全7件 (7件中 1-7件目)
1
今回の北海道出張は、金曜午後に札幌でアポイント数件(実は本当の目的はその数件のアポよりも、土日の「ノースライナーみくに号」、帯広のシティリゾート「北海道ホテル」、「とかちミルキーライナー」ではないのかというツッコミは無視)。午後イチの札幌アポに最適なフライトは、ANA系だけ見ても羽田発9:00、9:30、10:00と30分間隔で高密度だ。3週間ほど前に、楽天トラベルとANAが展開するダイナミックパッケージ(DP)「ANA楽パック」で検索すると、9:00発より9:30発の方が数千円安かった。10:00発はさらに数千円安く、9:00と10:00では1時間違うだけで1万円近くの差がある。時間の制約が少ない私は当然10:00便を選んだ。そして当日、少し早めに羽田に着いたところ(早く着いた理由は、わざわざ遠回りして、かつ便数の少ない武蔵小杉~羽田線に乗ったからでは、というツッコミも無視)、9:00発は空席少し、9:30は満席で出発した模様。10:00は表示では「○」だったが、それでも搭乗率90%近いか。インバウンドの団体、国内系旅行会社の募集もの、小さな学生パーティ、出張客、それに個人のプレジャー客と雑多な機内。国内線で初めて聞いた中国語アナウンス。隣席は私と同様、ひたすらPCに向かう出張客。一方、前席のおばあちゃん3人連れのうち2人は、飛行機そのものが初めての様子。といった多様な顔ぶれだ。見事なレベニューマネジメント(RM)ではないか。出張が決まって検索をした際、3便ともまだ空席は多そうだった。それでも、その時点から1万円の差がついていた。最人気の9:00便は高単価でほぼ売り切り、私のような「日和見」組を10:00に誘導(その結果、10:00便が早くから満席だったら「安売りし過ぎ」なのだが、見事に若干の空席が残っていた)。RMの結果を評価するのは難しいが、仮に「9:00便の単価を1万円上げた」と考えれば(※実際には1万円の運賃差はANA楽パック上の話で、販路により運賃差は異なるので、単価アップ額は1万円ではない)、1万円×500席で片道500万円の売上(ほぼイコール利益)アップだ。あるいは、「日和見」組が10:00便に移ってくれたことで「どうしても9:00便に乗りたい」乗客を受け入れることができ、JAL系への逸走を防いだと見ることもできる。RMを、「乗車率(航空の場合は搭乗率)が上がるのに合わせ運賃を上げていく」とか、全く逆に「売れ残った席を値下げで売り抜ける」とかいう手法だと理解している人がたまにいるが、そうではない。データ分析(と多少のヤマ勘)により予測した最終的な乗車率をベースにロジカル(論理的)に運賃をコントロールすることで、収益最大化を実現することこそRMの目的だ。そのために必要なものは何か。巨大システムか。いやそれ以前に欠かせないもの。乗客の心理を読む力である。読もうとする意志である。例えば、高速路線バス事業者とRMの話をしていて、よく出てくるのが「早期購入割引」の話だ。ANAが「早割」というインパクトある商標で定着させた感のある早期割引だが、ではなぜ「早いと安い」のか。なぜ「遅割」ではいけないのか。上で私は「1万円安かったから10:00便を選んだ」と書いた。だが、私はきっと特殊な客だ。ふつう、出張客は会社の経費で出張する。どんな細かい上司でも、いちいちサイトで検索して、<1時間遅い便なら1万円の経費削減になる>と小言は言わないだろう。一方でプレジャー客は自腹だから価格に敏感だ(その意味で、会社経費も事実上は個人の財布である私は本質的にはプレジャー客に近い)。そして出張客は直前に予定が決まる(リードタイムが短い)が、プレジャー客は事前に予定を合わせ休暇を申請するなどリードタイムが長い。また出張客は会議の予定などにより特定の便に乗る必要性が大きいのに対し、プレジャー客は運賃差によっては時間帯はおろか行先さえ変えることができる。つまり、先に割引運賃(旅行会社に対する団体運賃も含む)を提示することで、行先や時間帯を迷っているプレジャー客である程度まで搭乗率を上げたうえで、最後の最後に出張が決まるビジネスパーソンを高い運賃で狙い撃ち、トータルで収益を最大化するというのが「早割」に象徴される「右肩上がりの運賃曲線」の発想だ。それは高速バスでも有効か。結論から言えば、「路線による」。鉄道などとの競合が少ない路線(東京~伊那飯田、大阪~津山など)か、競合がある路線(東京~松本、大阪~岡山など)かによって異なるだろう。前者では航空と同様の「右肩上がり」が通用するのに対し、後者では難しい。後者の路線を利用している出張客は、大雑把にいえば鉄道運賃で出張旅費を精算し、実際には安い高速バスを利用することで差額をポケットに入れているケースが多い。当然、運賃差が小さければ遅延などのリスクを負って高速バスを選ぶインセンティブは小さくなる。<最後の2日間の予約は出張客がほとんどだから高く取れるよ>というわけにはいかない。そんなことを、各社はこれから理屈で学び、体験してまた学ぶことになろう。さて、出張にかこつけた北海道小旅行も間もなく終わる。念願の「ノースライナーみくに号」にも乗車でき満足。一方でなんとなく物足りないのも事実だが、それは金曜に札幌で飲みすぎ二日酔いが残ったことだけが理由ではないだろう。思えば前回、北海道を訪れたのは昨年11月。「高速バス・マネジメント・フォーラム2011」を終え休暇を取った時だった。不眠不休でのフォーラムの準備とホスト役としての当日の気遣いから溜まった疲れを心身ともにほどいていく旅で、解放感も格別だった。今回は出張ついでとはいえ大して解放感を味わえなかったのは、最近の仕事にハードさが足りないことの裏返しだろう。仕事が少し軌道に乗ったことに甘えていないか。<次に来る時、お前は何を成し遂げ、どんな疲れを癒しに来るのか>。十勝の大平原はマイナス10度。凍てつくほどに透明感を増すこの地の空気から、まるで自分が試されているような気がした。
2012.01.29
コメント(2)
本日夕方のテレビ朝日『スーパーJチャンネル』で、高速ツアーバスの集合場所問題について、事前収録でコメントを紹介いただいた。私自身のコメントは2本だけだったが、報道自体は思ったよりも「尺」は長く、3分くらいだっただろうか。17時台の放送だったので首都圏ローカルだったはずだ。番組は、新宿西口にバスと利用者が輻輳している映像をまず紹介。大声で利用者を誘導しているセンディングのほか、自身の集合場所がわからず焦る利用者や、実は1台、横断歩道にはみ出して停車(厳密にいうと集合場所に配車する前なのだが)している映像も映っていた。以前、フジテレビ『スーパーニュース』で紹介いただいた際もそうだったが、いつもは高速路線バス事業者とのお付き合いが多い私も、この時ばかりは高速ツアーバス連絡協議会顧問という立場に戻り(?)、正直ヒヤヒヤする。ましてやニュースのタイトルは「高速ツアーバス急増で困惑」。が、途中で、<そのような状況を受け、業界団体(高速ツアーバス連絡協議会のこと)では、監視員を配置し…>と、制服姿の監視員の姿が映し出された。そして、<高速ツアーバスは、道交法などの制約で公道上にバス停が設置できないのだ>。さらに国交省が2011年度中に規制を変える方向性であることを伝え、<それが実現することで、お客様がよりわかりやすく、安全にご乗車いただけるようになることを期待しています>という私のコメントで結んでいただいた。上記『スーパーニュース』の時もそうだし、その報道のきっかけになった『東京新聞』の1面トップ記事もそうだが、<高速ツアーバスは、バス停が設置できない>という論理がベースになり、<それはおかしい(実態に合っていない)から、設置できるようにする>という方向性で伝えられている。タイトルにあった「困惑」とは、高速ツアーバス各社の側が、バス停を設置できないことに「困惑」しているという意味だったのだ。もしかしたら、その論理に対し、高速路線バスの関係者には、<いったい何を言ってるんだ!>と怒る方もいらっしゃるかも知れない。路線(乗合)バス以外はバス停が設置できないのは当然だし、バス停がないにもかかわらず都市間を走るのはけしからん、と。もちろん、一つの考え方として十分に理解できる。私自身も数年前まではそう考えていたのだ。しかし、それならばなぜ意に沿わぬ報道が続くのか、一歩引いて考えてほしい。あるいは今回の「新高速バス」制度や、もっと言えば2006年に発出された高速ツアーバスを容認する通達類など、行政の方向性が「ツアーバス寄り」だと批判するなら、いったいなぜそうなのか、視野を広げてみてほしい。仮に、だ。よく東京電力批判の際にステレオタイプに言われるのと同様に、例えば高速ツアーバス各社が放送局の大クライアントだとか、官僚の天下り先になっているだとか、あまり自慢できない理由でそのような報道がなされ、そのような行政がなされているのなら大いに批判すべきだが、(東電の場合は知らないが、少なくとも高速ツアーバスの場合は)逆立ちしてもそのような事実は出てこない。どちらかと言えば、むしろ「体制」に近いのは既存事業者各社である(現実に、本日も上記ニュースの「CMまたぎ」中のCMはJR東日本のものだった。本当にタマタマだと思うが)。(高速ツアーバスの集合場所の現状に問題があることは事実ではあるが)、価値観というのは一つではないことを、上記のような報道を機に理解いただきたい。自分たちの従来の価値観をクリティカルに見つめなおし、よりよい将来をたぐりよせるための複眼的思考に取り組んでいただきたい。特に、集合場所の問題を「既存側」が指摘することは非常に大きなリスクがある(まあ、自ら返り血を浴びてでもツアーバスに打撃を与えたい、というほど執念的なら別だが)。非公式な場はもちろん、公式な会議の場でさえ、高速路線バス各社の多くの経営者クラスが、横で聞いていてヒヤヒヤするようなご発言を繰りかえしている。2002年、道路運送法改正により路線(乗合)バスの需給調整が撤廃された時点で、公式には「路線権」「バス停の権利」という概念は消えた。だが(意図してかどうかは別として)それでも事実上は「バス停の権利」が温存された。しかしそれはあくまでも「実態として」である点が、2002年以前と大きく異なる点である。現実に東北地区では、新規参入者による駅前ロータリー内のバス停設置を既存事業者がずるずると先延ばしした件に関し、公正取引委員会から既存事業者に対し極めて厳格な処置が採られているし、それ以降、既存側は、運賃値上げ等に際し他路線とは異なる運用を余儀なくされている。既存の路線バス事業者にとってバス停は「先祖代々受け継いできた己が領地」だと感じていることはよく理解できるのだが、だからといって現在の世の中で藩主の末裔が先祖の領地を指して「我が家の土地」などと公式な場で発言すれば必要以上の反発を受けるであろうことは、リスクとして明確に理解しておいていただきたい。なぜそんなことを書くのかと言うと、この件に関しては「ツアーバス側」である私も、日ごろは高速路線バス事業者各社のお手伝いをするコンサルタントの立場であるので、我がクライアントのリスク管理のためである(すいません、わかりづらい構図で…)いずれにせよ、高速路線バスが「新高速バス」に自動的に移行される省令改正は間もなくだが、次に高速ツアーバスが「新高速バス」に移行するためにはバス停の確保が不可欠だ。かなり「重い」仕事であることは間違いないが、我が国の高速バスの将来にとって大きな転換点。そのお手伝いができることを心から感謝している。
2012.01.23
コメント(0)
昨日まで4泊の出張は、火、水、木と地図に一筆書きするようにうまく日程を組めた。西に行くのだからせっかく、と、金曜は周辺の路線バス事業者に営業を兼ねご挨拶に回り、大阪泊で予定を組んだ。大阪泊としたのは、暗くなってから無愛想な新幹線、それも金曜夜の混雑のなか帰るよりは、1泊して誰かと飲んで土曜は高速バスでも乗り継いで帰ろうかなあ、程度のつもりだった。さあホテル勤務時代の上司にでもおごってもらおうか、翌日はどの路線を選ぼうかなど考えていたら、出張に出る直前におあつらえ向けに大阪から電話があった。あまり規模の大きくない、ある高速ツアーバス企画実施会社の担当者。楽天勤務時代から、営業にお邪魔すると必ず夜は食事に誘い誘われ、取引先(または取引先候補)というより「友人」「兄貴分」と呼びたい人物が全国にいる高速路線バス事業者達とちがい、意外かもしれないが、高速ツアーバス企画実施会社で、個人的に飲みに行くような相手は実はあまり多くない。彼はその少ない一人だ。多くのツアー各社にとって私は、売上の多くを握られているうえに(私が楽天を辞めた今ではもう関係ないのだが)、営業面では単価アップの話ばかりされ、運営面では協議会を作って集合場所問題など小言ばっかり言うは、最後には制度改正にかかわり「お前ら旅行会社からバス会社になれ」と生き様まで変えさせられるは、あまり親しく話ができる相手ではないことだろう。とはいえ、彼ら一人ひとりの人生にとって重要な局面にあるのも事実。もともとバスを持つ会社ならともかく、純粋な旅行会社、それも決して規模が大きくない会社にとって、今回の制度変更は会社の存亡に直結する。うまいお好み焼きをごちそうになりながら、ハラを割って話せたことはよかった。本来なら、個人的にさほど親しくない他の会社とも、これくらい話し合うのが本来の(「ツアー陣営」顧問としての)私の役割なのかも、とちょっとだけ感じたが、「路線陣営」各社からいただく仕事でいっぱいいっぱいなのも事実だし…お好み焼きの後は当然のように、高速ツアーバス各社が集合場所として活用する梅田プラザモータープールへ。新宿や東京駅にはなるだけ顔を出すようにしているけれど、また、大阪の各高速路線バスのターミナルには何度となく行っているけれど、出発時間帯のプラザは実は初めて。正直「アウェイ感」ありありでプラザに入った瞬間、センディングの「ドン」が私を見つけて右手を差し出しながら笑顔で近づいてきてくれた。会社の売上(ほぼイコール私の給料)も割いている時間も、8割以上は「路線陣営」である今の私だが、また上に書いたように決して高速ツアーバス各社にとっては親しまれる役回りではなかった私だが、忙しいなか歓迎してくれたことに深く感謝しながら固く握手。それにしても、出発時間帯のプラザは初めてのはずなのに、どこか懐かしい。一つには、当然そこに出入りするバスは、楽天勤務時代に一緒に成長してきた取引先各社のもの。昨年2月に楽天を離れてから1年弱、協議会から顧問の仕事をもらっている以外はほとんど全て高速路線バス事業者とのお付き合いだったが、入線してくる車両を見ると、それぞれの会社の経営者や担当者の顔まで浮かんでくるようだ。いつの間にか新車が入っていたりカラーリングが微妙に変わっていたり、これまでなかったナンバープレートがついているものも多く、<また営業所を新設したのか>と、あらためて各社の成長力に感心した。だが、こみ上げてくる懐かしさは、1年前までの、楽天勤務時代への郷愁だけではない。むしろ、20年近く前の、京王の新宿高速バスターミナル(通称「西口」)でのバイト時代の思い出が浮かんでくるのだ。いやもちろん、ここには、さほど難しいとは思えない車庫入れに苦戦している乗務員がいたり、走り回っているセンディングのみんなも、茶髪もロン毛もいたりする。私が「西口」で着せてもらっていた、肩章付きのいかめしい制服(その色合いから、みんな親しみを込めて「チャバネゴキブリ」と呼んでいた)とは似ても似つかぬ、ラフなジャンパー姿である。プラザと「西口」とを一緒にするなと言う人もいるだろう。いや、バイト時代の私が今いたら、間違いなくそう怒ったことだろう。一方、そのセンディング一人ひとりの真剣さは、充実感に裏付けされた目の輝きは、間違いなく当時の「西口」バイト連中と共通だ。今の「西口」をどうこう言う気はないが、全国の高速路線バス事業者を回っていて、特にターミナルのスタッフ達の「目が寝ている」のは、高速バスターミナルの一OBとして少し不満に感じていたところだ。もっとも、背景を考えれば当然なのかもしれない。私のバイト時代はいわゆる「高速バスブーム」の最後の時期で、高速路線バス各社は新路線、増発改正のラッシュだったのだ。今思えば、昨日より今日の方が忙しい、今日より明日の方が忙しいという恵まれた環境に、私達はいた。その恵まれた環境は、今はこのプラザモータープールにある、ということだ。たまにお邪魔する新宿のセンタービル前あたりもそうだ。全夜行便を出発させ終わった後のミーティングは真剣で、充実感が溢れている。「西口」近くの居酒屋「つぼ八」で当時のバイト連中が夜な夜な開いていた「ミーティング?」での議論を思い出す。今の私の原点は、間違いなくあの「つぼ八」でのミーティング?にある。もしかしたら20年後、プラザやセンタービル出身のコンサルタントが現われて、私の仕事を奪っていくかもしれない。さて土曜はどう帰ろうかと迷いながらの出張中、今度はメールが届いた。<土曜は(個人的に)某高速路線のヒュンダイ車に乗りに行くけど一緒に行く?>。首都圏の別の路線バス事業者の高速バス担当者。あわてて金曜の宿泊を新大阪近くのホテルに変更し、土曜は6:47発の新幹線。まだ薄暗い中ホテルを出て新大阪駅まで歩いていると、新宿から到着した京王の夜行便が交差点を折れてきた。小雨に濡れた白い車体がキラリと光り、思わぬ出会いに、何とも言えぬ懐かしさともに、何かを訴えかけてきた。
2012.01.22
コメント(0)
本日付の『日本経済新聞』朝刊、埼玉・首都圏経済面で、「高速バス料 細かく設定 工房、予約システム 規制緩和にらむ」として、「発車オーライネット」のシステム改修の方向性が紹介されている。実はいま私は4泊5日の出張中でこの記事も某社の高速バス車内で書いており、日経の記事もメールで送っていただいたものを見ているだけだが、この出張中にお邪魔している高速路線バス各社の反応も、さらにこの記事を読んでも、まさに「いよいよ」という感じ。今日これから、そして明日お邪魔する事業者でこの記事の話をすると思うので、さらに各社の意識は高まることだろう。思うに、夜が明ける前に、東の空がぼうっと明るくなってくる、あの感じだ。 「発車オーライネット」のような高速路線バスの基幹システム&自社予約エンジンにとって「新高速バス」制度と直接関係するのは、運賃制度の柔軟化、ということになる。新制度では、「基本運賃」と、それから50%以上の割引とならない金額で「下限運賃」を届け出て、その間であれば事業者側の判断でリアルタイムに運賃を変動させることができる。と、この話をする際には、現行の運賃制度について説明が必要だろう。現在でも、高速バスの運賃はいわゆる「軽微運賃」扱いなので、例えば社会的に明らかにおかしいとか、公正な競争を阻害するといったケース以外では、ざっくり言うと事業者側が届け出た金額がそのまま適用される。早期購入などの営業割引も同様だ。つまり現状でも実はかなり自由度が大きい。ただし、変更するたびに事前に届出をしないといけない。その点は、たしかに高速ツアーバス(募集型企画旅行)に比べて負担も大きい。それが、上記制度に変わる。だが、国が決めるのはレギュレーションだけだ。その運用方法までは「お上」は教えてくれない。例えて言えば、いま野球は「3アウト」でチェンジだ。それが「4アウト」でチェンジという風に仮にレギュレーションが変わったとする。今では、1番バッターが塁に出れば2番はバント、が常識的な戦い方だろう。「3アウト」制での長年の経験から、それが最も得点の確率が高いことがわかっているからだ。一方、「4アウト」制になったら、2番はヒッティングに出るのがいいのか、3番もバントして走者を3塁に送った方がいいのか、仮説を立て実際に試し、経験を積んで、常識的な戦い方を見つけ出していかねばならない。ではこの「幅運賃」制度導入により、高速路線バスでもレベニューマネジメントが可能になった場合、どんな動きがあるだろう? 運用の幅は50%までと制約があるわけだから、レベニューマネジメントの効果を最大化するためには、基本運賃額を若干値上げすることになろう。例えば現在片道4000円の路線があれば、基本運賃額は5000円くらいにすべきだろう。ただし、基本運賃額が適用されるのは年末年始などの最繁忙日の、しかも最繁忙時間帯だけだ。現状で「おおむねよく乗っている」便は今まで通り4000円。「乗っていない」便については、2500円を下限に値下げをすることができる。さらにそれをリアルタイムに変えられる。いったん5000円を付けた便も、「貸切バス型管理受委託」の活用で思ったより続行便の台数が手配できたら、その時点で4500円に値下げできるのだ。新しい戦い方を身に着けるためには、当然、レベニューマネジメントに関するちゃんとしたロジックを学んでいただかなくてはならない。「どんぶり勘定」で運賃変動などやったら、意味のない値下げ合戦などが起こるだけだ。ただ、そのロジックはこのブログに書けるほど簡単な内容ではないし、ここに書いてしまったら私のメシの種がなくなってしまう…もっとも、その手前の段階で、「発車オーライネット」など基幹システムの改修に当たり考えておくべき点は山ほどある。レベニューマネジメント概念に基づく運賃変動を行なうとして、高速ツアーバス各社がやっているような1円単位で金額をシステムにベタ打ちする手法か、または何段階かの運賃帯を開け閉めする手法を選ぶか。そしてそれを現場のオペレーションに載せていかねばならない。変動運賃をウェブ予約ウェブ発券に限定すれば現場の混乱は少ないが、わずか数%の乗客のために人材を張り付けてレベニューマネジメントをするというのは明らかに無駄だ。いつかは、車内発券も含めて対応することになろう。さらに、運賃変動を導入すると往復割引の扱いが非常に難しくなる。そのため高速ツアーバス各社は運賃変動導入とともに往復割引を廃止した。だが紙の回数券は無くせないだろう。紙の回数券には、単なる割引という以上の様々な意味があるからだ。乗車便変更の扱いも難しい。当面は変動運賃の場合は便変更をいっさい受けず、払戻し再購入をお願いするしかないだろうが、多頻度昼行路線において便変更不可というのは自らの強みをわざわざ否定しているようなものであり、これもいつかは差額徴収で変更可能という風に持っていかないといけない(なお払戻し手数料は100円ではなくなる)。さあ、途中バス停の車内でどうやって差額徴収対応するか? 現在の乗越精算とは比べ物にならない複雑さだ。運賃はリアルタイムで変動しているのだから。そして子供運賃は? 障がい者割引は?記事にあるように、「発車オーライネット」や「SRS」などの基幹システムは、まずは初年度、最低限の改修を行ない、実際のオペレーションや収益改善効果を見比べながら、何年もかけて完成に導くことになろう。数年後、中央高速バスや九州内路線のような多頻度路線の運用がどのように変化しているか、想像するだけでドキドキする。さあ、私が乗っている某社の高速バスも、橋を渡ってそろそろ終着。土曜日には横浜に帰り、来週は金曜から札幌。所用が一件あるだけなので、土日は休みにして「ノースライナーみくに号」(旭川~帯広)と、お気に入りのシティリゾート「北海道ホテル」を満喫する予定。ただ翌月曜日が「バス事業のあり方検討会」だから、帰りの飛行機が大雪でキャンセル、なんてことだけは無いよう祈りながら、かの地の透明な空気が今から待ち遠しい。
2012.01.19
コメント(4)
本日付『東京交通新聞』の第3面がめいっぱい「新高速バス特集」で、当社も簡単な広告を出稿させていただいた(同紙は上記リンク先から500円で購入、ウェブ閲覧可能)。「ユニークサービス花盛り 新高速バス移行へ活気」として、ウィラーの「コクーン」、海部観光の「マイ・フローラ」、そして富士急行の女性専用車が紹介されている。また、ずっとこの問題を追いかけている竹之内記者による記名の「解説」も。まずは高速ツアーバス各社にとって、「安全」こそが新高速バスへの移行の最大のハードルである旨。続けて、<国土交通省の担当官は、新高速バスにシフトした場合の既存会社の変革のキーワードについて、・価格のレベニューマネジメント(航空会社やホテルで利用されている需要動向に応じた的確な供給・価格管理) ・直営とアウトソーシングのバランス(品質を落とさずに他社車両を使う知恵、強みと弱みの分析とそれを補う業務パートナー選び) ・予約サイトやウェブマーケティング展開、と提言している>とした上で、解説は、<これまでの共同運行による高速路線バスから脱皮し、今までにない展開を生み出す革新が路線バス会社には求められている>とまとめている。何度も繰り返すが、高速ツアーバスは全国の高速バス市場の中でせいぜい5~6%のシェアを占めるにすぎない。そしてそのほぼ全てが300km超える長距離路線であり(当然、ほとんどが夜行便)、さらに7割以上が首都圏~京阪神、名古屋、仙台の3路線に集中する。逆に言えば、高速路線バスの「本丸」である地方路線、特に多頻度昼行路線においては、今のところ高速ツアーバスの進出は極めて限定的だ。そういう前提で高速路線バスの商品性を見渡すと、高速ツアーバスの直撃を受けている大都市間、夜行路線では、多様な座席タイプや繁閑別運賃など(過剰反応から来る極端な値下げも含め)その商品性が限りなく高速ツアーバスに近づいている。一方で地方、昼行路線においてはその動きは大きくない。しかし今回の制度改正は、系統長50kmを超える路線に(それ未満でも条件を満たせば)適用される。本質は実はここにある。高速ツアーバスが参入しやすかった長距離、大都市間路線では、既存側も高速ツアーバスの動きに食らいつき、両者とも「第3フェーズ」化が進展。その結果、高速バス市場全体では大きく伸長した(首都圏~仙台はここ5年で5倍弱。首都圏~京阪神でも2倍)。だが地方、短中距離路線では競争が生まれず、「本丸」になかなか変革が起こらない。強引かも知れないが、先に「外科的手術」を行ない制度を変えてしまうことで、その種の路線にも変革を導こうというのが、本質的な理解である。逆に言えば、既存組がこの制度をうまく活用せず(または活用できず)何の変革も起こらなければ、時間がかかっても高速ツアーバス(厳密には「移行組」の新高速バス)がその種の路線に徐々に浸透し、「既存組」は、いつかはあわててそれに対応することになる。先に対応し新規参入の余地を埋め尽くしてしまうのが得か、変革を先延ばしにして強敵が現われてからあたふたするのが得か、答えは明白だろう。<レベニューマネジメントなんて言うけど、既存事業者はそんな新しいことはできないよ>という意見も聞く。しかし、たまたまホテルでレベニューマネジメントを担当したことのある私が、楽天トラベルとして高速ツアーバス各社を集め、<楽天のシステムを改修したから皆さんレベニューマネジメントを導入してください>とそのノウハウをレクチャーした際、反応のほぼ全てが、<バスには向いてないよ>というものだった。わずか4年前の話だ。だが手取り足取りノウハウを伝え、流れが一度起こればあっという間に定着した。制度上は価格変動は自由だったとはいえ、紙のパンフレットで売っていた時代には価格のリアルタイム変動など技術的に無理だった。しかし販売側が技術的に対応し、かつノウハウを注入する者がいれば定着に時間はかからなかったのだ。もちろん、その過程で、楽天のスタッフも、実際に運用する高速ツアーバス各社の担当者も多くの試行錯誤をした。「高速バスのレベニューマネジメント」など誰もやったことがなかったから当然だ。これから私は、高速路線バス各社やそのシステム会社達とともに「多頻度昼行路線のレベニューマネジメント」という、誰もやったことのない新しい取組に挑戦する。それだけのことだ。アウトソーシングも同様だ。特に大都市の大手私鉄系事業者は貸切バスの減車を進めており続行の設定能力が落ちている。しかし既存路線が繁忙期に満席であることは、同区間への新規参入を容易にする。高速路線バスの予約センターやターミナルのスタッフには、帰省ラッシュの夜行便を1~2週間前に申し込むお客様に、<いやあ、1ヶ月前に買いに来てもらわないと…>と、既に満席であるのが誇らしいかのように断った経験が一度はあろう。今後、そのロストビジネス(満席等の理由で、せっかく購買意欲があるお客様を断ること)はそのまま新規参入の脅威につながる。「貸切バス型管理受委託」に一定のカタチ(ノウハウ)が定着するには時間がかかるだろうが、挑戦と試行錯誤が無ければ何も生まれない。そんな中、上記国交省の担当官による「提言」の3つ目、「予約サイトやウェブマーケティング」には進歩があるようだ。昨年末から、楽天トラベル上には、南海バス東京線と戸塚線(後者は江ノ電バス藤沢と共同)、京成バスと奈良交通による千葉~奈良線、小田急シティバスと下津井電鉄による東京~岡山線、そして西武観光バスと西鉄高速バスによる埼玉~福岡線など高速路線バスが続々登場している。もっとも楽天に席を出せばさえ簡単に売れるものではないし、ウェブマーケティングとは予約サイト活用のみを指すわけでもない。「提言」どおり課題は明白なのだ。初めてのことに挑戦し失敗するのは、正直、私も怖い。だが課題を乗り越え高速バスを成長させるには、皆で試行錯誤を繰り返すしか道はない。
2012.01.09
コメント(0)
『観光経済新聞』からご指名いただき、「新年第2号~観光立国の実現は、地方(地域)から~」の「オピニオンリーダー24人に聞く 地域観光の課題とビジョン」に寄稿させていただいた。新年早々、大変光栄な話で心から感謝する。実は、私がホテル勤務時代に「楽天トラベルが高速バス予約事業参入へ」の記事を目にしたのが同紙(それ以前に日経のベタ記事でも読んだが)。<もしかして自分の仕事?>と最初に感じ、その後、<なんだ、ツアーバスか。楽天も道を間違ったなあ>→<待てよ、「将来は高速路線バスも取扱う」とあるぞ>→<いや、最初にツアーバス扱ったらもうダメでしょ>→<いやいや、ホテル側として、そのビジョンと実力を痛感していたあの楽天。面白いことになるんでは?>と心が揺れ続けた1週間が懐かしく思い出される。さて同紙の読者層は、まずは旅館。次に旅行会社、ホテル、その他観光関係者といったところだろう。そしてその比率は微妙に異なりながらも、ほぼ同様の読者を対象としたメディア(新聞、雑誌)が複数存在する。今の会社を作って1年にならないのに、それらには何度もご紹介いただいたが、今回、書く立場になってあらためて感じたことは、高速バスは本来、観光産業における重要なプレイヤーであり、ましてや貸切バスは欠かせない存在であるのに、ではどれだけのバス事業者がこの種の媒体に目を通しているか、という点。私自身はホテル勤務時代以来、本音では「既存」の旅行会社のことをあまり好きではないが、既存旅行会社の仕事のやり方に反発はあれど、それは重要なパートナーという前提あっての話。楽天トラベルなどの成長の背景に、ホテル側の既存旅行会社への心理的反発があったと個人的には信じているが、ということはホテルは(旅館はともかく)自らの手で既存旅行会社の対抗馬を育てつつあるとも言え、つまりは同じ産業内での牽制関係が成立している。それにより既存旅行会社も変化しつつある。「搾取」とばかりに旅行会社を悪者視し非難するばかりのバス事業者の姿勢は理解に苦しむ。バス事業者は観光産業(インバウンドを含む)の重要なプレイヤーであるという自らの立ち位置を思い出すことが必要だ。もう一つ感じたのは、いつも書いていることだが、このような専門メディアの存在の重要さ。バス産業の右隣が観光産業だとすれば、左隣のタクシー・トラック業界にも数多く存在する。バスにそれがないのは、事業者数が極端に少なくメディアが事業として成立しなかったからだろう。需給調整撤廃後、貸切バス事業者や高速ツアーバス企画実施会社は相当増加したが、その時点ではもう紙の時代ではなくなっていた、というめぐりあわせか。もっとも、メディアがあれば業界は安泰かというととんでもない。特に旅館業の状況は大変厳しい。同紙でも「宿泊業の倒産は過去最悪に」とある。一方、総客室数でホテルが旅館を逆転したという話もあり、全体的に見れば苦戦しているのは特に旅館業だ。理由は多様だが、大雑把にいうと2点。個人経営が多くを占め、本当の意味での「経営」ができていなかった点と、既存旅行会社への依存度が大きく、環境変化に対応できなかった点だ。後者についてはさらに2つに分類できる。まずは高度成長期からバブル期までの社員旅行に代表される団体旅行への過度の依存だ。旅行形態は確実に団体から個人へシフトしているが、一気に人数を稼ぎ飲料等の売上も伸びる団体の仕事を忘れるのは難しいのだろう。多くの旅館は個人客の変化にも対応しなかった。個人客も旅行会社に依存していたが、いくらプロとて旅行会社のスタッフが全ての宿を隅々まで知り尽くしているはずはなく、客には旅行パンフレットと旅行業基幹システム上のわずかな情報量を元に説明するしかない。当然、あまりに個性の強い宿は扱いづらい。どの温泉のどの宿に泊まっても金太郎飴になり、旅行以外にも様々なエンターテイメントが生まれる中、旅館業は埋没していった。そこにウェブが登場した。従来のパンフや旅行業基幹システムとの最大の違いは、ページ数や画像数などの制約がなくなり情報量が増加した点と、さらにその情報を宿自身が入力するようになった点だ。その結果、変革の意思ある宿は食事やサービスのあり方で思い切った個性を打ち出せるようになった。旅館業全体が苦戦する中、そうした宿は大変好調である。遠方からの送客に頼るため既存旅行会社に依存しきった旅館も、逆に地元客を対象とするため旅行会社をコスト元と見て避けてきた高速バスも、どちらもウェブの登場により、多様な、また個性的な「とんがった」商品づくりが求められている点が興味深い。共通の課題は商品づくりだけではない。上記リンクから、掲載号の紙面を全て見ることができるが、見出しだけをピックアップしても、「観光振興でニッポンの再生を」などの総論から、「金融機関と上手に付き合うには」「業界感覚ではなく、数字で示せ」「拡大を続けるネット経由の販売比率」といった経営、運営の各論までそのままバス産業にも当てはまるものばかり。結局、この国のあらゆる産業が、いま同じ変革を求められているのだろう。一例を挙げれば、自分たちが「伝統と格式」の象徴と誇ってきた「食事の部屋だし」は、外食に馴れた最近の客から見れば、冷めた料理をメニュー見本のように卓上に勝手に並べられ、お酒のお代わりをオーダーするタイミングにも気を使い、食後には布団敷きが待っているため追い立てられるようで、くつろぎ感は実は居酒屋以下ではないかと、誰か自問しただろうか。一方で名門意識と縄張り意識だけは強く、隣の宿や観光地とは協力し合えない。ところが全く異なる手法で低価格中満足を実現する旅館チェーンが進出すると聞くと、黒船襲来とばかり攘夷論で結集するところまでどこかの業界にそっくり。それでも老舗ながら思い切った変革に取り組めている宿もあり、彼らがその苦境から何を学びとるか、「お隣さん」として心から応援するとともに、彼らの変革を私達も学ばせていただこう。
2012.01.05
コメント(0)
謹賀新年。会社勤めなら社内の各部署に新年のあいさつ回りに忙しいところだろうが、今の私は全てを一人でやっている身。初仕事は12月分の領収書を整理することだった。さっそくだが、本年、高速バス業界の動きの軸は、目前に迫った高速バスの制度改正だろう。1Q(3月まで)に省令改正、2Q(6月まで)をメドに施行というイメージか。実際の対応としては大きく2つに分かれる。「既存組」の高速路線バス会社にとっては、理論上は省令や通達が施行された時点で新制度の恩恵を受けることができる。グループ内の貸切バス事業者に運行管理委託を行なう、という軽微な例は夏の繁忙期にでも実現するかも知れない。「貸切バス型管理受委託」の本格活用は早くて年末年始の繁忙期がメドか。また大幅に緩和される運賃制度、ひいてはレベニューマネジメント(ダイナミックプライシング)活用には、基幹システム(「発車オーライネット」など。自社予約エンジンとしての機能を含む)の改修が最低限必要だ。さらに運用ノウハウもある程度は作り上げる必要もある。どの基幹システム、どの事業者が最も早くRM対応してくるか、見ものである。制度改正とは直接関係がないが、高速路線バス各社がこれまで「ツアーバスの親玉」と見てきた予約サイト(楽天トラベル、高速バスドットコム、じゃらんネットなど)への「誤解」は急激に解けていったようで、各事業者がどのようなスタンスでこれら予約サイトとの関係を作り上げていくのかも興味深い。ここで言う「関係」とは、システム上の要件、および事業上の条件(手数料率や提供座席のコントロールなど)のことである。一方で、高速ツアーバス各社が、晴れて「移行組」となるためには、大きな2つのハードルが待ち受ける。まずは業界全体として、彼らが移行するために必要なバス停の確保を、各関係機関の力を借りながら実現させなければならない。これは非常に難しい問題をはらんでいる。理論上、最も過激なパターンが、海外に例があるようなアファーマティブアクション導入であり、具体的には既存事業者が私有地で運営するバスターミナルについても、一定の割合で新規参入事業者の受け入れを義務付けるというものだが、さすがにそれは現実的ではない。公道上の既存バス停についても、触らずに済ませられるならその方がいい。心理的には、「移行組」のためにバス停が新設されるだけでも「既存組」にとっては不満なのはわかるが、かといってそれを不満と騒いでは「パンドラの箱」を開けてしまい、むしろ既存バス停の維持や既存事業者間の「相互不可侵」の関係性維持にまで影響を与えかねず、現実的な「落としどころ」を関係者全員で探ることになろう。同時に高速ツアーバス各社は、「一般乗合」として求められる安全性確保のために努力する必要がある。建前上は「乗合」も「貸切」も同じクオリティであるので(本来、あえてどっちが難しいかといえば「貸切」の方が難しいはずだが)、それは困難ではないはずだ。もっとも必ずしも現実が建前と一致しているとも限らず、会社によっては苦労するかもしれない。そもそも旅行会社の場合は、貸切バス事業者をM&Aする、あるいは合弁で新会社を設立する等、その「生き様」まで変える必要があり大変だ。しかし行政から個別に熱心に説明いただいたりした経緯もあり、各社とも対応準備に既に入ってくれている。合わせて、高速ツアーバスが先鞭をつけ「既存組」高速路線バスがこれから追いかけるべき車両タイプの多様化の流れにとっては、夏に予定される新しい車両保安基準が障害になる可能性があり、よく情報を確認しながら、事業者サイドで対応を考えなければならない。また市場環境としては、国内線でのLCC(格安航空会社)参入も注視している。さて昨日は夕方から古い友人たち3人と新年会。うち2人は大手路線バス事業者の社員であり、皆で高速バス発着風景を見学。Uターンのピーク日ということもあり、夜行(主に高速ツアーバス)の出発よりは昼行(全て高速路線バス)の出発と到着がダイナミックに続いていた。二重停車?も頻繁に見られ、上記友人がポツリ、<ツアーバスよりひどいよね>。もちろん、よくご指摘いただく高速ツアーバス集合場所の現状が、これをもって許されるとは露ほども思っていないが、冷静に現状を把握できる友人たちがあらためて頼もしい。本年の私自身の課題として、高速ツアーバスの各種現状の改善と「新高速」移行の段取りを確実にサポートするとともに、「既存組」に対しては、高速ツアーバスへの非難を、自らの変革先送りの免罪符にする悪しき習慣だけはやめるよう意見し続けたい。もっとも、私がお邪魔するような事業者の経営者、担当者の皆様はそのような心配は既に一切ない。少し前まで、精神論さえしゃべっていれば評価もお金もいただけていたものが、そろそろ各社にお邪魔するたびに細かな施策の話になっている。私も具体的に成果を出さねばならないフェーズに入ってきたのだ。さらにそれは「ツアーバス側」にいたころとは違い、勢いよく攻めこめばいい、という立場ではない。守りに入るべき要素も多く、それでも個別の各路線を各事業者を、そして高速バス市場全体を拡大させていかねばならぬ。ただ、そのようなプレッシャーが、私自身もまた、成長させてくれるはずだ。繰り返すが、昨年方向性が決まった制度改正を、単に高速ツアーバス各社の業態転換の話にとどめてはならない。これを機に、ひとつ前の高速バス事業のあり方(「第2フェーズ」)から、より成長を望めるあり方への転換をより確実なものにしていかなければならない。そのためには、「既存組」「移行組」それぞれにおいて、まずは成功事例を作り上げることだ。当然私としては、お手伝いしている事業者から、その成功事例を出していきたい。そのような転換点に携わることができる幸運にあらためて感謝しつつも、明日から続く重要なミーティングを前に、正月気分にひたっている時間はあまりない。
2012.01.04
コメント(0)
全7件 (7件中 1-7件目)
1