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「執着」という言葉を気にしたことはありますか? 前回は、「欠乏感」「空虚感」「比較」といった言葉から、人間の心の毒になりゆるものを調べてきました。今回は、「執着」という言葉にフォーカスして、なぜ執着を手放さないといけないのかを見ていきたいと思います。
辞書で調べると、そもそも執着とは、「強く心をひかれ、それにとらわれること。深く思い込んで忘れられないこと」です。 執着とは、「わたし、わたしのもの」と固執することです。
では、なぜ執着を手放すことが大事なのでしょうか。なぜなら、「この世はひとつであり、すべては私であって、私ではないから」です。この考え方を仏教の「諸法無我」と、スピリチュアルの「ワンネス」の視点から考えていきましょう。
仏教では、苦しみは真実を知らない無知だから生まれるといいます。無知であるから、「むさぼり、執着すること(欲望)」と「人に対して嫌悪、憎悪、怒り、拒絶反応を示すこと」が起こり、苦しみが生まれます。この感情を捨て去らない限り、苦はなくなりません。
仏教の教えにある真実とは、三法印(四法印)という考え方がベースにあります。これは、仏教が最も大切にする考え方です。その中に、「諸行無常」と「諸法無我」という考え方があります。
諸行無常というのは、「すべての事象は移り変わるということ」です。諸行無常を知らないから、執着や嫌悪などが起こり、苦しみが生まれるといいます。
諸法無我とは、すべてのものは「因縁」によって生じたもので、実体はなく、独立して成り立つものはないので「自己」は存在しない、という考えです。
自分のものだと思っているものも、また自分の心さえも、思い通りになるものは何もないのに、自分のものだと思い込むから、苦しみが生じるのです。ですから、「わたし」「わたしのもの」という執着を離れるように、仏教は説いています。
執着や嫌悪などは、身心(肉体と心)を悩ませて苦を引き起こします。諸行無常と諸法無我という真実を知れば、心は執着や嫌悪から離れて、苦しみから解放されるのです。
「ワンネス」という考え方は、宇宙の法則の中にある「すべてが 1 つで、 1 つがすべて」というものです。「あらゆるものは、ひとつのものからできている」という考え方です。
これはたとえば、あなたが普段吸ったり吐いたりしている空気が、「ひとつのもの」と考えられます。空気は、「あなたであるもの」から流れ出て、「あなたでないように見える世界」へと手渡されていきます。
同じようにお金も、「ひとつのもの」として考えられます。実際、紙幣や硬貨には、誰が所有者なのかは書いてありません。お金も「あなたであるもの」から出ていき、「あなたでないように見える世界」へと流れ、循環します。
空気に執着している人は、あまりいないと思いますが、お金に執着している人はいるかもしれません。けれども、お金も空気も、自分のものだと思い込むから、苦しみが生じるのです。
この世はひとつであり、ただ流れて、循環しています。なので、執着を手放すこと、「わたし」「わたしのもの」という執着から離れることが大事なのです。すべてはあなたであって、あなたではないのです。すべては私であって、私ではないのです。
さて、いかがでしょうか? 今回は、なぜ執着を手放すことが大事なのかを、仏教の「諸法無我」と、スピリチュアルの「ワンネス」の 2 つの視点から見てきました。
仏教では、「自己は存在しない」と言っています。私たちに、実体はないのであれば、何かに執着していても、まったく無意味なことなのかもしれませんね。諦めない心も大事だと思いますが、執着せずに軽くラクに生きることも大事なのではないでしょうか。
それでは読んでいただき、ありがとうございます。
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