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2006年01月31日
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カテゴリ: 沖縄関係
沖縄の民話「扇子(せんす)寿命と金貸しウシュメー(爺さん)」

昔々、中国に手相観名人(手相を観る名人)がいました。
この名人に手相を見てもらおうとたくさんのお客が、毎日行列ができていました。
その評判を、金貸しウシュメー(爺さん)が聞きました。
この金貸しウシュメーは、お金を貸して返せない人がいると、その家の家財道具やフトンまでも取り上げる位の欲張りで意地悪な事では有名な人でした。
「手相などあたるものか。今日は暇だから、ちょっと行って冷かしてみるか」
金貸しウシュメーは、早速立派な扇子を持って手相を見る名人の家に出かけて行き、
「この扇子(せんす)の寿命をあててくれ。」と言いました。
手相観は、虫眼鏡で扇を見て、その次に金貸しの鬼の様な顔を見て言いました。

「それでは、私の命はどれぐらいかね。」と金貸しウシュメーは言いました。
「どれどれ、うん、あなたの命は、来年の三月三日だね。」と手相の名人は答えました。
「ああ、そうですか。」と言って、
金貸しウシュメーは、
「もし来年の二月一日に扇子がなくらなかったら文句を言ってやろう」
と思って家に帰りました。
金貸しウシュメーは、二月一日が近づくと自慢の扇子を大事に風呂敷に包んで箪笥(たんす)の中にしまい込みました。
お昼を食べに家に帰ると必ず箪笥の中を覗いて扇子を確かめました。
夕方に帰ってくると、また扇子の無事を確かめていました。

二月一日のその日がやってきました。

朝早く家を出たウシュメーは、二時間もたたないうちに家に帰って来ては、箪笥の中を覗きます。

「今日のウシュメーは不思議だね。」
ハーメー(婆さん)は、ウシュメーの様子がいつもと違うので、気になって仕方がありません。
こそこそと部屋にウシュメーが入って行った時、戸の節穴からウシュメーが何をしているのか覗いて見ました。
するとウシュメーは箪笥の中から風呂敷包みを出し、その包みの中をじっと見ています。
ますます不思議に思ったハーメーは、ウシュメーが家を出て行った後で、

と、箪笥を開けて風呂敷包みを出し、中にあるモノを見ました。
そこには、若い美しい女の人が描かれている扇子がありました。
浮世絵 扇子 令嬢諸芸の競い図 浮世絵 扇子 令嬢諸芸の競い図
【浮世絵扇子 喜多川歌麿の美人画】海外出張やホームステイのおみやげに♪希望者は箱入れ包装...
「ああ、情けない。うちのウシュメーはこんな若い女が好きになって仕事もしないで、この絵を見に家に帰ってくるなんて。」
怒ったハーメーは扇子を破って燃やしてしまいました。
それを知らずにウシュメーは扇子が気になって、もう一度家に帰って箪笥の中を見てびっくりしました。「ない、ない。」
と、ウシュメーが大きな声で叫んでいるのをハーメーが聞きました。
「どうかしたかね、ウシュメー。」
「ここに置いていた扇子がないんだよ。」
「扇子がないって。あんたはあんな若い女の絵を見て、仕事もしないとは何事ですか。」
「いや、実は手相観のところで、あの扇子の寿命を占ってもらったら、今日の二月一日と言われたんだよ。」
「あんな扇子、いつ無くなったって、どうでもいいじゃないですか。」
「いや、そうじゃない。その時、私の寿命は三月三日までと言われて、扇子の寿命が当たるなら、私の寿命も当たってしまう。」
それを聞いたハーメーも真っ青になりました。
もうどうしようもありません。
そこで、金貸しウシュメーは考えました。
「もうすぐ死ぬのだから、大金を持っていてもしょうがない。人から憎まれながら、お金を貯めてきたが、今日からお金を貯めるのはもう止めよう。」

それから、金貸しウシュメーはお金を貸した人の所に行くと、
「もう利子はいらないよ。お金も払えるときでいいからね。」
また、別のお金を貸した人の家に行くと、
「貧乏でお金が払えなかったら、もう払わないでもいいよ。」
と言いました。

ある日、町はずれにある便所に入ると、風呂敷包みが落ちていました。
中にはたくさんのお金が入っていました。
「こんな大金を忘れる人もいるんだ。でも忘れたのなら、すぐにお金を取りにくるはず。」
と、便所の横の木陰に座って待っていました。
そこへ、どこかの店の番頭らしい若者が来て便所に入りました。
その若者は、しばらくして便所から出てくると、傍らにある木で首を吊ろうとしました。
「待ちなさい。どうしてあなたは死のうとするのかね。」
と、ウシュメーが引き止めました。
「私は、ここにお店のお金の入った風呂敷包みを忘れました。そしたら、もう何処にも無く、誰かに持っていかれたので、もう店には戻れません。あんな大金は一生働いても返せないから死にます。」
と、若者は答えました。
そこでウシュメーは、
「その風呂敷包みはこれかね。」
と、便所で拾った風呂敷包みを渡すと、若者はとても喜んで何度もお礼を言って帰っていきました。

中国の昔の風習では、
自分の棺桶(かんおけ)は、元気なうちに自分で作るという慣わしがあります。
ウシュメーもそれに習い棺桶を注文して、三月二日の夕方にはきれいな着物を着て棺桶に入り、食べるものも食べないで、次の日の朝に死ぬのを待ちました。
ところが、
死ぬと言われた三月三日の夜が過ぎ、四日の夕方になっても死にませんでした。
怒った金貸しウシュメーは、次の日早速、手相観の家に行きました。
手相観は、金貸しウシュメーを見ても、まるで初めて会う人かの様に、
「あなたは、どこからおいでなさったか。」
と、聞きました。
「もう、忘れたんですか。」
「私は前に扇子の寿命と私の寿命を占ってもらったものですよ。扇子の寿命はあなたが言う通りに当たりました。しかし、私の寿命は当らなかったよ。」

「待って下さい。前に見た時は、あなたの顔は鬼の顔だったが、今は仏の顔になっている。これはあの後で、だいぶ世のため人のために働いたのでしょう。」

「うん、そうだ。」

「それで、人相も変わったんですよ。」

「これなら百二十歳(ヒャクハタチ)まで生きられるよ。」と言いました。
この金貸しウシュメーは、本当に百二十歳まで長生きしたそうです。






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最終更新日  2006年01月31日 08時36分26秒
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