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■気になる本 - いじめの社会理論 - --------------------------------------------- ここのことろ、子供(少年、少女)の死に関する報道をみて、どうして、いじめで、将来が楽しみな子供が亡くならなければならないのだろう と考えていました。 過去に家庭内犯罪について、参考になると思われる「葉隠」を紹介しました。http://plaza.rakuten.co.jp/sakae2/diary/200608150000/ でも、家庭内でもない学校で、いじめによる(このいじめという表現も、もう一つピンときませんが)自殺が社会問題になっていることに、どうして? という疑問が沸いてきていました。 勿論、私の子供時代もいじめがありましたが、ボスというか正義感がある子が仲裁に入ったり、または他地域の人が、かばってくれたりしていました。いまの学校には、ボスはいないのでしょうか。 さて、いじめの問題を考えるいい本を読み終えました。「いじめの社会理論 その生態学的秩序の生成と解体」(内藤朝雄著、柏書房株式会社発行)です。タイトルからして難しいような内容ですが、私にとって、一部を除いては、明解でスラスラと読めます。 著者は、1962年東京生まれで、愛知県立東郷高校を中退し、山形大学、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程を経て現在、明治大学専任講師(以上、著者紹介より抜粋)とのこと。この本は、2001年7月に初版出版されています。 著者は、世界のいじめに関する119件の書籍やレポート(論文)を総合的に見直し、勿論、著者の領域である「いじめの社会関係論」から「自由な社会のための生態学的設計主義」を含めて、一冊の本にまとめた というのが本当ではないかな と思います。 本文にも、参考にした著書等が数字(ルビ)で表示されているので、巻末の資料と突合せができます。でも、こういう他人の著書や論文の要点をまとめあげ、しかも、持論の展開に利用できる人 というのは、少ないのではないでしょうか。また、著者は、「短期的改革案」と「中長期的改革案」の2つを提言しています。 著者は、いじめの問題を「中間集団全体主義」と喝破します。しかも、その中間集団全体主義が移動していくのだと。著者がいう中間集団全体主義の定義は、「各人の人間存在が共同体を強いる集団や組織に全的に埋め込まれざるをえない強制傾向が、ある制度・政策的環境条件のもとで、構造的に社会に繁茂している場合に、その社会を中間集団全体主義という。」といっております。 この定義だけを読めば、難しいと思います。でも、「共同体を強いる集団や組織に全的に埋め込まれざるをえない強制傾向」は、学校や家庭にも当てはまると著者はいいます。いいえ、それだけではなく、政治家も、サラリーマンも、家庭の主婦も、いじめはどんな社会集団にも生じると断言しております。(だって、子供は学校にいかない自由はないから、強制的ですよね) 例えば、第二章のいじめの社会関係論では、いじめた方の加害者は、自己の行動や考えを正しいと誤認し、個を析出させたり普遍性を隆起させたりする、いわゆる共同体に罅(ひび)が入ることを恐れるとのべています。当然ながら、社会人の中でも、「苛められている人がわるいのでは」という意見もあるかもしれませんが、これは、当然に、共同体に従属している考えだと思います。 学校という共同体。生徒たちの共同体と先生たちの共同体、お互いに相互作用、発酵していて、外からの新しい風が入らない仕組みのように私は思います。(勿論、会社でも共同体が存在していますが、学校よりは風通しがいいかと思います。) もっとも著者は、英米系のカウンセリングが効果をあげない理由として、「ネズミや鳩を過密飼育の檻に入れた上で、ネズミや鳩が「なかよく」なるように、さらに接触機会を増やす装置を檻に組み入れるようなもの」と論破しています。 さて、著者はいいます。江戸時代の薩摩藩は、地域コミュニティとして青少年(稚児(チゴ)、二才(ニセ))を濃密に囲い込む、独特の自治的集団教育(郷中教育)を振興していた。それに対して現代は、いじめの多くは学校を舞台としているか、学校を培養土として地域に噴出しているのである。 学級内のクラスの階層化(ボス-普通の子-いじめられる子)のしがらみ、いじめのエスカレートとループ(繰り返し)、学校共同体主義の弊害 と論を展開しています。 この本は、単なるまとめや考えを著したものではありません。しっかりと短期的、長期的解決方法を提言しています。第九章の新たな教育制度では、内容の善し悪しは別として、いまの教育体系を根本から見直し、新たな制度を提言していす。 私が思うには、いままでの教育改革というのは、小手先だけの改革(改革ではなく、マイナーチェンジだと思うのですが)であると思います。この問題の根は深く、制度自体から見直す必要があると思うのですが、如何なものでしょうか。そういう点からすると、著者の提言は一つの方法としては、検討に値するもと考えます。 文部科学省や教育委員会、校長や教頭、先生たち、及び学校関係者の方々に、是非、読んでもらいたいものです。 そして、その背景や原因も、著者の持論である「中間集団全体主義」をベースに展開していて、すべてとはいいませんが、いじめ問題を包括的に取り上げた著者の努力に敬服します。 一般の社会人の方にも、そして何らかの共同体に組み入れられている人達は、一読しておく必要があるでしょう。 (10月25日)
2006年10月25日
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■気になる本 - 耐震偽装 - ------------------------------------------------------------ 2005年11月17日、衝撃的なニュースが日本中を駆けめぐりました。当時の読売新聞ニュース(ネット版)のヘッドラインは、次のように述べております。-----------------------------------------------建築事務所が耐震強度を偽造…マンションなど21棟2005年11月17日 (木) 21:02 東京都と千葉、神奈川両県内のマンション計20棟とホテル1棟について、千葉県市川市内の建築設計事務所が耐震強度などを示す「構造計算書」を偽造していたことが判明、国土交通省は17日、建築基準法の耐震基準を満たしていない恐れがあるとして、地元自治体と協力し、避難を含めた住民への説明を開始した。(以下省略)------------------------------------------------ 当時、不動産業者として活動していた私としてもものすごい憤りを覚えたことを記憶しております。「あるはずがないのに。してはいけないことなのに」と。 耐震偽装事件のはじまりでした。建築主(分譲元)、設計事務所、確認検査機関(公的機関も含む)、不動産業者、バイヤーズエージェント、不動産に係わる人達がでてきますが、その誰も見破ることができませんでした。というより、構造設計を知っている人がいなかった といっても過言ではないでしょう。 私は、過去に、この耐震偽装事件から不動産に関する法律も改正された ということをお伝えしました。(参考)気になる不動産業界 - 耐震偽造問題から宅建法改正成立 -http://plaza.rakuten.co.jp/sakae2/diary/200608290000/ 建築関係の方から、原因に迫っているような本がないかなと思っていたところ、いい本が出てきました。 「耐震偽装 なぜ、誰も見抜けなかったのか」(細野 透著、日本経済新聞社、2006.2.24発行)を読み終えました。 著者は、建築&住宅ジャーナリストで、元日経アーキテクチャアの編集長で、工学博士、一級建築士でもあります。 この本の前半部分は、非常に参考になります。 一つはヒューザの軌跡を簡単に追いかけたこと。このなかで、会社名を4回も変更している(1982年設立時は恒和不動産、1983年はマンション流通センター、1985年はハウジングセンター、そして2002年にヒューザー)ことが気になります。20年で4つの商号。う~ん、何かありそう。 二つは、建築基準法の疑問を呈していることです。この法律は、地震の被害からその都度法律を改正してきたこと、それが、2000年の改正時には、性能設計が組み入れられ、建築確認の民間開放、構造計算が4種類に増加、住宅性能表示制度の導入がなされたこと。そして、その背景(政府の規制緩和政策)が報告されています。 三つは、構造計算の種類、概略を説明しています。 簡単な方法は3つ ルート1(許容応力度計算 高さ20m以下) ルート2(剛性率、偏心率計算 高さ31m以下) ルート3(保有水平耐力計算 高さ60m以下) 中間的な方法(限界耐力計算 高さ60m以下) 中間的な方法2(エネルギー法 高さ60m以下) 高度な方法(時刻歴応答解析 高さ60m越)とおときく4つの方法があり、それぞれ下にいくほど、合理的な経済設計になっているという。(かっこ内は鉄筋コンクリート造の場合のイメージという表現をしています。) 姉歯氏が利用したのは、ルート3の方法とのこと。普通の設計士が理解できるのは、ルート1かルート2だけが多いので、ルート3を理解できる設計士は、まずいないだろう と指摘しています。 でも、設計士も理解できない方式が、なぜ利用できるようになったのか、当然ながら建築確認する行政側(民間の検査機関でもその責任は行政側にあるという最高裁の判決が今年でていますので、ここではすべて、確認検査は行政側と表記します。)でも知らなかった? までは突っ込んでいないので多少消化不良になります。(参考)判例 平成17年06月24日 第二小法廷決定 平成16年(行フ)第7号 訴えの変更許可決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件(PDF文書で1枚)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/58C97D30C7507D0C4925702F00476D6C.pdf 構造計算の計算処理は、コンピュータに値を入力するだけで、でてきた結果で判定する方式です。著者は、これがブラックボックス化した構造計算だといっております。 これは、私もわからないではないですね。コンピュータで処理するにしても、基本的な論理や計算課程を知っていることと、知らないとでは、その結果の判定や計算課程でも大きな影響がでると思います。 余談ですが、コンピュータ神話というか、コンピュータがだした答えが正しい という人達も多いですね。 いい例が、コンピュータ診断、コンピュータ恋愛、コンピュータ不動産査定、等 ようは、その計算のモデリング手法や計算方式に依存しているのですが・・・。 さて、後半部分は、私が読んでいても、理解しにくい内容でした。特に、躯体コストからの発想とか、どうすれば安全なマンションに住めるか というところです。 著者は、(消費者が)安全なマンションに住むためには、躯体費分析マップ、耐震性重要事項説明書、等をあげていますがいずれも現実離れしていると思います。特に、耐震性重要事項説明書については、不動産業者の法律である宅地建物取引業法35条の重要事項説明書をモデルとして分譲マンション用に、しかも耐震性を重視した説明書を消費者に交付して説明する必要が大事といっております。 しかし、この耐震性重要事項説明書には、(1)売主の実績 年間売上高、年間利益、配当、売上・利益伸長率、株価、 上場先市場、売上高順位、販売戸数、販売戸数ランキング、 不動産協会の会員か否か(この協会は主に分譲会社で組織 されております。)(2)売主の品質管理体制 省略(3)売主の施工管理方法 省略(4)施工者の実績 (1)とほぼ同じ内容(5)施工者の工事体制 省略以下省略等、かえって混乱しそうというか、頭がいたくなりそうな項目を盛り沢山入っています。ひょっとして、一級建築士として、利用できる情報(ほしい情報)をすべて入れたのかな とも思えます。 どう考えても不動産関係の配慮があません。例えば、分譲主(売主)が、不動産業者に購入客の探索を依頼(媒介契約)した場合、この書類はどちらが作成するのでしょうか。しかも、媒介業者は、宅地建物取引業法35条に基づき、重要事項説明書を作成しなければならないのです。ま、販売代理でしたら、不動産業者が作成することはないでしょうが・・。 私は、分譲主(売主)側で、何らかの保険や供託することが望ましいと思います。瑕疵の問題や、ヒューザーのように倒産してしまうと購入者に負担のしわ寄せがいってしまいます。それを、防ぐ手だてが必要なのです。いまも、耐震偽装物件の多くは、補償問題、建替え問題(費用の問題)が残っているのです。 構造計算も、4つの方式ではなく、一つに絞って、それを利用できる構造設計者を育成するという方法と、著者がいっているように、ピアチェック(2社で構造設計を行ない、その結果をすり合わせ、問題ないことを確認)がいいかと思います。(参考)構造計算書偽装問題とその対応について(国土交通省)http://www.mlit.go.jp/kozogiso/index.html(10月19日)
2006年10月19日
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■気になる本 - 新幹線に乗れない農薬被爆列島 - ----------------------------------------------------------- 「新幹線に乗れない農薬被爆列島」は、今年の2月10日に出版された本です。著者は、長谷川煕氏で元朝日新聞社の記者です。新幹線に乗れない―農薬被曝列島 この本は、衝撃的ですよ。何故って、13の事例のまとめがあるのですが、最新の情報を掲載している点です。農林水産省や関連団体からは、何故かでてこない農薬の問題なのです。 農薬の問題は、以前から言われておりますが、その実態の調査はしても、追跡調査や継続しての測定や広範囲な測定や影響調査がなされていないのですね。 この本でも指摘していますが、「イタイイタイ病はカドニウムの慢性中毒により、腎臓障害を起こし、次いで骨軟化症をきたし、妊娠、授乳、内分泌の変調、老化及びカルシウム等の不足によってイタイイタイ病という疾患を形成している」とし、富山県の神通川流域だけではなく、長崎県、石川県、兵庫県でも発生していて、神通川や秋田県を含めて腎臓障害を起こしている例があるといっております。 以前に読んだ「瀕死の日本農業 日本の米、食卓をどう守るか」(河野修一郎著、講談社)では、瀕死の日本農業―日本の米、食卓をどう守るかP153にて、農業の毒性の問題に触れ、「石川哲北里大学医学部教授の「有機リンの慢性中毒」という論文で、1978年にサイエンティフィク・アメリカンに発表されたものがある。」とし、代表的な農薬である有機リン剤であるフェニトロチオン(MEP)を指摘しています。 この論文は、近視や精神障害といった慢性中毒を引き起こすということで、当時、マスコミでも取り上げられたらしいのです。 石川教授が発表した論文の頃は、ヘリコプターによる農薬散布が一般化し、作業効率の向上と農作業者の中毒軽減が謳われた頃でした。 この後はとうなったのか。かのアメリカでさえ、デラニー条項を変更して農業業界寄りの立場となったようです。 日本では、河野氏によると、「医者は病気を診るのが仕事である。ある症状を起こさせる原因物質(科学物質)を穿鑿(せんさく)する必要はない」という考えがはこびったといいます。 一方、長谷川氏は、有機リン農薬散布と、近隣住民の鬱(うつ)、神経・精神障害について、最初の章に述べています。 JR上越線の新前橋駅の近くに、青山内科小児科医院があるが、青山美子院長が、頭痛、吐き気、目眩、抑鬱、視野狭窄等を訴える患者目立ってきたとのことです。 その原因は、有機リンを含むスミチオン等の農薬でした。それが、ラジコンで散布されているのです。こういう状況は、米どころであれば、フツーです。大規模な農業になればなるほどそうなります。かたや、その被害、障害程度、被害者数、等が公にされていないのです。 視野狭窄については、石川教授が訴えていたものでした。 その他に、有機リンは身近なものに含まれているということです。河野氏は、次のことをいっております。防蟻剤 ・・・ 白蟻駆除のために床下や建物の基礎や床材に使用合板 ・・・ 防虫の目的で注入農薬 ・・・ 農業、ガーデニング、庭木、街路樹、公園等家庭用電気製品、コンピュータ、IC基板、OA機器 ・・・ プラスチイック、合成ゴムに難燃、可塑剤として使用防火カーテン ・・・ 難燃剤として床ワックス ・・・ 平坦化剤として等です。河野氏のタイトルにもなった、新幹線に乗れない というのも、客室や運転席にも消毒(有機リン含む)がなされているとのことなのです。関西で発生した尼崎線の事故も、ひょっとしたら運転手が中毒を起こしていたのではないかという疑念もあるらしいのです。 どうです、いかに農薬というか、有機リンが身体の身近にあり、その対策がなされていないことが、この本ではわかります。 一方、無農薬で栽培に取り組んでいる人も紹介されています。 また「食物崩壊」(西丸震哉著、講談社)の西丸氏は、その本で、ライオンは、肉食動物ではなく、雑食動物だ といいます。食物崩壊―出揃った滅亡のシナリオ その理由は、ライオンは、草食動物をつかまえて、まず、内蔵の小腸から食べるのだそうです。小腸には、草食が分解されているから。ライオンは草食を分解する酵素をもっていないので、分解してくれる動物をつかまえて、その一番おいしい小腸から食べるとのこと。そして、ついでに、他の臓器や筋肉も食べる。だから、ライオンは、肉食動物ではなく、雑食動物だそうです。 我々も、もっと、物事の本質を見つめる努力をしないといけないな と思った次第です。もっと、食べ物に対して食品添加物にしても、BSEや有機リンや、その他にしても敏感に、アンテナの感度をよくして、本当にいい食事をとるということを考えていかなければならないでしょうね。 尚、西丸氏は、41歳寿命説で警告しています。この警告は間違えてほしいですね。西丸氏の「食物崩壊」が出版されたのは、2002年(平成14年)ですから、あと、40年前後に判明してくるのでしょうか。 たしかに食物は、大事だと再認識しました。(10月15日)
2006年10月15日
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気になる本 - 21世紀日本の情報戦略 - 数日前、「21世紀日本の情報戦略」(坂村健著)を読み終えました。 著者は、東京大学大学院情報学環教授で工学博士であります。彼の名前が一躍有名にしたのは、1984年からTRONプロジェクトのリーダーとして、まったく新しい概念によるコンピュータ体系を構築したことです。このことで世界の注目を集めました。(参考)著者プロフィールhttp://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2003/sakamura.html 過去の報道では、TRONプロジェクトが失敗したということがなされましたが、そうではありません。いまも、その流れは脈々と受け継がれております。現在、TRONは携帯電話をはじめとしてデジタルカメラ、FAX、車のエンジン制御と世界でもっとも使われております。 さて、その本のなかから、非常に面白い部分がありましたのでご紹介します。(決してコンピュータ等の情報関連の話題ではありませんから、ご安心を) 第二章 米国と日本のなかに、こんな表現がでてきます。------------------------------------------------------- 「セロトロン」という脳内物質ある。この物質は不安感を抑える物質であるが、この物質を受け取るレセプターの量が、遺伝子で決まっているということが研究でわかってきた。 このレセプターが少ないと、ストレスに弱く慎重になる。多ければ、新しいチャレンジを積極的に行ない、苦境に陥ったときにも「一人でも戦うぞ」という意欲がでる。勿論、これは統計的な話である。 セロトロンのレセプターが少ないタイプのS遺伝子と多いタイプのL遺伝子の組み合わせで、日本人は、SS型が7割、SL型もいれるとほぼ全員に達する。つまり、日本国民のほとんどが「不安に弱い」S遺伝子をもっている。これに対して米国人は日本人にはほとんどいないLL型が3割もいて、逆にSS型は2割足らずである。 やはり、日本人が駄目になったときの落ち込み方が激しいというのは、先天的なものらしい。----------------------------------------------------------- これには驚きました。なぜ、日本と米国の対応や対処が違うのか を狂牛病やその他で問題にしてきました。こんな背景があるとは。著者は、だから、日米の文化も教育も制度も影響はここからきている(作られている)といっております。 もっとも、「不安に弱い」ということは、裏を返すと、著者もいっておりますが、「慎重で責任感が強く規律正しい」ということになります。 もう一つ。同じ章なのですが、ある製造メーカから聞いた話として紹介しています。-------------------------------------------------------------- 日本で工場を作る場合と外国で工場を作る場合では大きく異なる。 日本では詳細なマニュアルを作らずともうまくいき、製品の品質を保証できるのに、外国ではどこの国へいってもこまごまとしたことを明文化し、細かい注意を明記し、日本人なら当たり前と思われることでもいちいち言わないと物事が進まない。教育水準うんぬんより、日本人なら以心伝心でいくことも、外国では細かいコニュニケーションが必要で面倒。日本では「島の法則」が、そこそこに優秀な粒の揃った人材を生み、互いに気配ることで以心伝心が可能になる。 ただ、これも情報化社会では裏目にでてしまう。--------------------------------------------------------------- この本は、日本の情報戦略の本です。しかし、これほどまでに対象とする国や国民を自国と比較してみた著書に出会ったのははじめてです。たしかに輸出入等の貿易統計、金融関係収支等の比較は沢山ありますが、もっと本質を捉えたものがなかったですから。 著者は、孫子の兵法「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」を実践しているのです。米国のITバブルからの検証から日本の情報産業の先にみえるものを指摘しています。 情報産業に従事している方は、必読の本です。また、一般の方でも現在のパソコンの行方(著者は消滅するといっておりますが)をしるのも良書となるでしょう。 パソコンは、IBMが自社の製品に、マイクロソフトのMS-DOSというOSを搭載したのがはじまりです。日本では、IBMと対抗して、各社から独自のパソコンがでてきました。一番の人気になったのは、NECのPC9801シリーズでしょうか。 そのとき、選択できるワープロなどは、一太郎やOASYS、そして遅れてでてきたWORDでした。 いま、電器店にいきますと、NEC、富士通、SONY、東芝等のメーカは、すべて、マイクロソフトのWindowsを搭載しております。 マイクロソフトは、次期OSであるVISTAのRC1の提供をはじめています。http://plaza.rakuten.co.jp/sakae2/diary/200610030000/ 本当に1社が世界中のパソコンOSを集中していいものか、その国独自のOSがあってもいいと思うのです。超漢字というOSもでています。 前回のメルマガで、「トウ小平」という書籍を紹介しましたが、Windowsでは、「トウ」の漢字がでません。漢字の収録数が圧倒的に少ないのです。古書を扱う身としては、不便このうえないです。しかたがないので、画像を掲載した次第です。http://item.furima.rakuten.co.jp/item/66761781/ 漢字国の日本なのに、漢字がパソコンで利用できないものがでてくる というのは、米国の漢字消滅戦略かと思ってしまいます。(ここは冗談ですが)(10月12日)
2006年10月12日
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気になる本 - 「狂牛病」どう立ち向かうか - 過去に狂牛病について、2冊の本を紹介しました。アメリカ産牛肉輸入のもたらすものhttp://plaza.rakuten.co.jp/sakae2/diary/200609270000/なぜ牛は狂ったのかhttp://plaza.rakuten.co.jp/sakae2/diary/200609160000/1分でわかるBSE問題http://plaza.rakuten.co.jp/sakae2/diary/200609160000/ 「1分でわかるBSE問題」は、凄い駆け足で概要を振り返り、主にインターネット上で取得した情報をもとに編集したものです。 「なぜ牛は狂ったのか」については、「なぜ牛は狂ったのか」(マクシム・シュワルツ著)をもとに、過去の流れから現在までの医療関係者の追求を振り返りました。 そして、「アメリカ産牛肉輸入のもたらすもの」は、「吉野屋の牛丼280円革命」をもとに、2004年2月11日に吉野家ディー・アンド・シーは「牛丼」の販売を休止してから、約2年半が経過した今年の9月18日(月)に、牛丼復活祭として100万食限定で販売した事実から、その輸入の対応についても外食産業の対応が違うことをみてみました。 いま、「狂牛病」どう立ち向かうか を読み終えました。この本は、NHK「狂牛病」取材班が、出版したものです。 NHKは、2001年(平成13年)9月16日にNHKスペシャルとして「狂牛病 なぜ感染は拡大したのか」を放送し、そのときの取材ソースを整理しなおし、放映されない部分も含めて、出版したものです。 NHKのいいところは、現地(イギリス、ドイツ、フランス等)に調査チームを派遣し、メディアとして狂牛病拡大のリサーチを実施したということです。しかも、調査委員会や現地の人々を含めて。やはり、メディアはこうしなくてはならないでしょう。とにかく、1次情報を獲得する これにつきると思います。例えば、 1990年当時イギリス農業省の獣医局高官を勤めていたダニー・マンシューズ博士に餌の問題の質問をNHKはしています。(脚注、ヨーロッパの狂牛病拡大は、イギリス政府が疑わしい肉骨粉が入った飼料を国内で使用禁止措置をとったために、業者が飼料を国外に輸出したことにより狂牛病が拡大したことは明白です。) 1980年代の半ばに狂牛病が見つかってから、その後、1987年12月には、農業省の内部文書に、「狂牛病の牛を買い取る補償制度を作らなければ、病気の牛が市場に出回ってしまう。」という記述があります。翌年には、人間への感染リスクも無視できない という表現も加わります。 イギリスという国は、政府や省が対応した事柄を証明できるような資料を取り揃え、保存し、場合によっては報告書という膨大な資料として公開しているのです。 こういう対応は、日本もお手本にしたいものです。 さて、イギリスは肉骨粉の輸出先を告知しているので、肉骨粉の扱いは、輸入国の問題だ としたのです。 では、輸入している国々は、イギリスの告知を受けてどう対応をしたのでしょう。ヨーロッパの各国は、それぞれ対応をしているのです。但し、ドイツを除いては。 ドイツは、最初はその事実を信じませんでした。そして、ドイツ国内では問題がおきるはずもない ということで対応が後手に回りました。しかし、ドイツにも狂牛病の牛が発生してからは、対応をとることになったのです。 そして、保険大臣と農業大臣が責任をとわれ辞任しました。 そして、日本はどうでしょう。 1990年当時、イギリスから、肉骨粉の輸入国であるとイギリス政府が捉えておりました。 また、1990年2月の時点で、レターが日本の行政当局者(当時の農林水産省畜産局衛生課長)が受け取っていた事実。(行政側は、輸入実態を把握していなかったようです。) でも、日本の対応は?。 それは貴方がご存じの通りです。 日本は、同じヨーロッパのデンマーク、イタリア、ドイツから膨大な肉骨粉を輸入していたのです。勿論、それらの国々は、イギリスから輸入した肉骨粉を、日本にも一部、振り向けていたのです。しかも、狂牛病の検査薬は、薬事法により、農林水産大臣の許可を受けないと、輸入できない法規定になっております。そして、迅速な許可を発行したとはいえない事態だ と本では述べております。 日本は、膨大な肉骨粉を輸入して、その検査薬(ウエスタンプロット法の検査薬)を輸入できない異常な国だったのです。 イギリスは、2000年4月、食を守るシステムが動き出しました。食品基準局を新設したのです。そして、その局の3つの大原則は、(1)消費者を第一に考える(2)オープンである(3)独立性を維持するということで、その権限も、強制執行や監視ができることになっているそうです。 自ら、大きな難問を発生した国ですが、その対応をみると納得を通りこして、応援したくなります。 ところで、日本では、このような部局ができたのでしょうか?。そして、その権限は?、中立性は?(10月9日)
2006年10月09日
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気になる最近の話題 - 小児救急 - あれは、1974年(昭和49年)の秋頃でした。ある会社に入社して携わった最初の仕事が、民間の病院でした。先輩とともに、その病院を訪れたのです。「立正佼成会付属佼成病院」たしか、地下鉄丸ノ内線の中野坂上駅で下車した記憶があります。 その病院の名前を、ある本を読んで知りました。小児科医師、中原利郎先生(昭和30年3月23日生まれ)は、その病院の屋上から、1999年(平成11年)8月16日の朝、投身自殺をしました。過労死ではないかということで、現在、認定をめぐって裁判が行われております。 遺書があります。ホームページでも公開しております。そのタイトルが、遺書「少子化と経営効率のはざまで」 なんとなく、想像できますでしょう。 先生は、私と同じ昭和30年生まれです。ご存命ならば、今年51歳になります。 いま「小児救急」~「悲しみの家族たち」の物語~(鈴木敦秋著)を読み終えました。 この本は3つの家族の物語でありますが、現在も進行形です。通常ですと、物語に力を入れたのならばその原因や対策については通り一遍ではないかと思ったのですが、さにあらず。しっかりと原因や対策を模索して、しかも一部ですが実行している部分も記述されております。(単なる私のまとめ) 小児医療の現場。 小児担当医師が少なく、報酬も高くない。 だから、民間の病院では小児科を起きたくない。 公立では小児科がある病院では医師の激務が続く。 それは、子供(4歳以下)の容態は急変しやすいから。 だから、大都市の80%以上が18時以降の来院。 だから、大都市の30%以上が23時以降の来院。 一人の患者にかかる時間が成人の時間よりも長-い。 病院では小児科医師が交代勤務や連続勤務の激務。 そして、事故は起こった。 この本では、小児科医師の自殺、医療事件の2つを取り上げていて、尚且つ、その対策を模索しております。 なぜ、美しい日本で、出生率が下がるのか。 なぜ、豊かな日本で、医療事故が起こるのか。 なぜ、小児科が減ってきているのか。 医療行政の実効は? 病院はどう考えているのか。 では私たちは、どうすればいいのだろう。 それらがわかる本でもありますし、その記述も新聞記者ならではの忠実に、記録されております。 いま、高齢者の方も 熟年の方も 子育て真っ最中の方も 義務教育中の方も 読んで損はないですし、読んでおくことによってしっかりと肥やしになるかと思います。 そして、自分なりの参画を目指してくださいませ。(私の好きな言葉) 「老人を笑うなかれ 我が行く道だから」 「子供を泣かすなかれ 我が来た道だから」(参考)小児科医師、中原利郎先生の過労死認定を支援する会http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/ 遺書「少子化と経営効率のはざまで」http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/sub100.htm過労自殺と企業の責任 弁護士・川人博先生の著書 7月26日に旬報社より1680円で発売http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/kawahito.html読売新聞社・社会保障部記者、鈴木敦秋さんのレクチャー資料(IE用) http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/suzukilec.htm今後の医療安全対策について(報告書)平成17年5月 厚生労働省http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/3/kongo/index.htmlノルウェーの「ゆとりのある子育て」~女性と男性の人間的な暮らしと「18歳の自立」~上掛利博さん(京都府立大学福祉社会学部教授)http://www.yuki-enishi.com/children/children-02.html子育てを男女で楽しむノルウェーでhttp://www.yuki-enishi.com/challenger-f/challenger-f06.html
2006年10月06日
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Windows Vista RC1(Release Candidate 1、提供開始版その1)をインストールしてみました。(32ビットバージョン)http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/getready/default.mspx とにかく、ダウンロードには時間がかかりました。光のBフレッツ(1G)を利用してのダウンロードだったのですが、約2時間程(約2.6GB)もあるので、そうかもしれませんが。 急がない人でしたら、ホームページから有償(\1,260)でDVDの送付サービスもあります。 今月末まで待てる人は、日経WinPC 12月号の付録にDVDが添付されますので、(雑誌は\980)、雑誌を購入したほうが安いでしょう。 そもそも、Vistaは、英語で「眺望」の意味です。 インストール時間は、約40分。あっと、利用した環境は、(1)CPU Intel Celeron Processer 2.53GHz(2)Memory 512MB(DDR SDRAM、333MHz)(3)Chip set Intel 915G(4)HDD 160GB(5)Graphic Onbordです。 で、肝心の評価(Windows Vistaでは、システムのパフォーマンスを1から5の5段階表示)をしてみますと、---------------------------------- 評価 1 プロセッサ 3.5 メモリ 2.9 グラフィック 1.9 ゲーム用グラフィック 1.0 HDD 5.3----------------------------------でした。 たしかに、オンボードのグラフィックを利用しているし、評価が低いのはわかるのですが、これって、利用者のどんな機能を利用するかで、可変じゃないですかね。 私は、ゲームはしない、半透明のウィンドウや3D表示のウィンドウにも興味がないし、(Windows Aeroと呼ばれているもの)あえていえば、メモリを増設したいと思う位でしょうか。でも、256MB×2のメモリを512MB×2(約2万円弱)に交換する気力や資力もないし、このままでいいや と思っております。 尚、クリーンインストール直後の起動時間は、1分30秒もかかるなんて、XPよりも遅いのでは?。 なんとなく、Windows Vista は、重たい感じ。 え、そんなこというのならWindows Vistaにしないほうがいいのでは という皆様のお声が聞こえてきます。たしかに、それが正解かもしれませね。 今後、使用しながら様子をみてみます。 Vistaは英語で「未来への展望」、「過去への回想」の意味を持つ多義語であるらしいが、このOSの行き着くところは未来か、過去か。
2006年10月03日
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気になる最近の話題 - システム障害はなぜ起きたのか - 2002年(平成14年)4月1日 午前8時、みずほファイナンシャルグループ(旧第一勧業銀行、旧富士銀行、旧日本興業銀行)は、勘定系システムの利用を開始しました。 勘定系システムというのは、金融機関のコンピュータシステムでは、神経のような重要なシステムです。利用者からみますと、預金、引き出し(いずれも窓口やATM、そして他の銀行を利用して)や口座振替え、内国為替、外国為替等を行う重要な巨大なシステムです。 当日、旧富士銀行のキャッシュカードは、旧富士銀行のATMからしか利用できなくなりました。勿論、同じグループの旧第一勧業銀行や他行のキャッシュカードを利用して、旧富士銀行から現金を引き出すことができなくもなりました。デビットカード・サービスも利用できなくなり、現金が払いだされないのに、残高が減るトラブルを含めて147万件発生しました。口座振込処理の遅れや二重引落としも発生し、結局、約1ヶ月に渡って、システムトラブルに見舞われたのです。 同じ年の1月15日、UFJ銀行(旧三和銀行、旧東海銀行)ではこの日、オープンした新システムの口座振替プログラムのミスで175万件の遅れや二重引落としが発生していました。2月12日には対処が完了しました。 なぜ、このようなオンラインシステムのトラブルが発生したのでしょうか。物事には、必ず、原因があります。 「システム障害はなぜ起きたのか みずほの教訓」(日経BP社)を読みました。(続きはこちら)http://ameblo.jp/sakae2/entry-10017748224.html
2006年10月01日
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