成定 竜一~高速バス新時代~
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相変わらず更新をさぼり気味なので、まずは前回の更新以降のメディア露出から。まず7月27日発売の『バスマガジン』78号。いつもの連載では、貸切バス型管理の受委託制度について解説したが、それとは別に「バスドライバーへの道」のコーナーでも大きくご紹介いただいた。監修を担当しているバス乗務員専門の求人サイト『バスドライバーnavi(どらなび)』主催による就職イベント「どらなびEXPO」で担当した講演の内容を、写真入りで取り上げていただいたもの。なお、次回の「EXPO」は、10月に名古屋、東京、大阪の3都市開催。また、7月には、バス乗務員を目指す皆さん向けの阪神バス、神姫バスの営業所見学ツアーも実施済みで、こちらの様子は9月末発売の『バスマガジン』に掲載の予定。次に、世間がお盆休みに入った8月11日の TBSラジオ『荻上チキ・session-22』のテーマが「高速道路はワンダーランド!?」ということで電話口から生出演。この番組、前回の出演はスタジオから軽井沢事故の解説であったから、今回のテーマだとずいぶん気楽。いや、事故直後のあの感覚も忘れないようにしないと。翌12日には、全国の中小企業向けビジネス情報サイト『HANJO HANJO』にて、成定のインタビュー「ニュース深掘り!訪日客、次のゴールデンルートを探せ!」を掲載いただいた。このインタビュー冒頭でご説明したとおり、インバウンドが急増する中、団体ツアーから個人自由旅行(FIT)へという旅行形態の変化と、ゴールデンルート(東京~富士山~京阪)から全国津々浦々へというデスティネーションの変化が同時に進んでいる。バス業界内の話でいえば、貸切バス事業者から高速、乗合バス事業者へと主役が移りつつある。私自身も、「社内にFIT対策のプロジェクトチームを作ったからオブザーバーとして参加して」といったご依頼をいただくなど、乗合系の事業者にFIT対策のお手伝いをすることが増えた。貸切バスを使う団体ツアー中心の間は問題にならなかったが、旅行者自身が旅程作成し、添乗員なしで個人旅行を楽しむようになると、多言語での情報提供から現場での身振り手振りのコミュニケーションまで、事業者が対応しなければならない課題も多い。また、FIT対策の重要性を薄々感じていながらも、最終的にそれに取り組もうと背中を押されるきっかけは、運輸行政や沿線自治体、空港会社などからのプレッシャーが大きな要素のようで、それだけ周囲からバス業界への期待が大きいことを示している。一方、それらの期待の中には微妙なものも多い。例えば、国際空港から観光地への直通バス路線への期待はどの地域でも耳にする。「直通バス」と聞くだけで、45席満席のバスが到着する映像が、関係者の皆さんの頭の中で自動的に投影されるらしい。しかし、それは「貸切バスを使う団体ツアー」の映像だ。国内旅行でもそうだが、催行日が限定され、また最少催行人員未達時にはツアー自体が中止になりうる団体ツアーでは、各バスの乗車率は常に高い。バスが1台到着すれば、黒山の人だかり状態になる。だが、原則として毎日運行し、各便の乗車率は高くないけれど継続して事業を行うことで安定した収益を目指す高速バスのビジネスは、乗車率も高くないし、リスクの大きい挑戦を嫌う。自治体や観光協会の皆さんが期待するほどの人数は送り込まれないし、事業としても成立しない。だいいち、個人客が空港から観光地へ直行するだろうか? 私たち自身の海外旅行を考えれば、国際フライトの遅延リスクの大きさを考え、到着日は空港近くの大都市に宿を取ることが多い。帰国前夜もだ。遅延時にプロの添乗員が面倒を見る団体ツアーなら、時間が惜しいので空港から貸切バスで有名観光地へ直行のケースが多いのと対照的。全国で、国際空港から観光地への直通バスは苦戦している。もっとも、例外もある。周遊型旅行ではなく滞在型旅行の目的地の場合は空港からの直通便は重要だ。日本人の海外旅行でいえば、欧州周遊ならばド・ゴール空港inで初日はパリ市内泊だが、南洋のリゾートに1週間滞在ならば空港から直行する。日本で滞在型として成立しているのは、ニセコや白馬などのスキーリゾート。だから、新千歳~ニセコや成田~白馬の成功を見て、一般的な観光地が「ウチの地域にも空港から直通便を」と気軽に期待するのは勘弁してほしい。そのような観光地は、むしろ、お隣の観光地との周遊回廊(コリドー)形成に注力してほしい。まあ、お隣の観光地どうしの仲の悪さは定番だが、それは国内客をお隣どうしで奪い合っていた時代の名残でしかない。一方、業界側にも考えるべき点は多い。よほどのバスマニア?でない限り、「日本中を高速バスで旅行しよう」と考え、googleで「高速バス 日本」と(もちろん母国語または英語で)検索する外国人は多くあるまい。むしろ、高山や高千穂といった、自身が興味を持った特定のデスティネーションに向けてはバスが便利だとガイドブック等で知って、特定の観光地へのバス便の情報を知ろうとするはずである(NYCからナイアガラへのバスのダイヤを知りたい人が「高速バス アメリカ」と“ざっくり”検索しないだろう)。地元観光地名で検索された際にバス(大都市からの高速バスも、地元駅から観光地への路線バスも)の情報をお見せできるよう、自社サイトの多言語対応(まずは最低限でいい)に取り組んでもらいたい。外部の予約サイトの活用自体は重要だが、それで終わらないように願いたい。繰り返すが、団体ツアーでゴールデンルートを駆け抜ける旅行は個人旅行へとバラけ、同じ個人旅行でも「JAPAN RAIL PASS」を使い全国を漫遊する旅行から、リピート化とともにデスティネーションは細分化されつつある。今はその流れに右往左往する姿も見られるが、いつしか、全国の乗合バス事業者が当然とばかりにFITを受け入れるようになってほしい。そう願うのは、それがバス業界では数少ない重要な成長余地であるという理由とともに、多くの外国人が自分の国を訪れ、満足してくれることは誇らしいと思うから、でもある。
2016.08.22
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