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2023.07.03
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最近は送料無料だと荷物をただで運んでいると消費者が誤解するとして荷物の再配達率の半減を目指して送料無料の表記を見直す閣議決定をしたそうな。もちろん運送会社は料金をもらわないと経営できないので、実際は客は送料を払っていて、送料無料でなくて送料込みの値段にすぎない。そもそも無料のものなどほとんどないのだから金を払えばいいではないかと思ったので、無料と支出について考えることにした。

●実は無料ではない

人や物が介在すると必然的に原価や人件費がかかるので、たいていの無料や無償のものは消費者から見たら無料に見えても実際は他の誰かが運営費用を負担している。特に公共サービスはそうで、無料で使える公園や図書館は公金で整備されているし、義務教育の授業料が無償化されてもそのぶん税率を上げたりして歳入を増やして他の誰かが学校の運営費用を払っている。高速道路の無料化が棚上げされて2115年まで有料になる予定だそうだけれど、無料化したところで改修費用がなくなるわけではないので車に乗らない人からも改修費用を徴収するようになるだろう。政府や財務省が財政均衡を目指す限り、エネルギー保存の法則みたいにどこかを無料にしたらそのぶん他を増税して間接的に費用を徴収して帳尻を合わせようとするので、実質的な公共サービスの無料化はない。
基本プレイ無料のゲームはたいていアイテム課金制だけれど、無料でサービスを維持できるわけではなくて誰もアイテムを買わなかったら採算がとれなくてサーバー代やメンテナンス費用で赤字を垂れ流すだけになるのでさっさとサービスを終了する。脱毛サロンとかは無料体験を餌にして有料のサービスを売り込もうとしていて、無料のままでは返そうとしない。無料のWikipediaはボランティアが記事を編集しているので人件費はかからないものの、サーバー代は寄付金で賄われている。無料のアプリやSNSは広告で収益を上げるビジネスモデルになっていて、消費者から見ればサービス自体は無料だけれど広告主が金を払っているし、その広告費用は消費者が買う商品代金に上乗せされているので、結局は消費者が間接的に金を払っていることになる。うどん屋のトッピングのネギが無料のところがあるけれど、そのネギ代は他の商品に上乗せされているし、ネギだけ大量に食べる客だらけになると採算が合わないので無料トッピングをやめたりする。最近はフランスで暴動が起きて店を襲撃して無料で商品を取り放題しているけれど、その被害も後で商品の値段に上乗せされる。
無料だと得しているように見えても実際は誰かが対価を払っているのだから、最初から自分が納得して対価を払えるものにちゃんと対価を払うほうがよい。前澤友作がZOZOの社長だったときに送料に文句を言った客にただで商品が届くと思うんじゃねぇよと言って炎上したけれど、言い方はともかく言っていることは正論で、送料は無料で当然みたいな考え方はやめるべきである。いろいろな商品を実店舗まで買いに行く交通費や手間を考えたら通販でいろいろなものが買えて数百円で配送してくれるのは十分安いと言えるだろう。

●大事なものは相応のお金を払わないと手に入らない

・安全
金持ちほど詐欺や空き巣や強盗に狙われるので防犯対策に金をかける必要がある。狛江市の強盗殺人事件の被害者宅は高級車を何台も駐車している豪邸だけれど、車や腕時計にお金をかけるよりもまず財産を守る手段にお金をかけないと奪われることになる。最近は無人販売の肉屋が増えているけれど、店員がいなくて隙だらけなのでしばしば襲撃されている。

・健康
発展途上国は栄養が足りてないので免疫力が低いし、病院の設備や保険も充実していないので、収入と相応に寿命が短い。病気になってから治療するよりも病気の予防にお金をかける方が安上がりなので、栄養がある食べ物やフィットネスとかの健康管理にお金を払って健康を買うに越したことはない。

・教育
何かのプロフェッショナルを目指すのならなおさら教育に金をかけることが必須になる。クラシック音楽やフィギュアスケートやテニスは幼少期から専属のコーチを雇って英才教育を受けて留学や海外遠征をする人同士が切磋琢磨してプロの狭き門をくぐるので、貧乏な人がプロになれる機会はほぼない。

・一流のもの
一流の商品やサービスは常に富裕層の需要があるので値下げすることはなくて、買いたかったら相応のお金を払うしかない。三ツ星レストランの料理やオーダーメードのスーツとかは現時点での人類の伝統や技術が結集した最高峰のものなので、大金を払うに値する価値がある。

・推し活
ITmediaの「​ スラムダンク大ヒット “海賊版天国”だった中国が「本物」を買うようになったワケ ​」という記事によると中国人が映画の『THE FIRST SLAM DUNK』に対しては海賊版でなくて正規版を視聴しているそうで、中国人もそこそこ豊かになって推しにはちゃんと対価を払う価値観になりつつあるようである。YouTubeのスパチャとかもそうで、動画自体は無料で見れてもクリエイターをサポートするためにお金を払う人がいるおかげでサービスが成り立っていて、お金を払わないで無料で動画を見ているだけでは自分が推しを支えているという満足感は得られない。よくサッカーでファンとサポーターは違うと言われるけれど、無料でワールドカップを見るファンが多くなったところでJリーグの試合のチケットを買うサポーターがいないとクラブは運営できないので、本当にサッカーが好きなら推しチームのチケットや推し選手のグッズに金を払うべきである。

・自由
実家で親に養ってもらえば無料だけれど親に干渉されるし、自由に一人暮らししたかったら部屋を借りるためのまとまった金が要る。大企業ならやりたいことがあっても上司の許可がないと予算がとれないけれど、自営業なら金さえ出せばやりたいことがやれる。挑戦する自由や挑戦の準備をするためのモラトリアムも金を払わないと得られないことがある。

●お金を使うことは無駄ではない

なぜ巷の人が無料をありがたがって支出を渋るのかといえば、お金は使ったら消えてなくなるものだと思っているせいかもしれない。商品やサービスの対価にお金を支払ったら財布からはなくなるけれど、そのお金が消えるわけでなくて、相手にお金を使う権利を渡しているにすぎない。お金を受け取った人も買い物にお金を使って他の人にお金を渡して、世間でお金が循環することで経済が成り立っている。そんで家計支出(C)、投資支出(I)、政府支出(G)を足したものが国内需要(DD)になって、DD=C+I+Gという式になる。そこに輸出(EX)を足して、輸入(IM)を引いたものが国内総生産(GDP)と呼ばれて、GDP=C+I+G+EX-IMという式になる。この名目GDPからインフレの価格変動の影響を取り除いたものが実質GDPになる。実質GDPが増えたら経済成長しているといえるし、誰かが支出をしない限り経済成長しない。
日本人は不安を感じやすいせいか貯蓄する傾向が高いけれど、お金は他のものと交換する手段に過ぎないのに、手段を貯め込むことを目的にするのは本末転倒である。健康とか幸福とかの何かの目的があるのに、目的達成の手段であるお金を使わないまま結局目的を達成できないで人生を終えるのではお金を貯めた意味がない。最近はお金は経験に使うべきだということを書いた『DIE WITH ZERO』という本が売れているそうな。日本だとタンス預金を数千万円貯め込んだまま死ぬ老人がいるけれど、子供を信頼していなくて生前贈与もせず、消費にも投資にも回されなかった死に金を抱えて死ぬのはいくら金を持っていようが金の使い道を知らない貧しい生き方である。

・お金を使ってインフレするべき

税を財源として考えて税率を上げて国債を償還すると市中からお金が消えてデフレに向かうし、国債を財源として考えて国債を発行したり税率を下げたりすると市中のお金が増えて価値が希薄化してインフレに向かう。要するに政府の財政支出を国民が税として負担するかインフレ率として負担するかの違いなのだけれど、ではなぜデフレではだめなのか。
デフレだと時間が経つほど金利や物価が下がるので、稼いだ金は投資や消費よりも貯蓄に向かう。例えば家を建てるのを数年待てば金利や材料費が下がって支払額が安くなるなら、もっと貯金に余裕ができてからでいいやと待つ人が増えて土地開発が進まなくなるだろう。皆が消費や投資を控えるようになると物が売れにくくなって商品の在庫がたまるし、そうなると企業は安売りして在庫をさばこうとして在庫がはけるまで新商品の開発や仕入れは控えるようになって、いくら金利が低くても借り手がいなくなって市中で金が循環しなくなって、物が売れないから企業の利益が減って従業員の給料が減って、給料が減ったから物を買わなくなるというデフレスパイラルになる。労働力も買い叩かれて長時間労働で残業代未払いとかのブラック企業が蔓延するようになって、労働者も失業したくないので違法行為を黙認してブラック企業にしがみつくようになる。供給能力は十分あるのに物が売れないことで資金繰りできなくなった企業が倒産して、次第に供給能力さえなくなってしまう。
逆にインフレだと時間が経つほど金利や物価が上がっていって相対的に現金の価値が目減りするので、稼いだ金は貯蓄よりも投資や消費に向かう。今家を建てないと数年後には金利や材料費や人件費が上がって支払額が高くなって手が届かなくなりそうになったら、多少無理してえいやっと住宅ローンを組んで家を建てるようになるだろう。それにインフレすると借金が目減りするメリットもある。わかりやすい極端な例を言えば大正時代に10万円(今でいうと5000万円相当)の大金を無利子で借りたとして、百年後に遺産相続するときに借金に気づいて額面通りに10万円を返しても民法上は問題ない。インフレ率は考慮しないで契約上の金額さえ返してしまえばよいので、固定金利で住宅ローンを組んだ後にインフレしたら実質賃金が変わらなくても名目賃金が増えればその分返済も楽になるし、インフレしたぶん家の資産価値も上がっていく。そうして消費や投資が増えるとその需要に答えようとして工場が新設されたりして供給能力が増えていく。そうなると人手不足になって求人が増えて失業者が減ってそのぶん生活保護とかの社会保障費用も少なくなるし、働いて知識や技能を覚える人が多くなって社会全体の冗長性が増して人材の層が厚くなって災害からの復興も早くなるし、人手不足で求人が多いので労働者がブラック企業にしがみつかずに辞めるようになってブラック企業が淘汰されて労働者の待遇が良くなっていく。
デフレとインフレを比べればインフレのほうがましなのは一目瞭然だけれど、アメリカみたいに一挙に巨額の財政支出をしたら急激にインフレ率が上がって混乱が起きるのでむやみに政府支出を増やせばよいというものでもなくて、2-3%のマイルドなインフレが持続する状態にしてデフレを脱却するのが当面の日本の目標になっている。金本位制時代に国王が宝物庫に金銀財宝を貯めこんでいるイメージで政府が税金を集めれば豊かな国になれると誤解している人は国債発行を通貨の発行とみなさずに借金とみなして子孫につけを残すのだと考えて財政支出削減や増税といったデフレ推進策を支持するのだろうけれど、実際はインフレした方が子孫のつけが減るし、現代の硬貨や日本銀行券は江戸時代の大判小判と違って物体としての価値はないのだから政府が通貨を貯め込む意味がない。この金本位制モデルの時代遅れの間違ったエピステーメー(知の枠組み)を破壊して、政府が国民の幸福のためにお金を使うことがいいことだという考え方に変わらない限り日本の衰退は免れないだろうし、増税されて国民の受難は続くだろう。

・国が国民に給付金を出したらだめなのか

コロナ禍で定額給付金や持続化給付金が配られたけれど、国が国民に給付金を出すことに否定的な人が少なからずいる。東京MXの「​ 寺島実郎の世界を知る力対談篇〜時代との対話〜#24 ​」で多摩大学の学長の寺島実郎がファーストリテイリングの柳井と対談して、33:15に柳井が「国民が国から補助を受けるようになったらその国は終わりですよ」と言ってそれに寺島が同意して10万円給付が消費に向かわなかったと批判していた。10万円を12か月で割ったら1月あたり8千3百円程度でしかない。10万円もらったらすぐ高額な物を買うのは生活に困ってない人だろうし、庶民が先の支払いを見越してちびちび切り崩しながら使うのは当然で、それを消費に向かわなかったと批判するのは寺島が金に困っていないから庶民の金銭感覚がわからないのだろう。日経新聞の「​ ファストリ、巨額キャッシュため込むワケ ​」という記事だとファーストリテイリングは経営の安全性を高めるために2020年時点で1兆円以上の現金を持っているようだけれど、寺島が庶民が生活の安定性を高めようとしているのを批判する一方で同じことをしているファーストリテイリングを批判しないのは一貫性がない。ちなみに寺島実郎が学長を務める多摩大学は文科省の私立大学補助金をもらっているのに、多摩大学の補助金を棚に上げてコロナ禍で困窮した国民がほんの10万円ぽっちをもらうことをポピュリズムと批判する有様で、寺島は弱者への慈悲も愛もない。
私は税金も給付金も格差やインフレ率の調整手段だと思っているので、いったん税として徴収してから給付金で再分配しても、減税しても、どっちでも大差ないので状況に応じて使い分ければよいと思う。税金を徴収してから給付金で再分配するよりも減税の方が事務手続きが簡素化するので事業者に対しては減税したり消費税を廃止したりしてインボイスの控除がどうのこうのという利益を生まない複雑な手続きをなくすのがよいけれど、もともと納税額が低い低所得者は減税したところで可処分所得があまり増えなくてたいした恩恵がないので、相対的貧困層に分類される低所得者には負の所得税として給付金で可処分所得を増やすのがよいと思うし、私は給付金を出すことが悪いことだとは思わない。寺島や柳井は自分で稼がずに金をもらうのはいかんという道徳観で給付金を批判しているのだろうけれど、自分の子供の子育てでそういう方針なら別にいいけれど政策に対して個人的な道徳観を基準にするのはナンセンスである。
ディマンドプルインフレが起きているときに給付金を出すのはインフレを加速させる悪手だろうけれど、新型コロナやロシアのウクライナ侵攻とかの外部要因のコストプッシュインフレが起きているときに国民の負担軽減策として給付金を出すのは経済を停滞させないための対策としてはよいと思うし、日本はまだデフレで需要不足なのだからデフレギャップが埋まるまでは給付金を出すのも経済政策としては合理的だと思う。

・投資しないと成長もしない

財務省の御用マスコミが毎年過去最大の財政支出だと深刻そうに報道するのは馬鹿げていて、普通に経済成長して人口が増えているならそれに伴って社会保障費用が増えて毎年財政支出が過去最大になって、成長に応じて税収も過去最高になるのが当然である。もし子育てしている親が子供が大きくなるにつれて過去最大の食費になっていたから食費を減らさないといけないと言っていたり、子供の食事を減らしながらなんでこの子は成長しないんだろうと言っていたりしたら異常である。質量保存の法則があるので食べる量が増えないと成長しないし、食べる量が体を維持する分に足りなかったら栄養失調になる。じゃあ国はどうかといえば、間違った財政破綻論に毒されて投資を減らして経済成長を目指すという異常なことをやりたがるので、成長したかったら投資するという普通の考え方に戻さないといけない。輸出を増やして貿易を活性化したかったら港や高速道路に設備投資して大型船が入港できるようにしてコンテナを積んだ貨物トラックが渋滞で詰まらないように道路を整備したり工場を誘致したりする必要があるし、高度人材を育成したかったら教育機関に投資する必要がある。数年で投資を回収できる見込みがあるなら企業が投資するけれど、インフラ整備のように莫大な費用が必要なものや教育のように利益が出るまで時間がかかるものは政府が投資する必要がある。政府は「貯蓄から投資へ」として個人に投資させたがっているけれど、個人の預金程度でたいした投資はできないし、まず政府が投資するのが先である。国策に売りなしという格言があるように国策としてやると決めた事業には企業も個人も投資するようになるし、逆に国が原発の研究予算を縮小したら重電メーカーも受注のあてがない原発には投資しなくなる。
財政支出を増やしたからといって経済成長するとは限らないという理由で財政支出を増やすことに反対する人がいるけれど、支出を増やしたら経済成長する分野だと明確に言えるのが一つあって、それが教育である。教育は福祉の側面もあるけれど、未来への投資である。日本には学校などの設備はすでにあるので新しく学校を立てなくても人件費さえ出せば教師を用意できるし、生徒も授業料さえあれば授業を受けられる。教師にかかる人件費や貧乏な学生への奨学金と、教師不足で優秀な人が教育の機会を得られないまま単純労働する場合の逸失利益を考えたら、教育に投資したほうが利益が大きくなる。そもそも日本は外国から知識や技術を学んで成長してきた国で、奈良時代は遣隋使や遣唐使として学僧を派遣したり唐の鑑真を招いたりして文化が発展したし、江戸時代は出島のシーボルトから医学や洋式砲術を学んだり朝鮮の陶芸家を招いたりして文化や技術が発展したし、佐賀藩主の鍋島直正が教育予算を170石から1000石に増やして藩校の弘道館を整備して弘道館出身の江藤新平や副島種臣や大隈重信がのちに明治政府の重役になったし、明治時代や大正時代はヨーロッパの学者を招いたり優秀な人をヨーロッパに留学させたりして近代化して国立大学を整備して、たいして資源がない国でも人材育成したおかげでノーベル化学賞や物理学賞をいくつも取れるほどの研究成果を出せた。その費用は公金から出して、費用に見合うだけの成果が出ているのは歴史が証明している。世界のIQ調査だと日本以外ではアシュケナージユダヤと中国のIQが高くて、アシュケナージユダヤや華僑は国に頼らずに生きられるように教育にはお金をかけていて欧米の名門大学で人脈を作って世界各国の政財界に食い込んでいる。
教育がないとどうなるのかは発展途上国を見てみればいい。インド、エジプト、モロッコは世界三大うざい国と呼ばれているけれど、いくら人口が多くても教育を受けていなくて家業がない人間が何か生産的な活動ができるわけでもないので、金を持っている観光客に絡んで客引きや物乞いや詐欺や窃盗や売春や麻薬売買をやるようになって、観光業に寄与するどころか治安が悪化してかえって観光客を遠ざける要因になる。トー横キッズみたいなのが国中にわんさかいるようなもんである。チュニジアやエジプトやアフガニスタンの民主化が失敗したように、国民がろくに教育を受けていないまま民主主義をやろうとしても政策の良し悪しを理解できなくて当事者意識がなくて他人任せにするのだからうまくいかなくて独裁に戻って当然である。教育が充実しない限り文化も産業も発展しない。
じゃあ日本政府は教育のために何をやっているかというと、今は教員も保育士も不足しているのに人件費は増やそうとしない。​ 令和元年度就職氷河期世代を対象とした教職に関するリカレント教育プログラム事業公募要領(pdf) ​によると、就職氷河期世代は採用試験倍率が13.3倍で過去最高で、免許状を取得したものの採用に至らなかった者が100万人以上いると推計されるそうな。文部科学省の​ 文教費の概観(pdf) ​の第14表を見ると2000年代から地方教育費補助が急減したことで国が負担した教育費の合計が減っているのが確認できるし、第15表と第16表で行政費に占める教育費の割合も徐々に減っているのが確認できる。就職氷河期に文教費を増やして教師が多くなっていれば分業して負担を軽減できていたのに、わざわざ予算を減らして採用を絞って残業代未払いの長時間労働を放置しておいて、今になって産休・育休や病休者数が増加して臨時教員不足だと言っているのだから、当時の政治家は先の見通しがないアホだらけだったのだろう。教師が多くてもその分教師一人当たりの負担が減って生徒が手厚い指導を受けられるし、教師が不足する弊害はあっても教師が余ることへの弊害はないのだから、人件費を出して就職氷河期世代を雇っていればいまの教師不足の問題は起きなかった。2001-2006年に総理大臣だった小泉純一郎は小林虎三郎の米百表を引用しておきながら目先の利益のために教育費を減らして若者を潰すという真逆のことをやってきた。そんで教師だけでなく学生の待遇もおかしくて、日本人の海外留学支援制度だと1万5千人に月10万円以下の給付しかないのに、国費外国人留学生制度だと9千人弱の外国人に奨学金を月14万円程度給付していて、外国人への給付のほうが金額が多いのはおかしい。大学の研究者も予算がかつかつでポストが不安定で優秀な人がアメリカや中国に引き抜かれて、もう日本からノーベル賞受賞者は出ないとまで言われている。
教育や研究は成果が出るまでに時間がかかるので、単年度会計で短期で成果を求める今のやり方だと評価されない。人口減少に向かう日本こそかつての日本の繁栄の原点に戻って、長期的視点を持って教育を充実させて大谷翔平みたいな一騎当千の猛者をあらゆる分野で輩出する環境を作るべきだろう。

・ゼロリスク信仰を捨てるべき

無料をありがたがるのが社会にとって有害であるのと同様に、ゼロリスクをありがたがるのも問題である。未来は不確実で何をやるにしてもリスクがあるのに、極端にリスクを恐れていたら何もできなくなる。子供が立派な人間に育つかどうかは子供を産んで成人するまで育ててみないとわからない。芸術家はコストと時間をかけて作品を作り始めてみないことにはいい作品が完成するかどうかわからない。ベンチャー企業に投資して儲かるかどうかは投資してみないとわからないし、事業が成功したのを確認してから投資してもその頃には株価が上がりきっていてキャピタルゲインはあまり見込めなくなる。レストランの料理の味が値段に見合って自分が気に入るかどうかはお金を払って食べてみないとわからない。競馬はどの馬が勝つかわからないからこそ賭けが楽しめる。
リスクをとってまだ誰も結果がわからないことをやるから新しい発見があって社会が発展していくのに、ゼロリスク信仰で少しでもリスクがあることはやらない、行動の結果がわかっていることしかやらないというのであればもはや作業を繰り返すだけの機械と同じで、人間から不確定な物事に挑戦する自由を奪ってただの労働力として家畜化してしまう。アントニオ猪木が「出る前に負ける事考えるバカいるかよ」とインタビュアーに怒っていたけれど、ゼロリスク信仰はやる前から負ける事ばかり考えて勝ち筋を見出すことさえ諦めているようなもので、勝てる可能性があっても勝てなくなる。子育てだとヘリコプターペアレントが子供に過干渉して先回りしてリスクを潰して子供が挑戦して失敗から学ぶ機会さえ奪ってしまって、やりたいことがない指示待ち人間になってしまう。漢の劉邦や明の朱元璋が農民から皇帝になったり豊臣秀吉が農民から将軍になったように、失敗するリスクを負いつつも人生を賭けて挑戦した人だけが大きな結果を残せるし、挑戦して失敗することもあるけれど失敗から学んで改善することで成功の可能性が高くなる。失敗しないことを目標にするのでなく、成功するためにどれだけリスクを負えるのかというリスクマネジメントをやって挑戦するべきだろう。






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最終更新日  2025.03.28 19:20:32
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