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「ゴールデン・カムイ」
という漫画を読んでいると、アイヌの人たちにとっての 「熊」
の存在が、かなり詳しく描かれていて、そのあたりがこの漫画の面白さのひとつです。エゾオオカミとかヒグマとかは、山の神、 カムイ
なんですね。
宮沢賢治
の童話 「なめとこ山の熊」
の最後のシーンは 熊たち
が熊撃ちを仕事にしている 小十郎
の死を悼み祈るという、ちょっと不思議な光景の描写で胸をうたれます。
最近では 川上弘美
がデビュー作 「神様」
という作品で 「くま」の隣人
を登場させ、主人公と一緒に散歩させるという不思議な味わいの短編を書いていました。
「そのうえ」
というべきか、 「ところが」
というべきか、東北地方を襲った 「あのこと」
の後 「神様 2011
」
という題で書き直した作品では、放射能に汚染された田んぼ道を防御服も着ないで、やっぱり、 「くま」
と二人で散歩する
話をこんなふうに書いています。
「防御服を着てないから、よけていくのかな」 なんて、まあ、ヤッパリ、ちょっとポカーンとする世界なんですが、だいたい、この作品の 「くま」 ってなんなんだろう?って思っちゃいます。
「でも、今年は前半の被曝量はがんばっておさえたから累積被曝量貯金の残高はあるし、おまけに今日の SPEED Ⅰの予想ではこの辺りには風は来ないはずだし」
「静かな大地」 は半分はアイヌの話で、本文の中にアイヌの民話や神話をいくつか象嵌した。それは古老の語るのを聞き書きしたものを和訳した、神聖な民話・神話だった。しかし最後に沿える話は捏造することにした。自分の中で木が熟していたのか、まことしやかな民話がすらすらと出てきた。 これが、この作品についての 作家のことば です。表紙の北海道の森と熊の姿が印象的で、ここからおしまいのページまで、美しい本です。
「今は、わたしたちの嘆きの歌がこだまするばかり。」
島フクロウ のこんな嘆きのことばで物語は終わります。お話は読んでいただくとして 、 坂川英二さん という北海道出身のアーティストが描いた 「熊」 や 「鮭」 の挿絵が何ともいえずいいとおもいました。
追記2020・01・27
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