日本語で話そう

June 30, 2013
XML



しかし、最初からフットパスの入り口が見つけられない。
アイスクリーム売りのおじさんに聞くもわからず。

適当に道を選ぶ。

道はひょっとしたら車も通れるかもしれないほどの道なので歩きやすい。畑や牧場の間をどんどん何も遮るものが無い青い空に向かって登って行く。
そのまま天に昇ってしまうかと思われる頃、360度見渡せる丘の上に出た。一本の車道が横に走り、その向こうの青い空の下は、180度、真黄色の菜の花畑。
その日は青い空ではあったが快晴とはいかず、薄い雲が時々太陽を薄いベールで隠していた。

地図に従い、右側に進路を取る。菜の花畑と平行なコースだ。

車道でも細い農道なのでほとんど車は来ない。


「金色がやってくる!」

見ると、今進んできた後方の黄色い菜の花畑が、青い空との境界あたりから金色に輝き始めて、その範囲をこちらに向かって広げてくるのだった。

みるみるスピードで黄色が、金色に染まっていく。
雲の間から日の光が当たって移動しているのだ。

静寂の中、ざあーっと音が発つようなスピードで菜の花畑全体が光り輝いた。

「早く早く写真を!」

慌ててカメラを構えるが、今度は金色が始まった空との境界線から、見る見るうちに光を失って、金色から黄色に変わる帯がだんだん迫ってきた。

その時間、2、3分有っただろうか。

金色の野はあっという間に消えたのだった。

3人のため息。
そして、娘が「ラン、ララン、ラララ」とナウシカの「金色の野に降り立つ」あの歌をハミングし出した。



  • P1110049.JPG



黄色の世界を終えると、また車道を反れ、人ひとり通れるぐらいの両脇に棘の生垣のある牧草地間の道。そこが最高地点だったらしく、そこからは一気に丘を下って行く。

さっき追い抜いたラブを連れた散歩の夫婦が途中で休憩していた。

牧草地で道が消える。
羊に睨まれる。

そして木戸を開けると、小さな小さな村に出た。

道路との境界線にはさまざまな花が咲いていてきれいだ。
イギリス人は人に見せるための植栽には天才的なものが有る。わたし達どちらかというと、同じ種類の花で線を作ろうとするが、イギリスのガーデニングでは、丈の違う、色の違う、種類の違う花を上手に調和させて植えているのである。

あっという間に抜ける10戸ばかりの美しい小さな村には、道端に2か所も、卵や手作りケーキを売る無人販売所が有るのだった。

  • P1110072.JPG


だれが買うのかな?
キツネかな?ウサギかな?

村はずれ、左側はチッピングカムデンへ。
右側はたぶんヒドコートへ。

その先で道に迷う。
いくつも有るフットパス。
あっちへ、
こっちへ、
そっちへ、

娘がまた言った。
ルイス・キャロルは「不思議の国のアリス」を書いた時、きっとフットパスを思い出しながら書いたんだろうね。

this way, this way,this way.


我らは突っ切って、畑の中に。
あぜ道で(畔というのだろうか?)シートを引いて一休み。ホテルで作ってもらったブラウニートチップスを食べる。

これから行く道からラブがやって来た。
「こんにちは」
だれにでも行き会う人には挨拶、は日本のハイキングや山登りと同じ。

フットパスは突然に細長くて、薄暗い森の中に突っ込んだ。
樹齢何百年、いやひょっとしたら千年?3人寄っても抱えきれないような大木の木々の間の一本道。小鳥がさえず、木の聖霊でも宿っているのか風が吹くと木々が鳴く。

ロビン・フットの森ってこんなかな?
さっき歩いて来た光の中と、まるで違う深い森にいやがうえにも空想力が増してくる。

ちょっと薄暗く湿った足元にはダイアナ妃が好きだったという、ブルーベルの花が一面い咲いていた。

20分ほど深い森を歩くと、突然に羊のいる牧場に出た。
丘は急激に下っている。行く手に村の家々のオレンジ色の屋根が見えた。

右手の谷には林が一本の帯を作っている。おそらく林の中は小川。
そして、その向こうはまた羊が草を食む急激な丘が後方に登って行く。

あれ?
谷の向こうのあっちの丘、見覚えがある。
そうだ、今朝、我らが迷いながら登って行った、急な牧草地だ。

我らは2等辺3角形の要に向かって下っているのであった。

そして、朝の広場、3つ目の木戸から帰還する。オークの木が出迎えた。(どれがオークかいまだにわからないが)
今朝出発した木戸の辺りで、隣の牧場の柵の間に脱走口を見つけた羊が1匹脱走。
それを教えろと、後から後から羊が脱走口を探して、広場はめいめいとうるさかった。

隣の芝生は青い。
隣の草はきっとおいしいだろう?






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  July 1, 2013 03:08:09 PM コメント(5) | コメントを書く
[2013.6イギリス旅行記] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: