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……おとなしい。前回の日記を自ら読み返して、感じたことである。はたして、現状と展望だけを書き記すことが、“ねっぴぃ的”といえるのか。“自分らしさ”とは――?そんなことを考えていたら、もう1度だけ合併問題について語りたくなった。今日は、とことん好き勝手なことを書いてみよう。「今夜は投げっ放しジャーマン」オシ、本日のスローガンはこれで。既成概念をぶっ壊してやる。まあ、所詮は「天邪鬼の戯言」だけど。まず、これだけはハッキリ宣言しておきたい。ズバリ、今回の合併は『是』だった、と。オリックスの惨状を考えれば、その理由もわかるというものだ。とにかく、人材がいない。投手はストライクを投げられず、追い込んでからも平気で痛打を食らう。守備もお粗末。送球すらままならず、狭殺プレーでアウトが取れない。打つ方でも、走者を進塁させられず、残塁の山を築く……。サーパスはもっと酷い。人材どころか、人数そのものが足りない。選手を育成するどころか、試合を成立させるだけで精一杯なのだ。投手は、先発も中継ぎも関係なし。野手も、草野球よろしく守備位置が不確定。過去には、投手であるウイリーが、正一塁手になってしまった時期もあった。もちろん、プレーの質は劣悪そのもの。『聖闘士星矢』の登場人物に喩えるなら、その不甲斐なさは「雑兵」級に値する。今年はちょっとだけマシになったが、彼奴ら、本当にプロなんか?ファンは球団に愛着があるから、金を払って球場へと足を運ぶ。ところが、そこに見所はない。ああいうのを「無駄遣い」というのだ。なら、合併するのもアリなのでは……?今回の合併を批判する人々は、球団数が減ることを“球界の危機”と嘆く。選手の受け皿が小さくなることで、プロを目指そうとする人間がいなくなると心配しているのだ。しかし、本当にそうだろうか。プロらしいプレーを見せられない球団が存在することこそ“危機”ではないのか?ぶっちゃけ、日本球界なんて既に終わっていたのだ。だから“危機”と表現すること自体が誤っている。プロ野球はここ10年間、ずっと死病を患っていた。その大きな端緒がドラフト改悪であり、未成熟なFA制度導入であった……、と思うのだ。そもそも、ドラフト制度とは各球団の戦力均衡化を図るためにNFLが考案したものだ。平たく言うと、成績の悪かった球団には、有望な新人を獲得するための権利が与えられるということ。拮抗した勝負が増えれば、リーグのレベルも上がるし、ファン層も拡大する。だが、1994年(逆指名制度導入)以降の日本ではどうか。全く逆ではないか。戦力は一極集中する一方で、下位球団は浮上のキッカケすら掴めない。実際、オリックスが自由獲得枠で補充している戦力は、他球団の3巡目、4巡目くらいの実力に見える。それでも、彼らは1億円もの大金を手にしている。……理不尽。理不尽。理不尽。こんなことを10年も続けていれば、自然と選手層にも差が生じてくる。上位球団では、試合に出るべき選手が飼い殺され、下位球団では、アマレベルの選手が醜態を晒す。FAにしても、同じである。採用するならば、他の部分でバランスを取るべきだった。せめてドラフトを完全ウェーバーにするとか、飼い殺し防止のためにルール5ドラフトを導入するとか。サラリーキャップやラグジュアリータックスだって、もっと協議が必要だったのではないか?ファンの願いは、いい試合を見ること。チームが、健康的に勝ってくれることだ。しかし、不健康な制度がそれを不可能にしている。そういう意味で、今回の合併話は好機なのだと思う。悪い顔したオーナー共、権利の主張ばかりする選手たち、そして、無知で危機感のない我々ファンも、病んだ球界について考えるべきなのだ。願わくば、この騒動が球界をより良き道へと導かんことを。
2004.06.16
フランスとイングランドの試合を見て、憤死。やはり、ベッカム様のPK失敗で流れが変わってしまったのだろうか。ロスタイムで、ジズーに2得点を献上してしまった。……失礼(嘆息)。思わず、現実逃避をしたくなるほどの衝撃に襲われたもんで。よもや『最下位』なんてお題目を書いている時に、こんな驚愕の事態が訪れるなんて。なんと、あのレールウェイズ(ファミスタ)が、18年の時を越えて(一部)実現するというではないか。そう、近鉄とオリックスの合併である。年間40億円もの赤字で、経営が逼迫していた前者に、「野球<金儲け」の後者が声をかけたわけだ。遂にオリックスは、最下位を脱するために、禁断の超ウルトラEを敢行したのである。しかし、そんな『ドラゴンボール』じゃあるまいし、ポコポコ融合して「良かったネ♪」なんてなことになるのだろうか。否、そうはなるまい(反語)。なァ、コジ(天山風)!?ファンになって十数年。まさか、……まさか、身売りと合併の両方を経験することになるたァ、夢にも思わなかったわ。とりあえず、今回の諸原因を招いた関係者各位に……、たわけ。たわけ。たわけ。たわけ。たわけ。たわけ。たわけ。たわけ。たわけ。たわけ。と、文句を言ってやりたいね。とはいえ、宣言してしまったものは仕方ないので、今後の展望を考えてみることにした。まず、気になるのは球団名の問題である。……フュージョン式に命名すると「オリッ鉄」か。むう、実現性は極めて低いだろうな。では、いっそのこと、企業名ではなく地域名を融合させるのはどうか。「大阪」+「神戸」=「阪神」ちっ、これもダメだ。チーム名は、新しい名前を付けるしかないようだ。まあ、近鉄の名前だけ消えることも考えられるが。企業名に続く愛称は、頭文字が「B」になることが望ましい。例えば、坊ちゃんズとか(笑)あ、これじゃキン肉万太郎とケビンマスクか。本拠地の問題もある。神戸か、大阪か。神戸の方は天然芝が魅力だが、交通の便が悪い。一方、大阪の方は天候の影響を受けないという利点はあるが、莫大な維持費がかかる。おそらく、現実的には神戸がメインとなるだろうが、大阪府からプロ野球の球団がなくなってしまうのは何か寂しい気もする(阪神の本拠地は兵庫県)。……イヤ、イカン。神戸にならないと、天然芝を目的に移籍して来た村松が可哀想だ。オリックス・バファローズ(仮)が成立した後も、問題は山ほど残っている。11球団になると、毎日どこかのチームが試合を組めなくなってしまう。それを防ぐためには、もう1球団減らさなければならないわけだ。つまりは、1リーグ制への移行。噂として囁かれているのは、ダイエーとロッテの合併。あとは、ヤクルト、横浜、広島も消滅させられる危険性がある。これによって、どんなことが起こるのか。最も心配なのは、選手たちの行く末である。現在の規約では、各球団の支配下登録選手は70人までとなっている。ところが、近鉄とオリックスには130人もの選手がいる。単純に、60人はチームを追われることになるわけだ。はたして、彼らはどうなるのか。野球協約の第33条(合併)によると、以下のような文が記されている。「合併される球団に属する選手に関しては、 必要により第57条(連盟の応急措置)および 第57条の2(選手の救済措置)の条項が準用される」では、ここに出てくる2つの条項とはどんな内容なのか。さっそく、調べてみた。パラパラ(ページをめくる音)……(タメ11秒)。な、長え。校長先生のスピーチですかィ、こりゃ。面倒なので、要約すると……、≪第57条≫ ⇒ 爪弾きにされた選手や監督らは、 期間限定で連盟が保有権を預かり、 受け入れ先を斡旋してやる。 斡旋が失敗した選手に関しては、 ウェーバーを公示する。≪第57条の2≫⇒ 実行委員会およびオーナー会議の議決により、 支配下登録選手の枠を80名以内に拡大し、 契約解除された選手を可能な限り救済する。つまり、理論上は現役の連中が職を失うことはない。しかし、50人もの選手が他球団へと放出され、環境の変化を強いられるという事実は無視できない。一体、その50人は誰がなるのか?今回の騒動、主導権を握っているのは明らかにウチ。「合併」とは言いつつも、実際は「吸収」という表現の方が正しい。ということは、放出される選手の多くは近鉄出身と考えて良さそうだ。じゃあ、具体的なチーム構成はどうなる?近鉄からやって来る戦力は誰だ?それによってオリックスを追い出されるのは?とりあえず、今日のところはここまで。
2004.06.14
ぴんぽんぱんぽ~ん♪野球ファンの頭を柔らかくするための問題です。次の記号は、一体何を表しているでしょう?●●● ●●○ ●● ●○● ●○ ●● ○●● ●●●○● ○●● ●● ●○ ●○● ●○ ●○● △○● ●○△ ○○○ ○○○ ○○ ●○● ○●☆☆ ヒント ☆☆列の左端に、1文字ずつ書き加えるとわかりやすい。最上段には「L」を、最下段には「M」を書く。このヒントを読んでも、何の見当も付かない方は、脳の硬度がロビンマスクの鎧並(サファイア級)になっている可能性が極めて高い。出直されたし。★★ 解答 ★★これらが示しているのは、オリックスの対戦チーム別成績だ。○=勝ち、●=負け、△=引き分け。列の左端には、上から「L」「H」「F」「Bu」「M」の文字が入る。L ●●● ●●○ ●● ●○●(2勝9敗)H ●○ ●● ○●● ●●●(2勝9敗)F ○● ○●● ●● ●○ ●○●(4勝8敗)Bu ●○ ●○● △○● ●○△(4勝5敗2分)M ○○○ ○○○ ○○ ●○● ○●(10勝3敗)……なぜ、こんなにも回りくどい演出をするのか。それは、この配列をよく覚えて欲しかったからだ。ここには、オリックスの弱さを思い知らせてくれる、驚くべき事実が隠されている。ポイントは、○と●のパターン。Mの列以外で、○が続いている箇所があるだろうか。ない! 無い!! ナイ!!!つまり、オリックスは3連戦を行っていく度、借金を背負わされているのである。近頃は、お得意様相手にも勝てなくなってきた。……ヤバイでしょう?今年もまた、地獄の最深部にあるという氷地獄(コキュートス)から脱け出すことは出来ないのか。本日は、そこら辺を考えていきたい。ここ2年、オリックスの記事はあまりにワンパな文章が多い。記者たちが可哀想である。大量失点・KO・連敗・炎上・投手不足・投壊……。来る日も来る日も、以上の単語を使い回し、選手の謝罪コメント、監督のお小言を掲載する。そんな毎日、拷問としか言いようがない。そう、オリックスには投手がいないのだ。それも、球史でも前例がないほどに。まず、選手名鑑でウチの投手陣を確認してみる。高 校 生 ⇒ 3人(柴田、島脇、川口)大 学 生 ⇒ 10人(加藤、小川、小林、相木、野村、 松村、徳元、山本、北川、栗山)社 会 人 ⇒ 7人(金田、歌藤、山口、川越、岩下、 本柳、大久保)外 国 人 ⇒ 3人(具、フィリップス、ムーア)逆 輸 入 ⇒ 3人(マック、吉井、塩屋)トレード ⇒ 4人(谷中、戸叶、ユウキ、小倉)投手転向 ⇒ 2人(嘉勢、萩原)ここから見えてくること。そこに、改善のヒントが隠されているはずだ。一.高卒投手から得られる戦力が皆無である。この球団は、昔から高卒投手の育成を苦手としている。近年では、平安を甲子園準優勝に導いた川口が給料泥棒と化している。牧野、戎なんかは、やっと花が開いてきたなァとか思っていたら、バッサリと放出されてしまった。※ 牧野(山梨学院大付高:谷中とトレード)※ 戎(育英高:副島とトレード)そういう意味で、柴田をどう育てていくかは、今後のオリックスを占う上で、非常に興味深い。新垣、内海を取り逃がした後にようやく手に入れた超高校級の素材。彼を将来的にエース級の投手に飛躍させることができたなら、未来はまだ明るい。一.その場凌ぎの補強が目に付く。野手にも言えることだが、オリックスは、地道に選手を育成するのではなく、外国人や逆輸入選手を補強することで、戦力を整えようとする傾向がある。もう少し、長期的な視野を持ってチームを構成すべきだと思うのだが。そんな中、具がトレード要員になっているという。意見の分かれるところではあろうが、個人的には「渡りに舟」と思っている。そもそも、ウチは交渉の材料となる手札が少なすぎるのだ。それゆえ、近頃は有効なトレードができなくなってしまっている。具の獲得に手を挙げている中には、ダイエーの名前も入っている。というのも、杉内がベンチ乱れ打ちで両手の小指を骨折したためだ。これは、チャンスだ!押し付けられるもんなら、押し付けちまえ!!そして、あわよくば有望な若手をもらっちまえ!!!年齢、年俸、成績、外国人枠……。こんなにも懸念材料がある投手を引き取りたいと言ってくれる球団など、なかなかないぞ!!!!確かに、同一リーグで具にカモられる可能性はある。しかし、それを杉内に抑えられたものだと思えば、ストレスもそれほど溜まるまい。むしろ、長期的にはここで若い投手を獲得した方が、オリックスのためなのではないか。まあ、なかなか野田=松永のようなトレードは、出来ないとは思うけどね。交換相手は、神内あたりをくれるようだと嬉しいのだが、現実的には田之上、水田、松本、山村とかなんだろうなァ。否、結局は金銭トレードになって、またしても外国人を補強するのだろう。そんなことをしても、何も変わらないのに。……長くなってきたので、つづく。
2004.06.12
本日も“サブマリン”の秘密に迫りたいと思う。「シンカー」という変化球がある。特に横手投げや下手投げの投手にとっては、非常に使い勝手の良い武器である。だが、使い勝手が良いだけに覚えるのは難しい。山田でさえ、この球を伝家の宝刀にまで昇華するのにかなりの時間を要した。この球は、手の甲を上から被せるようにして投げる。イメージとしては、卓球のスマッシュを打つような感覚。しかし、これだけではキレの良いシンカーを投げることは不可能だ。かつて、山口(高志)のストレートに震撼した山田は、足立からこのような助言を受けている。「肘から先に送り出すように投げろ」「握り方は指を滑らせるようにして握った方がいい」但し、このアドバイスすらも相当な練習を積まなければわからない感覚に違いない。そういう意味で、足立がこれを伝授したタイミングは最高だった。山田は、既に見様見真似でかなりの球数を投げていたのだ。打者の手元で文字通り“沈んでいく”この球は、本来、低めに投げることで威力を発揮する。だが、山田の場合、少し違う使い方をしていたという。なんと、彼はシンカーを高めに放っていたのだ。どうしてもゴロが欲しい時、低めに投げたくなるのが人間というもの。そして、ゴロ狙い=低めというのは、野球界の定石でもある。しかし、この定石が時に仇となるケースもある。多くの場合、左打者や長打力のある右打者は、低めの球を掬い上げるのが上手い。結果、ゴロを打たせようと投げたシンカーが、外野まで運ばれるということも少なくないのだ。そこで、山田は発想の転換を試みた。彼のシンカーは、高津のそれとは違い、スピードがそれほど落ちず、変化が小さい。通常、このような球を高めに投げるのは、非常に危険な感じがするのだが、意外にも、それが効果抜群なのだという。山田はこの球を「自らの晩年を支えた最大の武器」と称している。そして先日、この奥義は俊介へと伝授された。まだ、怖くて実戦では試していないというが、これをマスターした時、彼は一段と手強い相手となるだろう。俊介といえば、某番組でやっていた企画を思い出す。なんと、そこで俊介は「水切り」に挑戦させられていた。皆さんも、一度は挑戦したことがあるだろう。平べったい石を水面に向かって投げると、ピョンピョンと跳ねていくというアレだ。この遊び、実は世界中で行われているようで、「世界水切り協会」なる組織まで確認されている。因みに、ギネスブックにも項目が設けられており、ジェリー・コールマン・マグリーという人が出した38回が世界記録と認定されている。さらに驚くべきは、この水切りは科学的に研究されているらしいのだ。昨年、仏国のクロード・ベルナール・リヨンの大学で物理学を研究するリデリック・ボケ教授は、米物理学誌で水切りの極意を発表した。息子から石をうまく跳ねさせるコツを聞かれたボケ教授は、石が水面に衝突し跳ね上がる動きの運動方程式を作り、跳ねる回数が何に左右されるのかを調べたという。その結果……、「石が水面にぶつかる角度が小さい」「石がよく回転する」「水平速度が速い」といった場合に、跳ねる回数が大きくなることが明らかになったのだ。番組では、世界記録を塗り替えようと、アンダースローのスペシャリストである俊介に白羽の矢を立てた。仕事、選べ――ッ!!とか思いながらも、じっと行方を見守ってしまった。さあ、注目の一投はというと……、ピョン、ピョン、ピョン、ピョン、ピョン、ピョン、ピョン、ピョン、ピョン、ピョン、ピョン……。なんと、20回以上も跳ねていくではないか。これには、水切り名人日本代表もびっくり。俊介にしてみれば、いつも通りに投げただけ。よく見てみたら、名人もアンダースローの才能を感じさせるような投げ方をしていた。んんむ、こんな特技ができるとは。サブマリンへの憧憬は強まるばかりである。……最後に、6連戦のおさらいを。50試合目 L 3-1 Bw51試合目 L 2-11 Bw52試合目 L 4-2 Bw(生観戦)53試合目 F 7-4 Bw54試合目 F 6-8 Bw55試合目 F 9-5 Bw単純に、ミスで招いた失点が多い。大昔に書いたが、ミスというのは相手に流れを渡してしまう行為だ。それをこんなにも重ねてしまうと、やはり勝てない。あと思ったのは、打線の反動だ。開幕当初、調子の良かった主軸が、揃って下降線を辿っている。村松、ブラウン、谷、オーティズ。大島などにも疲れが見える。コイツら、困ったことにバイオリズムが同じなのだ。上り調子の時は爆発的な破壊力を見せるが、ピークを過ぎると全く機能しなくなる。せめて、主軸のうち1人でも波長がずれていれば……。そんな中、塩谷が復帰したのは好材料かもしれない。相川の使い道が難しくなってしまうのだが、選択肢が増えるというのはイイコトだ。さあ、明日からはロッテ戦である。お得意様を相手に、久しぶりに3連戦勝ち越しを決めることができるか。目指せ! 最下位脱出!!
2004.06.06
日本が世界に発信したと言っても、過言ではない投法がある。何とも美しく、そして不可思議なメカニクス。そう――、アンダースローである。日本シリーズ4連投4連勝の杉浦忠、阪急の初優勝に貢献した足立光宏、そして通算284勝の大エース、山田久志……。これまで、球界では多士済々の使い手たちが、歴史に名を残してきた。だが、そんな彼らも今や絶滅危惧種と化している。それだけに、もはやロッテの渡辺俊介などは、人間国宝のような扱いを受けている。そこで、ベタではあるが検証してみたい。アンダースローという名の“技術”を。この投法が、どうしてこんなにも愛されるのか。以下、山田久志の証言を元に、要素を挙げていく。『美しくなければならない』アンダースローとは美しく、華麗でなければならない。それが、元祖“サブマリン”が挙げた必須条件。そういう意味では、彼の系譜を継承しているのは、俊介だけである。『変則と呼ばないで』山田はこの投法を“変則”と呼ぶことを、非常に嫌っている。そもそも、どの角度から投げようとも、上半身の使い方はほとんど変わらないのだ。若かりし頃、彼は自分のことを本格派だと思っていた。『希少種であることが最大の利点』地表わずか数センチから発射される弾道は、野球人生の中で滅多に体験できるものではない。まして、打撃練習の時にわざわざ練習するなんて、ありえない話である。それだけに、打者はタイミングを掴みづらく、ボールの軌道も見極めにくい。これこそが、アンダースロー最大の利点である。『捕手に好かれる投げ方』捕手は通常、ミットを上に引くようにボールを捕る。これは、球に伸びがあるように思わせるための工夫なのだが、アンダースローの場合は、勝手に下から上へと軌道を描くため、この作業がイージーなのである。『アンダースローは肩を壊さない』アンダースローは、オーバースローと違って、肩を旋廻させない。どちらかというと、腕は後ろに“引く”という感覚である。この投法は、肩よりもむしろ肘に負担がかかる。『長打を打たれやすいのが玉にキズ』山田曰く、アンダースローはボールに回転数を与えるよう意識しなければならない。そうしないと、威力あるボールは投げられないのだという。しかし、一方で回転数が上がると、長打の可能性も高くなる。山田の通算490被本塁打という数字は、歴代2位。因みに、1位は鈴木啓示で断トツの560本、3位は東尾修の412本である。「東尾さんもそれなりに打たれてますけど、 彼の場合は打ったら、その次に当てられるのを。 わかってますもん。そりゃ、みんな打てないですよ」とは、山田の弁。さすが、同期入団とは仲が良さそうで。『牽制の研究は欠かせない』一般的にこの投法の泣き所と言われているのが、盗塁されやすいということ。そのため、山田は牽制の研究に余念がなかった。そんな彼が辿り着いた境地、それは……、牽制をしないのも、牽制の1つ。今日、実は西武ドームで野球観戦をしてきたのだが、序盤、金田がやたらと牽制をするのが気になった。あれは前田(捕手)の指示なのだろうか?結果的には、2盗塁を許してしまったわけで、あまり効果はなかったといえる。よく見ていると、牽制上手な投手というのは、なかなか一塁へは投げない。往年の東尾などは、まさにその典型ではないか。あの“世界の盗塁王”福本豊に対して、彼はほとんど牽制を投げていない。逆に、それが韋駄天を封じていたのである。ダイエーの和田毅もそう。彼は昨年、西武戦でいきなり牽制死を2つ奪った後、滅多にプレートを外すことはなくなった。投げずとも機動力を封じることに成功したのだ。ただし、いくら投げないとはいっても、背中からは常に雰囲気だけは醸し出していなければならない。如何に走者に対して牽制を意識させることができるか。それこそが、肝要なのである。『山田と俊介の決定的な違い』同じサブマリンでも、彼ら2人にはフォーム上で決定的な違いがある。まず1つ目は、振りかぶった直後の動作。俊介はそのまま上半身を沈ませるが、山田は一旦、上半身を背中方向に反らせてから沈む。2つ目は、腕の振り方。俊介が大きな軌道で腕を振るのに対して、山田はギリギリまで体の後ろ側に腕を置いておく。これは、打者からボールの見所を見えにくくするための工夫なのだそうだ。『サブマリンになるために』アンダースローは多くの場合、投手の烙印を押された者たちが挑戦する投法である。しかし、習得するのはそう簡単ではない。まず、気持ちよく腕が振れるか。人間の体というのは、1人ずつ構造が違う。したがって、人によって腕がよく振れる角度も異なる。必然、アンダースローに向いている人材は限られてくる。次に、関節が柔らかいこと。俊介などは、本当に軟体動物である。アンダースローというのは、相当に窮屈な投げ方である。最後に、肘と膝が強靭であること。これらは、アンダースローの生命線となる部分だ。それゆえ、山田はこんなトレーニングを行っていたという。○ 風呂場トレ「利き腕で重い荷物を持つな!」「アイシングなんてタブーだっての!」なんて時代で考えたのがこのトレーニング法。お湯の抵抗を利用し、肘から先の筋肉を鍛える。○ うさぎ跳び今では、禁断のトレーニング方法として知られるうさぎ跳びだが、膝を鍛えるには効果的。「そもそも、こんな運動をしたからといって、 故障する人間がプロで成功するはずがないんだよ」とは“団塊の世代”山田の言い分。けれども、推奨することもできないので、当日記としてはスクワットをお勧めしたい。……。とりとめもなく、アンダースローの要素を書いてきた。貴重であることももちろんなのだが、奥が深くて誇り高い。そして、その中に秘められた儚さこそが、人々に愛される理由ではないのか。次回、チョビっとだけつづく。
2004.06.03
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