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ヨコハマ買い出し紀行アフタヌーンKC著者/訳者名 : 芦奈野 ひとし 著 出版社名 : 講談社 (ISBN:4-06-321050-2) 発行年月 : 1995年08月 価格 : 520円(税込) <本の内容> 温暖化が進み水位の上昇で滅びが迫る近未来の日本・・・。大都市ヨコハマもまた高台を残し海中に没した。慌ただしかった時代は過去のものとなり、時間がゆっくりと流れる黄昏の時代。 三浦海岸の西の岬でコーヒーショップ「カフェアルファ」を営むアルファさんは、とても人間的で素敵なA7M2型ロボット。ふらり出かけたままのオーナーを待ちながら、マイペースに喫茶店をやりくりしている。もっとも、店のコーヒーの8割方は自分で飲んでいるような感じだけれど。 <感想> ゆうなぎ ゆふ― 0 【夕▼凪】 海岸地方で夕方、海風から陸風に替わるときの無風状態。[季]夏。⇔朝凪 とあるブログのオススメとして紹介されていたので読んでみた作品。一見、地味な感じのする本作ですが「名作」の評価も納得の内容なのでした。 タイトルからすると「最近、ハヤリの漫画エッセイか?」などと誤解されそうですが、立派なSFです。 「文明が崩壊した近未来」というと大友克洋「AKIRA」か「風の谷のナウシカ」を連想しますが、世界は退廃的な感じではなく、その世界観はむしろ「未来少年コナン」を思い出します。 滅びが迫っているにも関わらず、焦りもなくただ安らぎに満ちた緩やかで穏やかな時間が流れる世界。 道路や建物などの人工物は自然に飲み込まれつつあり、地球本来の姿に戻りつつある世界。 人口は減少し、競争もなくなり、かつての文明社会の「祭り」は終わった時代。そこはまるで「理想郷(ユートピア)」のようです。 作中、この時代は「夕凪の時代」と呼ばれます。大きな時代から時代へと移り変わる間の、ほんの少しの無風状態という意味でしょうか。 その無風状態の中、永遠の時間を持つロボットであるアルファは、変わり行く世界の姿を見ようとします。その自然の中にいる主人公の描き方が実に良いんです。まるでページからその世界の風が吹いてくるような・・・。 21世紀の飽和した日本に住んでいながら、リセットされた世界に憧れるというのは、健全なんだか不健全なんだか。 ただ「心穏やかな時代」への憧憬はどうにも消えそうにないです。
2005.11.27
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七夕の国 ビッグスピリッツコミックススペシャル著者/訳者名 : 岩明 均 出版社名 : 小学館 (ISBN:4-09-187731-1) 発行年月 : 2003年09月 価格 : 1,000円(税込) <内容>就職問題で悩む大学生“南丸洋二”が主人公。空間に丸い穴を穿ける超能力を持っている彼は、“丸神”教授のゼミで超能力者の家系のルーツが丸川町にあることを知る。教授の謎の失踪と時を同じくして、体を球型に抉り取られる殺人事件が発生、主人公と“丸神”ゼミの面々は丸川町を取り巻く陰謀に巻き込まれていく。<感想> 「寄生獣」の岩明均のSF伝奇漫画。全4巻とコンパクトな作りのうえ、プロットがわかりやすいため好感のもてる一作。 話のつかみがうまいのであっという間に全巻読破すること必至。謎ときのカタルシスもあり、思わず「あっ」という結末も待っている。 ここからはチト厳しい批評。 正直、SFと伝奇の融合という試みは小説では珍しくない。そういうことを考えると「このストーリーがなぜ漫画で語られる必要があったのか?」がいささか疑問に思える。 前作「寄生獣」は漫画でしかなしえない表現に舌をまいたが、「七夕の国」には絵的に漫画である必要はないのではないかと思える。 (一部、図案のトリック的なものも登場するが、小説の挿絵で充分な程度)。 むしろ日本の地方を舞台にした伝奇SFであれば、小説のほうが表現には向いているのではないかという気さえする。 漫画の致命傷は読者が「絵」以上のイメージを膨らませるのが難しい点だが、小説であれば読者が勝手にその場面の表情、空気、広がりを想像できる。 伝奇SFは多分に読者の想像に頼ったほうが良いことが多いような気がするのだ。 話は変わるが、この作者の「時代性の無さ」というのは意図的なものなのだろうか? 登場人物のファッション、髪型、行動様式。主人公の大学の風景など、正直、とても平成の世に描かれた漫画とは思えない古さだ。「昭和の漫画」といってもそのまま信じてしまうだろう。 別に古いから悪いといってるわけではない。ストーリー重視の漫画なのだと言ってしまえばそうだし、20年前みたいな今の漫画なら20年後にも通用する可能性があるということだ。 しかし、漫画である以上「絵的なイメージ」って必要ないんだろうか?別に矢沢あいみたくなれとは言わないが、「七夕の国」のキャラクターを思い出せと言われたら、けっこう難しい(異形の人達はすぐ思い出せるが)。「異形のモノ達を扱ってるから人間は普通でいいのか?」「結局、人間の個性なんて限界のあるものだと言いたいのか?」「もしかして登場人物は忘れられてもいい存在のか?」いろいろ考える。「漫画を読んだ」というより、「小説を読んだ」ような気になる作品だったな。
2005.11.24
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闇金ウシジマくん 1 ビッグコミックス著者/訳者名 : 真鍋 昌平 著 出版社名 : 小学館 (ISBN:4-09-187341-3) 発行年月 : 2004年07月 価格 : 530円(税込) <感想>おちる[墜ちる] 望みや救いのない所にはまり込んで身動きできなくなる。「地獄に―・ちる」 「墜ちる」というのはコワイ。ブログを書いたり読んだりしている今の私やあなたはきっと平和に違いないが、日常生活のけっこうすぐわきには深くて暗い穴があいてたりするようだ。 街の駅前あたりにはサラ金の看板と店舗があふれるようにある。「たくさんある」ということは、それを必要としている人がたくさんいるということであり、「ご利用は計画的に」できる人はサラ金なんか利用するはずないから、返済しきれない人も数多くいるのだろう。 で、「多重債務者」「カード破産」という類のニュースがテレビから毎日のようにあふれでることになる。 調べてみると自己破産の件数は約20万件(10年前の5倍!)自殺者は年間3万人。 どこか遠い世界の話ではないのだ。 この漫画「闇金ウシジマくん」はコワい。 初めて読んだとき夜眠れなかったよ(いやマジで)。 この漫画の怖さは、闇金業者ウシジマの取立てもあるのだが、なんといっても「普通の人が闇金の客になりえる」という事実だ。 コンビニで隣にいる客が借金地獄であがいているかもしれない、そしてそれは自分にも降りかかる出来事かもしれないという恐怖。 ギャンブルにハマるサラリーマンや主婦、買い物にハマるOL。 どこにでもよくある話だが、ちょっとその収支バランスが崩れるとあっという間に「ウシジマくん」の常客になりえる。 不況下の現在、経済的にも精神的にも、そのバランスを崩して墜ちていくケースは多いに違いない。 本屋に行けば「あなたも成功できる」みたいな本が山ほど売られているが、可能性から行けば「あなたはこうすれば墜ちないですむ」とか「借金しないですむ」という本を読んだほうが良い人が多いに決まっている。 墜ちたくない。 成功なんてしなくていいから、せめて、いつまでも平和にブログの更新とかやってられる日々が続く程度に努力していこう。と思う。
2005.11.19
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<本の内容>高層ビルとホームレスの住む公園の間に車を停め、カー(車)ホームレスをしている名越。ある日70万円で頭蓋骨に穴をあける手術をしないかと奇妙な男に声をかけられる。金に困った名越は手術をすることになったが手術後、名越に異変が起きて・・・。<感想> 漫画を読むときにはある程度の「定点観測」が必要です。主人公のキャラクター、職業、性格、おかれた環境等、読者はなにがしかの確認を持ってその世界に入っていきます。 漫画の世界は荒唐無稽な世界であるため、その「足場」がないと読者はファンタジーな世界で迷子になってしまうことになります。 この「ホムンクルス」はいささか読者を路頭に迷わせてしまう作品。 導入部の「トレパネーション」手術のあたりは、話の持って行き方が実にうまく、世界にぐいぐい引き込んでいくのですが、話を引っ張っていくはずの医大生伊藤が途中から登場しなくなり、現実社会と主人公の接点が消えてしまいます。 主人公はなぜ手術を受けるのか?なぜ車の中で生活しているのか?なぜかつて一流ホテルの常連だったのか?職業は何なのか?方言は何なのか?なぜ人のトラウマが見えるのか? こういう読者の疑問はほっとかれて、話はどんどん進んでいきます。5~6巻くらいでおぼろげながら主人公の職業などわかってきますが、5~6巻でやっと主人公のキャラがわかるのってちょっと遅くない? 「砂の女子高生」編のあたりで話がかなりグダグダするので、連載を読んでた人はさぞかしツラかったことでしょう(休載も多かったらしいし)。 主人公が街の人のトラウマを解消していくのが話の軸になるのか、もとの職業に戻るのか、それとも新しい能力をまた身につけるのか、話の方向性もイマイチ見えません。 東京の繁華街のリアルな町並みが舞台のため、その不透明さがいっそう読み手を苛立たせます。 前作「殺し屋イチ」が名作だったため、ある程度ガマンして読んでる読者も多いかもしれないんですが、そろそろ限界。 「第1部 完」でもいいので、はやいとこ軌道修正してほしいもんです。 話の導入はうまいんですよ、ホント。でも続きをサクッと仕上げないと「20世紀少年」の浦沢直樹みたくなっちゃいます。
2005.11.18
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蟲師 1 アフタヌーンKC著者/訳者名 : 漆原 友紀 著 出版社名 : 講談社 (ISBN:4-06-314255-8) 発行年月 : 2000年11月 価格 : 590円(税込)<本の内容>ヒトと蟲との世が重なる時、蟲師・ギンコが現れる。およそ遠しとされしもの――見慣れた動植物とはまるで違うとおぼしきモノ達それら異形の一群をヒトは古くから畏れを含みいつしか総じて「蟲」と呼んだ<感想> 養老孟司が何かの本で「人間は自分達に関わりのないモノは見えない その辺の野原には無数の小さな生き物がいるのに、それが見えないから平気で野原をつぶす」というようなことを言っていた。 人間は自然に対して傲慢になったのだ。 「蟲師」は、人がまだ自然を恐れ、自然と共に暮らしていた頃の物語。民話伝承のようであり、おとぎ話のようでもあり、怪談のようでもある。 山を崇拝し、夜を恐れ、蟲がそばにいた時代。人はそういう時代を経て今に至る。 電飾の網が星を覆うにつれ、人は恐れるものを失っていった。より大きなものしか見えなくなった。 「蟲師」はそんな私達に生命の起源を教える。身近な自然の中の小さな命、私達の体の中に秘めた生命力を教える。小さなものを見る方法を教えるのだ。
2005.11.14
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いまどきの「常識」 岩波新書 新赤版 969著者/訳者名 : 香山リカ/著 出版社名 : 岩波書店 (ISBN:4-00-430969-7) 発行年月 : 2005年09月 価格 : 735円(税込) <本の内容> 「反戦・平和は野暮」「お金は万能」「世の中すべて自己責任」…。身も蓋もない「現実主義」が横行し、理想を語ることは忌避される。心の余裕が失われ、どこか息苦しい現代のなかで、世間の「常識」が大きく変わりつつある。さまざまな事象や言説から、いまどきの「常識」を浮き彫りにし、日本社会に何が起きているのかを鋭く考察する。<目次> 1 自分の周りはバカばかり―人間関係・コミュニケーション篇2 お金は万能―仕事・経済篇3 男女平等が国を滅ぼす―男女・家族篇4 痛い目にあうのは「自己責任」―社会篇5 テレビで言っていたから正しい―メディア篇6 国を愛さなければ国民にあらず―国家・政治篇<感想> 精神科医として、または大学教員として、若者の生態や思考に関してなかなか面白いことを言うなーと思っている香山リカの最新刊。 「いまどきの常識」というタイトルが実にうまい。 こういうタイトルつけられたら「ほほうー。今どきの常識って何なの?」って興味を持ってしまいます。 で購入してみたこの本。香山リカが「右傾化」「全体主義化」していく日本を憂う内容になってます。とはいっても、薄い本に30ものテーマが扱われており、一つ一つの議論が丁寧であるとはお世辞にもいえません。 作者の独断的な反論、なんとなくの言い分もけっこう見受けられるので、そんなに真面目に読む本ではないという気もします。 「ははー、最近はこういう考え方がハヤリなのかー」くらいで正解。 先日の自民党圧勝に顕著であるように、今の日本はどうも「白か黒か」みたいな極端な単純な思考に行きつく傾向にあるようです。 本著にもふれられているとおり、テレビ他メディアの影響が非常に大きく、あきらかな情報操作があっても「自力思考」ができない人が増えてるのかもしれません(自分を含めて)。 ただ、そういう社会で現実に生きている以上、「そういう社会の選択」に従うことも「オトナの生き方」。 要はバランスの問題で、そういう馬鹿な社会を冷静に見つつも受け入れるというワザが必要になってきます。 最近よくマスコミに登場する精神科医の存在を大事だと思うのは、「さすがに精神科医は思考のバランスがとれているんじゃないか」ということ。 和田秀樹にしても斎藤環にしても独自の視点から社会をみつめる冷静さを持っているのが心強い。理論構築だけでなく、「現実社会を生きぬく知恵」を持っている。やはり「ナマの人間」を診ている臨床の賜物なんでしょうか。 「とりあえずみんなを納得させる意見を言うコメンテーター」もいいんですが、こういう時代だからこそ、科学者として「ウマい生き方」を提案する精神科医師に大いに期待してます。
2005.11.09
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機動戦士ガンダムC.D.A.若き彗星の肖像 1 角川コミックス・エース著者/訳者名 : 北爪宏幸/著 出版社名 : 角川書店 (ISBN:4-04-713511-9) 発行年月 : 2002年11月 <本の内容>『ガンダム』の人気敵役、シャア・アズナブル。その謎とされてきた『Z』にいたるまでの「空白の7年間」を北爪宏幸が独自の解釈を交え描く。<感想> 「ファーストガンダムとZの間の空白の7年間を描く」ってのは、けっこうな重責です。 なにしろガンダム世代といわれる人達が初めて「Zガンダム」を観たときの「(゚Д゚)ハァ?」の感じをすべて消化させなきゃならないわけですから。 「ファースト」→「Z」の間の裏設定が多すぎるわけですよ。どー考えても。 今にして思えば、ものすごい不親切なアニメでした、「Z」は。順番としては「0080」か「0083」が時代としては順序なわけで、なんでいきなり「Z」に行ったのか今でも疑問です。 あれで、幾人のファーストガンダムファンが脱落していったことか・・・。 当時、中学生の私などはアニメ雑誌などから情報を得て、必死に「Z」についていったものでした。 で、この「機動戦士ガンダムC.D.A.若き彗星の肖像」は「Z」から約20年の後に登場したわけですが、その存在価値は貴重です。 しかし、この北爪宏幸さんという作家は、どーもアニメの人らしく、「漫画家」ではないんですよね。 この作品は確かに読みやすいんですが、描写に深みがないというか、絵もストーリーもいささか淡白すぎる気がします。 そもそも「アクシズ」という宇宙の辺境の話で、派手な戦争の話もなく、要は「つなぎ」の話なわけですから、漫画として盛り上げる苦労もわかる気はしますが。 一番のツッコミどころは「ハマーン、別人じゃん!」というあたりでしょうか。「独裁者」のイメージとはかけ離れた「萌えキャラ」で描かれるハマーンが、今後どのように変貌していくのかは見物です。 しかし、シャアがイメージのままでほんと良かった・・・。おかしく描かれたらどーしようかと思ったよ。
2005.11.04
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