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2009年11月01日
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カテゴリ: ウマく行く恋愛術


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私は、のろのろと階段を下り始めた。
確かに、ゲーム・ユーザーではあるものの”私立羽ヶ崎学園”の詳細なんか判らない。

「よぉ!!」
唯でさえ、びくびくしている両肩が乱暴に小突かれた。
「オッス!!寿陽花!!」
私は、反射的に言葉を返した。
「オッス!!ハリー」

針谷幸之進君は、こう呼ばれてさえいれば機嫌が良い。
彼は、嬉しそうに身を乗り出した。
「寿陽花!!お前さぁー、この長閑な日にサボろうとして叱られてんのか?」
「う、うん。そうかな」

途端に、”上から目線”のお説教が迸った。
「だから、お前はいっつもとろいっつってんだよ!!サボるならサボるで、この俺様にきちんと教えを請うていれば若王子に見付からず・・・」

だが、この有難いアドバイスは最後まで聞けない運命だった。
私の腕を、誰かが強く引っ張って歩き始めたのだ。

「お前な!!あんなとこで針谷とくっちゃべっていたら、また別の教師に見付かるだろ」
「だって、どうせ遅刻だし」

佐伯瑛君は、眉間に皺を寄せて振り返った。
「はぁ?お前は、”どうせ遅刻するなら、針谷と喋りたい”のかよ?大体、何なんだ?2人で顔を合わせれば、馬鹿みたいに”オッス!!寿陽花”だの”オッス!!ハリー”だの言い合って」

「そう言えば、佐伯君は教室に戻ったんじゃ無かったの?」
でも、B型の彼とO型の私は会話がまるで噛み合わない。

「生徒手帳を持って職員室に行ったんだ。そしたら、氷上はいないし。若王子先生が部屋中に聞こえる大声で、”やぁ。やっぱり、佐伯瑛君は真面目ですね。関心関心。あれは、僕が君や都辻君に質問した結果遅れちゃったんだからもう良いです。それぞれの先生方には、僕が一声掛けて置きますから”だってさ」

「それを、わざわざ私に伝える為に引き返してくれたの?」

彼は、乱暴に教室の扉を開け私を放り込んだ。
「あー言う、ぺらぺら捲くし立てる奴だったら俺も”オッス!!テルー”とか呼ぶのか?」
そんな小声の愚痴が、遠去かって行った。

幸い、教諭はまだ教室に入っていなかった。
しかも、生徒達は各自着席している。

私は、きょろきょろと”都辻寿陽花”の名前がある机に着いた。
皆の真似をして、教科書やノートを開いた。

「良かった。これなら、本を読んだり指名されて”判りません”と答えたりしていれば誤魔化せそう」

春の匂いが、鼻腔をくすぐる。
頬杖を付いて、窓辺を見ると金髪の若者が手を振っている。

あれは、クリストファーなんとか君だろう。
多分。







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最終更新日  2009年11月01日 22時34分24秒
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