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PLUTO ビッグコミックス著者/訳者名 : 浦沢 直樹 画 手塚 治虫 原作 出版社名 : 小学館 (ISBN:4-09-187432-0) 発行年月 : 2005年04月 価格 : 550円(税込) 本の内容 人間の痕跡がない殺人事件、残された謎のメッセージ…その先にあるものとは!? 漫画界の2大巨匠がタッグを組んだ、近未来SFサスペンス!!巨匠・手塚治虫の代表作に、現代を代表するコミック作家・浦沢直樹が挑む! 『鉄腕アトム』の名作エピソード「地上最大のロボット」をモチーフにした話題作が、満を持して単行本化!!<感想> けっこう話題作だったんですが、やっと最近読みました。率直な感想は「うーむ、さすがは浦沢直樹」という感じ。 アトムというキャラを用いながら、手塚治虫とは全く異質の浦沢ワールドを作り上げています。 雰囲気は「MONSTER」に近く、伏線はりまくりの短編構成で、全体の謎解きをしていくという浦沢直樹お得意のパターンです。 「世界最強の7体のロボット」をそれぞれテーマにした話で構成されていく中で、「ノース2号」の話が秀逸。 かつて従軍した戦争を忘れるためにピアノを覚え始めたロボット「ノース2号」。ピアノの師である主人の危機を救うべく、あれほど忌み嫌っていた戦闘用ロボットとしての異形の姿に変身するシーンは涙を誘います。 その他、ロボットであるがゆえの悲しみ、戸惑い、悲劇を描いたドラマの数々は一つ一つが輝きを持っています。 是非ともこの漫画には「きちんと完結」してもらいたいもんです。・・・というのも、この作者、風呂敷を広げるのはうまいんですが、たたむのはどうも苦手のようで、「起承転結」が「起承転転転々・・・」となって収拾がつかなくなる事態が非常に多い。 「20世紀少年」とか「MONSTER」とか、正直途中で読むの挫折しました。これは作家にとってけっこう致命的だと思うんですが・・・。 この「PLUTO」はそんなに長い話にはならないと思うのですが、ちょっと心配。天国から手塚治虫も見てることだし、最後はピシッと締めてほしいもんです。
2005.08.29
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新ゴーマニズム宣言SPECIAL靖国論 著者/訳者名 : 小林よしのり/著 出版社名 : 幻冬舎 (ISBN:4-344-01023-X) 発行年月 : 2005年08月 価格 : 1,260円(税込) 靖国問題 ちくま新書 532著者/訳者名 : 高橋哲哉/著 出版社名 : 筑摩書房 (ISBN:4-480-06232-7) 発行年月 : 2005年04月 <感想> この種の問題は、それに関わる情報がたいてい強いバイアスがかかったものであることが多いため、正直考えるのがうっとうしくなります。 今年は戦後60年ということで、この2冊がだいぶ売れてるらしいとのこと。30代も半ばを迎えようとしている自分があんまり無知なのもどうかと思って読んでみました。 結果からいうと、「やっぱりそうか」という感じ。 何が「やはりそうか」というと、この2冊、左派と右派に真っ向から意見が対立してますが、双方、自身に都合の良い事実だけを抜粋して論陣をしくという形になっているため、やはり「公平な立場から」考えることができる内容になっていないのでした。 戦争という事実は無数の事件、事故、事実関係から成り立つものであり、「どこで何が起きたのか」という客観的事実を証明するのだけでも膨大な作業になります。 というか全ての事実を客観的に割り出すというのはほぼ不可能。まして戦死した軍人が皆何を考えていたか、送り出した遺族の本音なんてわかろうはずがありません。 今そこらへんの町で起きてる小さな交通事故だって、双方の事実が食い違ってたりして、客観的事実を明らかにするなんてことが難しいのに、国と国が何年にも渡って行った60年前の戦争とそれに参加した人達の全事実なんて、もはや霧の中。断片的な事実のカケラを集めて「おそらくこうだったはず」という複製を試みることができるに過ぎません。 要は、その復元の作業をする人の仕事や思想や思惑、その時代の流行、恣意的技術等によるわけで、こういう意見の食い違う本が共に存在するのもやむをえないという気はします。(小林よしのりは、自分が遺族でも何でもない、まして戦中派でもないのになぜあんなにテンションが高いかといえば、それが仕事だからなんだろうと思う) 作家も読者も結局はその人の思想(思想というのが大げさなら「センス」)によって、過去の事実を解釈してるわけで、時の政権により政治的には何らかの決着がついても、このての問題が実質解決するということはありえないでしょう。 ただ時代の流れで、その時々の「流行り」みたいなものは確実にあります。70年代の安保闘争以降はずっと、左派の意見がもてはやされました。日教組もあり、教科書の問題もあり、みんな自虐的史観をずーっと持ちつづけてきたのに、戦後50年たったら石原慎太郎や小林よしのりみたいのが登場して、右派の勢力が伸びたりする。 結局、双方の意見というのはいつの時代も存在したわけです。時代に乗ったもの勝ちという現実。 おそらく靖国問題をはじめ、戦後の色んな問題を、風化させながらも日本はずーっと引きずるのでしょう。で、その時代の趨勢で各論派の勢力図か変わると。 重要なのは後世への事実の伝達なのですが、時代のバイアスが強くかかりすぎると消滅したりする論派もいそうです。そういう意味で、対照的な2冊が共にベストセラーになったりする今の社会は、ある程度健全なのかなーという気はします。
2005.08.28
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いま、会いにゆきます 監督 : 土井裕泰 主な出演者 : 竹内結子 、 中村獅童 、 武井証 <感想> 最近の日本映画にはファンタジー色の強い作品が多いですが、この映画もなかなか良いです。 信州ロケの美しい舞台で繰り広げられる、幻想的で、不思議で、素敵な物語。 人の死による単純なお涙ちょうだいものとは違って、「人の死」の向こう側にあるもの、死の裏側にある「生」の温かさを自然に感じられるドラマです。 観終わった後にじわじわ感動が来る感じかな。 「人は誰しも死ぬ」という絶対的な宿命の中で、いかに「出会う」か。そして「別れる」か。 人と出会い、家族と出会い、経験と出会い、そしていつかは別れる。そんな当たり前のような日々に、新しい輝きをもたらしてくれる映画でした。劇中「いま、会いにゆきます」の言葉の意味を知った瞬間が感動です。 この映画、竹内結子に注目が集まりそうですが、中村獅童がなかなか良い味を出しています。将来、味のあるいい役者になりそうな感じですね。 オレンジレンジの主題歌は正直「ちょっと会わないかなー」とも思うのですが、映画の内容に合わせてつくってあるので、歌詞は良いです。「花びらのように散っていくことこの世界で全て受け入れていこう君が僕に残したもの「今」という現実の宝物だから僕は精一杯生きて花になろう」みんな「花びらのように」散っていくのです。悲しいけど、それが「花」だから。
2005.08.25
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「負けた」教の信者たち ニート・ひきこもり社会論 中公新書ラクレ 174著者/訳者名 : 斎藤環/著 出版社名 : 中央公論新社 (ISBN:4-12-150174-8) 発行年月 : 2005年04月 本の内容 増大するニート、高齢化するひきこもり―コミュニケーションの格差化傾向が進んでいる。ネット時代の少年犯罪など、メディアを騒がせた社会事象の本質を、気鋭の精神科医が読み解く。<感想> 「ニート」というものに興味があります。 「働かないで生きるには?」という命題は、恥ずかしながら昔から自分が持っていたものであり、ちょっと前に流行った「だめ連」の著作なんてけっこう読んだりしたものでした。(今にして思えば「だめ連」の人たちは実は全然ダメじゃなくて、左翼的文化活動みたいのを盛んにやっていたのですが) ところで、NEET(ニート、無業者、Not in Employment, Education or Training)とは、英国で社会問題になり労働政策の中で用いられた「職に就いておらず、学校等の教育機関に所属せず、就労に向けた活動をしていない15~34歳の未婚の者」を言うそうです。(なお、英国では”NEET”と言う単語は日本のように普及しなかったようで、英国の新聞記者が日本に来て初めて”NEET”と言う単語を知った、という話もあるらしい。) 日本では、厚生労働省の『平成16年版労働経済の分析』によると、就労対象人口の15-34歳の男女のうち2003年で52万人がニートであるとのこと。 しかしこの52万人(もっと多いとの説もあり)ってすごい数だよなー。大学入試センター試験の受験者数とほぼ同じなんだもの。 大学入ろうとしてる受験生の数だけ、働かないでぶらぶらしたりひきこもったりしてる若者がいるという事実。意外と自分の近所にもそれらしい人がいたりするので「けっこう身近な問題?」などと思うこともある今日この頃です。 「働かないで生きるには?」ってのはたぶん多くの人(というか全員?)が持ってるテーマかもしれませんが、結局はバランスの問題ですよね。 過労死するくらい働いちゃったりするのは論外として、そこそこのストレスというのは、人が生きてくうえで大事らしいです。 月曜から金曜まで働くから土日が楽しいんであって、毎日が日曜だったらたぶん苦痛でしょう。仕事と遊び、労働と休暇、収入と消費、節約と浪費といったバランスが大事なんであって、そのバランスを欠くと社会の歯車にかみ合えない事態になりそうです(実際そういう人が多いから問題なんだけど) しかし考えてみれば、社会の大多数の人はちゃんと仕事を持って、日々平和に、それこそバランス良く「社会にかみ合って」暮らしてるわけですよね? これってけっこうスゴイことだと思うのは私だけでしょうか?
2005.08.24
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ドラゴン桜 1 モーニングKC著者/訳者名 : 三田 紀房 出版社名 : 講談社 (ISBN:4-06-328909-5) 発行年月 : 2003年10月 <感想> 今、やたら売れまくっているマンガです。 コミックスは今9巻までありますが、amazonのベストセラーランキング(コミック部門)で9巻ともすべて20位以内に入っている(!)という快挙を成し遂げています。好調らしい阿部寛主演のドラマ効果? 内容は受験のハウツー物ともいえる「受験王道漫画」になってます。昔、小林よしのりが描いた「東大一直線」は受験のパロディでしたが、これはマジで東大を目指す劣等生を描いた漫画です。 以下、主人公の教師、桜木の台詞。「社会にはルールがある。そのルールは全て頭のいいやつが自分の都合のいいように作っている。逆に、都合の悪い事はわからないようにうまく隠している。ルールに従うやつでも賢いやつらはうまく利用するが、頭を使わない奴らは一生騙されて高い金払わされ続けている!」「賢いやつは騙されず、得して勝つ!バカは騙されて、損して負け続ける!負けたくなかったら勉強しろ!」「個性を生かして他人と違う人生送れるなんて間違いだ!社会はそういうシステムになっている。そういう世の中が気に入らないのならルールを作る側の人間になれ!騙されず生きていきたいのなら、勉強しろ。」 今は亡き「ナニワ金融道」の青木雄二がこれとまったく同じことを言ってました。実社会で職を転々とし、散々、辛苦を舐めた青木さんの言葉は実に重く、感動的でした。 そういうマインドを残した漫画としてこの「ドラゴン桜」は高く評価できます。 しかし「今なぜ東大なのか?」という疑問はやや残ります。「頭がいい=東大」というステレオタイプの図式に古さはないのか?まあこれは漫画だから「東大」というインパクトを使わざるをえないんでしょうけど。「早稲田、慶応、上智、一橋その他大学で何が悪いのか?」もっと言えば「大学に行かなくても頭の良い田中角栄(古い・・)みたいなタイプの人間じゃ悪いのか?」という疑問。 むしろ「東大卒」という肩書きとプレッシャーを背負って一生、生きる方がシンドイみたいな気もします。「踊る大捜査線」のキャリア警視同士にもそんな話がありました。東大卒の新城が、仕事でしくじった東北大卒の室井に対して「東北大でしたね・・・。良かった死ぬほど勉強して」とかいうシーンがあります。そんな会話絶対したくねー(できないケド)。 漫画解説に登場するライブドアの堀江社長はこう言います。「日本人はみんなブランド好き。だから大学もブランドを求める。そこに東大卒とそうでない人がいたら会社に採用されるのは東大卒」 ホントにそうなのかなー。ちと古くない?俺ァーどうも納得できんよ。
2005.08.11
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「スターウォーズ」とイマジネーションの世界<感想> 今さらスターウォーズのすごさを語ることはしませんが、 28年という時間と莫大な予算をかけて6本の映画を作ってしまったジョージルーカスは本当にすごく、製作者としてほんとに幸せな人だなーと思います。 一つの世界を描ききったという意味で、これだけのスケールで展開する映画はもう今後もあらわれないかもしれません。 世界中に作家、製作者、表現者、アーティスト等、イマジネーションを商売にしている人は数あれ、ジョージルーカスほど、そのイメージを完璧に映像化し、かつ興行的にも成功している人というのは、世界を探してもいないのではないでしょうか。 「なぜスターウォーズが成功したか」というのは、じっくり研究するに充分な価値がありそうですが、単純に羨ましい! なにが羨ましいかって、自分のイマジネーションを莫大な予算と優秀なスタッフをかけて映像化できるって素敵じゃないですか。 スターウォーズの設定資料みたいのを見てても、そのイメージの豊富さと斬新さ、デザインの良さには惚れ惚れします。 登場する様々なキャラクター、キャラの装い、いろんな星系のイメージ、戦闘機や武器、メカのデザイン、それらの中で縦横無尽に駆け巡るストーリー・・・。 小さいころは皆、SFみたいな世界を想像したものです。それをそのまま大人になっても持ちつづけ、かつそれを仕事にし、世界中の人達に観てもらうという贅沢さ。 「映画監督」という職業をこれまでそんなに意識したことはなかったのですが、「スターウォーズ」シリーズを観て、映画監督という仕事のすばらしさを再認識した次第です。 「世界の創造主」になりたいとは思いませんか?
2005.08.10
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THE3名様 1 ビッグスピリッツコミックススペシャル著者/訳者名 : 石原 まこちん 出版社名 : 小学館 (ISBN:4-09-186701-4) 発行年月 : 2001年03月<感想> この漫画は内容がスゴイ。 だって、「深夜のファミレスで延々とダベるフリーター3人」ってたったそれだけの話だから。 「昼寝て夕方起きて、深夜までバイトして、午前2時頃ファミレスに毎日集まってくるいつもの3人」が織り成す、クダラナイ話と時間つぶしの連続。 することなくて集まってくる3人だから、話の内容はけっして面白くはないんだけど、その様子がやたらと面白い。 いいよなーこういうの。学生だったらできるけど、まっとうな社会人になったらできないもんな。こんな生活。 「スピリッツ」でこの漫画を読んだとき「なんじゃコリャ?」って思ったけど、ハマっちゃってコミックスまで購入してしまいました(笑) 3人は空虚さを埋めようとして、いろんな話題とかゲームみたいのを持ちこんで、なんとか盛り上げようとするわけ。で、盛り上がる夜もあれば盛り上がらない夜もあると。その盛り上がり盛り下がり加減が面白い。 でもよく考えてみると、「空虚さを埋めようと頑張る」ってのはみんな普通に持ってる因子で、けっしてファミレスの3人だけのものじゃないんだよね。 会社や家庭や学校に行けば、みーんな単調な日々なわけで、その中でなんらかの盛り上げがないとやってられない。生活の「強度」という言い方もあるが。 ファミレスっていう超人工的な快適空間のなかで、日々の強度を求めて生きる3人と、超成熟した社会で目標とか生きがいをやたらと探したがる現代人を重ね合わせるのは考えすぎ? って、やっぱ考えすぎだな(笑)
2005.08.06
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<雑感> 「売れてる漫画はやっぱり面白い」というわけで、読んでみたこの二つの漫画。やっぱり「こりゃ久々に面白い漫画だなー」と思わせるに充分な内容なのでした。 ところで「なぜみんな漫画を読むか?」などということを考えてみたりするのですが、「面白いから」という答えの向こうには、やはりいろいろな感情があると思います。 自分の理想像を見出したり、感情を共有したり、その世界感に酔ったり・・・。自分の好きな漫画に対するそういう感情を分析していくと、「今なぜその漫画が好きなのか」という話から、「自分が求めているもの(テーマ)」がなんとなくわかってくるような気がします。 「NANA」「のだめカンタービレ」に共通して思ったのは、「若い時代の温かな共同体」ってやっぱ良いなーということ。 当然それだけの漫画じゃないんだけど、個人的にはテーマはそれでした。 「NANA」ではバンド、「のだめ」ではオーケストラという仲間があって(正確には主人公は属していないのだが)、そこに共同体があって、ちゃんとした目標に向かって頑張る、ときに悩む、ときに誰かの部屋に集まって飯食ってバカ話もする・・・みたいな。 ここでいう「共同体」というのは「組織に属する」ということじゃなくて、「気持ちの問題」。 まあサークルでも部活でもゼミでも何の中でもいいんですが、そういう既成の組織の中でも、特に仲の良いメンバーで作る「擬似家族」みたいなもののことです。 それは実際かつて自分も経験したものなので、懐かしい気持ちがすごく強いのと、改めてそういう時代の大切さ、価値を思ったりしたのでした。「自分の生まれ育った家庭」→「就職」→「結婚」→「自分が作る家庭」というパターンの人生の中で自分が果たすポジション・役割・責任というのは、ある程度決まっています。 でも「若い時代の温かな共同体」の時代には役割も責任も最初はありません。まさに「素の自分達」が出会う場です。その中でだんだんと自分のポジションが見えてくる。 30代の今にして思えば、「心の原点」はそういう時代にあるような気がしてなりません。 いずれ皆、大人になって、いろんなしがらみや責任が出てくるわけですが、「心の原点」がある人は寂しくならないと思うわけです。 「NANA」「のだめカンタービレ」を読んでそんなことをふと考えてしまったのでした。
2005.08.05
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