動物の筆頭が馬です。それもサラブレッドではなくて、脚の太い小型のがっしりした品種が良いなぁと思っています。そういう個人的な嗜好も相まって、マスタングのヒダルゴが愛くるしく映りました。しかし馬も品種改良などが進んで、役に立たなくなった種は纏めて殺してしまうというような野蛮な行為がまかり通っていたのですね。人間の身勝手さの一例ですが、一度失われたら二度と取り戻せないものですから、確りと保護してほしいものです。映画の見所は、砂漠の景色でしょうか。フランクとヒダルゴの長い長い旅路を象徴するように、灼熱の砂漠を歩く二人の姿が何度も映し出されます。レースと言っても、決まった通路がある訳ではなく、参加者ともたまに顔を合わせる程度で、とても孤独な道行です。地理条件も非常に過酷ですので、死者や脱落者が続出という命懸けのレースです。パリ・ダカを思い浮かべましたが、その何倍も過酷なコンディションですよね。これを完走した人馬は、感嘆に値します。
Sep 16, 2004

10/1より全国ロードショーです。オフィシャル・サイト"HELLBOY" 監督・・・ギレルモ・デル・トロ 原作・・・マイク・ミニョーラ出演・・・ロン・パールマン、ジョン・ハート、セルマ・ブレア、ルパート・エヴァンス、カレル・ローデン、ジェフリー・タンバー、他。・物語序盤・第二次世界大戦末期、敗色濃厚になったナチス・ドイツは、怪僧ラスプーチン率いるオカルト結社トゥーレ協会の力を借りて、戦局の巻き返しを狙っていた。ラスプーチンは独自に開発した装置によって、魔界から魔物の召還を試みるが、その最中に連合軍の奇襲によって阻止されてしまう。しかし僅かの間だが、魔界との通路が開いていた為、魔物がこちらの世界に来てしまったと、連合軍に同行していたブルーム教授は警告する。果たして捜索の結果、二本の角と長い尾を持つ小さな怪物が発見された。だがその怪物はまだ赤子で、お菓子をくれたブルーム教授にすぐに懐いた。その後、ブルーム教授は超常現象捜査局を設立し、その怪物ヘルボーイを息子として育て、人間の心を教える。そして現代、成長したヘルボーイは、世界を脅かす邪悪な勢力と戦うヒーローとなっていた。 うーん、何処が悪いんだろう?ヘルボーイのロン・パールマン始め、出てくるキャラクターは全て愛嬌があってとても魅力的なのに、一本の映画として観た時に、何故か盛り上がれませんでした。原作はアメコミで、人間を超越した者同士が敵味方に分かれて戦いを繰り広げるという構成から、「X-MEN」を連想するのですが、比較しても今ひとつ精彩を欠く内容。観ている間、ずっと画面から弾かれる感覚を覚えていたのです。つまり映画の中に入ってゆけない。面白い映画というのは、観ている側もスクリーンの中に入り込んで、恰もそこに自分も居るかのような一体感を与えてくれるのですが、この映画にはそれがありませんでした。なんとか切っ掛けを見付けて、ドラマの中に入り込もうと努力したのですが…。やはり主軸となるドラマの作りに問題があるようです。物語自体は、人類滅亡を企む悪玉と、それを阻止せんとする善玉との戦いという、至極単純な作りの筈なのに、その肝心の太いラインが見えてこない。各キャラクターの描写の為に、だらだらと横道ばかりにそれ、結果的にテンポの悪さを誘引してしまいました。枝葉を描く事は、勿論悪いことではありません。場面毎に区切って観れば、そこそこの出来で、決して悪くはないんですよ。人間味たっぷりのヘルボーイも可愛かったし、念動発火のリズも魅力的。その他、半漁人のエイブ、仮面にぜんまい式の心臓と砂の血液を持った敵方の殺し屋クロエネンも実に良いキャラです。VFXの技術も高度で、本来なら、もっとハイクオリティーな作品になれる筈なのに…。メインの道筋が見えない脚本が足を引っ張りましたね。正直、勿体無いなと思いました。蛇足ですが、映画終了後、一度テロップが流れてから、オマケの映像が挿入されます。これ、ある意味重要な笑えるシーンなので、終わったと思って帰らないで下さいね。それから日本公開版は、通常より10分長いディレクターズ・カット版との事です。
Sep 15, 2004

オフィシャル・サイト"RESIDENT EVIL: APOCALYPSE" 監督・・・アレクサンダー・ウィット出演・・・ミラ・ジョヴォヴィッチ、シエンナ・ギロリー、 エリック・メビウス、ジャレッド・ハリス、、ソフィー・ヴァヴァサー、オデッド・フェール、トーマス・クレッチマン、サンドリーヌ・ホルト、マイク・エップス、他。 ・物語序盤・ 巨大企業アンブレラ・コーポレーションの地下研究所ハイブで極秘開発中だったウィルスの感染事故から36時間後。ハイブから脱出したアリスは、アンブレラ社の社員に捕獲され、病院で昏睡状態にさせられていた。目覚めたアリスが見たのは、無人の病院と、廃墟と化したラクーン・シティ。ハイブから漏れた“T-ウィルス”は、既に市街に蔓延して、街はアンデッド達で埋め尽くされていた。アンブレラ社はゲートを封鎖し、まだ感染していない市民達まで街の中に隔離してしまった。ラクーンシティ内部に取り残された一人である、特殊部隊隊員ジル・バレンタインは、近くに居た数人の者達と共に教会へと逃げ込むが、中には得体の知れないモンスターが徘徊していた…。 いやぁ、楽しい、楽しい!鑑賞中、ずっと独りでニヤニヤ。すっかり危ない奴になってしまいました(笑)。前作は地下研究施設から脱出したアリスが、ラクーン・シティーに出て…、という所で終わっていましたが、若干少し前の出来事を補填しつつ、その後の物語として展開していました。今回のストーリーは、一応ゲーム「バイオハザード3 ラストエスケープ」を下地にしたオリジナルです。一応という位で、前作同様、独自性の強い仕上がりとなっていました。ただ各シーンには、バイオハザード・シリーズ全作に登場する場面や場所が満載で、ゲームファンとしては嬉しい限りの構成となっていました。墓の下から埋葬された死体がゾンビ化して、わらわらと出てくるシーンや、暴走トラックに路面電車、全てが「バイオ・ハザード」の世界で至福の時でした。特に「コード・ベロニカ」のオープニングを実写化してくれたのは嬉しかったです。とても好きなシーンだったので。今回はゲームシーンだけでなく、ゲーム中のキャラクターも登場します。特に警察の特殊部隊STARSの隊員ジルは、かなり重要な役として出演。このジル役のギロリーが、本当にジルのイメージにぴったり嵌まっていて驚いた程です。正直、動く映像を観るまでは、ゲームそのまんまのコスチュームのジルに、ちょっと恥ずかしいかも…と躊躇していたのですが、実際に映画を観たら、不安は吹き飛びました。ジル、最高!勿論、本家ヒロインのアリスも、負けじと頑張ってくれました。ちょっと頑張り過ぎじゃないですか、という位に(笑)彼女はこの先どうなってしまうのでしょうか?次回完結編が制作予定されているらしいですが、スーパー・パワーを手に入れた彼女の活躍が楽しみです。今回のメイン・エネミーの追跡者ネメシスも、なかなか良い仕上がりでしたね。ゲームでは散々怖がらせてくれた相手ですが、映画版ネメシスは少し気の毒な役柄でした。この辺もネタ的には「ベロニカ」ですね。全体的には、低予算ながら、その枠内で可能な限り頑張ったという印象です。格闘シーンで、画面の切り替えが早過ぎて、ちょっと観辛らかったのが残念でした。この撮影の為に、ミラは半年ほどトレーニングを積んだらしいですので、もう少しじっくり見せてくれればなぁと。あと個人的に、ゲームキャラクターの名前を、もっと積極的に使用してほしかったです。ジル以外では、カルロス・オリヴェイラやアシュフォードの名前が使われていましたが、他の登場人物にも設定は違ってもキャラクター名を付けてほしかった。例えばケイン少佐などは、ウェスカーと被る部分があるので、思い切ってウェスカーにしてくれたら…。それにSTARSのメンバーも、もっと活躍させてくれたら。…言い出したらキリが無いですね。でも映画としては、始終ワクワクし通しで、とても楽しかったです。
Sep 14, 2004

"IRIS" 監督・・・リチャード・エアー原作・・・ジョン・ベイリー出演・・・ジュディ・デンチ、ジム・ブロードベント、ケイト・ウィンスレット、ヒュー・ボネヴィル、エレノア・ブロン、アンジェラ・モラント、他。・物語序盤・アイリス・マードックは哲学者で著名な作家、その夫ジョン・ベイリーは大学教授。二人は若い時にオックスフォード大学で出会い、暫く交際した後、結婚した。それから四十年余りの時間、二人は社会的にも成功し、仮定でもおしどり夫婦として幸せな結婚生活を送ってきた。 しかしある時から、アイリスは同じ言葉を繰り返したり、話の途中で言葉に詰まるようになってくる。脳を診断した結果、彼女はアルツハイマー病に冒されている事が判明した…。 実在の作家アイリス・マードックの姿を、アイリスの夫で文芸評論家のジョン・ベイリーが綴った小説を基に表した映画です。若い頃の二人と、年老いてからの二人のシーンが交互に出てくる、二重構造の形式を取った映画です。アイリスは幸福な人ですね。自分は自由奔放に恋愛して、それでもこんなに夫から愛されて。しかも社会的地位も名誉も収入も、皆が羨む人生ではないでしょうか。そして自分は痛みも悲しみも忘れてしまい、安らかに眠ってゆく。勿論、自分の脳から記憶や思考能力が失われてゆくという事実と対峙している間は、恐怖感や悲痛な思いも体験したでしょうが。でも彼女が全ての苦痛や恐怖から解放された後も、ずっと傍で見守り続けた夫に比べれば幸せなものです。これに限らずですが、自分と似通った境遇の作品は、つい自分と重ねてしまいますね。かつて普通に話していた家族が、確かに目の前にいるのに、中身は既に自分が知っている人物ではないという現実を見据えるのはつらい事です。ひび割れた隙間から、さらさらと砂が零れ落ちるように、記憶や言葉が失われてゆく…。劇的な変化でないだけに、じわじわと真綿で首を絞められるような苦しみがあります。つい苛立って、当り散らした事も一度や二度ではありません。この辺も夫のジョンの気持ちが痛い程判りました。「自分は痛みも忘れて、何も感じないくせに、私はいつまでも苦しみ続けなければいけないなんて不公平だよ。」ぶつけ所のない怒りがふつふつと湧いてきて、それが苦い涙に変わる。私の慢性鬱も最悪のレベルまで達して、手が付けられない状態だったっけ。観たのが今で良かったです。最悪の時に観ていたら、物凄く凹んだと思うから。映画でも、あまりに自分と重なりすぎる状況の作品は観ない方が賢明ですね(笑)精神的打撃が大きい。
Sep 13, 2004

"CALLAS FOREVER" 監督・・・フランコ・ゼフィレッリ出演・・・ファニー・アルダン、ジェレミー・アイアンズ、 ジョーン・プロウライト、ジェイ・ロダン、ガブリエル・ガルコ、他 ・物語序盤・ 音楽プロデューサーのラリーは、今では若手のミュージシャンのプロモートをしているが、心の中では、かつて共に仕事をした世紀のオペラ歌手マリア・カラスの復活を願っていた。20世紀のオペラ界で、圧倒的な美声と美貌で君臨した女王マリア・カラスだったが、今では全盛期のような声も出なくなり、愛人だったギリシャの大富豪オナシスも他界して、パリで隠遁生活を送る毎日だった。ラリーは何度も彼女に連絡を取るが、誰とも決して会おうとしないマリア。業を煮やしたラリーは、自ら企画書を携えて、パリの自宅へ彼女を訪ねてゆく。それは、マリア全盛期の音源を用いて、彼女が主演するオペラ映画を製作するというものだった。最初は戸惑い、そのオファーを拒否するカラスだったが…。*マリア・カラス (1923~1977)*本名マリア・アンナ・セシリア・ソフィア・カロゲロプーロス。1923年12月、ギリシャ系移民の子としてニューヨークで生誕。14歳の時、母国ギリシャに帰国、アテネ音楽院でエルビラ・デ・イダルゴに師事する。アテネのオペラ座の舞台に立ち、22歳で再び渡米する。26歳で結婚、ミラノのスカラ座などで精力的に舞台に立ち、オペラ界の女王として君臨してゆく。大富豪オナシスとの不倫の恋も話題を集めた。最後の舞台は42歳の時の「トスカ」。1977年、パリの自宅で没する。享年54歳。伝説の天才オペラ歌手、マリア・カラス生誕80周年を記念して製作された作品。実際にあった出来事ではなく、生前の彼女と親交のあった監督が、彼女への哀悼の意を込めて、創造した架空の物語です。私自身はオペラを殆ど知らず、カラスについても知識はありませんでした。上記のような経緯なので、この映画を観ても、彼女の生涯が判る作りとはなっていません。しかし空想の産物ではあっても、本当にこうだったら…、否、実際にこうだったのではないかと思えてくる優しく温かいストーリーでした。彼女は孤独な死を迎える前に、かつての活力と情熱を取り戻し、胸を張って余生を送り、栄光に相応しい誇り高い最期を迎えたのではないか…、そう信じたくなる作品に、監督のカラスへの温かな眼差しを感じましたね。上り坂は誰でも楽しい。頂点を目指して、ただ上だけを見て歩けば良いのだから。しかし登りつめた者は、その先、何を目指して進めば良いのだろう。最早、登るべき道は無い。前に見えるのは、果てしない下り坂のみ。登りつめた頂点が高ければ高いほど、奈落もまた深い。誰の追随も許さなかった圧倒的な歌声は日々失われ、愛する人も取り巻き達も去っていった。彼女を支えるのは、栄光の記憶だけ…。外界との接触を断ち、自分を傷付けない幸福な記憶の中にのみ生き続けようとする彼女の前に現れた友人。最初は戸惑いつつも、カラスが舞台で演ずる事、そして何より歌う事の喜びを思い出してゆく過程が良い。そしてラスト、自分の人生に恥じない決断と共に、独り歩き去ってゆく彼女の背中。現実とは掛け離れていたかもしれないけれど、カラスへの愛を感じたので、このラストは清々しかったです。映画中、バックに流れるカラス全盛期の歌声も素晴らしいですね。20世紀最高のディーバです。
Sep 12, 2004

"KNOCKAROUND GUYS" 監督・・・ブライアン・コッペルマン、デヴィッド・レヴィーン出演・・・バリー・ペッパー、アンドリュー・ダヴォリ、ヴィン・ディーゼル、セス・グリーン、ジョン・マルコヴィッチ、トム・ヌーナン、デニス・ホッパー、他。 ・物語序盤・1987年、ニューヨーク・ブルックリンの一角。マフィアのボスを父に持つ12歳のマティーは、義理の伯父テディから父を裏切った仲間を撃ち殺すように命じられる。しかしマティーには、どうしても撃つ事ができなかった。それから時は流れて現在…。マティーはまともな職に就こうと、会社の面接を繰り返していたが、いつも父親がマフィアのボスだと露見して、誰も雇ってはくれなかった。仕方なくマフィアで重要な仕事をさせてもらおうと考えるが、父親とテディは彼を全く信用していなかった。堅気の社会からは、マフィアの一員として冷遇され、マフィアでは単なる遣いっ走り扱い。坊ちゃん育ちで金には不自由していないが、何より一人前の男として認められたいマティは、父親達に懇願して大きな仕事を回してもらった。自分と同じような境遇のクリスと、腕っ節の強いテイラー、飛行気乗りのジョーとチームを組んで、仕事に取り掛かるマティだが…。 映画の流れと共に、こちらの感情も逐一変化していった作品でした。冒頭では、黒社会のボス家系に生まれてしまった堅気志望の青年に同情。中盤では、ダメな奴は何処に行っても何をやらせてもダメだよねという気持ち。そして終盤では、ちょっぴり晴れやかな気分に。結論として、私って単純だな、と(笑)。一本の映画としては、中盤がだれてしまって、マフィア物にも関わらず緊迫感が無く、今ひとつという印象でした。ただ弁護するならば、マフィアといっても、彼等は実際には店番や集金程度の単純労働にしか従事していない、殆ど素人さんなのですよね。こういう見掛け倒しのマフィア見習いさん達が、いきなり組織の大金を紛失してしまった訳で。プロ連中なら、組織の総力を上げて、即刻不届き者を捕らえるのでしょうが、彼等には探す当てすら無い。無様で手際が悪いのは当たり前の事で、まるで無知な子供が寄り集まって、どうしようどうしようと相談し合っている所は、ある意味可愛くもあります。中だるみの中盤は、彼等が如何にマフィアに向いていないかを鑑賞しましょう(笑)物語が本格的に始動するのは、本当にラストです。締めが良かったので、途中の退屈さも一応許せるような気になりました。ヴィン・ディーゼルはなかなか好演していましたね。私と彼との出会いは「トリプルX」。出会いとしては最低の部類です(笑)(管理人、中身の無いドタバタ・バカアクション大嫌い人間)それ以後も、彼の出演する映画は、軒並みハズレでした。という事で、ヴィン・ディーゼルは、私の中では三流俳優という位置付け…。今回も例によって、喧嘩の腕が売りのヤクザ野郎ではあるのですが、精神面の温かさも見せていて好感が持てました。他の若手俳優が無名なのも手伝って、浮いた様に目立っていましたし(笑)。「ピッチ・ブラック」とこの映画で、ちょっぴり評価が上がったかな。映画はノワール物としてより、青春ムービーとして観る方が正しいかもしれません。一人の青年の精神的成長を描く、青春ロードムービーとして、一応及第点をあげます。
Sep 11, 2004

"WXIII PATLABOR THE MOVIE 3" 監督・・・遠藤卓司 総監督・・・高山文彦 原作・・・ヘッドギア 出演(声)・・・綿引勝彦、平田広明、田中敦子、穂積隆信、 池田勝、冨永みーな、古川登志夫、池水通洋、二又一成、郷里大輔、大林隆之介、他。 ・物語序盤・近未来。レイバーと呼ばれる搭乗型のロボットが普及している世界。近頃東京湾沿岸では、レイバーを狙う謎の破壊活動が続いていた。この事件を担当していた城南署の二人の刑事・久住と秦だが捜査は難航していた。そんな折、秦は偶然、生物医学研究所の研究員・岬冴子と出会う。冴子は夫を事故で亡くし、一人娘も小児癌で失ったという孤独な女性だった。秦は彼女に惹かれ、二人は徐々に親密になってゆく。ある日、パトカーに同乗していた久住と秦は、湾岸に浮かぶ備蓄基地で、とんでもない巨大怪物に遭遇する。同行していた警官二人は食い殺され、久住と秦は寸での所で難を逃れるが…。 観終わった率直な感想…、嫌いではない。よく出来ていると思う。でも何故、これで「パトレイバー」なのだろう?予備知識を持たずに観たので、パトレイバーや特車二課の面子はいつ出てくるんだろう?とぼぉーっと眺めていたら、待てど暮らせど現れず、なんと終盤じゃないですか。冒頭近くでも、少しだけ顔出し程度に出てましたけど…。しかし一番出番の多かった後藤隊長ですら、完璧に脇役ですからねぇ。いやぁ、何はともあれ、「驚いた」というのが第一の感想でした。パトレイバーが出ないパトレイバー。国際救助隊が活躍しないサンダーバードよりも上手を行く映画です(笑)ただ一本の作品としては、悪くない出来栄えなのですよ。シナリオも重厚な作りで、作画レベルも安定しています。エンターテイメントとして派手な演出はありませんが、ドラマ的には良かったと思います。オチは早くから読めますが、どんでん返しより、シリアスなドラマを楽しむタイプの映画なので問題は無いかと。しかし曲がりなりにも「パトレイバー」と冠するのなら、やはり特車二課のメンバーを主役にすべきではないでしょうか?メンバーの一人に秦刑事の役を振り当てて、脚本を変更すれば、それで済む事でしょう。もしどうしてもこのシナリオで通したいのなら、パトレイバーという要素は削って、違う作品にすべきです。何故ここまで中途半端に、パトレイバーという名に拘ったのかが理解できませんね。敵対する相手も巨大生物で、人工的な物であるにせよ、ある意味人知を超えた存在で、パトレイバーという作品にはそぐわない気がしました。観ていて、エヴァンゲリオンの使徒かと思いましたよ(笑)。結論として、映画としてはそこそこの完成度だが、「パトレイバー」じゃないだろ、という感じですね。もう一度映画化の機会が与えられるのなら、ビデオやテレビシリーズのような軽快な娯楽作品を作ってほしいです。「パトレイバー」はシリアスな展開の中にも、常に軽妙な笑いがあったからこそ面白かったんですよ。
Sep 10, 2004

久し振りにゲーム話に転ぶ…。衝動買いでソフトばかり買っていて、気が付いたら、未プレイのソフトが十本以上になっていました…。バカだな、私って。これはいくら何でもと思い、とても久し振りにゲーム機に触ってみました。あらま、コントローラーが埃まみれだよ…。チョイスしたソフトは「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」。SCE「SAC」公式サイト士朗正宗さんの漫画が原作で、映画が2本、テレビアニメも作られた人気作のゲーム化作品です。主人公は草薙素子。全身を簡単に言えばサイボーグ化した女性。公安9課という部署に所属する国家公務員さんです。警察と軍隊を足して2を掛けたような、非常にデンジャラスな職場です。(笑)このゲームは彼女を操って、事件を解決してゆくアクションゲーム。取り敢えず起動して、ゲームの顔とも言えるオープニング映像を鑑賞。CGレベルはムービー・シーンとしては、然程高くないですね。ポリゴンが荒めだと感じました。長所は通常画面になっても、落差を感じずに済む点でしょうか。初回はお約束通り、トレーニング・モードをせずにスタート。色んなボタンを押し捲り、適当に動いてみるが、かなり特殊なボタン配置です。通常キャラクターの移動は、左スティック一つで出来るのですが、これは右スティックで向きを操作しつつ、左スティックで前後に動くという、とても複雑な移動方法を取ります。そして射撃、ジャンプ、蹴り、掴まり、しゃがみ…と、とにかくこれまでやってきたゲームの常識が通用しない振り分けでした。しかも一番の難点は、射撃の際、ロックオンが利かない事。左右のスティックを手動で調節して、照準を合わせます。これは激ムズ。撃っても当たらないので、出るのはキック攻撃ばかり。そして訳も判らぬまま、右往左往している内に、海に転落してゲームオーバー。サイボーグだから、重くて泳げないのね、素子…。スーパー・ウーマンなのに金槌かよ…。仕方なく、トレーニング・モードに突入。一つ一つ丁寧に操作の説明をしてくれます。でもね…。多いんだよ。覚えきれねぇよ。頭、悪いんだから、アタチ。しかもL3ボタンて、何?って感じです。そうか、スティックは押せばボタンにもなるんだったな。遠い記憶を思い起こさせてくれて、ありがとう。シリアスな雰囲気は好きだし、面白そうなのですが、スキルをマスターするまで、随分と忍耐が必要なソフトのようです。最近、根気が無くなっているので、クリアーできるか謎ですわ…。
Sep 9, 2004

"INFERNAL AFFAIRS II" 監督・・・アンドリュー・ラウ、アラン・マック出演・・・エディソン・チャン、ショーン・ユー、アンソニー・ウォン、エリック・ツァン、カリーナ・ラウ、フランシス・ン、チャップマン・トウ、フー・ジュン、他。・物語序盤・1991年の香港。マフィアの大ボス、ンガイ・クワンが暗殺された。配下のボス達4人は、ンガイ家に造反するチャンスとばかりに、揃って反旗を翻そうとする。しかしクワンの次男ハウは切れ者で、先手を打ってボス達の弱みを握り、権力の掌握に成功する。一方、一人他のボス達の様子を静観していたボスのサムは、手下のラウを警察内部へ送り込むべく、警察学校への入学を命ずる。丁度この頃、警察学校の主席だったヤンは、ハウの異母弟である事が発覚して、警察学校を退学させられていた。組織犯罪課のウォン警部は、ヤンにまだ警官になれるチャンスがあると話を持ちかける。それはハウの組織への潜入捜査という任務であった。 アンディー・ラウとトニー・レオンが主演した「インファナル・アフェア」の続編です。何故か邦題は「インファナル・アフェア」のままで、「2」と付けないので、判りづらいですよね。続編と言っても、時間的には前作よりも遡って、1991年~1997年の出来事を描いています。ただ遡ると言っても、前作より完全に前の出来事ではなく、前作で描かれなかった部分を補填するというような構成でした。主演の二人の役は、一作目で若き日の彼等を演じた二人がそのまま続投。そして脇役のウォン刑事とサムも、前作から続投しています。という事で、前作のファンにとっては、とても嬉しい続編に仕上がっています。逆に前作を観ていないと、ちょっと苦しいかも…。一応独立した話になっていますが、予備知識がないとやはり厳しいです。作品の出来栄えとしては、前作に負けず劣らず面白く仕上がっていました。全編通じて、非常に骨太な本格ノワール物です。今回はウォンとサムの露出が多くて、実質的な主役は彼等だったと思います。若手の二人の出番を削った事で、映画に重みと渋みが出たので、この選択は成功だと言えるでしょう。殆ど紅一点とも言えるサムの妻マリー役のカリーナ・ラウが、ベテランらしい貫禄の演技で、圧倒的な存在感を放っていましたね。個人的に好きだったのは、ンガイ家の若頭ハウです。裏社会のボスですが、非常に怜悧で穏やかでありつつ、威厳のある人物を見事に演じていました。ウォン警部と旧友のルク警部との友情も良かったです。いつもどちらが指揮を執るか、トランプで決めていたのですが、何故かキングとエースしかでないなぁと思っていたら…。ルク警部の最期のシーンは、こちらもジーンとしてしまいましたね。ヒット作の続編というと、色々と難しい面も多いのですが、これは一作目に見劣りしない珍しい続編と言えます。是非一作目の「インファナル・アフェア」を観てから、映画館で観て下さい。気が早いですが、次回の完結編が楽しみですねー。
Sep 8, 2004

"WELCOME TO COLLINWOOD" 監督・・・アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ 製作・・・ジョージ・クルーニー、スティーヴン・ソダーバーグ 出演・・・サム・ロックウェル、ウィリアム・H・メイシー、イザイア・ワシントン、マイケル・ジェッター、ルイス・ガスマン、パトリシア・クラークソン、アンドリュー・ダヴォリ、ジェニファー・エスポジート、ジョージ・クルーニー、他。・物語序盤・車泥棒の現行犯で逮捕されたコジモは、刑務所で同部屋になった終身刑の衆人から、儲け話を聞かされる。その男は金庫を保管している事務所の壁を作る際、壁を壊せるように材料を薄めたというのである。そして隣室は空き部屋で、金庫を容易に盗める。早速コジモは愛人のロザリンドに、ヘソクリの15000ドルで自分の身代わりとなる男を捜せと命じた。ロザリンドは知り合いに話を持ち掛けるが断られる。別の男を探すと請合った男は、秘密厳守と誓ったにも関わらず、次々にチンピラに声を掛けてゆく。漸く話に応じた負け続きのボクサー・ペロが、身代わりとして法廷に出向くものの、結局コジモと共に有罪判決をうけてしまう…。 クライム・コメディーです。ラストの笑いが、流石に子供騙しでくどかった印象でしたが、作品全体としては軽妙に纏め上げたと思います。小振りな作品なので映画館で観るには物足りないと思いますが、ビデオレンタルなら元は取れるといった感じでしょうか。オマヌケ軍団が大きなヤマに挑戦するという題材は、既に撮り尽くされた感があり、新鮮味に欠ける事は否めませんが、登場人物が皆、愛嬌たっぷりで味があるので、軽い娯楽としてなら楽しめると思います。とにかく、やる事なす事間が抜けていて笑えます。ただかなり微妙なラインのギャグなので、一度白けてしまったら、精神的に持ち直すのは難しいかも。やっている事は犯罪なのですが、全員基本的にお人好しで善良な連中なので憎めません。ジョージ・クルーニーは、金庫破りの師匠役で顔出し程度の出演でした。結局、伝授してもらった甲斐はありませんでしたが…。ラストは少しほろっとするというか、一応ハッピーエンディングなのですかね。何の関係も無いのに、部屋を荒らされたアパートの住人が気の毒ですから、あれで良いのかという気持ちも残りますが…。まあ、機会があったら観て下さい、というレベルかな。いえ、決して悪くはありませんよ。ただ特筆すべき点も無いです…。
Sep 7, 2004

"28 DAYS LATER..."監督・・・ダニー・ボイル出演・・・キリアン・マーフィ、ナオミ・ハリス、クリストファー・エクルストン、ミーガン・バーンズ、ブレンダン・グリーソン、ノア・ハントレー、他。 ・物語序盤・動物実験を行っている研究所に、過激な動物愛護団体のメンバーが潜入する。メンバー等は職員の制止を無視して、檻の中から猿を解放した。危険なウィルスに感染していた猿に噛み付かれたメンバーは、即効性ウィルスの影響で、理性を失い、他のメンバーに襲い掛かった。それから28日後。一人の青年が、ロンドン市内にある病院の集中治療室で目を覚ました。辺りを見回しても、人の気配は全くない。彼は事態を把握できぬまま、人影を求めて街中へと歩き出すが、そこは無人の都市と化していた…。 昨日に引き続き、ゾンビ物になりました。これも一般の評判は芳しくないような感じですが。ダニー・ボイル監督なので、一般受けの映画にはなりませんよね…(笑)。個人的には、結構好きな部類でしたよ。何が好きって、無人の街の風景が綺麗で良いのですよ。日頃は人いきれでむせ返っている町並みも、幻想と神秘の場所に早変わり。 人間が居なければ街は良い所だ、と反射的に思いました。この撮影の為に、人や車をシャットアウトしたのでしょうね。高速道路も封鎖して、結構大変だったでしょうが、その甲斐はありました。風景を長回しで撮影する手法と漂う静けさに、北野監督の作風が被りましたね。求める感覚が似ているのかも。ゾンビ物といっても、ホラーやアクションの要素は少なく、長閑なロードムービーのような印象でしたし。退屈と感じられる方もいらっしゃるかと思いますが、私は車で旅をするシーンは好きでした。私が昔から一度で良いからやってみたいと思っている事もしていましたね。誰も居ないスーパーで、好き勝手に商品を取って食い散らかす事(笑)。というような内容ですので、戦慄の恐怖やスリルを求めて鑑賞すると裏切られます。時折は、スリルもあるのですが。脅威の身体能力を備えたゾンビなので、逃げるのはかなり厄介です。走るゾンビは「ドーン・オブ・ザ・デッド」でも出てきましたので、然程違和感はありませんでしが、感染後僅か20秒で発病し、人間を狂犬の様に変えてしまうウィルスの科学的メカニズムは解明されませんでしたね。される訳ないか…笑。でもゾンビ(厳密に言えば病人)の生態が知りたかった…。ストーリー展開には、特に目新しい部分はありません。軍隊が出てくる下りあたりも、多分そうなるよねと予測できる範囲でしたし。それでも気に入ったのは、やはり人気の無い世界が美しかったからかな。因みに、エンドロールの後に、アナザー・エンディングが収録されているのでお見逃しのないように。私は普通のエンディングの方が好きでした。この映画の雰囲気には、そちらが合っているかなと。蛇足ですが、私もこの映画に似た状況を体験した事があります。それは元旦に行った繁華街でした。全ての店舗が閉まり、普段は人波を掻き分けながら進む街路を、一人足早に闊歩する私。気持ちよかったなぁ。
Sep 6, 2004

"RESIDENT EVIL""RESIDENT EVIL: GROUND ZERO" 監督・・・ポール・W・S・アンダーソン出演・・・ミラ・ジョヴォヴィッチ、ミシェル・ロドリゲス、エリック・メビウス、ジェームズ・ピュアフォイ、マーティン・クルーズ、コリン・サーモン、他。・物語序盤・近未来のアメリカ。ラクーン・シティーの地下に研究施設を有する巨大企業のアンブレラ・コーポレーションは、ハイブと呼ばれるその研究施設で、極秘のウィルス開発を進めていた。ある日、研究室の床に落ちて割れたウィルスの容器が原因で、ハイブ内にウィルスが蔓延するという事態が起こった。施設を統括するマザーコンピューター、レッドクィーンは非常事態を発令して、ハイブの出入り口全てを遮断し、感染を防ぐ為、内部の職員を皆殺しにした…。その頃、とある洋館で、一人の女性がシャワールームで目を覚ましていた。彼女は自分の居る場所が何処か、自分が誰なのかも思い出せない事に気付いた。そんな彼女の前に、突然警官だという一人の男が現れる。そしてその直後、今度は特殊部隊が洋館になだれ込んできて、あっと言う間に二人を取り押さえてしまった。隊長ワンによると、彼女はアリスという名の、アンブレラ社傘下の特殊部隊隊員であるらしかった。そして洋館は、ハイブへの極秘の入口との事である。アリス達は、ハイブへの侵入を試みるが…。 映画館で鑑賞して以来、二度目です。忘れかけていたストーリーや理解していなかった細部などが頭に入って、「アポカリプス」の鑑賞前のよい復習になりました。これ、世間の評判は今ひとつなようですが、個人的にはかなり好きでした。規模的にもB級である事は間違いないのですが、テンポも最後まで途切れる事無く、飽きさせない作品だと思います。今更言及するまでもありませんが、本作はTVゲーム「バイオハザード」(海外では既に使用されていた名称の為、"RESIDENT EVIL"と改題)の映画化作品です。私自身は、成功したゲームの映画化の一例として捉えています。要因はゲームが原作ながら、完全なオリジナル・シナリオを作り、映画そのものからゲーム臭さを排除した点だと考えます。ゲーム原作映画にありがちな、主人公が無意味なダンジョンをクリアしてゆくというシーンが省かれ、ストーリー展開に重点を置いています。とは言え、ゲームが下地になっているので、このゲームを全く知らない人には、単なるB級ホラーアクションでしかないという事も同時に事実です。ゲーム・ファンには、思わずニヤリとしてしまうシーンも多く盛り込まれているのですが、知らなければ普通のシーンでしかないですからね…。一ファンとしては、オープニングで"洋館"が出てきた時から、「わぉ、バイオだよ~」という興奮に包まれました。電車のシーンも大好き。やはりバイオハザードと言えば、あの傘マークの電車が無いとね。(しかし"傘"に"あらいぐま"に、結構恥ずかしいネーミングですよね…笑)ゲームではいつも手こずらされる厭な存在のゾンビ犬(ケルベロス)に、アリスが決めるカッコいい蹴りもクールでした。ゲームでは蹴り攻撃は出来ないので。まあ、モンスターが殆ど出ずに、ゾンビばかりという点は、確かに少々寂しいものがありました。監督が「バイオハザード」の熱烈なファンであると同時に、「ゾンビ」のファンでもあった為、オマージュとしてああいう形になったらしいのですが。しかしゲームでは序盤で出くわすモンスターが、ラスボスというのは、やはり物足りない気持ちが残りました。でも素直に楽しめましたので、あまり文句はありません。新作に期待しています。公開が待ちきれません。
Sep 5, 2004

監督・・・北野武音楽・・・久石譲出演・・・ビートたけし、関口雄介、岸本加世子、吉行和子、細川ふみえ、グレート義太夫、井手らっきょ、他。 ・物語序盤・正男は祖母と二人暮しの小学三年生のおとなしい少年。祖母によると、父は他界し、母は遠くで働いているという。偶然戸棚から母親の写真と住所の書かれた紙を見付けた正男は、記憶すらない母親を探す旅に出ようと決意する。それを見掛けた顔見知りの小母さんは、暇な夫・菊次郎を彼の付き添いとして同行させる。しかし全くやる気の無い菊次郎は、妻から貰った旅費を、競輪で摩ってしまう体たらく。ヒッチハイクをしながら、漸く目的地にたどり着くものの…。 ヒューマン・ドラマ系という事だったので、不覚にも笑いあり涙ありの物語を想像してしまいました。私もまだまだ青いですね。これは紛れも無く北野作品でした。長回しのカメラに、極力まで削られた言葉。そしてシュールなギャグ。子供が主人公という事で、今回はバイオレンスは無しです。ヤクザ崩れの菊次郎も、刺青背負って態度だけはでかいが、全然強くありません。一応、前半は母親を訪ねてゆくロード・ムービー形式ですが、後半は場所の移動は無くなります。時間の流れは、現実世界と同じ位のなだらかさで、ドキュメンタリーを観ているようです。後半は延々と正男と大人達が戯れるシーンが続き、たまに早送りしたくなる衝動に駆られたのですが、はたと気付きました。これは傷付いた子供の心が癒されるまでに必要な時間そのものなのだなと。ここに出てくる大人達には、名前がありません。デブのおじさんやハゲのおじさんといった、特定されない大人です。これは子供を不器用でも温かく見守る、優しい大人達の存在を映し出した映画でした。現実社会は冷たく、傷付けられ打ちひしがれた心は、更に踏み躙られる事の方が多いけれど、こんな風に温かく気長に付き合ってくれる大人が居れば、子供は必ず笑顔を取り戻すものなのだと、北野監督は訴えたかったのかもしれませんね。そしてそれを担うのは、何も両親に限られている訳ではないと。言葉で語るのは照れ臭いから、というような気持ちが伝わってくる気がしました。ひと夏の冒険旅行を共にしたおじさんに、正男が名前を尋ねるシーンが好きです。一緒に過ごすだけで、名前なんて無くても良かったんですよね。と同時に、どうでも良かった「個」としての相手に興味を抱いた少年は、確実に一歩成長したのでしょう。ヒューマン系ですが、癒してもらおうとか、そんな期待を持って観るのはNGです。時間の流れに身を委ねて、何も考えずにぼぉーっと眺めましょう。ところでテーマ曲は、以前某CMで流れていたので耳慣れた曲だったのですが、「菊次郎の夏」のテーマだったのですね。優しくて良い曲です。
Sep 4, 2004

"十面埋伏""HOUSE OF FLYING DAGGERS(飛刀門)" 監督・・・チャン・イーモウ衣装デザイン・・・ワダエミ 音楽・・・梅林茂 出演・・・金城武、チャン・ツィイー、アンディ・ラウ、ソン・タンタン、他。・物語序盤・ 唐王朝が衰退し始めた9世紀半ば。巷では朝廷に反旗を翻す、"飛刀門"と呼ばれる一派が勢力を増していた。唐はこの反乱軍の鎮圧に乗り出し、やっとの事で"飛刀門"の頭目の殺害に成功する。しかし後継者がリーダーとなり、一味の勢力は衰える事はなかった。そこで捕吏である劉と金は、即刻新たなリーダーの拘束するよう命じられる。劉は遊郭で一番の売れっ子の踊り子が、一味に関わっているとの情報を得て、遊び好きの金を偵察に送り込ませる。劉は盲目の踊り子・小妹の逮捕に成功するが、彼女を泳がせて、背後にいる大物を捕らえる方が得策だと考える。そして金に、身分を偽って小妹を脱獄させ、敵の本拠地まで案内させるように命じるのだった…。 普通に楽しめましたよ、飽く迄普通にですが。が、序盤にクライマックスが終わってしまった感がありましたね…。遊郭での踊りのシーンが一番の見所だったというのは、ちょっと尻つぼみで寂しい。出だしは歯切れも良く、何よりチャン・ツィイーの華やかな美貌と見事な舞踏が光っていました。彼女は元々古典舞踊を習っていたとの事で、身のこなしが素晴らしいですね。その彼女も長い袖を見栄え良く扱うのには、かなり苦労したと話していました。ともかく開幕は、一級品を予感させるものがあったのです。ところが小妹と随風(金)が脱獄してからの中盤以降、突然話が停滞してしまい、見せ場も無くなってきます。追っ手との戦闘シーンまでは良かったのですが。ワイヤーやCGを使用した戦闘シーンは、相変わらず中華テイストのハッタリが面白いです。四本続けて射た矢が、同時に四人の男に命中するとか、回転しながら弧を描いて飛んでゆく短剣が、盾で跳ね返ってから突き刺さるとか、現実には有り得ないシーンも、見た目良ければ全て良しです。十八番となった竹藪での戦いも、霧の掛かったような色彩がとても幻想的でした。今回色彩は序盤を除けば、自然の色を大切にしていたようですね。上述のように娯楽としてのアクションはかなり評価が高いです。しかし肝心のストーリー展開の方が、今ひとつ切れが悪いんですよね…。肌の露出が有るラヴシーンが多分三回あったと思うのですが、下手に肌を見せるよりは、思い切ってカットした方が良かったかもしれません。少しくどい印象があったので。特に最初のシーンは邪魔だと感じました。ただ今回のメインテーマである「愛」の表現については、然程悪くなかったと思います。ジンの短くも激しく燃え上がる恋情と、リウの一歩退いたそれでいて深い愛情、どちらも素直に受け入れられました。特にジンの恋心は、出会って間も無い相手に炎のように燃え上がる情熱だったので、演じる金城武もなかなかその心理を掴めずに、監督にシーン毎に質問をしたとか。その甲斐あってか、個人的にはすんなりジンの思いが伝わってきました。ラストの大雪は寛大な心で観ていても、笑いを堪えるのが大変でしたね。「季節、いつだよ?!」とツッコミ入れずにはいられません。「確かさっきまで花が咲いてたよなぁ、ってか、降り積もってるよ(爆)!」何時間戦ってりゃ、そんな積雪量になるんだ…笑。小妹を助けたいのなら、まず救命措置をしましょうよ、兄サン。白雪に鮮血の赤を魅せたかったのでしょうけど、「キル・ビル」のラストを彷彿とさせて、折角の真面目な雰囲気が台無し。「HERO」が国政を背負った壮大な話だったのに比べて、今作は結局の所、三人の痴話喧嘩に落ち着いてしまった所が、映画のスケールを小さくしてしまって少し惜しかったですね。テーマが「愛」だから仕方ないのかもしれませんが…。これは、大義や掟という呪縛から逃れて、野に吹く風のように自由に生きる事を夢見た、ただの名も無き一人の女(小妹・シャオメイ=年下の女性に対する総称)の物語なんですよね。
Sep 3, 2004

9/11より全国ロードショーです。オフィシャル・サイト"TAKING LIVES" 監督・・・D・J・カルーソー原作・・・マイケル・パイ『人生を盗む男』(徳間書店刊) 出演・・・アンジェリーナ・ジョリー、イーサン・ホーク、 キーファー・サザーランド、ジーナ・ローランズ、オリヴィエ・マルティネス、チェッキー・カリョ、ジャン=ユーグ・アングラード、他。・物語序盤・1980年代のアメリカ。バスの中で出会った見ず知らずの少年二人。二人は意気投合し、バスの故障を機に、レンタカーで旅をする事に。しかし途中でパンクし、修理している少年に向かって、もう一人の少年はおもむろに呟いた…「同じくらいの体格だね」。少年は突如、彼を突き飛ばして走ってきた車に轢かせてしまうと、瀕死の少年の顔面を小振りな岩で叩き壊した…。それから時が流れて現在。ある日、工事現場で白骨化した一体の死体が発見される。モントリオール警察はFBIに捜査協力を要請し、それを受けて現れたのは、女性特別捜査官イリアナ・スコット。彼女は優秀なプロファイラーでもあった。だがモントリオール署の警官達は、FBIなどが出る幕ではないと反感を抱いていた。そんな矢先、同じ犯人の犯行と思われる新たな殺人事件が発生する。幸い今回は目撃者がいた。イリアナ達は彼コスタの証言から、犯人がマーティン・アッシャーという男であることを突き止める…。 もっとおどろおどろしい内容を想像していたんです。身の毛も弥立つような恐ろしい話を。他人を殺して、その人物になりすましながら生きる男と聞いたら、否応無しに期待してしまいますよ。ところが蓋を開けてみると、お手軽な凡作サスペンス映画でした。主人公はシリアル・キラーではなく、彼を追い掛けるFBI捜査官(アンジェリーナ・ジョリー)の方です。という事で、必然的(?)に、犯人マーティンが凶行を重ねてゆくシーンは軽く流されて、その結果恐怖感は全くありませんでした。もっと彼が他人の人生を騙って生きている様を見せてくれたら良かったのに…。一歩譲って、謎解きサスペンスに重点を置いた作りに賛同したとして、今度は肝心の謎解きが簡単すぎます。私は大抵この手のどんでん返しは見破れずに、すっかり騙される素直なお馬鹿さんなのですが、この映画に限っては、観ている間ずっと、「だから、犯人はコイツでしょ!」と思い続けてイライラする羽目に。恐らく観ている人全員が、見抜いていたのではないでしょうか…苦笑。確かにラストへの展開は、少し意外性があって驚きましたが。しかしB級サスペンスと評されても文句は言えないレベルの映画である事は間違いなしです。ところで準主役のイーサン・ホーク、何故あれほどオーラが感じられないのでしょうね?観ていて、これがイーサンだよね…と不安になってくる位、普通の何処にでもいるお兄さんに思えました。もう少しカリスマ性を身に付けないと、俳優生命の危機ですよ(笑)アンジェリーナ・ジョリーは無難に演じていたと思いますが、如何せん脚本に魅力が無さ過ぎました。最近の彼女、あまり作品に恵まれていないと思うのは私だけか?
Sep 2, 2004

"PITCH BLACK" 監督・・・デヴィッド・トゥーヒー出演・・・ヴィン・ディーゼル、ラダ・ミッチェル、コール・ハウザー、キース・デヴィッド、ルイス・フィッツジェラルド、クローディア・ブラック、リアンナ・グリフィス、他。・物語序盤・クルー達が全員コールド・スリープに就き、自動操縦モードで航行する宇宙船に、不慮の事故が勃発する。緊急事態に覚醒させられた操縦士のキャロリンは、必死に態勢を立て直そうとするが、宇宙船は敢え無く近くの惑星に降下していった。なんとか不時着に成功するが、そこは三つの太陽が始終地表を照らし続ける灼熱の惑星だった。生き残った乗客の中には、護送中の凶悪犯リディックの姿もあった。柱に縛り付けられていたが、易々と逃げ出してしまうリディック。水を求めて探索を開始した生存者達は、ほどなく調査隊の施設を発見する。そこは既に無人だったが、外には小型の脱出艇が放置されたままで、人々が脱出した形跡は無かった…。 公開中の「リディック」の前作にあたる作品です。配給会社の情報隠蔽工作により、続編の「リディック」より遅れて鑑賞する羽目になりました。先に見ていれば、「リディック」への理解度も上がって、もっと楽しめたのに、返す返すも腹立たしい。「リディック」には、彼自身以外にも、この作品の登場人物が二人出てきます。その一人が"ジャック"という女性。彼女が何故、女でありながら、"ジャック"という男性名を名乗っているか、この映画を観て、漸く理解できました。作品としての雰囲気は随分違いますが、やはり「リディック」を観るなら、先にこれを観ておくべきですね。この作品について書きます。低予算でB級ながらも、設定も面白くスリルもあり、一本のSF作品として、堅実に纏めてあると思いました。三つの色の異なる太陽に常に照らされている星の、乾いた暑さを、各色の光線を使い分けつつ表現しています。物理的に、四六時中太陽に照らされている星の地表温度が、普通に人間が活動しうる範囲に収まるかという疑問は、あまり考えないでおこう(笑)。惑星の地下に潜む怪物達の映像も、滑らかな動きで、小振りながらも完成度の高いCGでした。映画を比較するのはあまり賢明ではありませんが、「リディック」が無駄遣いの凡作なら、「ピッチブラック」は切り盛り上手の佳作だと思いますね。リディックのキャラクター性も、こちらの方が上手く活用されていたと感じました。もう少し性格的に、いつ裏切るか判らないと言ったダーティー・ヒーローの危うさが出ていると、なお良かったのですが。実は結構良い奴という、「実は」の部分が前面に出過ぎていて、観ている側の不信感・不安感が煽れなかったのは惜しいです。しかしB級SFの秀作である事は間違いないと思います。
Sep 1, 2004
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