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2009年11月19日
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カテゴリ: ウマく行く恋愛術


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
珍しく、あいつから下校を誘われた。
(もう少しで、文化祭だね。佐伯君、準備はどう)

俺は、上がり掛けたテンションが一気に凋んだ。
せっかく、2人で歩いているのに。
わざわざ、その話題か。
「俺、何もしないから」

(そっか。佐伯君、帰宅部だもんね。でも、クラス出展あるでしょ)
明白に遮ったのに、何時もながら無神経な言葉だ。

「ある」
好い加減、俺が”学校生活”なんかお義理で済ませている事位理解しろ。
「はぁ。何が、楽しいんだか」

あいつは、俺の感慨を半笑いで聞き流した。
(ちゃんと参加してみれば、楽しい事があるかもよ)

結論が出ているのに、しつこい。
「無いね。でも、まぁ。文化祭の日は、珊瑚礁にお客が流れて来るんだ。だから、まぁ。よしとする」

(ちゃっかりしてる)
少しは、俺が”喫茶店経営”に傾けている情熱に感心したのか。

羽ヶ崎学園の文化祭。
俺は、校内をふらついていた。
行く当ては、無くも無い。

小耳に、あいつのクラスが喫茶店を開くと挟んだからだ。
”ヤングプリンス”とは、下品なネーミングだが若王子にしては上出来な発想だと思う。
エリアに近付くに連れて、下手糞な”呼び込み”が聞こえた。

目線の向こうに、例の電信柱みたいな人影が見えた。
志波勝己だ。
「イケるなぁ。これ。はね学饅頭。次は、変り種クレープ」
筋肉に、栄養分が必要らしく我が校のお菓子を抱えて歩いている。

蘇った、フランケン・シュタインかよ。

あの娘は、ぽかんとした顔でその様子を見上げていた。
普通に見ても、間抜けな顔が益々馬鹿に見える。

俺は、さり気無く注意してやった。
「ただ働きに勤しんでいるみたいだな。独楽鼠の様に」

あいつは、滅多にしない目付きで此方を睨んだ。
(捻くれているんだから。ね。時間があったら、ウチのクラス出展にもお出でよ)

俺は、少し怯んだ。
まさか、あんな奴をこの雑然とした期間中マークし続ける気じゃないだろうな。

こうなりゃ、こっちだって”宣戦布告”だ。
「ああ。そうだな。じゃ、俺は優雅に高見の見物を」

だが、目敏く俺の立ち姿を見付けた女子の群れが取り囲んでしまった。
「あ、あはは。じゃ、またね」

なぁ。
こんな、俺と素で話が出来るんだぞ。
少しは、有難いと思わないのだろうか。

女の子達の”要求”を捌き、再び来た道を戻った。
(お待たせしました。ホットコーヒーと紅茶とアイスココアと、ええと)

俺は、あいつの表情は見慣れている。
明らかに、焦っているらしかった。

(どうしよう。このままじゃ、お客さん回しきれないかも)

あー、もう!!
「何、キョドってんだ?ハムスターか。お前は」
(あ。佐伯君。うん。ちょっと、人手が足りなくて)

は?

「人手は、足りている。手際の問題だな。これじゃ、何人いたって回らない。効率、輪悪過ぎだ」

俺が、当たり前の事実を教えると図に乗ったのかとんでもない事を言い出した。

(うーん。そうだ。佐伯君、手伝ってよ)

断る。
そうそう、お前なんかの思い通りに操られて堪るか。
「ごめーん。ほら、僕お客だから。ホットコーヒー、一つ下さい」

すると、相手は急にいきり立った。
(ケチ!!佐伯君、プロなんだからこんなのお手のものでしょ?)
「わ。馬鹿!!」

(ね!!ほら。奥に、エプロンあるから)

な、何だよ。
だが、あいつが”泣きそう”になると俺の脳裏にどうしても思い浮かぶ光景があった。

「・・・お前な・・・」

やれやれ。
気が付くと、俺はお茶目なエプロン姿で室内を巡っていた。
「オーダー!!ホット、1!!」

(はーい)
あいつの弾んだ声が、俺を後押しする。

「ついでに、3番テーブル下げとけ!!後、皿洗いは2人でやるなって言っといて」
(はいはい)

ったく。
”喫茶・珊瑚礁”にいた頃からお返事だけは上手い奴。

「見て!!プリンスが、いるわ!!格好良い!!」
「ウェイター姿、決まってる!!ねぇ。何か、飲んで行こう」

俺は、素早く客層・客質を分別した。
「いらっしゃいませ。只今、お席までご案内いたします」

「ふぅ。一段落だな」
あいつは、頬が赤かった。
理由は無いが、心の奥で”勝利のゴング”が鳴り響いた気がした。

(お陰様で、何とか切り抜けられたよ。ありがとう)

当然だろ。
今頃、見直すな。
「まぁな。俺に仕切らせたら、ざっとこんなもんだ。ああ。疲れた。コーヒーくれ」

あいつは、俺の目の前で叫んだ。
(はい。ホットコーヒー、1。1リッチになります」

え。
ええ。

「取るのかよ!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
恋愛を至上の目的に生きる”クドく男&クドかれる女”と、日常生活の安全圏を守って恋愛は眼中に無い”クドかない男&クドかれない女”

本来は、全く交じり合わない水と油です。
でも、もしあなたが自分とは正反対のタイプに恋心を持った場合にはこの様な”アクシデント時”が千歳一隅のチャンスとも言えます。

”クドく人々”は、日常生活を全部”恋愛”に繋げて思考します。
普段から、”自分は、異性からどうみられるか”を意識してお洒落もし”舞台の主役”の様に振舞います。
そんな彼等には、”アクシデント時”はドラマティックな舞台となります。

一方、”クドかれない人々”は周囲の評価を視野に入れながら協調性を大切にしています。
自分が目立つ言動は控え、異性より同性(グループ行動)を大切にしています。

上記の物語でも、佐伯瑛君は元々文化祭自体には全くやる気がありませんでした。
でも、デイジーに懇願された途端彼の独壇場となります。

また、デイジーも珍しく彼に強く感情を表します。
この場合、彼女は”王子を独占”しようとか”自分の思うままに彼を使って他の女性達に差を付ける”発想なんか微塵も持っていません。

単に、手伝わなければならないお店でお客様が込み焦っているだけです(爆)

ところが、”クドく人々”から見れば自らの魅力を意中の相手に誇示する機会になり得ます。
”自分恋愛物語”が大好きな彼等は、大いに盛り上がり興奮します。

また、幾ら冷淡な”クドかれない人々”でも集団の中でピカイチな能力を発揮した事実は認めます。

こうして、双方に絆が生じるのです。






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最終更新日  2009年11月21日 23時00分37秒
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