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“運命の輪”(フェイトリング)の説明不足を補いました。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■月ノ章 2-00【呪地】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 船上でミュークが危惧した通り、夜の眷属である竜鳥は、嘗て主人であった大屍族ベルムード三世と同様の負の魂に惹かれているようだ。★↓推敲↓★ 船上でミュークが危惧した通り、夜の眷属である竜鳥は、嘗て主人であった大屍族ベルムード三世と同類である負の魂に惹かれているようだ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ その場で急かすように足踏みをするレムリア。★↓推敲↓★ レムリアがその場で急かすように足踏みをする。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「嘗て、ここら一帯は緑溢れる肥沃な大地だったと母上から伺ったことがある。 聖剣戦争末期、ベルムード三世が滅び際に放った呪詛が、この地の生きとし生けるもの全てを呑みこんだとされておる」★↓推敲↓★「嘗て、ここら一帯は緑溢れる肥沃な大地だったと母上から伺ったことがある。 聖剣戦争末期、ベルムード三世が滅び際に放った呪詛が、この地の生きとし生けるもの全てを呑みこんだそうじゃ」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■月ノ章 2-01【灯台】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ミュークが己の胴回りはありそうな金属柱をたおやかに撫で上げる。 そして、斬撃により劈開した破面に宛がった指先を、徐に口に含んだ。★↓推敲↓★ ミュークが己の胴回りはありそうな金属柱を、たおやかに撫で上げる。 そして何を思ったか、斬撃により劈開(へきかい)した破面に宛がった指先を、徐に口に含んだ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ そうはさせじとプルミエールの足首を掴み動きを封じるミューク。★↓推敲↓★ そうはさせじと、ミュークがプルミエールの足首を掴み動きを封じる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ プルミエールは引っ手繰るようにレムリアからショーツを奪い返す。 そして、その小さな布切れを跨ぎ穿き、聖職衣の内側で剥き出しの股間へと引き上げた。 どうやら、多少の羞恥心はあるらしい。★↓推敲↓★ プルミエールは引っ手繰るようにレムリアからショーツを奪い返す。 それから、顔を赤らめたまま聖職衣の内側でモゾモゾと、小さな布切れを剥き出しの股間へと引き上げた。 どうやら、多少の羞恥心はあるらしい。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■月ノ章 2-02【灯台】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ レムリアもミュークと同様の結論が帰結に到ったようである。★↓推敲↓★ レムリアもミュークと同様の論理的帰結に到ったようである。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■月ノ章 2-03【灯台】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ “運命の輪”の少年は人懐っこい笑顔でミュークを迎えていた。 黄昏色の頭髪から覗く尖った耳端に白蝋の肌、妖精族と屍族の特徴を併せ持った特異な容姿である。★↓推敲↓★ “運命の輪”の少年は人懐っこい笑顔でミュークを迎えていた。 黄昏色の前髪から覗くつり目気味の目元に尖った耳端、輝くような白蝋の肌は妖精族と屍族の特徴を併せ持った特異な容姿である。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ―――そう、ボクが狐で屍族のお姉さんは狩る側である狩猟者。 どう、わかり易い構図でしょ?★↓推敲↓★ ―――そう、ボクが狐で屍族のお姉さんは狩猟者。 どう、わかり易い構図でしょ?■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 血統アルカナの試練には幾つかの系統がある。 守護者の打倒や知恵比べなどが最も典型的な例だが、資格者として認められる為に、一風変わった条件を突き付けられることもある。★↓推敲↓★ 血統アルカナの試練には幾つかの系統がある。 守護者の打倒や知恵比べなどが最も代表的な例だが、資格者として認められる為に、一風変わった条件を突き付けられることもある。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ―――それが三つ目だよ。 この空間では相手に名指しされると、“運命の輪”(フェイトリング)に拘束される。 ちなみに、これは狐と狩猟者、どちらにも適用される不文律★↓推敲↓★ ―――それが三つ目だよ。 この空間では自分以外の誰かに名指しされると、“運命の輪”(フェイトリング)に拘束される。 ちなみに、これは狐と狩猟者、どちらにも適用される不文律■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ―――物理的な力で、フェイトリングは断ち切れないよ。 ボクでさえ、それに捕まったら解呪の言霊を唱えない限り逃れられない★↓推敲↓★ ―――物理的な力で、フェイトリングは断ち切れないよ。 例え空中に居ても、その場で拘束されて空中磔状態さ。 もっとも、外部からの圧力で移動することは可能だから、言うなれば無重力に近いかな。 どちらにしても、ボクでさえ、それに捕まったら解呪の言霊を唱えない限り逃れられない■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ “運命の輪”の少年は軸棒を基点に一回転して、頭上から躍り掛かるプルミエールをやり過ごす。★↓推敲↓★ “運命の輪”の少年は軸棒を基点に一回転して、頭上から躍り掛かる人影をやり過ごす。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ “運命の輪”の少年は、肉薄したプルミエールのハチャメチャな多段攻撃を、跳ねて舞って転がって、どうにかやり過ごす。★↓推敲↓★ “運命の輪”の少年は、肉薄したプルミエールのハチャメチャな多段攻撃を、跳ねて屈んで転がって、どうにかやり過ごす。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 手近な丸穴車に飛び乗ったプルミエールに、巻き上げ機の軸棒が直撃。 解読不明な悲鳴が重層旋盤が奏でる金属音に吸い込まれる。★↓推敲↓★ 手近な丸穴車に飛び乗ったプルミエールに、巻き上げ機の軸棒が直撃。 解読不明な悲鳴が重層旋盤の奏でる金属音に吸い込まれる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■『まさか、あんなワナがあるとは……』 流石に堪えたらしく、起き上がってくる気配は無い。★↓推敲↓★『まさか、あんなワナがあるとは……』 横たわったまま苦しげな呻き声。 流石に堪えたらしく、起き上がってくる気配は無い。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ミュークは傍らに佇むプルミエールの身体を徐に担ぎ上げる。 そして、振り子の鉄球が最高速に到達する半円の下頂点に差し掛かった瞬間、“それ”を無造作に投げつけた。★↓推敲↓★ ミュークは傍らに佇むプルミエールの身体を徐に担ぎ上げる。 そして、最遠点から振り落ちた鉄球が、最高速に到達する半円の下頂点に差し掛かった瞬間、“それ”を無造作に投げつけた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ インクル・ノス・クルンが当惑気味の視線をミュークへと移す。★↓推敲↓★ インクル・ノス・クルンが当惑気味の視線をミュークへと戻す。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2013/05/31
とりあえずシャルロット編二幕の推敲は終了です。二重敬語を自然に使う自分が怖い。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■光ノ章 2-05【追跡】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ファティマ・イスが黒布の隙間から呆れたようにひと睨みする。★↓推敲↓★ ファティマ・イスが、顔を覆った黒布の隙間から呆れたようにひと睨みする。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「それでは行きましょうか」★↓推敲↓★「それでは参りましょうか」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ファティマ・イスはぽかんと口を開けたまま突っ立ているシャルロットを促すと、自らは拘束したエドゥアルトを引き摺るように歩を進める。★↓推敲↓★ ファティマ・イスはぽかんと口を開けたまま突っ立ているシャルロットを促すと、自らは拘束したエドゥアルトを押し出すように歩を進める。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 唐突に、制止の声が降りそそぐ。 大股で歩み寄る声の主は、肥えた身体を大きく揺らしながら一行の眼前に立塞がる。 その肥満体を士官階級に支給される教会衣で窮屈そうに押し包み、胸元には准尉の記章が確認できた。★↓推敲↓★ 案の定、制止の声が降りそそぐ。 大股で歩み寄る声の主は、肥えた身体を大きく揺らしながら一行の眼前に立塞がる。 士官階級に支給される教会衣の胸元には准尉の記章が確認できた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■光ノ章 2-06【聖堂】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シャルロットは我が目を疑った。 聖堂内にミルフィーナの姿は無く、そればかりか一片の人影すら確認できなかったからである。★↓推敲↓★ シャルロットは我が目を疑った。 聖堂内にミルフィーナの姿は無く、無人の空間と化していた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ しかし、女枢機卿にひと睨みされると、逃げるように立ち並ぶ大柱の間をすり抜けて側廊へと消えた。★↓推敲↓★ しかし、女枢機卿にひと睨みされると、そそくさと側廊へと消えた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ それは先刻、エドゥアルトがファティマ・イス当人に質した問いと同様のものである。★↓推敲↓★ それは先刻、エドゥアルトがファティマ・イス当人に質した内容と同様のものである。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「その通りです。 そして、警備上の観点からこの場所が最も相応しいのは理解できます。 ですが聖女様は、今現在何処に聖下のご遺体が安置されているのかをご存知ですか?」★↓推敲↓★「その通りです。 しかし、神都には幾つもの聖堂が存在します。 わたくしが疑問に感じたのは、なぜレムギザロス大聖堂でなければならなかったのか、その理由です。 聖女様は、聖下のご遺体が埋葬されるまでの間、何処に安置されているのかをご存知ですか?」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■光ノ章 2-07【神韻】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 闇の中に火花が散り、手提げ角灯を持つエドゥアルトを中心に周囲の闇が切り取られた。★↓推敲↓★ 闇の中に火花が散り、手提げ角灯を持つエドゥアルトを中心に周囲の闇が切り取られた。 石階段の先には、重厚な石製の回廊が暗闇へと延びていた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「鉱石成分に蛍石を含有しているのだと思います。 ルブリス島一帯は西大陸でも最大の蛍輝石の産出地でもあると、ヴィルヘルム先生が仰っておられました」 シャルロットがエドゥアルトの抱いた疑問に対して博識振りを披露する。★↓推敲↓★「鉱石成分に蛍石を含有しているのだと思います。 ルブリス島一帯は西大陸でも最大の蛍輝石の産出地でもあると、ヴィルヘルム先生が言っておられました」 シャルロットが師の受け売りで博識振りを披露する。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 蛍輝石は、その特質から様々な分野で利用される希少価値の高い鉱物だけに、青年の考察は当らずも遠からずといったところだろう。★↓推敲↓★ 蛍輝石は、その特質から様々な分野で活用される希少価値の高い鉱物だけに、青年の考察は当らずも遠からずといったところだろう。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ げんなりと返すエドゥアルトの愚痴を受け流すと、ファティマ・イスの視線は物欲とは別の場所、目近な鍾乳石の一柱へと向けられる。★↓推敲↓★ げんなりと返すエドゥアルトの愚痴を、ファティマ・イスは軽く受け流した。 既にその視線は物欲とは別の場所、目近な鍾乳石の一柱へと向けらている。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 岩肌から滴り落ちる水音と蛍輝石の鼓動との共鳴は、まるで巨大な生物の体内にいるかのような錯覚を抱かせた。★↓推敲↓★ 岩肌から滴り落ちる水音と蛍輝石の鼓動が共鳴して、まるで巨大な生物の体内にいるかのような錯覚を抱かせた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ まるでそれを楽しみに待ち焦がれているようなエドゥアルトの口振りである。 一方、廟内の神韻縹渺たる雰囲気に呑まれたシャルロットの口数は減り、半刻が過ぎた頃には完全に押し黙っていた。 元々多弁とはいい難いが、整然と張り詰めた空気が齎す緊張感にあてられたようである。 それは隣を歩くファティマ・イスも同様だった。★↓推敲↓★ エドゥアルトの口振りは、厄介事を待ち焦がれているようにも聞えた。 一方、廟内の神韻縹渺(しんいんひょうびょう)たる雰囲気に呑まれたシャルロットの口数は減る一方だ。 元々多弁とはいい難いが、整然と張り詰めた空気が齎す緊張感にあてられたようである。 それは隣を歩くファティマ・イスも同様だった。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 何処か舌足らずな幼い声と共に、それは現れた。 紅と黒の斑な長衣を纏い額部分に異なる数列を刻む円錐状の黒覆面を被る三つの人影。 中央で紗幕を被せた鳥籠のようなものを大事そうに抱えている人物は、曲線を帯びた体型から女性体と判別できた。 その両脇の二人は恐らく男性体であろう。 右に異様に長い手足を備える長躯の者、左に巨人族と見紛う巨躯の持ち主。 共に人間の範疇を遥かに逸脱した個体変異をその肉体に宿している。★↓推敲↓★ 何処か舌足らずな幼い声と共に、それは現れた。 紅と黒の斑な長衣を纏った人影。 曲線を帯びた体型から女性体と判別できた。 包帯に覆われた両手で、紗幕を被せた鳥籠のようなものを大事そうに抱えている。 更にその後ろから、二つの影が浮かび上がる。 此方の二人は男性体であろう。 右に異様に長い手足を備える長躯の者、左に巨人族と見紛う巨躯の持ち主。 共に人間の範疇を遥かに逸脱した個体変異をその肉体に宿していた。 性別の確認が困難な理由は、三人共に異なる数列を刻む円錐状の黒覆面で、頭部を覆い隠しているからである。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ エドゥアルトの背後からファティマ・イスが博学多才振りを披露する。★↓推敲↓★ エドゥアルトの背後からファティマ・イスが警戒を促す。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ファティマ・イスが聖職者らしく、精神論を持ち出してきた。★↓推敲↓★ ファティマ・イスが聖職者らしく、精神論を持ち出してきた。 すると、前を歩く青年の脚が、唐突に静止する。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ファティマ・イスはシャルロットを引き摺るように数歩後退する。★↓推敲↓★ ファティマ・イスはシャルロットを庇うように数歩後退する。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 意を決したエドゥアルトが細剣の柄を逆手に持ち直した瞬間―――前方から凄まじい鬼気が放たれる。 蛇に睨まれた蛙の如く、エドゥアルトは身動きがとれない。★↓推敲↓★ 意を決したエドゥアルトが細剣の柄を逆手に持ち直した瞬間―――前方から凄まじい鬼気が放たれる。 蛇に睨まれた蛙の如く、青年の動きが止まる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■光ノ章 2-08【首人】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 軽薄に返すエドゥアルト。★↓推敲↓★ エドゥアルトが軽薄に返す。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2013/05/30
最近、夜寝る前に「ロミオの青い空」と「レ・ミゼラブル 少女コゼット」を交互に見てます。前にも書いたけど、どちらの作品も5本指に入るぐらい好きです。近年、この手の作品になかなか出会えなくて寂しいです。小説だと、乾石智子先生の「夜の写本師」は面白かったけどね。
2013/05/30
推敲を遂行し……(*゚□゚)ノ*゚□゚)ノ*゚□゚)ノ☆)`ν゚)・;'.、クハッ!!■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■光ノ章 2-02【我意】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シャルロットは大きく息を吸い、そして吐く。 それから徐に鉄の門扉に手を掛けると、ひとつの決意と共にそれを押し開いた。「これはこれは、いったい何所にいかれるのかな?」 金属の軋む音に混じり不意に湧き上がる声。 煉瓦の門柱の陰から赤と紫の奇抜な衣装に身を包んだエドゥアルトが現れる。★↓推敲↓★ シャルロットは大きく息を吸い、そして吐く。 身体を預けるように鉄の門扉を押し開くと、金属の軋む音が周囲に響く。「これはこれは、いったい何所にいかれるのかな?」 少女の横合いから不意に湧き上がる声。 煉瓦の門柱の陰から赤と紫の奇抜な衣装に身を包んだエドゥアルトが現れる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ だが、シャルロットの返答は素っ気無い。 エドゥアルトの容貌どころか存在自体に興味が無いらしい。 いや、少女の眉間に寄った皺が増えたことからも、不届きにも神仏を引き合いに自讃を繰り広げる青年に対する不信感が募ったようである。★↓推敲↓★ だが、シャルロットの返答は素っ気無い。 エドゥアルトの容貌どころか存在自体に興味が無いらしい。 いや、少女の眉間に寄った皺が増えたことからも不信感が募っているようだ。 不届きにも神仏を引き合いに自讃を繰り広げたことが災いしたのだろう。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シャルロットは語尾を荒げると、エドゥアルトを睨みあげた。★↓推敲↓★ シャルロットが語尾を荒げて、エドゥアルトを睨みあげた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シャルロットの脚が聖女という単語に反射的に止まってしまう。★↓推敲↓★ シャルロットの脚が反射的に止まる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ エドゥアルトは自暴自棄になりつつあるシャルロットの二の腕を鷲掴み動きを封じる。★↓推敲↓★ エドゥアルトはシャルロットの二の腕を鷲掴み動きを封じる。 少女の行為は、明らかに冷静さを欠いていた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「現在、老卿がさる人物と密かに連絡をとっている。 話によるとシャルロット姫の目的を遂げるには必要不可欠な人材らしいが―――」★↓推敲↓★「現在、老卿がさる人物と密かに連絡をとっている。 話によると、娘子軍の団長殿を救出するには必要不可欠な人材らしいが―――」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「どうだい、俺の話を聞きたくないかい?」★↓推敲↓★「どうだ、俺の話を聞きたくなったかい?」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■光ノ章 2-03【涜聖】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「聖宮内警備の不備や亡き聖下の名誉を守る為にも、信徒の感情を鎮める最善の策としての付加刑です。 もっとも、先に主席意枢機卿が述べられた裏の理由も、抜け目のない古老たちなら言わずとも知れたものでしょうから、元老院の抱く危惧を煽るには十分過ぎますわね」★↓推敲↓★「聖宮内警備の不備や亡き聖下の名誉を守る為にも、信徒の感情を鎮める最善の策としての付加刑です。 もっとも、先に主席意枢機卿が述べられた裏の理由も、抜け目のない古老たちなら言わずとも知れたものでしょう。 故に元老院の抱く危惧を煽るには十分過ぎますわね」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 要するにヴィルヘルムは、そういった流説に対する事前策だと言いたいのだろう。「元老院がそれを望んだのですか?」 シャルロットが義憤を押し殺した声音で尋ねる。 確かに教会にとって都合の悪い噂の流布は好まざるところであろう。 しかし、古老たちは教皇の死に関連する何らかの真実を秘匿せんと目論んでいる節があった。 その当事者であるミルフィーナが民衆の前に姿を晒すことは別種の危険性を孕んでいる筈である。「いいえ、先程も申しましたが、この件に関しては私の独断ですわ」 シャルロットが吐き出した疑問をファティマ・イスが受ける。「聖宮内警備の不備や亡き聖下の名誉を守る為にも、信徒の感情を鎮める最善の策としての付加刑です。 もっとも、先に主席意枢機卿が述べられた裏の理由も、抜け目のない古老たちなら言わずとも知れたものでしょうから、元老院の抱く危惧を煽るには十分過ぎますわね」★↓推敲↓★ 要するにヴィルヘルムは、そういった流説に対する事前策だと言いたいのだろう。 確かに教会にとって都合の悪い噂の流布は好まざるところであろう。「元老院がそれを望んだのですか?」「いいえ、先程も申しましたが、この件に関しては、わたくしの独断ですわ」 シャルロットが吐き出した疑問をファティマ・イスが受ける。「聖宮内警備の不備や亡き聖下の名誉を守る為にも、信徒の感情を鎮める最善の策としての付加刑です。 もっとも、元老院が教皇の死に関連する何らかの真実を、秘匿せんと目論んでいるのならば、その当事者であるミルフィーナ卿が民衆の前に姿を晒すことは別種の危険性を孕んでいる筈ですわ。 故に元老院の抱く危惧を煽るには十分過ぎますわね」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■光ノ章 2-04【慫慂】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 教皇選挙は前教皇の死後、その喪明けを経てレムギザロス大聖堂で行われる。★↓推敲↓★ 教皇選挙は前教皇の死後、その喪明けを経て白の間で行われる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ファティマ・イスはそこで一端言葉を切ると、シャルロットに目線で問い掛けるように続けた。★↓推敲↓★ ファティマ・イスはそこで一端言葉を切ると、子供を諭すように続けた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2013/05/29
二幕から少しは修正箇所が減るかなと、淡い期待を抱いていましたが、見事に打ち砕かれました。う~む、しっかり推敲せねば……■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■光ノ章 2-00【老卿】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シャルロットの狼狽した声が執務室の空気を震わせた。 それは室内を囲むように備え付けられた書架を揺るがす程の感情の乱れだった。「落ち着きなされ」 優雅な曲げ木を誂えた揺り椅子に腰掛けた白髪の老人が、手に持った書物から視線をあげて少女を嗜める。 年輪じわの刻み込まれた彫りの深い顔を彩るのは、包み込むような深蒼の瞳に意志の強そうな口元と長い顎鬚。 高い鼻筋に斜めに挟み込むようにのせられた眼鏡が印象的であった―――ヴィルヘルム・アンスバッハ首席枢機卿、その人である。★↓推敲↓★ シャルロットの狼狽した声が、執務室の空気を震わせた。 少女の視線は、優雅な曲げ木を誂えた揺り椅子に座る人物へと向けられている。「落ち着きなされ」 白髪の老人が、手に持った書物から視線をあげて少女を嗜める。 年輪じわの刻み込まれた彫りの深い顔を彩るのは、包み込むような深蒼の瞳に端厳な口元と長い顎鬚。 高い鼻筋に挟み込むようにのせられた眼鏡が印象的であった―――ヴィルヘルム・アンスバッハ首席枢機卿、その人である。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ もっとも、精神的なゆとりを著しく欠いた人間相手では逆効果である。 激昂したシャルロットはヴィルヘルムに詰め寄ろうとするが、床上に乱雑に積み上げられた蔵書に足を取られよろめいてしまう。★↓推敲↓★ シャルロットが激昂する。 精神的なゆとりを著しく欠いた人間相手では逆効果であったようだ。 少女はヴィルヘルムに詰め寄ろうとするが、床上に乱雑に積み上げられた蔵書に足を取られよろめいてしまう。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「老卿の肝っ玉は図太いを通り越して鈍感なんですよ」 偏屈の塊のようなヴィルヘルムが初めて取った直弟子。 それがこの若者だった。「エドゥアルト、お前は黙っておれ」 ヴィルヘルムがしかめっ面で窘めると、青年はそそくさと書斎の隅に退散する。 元から深入りするつもりはないようである。★↓推敲↓★「老卿の肝っ玉は図太いを通り越して鈍感なんですよ」「エドゥアルト、お前は黙っておれ」 偏屈の塊のようなヴィルヘルムが初めて取った直弟子―――エドゥアルト・ラガ・ディファル。 それがこの若者の名前だった。 ヴィルヘルムに睨まれると、青年はそそくさと書斎の隅に退散する。 元から深入りするつもりはないようである。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 人間ではない……そう続けようとして言葉を呑み込むシャルロット。 教皇が屍族との間に“渇きの契約”をしていた真実を明かせば、自分が聖女でないという事実までも公になるかもしれない。 いや、そのような突拍子もない話など気狂いじみた妄言と捨て置かれるのがおちである。★↓推敲↓★ 人間ではない……そう続けようとして、シャルロットは言葉を呑み込む。 教皇が屍族との間に“夜の契約”をしていた真実を明かせば、自分に聖女の資質がないという事実までも公になるかもしれない。 いや、そもそもそのような突拍子もない話など、気狂いじみた妄言と捨て置かれるのがおちである。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「それより一杯どうじゃな?」★↓推敲↓★「それより一杯どうじゃな? そう頭に血が上っておっては、良案も浮かばぬからの」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■光ノ章 2-01【籠姫】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ エドゥアルトは横抱きにしたシャルロットを隣室へと運びながら苦笑する。 ヴィルヘルムが差し出した香草茶に睡眠薬が混入されていたらしく、シャルロットは強制的に夢の中の住人であった。 青年は半ば呆気にとられながらも、師の大逸れた行動に感嘆の息を漏らしていた。★↓推敲↓★ エドゥアルトは腕の中の眠り姫を見下ろして苦笑する。 ヴィルヘルムが差し出した香草茶に睡眠薬が混入されていたらしく、シャルロットは強制的に夢の中の住人であった。 青年は半ば呆気にとられながらも、師の指示に従い少女を隣室へと運び込む。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「まだ、おやすみの接吻がまだなのだが?」★↓推敲↓★「おやすみの接吻がまだなのだが?」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ そもそもが、自己の不徳が招いた結果なので従わざるを得ない。★↓推敲↓★ そもそも自己の不徳が招いた風評なので、不満の行き場がない。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「だが、幸か不幸か、あの如何にも頼りなげな姫君が、聖女の名を冠するに相応しい人物であるのなら、長い付き合いになるかもしれんな」★↓推敲↓★「だが、幸か不幸か、あの如何にも頼りなげな姫君が、真に聖女の名を冠するに相応しい人物であるのなら、長い付き合いになるかもしれんな」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 幼少期に幾度か形式的な対面を果たしてはいたが、母親は籠姫として後宮に幽閉された我が子に進んで会おうとはしなかったのである。★↓推敲↓★ 幼少期に形式的な対面を果たしてはいたが、それも数えるほどだ。 母親は籠姫として後宮に幽閉された我が子に進んで会おうとはしなかったのである。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2013/05/28
こっちに時間を割きすぎて、伝奇の方が雑な更新になっている今日この頃。別HNで独立しているから、ここの推敲が忙しいとか書けないのです。仕事が忙しくてーとか言い訳してるけど(∀`*ゞ)テヘッ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■月ノ章 1-04【妹姫】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「御免するのじゃ」 ミュークは突然の乱入者に目を丸くする金髪の少女に向き直る。 腕を伸ばしてドレスの胸元を掴むと、力任せに引き裂いた。★↓推敲↓★「御免するぞよ」 短く言うと、ミュークは突然の乱入者に目を丸くする金髪の少女に手を伸ばし、ドレスの胸元を力任せに引き裂いた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 聖女アルジャベータの血と力を最も色濃く宿すリュズレイの一族に誕生した嫡女は、赤子の砌から成人の儀を行う十六歳の誕生日を迎えるまで霊環を外すことを許されない。★↓推敲↓★ 聖女アルジャベータの末裔でもあるリュズレイの一族の嫡女は、生まれてすぐに霊環を首に填めることを義務付けられる。 その後、成人の儀を執り行う十六歳の誕生日を迎えるまで、霊環を外すことを許されない。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ もっとも、差し当たり実害はないと判断したのだろう。 本来の目的の方はあっさりと口外していた。 ★↓推敲↓★ もっとも、差し当たり実害はないと判断したのだろう。 商王の目的をそれと決め付けた上で口外する。 一定の説得力を持たせる為には仕方が無い。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■月ノ章 1-05【脱出】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 警鐘が掻き鳴らされる度に、教会船の空気が徐々に張り詰めていった。★↓推敲↓★ 警鐘が掻き鳴らされる度に、教会船に漂う空気が徐々に張り詰めていった。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ミュークは窓辺を彩る紗布を数枚、力任せに引き抜く。 そして、布端を手際よく結び付けて縄状の束に仕上げる。「これでよいじゃろう」 ミュークは満足そうに頷くと、両手に布束を抱えたまま露台へと続く硝子扉を開け放つ。★↓推敲↓★ ミュークは窓辺を彩る紗布を数枚、力任せに引き抜くと、それらを手際よく結び付けて縄状の束に仕上げる。 念入りに結び目の強度を確認した後、布束を引きずりながら露台へと運ぶ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ だが、一方で不幸を呼び寄せる妙な資質がある為に、突如現れた怪鳥の胃袋に収まっている可能性も捨てきれない。★↓推敲↓★ だが、一方で不幸を呼び寄せる妙な体質である為に、突如現れた怪鳥の胃袋に収まっている可能性も捨てきれない。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ルムファムはこくりと頷くと、露台から幅広の欄干にふわりと飛び乗る。 次の瞬間、その姿は闇に溶けて忽然と消えていた。 ミュークは上甲板を注視するが、夜の闇をも見通せる屍族の暗視能力も、陰鬱な霧に閉ざされた空間では大して役には立たなかった。★↓推敲↓★ ルムファムはこくりと頷くと、幅広の欄干にふわりと飛び乗る。 そのまま躊躇することなく、下方に広がる闇に溶けて消えた。 ミュークが上甲板を見下ろすが、夜の闇をも見通せる屍族の暗視能力も、陰鬱な霧に閉ざされた空間では大して役には立たなかった。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ミュークは少女の望みを引き合いに説き伏せようと試みる。★↓推敲↓★ ミュークは少女の希望を引き合いに説き伏せようと試みる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「今しばらくの辛抱じゃよ。 それで人族の娘よ、其方はこれを使い下に降りのじゃ。 今、欄干に括りつける故、そこで大人しく待っておれ」 ミュークは布束を掲げると、命綱を用意する為に露台欄干へと歩み寄る。「うにゅ。 わかりました―――とうっ!!」 可愛らしい気合声。 振り向いたミュークが止める間も無くプルミエールは宙に身を躍らせていた。 特等船室は船央楼の最上階、上甲板から数えれば三階の高さに位置する。 そのような高みから、生身の人間が飛び降りて無事で済むわけがない。★↓推敲↓★「今しばらくの辛抱じゃよ。 それで人族の娘よ、其方はこれを使い下に降り―――」「うにゅ。 わかりました―――とうっ!!」 皆まで聞かず、可愛らしい気合声。 それは、布端を欄干に括りつけて、命綱を用意するミュークの真横から聞えた。 振り向いたミュークが止める間も無く、プルミエールは宙に身を躍らせている。 特等船室は船央楼の最上階、上甲板から数えれば三階の高さに位置する。 そのような高みから、生身の人間が飛び降りて無事で済むわけがない。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ プルミエールが楽しげな声で訊ねてくる。★↓推敲↓★ プルミエールが楽しげな声で訊ねてくる。 怯えて泣き叫ばれるよりはましだが、緊張感が皆無なのは、それはそれで調子が狂う。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 巨大な嘴の間から、此方も聞き慣れた声。 ミュークは竜鳥の口内から漂う悪臭に顔を顰めながらも、中からレムリアを引っ張り出す。★↓推敲↓★ よく見ると、巨大な嘴の間から小さな手が突き出ていた。 ミュークは竜鳥の口内から漂う悪臭に顔を顰めながらも、中からレムリアを引っ張り出す。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 少し憮然とした口調で返すミューク。★↓推敲↓★ ミュークが少し憮然とした口調で返す。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 今し方居合わせた位置に主柱の物見台から投光が投げかけられていた。★↓推敲↓★ 今し方居合わせた位置に、物見台の投光器から光りが照射されていた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 驚いたレムリアが駆け寄ろうとするが、ミュークはそれを手で制した。『我が血の一滴は、不滅なる契約となりろう』 ミュークは胸元に垂れ落ちた血液を指先で拭うと、それを竜鳥の躯に塗りつける。 すると、竜鳥の巨躯が痙攣するように蠢き、牙を抜かれたように大人しくなる。「命じる―――ワチキを最寄の陸地へと運ぶのじゃ」 ミュークの両眼が冥紅に染まっていた。 血統アルカナ“女教皇”の三能力の中でも最たる力を宿す“精神操作”である。 この能力は術者の血液を触媒に、絶大なる強制力を対象の精神に植付けるものであった。★↓推敲↓★ 驚いたレムリアが駆け寄ろうとするが、ミュークはそれを手で制した。『我が意は汝の意となり―――』 ミュークは胸元に垂れ落ちた血液を指先で拭うと、それを竜鳥の躯に塗りつける。『我が血の一滴は不滅なる契約となりろう』 ミュークの両眼が冥紅に染まっていた。 魅入られたように竜鳥の巨躯から力が失われる。 一連の秘儀は、血統アルカナ“女教皇”の三能力の中でも最たる力を宿す“精神操作”である。 この能力は術者の血液を触媒に、絶大なる強制力を対象の精神に植付けるものであった。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「どうじゃ、なかなかに爽快な脱出劇じゃろう」「行き当たりばったりの間違いではないですか」 レムリアが珍しく明確な反論に転じる。「だいたいレムの失態が原因なのじゃから。 見苦しいぞよ」★↓推敲↓★「どうじゃ、なかなかに爽快な脱出劇じゃろう」「行き当たりばったりの間違いじゃ……」「何を申す。 そもそもレムの失態が原因なのじゃから。 見苦しいぞよ」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2013/05/26
物語の大部分が数年前に書いたものなので、あまりにも酷い描写は大幅に書き換えますが、基本は誤字脱字や、細かな言い回しの整合性のチェックが殆どです。 本当は、全文書き直したい気持ちもあるのですけどね。推敲はできるだけ早めに切り上げて、続き書きたいです。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■月ノ章 1-02【聖船】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ レムリアは矢継ぎ早に論証の根拠を並べ立てる。★↓推敲↓★ レムリアは矢継ぎ早に論証を並べ立てる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ しかし、当のミュークは怪訝に眉根を寄せると再度、資料に目を落とす。 アルジャベータ聖誕祭の斎行に合わせ、アダマストルの第一王女でもある聖女が警備の厳重な同公国を離れるこの時節。★↓推敲↓★ しかし、当のミュークは怪訝に眉根を寄せて、再度資料に目を落とす。 アルジャベータ聖誕祭の斎行に伴い、アダマストルの第一王女でもある聖女が警備の厳重な同公国を離れるこの時節■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「待つのじゃ。 幾分拍子抜けした感もあるが、想像以上に情報が集まったのも確かじゃ。 公国内部に箝口令が敷かれている以上、更なる成果は望めまい。 良くやったのレム」★↓推敲↓★「待つのじゃ。 幾分拍子抜けした感もあるが、想定外に情報が集まったのも確かじゃ。 公国内部に箝口令が敷かれている以上、更なる成果は望めまい。 良くやったのレム」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 充分な糧食を積んだ船倉とはいえ、あまり派手に飲み食いを続ければ、流石に怪しまれるだろう。★↓推敲↓★ 充分な糧食を積んだ大型船とはいえ、あまり派手に飲み食いを続ければ、流石に怪しまれるだろう。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 視線を移すと、そこには寝惚け眼で見上げてくるルムファムの姿。★↓推敲↓★ 視線を下げると、ルムファムの寝惚け眼と目が合った。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 教会船に密航して以来、醜態を晒し続けていたレムリアが、汚名返上とばかりに持てる限りの知識を披露する。 本で得た知識である為に、整合性は高いが若干信頼度に欠ける点がある。 要するに情報が古いのである。★↓推敲↓★ 教会船に密航して以来、醜態を晒し続けていたレムリアが、汚名返上とばかりに持てる限りの知識を披露する。 もっとも、この少年屍族の失敗の本質は、そういった既存の知識に判断を丸投げすることが原因である。 大半が、本で得た知識である為に、整合性は高いが若干信頼度に欠ける点がある。 要するに情報が古いのである。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■月ノ章 1-03【聖船】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「ワチキはミューク・ウィズッド。 ある目的を果たす為に罷り越した。 人族特有の社会制度から察するに、お主はその老い具合からも位の高い聖職者と見受けられる。 合縁奇縁に腐れ縁とも申すし、ワチキの役に立って貰うぞよ」 ミュークは慇懃に名乗りを挙げると、不気味に微笑む。★↓推敲↓★「ワチキはミューク・ウィズッド。 ここを訪れた理由はおいおいわかるじゃろう。 そんなことより、その老い具合から判断するに、お主はかなり位の高い聖職者と見受けられる。 合縁奇縁に腐れ縁とも申すし、ワチキの役に立って貰うぞよ」 ミュークは慇懃に名乗りを挙げると、不気味に微笑んだ。 年功序列といった人族特有の社会制度をよく理解している。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「お主の命を主方自身がどう扱おうと勝手じゃが、老い先短い人生をここで終わらせたくはあるまい?」 ミュークは脅しをかけるように口調に凄みを効かせた。 更にルムファムが老司祭の喉元を圧迫して演出を添える。 相手を害する気など更々ない三文芝居であったが、当事者間ではご利益があったようで、「な、なにが聞きたい?」 喉奥から絞り出されたような老司祭の声。★↓推敲↓★ 「主の命じゃ。 それをどう扱おうとお主の勝手じゃが、老い先短い人生をここで終わらせたくはあるまい?」 脅しをかけるように口調に凄みを効かせた。 更にルムファムが老司祭の喉元を圧迫して演出を添える。「な、なにが聞きたい?」 喉奥から絞り出されたような老司祭の声。 相手を害する気など更々ない三文芝居であったが、一定の効果はあったようだ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ミュークの質問に老司祭の顔に警戒の念が浮き上がる。★↓推敲↓★ ミュークの質問に老司祭の顔が強張る。 そこに浮かぶのは警戒の念だ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 問題とやらの詳細を掴み損ねたミュークは内心で舌打ちをする。★↓推敲↓★ 問題とやらの詳細を掴み損ねたが、今は仕方が無い。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 何処か倒錯的で恍惚とした表情のミューク。★↓推敲↓★ ミュークの表情が倒錯的で恍惚としたものに変わる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ そんなミュークを無機質に見上げるルムファム。★↓推敲↓★ そんなミュークをルムファムが無機質な眼で見上げる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2013/05/25
月ノ章・一幕の推敲に入りました。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■月ノ章 1-00【日常】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ミュークは零れでた液体を自らの両手に滲ませると、諭すように語り掛ける。★↓推敲↓★ ミュークは粘着性のある液体を自らの両手に滲ませると、諭すように語り掛ける。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ それを知ってか知らずか、ミュークは垂れ絹を勢いよく跳ね除ける。★↓推敲↓★ それを知ってか知らずか、ミュークは勢いよく垂れ絹を跳ね除ける。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ それからレムリアにとって描写するには酷な数分間が過ぎていった。★↓推敲↓★ それからレムリアにとって描写するには酷な一時が過ぎていった。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■月ノ章 1-01【慧眼】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 聞き捨てならないことを他愛無い日常会話のようにサラリと言ってのけるミューク。★↓推敲↓★ 聞き捨てならないことを、ミュークは他愛無い日常会話のようにサラリと言ってのける。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ にやにやと人の悪い笑みを浮かべるミューク。★↓推敲↓★ ミュークがにやにやと人の悪い笑みを浮かべる。 その表情には、してやったりと浮き彫りにされていた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ この娘の胃袋は特注品であるに違いない。 ミュークは心の中でそう思った。★↓推敲↓★ この娘の胃袋は鋼鉄か何かで造られた特注品であるに違いない。 ミュークは心の中でそう思った。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ レムリアはほとんど自棄糞に話を戻すと溜息混じりにミュークを伺う。 ミュークはにやりと笑うと、★↓推敲↓★ レムリアはほとんど自棄糞に話を戻すと、溜息混じりにミュークを伺う。 問題の発起人はにやりと笑うと、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「言い忘れておったが彼らの目的は聖女そのものではない。 聖女が持つ“あるもの”が必要らしい」「そうなのですか!? でも、それを鵜呑みにしても大丈夫なのでしょうか?」 レムリアの疑問はもっともだ。 アルジャベータの聖女はメナディエル正教の教徒にとって信仰の対象でもある。 その存在以上に重要なものなど容易に想像できるものではない。 なによりミュークの言葉通りなら、依頼人の焦点から身代金目的や聖公会と対立する宗派絡みの謀略…それに利権絡みの線が薄くなり話が余計にややこしくなる。「その件に関してはある程度は信用しても良いな。 なにせワチキが提示した“条件”が受け入れられたぐらいじゃからの」★↓推敲↓★「聖女を引き渡した後、どうするかまでは聞き出せなんだ。 少なくとも殺すつもりはないらしい。 “ある事実”に関して確証を得ることが目的だと言っておった」「それを鵜呑みにしても大丈夫なのでしょうか?」 レムリアの疑問はもっともだ。 アルジャベータの聖女はメナディエル正教の教徒にとって信仰の対象でもある。 その存在以上に重要なものなど容易に想像できるものではない。 なによりミュークの言葉通りなら、依頼人の焦点から身代金目的の線は消えるだろう。 そうなると、聖公会と対立する宗派絡みの謀略といった可能性が高い。「その件に関してはある程度は信用しても良いな。 なにせワチキが提示した“条件”が受け入れられたぐらいじゃからの」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 珍しくしどろもどろに言葉を濁すミューク。★↓推敲↓★ 珍しく、ミュークがしどろもどろに言葉を濁す。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ それに依頼を請ければ今回の話の核心に必然と近づくことにもなるだろう。★↓推敲↓★ それに依頼を請ければ、此度の取引の核心に必然と近づくことにもなるだろう。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2013/05/25
と、いうわけで分けました。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■光ノ章 1-05【残光】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ラールウェアはまるで何事もなかったかのように微笑んでいた。 致命傷と思われた刀傷も首筋にうっすらと走る血線を残すのみだ。 紅のドレスに浮ぶ黒い斑点だけが先程の斬撃が夢や幻でないことを物語っている。★↓推敲↓★ 屍族の少女は、まるで何事もなかったかのように微笑んでいた。 致命傷と思われた刀傷も既に塞がっている。 首元に僅かに残る血線と、紅のドレスに浮ぶ黒い斑点だけが、先の出来事が夢幻でなかったことを物語っていた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 名乗りを上げた屍族少女にミルフィーナは言葉を失う。★↓推敲↓★ 屍族の少女が名乗りをあげる。 その名を耳にしたミルフィーナが言葉を失った。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 彼らはバールペオル大陸北西部に位置する極寒の大地。 年間を通じて雪と氷に閉ざされた山岳辺境―――ウルムドラと名づけられた氷河地帯に長大な外壁を築き、そこに住む人々を支配している。★↓推敲↓★ 彼らはバールペオル大陸北西部に位置する極寒の大地―――年間を通じて雪と氷に閉ざされた氷河地帯ウルムドラに、長大な外壁を築き、そこに住む人々を支配している。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「それで、ど~するの? アタシと戦うつもり?」 ラールウェアはもう待ちきれないといった風に両手を横に広げる。 爛と輝くふたつの紅眼に射すくめられ、ミルフィーナは自分の身体が小刻みに揺れ動いていることに気づく。「くっ」 ミルフィーナが屍族と対峙するのはこれが初めてではない。 だが、ラールウェアが発する冥い鬼気は、嘗て彼女が倒した下級屍族とは比べ物にならない不気味さを秘めていた。 それは、得体の知れない存在に対する畏怖か憧憬か―――ミルフィーナは魅入られたように動けずにいた。 そして、自分が恐怖しているという事実はミルフィーナの自尊心を強く打ちのめす。★↓推敲↓★「それで、ど~するの? アタシと戦うつもり?」 ラールウェアは誘うように両手を横に広げる。「くっ」 爛と輝くふたつの碧眼に射すくめられ、ミルフィーナは自分の身体が小刻みに揺れ動いていることに気づく。 屍族と対峙するのはこれが初めてではない。 だが、ラールウェアが発する冥い鬼気は、嘗て彼女が倒した下級屍族とは比べ物にならない不気味さを秘めていた。 それは、得体の知れない存在に対する畏怖か憧憬か―――恐らくその両方であろう。 そして、自分が恐怖しているという事実は、ミルフィーナの自尊心を強く打ちのめす。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ミルフィーナが苦しげに呻く。 戦うにしてもシャルロットを庇いながらでは限界があった。 それに目の前の屍族には獲物を追い詰めて楽しんでいる節があり、逃走を計るにも危険が大きい。 シャルロットの身を案じればこそ、余計に身動きがとれなかった。 自分の決断がこの場の趨勢ばかりか、守るべき命まで脅かすことに繋がるのだ。 下手に動けるわけがない。★↓推敲↓★ ミルフィーナが苦しげに呻く。 戦うにしてもシャルロットを庇いながらでは限界があった。 それに目の前の屍族には獲物を追い詰めて楽しんでいる節がある。 逃走を許すような生温い相手ではないだろう。 自分の決断がこの場の趨勢ばかりか、守るべき命まで脅かすことに繋がるのだ。 シャルロットの身を案じればこそ、身動きがとれなかった。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ミルフィーナにもフォン=バレル三世が人間でないと一目でわかった。 彼の腹部にはぽっかりと大きな穴があいている。 既に流れ出る血液も尽き、人間であるならばとうの昔に絶命している筈だ。★↓推敲↓★ 事の成り行きを存知しないミルフィーナにも、教皇が既に人間でないことは一目で理解できた。 彼の腹部には、ぽっかりと大きな穴があいている。 既に流れ出る血液も尽き、人間であるならばとうの昔に絶命している筈だ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ フォン=バレル三世の視界は永久の闇に閉ざされる寸前、白光に満ちた室内からシャルロットを抱えたミルフィーナが地を蹴る姿を捉えた。★↓推敲↓★ フォン=バレル三世の両眼は永久の闇に閉ざされる寸前、シャルロットを抱えてこの場を離脱するミルフィーナを捉えていた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2013/05/24
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今でも楽天ブログさまには、こんな感じで、文字数に制限があるようですけど、先ほど最高記録(?)を叩き出しました。14000文字越えキター13000文字前後なら、今までも結構あったのですが、4000文字オーバーで投稿できたのは始めてかもしれない。ていうかさ、日によっては1万文字を僅かでも超えると記事投稿できない時もあるような気がします。ちなみに、この記事は、なったので1-04【蠱毒】と1-05【残光】を別々に分けて投稿します。すっごい大雑把ですよね(笑)■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■光ノ章 1-04【蠱毒】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シャルロットの身の保全はファン=バレル三世が持ち出した提案である。 ラールウェアには直接の関係はないのだが、屍族元来の高い自尊心を刺激するには丁度よく思えた。 更にフォン=バレル三世は畳み掛けるように続ける。★↓推敲↓★ シャルロットの身の保全は、フォン=バレル三世が持ち出した提案である。 故に、ラールウェアを納得させるには、屍族元来の高い自尊心を刺激する必要があった。 更にフォン=バレル三世は畳み掛けるように続ける。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ラールウェアは諦めきれないように人族の少女に未練がましい視線を送っている。★↓推敲↓★ 諦めきれないようで、ラールウェアは人族の少女に未練がましい視線を送っている。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ フォン=バレル三世は意識を喪失したシャルロットを軽々と抱えあげると、祭壇の上に壊れ物を扱うように横たえた。「それで、ラールウェア様……。 事が成就した暁には件の約束をお忘れなきよう」 フォン=バレル三世は祭壇上で胡坐をかいたラールウェアに期待を籠めて訊ねる。「そんなにアタシの血が欲しいの?」 ラールウェアは悪戯っ子めいた微笑みを浮かべると、フォン=バレル三世の眼前に蒼白い繊手をひけらかす。★↓推敲↓★ フォン=バレル三世は、意識を喪失したシャルロットを祭壇上に横たえると、祭器台で胡坐をかいたラールウェアに視線を送る。「それで、ラールウェア様……。 事が成就した暁には件の約束をお忘れなきよう」「そんなにアタシの血が欲しいの?」 ラールウェアはからかうような微笑みを浮かべて、蒼白い繊手をフォン=バレル三世の眼前にひけらかす。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ フォン=バレル三世はラールウェアの眼前で跪くと重々しく言った。「生来から夜の眷属ではない半屍族は、自己を屍族化させた主の血を飲むことにより、完全な屍族となる―――そう、聞き及んでおります」★↓推敲↓★ フォン=バレル三世はラールウェアの眼前で跪き頭を垂れた。「生来から夜の眷属ではない半屍族は、自己を屍族化させた主の血を飲むことにより、その束縛から解放される―――そう、聞き及んでおります」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「もはや後戻りなど出来よう筈もなく、それを望むこともありませぬ。 それに毒を食らわば皿までとも申します。 お許しとあらば喜んで受けさせて頂きます」 フォン=バレル三世は刹那の逡巡を断ち切ると、差し出された冷たい手をとる。 それは聖誕祭でシャルロットと交わした光景そのままであった。★↓推敲↓★「恐れながら、ここから先は己が定めた道を進みとうございます」 フォン=バレル三世は差し出された冷たい手をとる。 それは聖誕祭でシャルロットと交わした光景そのままであった。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ そこにラールウェアの押し殺した笑い声が混じった。★↓推敲↓★ ラールウェアの口内から堰を切った笑い声が弾ける。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 再度、フォン=バレル三世は食いしばった歯の間から軋むような苦鳴を響かせる。 身体を九の字に折り曲げると、首だけを傾けてラールウェアを見上げる。★↓推敲↓★ 苦鳴は尚も続く。 食いしばった歯の隙間から軋むような呻きが洩れた。 フォン=バレル三世は身体を九の字に折り曲げると、首だけを傾けてラールウェアを見上げる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ラールウェアは手の甲に穿たれた咬傷をペロリと舐めると更に続ける。★↓推敲↓★ ラールウェアは手の甲に穿たれた咬傷から溢れた血液をペロリと舐めとり、更に続ける。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ラールウェアは待ち兼ねたように昏倒したシャルロットへと興味を戻す。★↓推敲↓★ ラールウェアは待ち兼ねたように、昏倒したシャルロットへと視線を送る。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ラールウェアは不思議そうに己の顎下に突きでた切先へと視線を落とす。 それは屍族少女の後頭部から前頸部までを横断した長剣の先端であった。 半ばまで断ち切られた細首から壊れた噴水のように血が溢れだしている。「シャルロット様! ご無事ですか!?」 ミルフィーナは崩折れた屍族少女の喉元から愛剣を抜取ると、横たわるシャルロットへと一目散に駆け寄る。「霊環が……」 ミルフィーナは霊環の喪失を目の当りにして暫し愕然とする。 だが、その当惑を振り払うように頭を左右に振ると、シャルロットの首筋に手を伸ばす。「……よかった」 ミルフィーナは鼓動の有無を確認して深い安堵の息を漏らした。「うわっ、血だらけじゃない。 お気に入りのドレスだったのにどうしてくれるの!!」 無邪気な声がミルフィーナの背筋を氷柱の如く走り抜けた。★↓推敲↓★ ラールウェアは不思議そうに己の顎下に突きでた切先へと視線を落とす。 それは屍族の少女の後頭部から前頸部までを横断した長剣の先端であった。 半ばまで断ち切られた細首から、壊れた噴水のように血が溢れだしている。 濁った碧眼に、白銀の全身甲冑を纏った女騎士の姿が映りこんでいた。「シャルロット様! ご無事ですか!?」 女騎士は、シャルロットの身を案じて、水晶の塔に忍び込んだミルフィーナだった。 彼女は崩折れたラールウェアの喉元から愛剣を抜取ると、横たわるシャルロットへと一目散に駆け寄る。 直に少女の首筋に指先を添えて、鼓動を確認した。 だが、そこで霊環の喪失を目の当りにして暫し愕然となる。「うわっ、血だらけじゃない。 お気に入りのドレスだったのにどうしてくれるの!!」 ぞっとするほど無邪気な声が響き、氷柱の如き悪寒がミルフィーナの背筋を走り抜けた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2013/05/24
誤字脱字の多さではこの辺が一番かも(汗)フォン=バレル三世をファン=バレル三世と記述ミスしたのが全部で5箇所ありました。もう、「フォン」じゃなくて「ファン」の方が正式名称に思える酷さ(∀`*ゞ)テヘッやっぱり、推敲してから文章はUPすべきですよね。三幕からは推敲後にUPしているので、ここまで酷くはないと思うけど(※希望的観測■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■光ノ章 1-02【古怪】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ミルフィーナがよろめくシャルロットの身体を背後から支える。「……ごめんなさい、大丈夫です。 それよりもお母様の話を聞かせてください」★↓推敲↓★ ミルフィーナがよろめくシャルロットの身体を背後から支える。 少女の肌から急速に体温が失われていた。 蒼ざめた相貌に汗の粒が浮き上がる。「……ごめんなさい、大丈夫です。 それよりもお母様の話を聞かせてください」 萎えかける両脚を意思の力で支えると、シャルロットは気丈に振舞った。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ その後、当局から異端の嫌疑が掛けられ監視下に置かれたエレシアムは、幽閉された牢獄内で流行り病に犯されて最期を迎えた。★↓推敲↓★ その後、当局から異端の嫌疑を掛けられたエレシアムは、教会の監視下の元、幽閉された牢獄内で流行り病に犯されて最期を迎えた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ フォン=バレル三世の双眼が怪しく輝くと、シャルロットの紅玉眼が暗く濁る。★↓推敲↓★ フォン=バレル三世の双眼が怪しく輝いた瞬間、シャルロットの紅玉眼が暗く濁った。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「聖下、シャルロット様は先程からお体のご様子が優れません。 どうか私奴の同行をご許可ください」★↓推敲↓★「聖下、シャルロット様はお体が優れないご様子。 どうか私奴の同行をお認めください」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シャルロットはきつい口調でミルフィーナを嗜める。 それはミルフィーナの行き過ぎた発言を庇う意味でもあったのだろう。★↓推敲↓★ シャルロットが厳しい口調で窘める。 それはミルフィーナの行き過ぎた発言を庇う意味でもあったのだろう。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「フィーナはわたしが礼節を心得ない恥知らずだと陰口を叩かれてもよいのですか?」 シャルロットはミルフィーナの衷情を逆手にとる。「で、ですが……」 ミルフィーナもそこまで言われては口を噤まざるを得ない。 そして、如何にも口惜しそうに瞑目する★↓推敲↓★「フィーナは、わたしが礼節を重んじない恥知らずだと陰口を叩かれてもよいのですか?」「で、ですが……」 衷情を逆手にとられては、ミルフィーナも口を噤まざるを得ない。 そして、如何にも口惜しそうに瞑目する■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ しかし、シャルロットは好事家垂涎の光景にも心を奪われることも無く、前を行くフォン=バレル三世の大きな背中を見つめ思考する。★↓推敲↓★ 好事家垂涎の光景だが、今のシャルロットに目を配る余裕はなかった。 前を行くフォン=バレル三世の大きな背中を見つめ思考する。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ フォン家の長子であったグランディエは、教皇位を継承するとフォン=バレル三世と名を変え、善政に努めた。 清廉潔白で贅沢を嫌い、教皇庁に蔓延る古き悪習の撤廃を推進する姿は歴代教皇の中でも屈指の聖人であった。★↓推敲↓★ フォン家の長子であったグランディエは、教皇位を継承するとウェルティス・フォン=バレル三世と法号を改めて、善政に努めた。 清廉潔白で贅沢を嫌い、教皇庁に蔓延る古き悪習の撤廃を推進する姿は、歴代教皇の中でも屈指の聖人と讃えられた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 前を向いたままフォン=バレル三世がシャルロットに語りかけてきた。 その声には少女の心裡を覗き込もうとする意思が感じられた。「い、いえ……」 しかし、言い淀むシャルロットにそれ以上の言及が降り注ぐことはなかった。★↓推敲↓★ 僅かに歩を緩めて、フォン=バレル三世がシャルロットに語りかけてきた。 その声から、少女の心裡を覗き込もうとする底意が感じられた。「い、いえ……」 しかし、シャルロットが言い淀むと、それ以上の言及が降り注ぐことはなかった。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ そして、圧迫するように左右に立ち並ぶ柱列の先で不意に視界が広がる。★↓推敲↓★ そして、圧迫するように左右に立ち並ぶ柱列の先で不意に視界が開ける。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■光ノ章 1-03【呪夜】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 一瞬の躊躇の後、シャルロットも後に続いた。★↓推敲↓★ 僅かに躊躇して、シャルロットも後に続いた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ フォン=バレル三世が真鍮製の把手を押し込むと、重厚な両扉は苦鳴みいた軋みを響かせながら内側へと開いていった。★↓推敲↓★ フォン=バレル三世の手指が真鍮製の把手を押し込む。 重厚な両扉は苦鳴染みた軋みを響かせながら内側へと開いていった。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 祭壇の間の内壁には悪趣味な絵画のように紅い斑模様が走っていた。 床には引き千切られた内臓や肉片が散乱している。★↓推敲↓★ 水晶の塔の最上階―――祭壇の間の内壁が赤く斑に染まっていた。 まるで悪趣味な絵画のように、床には引き千切られた内臓や肉片が散乱している。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 出来るだけ室内の状況を見ないようにフォン=バレル三世に問い掛ける。★↓推敲↓★ 室内の惨状から目を背けて問い掛ける。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 声にならない悲鳴を上げるシャルロット。 天井付近に巨大な丸籠がぶら下がっており、四肢をもぎ取られた様々な獣の生首が詰め込まれていた。★↓推敲↓★ シャルロットが声にならない悲鳴を上げる。 天井付近に巨大な丸籠がぶら下がっており、そこには四肢をもぎ取られた様々な獣の生首が詰め込まれていた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「……酷い、どうしてこんな惨いことを」 シャルロットは双眸に涙の雫を滲ませると、震える声で訴えかける。★↓推敲↓★「……どうしてこんな惨いことを」 シャルロットの双眸に涙の雫が滲む。 少女は震える声で訴えた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 一方、シャルロットは絶句していた。 フォン=バレル三世は今なんと言ったのか? 確かに、聞き紛うことなく“貴女たち人族も”と口走っていた。 それはまるで自身は人間ではないと示唆するような言い草だ。「屍族―――」 シャルロットは目の前の人物から発せられる違和感の正体に気づく。 左手の咬痕が熱をもって疼いていた。★↓推敲↓★ 一方、シャルロットは絶句していた。 フォン=バレル三世は今なんと言ったのか? その言葉が何を意味するのか、少女はずっと感じていた違和感の正体に気づく。「屍族―――」 左手の咬痕が熱をもって疼いた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シャルロットの感傷にもフォン=バレル三世は静かに首を横に振った。★↓推敲↓★ シャルロットの衷情が悲壮に響く。 しかし、フォン=バレル三世は静かに首を横に振った。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ しかし如何に美しかろうとそれは人間の持つ美しさではない。★↓推敲↓★ しかし如何に可憐であろうと、それは人間の持つ美しさではない。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「そちらの不安は杞憂に終わろう。 生来の屍族ではない予に他種族を屍族化するほどの力はない。 だが、僅かなら強制力を発揮するようだ。 貴女がここにいるのもそういった“力”の賜物であるのだろうな。 貴女の周囲には邪魔者も多く、容易に近づくことは出来ぬ故、有効利用させて頂いたわけだ」★↓推敲↓★「そちらの不安は杞憂に終わろう。 生来の屍族ではない予に他種族を屍族化するほどの力はない。 だが、僅かなら強制力を発揮するようだ。 聖女殿がここにいるのもそういった“力”の賜物であるのだろう。 周囲に群がる邪魔者を遠ざける為、有効利用させて頂いた」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2013/05/24
今日は、この辺で時間的に限界かな……精神的にも限界ですけど……直す場所多過ぎorz■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■光ノ章 1-00【世界】 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ アダマストル北東部―――タブリス森林を抜ける旧街道は、古くは巡礼地を結ぶ参詣道として賑わったが、大陸行路の整備事業によって今では放棄された廃道である。 その人々に忘れ去られて久しい行程を複数の騎影と一台の箱馬車が緩やかに走る。★↓推敲↓★ アダマストル北東部―――タブリス森林を抜ける旧街道。 古くは巡礼地を結ぶ参詣道として賑わったが、大陸行路の整備事業によって今では放棄された廃道である。 近年、人々に忘れ去られて久しい行程を、複数の騎影と一台の箱馬車が緩やかに走る。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 船旅は外敵に襲われる可能性こそ減るが、襲撃を受けた際に生じる被害率が高く、なにより海の上ではまともに戦うこともできない。★↓推敲↓★ 船旅は外敵に襲われる可能性こそ減るが、いざ襲撃を受けると、致命的な結果を招きやすい。 なにより、不測の事態への対応策が練りにくいのだ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シャルロットが箱馬車の小窓から身を乗り出すように高い木の上を指差す。★↓推敲↓★ シャルロットが箱馬車の小窓から身を乗り出して、高い木の上を指差す。 その声は好奇心に弾んでいた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ミルフィーナはひとつ咳払いをすると、呆れたようにその相好を崩す。★↓推敲↓★ 居た堪れなくなったのか、ミルフィーナはひとつ咳払いをして、口を開いた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シャルロットがミルフィーナの横顔を正面から覗き込む。★↓推敲↓★ シャルロットは腰を上げると、席を移してミルフィーナの横顔を正面から覗き込む。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 息苦しい沈黙のなかそっと呟くシャルロット。★↓推敲↓★ シャルロットは息苦しい沈黙のなか独り言つ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■光ノ章 1-01【神都】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 教皇はシャルロットの目前で跪くと骨ばった指先で複雑な聖印を組み上げた。 そして、差し伸べられた聖女の左手に恭しく触れると、己の唇をゆっくりと近づけていった。★↓推敲↓★ 教皇はシャルロットの目前で跪くと、骨ばった指先で複雑な聖印を組み上げた。 そして、差し伸べられた少女の左手を取り、己の唇をゆっくりと近づけていく。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 少女の心のなかに不可視の壁がはっきりと感じられた。 それを敏感に察知したミルフィーナは心ならずも離れた場所から少女の様子を見守っていたようだ。★↓推敲↓★ 少女との間に不可視の壁がはっきりと感じられた。 それを敏感に察知したミルフィーナは、心ならずも離れた場所から様子を見守っていたようだ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ それは、シャルロットに対する敬意の払い方でもわかる。★↓推敲↓★ 一見して、シャルロットに対する敬意の払い方でもわかる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シャルロットにそう言われると、少し困ったような表情になるミルフィーナ。★↓推敲↓★ シャルロットに窘められて、少し困ったような表情になるミルフィーナ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「はい、主席枢機卿であらせられるヴィルヘルム卿、それと各国の代表各位への顔見せがお済になれば、貴賓室へ退席しても問題はないでしょう」★↓推敲↓★「今しばらくのご辛抱を、主席枢機卿であらせられるヴィルヘルム卿、それと各国の代表各位への顔見せがお済になれば、貴賓室へ退席しても問題はないでしょう」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 横合いから唐突にかけられた声に反射的に振り向くシャルロット。 そこには金銀珠玉で飾り付けられた礼服に身を包んだ痩身の男。 病的なまでに青白い肌に上等の絹糸のように流れる金髪、他者の目を見張らせるには十分な容姿とを兼ね備えた暗い紅眼の持ち主。 男は上体を屈めると、右手を左胸に当てて恭しく一礼をみせた。★↓推敲↓★ 横合いから唐突にかけられた声。 振り向いたシャルロットの眼前に、金銀珠玉で飾り付けられた礼服に身を包んだ痩身の男がいた。 病的なまでに青白い肌に上等の絹糸のように流れる金髪、他者の目を惹きつけるには十分な容姿を兼ね備えた冥い紅眼の持ち主。 男は上体を屈めると、右手を左胸に当てて恭しく一礼した。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ そして、ファン=バレル三世に向けて形ばかりの敬意を払いその場を足早に立ち去った。★↓推敲↓★ そして、フォン=バレル三世に向けて形ばかりの敬意を払い、足早に白の間を立ち去った。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ フォン=バレル三世の言葉にシャルロットも落ち着きを取り戻す。★↓推敲↓★ ウェルティス・フォン=バレル三世の言葉に、シャルロットも表面上は落ち着きを取り戻す。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2013/05/23
月ノ章の0幕の推敲も終了です。推敲作業に関しては、出来るなら今月中に終わらせて、6月から続きを書く予定です。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 月ノ章 0-01【双子】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ そこには薄暗い店内の陰影に溶け込むように、屍族の少女が佇んでいた。 ゴルダは視界におさまった少女の愛らしい容姿に感嘆の息を洩らす。 癖のないサラサラとした白銀髪を腰の辺りまで伸ばし、淡い碧眼には危うげな色を宿している。 そこには物言わぬ人形のような儚さを伴った美しさがあった。★↓推敲↓★ 薄暗い店内の陰影に溶け込むように、屍族の少女が佇んでいた。 自然と感嘆の息が洩れる。 整った相貌、腰まで伸ばされた癖のないサラサラとした白銀髪、淡い碧眼には危うげな色を宿している。 そこには物言わぬ人形のような儚さを伴った美しさがあった。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ レムリアはまずは自分を、続けて横に並んだ双子の片割れを紹介する。 そして丁寧に謝意を述べつつ、短躯を折って一礼した。★↓推敲↓★ レムリアはまずは自分を、続けて傍らに立つ双子の片割れを紹介する。 それから、丁寧に謝意を述べて、短躯を折って一礼した。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ルムファムの気配察知能力は野生の超感覚並みに優れているので、間違いはないだろう。★↓推敲↓★ ルムファムの気配察知能力は野生の獣並みに優れているので、間違いはないだろう。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 本来それが持つ貨幣価値は金の含有量に依存する。 そういった意味でセナートル金貨は西大陸で広く流通するガープ金貨やウリクス金貨より僅かに質は落ちる。★↓推敲↓★ 本来、硬貨が持つ貨幣価値は金属の含有量に依存する。 そういった意味では、セナートル金貨は西大陸で広く流通するガープ金貨やウリクス金貨より遥かに質は落ちる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 月ノ章 0-02【双子】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ レムリアは理性を総動員して巾着から目を逸らすと、満足したように頷く。★↓推敲↓★ レムリアは理性を総動員して巾着から視線を上げて、満足したように頷く。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ゴルダは不吉な予感に僅かに身を退いて尋ねる。 ルムファムは暫し逡巡すると、“何か”の確認をとるようにレムリアを振り返った。「いい?」★↓推敲↓★ ゴルダは不吉な予感に駆られて、僅かに身を退いて尋ねる。 ルムファムは暫し逡巡した後、“何か”の確認をとるようにレムリアを振り返った。「いいか?」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ゴルダは恥も外聞もなく纏っていた衣服を脱ぎ捨てると、それを裏返しにしてバサバサと乱暴に振り回す。★↓推敲↓★ ゴルダは恥も外聞もなく纏っていた衣服を脱ぎ捨てる。 切羽詰った表情で、それを裏返しにしてバサバサと乱暴に振り回す。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ しどろもどろに弁明するゴルダ。 脂肪で弛んだ頬肉を情けなさそうに歪ませると、ついには帳場台の下に這い蹲り回る始末だった。「ない、ない……ない」 うわ言のように何度も呟くゴルダ。★↓推敲↓★ ゴルダがしどろもどろに弁明する。 脂肪で弛んだ頬肉を情けなさそうに歪ませると、ついには帳場台の下に這い蹲り回る始末だった。「ない、ない……ない」 そして、うわ言のように何度も呟く。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ だが、いくら考えてもゴルダにはこの会話に“不足する要素”の見当がつかなかった。★↓推敲↓★ だがゴルダには、この状況に“不足する要素”の見当がつかなかった。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「簡単なことです。 ボク達がここを訪れた際に店主さんが常に有意義な取引相手であってくれれば良いだけです。 尚、この契約は両者のどちらかが死ぬまで継続すること、以上です」★↓推敲↓★「簡単なことです。 今後、ボク達がここを訪れた時、店主さんが常に有意義な取引相手であってくれれば良いだけです。 尚、この契約は両者のどちらかが死ぬまで継続すること、以上です」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■月ノ章 0-03【双子】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ その後、双子は僻地の古城へと誘われ何不自由無く育てられていたようだ。 もっとも、娘にとって母のそういった気まぐれは、取るに足らない出来事であった。★↓推敲↓★ その後、双子はアルフォンヌの元で、何不自由無く育てられていたようだ。 当時、娘にとって母のそういった気まぐれは、取るに足らない出来事であった■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ばつが悪そうにそう付け加えると、照れくさそうに頭を掻くレムリア。★↓推敲↓★ レムリアは照れくさそうに頭を掻くが、直にばつが悪そうにそう付け加えた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 考えてみればそれが原因でヘリソンの耳にウィズイッドの名が届いたのかもしれない。★↓推敲↓★ 今にして思えば、それが原因でヘリソンの耳にウィズイッドの名が届いたのかもしれない。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2013/05/23
とりあえず、シャルロット編0幕の推敲は一通り終了です。序に、月ノ章の0-00【屍族】があまりにも酷かったので、先走って全文、書き直しておきました(汗)あんなの公開していたなんて怖すぎるorz■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「俺様はバルバロト。 この教会船アメナディル号の船長を十七年……いや、十六年か? 確かアレは……あ~っ、駄目だ……細かいことは覚えられねぇ。 まぁ、お嬢ちゃん達が生まれる前からやっているのは確かだ。 大船に乗ったつもりで寛いでくれ」 バルバロトはそう言うと熊のような大きな手をプルミエールに差し出してくる。★↓推敲↓★「俺様はバルバロト。 この教会船アメナディル号の船長を十七年……いや、十六年か? 確かアレは……あ~っ、駄目だ……細かいことは覚えられねぇ。 まぁ、嬢ちゃん達が生まれる前からやっているのは確かだ。 大船に乗ったつもりで寛いでくれや」 バルバロトは名乗りを切り上げて、熊のような大きな手をプルミエールに差し出してくる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 隣のザゼルはあからさまに顔を顰めているが、当のプルミエールが快く応じているので取り立てて咎め立てるつもりはないらしい。★↓推敲↓★ 隣のザゼルはあからさまに顔を顰めている。 もっとも、当のプルミエールが快く応じているので、取り立てて咎め立てるつもりはないらしい。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「そっちのお嬢ちゃんも宜しくな」「は、はい。 よしなにお願いします」 アリエッタがバルバロトの巨体にビクつきながら頭を垂れる。★↓推敲↓★「そっちのでかい方の嬢ちゃんも宜しくな」 バルバロトがプルミエールの肩越しにアリエッタへと視線を送る。「は、はい。 よしなにお願いします」 アリエッタがバルバロトの巨体にビクつきながら頭を垂れた。 “ナニ”がでかいのかは、聞かないことにしたようだ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ アリエッタが乾いた笑いを洩らす。 このバルバロトという大男はプルミエールと同質同類の人間だ。 アリエッタはそう確信していた。★↓推敲↓★ アリエッタが乾いた笑いを洩らす。 このバルバロトという大男はプルミエールと同質同類の人間だ。 薄幸の少女はそう確信していた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ プルミエールが他人事のように溜息をつく。 アリエッタもそれに同意しかけ―――やっぱり、やめた。★↓推敲↓★ プルミエールが他人事のように溜息をつく。 アリエッタも同意しかけ―――やっぱり、やめた。 寧ろ、どの口がその台詞を吐くのかと半眼になる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ザゼルはわざとらしく咳払いをすると、プルミエールとアリエッタを騒動の輪から遠ざける。 そして、船楼扉の傍で控えていた数人の女神官に目で合図を送った。「理由あって当初の予定は変更された。 お前達には此度の船旅の間、アダマストル第二王女であらせられるプルミエール様がご不便なきよう身の回りのお世話を申し遣わす」 女神官達はザゼル司祭の言葉に驚きを隠せないようだったが、黙って立っていればそれなりに愛らしいプルミエール。 見た目で獲物を誘い込む食虫植物さながらに、未来の犠牲者たちの心を取り込んだようだ。★↓推敲↓★ ザゼルはわざとらしく咳払いして、プルミエールとアリエッタを急き立てる。 そうして騒動の輪から遠ざけるように船楼扉の前まで先導すると、傍で控えていた数人の女神官に目で合図を送った。「理由あって当初の予定は変更された。 お前達には此度の船旅の間、アダマストル第二王女であらせられるプルミエール様がご不便なきよう、身の回りのお世話を申し遣わす」 ザゼルは手早く指示を飛ばす。 女神官達は驚きを隠せないようだったが、黙って立っていればそれなりに愛らしいプルミエール。 見た目で獲物を誘い込む食虫植物さながらに、未来の犠牲者たちの心を取り込んだようだ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ アリエッタはまるで悪戯が見つかってしまった子供のように、不自然な仕草をおり交ぜて日記を机の下に隠す。 見られて困るようなものなら目の前で書かなければ良いのだが、幼い頃から続けてきた習慣は変え難いらしい。★↓推敲↓★ アリエッタはまるで悪戯が見つかってしまった子供のように縮こまる。 それから、あたふたと不自然な仕草をおり交ぜて日記を机の下に隠した。 見られて困るようなものなら、本人の目の前で書かなければ良いのだが、幼い頃から続けてきた習慣には抗えなかったらしい。。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ しかし、当のプルミエールはアリエッタの気苦労など何処吹く風。 かわいい呻き声を洩らしながら蒸し大海老と格闘中であった。 明らかに言動が一致していない。「んがぁ!!」 プルミエールが不気味な雄たけびをあげて咥えた大海老を殻ごと喰い千切る。 見目も美しく食べてしまうのが勿体ないぐらいな料理の数々が、食事作法というより肉食獣が獲物を喰らう感じで次々とその胃袋のなかに収められていった。★↓推敲↓★ しかし、当のプルミエールはアリエッタの気苦労など何処吹く風。 不気味な呻き声を洩らしながら蒸し大海老と格闘中であった。「んがぁ!!」 プルミエールが肉食獣顔負けな雄たけびをあげて、咥えた大海老を殻ごと喰い千切る。 見目も美しく食べてしまうのが勿体ないぐらいな料理の数々が、食事作法というより蟻地獄に吸い込まれる獲物のように、次々とその胃袋のなかに消えていった。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 旅路で遅れた勉学の機会さえ取り戻せれば、全てを有耶無耶に出来るかもしれないと思索していた。 意外にも冷静に事の成り行きを推察していたようである。「い、いえ……事情を話せば、司祭さまも喜んでプルミエールさまのおべんきょうをみて下さると……」 もっとも、このままでは敬愛するミルフィーナに会わせる顔がない。 それでなくてもお馬鹿で学業が遅れがちなプルミエールである。 今回も騒動だけを引き起こして、更にお馬鹿に拍車が掛かればアリエッタの立つ瀬が無い。★↓推敲↓★ 旅路で遅れた勉学の機会さえ取り戻せれば、全てを有耶無耶に出来るかもしれないと考えたのだ。 意外にも冷静に事の成り行きを推察していたようである。「い、いえ……事情を話せば、司祭さまも喜んでプルミエールさまのおべんきょうをみて下さると……」 なにより、このままでは敬愛するミルフィーナに会わせる顔がない。 それでなくても、勉強嫌いで学業がおろそかなプルミエールである。 今回も騒動だけを引き起こして、更にお馬鹿に拍車が掛かればアリエッタの立つ瀬がなかったのである。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 子羊の骨付きローストを右手に掴んだままのプルミエールが、威嚇するようにアリエッタとの間合いを詰める。★↓推敲↓★ プルミエールが威嚇するようにアリエッタとの間合いを詰める。 その右手には、元は子羊の骨付きローストであった凶器―――鋭く尖った骨辺が握られている。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 力いっぱい前言を撤回するアリエッタ。「教皇庁にはヴィルヘルムさまもおられますし、わざわざこんなところでおべんきょうする必要なんて……」 続けて、アリエッタが放った一言にプルミエールの表情が凍りつく。★↓推敲↓★ アリエッタが力いっぱい前言を撤回する。 この場合、儚き夢と書いて冗談と読む。「教皇庁にはヴィルヘルムさまもおられますし、わざわざこんなところでおべんきょうする必要なんて……」 続けて、アリエッタが放った一言にプルミエールの表情が凍りついた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 短めの茶髪を綺麗に肩上で揃えた娘が優雅な所作で腰を折ると、プルミエールとアリエッタに向けて深々と一礼した。★↓推敲↓★ 短めの茶髪を綺麗に肩上で揃えた娘が、宮廷風の古雅丁重な物腰で腰を折り、深々と一礼していた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2013/05/22
光ノ章0幕→月ノ章0幕→光ノ章1幕→……といった流れで推敲していくつもりです。シャルロット編に関しては、完結しているからこそ付け足せる描写も増えていくと思うので推敲して誤字脱字が増えるといった悪循環に陥らないように気をつけます。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ プルミエールはアリエッタから聖誕祭の詳細を聞き出すと、大まかな理解と盛大な誤解を胸に物騒な決意を固めてしまっていた。★↓推敲↓★ プルミエールはアリエッタから聖誕祭の詳細を聞き出すと、大まかな理解と盛大な誤解を胸に物騒な決意を固めてしまっていた。 しかも、逃げ道がない海路を選択する辺り、アリエッタにしてみれば最悪である。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「なにより此度、当船は公国直属の勅命を担っているが為、如何なる理由があろうと乗船を許可するわけにはまいりません」★↓推敲↓★「なにより此度、当船は公国直属の勅命を担っておりまする。 如何なる理由があろうと乗船を許可するわけにはまいりません」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ザゼルが船縁を見上げると、そこには酒瓶を抱えた巨大な影がヌッと山のように聳えていた。「残念だが、お目当ての人物は来ないぜ。 やんごとなきご身分の御方はこんなむさ苦しい船には乗りたくなくなったそうだ」 桟橋からは逆光となり表情は見えないが、声が笑っている。 どうやらプルミエールと老司祭のやり取りを酒の肴に楽しんでいたらしい。★↓推敲↓★ ザゼルが船縁を見上げると、巨大な影がヌッと山のように聳えていた。「残念だが、お目当ての人物は来ないぜ。 やんごとなきご身分の御方は、こんなむさ苦しい船には乗りたくなくなったそうだ」 桟橋からは逆光となり表情は見えないが、声が笑っている。 人影は船縁に飛び乗って、片手に持った酒瓶を豪快に煽っていた。 どうやらプルミエールと老司祭のやり取りを酒の肴に楽しんでいたらしい。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ バルバロトと呼ばれた大男は巨体に見合わぬ身軽さで桟橋の上に飛び降りる。★↓推敲↓★ バルバロトと呼ばれた大男は巨体に見合わぬ身軽さで桟橋の上に飛び降りる。 橋板が軋み、驚いたアリエッタが尻餅をついた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「それに、司祭殿は口は堅いがすぐ顔にでる」★↓推敲↓★「それに、司祭殿は口は堅いがすぐ顔にでる。 隠し事は向いてないだろ」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「まだ夜も明けきらぬ内に、直接この船に伝令があったのさ。 急遽、予定が変更になったとよ。 こっちはこっちで与えられた役割を全うせよとのお達しだ」★↓推敲↓★「まだ夜も明けきらぬ内に、直接この船に伝令があったのさ。 急遽、予定が変更になったとよ。 こっちはこっちで与えられた役割を全うせよとのお達しだ。 端から俺たちを囮に使う腹積もりだったのだろうさ」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「い、いや、これも女神が与え賜うた試練なのやもしれぬ。 我らが役割が囮であるのならば、それに務め徹すことが、延いてはメナディエルの為となろう」 バルバロトは老司祭の言葉に「信仰深いことで」と呆れたように小さく呟く。★↓推敲↓★「大馬鹿者が! アダマストル王室の決定は、聖アルジャベータ公会の教令と同義。 それに逆らうことなど出来るわけがない。 我らの役割が囮であるのならば、それに務め徹すことが、延いてはメナディエルの為となろう」 ザゼルは胸元で十字を切ると、女神への祈りの言霊を紡ぐ。 バルバロトは老司祭の言葉に「信仰深いことで」と呆れたように小さく呟いた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2013/05/22
なんでしょうね。5年前の自分は無駄に倒置法使ってますね(汗)でも、文章書いていると一度は訪れるブームですよね。きっと、絵描き初心者が顎を隠しちゃう絵を量産するのと同じさ(違う?)もっと思い切ってぷちHぃ感じにしても良かったかも。今更だけど(´・ω・`)まぁ、後ほど、暇見てぱんチラ挿絵でも描こうと思います。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ アリエッタは自らを名指しで呼ぶ声に気づくと、碧色の団栗眼であたふたと周囲を窺いだす。 年の頃十二・三歳のまだ幼さを残した容貌ながら、その外見に不釣合いなほど大きく発達した胸元が特徴的な少女である。「う~ん……」 寝ぼけているのか、アリエッタの瞳は焦点が定まっていない。 少女が見回した石造りの室内は、普段と代わり映えのしない見慣れたものだった。 ここは聖アルジャベータ守護騎士団、通称“ガーディアン”の居館―――アダマストル本宮殿を取り囲む城砦の一部である。 もっとも、現在、ガーディアンの面々は公国の特務に召集されてこの場には居ない。 未だ見習い騎士の身分であるアリエッタだけが、周囲の喧騒から一人取り残され、兵士詰め所のなかで待機していたのだった。★↓推敲↓★ 兵士詰め所で、寝ぼけた碧色の団栗眼がゆっくりと開く。 それは、年の頃十二・三歳のまだ幼さを残した少女だった。 その容貌とは裏腹に、不釣合いなほど大きく発達した胸元が目を惹く。「う~ん……」 寝ぼけているのか、少女の瞳は焦点が定まっていない。 曲のある栗色髪を撫でながら見回した石造りの室内は、普段と代わり映えのしない見慣れたものだった。 ここは聖アルジャベータ守護騎士団、通称“ガーディアン”の居館―――アダマストル本宮殿を取り囲む城砦の一部である。 もっとも、現在、ガーディアンの面々は公国の特務に召集されてこの場には居ない。 未だ見習い騎士の身分である少女―――アリエッタ・ルーンフォルテだけが、兵士詰め所で待機を命じられていたのだ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ アリエッタは目を白黒させると、年の割に大きく発達した胸元を両腕で挟み込むような姿勢をとる。「むっ」 プルミエールは一声唸ると、身体的格差が生み出したアリエッタの豊かな双球と、自らの発育不良な胸の盛り上がりとを交互に見比べている。「あっ……」 更に持たざる者に追い討ちをかけるようにアリエッタの胸元から鈍い破裂音。 内側から生じた強い圧力に屈した真鍮製の留金が、これ見よがしにプルミエールの足元まで転がった。★↓推敲↓★ アリエッタは目を白黒させると、年の割に大きく発達した胸元を両腕で挟み込むような姿勢をとった。「むっ」 プルミエールは一声唸ると、アリエッタの豊かな双球と己の絶壁に近い胸板を交互に見比べる。 身体的格差が生み出した悲惨な現実がそこにはあった。「あっ……」 更にアリエッタの胸元から鈍い破裂音が響き、持たざる者に追い討ちをかける。 内側から生じた強い圧力に屈した真鍮製の留金が、これ見よがしにプルミエールの足元まで転がった。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ふっ、とアリエッタの頭上を翳りが覆う。 真上から迫る物体がプルミエールの踵だと気づいた時には、アリエッタの小さな世界は、再度の白光に包まれていた。★↓推敲↓★ ふっ、とアリエッタの頭上を翳りが覆う。 真上から迫る物体がプルミエールの踵だと気づいた時には、アリエッタの小さな世界は、再び暗闇に閉ざされていた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ プルミエールは引き攣った顔で不愉快の権化を足蹴にする。★↓推敲↓★ プルミエールが引き攣った顔で不愉快の権化を足蹴にしていた。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 小さな腰に手をあてて偉そうに踏ん反りかえるプルミエール。 だがすぐに不満顔に戻ると、その場で激しく地団駄を踏む。★↓推敲↓★ プルミエールは小さな腰に手をあてて偉そうに踏ん反りかえる。 だがすぐに不満顔に戻ると、その場で激しく地団駄を踏んだ。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 小さな悲鳴をあげるアリエッタ。★↓推敲↓★ アリエッタが引き攣った悲鳴をあげる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2013/05/21
全体推敲はじめました。ここら辺は、5年前に書いた部分なのですが、あまりにも酷くて驚きました(汗) 夜明けにはまだ遠い時刻。 大陸でも屈指の大国であるアダマストルの後宮は、その壮麗な佇まいに似つかわしくない様相を醸し出していた。 忙しなく行き交う使用人達の靴音が緊張感を孕んだ空気に硬質な音色を反響させている。 そんな宮内の雑踏にさえ紛れることのない白い影がひとつ。 白金の長髪に端整な面立ち、一見、良家の令嬢と見紛う容姿を兼ね備えたその娘は、宮内の回廊に警戒の眼差しを這わせながら大股で歩を進めていた。 その身に纏った白銀の全身鎧の胸元には、大陸教でもあるメナディル正教の十字に身を絡めた飛竜の紋章が刻まれている。 それはこの女性がリュズレイ公家を護る守護騎士団(ガーディアン)の一員である事を意味していた。 不意に女騎士の足が止まる。 どうやら目的の場所に辿り着いたようだ。★↓推敲↓★ 夜明けにはまだ遠い時刻。 ここは西大陸でも屈指の大国であるアダマストル公国の後宮。 その壮麗なる佇まいとは裏腹に、そこに集う人々は些か似つかわしくない様相を垣間見せていた。 緊張感を孕んだ空気に、忙しなく行き交う使用人達の靴音が硬質な音色を反響させている。 そんな雑踏の中に周囲とは一線を画くする者がいた。 白金の長髪に端整な面立ち、一見、良家の令嬢と見紛う容姿を兼ね備えた娘は、宮内の回廊に警戒の眼差しを這わせながら大股で歩を進めていた。 その身に纏った白銀の全身鎧の胸元には、大陸教でもあるメナディエル正教の十字に身を絡めた飛竜の紋章が刻まれている。 それはこの女性がリュズレイ公家を護る守護騎士団(ガーディアン)の一員である事を意味していた。 女騎士の足が止まる。 どうやら目的の場所に辿り着いたようだ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「ミルフィーナ卿。 ご自分の責務を常に全うしようとする貴女の真っ直ぐな忠誠心は誠に尊ぶべきものですが……」 サリマは一拍おくと、小さくため息をつき続けた。「そのような物々しいお姿で後宮内を彷つかれては皆が不安になります。 騎士様方におかれましては本宮殿でお待ち頂ければ幸いです」 サリマは優しく説伏せるよう調子でミルフィーナを諌めた。「……申し訳ありません。 ですが、シャルロット様の御心を慮ると、安穏と待っていることなど到底出来ません」 ミルフィーナは僅かに視線を下に落とすとその心中を吐露する。「ミルフィーナ様……どうかお顔をお上げください。 貴女の抱かれる心痛は重々承知致しております。 それはここにいる皆が同じ気持ちだからです」 ミルフィーナが顔をあげると気遣うように微笑む老女の姿があった。 ミルフィーナは自らの軽はずみな行動を恥じいるように畏まる。 彼女はその場で深く一礼すると元来た回廊に向け踵を返そうとしたが―――★↓推敲↓★「ミルフィーナ様。 ご自分の責務を常に全うしようとする貴女の真っ直ぐな忠誠心は誠に尊ぶべきものですが……」 サリマは小さく嘆息して、再度口を開く。「そのような物々しいお姿で後宮内を彷つかれては皆が不安になります。 騎士様方におかれましては本宮殿でお待ち頂ければ幸いです」「……申し訳ありません。 ですが、シャルロット様の御心を慮ると、安穏と待っていることなど到底出来ません」 ミルフィーナは僅かに視線を下げて、心中を吐露する。「ミルフィーナ様……どうかお顔をお上げください。 貴女の抱かれる心痛は重々承知致しております。 それはここにいる皆が同じ気持ちだからです」 サリマは優しく説伏せるよう調子でミルフィーナを諌めた。 ミルフィーナが顔をあげると、気遣うように微笑む老女の姿があった。 女騎士は己の軽はずみな行動を恥じいるように畏まる。 直ちに、その場で深く一礼すると、元来た回廊に向け踵を返そうとしたが―――■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 事実ではあるが本心ではない答えを瞬時に返すミルフィーナ。★↓推敲↓★ ミルフィーナは予てから用意された段取りを踏む。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シャルロットは軽く頭を振り湿り気を帯びた長い金髪を後ろへ流すと、床一面に敷かれた絨毯が濡れる事もいとわずに、私室と浴室とを遮る金銀糸の飾り紐をつけた垂布を通り抜けた。 そのまま、化粧台に置かれた大きな姿見の前まで来ると乳母と若い侍女を部屋に招き入れる。★↓推敲↓★ シャルロットは軽く頭を振り湿り気を帯びた長い金髪を後ろへ流す。 そのまま床一面に敷かれた絨毯が濡れる事もいとわずに、私室と浴室とを遮る金銀糸の飾り紐をつけた垂布を通り抜けた。 そして、化粧台に置かれた大きな姿見の前まで来ると、乳母と若い侍女を部屋に招き入れる。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ サリマは水浸しとなった絨毯の酷い有様に僅かに眉を顰めたが、表面上は快くシャルロットの傍らに畏まり、少女の濡れた身体を手にしたシルク織りの布で丁寧に拭取っていく。★↓推敲↓★ サリマは水浸しとなった絨毯の酷い有様に苦笑するが、表面上は快くシャルロットの傍らに畏まる。 シルク織りの布で、少女の濡れた身体に浮き上がる水滴を丁寧に拭取っていく。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シャルロットは己の裸体から丹念に水滴を拭き取っていた侍女達の手を唐突に振り払うと、そのまま誰の助けも借りずに普段より幾分大人びた装いの下着を纏ってしまう。★↓推敲↓★ シャルロットは侍女達の手を唐突に振り払うと、そのまま誰の助けも借りずに普段より幾分大人びた装いの下着を纏ってしまう。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ シャルロットの言葉にサリマは嬉しそうに微笑むと、少女の丸みを帯びた腰に手を回しコルセット巻きつけ紐をきつく締める。 次にクリノリンの鐘型フレームにより膨らみを維持したペティコートを少女の頭から被せて腰元で固定する。 最期に紅色のオーガンザのドレスを着付ける。 その手際の良さは、手練の着付け師も舌を巻くほどのものであった。★↓推敲↓★ サリマは心底嬉しそうに微笑む。 それから手早く、少女の丸みを帯びた腰に手を回しコルセット巻きつけ紐をきつく締めた。 次にクリノリンの鐘型フレームにより膨らみを維持したペティコートを少女の頭から被せて腰元で固定する。 最期に紅色のオーガンザのドレスを着付けた。 手練の着付け師も舌を巻く手際の良さであった。
2013/05/21
初稿:2013.05.16編集:0000.00.00<< 前の話 次の話 >>※月ノ章の本編です4-00【迷途】 一夜が明けた。 水都アンディーンの輪状に広がる市街地の中心では、白亜の公宮アクア・クレードルが朝日を反射して広壮な佇まいを見せていた。 同建築の大理石の白壁には美しい彫刻が隅々にまで施されており、美術史にも刻まれる芸術的な価値を併せ持っている。 加えて、東西南北に位置する尖塔から伸びた桟橋だけが水都との接点であり、篭城にも適した建築工学の結晶として名高い。 しかし、晴れ渡った空の下、公宮の一角に集う者たちの顔色は優れない。 件の襲撃から一昼夜が過ぎて、ようやく経過の確認をとる目処がついたのだ。 事態の相互確認がここまで遅れたのは、水都に帰還して間も無く、出迎えたカタリナの前でミュークが卒倒したのが原因である。 屍族の高い恒常性機能は右肩の傷口を塞いでいたが、血を大量に失ったことで、冬眠状態に陥ったらしい。 代理で状況報告を任されたレムリアも精神的な動揺が激しく、会話にならない有様だった。 ちなみに、ルムファムは別の意味で会話にならなかったようだ。 結局、ミュークが意識を取り戻すのを待って、今に至る。「あの後、武装偵察隊を遺跡に送り込みました」 カタリナが現状を説明する。 偵察隊からの報告では、既に遺跡内部にオルカザード家の屍族の姿はなかったそうだ。 負傷したユイリーンは一命を取り留めたそうだが、プルミエールは未だ発見されず、その生死は不明となっていた。 老公女は血縁者でもある隣国の王族を危険に晒してしまったことを酷く悔やんでいた。 もっとも、当初カタリナは二人の姫君の遺跡調査団への同行を許してはいなかった。 ユイリーンが無理を押して、帯同を願い出た為に、護衛兵を増員することを条件に渋々許可をだしたのだ。 プルミエールに到っては護衛兼監視役(首につけた縄)を振り切って着いてきたので、カタリナに全ての非を押し付けるのは酷だろう。 続けて、絹の円座に腰を下ろしたミュークが、一連の出来事を有りのまま打ち明ける。 同盟関係にある以上、情報の共有は最低限必要なことだ。 カタリナは努めて冷静であったが、シャルロットの出生に関して話が及んだ際、一瞬だが、表情に暗い陰が過ぎった。 ミュークもそれに気づいたが、敢えて追求することはなかった。「オルカザード家に対する手配は水面下で進めています。 元より、そう易々と上級屍族を打倒できるとは考えていません。 今まで同様に彼等の所在と動向を知ることが目的です。 接触が可能なら付け入る隙も生まれることでしょう」 カタリナが一同を見渡してアルル=モア公国の指針を説明する。 安易に事を表沙汰にすることで、プルミエールの命が危険に晒されることを避けたのだろう。 国の威信と姪御の命を天秤にかけた上での苦渋の決断だった。「最悪の事態も想定せねばなるまい」 ミュークが血を吐くような面持ちで口を開いた。 プルミエールが命を落としていた場合、アルル=モアが如何に対応するのか知る必要があった。 それでも婉曲に訊ねたのは、カタリナの心情を慮ったばかりではない。 ミューク自身がそれを口に出すことを憚ったからだ。 だが、訊かねばならない問題だった。 メナディエル正教圏にある国家は、オルカザード家とは不可侵の密約を結んでいる筈である。 それを破棄せざるを得ない状況に陥った時、ウィズイッド家との友好関係にも軋轢が生じることは避けられない。 カタリナが望む望まざるに関わらず、国内外から批難の声があがるだろう。「僭越ながら、宜しいでしょうか?」 静かだが、強い意志を宿した声。 一同の視線が扉口に佇む人物に向けられた。 そこには、白塗りのドレスに白紗を幾重にも巻きつけた白髪の屍族。 遺跡で一行の危地を救ったファナ=ローズオリビアの姿があった。 彼女はウィズイッド家由縁の屍族として、この場に招かれていた。 ミュークの勧めで帯同しているが、人族に己の正体を明かさないという条件付である。「勿論です。 アナタをこの場にお招きしたのは、その為でもあるのですから」 カタリナが発言を促す。 ファナは恭しく一礼すると、再度形のいい唇を開く。「では謹んで申し上げます。 その人族の少女があの場で殺されることなく連れ去られたのならば、この先、命を奪われる可能性は限りなく低いと思われます」「玄室の封印を解く為の、取引の材料にすると?」 カタリナは慎重な口調で問う。 殺すだけなら連れ去る手間をかける必要はない。 ここまでの経緯を考えれば、もっとも妥当な推察だろう。「それは、わかりません。 しかし、あの男は短気で激しい気性の持ち主ですが、一度助けた命を徒に奪うことは、その無駄に高い自尊心が邪魔をすることでしょう」「そうあって欲しいとワチキも思うが……。 怨恨に蝕まれた者が、その因となる存在を見逃すとは到底思えぬ」 ミュークが精彩さに欠いた面持ちで呟いた。 その姿は期待することに怯えているようにもみえた。 あの場でルドルフの息子が放つ、リュズレイの血脈者に対する冥い憎悪にあてられた者なら、当然の反応である。「私と斬り結んだ赤毛の屍族を覚えていますか?」 ファナの問い掛けはミュークへと向けられたものだ。「うむ、かなりの手練だと素人目にもわかった。 さぞかし名のある屍族だと推察するが、それと何の関係があるというのじゃ?」 ミュークが問い返す。 思い出しただけで、戦慄が背筋を逆流する感覚に襲われる。 それほどの鬼気を宿した屍族だった。「あの赤髪の娘の名はアーネル・バルズール。 この一件に関しては、彼女が助命を求めたと考えて相違ありません」「……バルズール? いや、まさか、彼の一族の血統はとうの昔に途絶えたと聞いておったが……。 噂とはとんと当てにならぬものじゃな」 ミュークが大きく唾をのみこんだ。 驚きを禁じ得ないようだ。 バルズール家は、血統アルカナ“戦車”の継承血族にして、嘗て南西大陸一帯を支配していた大屍族である。 盲目の魔女が異界より召還した真紅の流砂に呑み込まれ、そこに存在した文明と共に一夜の内に滅び去ったと史実には記されていた。 それを裏付けるように、南西大陸は今現在もアネクメネビュートと呼ばれる死の砂漠に覆われている。「あの男も血統アルカナ“戦車”の能力には一目置いています。 故に彼女が側にいる限り安全です」 ファナの言葉に淀みはない。「ふむ、今は白屍姫殿の言葉を信じるしかあるまい。 ならば、アルル=モアの指針に従いプルミエール嬢の奪還を優先すべきかの」 幾分、落ち着きを取り戻したようで、ミュークは深く円座に腰を下ろした。 同時に、片腕を失った右肩から鈍痛が走った。 やにわに、ミュークの口元に苦笑が湛えられる。 焦燥感から傷の痛みを忘れるほど、あの人族の少女に入れ込んでいたことに気づいたようだった。「問題は山積みです。 今は、一つずつ出来ることから片付けていくしかないでしょう。 皆さんとは、密に連携をとる為、公宮に滞在して貰おうと考えていますが、無理強いをするつもりはありません。 不満があれば遠慮なく申し出てください」「過分な持て成しじゃが、ここは窮屈で適わん。 塒ぐらい自分たちで用意する―――と言いたいところじゃが、生憎懐が寂しい」 ミュークの応答は歯切れが悪い。 ウィズイッド家がヤガ=カルプフェルト王国に身を寄せていた当時も、王宮暮らしが性に合わず辺境の古城に引き篭もっていたのだ。 今更、人族の規律に縛られるのは、御免被りたいようだ。 それでも、 奥歯にモノが挟まった物言いになるのは、子供染みた我侭に聞えるようで、体裁が悪いからだろう。「では、プルミエールが泊まっていた水面の銀月亭に部屋を用意しましょう。 金銭的なことは心配せず存分に寛いでください」「う、うむ……感謝する」 ミュークはばつが悪そうにカタリナから顔を背けた。 数刻後、相互伝達の術を確認して散会となる。 会合の場を退出すると、ミュークの視線が随従する双子―――レムリアに向けられた。 屍族の少年はずっと俯いたまま小さく震えていた。 自らを庇いミュークが右腕を失ったことに対して、自責の念に駆られているようだ。「(こちらもどうにかせねばならんな……)」 ミュークは心の裡でそっと独り言つ。 悩みの種は尽きなそうだ。<< 前の話 次の話 >>※気まぐれに推敲致します。推敲後の文章はフリーページorHPの方で反映されます。■小説.■ファンタジー.■オリジナル.
2013/05/15
友人に勧められて購入してみたけど、ハマってしまいました(*゜∀゜*)丿お手軽に遊べるのでオススメです。
2013/05/10
3-10【凶刃】上~3-12【凶刃】下を簡易推敲致しました。(※物語上の変更点はありません)誤字脱字、その他細部描写の訂正。ラグナウェルの発言をオブラートに包んだものに変更しました。月ノ章(ミューク編)も血ノ章(ラグナウェル編)と平行して進めてみようと考えています。ただ、シャルロット編に続いて、伝奇の中篇を書き上げて、ちょっぴり燃え尽き気味(汗)・・・ちょっとマンネリ化しているので、久々に「フルバ」を読み直して心の洗濯でもしてみようかな。こういう時は自分の根底を支えてくれている作品に触れるのが一番ですしね。
2013/05/08
先月からずっと風邪気味(微熱)なので、安静にしてますけど、まとまったお休みがあると、たくさん創作ができてありがたいです。風邪薬を飲んだ後の、マッタリ感が病みつきになり別の意味で病気になりつつありますけど(´・ω・`)
2013/05/05
初稿:2013.05.05編集:0000.00.00<< 前の話 次の話 >>※光ノ章の本編です3-11【終焉】 その後の顛末はあっけなかった。 意識を取り戻したカルロ・ミサ・シークリア枢機卿が、アンヌフォルトの推薦を取り下げたのだ。 彼は今でもアンヌフォルト・インドブルクスの神聖を疑ってはいなかったが、それよりも優先して守るべき何かに気づいたようだった。 そしてあの時、白の間で起きた光景を目の当たりにした者は、誰一人としてシャルロットの聖座継承に反対することはなかった。 最後まで抵抗したのはゲティスに組した貴族連合だったが、それも長くは続かなかった。 シャルロットが初代教皇アグリウスタの血を引いている事実が明らかになると、教会法を盾にとる口実を失ったのだ。 端から新教皇の下で、甘い汁を啜ろうと打算的な腹積もりであったようで、手の平返しも見事なものだった。 後日、シャルロットの即位式典はつつがなく執り行われた。 「シャルロットさま、ご立派でした」 ミルフィーナが感涙に咽んだ目で、聖宮の露台に佇む少女を見つめている。 新教皇のお披露目と宣誓を終えたシャルロットは、目下に広がる祈りの広場から伝わる歓声に包まれていた。 エレシアムの御子についてだけは伏せていたが、信徒を前に自分の生い立ちと共に、聖女の資質者ではないことを告げた。 しかし、祝福の歓声が止むことはなかった。 信徒が目にしているのは過去の聖女ではなく、アレシャイムに新たに誕生した聖女の姿だった。「ありがとうフィーナ」 シャルロットは背後を振り返ると、信頼する女騎士団長の相変わらずな様子に苦笑する。 本人は否定するだろうが、ミルフィーナが誰よりも感情家であることは、周囲の人間ならすぐに気づく。「『不完全な価値観を持ち、変わることができるからこそ、ヒトはヒトである』、か確かにその通りだな」 エドゥアルトが新教皇の式辞を引用して賛同する。 こちらも式典以来、着いて離れず状態である。「首人さまは?」「処刑人の面々と共に姿を消してしまったようだ」 シャルロットの問いに、エドゥアルトは首を横に振った。 首人はいつの間にか姿を消していた。 まるで、自分の役目が終わったことを知らせるように、この舞台を降りていた。「そうですか……もう一度会って一言お礼が言いたかった」「生きてさえいれば、その機会もあるだろうさ」 エドゥアルトは何処までも前向きだ。 一見、楽観思考にも思えるが、彼なりの流儀に従った芯の強さこそ、この青年の美徳だろう。「それにしても、恩賞ぐらい要求しても罰は当たらなかっただろうに、見た目同様に風変わりな御仁だったな」 そして、いつも一言多い。 こちらは悪癖の類だ。「あの方は貴様とは違うからな」 案の定、ミルフィーナに揚げ足を取られる。「これは心外。 俺だって恩賞なんて無粋なものを要求するつもりはない。 こうして見目麗しいお二方の側に居られるだけで十分だ」「まさか、まだ着いてくるつもりなのか?」 ミルフィーナが呆れたように嘆息する。 ここは教皇庁でも、最も警備が厳重な聖宮セラフィムガードである。 素性のわからぬ者が出入りできる場所ではない。 確かめるまでもなく忍び込んだのであろう。「無論、何処までも。 それに、また置いてきぼりでは堪らない」 エドゥアルトは悪びれもせず答える。 どうやら先日、白の間に帯同できなかったことを、まだ根に持っているようだ。 もっとも、この青年が居ると、まとまる話もまとまらなくなるので、荒縄で縛り上げて強制的に留守番を任されたのだが。「ならば、火に油を注ぐ、その悪癖をどうにかしろ」「つれないな。 共に死線を潜り抜けてきた仲ではないか。 それに最後の最後で蚊帳の外では、流石のオレでも落ち込むぞ」「……貴様の働きには、ほんの僅かだが感謝している」 ミルフィーナは気恥ずかしくなったのか、ひとつ咳払いをしてエドゥルトから顔を背ける。 その頬が僅かに赤らんでいた。「素直じゃないな。 まぁ、辛辣な言葉とは裏腹な本音が、すぐ顔にでてしまう所が、ミルフィーナ卿の可愛いとこ―――おっと」 危険を察知したエドゥアルトが大きく背後に飛び退く。 抜刀したミルフィーナの長剣が空を切っていた。 まともに喰らっていたら、現世に別れを告げることになっていただろう。「おいおい、聖宮内は帯剣を禁じている筈だぞ?」「帯剣とは腰に剣を帯びることを指す。 故に衣服の内側に潜めておくことは帯剣には当たらない」 ミルフィーナが得意気に返す。 人間頭が固すぎると、別の意味で融通が利かない例である。 規律にある文面を単語の意味だけで捉えていたらしい。「屁理屈だぞ」 エドゥアルトが額に冷や汗を垂らして抗議する。「心配は無用だ。 抜刀しても見る者の死角になるように心掛けている」 自分でも違和感はあったらしく、隠してはいたようだ。 そして、脱兎のごとく逃げ回る青年を追いかける女騎士団長。「まったく、ふたりともいい加減にしなさい」 シャルロットは心からの笑顔をみせて、ふたりの後を追う。 神殿都市セラディムの街並みは、赤と白の祝旗を掲げて、リュズレイの聖女を祝福するように輝いていた。<< 前の話 次の話 >>※気まぐれに推敲致します。推敲後の文章はフリーページorHPの方で反映されます。シャルロット編はこれで完結です。拙い書き手でしたが、最後まで読んで下さった方がいましたら、感謝です。■小説.■ファンタジー.■オリジナル.
2013/05/05
シャルロットの物語も次で完結です。初小説ですから、いろいろと感慨深いものがあります。急にまとめすぎた感もあります。実際は挟む予定だった話を省いていますしね。「カルロとアンヌフォルト」の過去「ゲティスと貴族連合」の戦闘などですが、後ほど、サイドストーリーとして付け加えるかもしれません。ちなみに、元老院に敢えて触れないのはミュークの物語で接触予定があるからです。・・・伝奇の方は何度か完結しているのですけどね(汗)
2013/05/04
※文字数制限を越えたので二つに分けました。初稿:2013.05.04編集:0000.00.00<< 前の話 次の話 >>※光ノ章の本編です3-10【聖座】「皆、聞いていたであろう。 これで聖布の数は赤が一枚上回ったことになる。 ワシはカルロ卿の遺志を尊重してシャルロット・リュズレイを次期教皇に選出しようと思う。 如何かな?」 今、この好機を逃すわけにいかなかった。 再審となれば、カルロの聖布は無効とされるだろう。「お待ちください。 貴老は罪人を聖座に据えるおつもりか?」 ライオネル卿から不服の声が上がる。 シャルロットには、大罪人であるミルフィーナ・ド・グラドユニオンの逃亡幇助並びに、共犯の疑いもかけられている。 それはこの場にいる全ての人間が知るところだ。 彼の意見に同調する者も数多い。「亡き聖下を害したのは、ミルフィーナ卿ではない。 これは聖下が遺した手記じゃ」 ヴィルヘルムは、この機が訪れるのを待っていたのだろう。 懐から取り出した羊皮紙の束を祭壇に広げる。 そこには、ウェルティス・フォン・バレル三世の苦悩が綴られていた。 教会の改革を進めるために、病を克服する術が必要だったこと。 その為にオルカザード家の屍族と血の契約を交わした過去。 そして、全ての決着が着いた後、自分の愚かな行いを白日の下に晒して、償うつもりがあると締めくくられていた。 屍族との取引を行った時点で、不測の事態に備えていたのだろう。 教皇付の侍従は指示されていた通り、密かに手記を持ち出すと、それを信頼できる人物へと届けていたのだ。「聖下のご遺体は、納棺されずに何処かへ持ち運ばれていたようですわ」 ファティマ・イスがレムギザロス大聖堂で垣間見た事実を明らかにする。 教会の暗部が浮き彫りになる度に 白の間に動揺が走る。 それは暗い奔流となり、疚しき心を持つ者を炙りだす。「世迷言を……ランスロット、早くこの者たちを捕らえるのだ」 ライオネル卿は切羽詰ったように聖堂騎士団にわめき散らした。「残念ですが私もファティマ卿と同意見です。 聖下のご遺体は内側から喰い破られるように損傷していました。 あれは人間の扱う武器で負う類の傷ではないと断言できます」 ランスロットは戸惑う聖堂騎士団の動きを片手で制する。 成り行きを見守る司教評議会の列席者からざわめきが洩れた。 ライオネル卿が呪詛の声をあげ、静粛を求めるが、彼の声に耳を傾ける者は既にいなかった。「信じられません。 誰よりも不実を嫌い、善政に努めた聖下が……」 アンヌベルク卿が呻くように呟いた。 ウェルティス・フォン・バレル三世は歴代教皇の中でも屈指の聖人であった。 生前の教皇を見知った者には、俄かに信じられる話ではないだろう。「聖下が為さろうとした宗教改革は、反対勢力との戦いというより、病に侵された己自身、それは時間との戦いだったのでしょう。 故に目的の為に手段を誤ったのかもしれませんわ」 ファティマ・イスは偉大なる聖人も、またひとりの人間だったのだと説く。「(これが…こんなものが……アルジャベータが命懸けで守ろうとしたものなの?)」 シャルロットは目の前で展開する現実を、まるで遠い世界の出来事のように感じていた。 まるで現実感がない。 それは籠姫として俗世と隔離されて育った少女が、はじめて目の当りにした教会の姿だった。 その時、何かが聞えた。 それを確かめようと視線を彷徨わせる。「アンヌフォルト……」 シャルロットのすぐ足元で、冷たくなったカルロの亡骸にすがりついて泣きじゃくる少女がいた。 その子が何者であるのかは直ぐにわかった。 そして、この幼い少女にとって聖座を得ることよりも、大事な存在があることにも。「(この子はわたしと同じだ……)」 ようやく、今自分が為すべきことに気づく。 シャルロットは巻きつけた布を解き、美しい装飾の施された長大な剣を露にする。「(みんな……ごめんなさい)」 これが神剣に宿る最期の神霊力であるのかもしれない。 命がけで得た神剣の最期の奇跡を、敵対する人間の為に使うことに反対されるかもしれない。 でも、ここで使わなければ自分は一生後悔し続けるだろう。「アルジャベータ……力を貸して」 アンネシュティフから暖かな光りが溢れ、白の間を包み込む。「シャルロットさま!?」 ミルフィーナが目を見張る。 この時になって、周囲の人間もはじめてシャルロットの行動に気づいた。 だが、驚きはしたが、その行為を止めようとするものはいなかった。 まるで時間が止まったかのように、人知を超えた光景を見守っていた。「法や宗教は人間が人間であろうとした結果生まれたものです。 ヒトは弱い、だから、生きる上で基準となるものは必要です。 でも、それは完全ではありません。 生まれや、立ち位置の違いだけで容易に相容れぬものへと変わってしまう」 シャルロットが言葉を重ねていく。 その姿は純白の光りに包まれていた。「教会は屍族を教敵として、忌むべき存在だと定めています。 でも、わたしをここまで導いてくれたのはひとりの屍族です。 聖下の命を奪ったのは屍族なのかもしれません。 ですが、過去に失われるはずだった聖下の命を救ったのも、また屍族です。 対話を避け、屍族と友好な関係を築く努力を怠らなければ、防ぐことができた悲しみもきっとある筈です」 光りは命を宿した燐光となり、雪のように祭壇へと降り積もる。 その一片がカルロの身体に溶けて消えた時、永久の眠りから醒めるように、閉じた鷹眼がゆっくりと開かれる。 優しく微笑んだシャルロットは、決然と立ち上がり白の間を見渡す。「わたしは教会を正そうとは考えません。 先人の知恵から学びこそすれ、過去に生きるつもりはないからです。 人間の価値観は時代や世相に影響されて常にカタチを変えていくものだと思うから。 今必要なことは、今を生きているわたし達が決めることです」 神剣アンネシュテイフを携えたシャルロットの姿は、白ノ間の円天井に描かれた聖女アルジャベータと重なってみえた。 それは神話の一場面のように神々しいものだった。<< 前の話 次の話 >>※気まぐれに推敲致します。推敲後の文章はフリーページorHPの方で反映されます。次回で完結です。■小説.■ファンタジー.■オリジナル.
2013/05/04
※文字数制限を越えたので二つに分けました。初稿:2013.05.04編集:0000.00.00<< 前の話 次の話 >>※光ノ章の本編です3-10【聖座】 教皇庁アレシャイム―――白の間 荘厳な空間に、七聖省を司る枢機卿各位と司教評議会の代表者が集っている。 新教皇選出の儀が執り行われているのだ。 中央の祭壇上には議長を務めるヴィルヘルム主席枢機卿。 老卿の前には白と赤、二枚の聖布が敷かれている。 そのひとつ、白い聖布には金髪碧眼の幼い少女が両膝を下ろして、女神へ祈りの言霊を捧げていた。 アンヌフォルト・インドブルクスである。「(まだか……)」 赤い聖布を見下ろしたヴィルヘルムの顔に苦渋の色が滲む。 新教皇は各枢機卿の推薦者の内から選ばれる。 本来はフォン家の血族から人選する為の法であるが、裏を返せば、枢機卿の推薦さえあれば何人であろうとも資格者となり得た。 候補者が複数擁立された場合、枢機卿団による無記名投票により二名にまで絞られて、この白の間で勝敗を決することになる。 祭壇を取り囲んだ枢機卿各位が、候補者を擬えた色の聖布を祭壇上に投げ入れて多数決を採るのだ。 ウェルティス・ゲティス・フォンが排斥されたことで、此度の教皇選挙は、教会の長い歴史ではじめての民主的な教皇選挙といえるだろう。「ヴィルヘルム主席枢機卿、儀式の進行が滞っているようだが?」 ライオネル卿が嘲るように訊ねる。「(間に合わなんだか……)」 ヴィルヘルムは出来うる限り進行を引き延ばしていたが、既に限界だった。 老卿の視線が祭壇下のファティマ・イスに向く。 女枢機卿は下唇を噛んだまま俯いていた。 このまま最終票決を行えば、シャルロットに勝ち目がないことを理解しているようだ。 アンヌフォルトを擁立するのは、その推薦人であるカルロ卿に白十字教の信者でもあるライオネル卿とアンヌベルク卿の三者。 同宗派では、偶像崇拝を禁ずるが故に、聖女と対立の構図が描かれることは、当然の成り行きである。 一方、シャルロットを擁立するのは主席枢機卿であるヴィルヘルムにファティマ卿、それと聖アルジャベータ公会の重鎮たるハンス卿である。 確定票が三対三で並んでいる以上、全てはここまで態度を決めかねていたマグヌス卿の意思に委ねられる。 しかし、彼は白十字教に多大な影響力を保持するギルドゥクリエースト家の次期当主候補である。 門閥を背負った人間が家名に傷つける可能性は低い。 故に神剣アンネシュティフの入手は必要不可欠な要素だった。 シャルロットがメナディエルの加護に適う者だと証明されれば、冤罪を晴らすと同時に、逆転の目も生まれた筈だ。 もっとも、このままシャルロットが白の間に現れなければ、彼女への推薦票さえ無効となり、全てが水泡に帰してしまう。「それでは最終票決を執り行う。 アンヌフォルト・インドブルクスには白の聖布、シャルロット・リュズレイには赤の聖布、教会の未来を担うに相応しき者に七聖の祝福を与え賜え」 ヴィルヘルムの声が白の間に響き渡る。 白と赤―――二色の聖布が祭壇を囲む枢機卿各位の手から宙に放たれる。 この場に集う全ての視線が祭壇へと注がれていた。 故に誰も司教評議会の順席でひとつの影が立ち上がったことに気づかなかった。「背教者共に神の鉄槌を!」 裏返った男の声が白の間に轟く。 そして、ただ真っ直ぐに機械仕掛けの人形のように男は走った。 邪魔な人間を突き飛ばし踏みつけ、祭壇に飛び乗る。 その勢いで頭部を覆った頭巾がすべり落ちた。「ゲティス!?」 ファティマ・イスが驚きの声をあげる。 蒼白く窶れきってはいるが、その顔は確かにウェルティス・ゲティス・フォンのものだった。「何をしている早く捕らえろ!」 響き渡る悲鳴と怒号、転倒した人間に阻まれ警備を任された聖堂騎士団も身動きがとれない。「地獄に堕ちて永遠の劫火に焼かれるがいい」 ゲティスは懐に忍ばせてあった短剣を掴み取ると、体当たりをするようにアンヌフォルトへと切迫する。 狂人の腕が真っ直ぐ伸びた。 洗練されていない素人同然の動作だった。 しかし、死を恐れぬ狂人の行動を妨げることは誰にもできないように思えた。 ―――鮮血「貴様……」 ゲティスが血の滲むよう呻きを発する。 右手で鈍く光る刀身は、アンヌフォルトを庇うように立ち塞がったカルロ枢機卿の右胸に深々と突き立っていた。「ゲティスさま……ご健在でなによりです」 カルロは口元に笑みを浮かべると、皮肉を込めてゲティスを睨む。「元老院と組んで、俺を排斥しておいて、よくもそのようなことを抜け抜けと言えたものだな」「亡き聖下は……清廉潔白な人柄で稀代の聖人でした。 しかし、誠に残念なことで……その偉大な人徳は……親から子へと受け継がれる類のものではなかったらしい」 カルロの身体がゆっくりと崩折れる。「くそっ、だがお前たちの神聖とやらもこれで終わりだ」 ゲティスは立ち竦むアンヌフォルトの細首を片手で鷲づかみ、血の滴る短剣を振り上げる。 しかし、その行為は完遂することはなかった。 素早く祭壇に回りこんだ聖堂騎士のひとりが、長剣を旋回させて凶刃を弾き飛ばしていた。 そのまま流れるような剣捌きで、ゲティスの首筋を長剣の峰側で捉え、その場に昏倒させる。「遅れて申し訳ありません。 ヴィルヘルムさま」 聖堂騎士はそう言うと全面兜を脱ぐ。 流れ落ちる銀髪―――下から現れた顔はヴィルヘルムのよく見知ったものであった。「ミルフィーナ卿か」 ヴィルヘルムの声に応えてミルフィーナが目礼する。「ランスロット卿の手引きで、聖堂騎士団に扮してこの場に潜り込みました。 もっとも、聖堂騎士団内部にも元老院の間者がおり、この騒ぎがなければ祭壇に近づくことも儘ならなく」 口早に状況を説明するミルフィーナ。 そして、彼女が脇に退くと、背後から待ち望んだ人物が現れる。 此方も聖堂騎士団の全身甲冑を纏っていたが、兜は既に脱ぎ落としていた。「姫、よくぞ無事にご帰還なさった」 ヴィルヘルムは、ひと目でシャルロットが携えた一振りの剣の正体を見抜く。 だが全ては遅かったのかもしれない。 口には出さなかったが、祭壇の上に落ちた白い聖布の数が全てを物語っていた。「ヴィルヘルム先生、今はカルロさまを医務室に……シーラ、ノーラ」 シャルロットはぎこちない動作でカルロの横に跪く。 傷口を確認して、遅れて追随していた双子の守護騎士に呼びかける。 傷は深いが急所は外れているようにみえた。 手早く処置を施せば助かるかもしれない。「無用です……どうやら毒が塗られていたようだ」 カルロは申し出を拒絶する。 彼の顔は、その言葉を裏付けるようにどす黒く変色しつつあった。「ヴィルヘルム先生……」 シャルロットはすがるような眼差しをヴィルヘルムに向ける。 老卿は拾い上げた短剣の刀身を調べ、首を横に振った。「これは……元老院に踊らされ、身の丈に合わぬ望みを抱いた……報い」 カルロは視線を傾けアンヌフォルトの無事を確かめると、たどたどしく言葉を吐き出していく。 その呼気は目に見えて弱まっていた。「よい……お顔に、なられた……今の……アナタになら……教会の未来を……たくせるかも、しれない」 そう言うと、カルロは傍らに落ちる白い聖布を胸元に手繰り寄せる。 傷口から溢れる鮮血で白布が赤く染まっていく。「これは……アンヌフォルトさまをお守り……戴いた……礼です」 死の間際にすら他者を威圧する鷹眼が見る者を捉えて離さない。 その両眼がゆっくりと閉じられた時、カルロ・ミサ・シークリア枢機卿は静かに息を引き取っていた。「この者の魂に平穏と癒しが齎されんことを」 ヴィルヘルムが胸元で十字を切って、死者の魂の安静を祈る。 そして、全ての感情を切り捨てるように、大きく息を吐いた。<< 前の話 次の話 >>※気まぐれに推敲致します。推敲後の文章はフリーページorHPの方で反映されます。■小説.■ファンタジー.■オリジナル.
2013/05/04
【リュズレイの三姫記 ~†Princesse du sang†~】です。・・・「†Princesse du sang†」というサブタイトルで、小説モドキを書いていましたが、最近、同名の小説が海外に存在することが判明しました。(向こうは、「†」←は付いてません)名前をつけた当時はグーグル検索でも全くHITしなかったので、安心して命名したのですけどね。まぁ、フランス語で“姫の血統”と訳せる安易な単語なので実際は何処にでもありそうですけど(汗)良い機会なので、コレを期にメインタイトルを決めてしまいました。
2013/05/02
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