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現在、血ノ章を書いていますが、5月中にシャルロット編を完結させてしまおうかと考えています。当初は教皇庁であと一山、二山と考えていたのですが、シャルロットの終着点は最初から決まっているので、ひとつぐらい話をまとめておこうかなと。正直、■3-09【神娘】からなら、直ぐに最終展開に持ち込めるので、ここで〆ておきます。あっても邪魔にはならないですが、■3-10【蠢動】は削除予定。
2013/04/30
初稿:2013.04.30編集:0000.00.00<< 前の話 次の話 >>※血ノ章の本編です4-04【接触】 ひとりは年の頃、十四、五歳の華奢な少年。 腰まで届きそうな亜麻色の長髪を、極彩色の羽飾りでひと括りにしている。 その隣には、長大な銃槍を背負った二十歳前後の黒髪の青年。 こちらは長身に整った体躯の持ち主であった。 そして、なによりラグナウェルの目を引きつけたのは、両者が纏う青地の後外套―――「クロスメイデンの銃騎士か」 そこにはクロスメイデンの国章である白鷲と交差する七本の槍が刺繍されていた。 同公国は神都の聖堂騎士団やアダマストルのアルジャベータ守護騎士団と並び、大陸屈指の銃騎士団を組織している。 騎士等級は紋章に描かれた槍の数で区分され、なかでも最上位の七本槍の銃騎士は、公王直属の精鋭部隊であった。 彼らは“契剣の七使途”の異称で列国に名を轟かせている。「ねぇ、イングヴェイ。 このふたりと遊んだらとても楽しいそうだよ。 殺っちゃおう」 栗髪の少年が場違いに明るい声で提案する。 もっとも、その内容はえげつない。「却下だ。 そんな命令は受けていない」 銃剣の青年が鋭く批判する 。「俺は一向に構わないぞ。 お前のように小生意気なガキをぶちのめすのも嫌いじゃない」 ラグナウェルが栗髪の少年を挑発するように指で誘う。「へーお兄さん話がわかるね。 でも、僕にはヨハン・エルク・マルケリウスっていう名前があるから、変な呼び方はやめて欲しいな」 ヨハンと名乗った少年は、軽口を叩きつつ無造作にラグナウェルとの距離を詰めていく。 と、両者の間合いが重なる寸前、少年は前に踏み出そうとした力を利用して、そのまま背後に飛び退く。 その動作とほぼ同時に、鼓膜を震わす轟音と共に石片が舞い散った。 少年のすぐ前方の石畳に大穴が穿たれていた。「残念だけど今はダメみたいだ。 イングヴェイを怒らすと後が怖いしね」 ヨハンが背後を振り返る。 自分に向けられた銃槍の先端から白煙が立ち上っていた。「連れが失礼した。 わたしはイングヴェイ・クロイツ。 察しの通り、我らはクロスメイデン公国直属の銃騎士隊の一員だ。 単刀直入に問おう、貴公らは、オルカザード所縁の屍族に相違ないか?」「なぜ、そう思う?」「貴公らが囮になり逃がした銀髪の少女に見覚えがある。 名は確かラールウェア=オルカザード。 数年前、王の守護役として公宮で対面している」 イングヴェイは事実だけを羅列して言葉を紡ぐ。「それでオルカザード家に何の用がある?」 ラグナウェルは肯定も否定もしない。 だが、それは相手の言葉を暗に認めている結果となった。「貴公等を公宮に招待したい。 これは非公式ではあるがクロスメイデン王室からの打診である」「ふん、まるで俺たちがこの街を訪れることを予め知っていたかのような口振りだ」 ラグナウェルが吐き捨てる。 顔の見えない相手の手のひらの上で踊らされているようで癇に障ったようだ。「アルル=モア公女から急使があった。 内容は貴公たちのほうが詳しいだろう」「なるほど、国境検問がザルだった理由がようやくわかったよ」 メナディエル正教圏で屍族が身を潜めるには、クロスメイデンをおいて他にはない。 仮にオルカザード領に戻るにしても、同公国を抜ければ最短距離である。 迂回路もあるにはあるが、屍族を異端者とするアダマストル公国かガザルフォード公国を経由しなければならない。 結局、全ての要素が、この道を選択する起因となっていた。「それで体よく捕縛して、アルル=モアに恩でも売るつもりか?」「我々の目的はアルル=モア公国の私事とは無関係だ」 イングヴェイはラグナウェルの心裡を見透かしたように首を横に振る。 他国とはいえ、王族の拐取を私事と片付けてしまう辺り、豪胆を通り越して辛辣であった。 隣国との関係より、オルカザード家との会合を優先するなど常識ではあり得ない。 つまりそれだけ切羽詰った理由がクロスメイデン側にあるのだろう。「それを信じろと?」 ラグナウェルが鼻で笑う。「会って欲しいお方がいるのだ。 差し支えなければ、オルカザード家のご令嬢に取り次いで貰えればあり難い」「なら本人が直接この場に来ればすむ話だ」「わけあって、それは叶わないのだ」 イングヴェイの顔に苦渋の色が宿る。「随分と回りくどい物言いだな」 ラグナウェルも先方の目的に薄々と感づいたようだ。 話を聞く限り“会って貰いたい人物”とは、クロスメイデンの王族、またはそれに近しい有力者であるのだろう。 そして、その人物には動きたくても動けない理由がある。 となれば十中八九、オルカザード家に伝わる千年壺毒(蠱毒)と呼ばれる太古の秘法の助けを欲していると考えるのが自然だ。 同家が現代では完治不可能な病巣を取り除く為に、蠱道を用いた治療を行っていることは列国の王侯貴族の間では有名な話だからである。 もっとも全ては推測の域をでない。「ラグナウェルさま、この話お受けしましょう」 押し黙っていたアーネルが唐突に口を開く。「理由は?」 ラグナウェルは視線を傾けアーネルに訊ねる。 この赤髪の娘屍族は常に犀利で明哲だ。 日頃から口数は少ないが、発する言葉は常に正鵠を射ている。 野放図が服を着て歩いているようなラグナウェルが、行動の指針を委ねる数少ない存在であった。「クロスメイデンはノルドの失われた技術のひとつである蒸気機関の発掘と復元に成功しています。 上手くことを運べば、玄室の封印を解く術が見つかるやもしれません」「なるほど、確かに合理的だ。 ……さっきの話了承しよう」 ラグナウェルは腕を組み僅かに思案した後、イングヴェイに視線を戻して誘いを受ける。「貴公たちの期待に添えられるとは限らないが?」 イングヴェイは会話の流れから交換条件を持ちかけられると判断したのだろう。 王の了承なしに、判断できないことを婉曲に伝える。「構わんさ。 だが、ラールを呼ぶ必要はない」「それはどのような意味で申されている?」 イングヴェイはラグナウェルの言葉の意味を図り損ねているよだ。「俺はルドルフ・オルカザードの息子だ」「貴公が? しかし、ルドルフ公に令息がいたという話は聞いたことがない。 それを証明できるのか」 イングヴェイが不審げに眉をしかめた。 ラグナウェルの出生は聖アルジャベータ公会の高位聖職者と、それに関わった王族のみが知ることだ。 分派で、しかも対立する白十字教圏にあるクロスメイデン公国内で内情に通じる者は皆無だろう。 ラグナウェルも十分それを承知しているようで、「実証してもいいが、死人がでることになるな」 薄闇のなかでラグナウェルの紅眼が獰猛な血光を放つ。 その言葉には同意を求めるというより、嘲るような調子があった。「その屍族のお兄さん、嘘は言っていないと思うよ」 ヨハンがどこか嬉しそうに白い歯をみせていた。 ラグナウェルの鬼気をあてられて萎縮するどころか、興奮しているようだ。「わかった。 貴公等が並みの屍族ではないことは理解できる。 その言葉を信じよう」 少し間を置いて、イングヴェイは肯首した。<< 前の話 次の話 >>※気まぐれに推敲致します。推敲後の文章はフリーページorHPの方で反映されます。■小説.■ファンタジー.■オリジナル.
2013/04/29
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仮完成です。空きスペースが結構できちゃいましたね。そこら辺は反省点です。相関図作りの一番の目的は自分の頭の中の整理と、物語の全体像の把握です。(※元画像は1000x1000です)今回は血脈重視で作成しました。展開上、血脈を犠牲にせざる得ない所も数箇所ありますが、如何ともし難い人物が数名います。血脈的にはそこしかないのに、展開的にそこじゃ遠すぎるとか(笑)特に血脈を重視すると国単位で塊やすいので今度は国を置く位置で関われる(線を引ける)人間が限定されてしまいます。正しく、アチラを立てればコチラが立たずです。・・・楽天写真館いろいろ改善されて良くなってますね。
2013/04/25
一年半放置してたとはいえ、自分で作った設定を一部忘れていたので、現時点での相関図をきっちり作っておこうと考えています。ブログの記事欄に収まる大きさにと考えていろいろと妥協していましたが、今回は大きめに作る予定です。血脈を重視した作りにしようと思うけど、恐らく50人~80人ぐらいの相関図制作になるので挫折する可能性も否めない(笑)
2013/04/21
光ノ章【シャルロット編】の3-00【過去】~3-09【神娘】を簡易推敲致しました。誤字脱字は大体修正できたと思います。細かな描写の追加や削除もありましたが、物語的な変更はありません。帰ってからすぐはじめたのですが5時間近く経ってますね(汗)・・・自分でも忘れていた設定があって驚きました(ぇ
2013/04/18
初稿:2013.04.16編集:0000.00.00<< 前の話 次の話 >>※血ノ章の本編です4-03【煙街】 ベルムーテス五公国同盟に属するクロスメイデン公国は、地中深くに都市網が張り巡らされた地下国家である。 一年を通して寒冷で厳しい気候条件と、国土の大半を占める険しく起伏の多い地形が独自の発展を遂げる要因となった。 現在では、主要都市を煙土竜と呼ばれる蒸気機関鉄道で結ぶなど、西大陸随一の蒸気科学力を誇っている。 それらは全て、白竜の峰を覆う山岳氷河を水源とする豊富な地下水量と、水晶や褐炭、鉄鉱石などの鉱物資源を支える数多の地下鉱脈の恩恵があったらればこそである。 一方、酪農や製材業など一定の成果を実現している分野もあるが、農業においては後進国であった。 そして、ここは同公国の最南端に位置する地下都市郡グラーゼ。 その中央街を場違いに人目を引く一団が闊歩していた。 先頭を歩くのは黒衣を纏った眉目秀麗な青年屍族。 そのすぐ後ろを、真紅のドレスと東方風の衣装を其々着付けた屍族と人族、可憐なふたりの少女が続く。 少し離れた最後尾には、漆黒のドレスに燃えるような赤髪が映える美貌の娘屍族が、二頭の空馬の手綱を引き追従していた。 ラグナウェル一行である。「忌々しい陽の光の心配もいらないし、ここは楽園だね」 ラールウェアの動きに合わせて真紅のドレスが軽やかに弧を描く。 昼日中に街中を闊歩できる喜びを満喫しているようだ。 もっとも、現代では特殊な肌粉を素肌に塗り込むことにより、陽の光を擬似克服する手段が確立されている。 しかし、己の種に強い矜持を持つ名門屍族ほど、それを潔しとしない傾向にあった。「この手の技術は巨人族の専門分野だと考えていましたが、人族の進化も侮りがたいものです」 アーネルが薄靄に包まれたグラーゼの街並みを関心したように見渡す。 蒸気機関による発電設備が整った地下都市は、昼夜をわかたず黄昏色に染まっていた。 驚くべきことに、屍族の姿もちらほらと視界に入る。 屍族を教敵とするメナディエル正教を国教に定めたベルムーテス五公国同盟では、本来あり得ない光景であった。 蒸気文明の発展は宗教の形骸化を招く要因となり、結果として屍族と人族の交流が進んでいるようだ。 もっともそんな屍族たちの感慨とは無縁の人族がひとり、「うー、オナカすいたです」 プルミエールが糸の切れた傀儡のように、その場にへたれ込む。 アルル=モアを出立時に用意した糧食が底を尽きて丸一日になる。 飢餓や貧困とは無縁な王宮育ちなので、節食や断食といった事態に耐性が低い。 もっとも、無駄に生命力は高そうなので誰も本気では心配していない。「優に5日分の余裕があった糧食を、ほぼ一人で平らげておいてナニ言ってんのよ」 ラールウェアが呆れて半眼になる。「今日はここで宿をとる。 それまで我慢しろ」 この青年なりに気を遣っているのだろう。 ラグナウェルが尻餅をついたプルミエールの手を引く。 もっとも、それがラールウェアを苛立たせる原因でもあるのだが、その点は無頓着だ。「そーゆーのお義兄様には似合わないから」 ラールウェアが唇を尖らせて不満を募らせる。「お前は俺をなんだと思っているんだ?」「私利私慾が最大の行動指針で、目的の為なら手段を選ばない。 それがアタシの知ってるお義兄様♪」 ラールウェアは早足でラグナウェルの正面に回りこむと、悪びれもせずに非人間性を説いた。 一般的な悪口雑言も彼女にかかれば褒め言葉であるようだ。「なら何も変わっていない。 俺は俺のやりたいようにやっているだけだ」 ラグナウェルは立ち止まると、呆れたような溜め息と共に銀髪頭をかく。「ぶーぶー、不公平だー。 アタシには全然優しくないー」 安物の金メッキが如くあっさりと本音が露呈する。「互いに利用しあう関係であるお前に優しくする必要はあるのか?」「アタシ的には、最初はただの利害関係だった二人が、いつしか禁断の愛に目覚めても不思議じゃないと思うの」 ラールウェアは夢見る乙女のように胸の前で手を組む。 潤んだ翠眼がキラキラと輝いていた。 種を問わず、少女趣味な思考は普遍的であるらしい。「言ってろ」 ラグナウェルはラールウェアを片手で押しのけて歩を進める。 冷たく遇われた屍族の少女は暫し立ち尽くしていたが、渋々ながら後に続く。 すると今度はアーネルが早足にラグナウェルの背後へと近づく。「ラグナウェルさま」「次から次へと厄介事ばかりだな。 まぁいい、ラール、お前はプルミエールを連れて先に宿をとっておけ」 ラグナウェルはアーネルの声音から何かを察したのか、ふたりの義妹に別行動を促した。「ええー、ヤダ」 ラールウェアとプルミエールの声がハモる。 イヤイヤする仕草まで同調していた。「いけ」「ちぇ、わかったよ。 それと抜け駆けは許さないからね」 ラールウェアも有無を言わせぬラグナウェルの口調から、緊迫した空気を感じ取ったのだろう。 意味深な捨て台詞をアーネルに投げかけた後、空馬の手綱を受け取る。 それから空いた片手でプルミエールの首根っこを無造作に引っ掴み、暴れる人族の少女を引きずって表通りを進んでいった。「それにしても、この俺に気配すら悟らせないとは大したものだ」 ラグナウェルが姿なき追跡者の技量に素直に感心する。 確かに固定された複数の視線を感じた。 しかし、その方向はつかめない。「複数か……ファナではないな」「この街に足を踏み入れた直後から微かな違和感を感じていました。 先ほど、こちらが不意に立ち止まったことで、虚を突かれたのでしょう。 気配に逡巡が生じ、尾行を察知できました」 今にして思えば、景観を眺めるフリをして周囲を窺っていたのだろう。 抜け目のない性格だ。「では、俺たちもいくとするか」 ラグナウェルは先行した二人が視界から消えるのを確認すると、アーネルを伴い横道に入る。 中心街の雑踏を避け、裏通りを進む。 路上に降り積もる赤茶けた煙塵が一歩進むごとに舞い上がる。「屍族狩りでしょうか?」「仮にそうだとしたら大した目利きだが、恐らく違うだろう」 ラグナウェルがアーネルの言葉を否定する。 クロスメイデン公国はメナディエル正教を国教とするベルムーテス五公国同盟では唯一、国内での屍族狩りを禁じている。 同国内で屍族を害すれば、罪に問われる。 殺るなら国境を越える前である筈だ。 それに、ただの賞金目当てならもっと殺りやすい相手を選ぶだろう。 同様に国境検閲を容易にすり抜けた時点で、プルミエールの奪還が目的の線も薄い。「私怨の可能性は?」「俺に恨みを持つ存在か。 考えるだけ無駄だな。 そんな奴掃いて捨てるほどいる……お前も含めな」 ラグナウェルの冷涼な美貌に薄い微笑が宿っていた。 次第に速度を上げ、薄暗い脇道を駆け抜ける。 もはや、背後の追跡者は気配を絶っていない。 遠のく喧騒に混じり背後からニ対の足音が迫っていた。 薄暗く入り組んだ路地を走り回るなど、夜目が利く屍族か、土地勘がある者にしか出来ぬ芸当だ。 その点だけでも追跡者の正体を絞り込めた。「まくのは無理だな」 振り切ることが不可能だと判断したラグナウェルの割り切りは早い。 殊更、人通りの少ない方へと足を向け、光りから遠ざかる分岐を選ぶ。 そうして、誘われるように閉ざされた炭坑跡地に辿りつく。 石炭の煤けた臭いが鼻を突いた。「さて、要件を窺うとしようか」 振り向いたラグナウェルがきっかり三拍の心音を数えた時、闇色の世界に二つの人影が姿を現した。<< 前の話 次の話 >>※気まぐれに推敲致します。推敲後の文章はフリーページorHPの方で反映されます。■小説.■ファンタジー.■オリジナル.
2013/04/15
最近とてもいい感じです。知り合いにちょっと発破をかけられたというのもありますが、無駄な拘りを少し捨てることができました。端的に言うと、一次、二次問わず創作は楽しい。
2013/04/12
楽天ブログさまの仕様変更でリンクページがなくなってしまったので私的に優先順位の高いHP(ページ)のリンク表を作っておきました。(※辞書や書籍が手元にない外出時に便利なので)どちらかというと、ファンタジーよりも別所で書いている伝奇を書くときにお世話になっているサイト様が多いかもしれません。後ほどフリーページにリンク表移します。字書き用■■■■■■■■辞書関連■■■■■■■■■Yahoo!辞書■Weblio辞書(類語辞典)■逆引き古語辞典■古文学習ページ■四字熟語データバンク■くろご式 ことわざ辞典■くろご式 慣用句辞典■■■■■■■■Wikipedia■■■■■■■■■季語一覧(Wikipedia)■爵位(Wikipedia)■神の一覧 (Wikipedia)■悪魔の一覧(Wikipedia)■伝説の生物一覧(Wikipedia)■都市伝説一覧(Wikipedia)■病気の別名の一覧(Wikipedia)■人体(Wikipedia)■人間の骨の一覧(Wikipedia)■日本刀一覧(Wikipedia)■宝石の一覧(Wikipedia)■鉱物の一覧(Wikipedia)■日本語の一人称代名詞(Wikipedia)■日本語の方言の比較表(Wikipedia)■■■■■■■■その他■■■■■■■■■武士語に変換もんじろう - 言葉・方言変換サイト■落語検索エンジン「ご隠居」(※花魁風変換)■船戸和弥のホームページ(解剖学)■日本の神話 古事記■欧羅巴人名録■幻想世界神話辞典■ライトノベル作法研究所■文体診断ロゴーン
2013/04/08
初稿:2013.04.06編集:0000.00.00<< 前の話 次の話 >>※血ノ章の本編です4-02【目的】「確かにどうでもいい。 話を戻すぞ」 ラグナウェルが緩慢な動作で前髪をかきあげる。 無駄話に辟易したようだ。「ファナ=アビスは紛れもない不死者だ。 だが、肉体的には不死であろうとも、その魂は違う。 魂の管理者たる“死せざる王”のチカラを借りれば滅ぼすことも可能だろう」 途方もない話ではあるが、神が遺した祭器が現実に存在しているのだ。 手を拱いたまま死神の鎌に首を刈られるより、遥かに現実的だろう。 それに、“神”の存在を説くのは思想や哲学を生業とする者だけの専売特許ではない。 俺のような異常者にこそ相応しいと皮肉るように付け加えた。「ですが、此方の動向を知られた以上、そう易々とことは運ばないでしょう」 それまで押し黙っていたアーネルが苦言を呈する。 オルカザード家の目的がロアの遺跡だと知れた以上、ファナ=アビスは間違いなく最大の障壁となって待ち受けている筈だ。 尚且つ、遺跡を管理するアルル=モア公国も警備を強化することだろう。「今までもそうだったさ。 ロアの湖底に“死せざる王”が眠るという記述をロストワードに見つけるまでは、雲を掴むような話だったからな」 ラグナウェルは口元にうすい微笑を浮かべ周囲を見廻し、「それに、物事は常に表裏一体だ。 俺の目的を知った以上、ファナはアルル=モアから離れることができない。 怪我の功名だが、奴に見えざる楔を打ち込むことで、その動きを封じることができた。 ファナをロアの遺跡から引き剥がす手段を講じるのは全ての準備が整ってからでも遅くはない」「じゃあ、差し当たって考えなくちゃいけないのは、玄室の封印を解く手段かな?」 ラールウェアが端整な顎先に指をかけ小さく呟く。「それとこいつに儀式の手順を叩き込む必要がある。 屍霊術の素養があるとは思えんが、最低限の知識は必要になるだろう。 ラール、お前に任せる」 ラグナウェルは子供をあやすような仕草でプルミエールの短躯を持ち上げる。 人族の少女は最後の干し肉を取り落としてしまい、小さく呻った。「ええー、なんでアタシが……」「プルもヤです。 こんなおバカじゃなくて、ラグナ兄さまがいいです」「それはこっちの台詞よ!」 燻る火種が再発火。 このままお馬鹿の二乗が繰り広げる騒音被害が続けば、マイノムの廃城を引払う時期も早まるだろう。 いわく付きの土地で、夜な夜な若い女の金切り声が聞えてくる。 ありがちな怪談が麓の村で広がれば、良くも悪くも人目を惹いてしまう。 隠れ家としては不適当だ。「お前が適役だろう大賢者殿」「うう、イジメだ」 皮肉るような物言いに、ラールウェアが顔を顰めた。 だが、強くは否定できない。 屍霊の声を子守唄代わりに育ったオルカザード家嫡女が適役なのは自明の理である。 少なくとも、半屍族であるラグナウェルや武人肌なアーネルよりも屍霊術に関する造詣は深い。「くっ、いいわよ。 そーと決まれば手加減抜きでビシバシいくから覚悟しなさいよ」 嫌々ながらも了承した。 下手に拒否して、ラグナウェルの機嫌を損ねることを避けたのだろう。 それに仇敵を目の届く範囲に置いておけば、これ以上出し抜かれる心配もないとの判断だ。「いえいえ、つつしんでおことわりするです♪」「馬鹿プリに拒否権はない。 それとコレを渡しておくわ」 ラールウェアが指を鳴らすと、薄闇に複数の蒼白い燐光が浮かび上がる。 不規則に揺らめく光は、互いに引き寄せあうように収束して、「にゅ、シャル姉さまの首輪!?」 プルミエールの目前の空間に霊環アシュタリータが浮かんでいた。 少女は両手を伸ばし霊環を掴み取る。「着けてもいいけど、馬鹿プリが本当にこの世代の聖女なら外せなくなるから気をつけなさ―――」「うにー、外れません」 既に時遅し、霊環はプルミエールの首元で本来の輝きを取り戻していた。 そして、それは同時にこの人族の少女が聖女の資質者であることを意味する。「ま、まぁ、想定の範囲だからいいわ。 認めたくはないけど、馬鹿プリが聖女の資質を受け継いだのは確かなようだしね」 ラールウェアは小さく息を吐くと、何かを諦めたように瞑目した。「話は決まったようだな。 それでは、日没を待ってアルル=モアを発つ。 準備をしておけ」 ラグナウェルは有無を言わせぬ強い口調で指針を示した。 既にプルミエールがオルカザードの屍族に拐かされた事実は、アルル=モア公女カタリナの耳にも伝わっている筈だ。 お忍びとはいえ、隣国アダマストルの王族が、アルル=モア国内で誘拐されたのだ。 ことが公になれば国際問題に発展するだろう。 加えてアダマストルとアルル=モアの王室には血縁関係がある。 公女カタリナはプルミエールの実父ルクサーの姉である。 つまりふたりは叔母と姪の関係なのだ。 数日以内にアルルーモア全域の検問体制が重度の警戒指標に移行すると推察できる。 更に屍族とは違い、恒常性機能が劣る人族は三日も不飲不食でいれば生命活動に支障をきたす。 夜闇では明かりも必要になるだろう。 なにより、プルミエールと行動を共にする以上、人目は避けられない。 ロアの遺跡の封印を解くことが現時点で不可能だとわかった今、これ以上ここに留まる利点はなかったのである。<< 前の話 次の話 >>※気まぐれに推敲致します。推敲後の文章はフリーページorHPの方で反映されます。■小説.■ファンタジー.■オリジナル.
2013/04/07
初稿:2013.04.06編集:0000.00.00<< 前の話 次の話 >>※血ノ章の本編です4-02【目的】 朽ちた灰色の世界にプリウスの甘い芳香が漂う。 正面の褥に筋肉質で引き締まった痩身を晒すラグナウェルの姿。 実年齢は十六歳の少年である筈だが、その肉体は既に成人男子の屈強な体躯を誇っていた。 ルドルフ=オルカザードとの同化が進んでいる証であろう。「理解したか?」 ラグナウェルの言葉に反応して、彼の膝の上で小さな影がもぞもぞと動く、「うにゅ、プルはお寝坊な“ぐらナントカ”をたたき起こせばいいのですね」 プルミエールが燻製肉を口いっぱいに頬張ったまま器用に喋る。 咀嚼と発声があべこべなので、一見すると奇抜な腹話術のようだ。 もっとも、関わると面倒そうなので誰も突っ込まない。 結果として、調達した糧食の大半が、この小さな大食漢の胃袋に収まろうとしていた。 頬を引き攣らせるラールウェアとは対照的に、アーネルの口元には微笑の影がある。「そんなところだ」 ラグナウェルが瑠璃杯を傾けて貴紅酒を呷る。「このお馬鹿、ぜったいわかってない」 忌々しそうに腕を組んだラールウェアが一言。 此方は数刻前、プルミエールとの陣取り合戦に負け、定位置を奪われて気もそぞろである。「バカって言うほうがバカです」「アタシがバカ!? 若干五歳で第三圏の屍霊術を自在に操り、オルカザードの至宝、大賢者イグリナートの再来と讃えられたこのアタシが?」 ラールウェアが白銀髪を逆立てて、不当な主張の撤回を要求する。「ふふーん、プルだって五歳のときからアリアリをあやつり、アダマストルのさいやく(災厄)、ぼうてい(暴帝)ナントカのさいらいとにっきに書かれたです」 研鑽と称賛の過去にただの陰口で対抗するお馬鹿。 無論、本人はそう思っていない。 先ほどから、幾度も繰り返されている無生産なやり取りである。 加えて、基本、無関心のラグナウェルと、このやり取りを何処か楽しんでいる風があるアーネル。 外野の二人が傍観を決め込んでいる為、収拾がつかない。「お義兄様は命を狙われているの。 いざその時になって、知らなかったじゃすまない問題なんだからね」「なぬ、ホントーですか?」 プルミエールが眉根を曇らせてラグナウェルを見上げる。「ああ、俺の命を狙っているのはファナ=アビス。 クソ親父の屍血姫だった女だ。 いや、今もそうあり続ける亡霊といったところか」 ラグナウェルが忌々しそうに瑠璃杯を壁際に投げつけた。 “屍血姫”とはエルダーと称される二十二家に名を連ねる大屍族に永遠の忠誠と隷属を誓う下僕である。 その存在は定められた役割によって大きく2つに分けられている。 ひとりは、主人の剣となるべき存在。 それは“屍姫(屍鬼)”と呼ばれ、太古の契約により半恒久的な生命を得た不死者の従僕である。 もう一方は、主人の欲望を満たすべくその身を捧げる存在。 こちらは“血姫(血鬼)”と呼ばれ、自らの血を捧げる呪約と共に不老を得た従僕である。「半屍族であるお義兄様が魔術師の血統アルカナを継承するには、お父様の存在そのものを取り込むしか方法がなかったの。 その時は考えもしなかったけど、お義兄様の中でお父様が生き続けている限り、その屍姫であるファナ=アビスは不死であり続ける。 つまり、アタシたちは不死身の復讐者に命を狙われているわけよ」 エルダーと屍血姫の間には、単純なる隷属関係を除けば、主従関係以上の絆が生まれることがある。 ルドルフとファナの関係は後者であったようだ。「そして最悪なのは、ファナ=アビスとお父様との間に結ばれた血の契約を解かない限り、アタシはいつまで経ってもお義兄様の屍血姫になれず仕舞いってところ」 ラールウェアの声は苦々しげである。 新たな屍血姫の選出は、渇きの継承によって血統アルカナが受け継がれた場合と、従属する屍血姫に欠員がでた場合に限られていた。「俺がクソ親父の魂魄を完全に制圧しても、ファナ=アビスとの間に結ばれた血約が解消される保障はない。 故に、あのトチ狂った復讐者に対抗する手段が必要なわけさ」「プルのラグナ兄さまをイジメルなんてユルさないです。 コテンパンにするです!」 プルミエールがぷにっと軟らかそうな両頬を膨らませて怒気を顕にする。 心なしか頭の左右で結われている金髪が逆立ってみえた。「いつから馬鹿プリのモノになったのよ。 お義兄様はアタシのモノって十六年前から決まっているのよ」 ラールウェア命名―――お馬鹿なプリンセス、略して馬鹿プリ。 この先、一生涯付き合う羽目になる蔑称が誕生した瞬間であった。 後日談で、当時は名を呼ぶこともおぞましかったと苦々しく語られることになる。「それならプルは十七年前から決まっていました」「ふふん、実はアタシは十八年だったのよ。 ていうか、十七年前じゃ、馬鹿プリもお義兄様も、生まれてないでしょ」 そして、再現する 罵倒の応酬。 売り言葉に買い言葉、倫理や常識さえも捨て値で投売り状態だ。 既に厳守すべき最低限の事象さえ超越していた。「そんなことどうでもいいのです。 だいじなのはラグナ兄さまがプルのだってことです」<< 前の話 次の話 >>明日に続きもUPできると思います。※気まぐれに推敲致します。推敲後の文章はフリーページorHPの方で反映されます。■小説.■ファンタジー.■オリジナル.
2013/04/06
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