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2016年12月14日
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カテゴリ: 自動車メカ、部品
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 世界最大の自動車部品メーカー、ボッシュが、気筒内水 噴射装置を実用化した。
 熱機関は熱サイクルの温度差が大きい程効率が良く、内 燃機関は吸気温度が低い程燃焼時との温度差が大きくなり 効率が良い。
 内燃機関では、混合を最適より濃く設定して、過剰燃料 による気化熱により燃焼室内の温度を下げてデトネーショ ンを防ぐ方法もとられている。
 水噴射装置は、吸気に水を噴射して、過剰燃料による気 化熱を水の気化熱によって補って混合気を冷却することで 高出力での混合比を最適に設定して、出力を上げる。
 より熱効率を上げるための手法として水噴射装置が開発された。


 他の自動車メーカーにも供給
 ウォーター・インジェクション(水噴射)は昔からある改造車 テクニックの1つである。
 フルパワーで稼働中のエンジンがオーバーヒートするのを防ぐ ため、シリンダー内に水を噴射して燃焼熱を和らげる仕組みだ。
 そうして温度や圧力が下がることで、エンジンが適切な状態に 保たれるのである。
 BMWはボッシュ製のウォーター・インジェクション・システム を限定モデル「M4GTS」に採用し、向上したブースト圧のおかげ で最高出力を431pから500psに引き上げることに成功した。
 このシステムが、今後はより多くの量産車に採用されるという ニュースが入ってきた。
 報道によると、ボッシュは同社のウォーター・インジェクション ・システムをBMW以外の自動車メーカーにも供給する予定であり、 これを採用する新型車が早ければ2019年に発売される見通しだ という。
 ボッシュは、ウォーター・インジェクションによってパワーは 5%、燃費は最大13%向上すると述べている。
 この性能アップの要因はおそらく、高圧縮比または高ブースト (あるいはその両方)で作動できるようにエンジンを設計するこ とで、長期信頼性の点でリスクを伴わずに排気量あたりの馬力を 引き上げることが可能になるためだろう。
 ボッシュのファビアナ・ピアッツァ氏によれば、ウォーター・ インジェクションは排気量1リッターあたり110psを超えるエン ジンで最も効果があるという。
  …(略)…

水噴射装置のデメリット
・装置不使用時はデッドウエイト
・各シリンダーに均等に噴射するためには精度の
 高い噴
射ポンプが必要
・シリンダー内の腐食
・エンジンオイルの乳化や希釈
 ボッシュは重量以外の課題は解消したはず。
 量産車の水メタノール噴射装置は、米国では1961-63年 式オールズモビル・カトラスのターボモデル、F-85 ジェッ トファイアーの215Cu-in(3.52L)のV8エンジンに、水メタ ノール噴射装置が搭載されていた。
 欧州では1978年のサーブ・99ターボSが水メタノール噴 射装置を搭載されていた。


【空の水噴射装置】


 私が水噴射装置を知ったのは、第二次世界大戦中のレシプ ロ機のエンジンの話。
 大日本帝国陸海軍は、スーパーチャージャーや高効率の過 給器を利用して高高度で大出力を発揮する米軍の航空機対策 に苦労していた。
 B-29やP-47はスーパーチャージャーを実用化し、高高度 を高速で飛行できた。
 工作精度が低く、冶金技術に劣り、資源も不足している日 本で、スーパーチャージャーの実用化は困難だった。
 高高度で過給給圧を上げればエンジン出力は上がるが、 圧縮された混合気が高温になるため、デトネーションを起 こし、最悪の場合エンジンが壊れる。
 米軍はアンチノック性の高い高オクタン価(100-120)の 燃料を使うこと、吸気温度を下げることなどでデトネーショ ンを防ぎ過給圧を高くすることができた。
 日独の航空機の燃料は90オクタン前後だった。
 メッサーシュミットBf109に搭載され、高精度、緻密な設 計で有名なDB601エンジンは低オクタン価燃料で作動する ことを前提に設計されたので、低回転型となったとされる。
 高出力を実現しデトネーションを防止するため、日独は 「 水メタノール噴射」装置を装備した。
 高空の低温環境では水だけでは凍りやすいため、水にメタ ノールを混合し、腐食防止剤を入れて噴射し、混合気の温度 を下げた。

 ドイツのMW 50はメタノール50%、水49.5%、腐食 防止剤0.5%の噴射装置。
 Fw190に搭載されたBMW 801D型エンジンでは、離 昇出力1700馬力を2100馬力にまで向上させることがで きた。
 Fw190D-9に搭載されたユンカースJumo 213A-1は、 離昇出力1776馬力を2240馬力にまで向上させることが できた。



 大日本帝国海軍は水メタノール噴射装置を使いこなすこ とができなかったようだ。
 水メタノール噴射装置にあった整備(エンジンの調整) もできなかったのかもしれない。
 誉(ハ45)にも水メタノール噴射装置は搭載されたが、整 備能力、工作精度の低
さ、ガソリンのオクタン価の低さなどで、満足に稼働させ る事ができぬまま終戦を迎えた。
 大日本帝国陸軍は一式戦闘機「隼」の強化策としてハ115 -Ⅰを隼に水メタノール噴射装置を搭載した隼三型を1,153 機を戦地へ送り出した。
 隼三型を担当した大島設計主務は「速度は零戦の各型より 優速となり、上昇力、航続距離、操縦性何れも上回り、劣っ ているのは武装のみ」と水メタノール噴射装置を評価した。
 ハ45搭載を搭載した四式戦闘機「疾風」についても、整 備の教育システムを整えて整備能力を向上させ、終戦まで稼 働率90%以上を維持した部隊が存在した。
 工作精度、燃料のオクタン価の低さは陸海軍で変わりない ので、出力は十分出ていなかったと想定される。

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最終更新日  2019年08月27日 07時35分19秒
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