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2023.09.12
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最近は脳科学者の茂木健一郎がジャニーズについて「とりたてた才能があるわけでも、すごいパフォーマンスがあるわけでも、ものすごくかっこいいわけでもないそのあたりにいる兄ちゃんたちが人気になった理由は単にたくさんテレビに出たから」「ジャニーズにだまされないでほしい。人生がもったいないし、人生の時間が無駄になるから。ジャニーズはほんものじゃないし、あなたのためでもない。ほんものは他にあるし、あなたのためになるものは他のところにある」「ジャニーズにだまされる人は、芸術の教養が根本的に欠けている。クラシックからロック、ポピュラーまで、音楽のほんものに触れていれば、SMAPや嵐には騙されない」などと言っていたので、これについて考えることにした。

●クリエイターとパフォーマーの違い

クリエイターは作曲や歌詞や振付に対する著作権を持っているのに対して、パフォーマーは著作権を持っていない。誰かが作った曲や踊りを間違えないように演じるのがパフォーマーの仕事になる。良い作曲家が良い歌手とは限らないし、良い振付師が美男美女とは限らなくて、パフォーマーのほうがクリエイターよりも上手く演じられたりイケメンだったりするので、人前に出るパフォーマーのほうがクリエイターよりも人気になりやすい。しかしパフォーマーは最高のパフォーマンスができなくなったり人気がなくなったりすると引退する。特にアイドルは代わりの若者が次々に出てくるので旬が短くて、30代になって踊れなくなったり老けたりすると俳優やバラエティー番組のタレントに転向したり芸能人や実業家と結婚して引退したりする。
クリエイターは自由に作りたいように作品を作れて、自分が作ったものに上手いか下手かの違いはあっても正解や間違いはないけれど、パフォーマーは作者が作った通りに演じないと間違いとみなされる。例えば即興で歌うラッパーに正解や間違いはないけれど、歌手は決まったメロディーと歌詞通りに歌わないと音程や歌詞を間違ったとみなされる。脚本家は自由に脚本を作れて正解や間違いはないけれど、役者は脚本に書いてある通りにセリフを言わないとセリフを間違ったとみなされるし、アドリブの指示がないのに脚本にないセリフを勝手に言うと監督にダメだしされる。森進一が「おふくろさん」に無断で前奏パートをつけて作詞家の川内康範が激怒したように、あくまで作品は作った人のものなので、演者がどれだけ人気だろうが勝手に改変して良いものではない。

●ジャニーズのパフォーマンス

茂木の言う「すごいパフォーマンス」がどの程度を指すのかは不明だけれど、昭和のエンタメは今に比べたらたいていしょぼいものだった。アイドルが棒立ちで歌を歌っているのに比べて光GENJIがローラースケートですいすい滑ったりバク転したりするのは当時としてはそれなりのパフォーマンスだと思うし、TOKIOが自分で楽器を演奏していたのもプロのバンドには見劣りしても歌うだけのアイドルに比べたらそれなりのパフォーマンスだと思う。ジャニーズのライブツアーは満席だし、ファンはパフォーマンスには満足していると言えるだろう。俳優としてもそれなりに演技はできていて、岡田准一や森田剛が出ている映画は私は面白く見れたし、『池袋ウエストゲートパーク』の長瀬智也ははまり役だと思う。
昭和の頃は国内の他のアイドルと比べたらジャニーズは頑張っていたと思うけれど、2010年代にBIGBANGとかのK-POPが台頭してからは見劣りするようになった。K-POPはひとつのグループをデビューさせるまでに1億円くらい投資しているそうで、歌やダンスをみっちり練習したうえで公開オーディションでメンバーを選んだりしているので実力が劣る人が紛れ込んだりしないし、ダンスや歌のうまさだとK-POPのほうがジャニーズより優れている。公開オーディションをすることで人気や実力がある上澄みを厳選できるだけでなくて、メンバー選考に落選した人にもそれなりにファンがついて他のグループでデビューする下地ができるメリットもある。K-POPの男性グループは少女漫画に出てくる白馬に乗った王子様の実写版のような造形をしていてアジア的イケメンのツボを押さえているので、日本のティーンエージャーが惚れるのもわかる。私はK-POPは別に好きでもないけれど、それでもStray Kidsのフィリックスはかっこよさとかわいさが両方あってよいと思う。K-POPの女性グループは顔の見分けがつかないけれど、手足が長くてスタイルは日本のアイドルよりも良い。K-POPは外見やファッションセンスではものすごくかっこいいと言えるレベルだし、それに比べたらジャニーズは長瀬や滝沢とかの一部のイケメンを除いたら茂木のいう通りの「ものすごくかっこいいわけでもないそのあたりにいる兄ちゃんたち」と言うレベルだろう。

●パフォーマー偏重の文化

私はアイドル全般に興味がない。というのもアイドルはいくら人気があろうが所詮はプロデューサーがおぜん立てした舞台で役割を演じているだけで、そこに芸術性を感じないのである。アイドルも努力しているのはわかるけれど、どれも似たような曲や似たような踊りでそこから新しいものが生まれる期待がないし、クラシック音楽やバレエみたいに伝統と高度な技術に基づいた芸術作品というほどの完成度も見られないので、どうでもいいと感じてしまう。アイドルは推しが一生懸命頑張っている姿を応援する対象であって、芸術作品として鑑賞する対象でないので、応援したい人がいなければそのパフォーマンスに感動もなくて、芸が未熟なだけに見える。子供の学芸会を親が見たら楽しめても、知らない人が見たら楽しめないようなものである。
日本はパフォーマー偏重の文化なのに肝心のパフォーマンスがだめなのがエンタメとしては致命的である。韓国発祥の「The Masked Singer」という番組は出演者がマスクで顔を隠して純粋に歌唱力だけを競っているので歌がうまいし、アメリカの「America's Got Talent」もすごいパフォーマンスが見れるので人気だけれど、それに比べて日本のテレビ番組は出演者の実力よりも知名度で視聴率を集めようとするのでパフォーマンスがおざなりである。
1980-90年代のバンドブームでいろいろなバンドが個性的なオリジナル曲を作って小さなライブハウスで切磋琢磨して腕を磨いてメジャーデビューをしていてその頃はJ-POPが面白かったものの、2000年代に音楽がデジタル化してCDが売れなくなってからは後ろ盾なしに才能でのし上がるクリエイターが少なくなって事務所の後ろ盾があるパフォーマーだらけになって、今はジャニーズやAKBとかのアイドル系の似たような曲ばかりがチャートに乗ってJ-POPはつまらなくなっている。ミュージックステーションでもしばしば放送事故と言われるレベルの下手な歌を歌ったりして番組が打ち切りになる噂も出ている。アイドルの音楽には忌野清志郎がエフエム東京を罵倒したような強烈なメッセージ性やユーモアもないし、行儀よく振舞うように躾けられたアイドルたちが口パクする様子を見ても刺激がなくて面白くないので、私はアイドルだらけのMステも紅白歌合戦も見ない。
茂木の「人生の時間が無駄になる」は言い過ぎだと思うし、ティーンエージャーにとっては憧れのアイドルのライブに行ってはしゃぐ体験をするのも青春の良い思い出だと思う。しかし「ほんものは他にある」はその通りで、ジャニーズが自分で大麻ソングや同性愛ソングを作詞作曲するなら私はクリエイターとして評価するけれど、生活態度と歌っている内容が一致していなくてうわべだけ飾った綺麗事を言って本音を言わないのでは所詮は牙を抜かれた事務所の飼い犬で、にせものである。人生経験が乏しくて審美眼がないティーンエージャーがほんものとにせものの区別がつかないのは仕方がないけれど、おっさんやおばさんが若いアイドルを性的目線で見て尻を追いかけるのはさすがにみっともない。

●プロデューサーへの依存がハラスメントの温床になる

クリエイターが作品を作ったりイベントを興行したりして自力で稼いで嫌な仕事を断れるのに対して、アイドルとかのパフォーマーはプロデューサーがいないと何もできなくて自分で作詞作曲したり仕事を取ってきたりすることもできないし、芸能事務所が歌の著作権やグッズの商標権を抑えているので事務所に不満があって独立したところで持ち歌を歌えなくなったり芸名を使えなくなったりするので、仕事を与えてやるプロデューサーに権力が集中する力関係の不均衡がセクハラやパワハラの原因になる。ジャニーズは他のアイドルと違って旬を過ぎても引退せずに中年になっても事務所に残って仕事をもらっていて、独立しても干されて仕事がなくなるので、ジャニー喜多川一家に長期間権力が集中して逆らえなかったことが問題を悪化させることになったのだろう。テレビ局は長い物に巻かれてジャニーズに忖度して不祥事を報道しなかったくせにBBCに報じられて風向きが悪くなったら手のひらを反してジャニーズを批判してジャニーズ所属のタレントを起用しないと言い出しているけれど、じゃあセクハラや枕営業をしていないクリーンな芸能事務所やテレビ局や広告代理店があるのかという話で、そもそも同じ穴の狢で芸能界自体が腐っているのでテレビ局はジャニーズを批判できる立場でない。
企業は被害者への補償が終わるまではジャニーズと距離を置いてCM契約を終了させる方針のところがあるけれど、そもそもジャニーズに関わらず芸能人をCMに起用しなければよい。野口健がネスカフェゴールドブレンドのCMに出たり、高見盛が永谷園のお茶漬けのCMに出たり、docomoがスマホのCMの「森の木琴編」で人が出ないCMを作ったりしたように、別に芸能人を起用する必然性がない。たかがCMでさえ新しいことをやる姿勢がない企業が新しい良いものを作れるとは思えないので、いかにも広告代理店に丸投げして作ったようなアイドルやお笑い芸人を起用するCMには私は好感を持たないし、嫌いな芸能人が出ているCMはむしろ反感を持つ。企業がテレビCMや広告代理店に依存するのをやめれば、間接的にテレビの影響力も減って芸能界のセクハラも少なくなると思う。

●ジャニーズはどうなるのか

ジャニーズが被害者への補償が終わってまともな会社とみなされるまで数年かかるだろうし、テレビ局や企業のジャニーズ外しの流れはとうぶん続くだろう。ジャニーズはテレビの仕事がなくなってもライブで客を呼べるし、ISLAND TVでジャニーズJrの独自コンテンツを配信しているし、ファンクラブの年会費で定期収入が入ってくるし、代わりになるような大手芸能事務所がないので、ショタ需要がある限りジャニーズは存続できるだろう。K-POPとかの比較対象があったところで好きなものが変わるわけではないし、宝塚歌劇団が好きな人が一定数いるようにジャニーイズム的な感じが好きな人も一定数いるだろう。
しかしアイドルが中年になってからテレビ局とのコネで俳優になったりバラエティー番組に出たりするルートがなくなると活動の幅が狭くなるし、若いうちに薄給でこき使われてもそのぶん歳をとってもクビにしないで仕事を与えるやり方ができなくなるだろう。稼ぎ頭の若いアイドルからしたら自分たちの稼ぎで先輩のおっさんたちの老後の生活を支えるのはやってらんねーと思うだろうし、SMAPや滝沢秀明がジャニーズを辞めて自分の会社を作ったようにジャニーズを辞める人たちがでてきて事務所に求心力がなくなるだろうし、吉本興業と韓国のCJ ENMがJO1をプロデュースしたみたいに歌と踊りの実力でジャニーズを超えるアイドルが出てきて相対的にジャニーズは落ち目になると思う。いち視聴者としてはテレビや映画がジャニーズだらけの状況が変わるのは歓迎したい。ジャニーズに残る人たちも楽して儲かるバラエティー番組やCMに頼らないで本業の歌や踊りに力をいれて一流のパフォーマーをめざせばよい。アイドルをやりたいならファンサービスを良くしてアイドル活動に特化すればよいし、俳優をやりたいなら最初から俳優として活動すればよいし、マルチタレントと称して全部中途半端なのは一番よくない。せめてカラオケレベルの歌唱力は改善して、↓の人くらいの歌唱力はつけてほしい。





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最終更新日  2023.09.15 23:08:57
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