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造形芸術について解説した本。主に絵画について90のトピックに分けて、パターン、線、調子、色、形態、感情移入、内容、象徴、心理的価値、構造、世界各国の芸術、リアリズム、自然主義、バロック、ロココ、印象派、表現主義などについて解説しているけれど、各トピックが1-2ページしかなくて情報量が少ないので詳しい内容を知りたい人には物足りない。ざっくりと造形芸術の特徴の要点を知りたいという人向け。
44ページで「絵画の律動はたんに線の輪郭によるのみでなく、量塊の繰り返し、普通には連続しながら減少してゆく量塊の繰り返しにとってのみつくられるものであろう。このような連続はしばしば三対になっており、これは三がそこから連続を知覚することができる最初の数字であるという事実に基づいているのであって、それ以上に何も神秘的な理由はない。そして絵画にあっては三つ以上の量塊の連続はあまりにはっきりしすぎる傾きがある」と書いてあって、そういえばエルズワース・ケリーの絵がそんな感じだったと思い出してググってみたら、絵画のリズムがなんとなくわかったような気がした。
著者は美術評論家かつ小説評論家のようで、トルストイについても言及している。トルストイの芸術の定義として「自分が経験した感情を、自分自身のなかに呼びおこすこと、自分のなかに呼びおこしたならば、次に運動、線、色、音あるいは言葉による表現形式によって、他人もそれと同じ感情を経験するように、その感情を伝達する──これが芸術活動である。」「芸術は一つの人間活動であり、人がある客観的な記号によって、自分の体験した感情を意識的に人に伝え、人はその感情に感染し、それを経験するところに成り立つものである。」(p183)と紹介していて、「芸術家は感情の表現に成功するだけでなく、それを伝達することに成功しなければならないとトルストイは要求している。」(p186)けれど、誰に感情を伝えるかという点ですべての人に伝えると考えたのがトルストイの間違いで、「私は芸術の機能は、他人がそれと同じ感情を経験することができるように感情を伝達することではないといいたい。そのようなことは粗悪な形式を持った芸術──「表題楽」、メロドラマ、感傷的な物語といったたぐいのものの機能にすぎない。芸術の真の機能は感情を表現し、理解を伝えることである。」(p187)とトルストイの定義を修正している。著者は1968年に亡くなっているので70年代の受容美学は知らなかっただろうけれど、誰に伝えるかという点に着目しているのはさすが評論家である。
★★★☆☆
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