PR

×

コメント新着

masashi25 @ コメント失礼します☆ ブログ覗かせてもらいましたm(__)m もし…
美歩鈴 @ Re[1]:【アシュ千】 発熱 その3(終)(12/02) あやめのめさん  どうやって自分の感…
あやめのめ @ Re:【アシュ千】 発熱 その3(終)(12/02) アシュヴィンもっと素直にならないとダメ…
美歩鈴 @ Re[1]:【アシュ千】 発熱 その1(11/30) あやめのめさん  あやめのめさんが思…
あやめのめ @ Re:【アシュ千】 発熱 その1(11/30) 確かに、アシュが不機嫌になると一番の被…

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2007年01月09日
XML
「私が、姫様の御寝所で休むのですか?」
 藤姫の突拍子もない命令に、頼久は少なからず面食らった。
「姫様のご命令とあらばこの頼久なんなりと随いますが、これはいったい……」
「何も聞いてはなりません。私の言うとおりにしてほしいのです。」
 藤姫は真っ赤になりながらも、頑として頼久に命じた。
(何かご事情がおありなのに違いない。あの藤姫様がこのように頑固に。)
 頼久は何も聞かなかった。
「今宵は、私の周りには誰もいなくなります。その時、私と交代をしてほしいのです。」
(臥所の中が私ではなく、頼久にすり替わっていたときの友雅殿の顔が見たい。)

(この方は、いったいどうしてしまわれたのか。)
 命令には従うよりない。何が起こるのか大いに不安を抱えながら、頼久は藤姫の前を下がった。


 友雅も、自分の行動を自分で信じられずにいた。
(私はいったい、どうしてしまったのだろうねえ……)
 月の光が自分を惑わせたのか、それとも、藤姫自身が自分を惑わせたのか。
 御帳台に運んだあたりまでは、いつも通りちょっとからかってみようという気持ちしかなかった。
「神子様の身代わりになさるのですか?」と言われた瞬間。
 藤姫の顔が、神子に見えた。
 見えたと思ったら、もう、手は勝手に動いて、気づいたら、藤姫を貫いていた。
(あり得ない……)
 でも、現実である。

 いずれ月に帰る姫だとわかっていたはずなのに。なくした時の痛みから逃げるために、常に執着を警戒していたはずなのに。神子に感じる甘やかな感情はすべて宝珠のせいにしていた。だが、心の底、取り出すこともできない場所に、想いの種を植え付けられていた。種はいつしか芽を出し、神子という陽光を得られぬために、苦しい瘴気を放っている。
(罪なお方だ……。どこまで、私を惑わせれば気が済むのだね?)
 有明の月が青白く友雅を照らす。
 藤姫に手を出してしまった後始末もしなければならない。外腹とはいえ、左大臣家の姫君だ。このまま通い続けて、土御門の婿になるのか。
(大殿が藤姫に何か思惑があったとすれば面倒だ。)

(盗んだ責任はとらねばなるまいよ。)
 帰りの牛車の中で後朝の文をしたため、従者に持たせる。
 昼も夕も「逢いたくてたまらない、仕事が手に付かない」と恋を語る文を届ける。
 今宵は、乳母殿も心づもりをしていることだろう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2007年01月09日 21時36分13秒
コメント(0) | コメントを書く
[遙かなる時空の中で] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: