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2009年01月の記事
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ひとり芝居
Photo,1【その土地、その場所が自分の檜舞台】記・坂本長利１月３０日、雨降る金曜日の６時半、閑静な住宅街の中にある、一軒の瀟洒な家に、なぜか続々と人が集まった。Photo,2このお宅でいったい何が始まるのか？！冷たい雨に濡れて凍えそうな身体に床暖房の暖かさが嬉しい。辺りを見回すと、シンプルな台座の上に大きなロウソクが一本。Photo,3 どこからともなく聞こえてくる不思議な音楽と、部屋中に満ちている伽羅の匂いにも似た香りに期待はいやがおうにも高まっていく。Photo,4大勢の(70人近い)人々が集まっているのに、場内はとても静寂な空気で、そして期待の昂揚感に満ちていた。ここは東京・等々力、住宅街の画廊「スペースＳ」の別館。俳優・坂本長利のひとり芝居「土佐源氏」を見ようと集まった人たちだ。『あんた、よっぽどの酔狂もんじゃの、 乞食の話を聞きにくるとはの』「土佐源氏」(とさげんじ)土佐・梼原村の橋下の粗末な小屋に住む盲目の老人、若い頃は牛の売買をする博労(ばくろう)だったが、村の秩序の外で、村人たちに蔑まれながら生きてきた。極道の末に失明し、流れ流れて、今じゃ物ごいで暮らす日々。ボロのように何も残さず、ひっそり消えていく男の一生とは‥その女遍歴の中に微かに光る一片の「人間のこころ」の温もりを、老人の語り言葉そのままに、俳優の坂本長利が、1967年の初演以来およそ４０年にわたり、たった一人で演じ続けている。坂本長利は、今年、劇中の老人と同じ八十歳を迎えるという。この話は民族学者の宮本常一氏が、日本各地を訪ね、1200軒以上の民家に宿泊しながら土地の伝承を聞き、書きとめていった実話のひとつだ。※著書｢忘れられた日本人｣(岩波書店)で読むことができる。地元では原作よりも坂本長利さんが演じる一人芝居の方が有名だとの声もあるそうだ。公演回数も今回のギャラリー公演が1108回目となるそうで、この日は、奇しくも宮本さんの命日であったという偶然に、主催したスタッフの方々は、とても驚いていらした。こちらが今回の素晴らしい舞台を主催した、ｷﾞｬﾗﾘｰ「スペースＳ」オーナー安藤壽美子さんと、ドイツ・ﾊﾑ＆ｿｰｾｰｼﾞの店「DA DA CHA」オーナー小池保さんのお二人です。Photo,5終演後も、ある種の衝撃と鳥肌が立つような感動とで、しばし身動きもできず、あちらこちらで深い溜め息がもれる。Photo,6スタッフの皆さんは、息つく暇もなく懇親会の準備に‥Photo,7Photo,8Photo,9「坂本長利さんを囲む集い」の風景。嬉しい新たな出会いもありました。Photo,10この方が俳優の坂本長利さん。舞台でみせる鬼気迫るエネルギーがどこに潜んでいるのかと、不思議に思えるほど物静かな方でした。Photo,11『秦野にもいらして頂けますか？』と伺ったら『必ず伺います』とおっしゃって下さって、近いうち必ず、我が町・秦野での上演をひそかに心に決めた夜でした‥。※画像は一部は「ぜんさん」こと太田氏よりお借りしました。雨の中、車での送迎もとても助かりました。ぜんさん、ありがとう～☆
2009年01月31日
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太陽がイッパイ♪
真っ赤な宝石のように美しいトマトは、「グリーン・ファーム・イマイ」さんが愛情込めて作ったトマトです。食べるのが惜しいほど綺麗な野菜、ほんのり甘みがある柔らかい味。安心な味は、秦野のきれいな水と今井さんの情熱のコラボだと思います。「きれいな水」の幸せは、おいしい野菜、お茶、酒、豆腐、蕎麦、たくさんの大地の恵みを私たちに届けてくれるのです。秦野に暮らす大きな幸せ感の原点です。【テッラ・マードレ秦野】のお知らせ『大きな幸せは小さなテーブルから始まる♪』を合言葉に集まった、スローフード秦野の理念に共感する仲間たち。土台となって支えてくれるのは、生産者の皆さん。イタリアのテッラ・マードレ(国際生産者会議)にならって、秦野支部でも【テッラ・マードレ秦野】の第一歩を踏み出すことにしました。キーワードは『秦野が元気になればいい！』みんなの夢が輪になって、たくさんの実が結ぶことを願い、みんなで地道に種を蒔こうと思います。会員「わさびや茶園」さんのお茶が、六回目の農林水産大臣賞を受賞しました。山口勇さん、おめでとうございます！１月２５日(日曜日の午後)会員の店「じょんがら」で開催されました。テーマは「青森市場をのぞいてみよう♪」夜中に青森の市場から到着したばかりの山海の珍味に、スローフード青森の会員「じゅんぺい」さんが送って下さったホタテの料理もテーブルに並び、北国の旨いもんが勢ぞろい！飲んで食べて、喋って～～上記の今井さん差し入れのトマトを味わったり、山口さんが朝一番に自宅まで届けてくれたお茶は、ご参加の皆さんにお土産でお持ち帰り頂きました。パーティのサプライズで登場した太田自動車社長の弟さんのお店、麺屋「玄武」さんの手作り餃子も大好評！社長みずから厨房に入り、焼きたてを振舞って頂きました。太田さん、ありがとうございました。という訳で、それはそれは賑やかな「食の集い！」になりました。新規ご入会の皆さんや、初めて顔を出されたビジターの皆さん、日曜日ということもあってか、ご夫婦参加、あるいはお子様もまじえてファミリーでご参加という方が多かったのが何より嬉しかったです。だって、スローフード秦野の合言葉は、『大きな幸せは小さなテーブルから始まる♪』なんですから！参加した会員の皆さま方から、早速メールで嬉しい声が寄せられています。『おいしい津軽料理を楽しい会話と共に味わえて本当に貴重な時間でした。 娘は、津軽あめ、雲餅もちが気に入ったようです。 主人はあんなにおいしいほっけ、かやきを秦野で食べられるとは 思わなかったと喜んでおりました。』(伊藤様ご夫妻)『昨日はお疲れ様でした また今度は、じょんがらに個人的に行きたいと思います』(太田様)ご参加の皆さま、ありがとうございました。ご協力頂いた「じょんがら」さん、スタッフでお手伝い下さった会員の皆さま、本当にお疲れさまでした。●さて、スローフード秦野は食べているばかりではありません。ちゃんとお勉強？もしているんですよ！(←ｳﾌﾌ、ココを強調ね‥)「食の集い」の前日、土曜の午後は、スローフード秦野主催・第一回「イタリア語講座」学びすと集合！「イタリア語講座」スローフード秦野会員の店「すぴなっつおら」さんで「お茶をしながらイタリア語♪」開催。久しぶりに学生時代のゼミを思い出して、楽しくも緊張しました。イタリア語に興味のおありの方、ぜひご一緒しませんか。イタリア語講座を担当して下さる小原耕一先生です。イタリア特派員の経験を持ち、ヨーロッパに造詣の深い方です。スローフード秦野の顧問をお願いしています。二月からは「こども教室・英語と遊ぼう♪」もスタートします。「学びすと集合！」詳細はスローフード秦野・公式サイトのページを見てね☆
2009年01月26日
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里山暮らし、冬の幸せ♪
私たちが選んだ日本の本拠地「秦野」ですが、今年の冬はまだ一度も雪を見ていないほど、本当に信じられないくらい温暖な土地なんですよ。早咲きの梅がほころび始め‥牛舎のまわりも心なしか春めいた空気が‥洗濯物がゆれる軒先に、どこからか風に乗った煙がたなびきます。早春の匂いです‥山のお寺の鐘が鳴り、いつか来たよな気がする散歩道。蜜柑の生る木が陽に映えて‥小鳥のさえずりがのどかな午後に、久しぶりに、山の中のお蕎麦屋さんでお昼を食べようと、ドライブがてらウチの裏山「弘法山」の抜け道を走ります。山道の途中にあるのが『富士山のビューポイント』風は少し冷たいけれど、こんな日は富士山がくっきりと‥ランチ途中のこの風景、これを幸せと言わずして何という？！ウチの裏山？にお越しになるハイキングの皆さんにとっても、この富士山が、秦野からの何よりのおもてなしだと思います。そして最後に立ち寄るのは、、おなじみ団地の中のパン屋さん「レ・ルルド」で食後のコーヒーを。陽だまりの中、パンを焼く香ばしい匂いが流れています‥ポカポカと温かい「幸せ日和」の毎日に感謝です。●ルルドのパンは本格酵母の長時間自然発酵で、イーストを使わず、小麦粉、塩、水のみで作る無添加パン。時間と手間暇かけて作るパンの原点みたいな素朴な味わいなんです。・スローフードな学びすと 「ルルドに習うパン教室」も近日中スタートです！ 乞うご期待～★
2009年01月18日
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あなたは、なぜロミオなの‥？
果物屋さんに続いては八百屋さんが多い広場のお話を。ベローナの街の中心にあるエルベ広場、通称「野菜広場」と呼ばれているそうです。かつては八百屋さんが立ち並ぶマーケットだったとのことで、今でも土産物屋に混じって野菜を売っているおばちゃん達がおりました。そして、ベローナといえば、あのシェイクスピアの四大悲劇、「ロミオとジュリエット」の舞台に選ばれた街なのです。イギリスのナメシ皮職人の息子であるシェイクスピアが、小説の舞台をなぜイタリアの貴族の世界にしたのか？しかも庶民には旅行もままならないあの時代に、あれだけ仔細にリアリティをもって書けたのか？などなど不思議といえばホントに不思議。こんなところからも、「かのシェイクスピアは実は別人だった」などの学説や、シェイクスピアの正体探しがいまだに根強く残っているのでしょう。それにしても、もし別人だったと公に認められたら、「シェイクスピアの生家がある」それだけで世界中から観光客が押し寄せるイギリスの小さな田舎町ｽﾄﾗﾄﾌｫｰﾄﾞ・ｱﾎﾟﾝ・ｴｲﾎﾞﾝは、どうなっちゃうのかしら？！・・・などと ぼんやり考えながら歩いていたら、広場のド真ん中にある、かつての断頭台に‥ドキり！今じゃケータイのチェックに使うベンチのかわり。そうよね、話があるときは即ケータイの世の中だもの人目を忍んで夜まで会うのを待っている‥なんて世界はいまや過去の話ですね‥。夜な夜な悲嘆にくれながら恋人を待ち、『ロミオ、あなたは何故ロミオなの‥？』の名セリフで有名なかのジュリエット嬢のバルコニー。そのモデルとされているのがこちらの家です。私のイメージでは、ツタの絡まるもっと大きいテラス風を想像していたので、『えっ？こんなに小さいの？！』とちょっと意外でした。中庭に続く通用門の両サイドには、恋愛成就を願う恋人たちのメモがびっしり貼られて、日本でいったら縁結び神社といったところでしょうか。設置されている電話では、各国語に翻訳されたシェイクスピア戯曲の解説が聞けるようになっていました。そんなベローナの街の裏通りにあった小さなバール。カウンターの中のバールマンって、たいていはおじさんと、その息子のような若い男性(ｱﾙﾊﾞｲﾄ？)といったような男の人がほとんどなんです。だから女の人が一人でやっている店はちょっと珍しいかも‥うーむ、もしかしたらご主人が亡くなった後、お母さんが一人で頑張る細腕繁盛記のバールなのかしら。逞しく生き抜く現代版ジュリエット？！オーダーを待つ間、勝手に物語を作ってしまいました。でも、さすがマンマが経営しているだけあって、サンドイッチの生ハムもチーズも注文を受けてからその場で大きなかたまりをスライスし始めます。オレンジジュースも目の前で搾ってくれるし、ソーセージもフライパンで焼いてくれるの。(バールにしてはお値段が高めだったところをみると、ベローナは大学のある街なので、学生街の定食屋さんなのかな？)お母さんが見守って、ポカポカ温まるホットワインのようなバール。こんなことを思い出したのも、みぞれ混じりの寒い日は熱々のホットワインでも飲みたいなぁ‥と思ったから。 ★ホットワイン(ｳﾞｧﾝ・ｼｮｰ)の作り方飲み残しの赤ワインにお砂糖少しとレモンを少々。あとは好みのスパイス(ｸﾛｰﾌﾞ、ﾅﾂﾒｸﾞ、ｼﾅﾓﾝなど)を入れて、お鍋で沸騰しない程度に温めるだけ。(上の写真はイメージです) 熱々をﾌｰﾌｰいいながら飲んでると、風邪ぎみのときなど汗が吹き出し効果満点！冬も本番です。皆さま、寒中お見舞い申し上げます☆で、こちらは、ジュリエット嬢に会うためにバルコニーによじ登っているロミオ君。微笑ましくて、思わず衝動買いしたベローナ土産です。 ↓
2009年01月12日
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秦野発！「おいしい食卓」第一弾！
心惹かれる果物屋さんの色とりどりな世界（イタリア）お正月も、はや明日は七草ですね。リミンのうちも、身近な材料で‥大根の葉や青紫蘇、青いものなら何でも良いから細かくきざみ、土鍋でｺﾄｺﾄお粥を炊いたら仕上げに七草を散らします。今年は、ちょうど、西会津のきのこのママさんから、昨年の夏に予約しておいた西会津発「んめぇ～宅配便・冬号」が届きました！ 「んめぇ～宅配便」秋の味覚もいいなぁ、と迷いましたが、その頃は、我が家はイタリア田舎暮らしで不在だったため、冬号で届くようにお願いしておいたものです。「西会津んめ～便」と書かれた段ボール箱に、なんと１６品目もの真心がこもった安心な食品が‥『お餅、蕎麦粉、会津の干し柿、ミネラルっ娘ブランドのダイコン、長ネギ、ほうれんそう、大豆、小豆、もち米、くるみ、ワラビの水煮、にしんの甘露煮、柚子マーマレード、お母ちゃんの味噌漬け（ナス、キュウリ、大根、おまけ）、龍蔵寺のギンナンに、きのこのママ自慢の生しいたけ』 これは「おまかせ便」で購入したものですが、自宅の台所や庭など身近にあるギンナンやハーブ、手作りのお菓子やジャム、大豆や小豆、自慢の漬物、わりと簡単に手に入るものでも少しづつパックして、箱に詰めたら素敵なプレゼントになるな～そんなヒントをもらいました☆スローフードな幸せのおすそ分け、こういうのって、何をいれようか‥パッケージはどうしようか‥なんて考えているときが一番楽しい時間ですよね♪イタリア本部から送られてくるスローフードのバッジです。秦野支部設立を記念して、ただいまご入会の方に差し上げているものですが、スローフード協会のシンボルがカタツムリなのは、人生もまた自分のやり方でゆっくり生きていこう‥そんなメッセージが込められているからなんです。世界中で約十万人近い会員がネットワークを結ぶスローフード協会、その秦野支部誕生のニュースは地域メディアでも大きく紹介されました。⇒★●今年のお知らせ第一弾！ スローフード秦野「お食事会」 ・スローフードお食事会、場所等の詳細は→★ ・YAHOO 秦野「地域情報」 ・インターネット新聞｢市民が作るイベント・ステーション｣●スローフード秦野「お食事会」のサプライズ！当日は、ブログ友達でスローフード青森の会員でもあるじゅんぺいさんが、陸奥湾で獲れたて、ﾌﾟﾘﾝﾌﾟﾘﾝなホタテを差し入れしてくれます☆じゅんぺいさんは学生の頃、鶴巻温泉に住んでいたそうで、それも駅の近く、温泉‘ゆたか’の隣？のよしみで、リミンとは、どんなもんだい鶴巻温泉仲間なんですよ♪じゅんぺいさん、おいしい差し入れ ありがとう！●そして、当日のサプライズがもうひとつ！東京は練馬区、あの麺家【玄武】の餃子が食べられます！麺家【玄武】もちろん風の会でお馴染みぜんさんの出張サービス♪ぜんさんはスローフード秦野の仲間でもあるんです。だから横浜家系の本格餃子のお披露目！楽しみです～☆当日の様子は、後日、またレポートいたします。ビジター参加ご希望の方がいらっしゃいましたら、リミンの私書箱までご連絡下さいませ。ではまたお会いしましょうね☆
2009年01月06日
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元旦に思う。
ギリギリ元旦ですが、なんとか間に合いました。皆さま あけまして おめでとうございます☆昨年は、スローフード秦野支部の設立をはじめとしていろいろな出来事が本当に盛りだくさんで！我が家も、地球をひと回りするくらいの勢いで東へ西へとあたふた飛び周ることが多い一年でした。今年こそはスローで～と思いきや、新企画イベントや、講演のお話を頂いて、またもや走ることになりそうです。まだ詳細は内緒ですが、信じられないようなお話も頂いているんです。本決まりになったらまたご報告いたしますね。という訳で、ご無沙汰しがちなリミンブログですが、本年もどうぞ宜しくお願い致します☆ところで、私は、年末年始は名古屋方面でした。ウチの彼が仕事の都合で、年の暮れから新年にかけて桑名に行っていたからです。それで、リミンも焼き蛤で有名な桑名でちょっと年越し‥というわけでした。「桑名」といったら「ハマグリ」で、「蛤」といったら池波正太郎の「藤枝梅安」蛤やアサリは池波氏の好物だったという。江戸の庶民の食卓の情景ともいえる「小鍋だて」という粋な食べ方を知ったのもそんな池波正太郎の世界からだった。必殺仕掛人が殺る前に何をどう食すか‥一杯の茶碗酒を飲るときに何をつまみに何を思うか‥これは興味あるところだと思う。満腹でもいけないし、腹が減っては仕事が出来ぬ。梅安や彦次郎のような独り者の仕掛け人が、女手を煩わすことなく一杯の酒の有難みをしみじみ味わう‥大根とアサリ、小松菜と蛤など二種類くらいの具を、出汁をはった土鍋で煮えばなを七味や柚子で食す。このシンプルさ、このいさぎ良さ、私ならついつい『豆腐とネギも入れよう』とか『最後は玉子でとじて雑炊か、あ、うどんと油あげもいいなぁ』とか‥およそ仕事人の緊張感も悲哀も無くなってしまう。とっぷりと暮れてから、梅安と彦次郎は、居間の長火鉢へ土鍋をかけ、これに出汁を張った。笊に、大根を千六本に刻んだのを山盛りにし、別の笊には浅蜊の剥き身が入っている。鍋の出汁が煮えてくると、梅安は大根の千六本を手づかみで入れ、浅蜊も入れた。刻んだ大根はすぐさま煮えあがる。それを浅蜊とともに引きあげて小皿にとり、七色蕃椒を振って、二人とも、汁といっしょにふうふういいながら口へはこんだ。酒は、茶わんで飲む。(中略)「ああ、ずいぶんとのんだ」「飯にするかえ？」それから二人は、炊きたての飯へ、大根と浅蜊の汁をたっぷりとかけ、さらさらと掻きこむように食べた。「彦さん‥」「え‥‥？」「とうとう、白いものが落ちてきたようだね」(梅安晦日蕎麦より一部抜粋)この神々しいまでの清々しさ。男の料理はこうでありたい‥とすら思えてくる。炊きたての飯にぶっかけ汁、これは深川飯の原型だろうか。実に旨そうだ！なかなか ここまでいさぎよい鍋道の極みには遠いが、私も一つだけ氏と同じだと思えることがあり、それは、お吸い物を肴に日本酒を飲むのが好きだ、という点で、ファンとしては、それだけでも何となく嬉しい。小雪舞う、お正月、皆さまは誰と何を召しあがっていらっしゃいますか？
2009年01月01日
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