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前世療法8 ソウルメイトその3 誘拐犯で夫である、ソウルメイトのリシューのほうを見ると、彼は銃を構えているものの腕がぶるぶる震えていて、とても撃てそうにもありません。怒りなのか、人に銃を向けることへのためらいなのか・・ リシューは、動かない私を見て銃を降ろしました。彼が、私に選択権を与えてくれたことに気づきました。もし私が原住インディアンの部族に戻ってエブと結婚したら、どういう人生になるかの思いと、もしフランス人の開拓者コミュニティに留まった場合の人生がどうなるかの思いが、平行して鮮やかに心をよぎりました。そして、エブとリシューへの自分の気持ちの違いも。一瞬のあいだに、ものすごくたくさんのことを思い、大変な決断を迫られたのです。 エブが、極度の状況のなか最後の試みで、私の手を取って走ろうとしました。私が、彼の手を振り切ったので、エブは信じられないような表情を一瞬しましたが、そのまま一人で走り去っていきました。 しばらく空白の時間が流れました。 私は自分の意志で、リシューのほうに歩いていき、ひざまずいてあやまりました。それまでは思ってもいなかった行動でした。彼を敵だと思っていたので。彼は、私の手を取って立たせてくれ抱擁してくれました。 誘拐という形での究極の出会いは、彼の一方的な意思表示で始まり、困難がありましたが、ここへきて、私が自分の自由意志で彼を選んだとき、やっとお互いのハートの愛情に気づいたのです。 このことがきっかけとなって、私は大きく変わりました。積極的に彼の言葉や習慣、料理などもおぼえるようになり、彼との関係も目にみえてよくなっていきました。翌年には子どもも産まれ、2-3年後に移動してみてみると、コミュニティの人たちにも溶け込んで、私の料理でもてなしている場面です。子どもも二人になっていました。 その頃までには、客観的に二つの異なる文化やコミュニティを比較してみる余裕もできていました。原住インディアンの世界は、私の大切なルーツです。伝統的な習慣や、家族や親戚にも慣れ親しんでいます。自然との結びつきもあります。いっぽうで、私の婚約者も含めて、男性は複数の妻をもちますし、夫婦間にもはっきりとした上下関係があります。 いっぽうの新教徒の開拓者の世界は、一夫一妻で、夫婦間は原住インディアンと比べると平等です。その分、女性も役割や責任を分担しなければなりませんが。また、フランスでの新教徒は少数派で、新天地を求めて移住してきた人たちなので、新しいことにも受け入れる準備がありました。 現在欧米のスピリチュアル派の人々のあいだでは、原住インディアンの精神性が高く評価されていて、理想化されているところがあります。前世療法の中での私は、原住インディアンの女性で、フランスの新教徒の男性と結婚したという数奇な運命の流れで、二つの世界の光と影をみることができました。 なんだかよかったなー、と思う私に、前世療法士のバーニーは、「では、その過去世で最後に日、あなたがなくなった日にいってみてください」といいます。えーまだ見るの、と思いつつも、その日に移動した私は、ものすごい苦しみのまっただなかにほうりこまれてしまい・・・次号につづく。
2010年03月19日
前世療法7 ソウルメイトその2 ところで、誘拐されて結婚することになった彼リシューは、カウボーイふうの格好をしていて、よく日に焼けています。髪や目は黒に近くて、わりといい男。働き者です。当時の私は言葉もわからず、家事も一切できず役にも立たないのに、意外に忍耐強く接してくれていました。冒頭の洗濯のシーンでも、一日の仕事を終えて帰宅したのに、まだ洗濯もできていないので怒ったものの、ため息をついてあきらめて、自分で洗濯をはじめ、料理もやってくれたようです。 こうなると、私のほうがだめな人みたいですが、誘拐されたショックはものすごく大きかったと思います。まだ少女ですし、突然自分が慣れ親しんだ環境から切り離されたのです。新しい環境に少しもなれず、言葉も覚えられなかったも無理はなかったと思います。ソウルメイトのことは、かたき、敵だと感じていたわけです。 脱走も失敗してしまい、父が助けにきてくれるのをいまかいかと待ってあきらめかけた頃、昼間彼がいない時間に、人目をしのんで原住インディアンの婚約者エブがやってきました。好きでも嫌いでもなかった相手ですが、心が躍りました。自分が慣れ親しんだ場所へ帰ることができる、そのきっかけとなる人ですから。 エブは、次の満月の夜に、家の裏のほうにある林に迎えにくるといいます。夜、リシューが寝静まったのを確認してから、身ひとつで林にいくという約束をしました。 それから満月の日まで、心の中は嵐のようでした。家へ帰れる、といううれしさと、うまくいかなかったらどうしようという不安がうずまいていました。そういうことを気取られないように気をつけていたため、いつにもまして、家事がでたらめになってしまいました。コミュニティの人たちは親切ではあったけれど、何もおぼえられない私は少し頭が悪いのでは、と思っていたようす。 でももうそんなことはどうでもいいのです。でも、いくら誘拐犯とはいえ、彼の顔を見るといわれのない罪悪感がわいてきます。それで、野生動物のようだった私もいくらかおとなしくなっていました。 ついに満月の夜になりました。彼の寝息がゆっくりとなるのを、まんじりともせずに待って、そーっと寝床を離れねまきの上からショールだけはおって外にでました。月のせいで、あたりは明るく林までの道もよくみえます。ひとりでに小走りになりました。 林の待ち合わせ場所には、ちゃんと原住インディアンの婚約者エブが待っていました。二人で走ろうとした瞬間、後ろで声がしました。リシューです。銃を、エブのほうに向けています。リシューは、私の態度がいつもと少し違うことに気づいていたのでしょう。 エブはすぐに私の手を取って走ろうとしました。が、私はその場に凍りついたようになって、足がすくみ動けません。銃の威力を知っていました。エブも私も、きっとリシューに殺されてしまうでしょう・・・次回へつづく。
2010年03月05日
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