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こんにちは、みなさんは ベルファスト という町をご存知ですか。ぼくが先週まで家族と暮らしていた 北アイルランドの港町 です。 少年 は、その後、演劇学校を出て俳優になり、やがて映画監督になったようです。その彼から、最近ビデオ・レターを受け取りました。少年時代の家族の姿がドラマチックに写っているモノクロのドキュメンタリー・フィルムでしたが、それを編集し直して 「ベルファスト」 という映画にしたらしいのですが、その映画はは アカデミー賞 で 脚本賞 をとったそうです。劇場で見ましたが、失われた時がうつくしく描かれていて、胸を打つ作品になっていました。
ぼくの家族はおじいちゃんとおばあちゃん、お父さんとお母さん、おにーちゃん、そしてぼく。それがぼくの家族です。ぼくの名前は バディ です。年は 1960年生まれ で、 9歳 です。今、一番好きなのは 「騎士ごっこ」 です。学校はちょっと苦手です。最近気になる女の子がいて、教室で後ろから見ていてドキドキします。でも、はずかしいから名前はいえません。
お父さんとお母さんは子供のころからのなかよしで、今でもとてもなかよしですが、時々大げんかをしたりして、悲しいときもあります。お父さんは ロンドン に出稼ぎに行っていて、いつもは留守です。お金の事とかで、お母さんが電話口で泣いたり怒ったりしていることもあります。でも、ぼくとお兄ちゃんは、お母さんと三人でお父さんの留守を守っています。お父さんとぼくの合言葉は Be careful です。
おじいちゃんとおばあちゃんはとてもなかよしでした。おじいちゃんはぼくに算数とか人生とか、なんでも教えてくれました。おばあちゃんは、ちょっとふとりすぎで歩くのがしんどいのですが、いつもぼくとおじいちゃんを見守ってくれていて、おじいちゃんはおばあちゃんに頭が上がりませんでした。そんなおじいちゃんとおばあちゃんが、今でもぼくは大好きです。
でも、ずっとしんどかったらしい肺の具合が悪くなって、おじいちゃんは死んでしまいました。そして、父さんとお母さんも ベルファストの町 を出て行くことに決めてしまいました。
ぼくが カトリックの人 のお店からお菓子を盗んできて警察の人がうちにやって来たり、 プロテスタントの人 がお父さんを裏切り者だと言って、ぼくを人質にしたり、お母さんが悲しむことばっかり続いたことも、引っ越しの大きな原因です。
一人で ベルファスト に残ることになったおばあちゃんは、出発の日に 「振り返らないで、しっかり前を向いて行きなさい。」 と言ってくれましたが、ぼくは振り返らないではいられません。
「振りむかずに、前を向いてすすめ!」 という 「名セリフ」 を聴きながら、ふと、思ったのですが、 イギリス の アイルランド問題 はこの50年で片が付いたのでしょうか。
とはいうものの、 家族の物語
としてみれば、たとえば、出稼ぎ暮らしの 夫( ジェイミー・ドーナン
)
が 妻( カトリーナ・バルフ
)
に向かって言う
「子どもたちは、みんな、あなたが育てたんだ」 という和解のセリフをはじめとする夫婦げんかのリアルさや、散り散りになりそうな若い家族を支える祖父母の存在の描き方は、さすが ケネス・ブラナー なわけで、しっかり泣かせていただきました。
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