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大阪産婦人科医会は、大阪府内で新型コロナウイルスに感染した妊婦が昨年3月から今年4月までに168人確認されたと発表しました。人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO(エクモ))を使った重症患者は5人いたそうです。感染拡大で入院先の調整に時間がかかるようになっているとしています。調査期間は昨年3月2日~今年4月25日で、大坂府内で妊婦の搬送調整を担う「産婦人科診療相互援助システム」に入る34医療機関と、新型コロナ治療を担うなどする4医療機関の38医療機関で調べたものです。新型コロナで治療を受けた妊婦の9割以上を扱っているとみられています。
2021.05.08
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京都大病院は、新型コロナウイルスによる肺炎が重症化し、約3カ月治療を続けていた患者に、家族から提供された肺を移植した、と発表しました。新型コロナ感染後の患者への生体肺移植は世界で初めてだそうです。京大病院によると、肺移植を受けたのは関西在住の女性患者で、昨年末に新型コロナに感染し、呼吸状態が悪化して、関西の別の病院に入院中でした。体外式膜型人工肺(ECMO)が必要な状態になり、ウイルス検査が陰性になった後も、後遺症で肺が二つとも縮んで硬くなり、元に戻る見込みがなくなっていたそうえす。患者は肺以外の臓器に障害はなく、意識ははっきりしていました。家族から臓器提供の申し出があり、今月5日に京大病院に転院し、7日、夫と息子の肺の一部を患者に移植しました。現在、集中治療室に入っていて、2カ月で退院でき、3カ月で社会復帰できる見込みだそうです。夫と息子の経過も良好としています。
2021.04.10
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新型コロナウイルスワクチンの高齢者への接種に向け、東京都八王子市で5日、予約受け付けが始まりました。1回目のワクチンは対象者の約1%分しかなく予約が殺到し、開始からわずか約1時間半で定員に達し、締め切られました。同じく接種が始まる世田谷区は、まずは高齢者施設の入所者を対象にするそうです。12日に高齢者へのワクチン接種を始める八王子市では、5日午前9時から始まった予約の受け付けでは、直後から電話が殺到し、混乱したそうです。市内には接種対象の高齢者が約16万人おり、接種に必要なクーポン券はすでに発送しましたが、今週、市に届くワクチンは約1%の1950人分しかなく、予約が必要でした。市は予約枠を電話とインターネットに分配しました。電話予約を希望する高齢者が多いと予測し、都外にコールセンターを設置して35台の電話で対応しましたが、受け付け開始直後からつながりにくくなり、1時間半で予約は終了しました。ネットも、わずか20分で予約枠が埋まったそうです。
2021.04.07
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名古屋大学大学院の研究グループによると、尿に含まれる「マイクロRNA」という物質を測定すると、99%の正確度で脳腫瘍が診断できることが分かったそうです。新たに開発した装置では、わずか1mLの尿で、脳腫瘍そのものから分泌されるマイクロRNAが判定可能になるそうです。脳腫瘍は進行してから見つかるケースが多く、早期に発見し治療を始めることが課題となっていました。今回の研究成果により、脳腫瘍の患者の生存率上昇につながることが期待されます。
2021.04.04
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消費者庁は市販されている新型コロナウイルスの検査キットについて自己判断で使わないよう注意を呼び掛けました。井上消費者担当大臣:「検査精度も保証されておりません。自己判断で感染の有無を調べる目的で使用しないよう注意が必要」とコメントしています。量販店などで販売されている新型コロナの検査キットは国が認めた診断用の医薬品ではなく、研究用などとして流通しているものです。消費者庁はこうした検査キットについて、精度が保証されていないとして自己判断で使わないよう注意を呼び掛けました。また、消費者庁は研究用の抗原検査キットを「唯一認可され、輸入が許されている商品」などと宣伝していた2つの事業者に対し、行政指導を行っています。
2021.03.31
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医薬品メーカーJCRファーマは4日、新型コロナウイルスのワクチンの原液を手掛ける工場を神戸市西区の工業団地「神戸サイエンスパーク」に新設すると発表しました。コロナワクチン向けの新工場は国内で初めてです。神戸市から土地を購入し、平屋建ての製造棟と3階建ての事務棟を建設するそうです。7月に着工、2022年10月に完成する予定です。2023年から製造を始めるとしています。この会社は、英製薬大手アストラゼネカが日本政府に供給する1億2千万回分のうち、9千万回分の製造を担う予定だそうです。
2021.03.05
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ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)社は、開発したワクチン候補が、1回の接種でCOVID-19に対し強力な予防効果を発揮したというデータを公表しました。接種者の発症を予防する割合である有効率は全体で66%で、重症疾患の予防効果は85%にのぼるとしています。ただし、留意すべき点が2つあるそうです。このワクチン候補の有効率は米国内で72%であり、ファイザー・ビオンテック社およびモデルナ社の2回接種ワクチンの有効率95%には及びません。また、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチン候補は、南アフリカの治験では有効率がわずか57%と、免疫を付与する効果が低かったそうです。南アフリカで発見されている一連の変異株は、世界のパンデミックによる死者数の増加を加速させる恐れがあります。ファイザー・ビオンテックとモデルナも、自社のワクチンについて同様の懸念を報告しており、コロナウイルスの新たな変異株が自社のワクチンを出し抜いた場合に備えて、異なる投与方法や処方戦略の研究を進めているそうです。
2021.02.07
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米製薬大手ファイザーの新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省が12日に専門部会を開き、承認の可否を判断することを軸に調整しているそうです。専門部会は承認を了承し、厚労省が審査を簡略化できる特例承認を実施する見通しだそうです。承認されれば、医療従事者への先行接種を今月中旬から始めたい考えだそうです。ファイザーは昨年12月、厚労省に薬事承認を申請し、年内に約7200万人分を日本に供給することで契約を締結していて、1月末には日本で実施した160人分の臨床試験(治験)データを追加提出しました。厚労省は海外の治験データと合わせ、ワクチンの有効性や安全性を審査しています。12日に専門家を交えた部会を非公開で開き、承認の可否を判断することになります。ワクチン接種は無料で、対象年齢は16歳以上になる見通しです。政府は医療従事者の後、高齢者への接種を4月から進める考えです。その後、基礎疾患のある人らに接種され、一般国民へと続きます。
2021.02.04
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新型コロナウイルスのワクチンについて、英製薬大手のアストラゼネカが最大9千万回分を日本国内で生産する方針だと発表しました。今春にも出荷の準備が整う見込みだとしています。ワクチンの供給に限りがあり各国で争奪戦となるなか、多くを国内生産することで安定供給を目指す方針だそうです。アストラゼネカは日本政府と1億2千万回分の供給で契約しています。関係者によると、このうち3千万回分は3月までに輸入される予定で、残りの9千万回分は日本国内での生産を目指すとしています。ワクチンの原液はJCRファーマ(兵庫)がつくり、容器への充填などの製品化は第一三共やKMバイオロジクスなどが担うとしています。ワクチンはアストラゼネカと英オックスフォード大が共同開発しました。英国では昨年12月に承認され、今年1月には接種も始まっています。臨床試験(治験)では、発症を防ぐ効果は平均70%と報告されています。日本でも、昨年8月末から256人を対象に治験を実施し、アストラゼネカは近く、厚生労働省に製造販売の承認を申請する方針だそうです。日本政府は、米ファイザーや米モデルナともワクチンの供給契約を結んでいます。ファイザーのワクチンは零下70度、モデルナは零下20度での保存が必要ですが、アストラゼネカのワクチンは通常の冷蔵庫と同程度の2~8度で保存でき、接種を大規模に広めやすいとされています。
2021.02.03
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九州7県と沖縄、山口県は、重篤な症状に陥った新型コロナウイルス患者を治療する人工心肺装置「ECMO(エクモ)」について、医療機関が県境を超えて広域で利用できるよう行政が支援する協定を結んだそうです。医療機関同士で行ってきた利用調整を行政が担い、専門チームの派遣や重症患者移送・受け入れを可能にします。協定締結は昨年12月1日付で、複数の自治体がエクモの利用に特化した協定を結ぶのは全国初とみられています。
2021.01.25
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iPS細胞から作成した心筋細胞シートを重症心不全患者の治療に用いる臨床研究を続けている大阪大学心臓血管外科は、研究前半に予定していた3例の治療が終わり、順調に推移していることを明らかにしました。5年以内の実用化を目指して進められている研究は、この結果を受けて来年6月から後半の治験に入るそうです。
2020.12.29
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子宮頸がんの診断をする際、組織を切り取って顕微鏡で観察する代わりに、赤外線を使った撮影と人工知能(AI)による画像解読で迅速に判定できる手法を開発したと、大阪大と九州大、ニコンのチームが発表しました。研究メンバーは、「患者の体への負担を減らしながら病理医と同じレベルの診断ができる」とコメントしています。数年以内に医師の診断を支援する検査機器として実用化する考えだそうです。新手法では、内視鏡で近赤外線を当て、反射した光を読み取って組織の立体画像を作成し、それをAIが解読し、細胞核の形などから正常か表面にとどまっているがんか、深く食い込んだがんかを判定するそうです。
2020.07.25
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新型コロナウイルスの院内感染が広がった大阪市生野区のなみはやリハビリテーション病院について、厚生労働省がまとめた詳細な調査報告書を大阪府と大阪市が11日、公表しました。189人いる病院スタッフのうち71人が感染し、133人の感染者全体の過半数を占めました。医療資材不足と感染防止策の不十分さが感染拡大につながった可能性を指摘しています。厚労省のクラスター対策班が4月20~30日に調査してまとめたもので、感染はスタッフ71人、入院患者59人、業者3人に広がったものです。最も陽性率が高かったのは回復期のリハビリ病棟の3階で、看護師71%、患者90%にのぼりました。全ての患者と病院スタッフらの陽性率は41%でした。最初の発症者は4月3日に熱が出た入院患者で、元々の病気による発熱だと判断され、15日までリハビリを続けていました。発症者が最も多かったのは11日の約20人で、18日には患者やスタッフ計41人の感染が判明しました。多くの入院患者は、リハビリを行うため他の病院から転院してきましたが、もともとの感染ルートは「断定困難」と結論付けました。
2020.06.13
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膵がんの早期発見のため、神戸大学病院「膵がん精密検診」を始めました。初期の段階ではほとんど症状がなく、見つかりにくいがんだですが、超音波内視鏡(EUS)や、磁気共鳴画像装置(MRI)といった先端機器を使った精密検診で早期治療につなげたいとしています。膵臓は胃の後ろにある20センチほどの細長い臓器で、食べ物の消化を助ける膵液や血糖値をコントロールするホルモンなどを分泌します。膵がん患者は増加傾向といい、国立がん研究センターによると、2018年の臓器別がん死亡者は肺、大腸、胃に次いで4番目だったそうです。1年間に新たに診断される人数は、男性が10万人あたり約29人、女性が10万人あたり約26人で、高齢になるほど多くなります。初期段階でほとんど症状はなく、黄疸、おなかや背中の痛み、糖尿病の悪化といった症状が出たときは、かなり進行している場合が多いそうです。治療は進行に応じて、手術、薬物療法、放射線療法で行われます。膵がんの5年生存率は約10%とされていますが、腫瘍が10~20ミリだと50%に上がり、10ミリ以下だと80.4%に上がるというデータがあります。神戸大学病院が始めた検診はEUS、MRI、腹部エコーのほか、より正確な病変の部位を調べるPET-MRIなどを組み合わせて実施し10ミリ以下の腫瘍検出を目指すとしています。
2020.06.12
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新型コロナウイルスが疑われる救急患者を受け入れる医療機関が決まりにくい問題で、厚生労働省は、地域で優先的に搬送する医療機関を検討中と答えたのが12県あると発表した。決めているのは27都道府県で、厚労省は次の感染拡大に備え、対応を早く決めるよう求めています。厚労省は5月13日、感染の疑いがある救急患者を受け入れる医療機関の設定やその調整方法を検討するよう都道府県に求めていました。疑い患者を優先的に搬送する医療機関を設定していないと回答したのが8府県(岩手、茨城、栃木、三重、京都、岡山、広島、長崎)、検討中が12県(青森、宮城、秋田、福島、群馬、千葉、長野、香川、熊本、大分、宮崎、鹿児島)で、受け入れ先の調整方法は調整済みが27、検討していないが1、検討中が19だったそうです。
2020.06.04
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新型コロナウイルスの感染拡大期だった4月、熊本市が誤って「済生会熊本病院の入院患者の感染が確認された」と発表した事案で、済生会隈本病院は、全職員を対象に実施した風評被害アンケートの結果を公表しました。回答者506人の2割に当たる110人が、差別的な発言や扱いを受けていた実態が明らかになったそうです。アンケートは4月9~17日実施。風評被害を受けた対象(複数回答)は、自身45人、配偶者28人、子ども28人、その他の家族・親族30人、その他4人、でした。個人レベルの被害(複数回答)としては、「批判的・否定的な意見を言われた」が45人、「出勤停止となった」18人、「保育園や学校など登園・登校ができないと言われた」13人、その他18人だったそうです。具体的な事例としては「近所の人から『私たちにうつさないでね』と言われ距離を置かれた」「病気がうつるので会わないようにしたい」という個人的な被害のほか、「入院患者から『コロナ病院に入院しときたくない』と言われた」という病院に対する差別的発言もあったそうです。一方、「心配してくれる人が多く、心が救われた。医療職として今後もできることをやろうと思った」「励ましの言葉もいくつかもらい、地域住民に支えられていると感じた」という意見もあったそうです。
2020.05.29
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政府が薬の価格を見直す「薬価改定」について、来年度の実施を見送るよう求める意見が関係業界から出ているそうです。厚生労働省の審議会では医療者側から慎重論が続出し、特に新型コロナウイルスの影響で処方回数が減り、経営悪化に直面する薬局に抵抗感が強いそうです。薬価改定は薬の流通価格を調べ、政府があらかじめ決めた価格より値下がりしていれば引き下げます。従来は2年に一度でしたが、政府の方針で中間年の来年度も行う予定になっていました。この日の審議会では、改定の基礎資料となる薬の流通価格の調査の進め方が取り上げられた。医療者側からは「経営的にも大打撃を受けるなか、どのような調査を行うかイメージできない」といった慎重論も出て、製薬企業の委員らが同調したそうです。
2020.05.28
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厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の診療の手引を改定しました。新たな知見を踏まえ、重症化を見極める指標となる「重症化マーカー」を追加しています。肺の血管が詰まって呼吸できなくなる血栓症への対応が特に重要だとした。3月17日に第1版の手引を出しましたが、その後様々なことが分かってきたため第2版を作ったそうです。新型コロナ感染症では肺炎とともに肺の血管が詰まる血栓症が起き、酸素を体内に取り込めなくなる事例があることが分かってきました。そのため、血管の中に血栓ができているかを見る指標「Dダイマー」の数値を重症化マーカーとして確認することが重要だとしました。正常値を超えたら、血液が固まりにくくする薬を使うことを推奨しました。若い人でも脳梗塞を起こしたり、軽症者が経過観察中に突然死したりすることと、血栓の形成とが関係しているとしました。小児では川崎病のような症状が出ることがあると欧米で報告されたことも明記しています。
2020.05.21
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新型コロナウイルスの院内感染リスクを減らすため、神戸市立医療センター中央市民病院は、新型コロナ患者の病床に設置したカメラを通じて補助的な診断や、ビデオ通話ができる遠隔通信システムを導入したそうです。医療従事者が患者と接触する機会を減らせる上、患者と家族間のやりとりも可能になります。この病院では、4月に職員と患者計35人が集団感染し、感染防止策として、4月下旬から院内の通信環境やシステムの整備に着手していました。今回、患者の病床に設置するカメラ約10台と、患者の姿を映すための専用端末4台、タブレット端末約20台を配備したそうです。患者の姿は病床のカメラを通じて、スタッフステーションや、家族らが訪れる控室のモニター画面に映し出されます。医師や看護師は、通話をしながら患者の病状を確認できます。また、映像は拡大が可能で、患者の瞳孔まで鮮明に分かるそうです。この病院では、現在、患者との面会や、病床へのスマートフォンなどの持ち込みを原則禁止しており、このシステムを活用して患者と家族のつながりの確保や、精神的なケアにつなげたい考えです。
2020.05.18
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無症状の新型コロナウイルス患者からの感染拡大が問題となる中、神戸大病院や神戸市立医療センター中央市民病院、西市民病院が、手術前のPCR検査を独自に始めました。保健所などが行う行政検査とは別で、兵庫県が公表する検査数には入っていないそうですが、現時点で陽性は出ていないようです。各病院は「行政検査の対象外の人にも感染者がいる可能性がある。自衛手段として実施している」としています。兵庫県内のPCR検査は現在、県立健康科学研究所などで実施しています。一方神戸大病院によると、病院独自の手術前PCR検査は、無自覚な患者から、医師や看護師らが感染するのを防ぐのが主な目的だそうです。また感染者自身の治療や、ほかの入院患者への感染拡大防止にもつながるとしています。院内の危機管理のため実施しており、日々の検査数は保健所に伝えていないそうですが、陽性が出た場合には報告する方針だそうです。
2020.05.17
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新型コロナウイルスに感染しているかどうかを短時間で調べられる「抗原検査」について、厚生労働省は検査キットを13日午前0時に承認しました。当面はPCR検査をしている帰国者・接触者外来や、救急患者の診断などから使い始め、一般の医療機関については今後の供給量も踏まえて検討するとしています。PCRと組み合わせて使うことで、検査体制の充実を図るねらいがあります。承認されたのは、4月27日に申請があった国内メーカー「富士レビオ」のキットで、公的医療保険が適用される見通しです。感染の有無を調べるものには、抗原検査とPCRがあります。抗原検査はウイルスに特徴的なたんぱく質(抗原)が体内にあるかを調べ、PCRはウイルスの遺伝物質の一部を増やして調べます。一方、過去の感染歴を調べるのが抗体検査で、ウイルスに感染した後にできるたんぱく質(抗体)が血液中にあるかを調べるものです。抗原検査はPCRと同様に、綿棒で鼻の奥などをぬぐって検体を採取します。医療現場ではインフルエンザなどの診断に広く使われています。約30分で結果が出るとしています。PCRは、専用の装置を備えた施設に検体を送る必要があります。政府は2万件の検査能力を目指していますが、現状は1日最大約9千件の実施にとどまっています。一方、抗原検査は手のひらサイズのキットで医療現場で比較的簡単に検査でき、PCR検査の不足を補うことが期待されています。富士レビオは、週に20万件分の検査が可能なキット数を供給できるとしています。ただし、PCR検査でも、感度は40~70%といわれています。感染者を検査しても3割から半分ぐらいを見逃す計算です。PCRの特異度(未感染者を未感染と判断する割合)は99%といわれていて、かなり高いように思いますが、今、広く主張されているように広くPCR検査が行われるとこの1%も大きな影響を持ちます。未感染者100万人がPCR検査を受けると、偽陽性(未感染なのに陽性と判定)となる人が1万人出てきます。この1万人をどうするか、おおきな問題になります。抗原検査は、PCR検査より感度、特異度とも低いとみられており、広く使われることの有効性も議論が必要と思います。
2020.05.15
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国民民主党の後藤祐一氏は衆院予算委員会で、新型コロナウイルスのワクチンの開発が、1年延期した東京五輪・パラリンピックの開催に間に合うのかを安倍晋三首相にただしました。後藤氏は新型インフルエンザのワクチン開発を例に、「来年7月のオリンピックには、今年の9月、10月、遅くても11月ぐらいにワクチン製造というところに行かないと間に合わないのではないか」と質問しました。これに対し、首相は「ワクチン開発に100億円を計上するなど対策を進めている。東大、大阪大、感染研などにおいて開発が進められていて、早ければ7月には治験が開始できる見込みだ」と述べました。
2020.05.14
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一人で車を運転中に事故を起こして意識がなくなっても、自動でドクターヘリや救急車を呼んでくれる救急自動通報システム「D―Call Net」の運用が、全国の消防や病院で広がっているそうです。事故発生から治療までの時間を大幅に短縮でき、救命率を高める取り組みです。千葉県内で2018年1月、軽乗用車と乗用車が正面衝突し、双方の運転手が負傷しました。乗用車にシステムが搭載されており、3分後に県内の病院からドクターヘリが出動し、その10分後には現場上空に到着し、胸骨骨折の重傷を負った軽乗用車の運転手が搬送され、事故後30分で医師が治療を始められたそうです。仕組みは、事故でエアバッグが作動したり、センサーが一定以上の衝撃を感知したりすると、車に取り付けた自動発信装置が衝撃が加わった方向や大きさなどのデータを携帯電話回線で専用サーバーに送信します。サーバーは死亡・重傷の確率を瞬時に分析し、救急時には位置情報とともに全国の消防本部とドクターヘリを備えた病院に送ります。消防はこの情報をもとにコールセンターや医師と連絡を取り、救急車やヘリを出動させるかどうかを判断します。認定NPO法人「救急ヘリ病院ネットワーク(HEM-Net)」やトヨタ自動車、ホンダなどでつくる研究会が開発したもので、2015年11月から千葉、北海道など9道県で試験運用を始めました。運用は広がり、今は約730カ所の全消防本部と、ドクターヘリを備えた、愛知、大阪、福岡など44道府県の60の病院が活用しているそうです。ヘムネットが把握している通報件数は2016年は36件だったが、2019年は452件に増えています。
2020.05.08
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ドライブスルーの新型コロナPCR検査は、厚労省が認める通知を出したことから、いくつかの自治体で、開始、あるいは開始の準備が進んでいるようです。埼玉県越谷市でも、ドライブスルー方式による新型コロナウイルスのPCR検査が始まりました。越谷市と医師会が独自に共同開設した「越谷市地域外来・検査センター」で、負担過剰気味の保健所の業務を助けるとしています。職員が窓越しに保険証を確認した後、防護服やフェースシールドを着けた医師が窓を開けるよう指示し、対象者に対し。窓越しにスワブ(医療用綿棒)を入れて、検体を採取しました。その間5分ほどで、検体は県内の民間検査機関に運ばれ、結果が出るまで2日間かかるそうです。検査は希望者ではなく、市内の医療機関で医師が「感染し軽症の疑いがある」と判断した人に限られ、医師が検査を予約します。「中等症」あるいは早急に検査が必要と判断した場合は、これまで通り保健所の帰国者・接触者相談センターに連絡します。ドライブスルー方式は、患者との接触時間が短く、医療従事者の感染の恐れを最小限に抑えることができます。そのため、徒歩や自転車での来場はできません。
2020.04.29
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富士フイルムは、新型コロナウイルス向けに抗インフルエンザ治療薬「アビガン」の生産を増強すると発表しました。グループ会社で生産体制を拡大し、今年7月に月あたり約10万人分、9月に約30万人分の生産を目指す、としています。生産を開始した3月上旬と比べると、それぞれ約2.5倍、7倍の水準となります。武漢ウイルス(新型コロナ)に対する有効性は、まだ、結論が出ていませんが、高く期待されていることの現れといえるでしょう。
2020.04.16
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新型コロナウイルスのクラスターが発生した国立病院機構大分医療センターは、外来診療の一部を再開しました。厚生労働省クラスター対策班は、職員らが共用するタブレット端末や休憩室で感染が広がった可能性を指摘していて、院内感染対策など様々な課題が浮き彫りになりました。手すりやドアノブの消毒は徹底していたものの、タブレット端末まではやっていなかったそうです。センターの関係者は、対策班の指摘が盲点だったことを明かしています。対策班は原因の一つに、医師や看護師が使うタブレット端末などを介して感染が広がる「接触感染」を挙げています。休憩室が感染経路になった可能性にも言及しました。センターによると、職員は常にマスクを着用し、飛沫感染に気をつけていたそうですが、休憩室ではマスクを外すこともあったようです。初期症状が発熱やせきなど風邪と見分けがつきにくく、症状がないこともあるため、対応の難しさも指摘されています。
2020.04.10
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世界各国で感染拡大が進む新型コロナウイルスを巡って、多くの人が免疫を付けて拡大を防ぐ「集団免疫」という考え方があります。英国は一時、イベントや外出の自粛要請などの厳格な封じ込め策を打たず、国民の多くが感染し、免疫を獲得することで収束を目指す方針を掲げていました。集団免疫は多くの人がワクチン接種や自然感染によって免疫を付けることでウイルスを封じ込め、新たな感染を防ぐ考え方で、集団の多くが感染すれば、感染者の体内につくられた抗体や細胞性免疫が病原体を抑え込むため、感染を広げなくなります。新型コロナウイルスにワクチンはなく、免疫を付けるには、自然感染するしかありません。たしかに「自然に放っておけば、やがて集団免疫を獲得して収束に向かう」という考え方はあるそうですが、それまでに多くの重篤な患者が出て、医療崩壊や社会機能のまひを招きかねない可能性があります。感染拡大が続けば多くの死者が出る懸念があります。集団免疫を獲得する過程で感染者が爆発的に増え、感染が長期化することで、既存のウイルスに対する免疫の効かない変異ウイルスが出現する恐れもあるとしています。英国のジョンソン首相は3月中旬、集団免疫を獲得することで収束を目指すという方針を示しました。ところが、事態の悪化を受け、わずか数日で「感染拡大防止」へと方針転換しました。しばらく前に、東京でオリンピックができないならロンドンで、と、発言していたロンドン市長候補が複数いたようですが、そんなことも言っていられない状態のようです。ジョンソン首相も武漢肺炎で入院中だそうですので。
2020.04.07
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ベトナム、クックフォン国立公園のマレーセンザンコウ。将来の新たなコロナウイルスの宿主である可能性があることが、新たな研究によりわかったそうです。センザンコウが、新型コロナウイルスと類似のコロナウイルスを保有していることが判明したそうです。コウモリ以外で、このような類似ウイルスに感染していることがわかった哺乳類はセンザンコウが初めてです。今回の研究によって、新たなコロナウイルス危機にかかわる可能性があることが、指摘されています。
2020.04.01
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千葉県は29日、新型コロナウイルスの集団感染が確認された千葉県東庄町の障害者福祉施設「北総育成園」で、新たに利用者20人と職員家族8人の計28人の感染を確認したと発表しました。この園の関係の感染者は、利用者や職員、職員家族の計86人に上り、千葉県内の感染者は無症状を含めて計163人となりました。感染したうち、利用者4人は肺炎の疑いや脱水の症状があり、このうち3人が入院したそうです。PCR検査の対象は現時点で238人おり、このうち173人に実施しています。さらに、未検査の利用者や濃厚接触が疑われる職員家族らの感染についても確認を進めるとしています。
2020.03.30
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中国が武漢肺炎(新型コロナウイルス)ワクチンの第1段階の臨床試験を開始したことが、中国の国の臨床試験登録システム(CTR)の記録から確認されたそうです。政府出資のプロジェクトの関係者は、治験ボランティアへのワクチン接種が既に始まっていると語りました。世界各国の研究者らは武漢肺炎(新型コロナ)ウイルスへの対抗策を見いだそうと先を競っています。米保健当局は先週、ワシントン州シアトルでワクチン候補を評価する臨床試験を開始しています。CTRに登録されたデータによると、中国の臨床試験で、既に、ワクチン接種が始まっているそうです。ボランティアは全員、武漢肺炎(新型コロナ)ウイルス発生が昨年末に初めて確認された中国中部・武漢の住民で、18~60歳の108人が参加しています。3グループに分けて異なる用量のワクチンを投与されるそうです。
2020.03.27
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大阪大学の研究チームは、遺伝性の神経疾患である難病の「ハンチントン病」の治療につながる研究成果を発表しました。ハンチントン病は、遺伝子の異常が原因で体が勝手に動いたり認知機能が低下したりする進行性の神経疾患です。遺伝子の異常がある部分から作られる物質が原因で症状が発生すると考えられており、これまではその物質を破壊する治療法が研究されてきましたが、根本的な治療法にはつながっていませんでした。大阪大学の研究チームはマウスなどを使った実験で、遺伝子そのものに結合してその異常を解消する働きのある物質を発見したそうです。同様の遺伝子異常を原因に持つ筋ジストロフィーなどのほかの遺伝性疾患にも応用できる可能性があるということで、今後は製薬会社などとも協力して研究を進めていきたいとしています。
2020.02.16
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中国の武漢から帰国し、直後に新型コロナウイルスの検査で陰性とされた人が、再検査で陽性となったことが新たに分かりました。関係者によると、先月29日に政府のチャーター機の1便で帰国、東京都内の病院に入院している人だそうです。最初の検査は喉粘膜から、2度目はたんを検査したそうです。インフルエンザウイルスなどと比べ、喉粘膜などより気管支などに多く存在しているようです。
2020.02.03
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中国の武漢で原因不明の肺炎が発生するなか、南部・深センの衛生当局は41歳の女性が原因不明の重い肺炎で入院したと発表しました。11日から入院しているのは41歳のインド国籍の女性で、深センの学校の教員です。女性は1週間、せきが止まらず発熱も続いたため入院しました。女性はその後も呼吸器官に重い症状が出て別の病院の集中治療室に移り、今も重症で危険な状態だということです。深セン市の衛生当局によりますと、武漢で広がった原因不明の肺炎との関連は確認されていないということです。
2020.01.15
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胃潰瘍の治療薬「ニザチジン」に発がん性物質で、一部を自主回収ゼリア新薬工業は、胃潰瘍などの治療薬「ニザチジン」の一部を自主回収すると発表しました。出荷した製品から、基準を超える発がん性物質が検出されたそうです。これまでに大きな健康被害は報告されていないとしています。回収の対象は、2017年2月~18年12月に出荷された製品の一部です。厚生労働省は9月、胃潰瘍などの治療薬に発がん性物質が含まれる可能性があるとして、製造販売会社に成分を分析するよう指示していました。今年に入ってから同効薬のラニチジンなどが自主回収されています。
2019.12.07
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薬剤耐性菌2017年8千人死亡か抗生物質(抗菌薬)の効かない「薬剤耐性菌」によって2017年に国内で8千人以上が死亡したとの推計を、国立国際医療研究センター病院などの研究チームが発表しました。耐性菌の死者数を全国規模で調べた研究は初めてです。代表的な2種の耐性菌を調査しています。耐性菌は抗菌薬を正しく使っても発生しますが、使い過ぎによって生まれやすくなり、拡大が加速する可能性が指摘されています。近年、耐性菌による死者の世界的増加が指摘されています。日本でも深刻な影響を及ぼしていることが明らかになり、抗菌薬の適正使用など対策の徹底が求められそうだ、と、報じられています。
2019.12.06
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拒絶反応が起きにくい再生医療をめざす京都大のiPS細胞の備蓄事業について、政府が、年約10億円を投じてきた予算を打ち切る可能性を京大側に伝えたそうです。ノーベル賞受賞から7年たって基礎研究から事業化の段階になってきたこと、企業ニーズとの違いが背景にあるようです。iPS細胞は、体のどんな細胞にもなることができる万能細胞で山中教授が2006年に初めて作製し、2012年にノーベル医学生理学賞を受けました。患者自身の皮膚や血液からiPS細胞をつくり、網膜や心筋などにして移植すれば、他人から臓器提供を受けた際のような拒絶反応が起きにくくなります。夢の再生医療につながると期待されています。しかし、患者自身からiPS細胞をつくって移植すると、数千万円の費用と数カ月の時間がかかります。重篤な患者では間に合わない可能性もあります。そこで京大iPS細胞研究所が打ち出したのが、献血のようにあらかじめ複数の型のiPS細胞をそろえておく備蓄事業でした。短期間に低コストで移植できるとして、140種類のiPS細胞をそろえて日本人の9割をカバーする目標が設定され、2013年に始まりました。国も10年間は支援することにし、昨年度は13億円、これまでに計90億円以上を投じてきました。しかし、多くの型の提供者を捜すのに難航し、供給が始まったiPS細胞は4種類にとどまってます。京大は140種類そろえる方針をやめ、この4種類と、拒絶反応が起きにくいようゲノム編集した6種類のiPS細胞で日本人のほぼ全員をカバーする方針に転換しました。ところが、iPS細胞から移植用の細胞をつくる企業の側は、複数の型を使うことに慎重なことが明らかになりました。移植用の細胞ががん化しないか、別の細胞が混じっていないかといった安全性を型ごとに確認するのは大変で、多額の費用と試験の手間がかかります。免疫抑制剤の進歩もあり、それなら1種類のiPS細胞だけを使い、免疫抑制剤で拒絶反応を抑える方が事業として成り立ちやすい、という判断のようです。iPS細胞からつくった細胞が臨床研究で目や神経の難病患者に移植されるようになったことで、政府は事業化の段階に入りつつあると判断したようです。
2019.11.20
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名古屋市立大学の研究グループがわずか1滴の血液からアルツハイマー病の早期診断ができる可能性がある診断マーカーを発見したと発表しました。脳内細胞から出るタンパク質に着目した研究成果です。研究グループは健康診断などでの実用化を目指して本格的な臨床研究を進めるとしています。アルツハイマー病は認知症の半数以上を占める神経変性疾患で、決定的な治療法はまだありません。高齢の認知症患者は国内で500万人以上いるとされ、今後さらに増加するのは確実とみられています。約40個のアミノ酸からなる「アミロイドベータ(Aβ)」という物質が脳内に凝集・蓄積し、これが原因となって発症するとされています。研究グループによると、発症の20年以上前からAβが脳内に凝集した老人斑の形成が進み、発症時には脳内に老人斑が広く存在することが明らかになっていますが、発症してしまうと治療効果は限定的になります。このため発症前の早期診断が望まれており、米国国立老化研究所(NIA)などは「発症前アルツハイマー病(Preclinical AD)」を提唱しています。国内でも陽電子放射断層撮影装置(PET)や、脳脊髄液を検査する方法などにより、Aβの蓄積状態を調べる試みがなされていますが、費用が高いことや患者の負担が大きいことなどの課題がありました。研究グループは、脳の細胞から分泌される「フロチリン」と呼ばれるタンパク質に着目しました。健常者とアルツハイマー病患者、発症の前段階である軽度認知症の人、それぞれのグループの血液に含まれるフロチリン濃度を調べた結果、アルツハイマー病患者のグループは健常者のグループよりフロチリン濃度が平均して顕著に低かったそうです。患者の認知機能障害のレベルはフロチリン濃度と相関関係がみられたとしています。またPET検査によりAβの蓄積が確認された軽度認知症の人のフロチリン濃度も患者ほどではないものの、グループ平均で有意に低かったそうです。しかし軽度認知症でもAβの蓄積がない人はほとんど低下していなかった人もいたそうですが。これらの人はアルツハイマー型ではない認知症とみられるとしています。研究グループは、フロチリンは血液1滴にも満たない量でも検出可能で、フロチリンを目印にした診断マーカーにより、簡便、安全、安価なアルツハイマー病の早期診断が可能になるとしています。
2019.11.09
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京都大などのグループが多くの微細な穴があるナノ粒子と特殊なエックス線とを使ってがん細胞を破壊する手法を開発したそうです。新たな放射線がん治療への応用につながる成果とみられています。通常の放射線治療で使われるエックス線は、がんの患部に届く前に一部が人体の細胞に吸収され、正常な細胞に悪影響を及ぼしたり、がん細胞を破壊するエネルギーが減ったりするなど課題があります。研究グループは、がんの細胞核近くに蓄積する特徴のあるナノ粒子の小さな穴にレアアースのガドリニウムを付着させ、ヒトの卵巣がんの塊に取り込ませました。特殊なエックス線をガドリニウムに吸収されやすい大きさのエネルギーにして60分間照射したところ、ガドリニウムが放出した電子によってがん細胞がほぼ死滅したとしています。ガドリニウム以外での効果も今後検証するそうです。
2019.10.06
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大阪大は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った角膜の細胞を世界で初めて患者の目に移植しました。患者の左目はほぼ見えない状態でしたが、臨床研究として手術し、視力が大幅に改善したそうです。経過は順調で、今後さらに患者3人に移植し、治療法の安全性や有効性を確認するとしています。患者は、黒目の表面を覆う角膜が濁り、失明の恐れがある重症の「角膜上皮幹細胞疲弊症」の40代の女性です。研究チームは、京都大に備蓄された第三者のiPS細胞から角膜の細胞を作り、厚さ約0.05ミリのシート状に加工し、約2時間の手術で、損傷した左目の角膜を取り除き、角膜シートを移植しました。患者は「よく見えるようになりました」と喜び、今月下旬に退院したそうです。右目も同じ病気を患うが、今回の臨床研究では片方の目のみへの移植となります。患者は1年間、拒絶反応の有無や角膜の濁りの程度の検査を定期的に受けます。角膜上皮幹細胞疲弊症は角膜を作る幹細胞がけがやウイルス感染、遺伝的な原因などで失われて発症します。国内の患者数は年間数百人で、治療法は亡くなった人からの角膜移植がありますが、慢性的な提供者(ドナー)不足が課題となっています。厚生労働省の報告書によると、角膜の病気全体で移植希望者は今年3月現在1613人ですが、昨年度はドナーが720人、移植手術は1155件にとどまったそうです。今回の臨床研究は、年内に2人目の手術を予定しています。2022年度までに計4人の移植と経過観察を終え、一般医療として2025年ごろの保険適用を目指しています。iPS細胞を活用した再生医療の臨床研究は、理化学研究所などのチームが2014年に実施した網膜の細胞の移植が最初で、2018年に京大がパーキンソン病の患者の脳に神経細胞を移植し、今回の角膜細胞の移植が3例目となります。
2019.09.02
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企業の健康保険組合で構成する健保連(健康保険組合連合会)は、医療機関で処方される市販薬と同じ成分の花粉症治療薬について、医療保険の適用から除外し全額自己負担にすべきだとの提言を取りまとめました。保険財政悪化への対応策と位置付け、最大で年600億円程度の医療費削減効果があると試算しています。そうなれば、当然ながら、1~3割の支払いで済んでいた患者の負担は重くなります。2020年度診療報酬改定に向け、今秋から本格化する中央社会保険医療協議会で提起するそうです。健保連は2016年10月から2018年9月までの加入者の医療機関受診状況を分析し、市販薬と同一成分の花粉症薬について、保険適用からの除外を1種類に限った場合でも年37億円の医療費削減を見込んでいます。提言で、まずは除外範囲を絞って行うべきだと求めました。高齢者医療を支える拠出金の負担増とともに、薬価が数千万円に上る「超高額薬」の相次ぐ保険適用により、各組合の財政が悪化し、加入する会社員の保険料負担はさらに増加すると予想されています。健保連は、市販薬で代用可能な処方薬の医療費規模は2126億円と試算しています。これまでも医療機関で処方される湿布や保湿剤を保険適用から外すよう求めており「制度維持のため、一定程度の除外は必要」と強調しています。
2019.08.27
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違法な臓器売買が問題となっているパキスタンで腎臓移植を受けた日本人が今年少なくとも4人いたようです。1人は手術後に状態が悪化し、命が危険な状態で帰国しています。いずれも東京の業者が仲介したもので、患者への説明などから違法に取引された腎臓が使われた可能性があるそうです。パキスタンでも売買は違法で、患者が摘発される恐れがあるほか、安全性にも問題もあり、専門家は注意を呼び掛けています。日本の臓器移植法は、海外であっても臓器提供の対価としてお金を払うことや、無許可のあっせんを禁じています。厚生労働省は情報収集を始めるとともに、対応を検討しているそうです。
2019.08.24
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福岡市に昨年4月に開院した福岡大西新病院(117床)は外来診療をせず、入院診療に特化した全国的にも珍しい小児科があります。入院設備を持たない開業医や市急患診療センターなどで入院が必要とされた子どもたちを24時間365日、受け入れます。外来は地域の診療所に任せる「完全分業」システムは、入院患者に専念できるなど利点も大きく、小児科医不足に悩む地域のモデルとしても注目されています。
2019.08.19
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手術支援システム「Mako」を使った人工股関節、人工膝関節の全置換手術が6月1日と7月1日から、それぞれ保険適用になりました。このシステムは、医師の操作で動くロボティックアームが治療計画にない動きをすると自動停止し、正確な手術に導く仕組みだそうです。ロボティックアームを使った整形外科手術への保険適用は初めてです。普及拡大による人工関節の設置精度向上、術後の痛み軽減や脱臼率低下などが期待されています。
2019.08.12
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福岡県内の小中学校などでインフルエンザによる学級閉鎖が相次いでいるそうです。専門家によるとウイルスは年中、存在しているもので、今年は梅雨入りが遅れ、感染しやすくなる乾燥した期間が平年より長かったことも拡大の一因にあるようです。インフルエンザは低温や乾燥した気象条件で広がりやすいといわれています。主な感染経路は、せきやくしゃみに含まれるウイルスを吸い込む飛沫感染です。一方、湿度が上がってウイルスが遠くへ飛びにくくなる夏は、ウイルスが付着した物を触るなど、接触感染に注意が必要だそうです。しかし、基本的な予防法は冬も夏も変わらず、手洗いと、せきエチケットが重要とのことです。
2019.07.18
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東レが開発したのは、血液一滴から複数のがん発症の有無を一度に検査するキットです。2014年から国立がん研究センターなどと共同で始めた研究プロジェクトが終了し、今年中に厚生労働省に製造販売の承認を申請する予定だそうです。早ければ来年にも医療機関で検査キットが使えるようになります。検査キットに内蔵されている遺伝子解析チップは、がん細胞ができると血液中に増える遺伝物質「マイクロRNA」を検出します。これにより、ごく少量の血液でがん細胞の有無の判定を95%以上の精度で行うことができるとしています。遺伝子検査からがんを特定する技術は米国などですでに実用化されていますが、発見確率はまだ低いようです。東レの得意分野である素材加工を活かした検査キットは、厚労省の「先駆け審査指定制度」対象となっています。画期的な効果が得られると見こまれる研究は優先審査の対象になり、最短で6カ月後には認可を受け、製造販売が可能になるそうです。東レは、富士フイルムが医薬品や化粧品で成功したのを受けて、自社技術を応用して医薬事業に参入する機会を以前から窺っていたそうです。近年の東レの稼ぎ頭は炭素繊維ですが、需要の停滞が懸念されていたこともあるようです。
2019.07.05
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千葉県の国立がん研究センター東病院と大阪市立大学病院は、職業関連性胆道がんを対象に、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ、商品名オプジーボの有効性と安全性を調べる医師主導治験を開始したそうです。印刷事業などで使用する化学物質が原因で発生した職業関連性胆道がんは、通常の胆道がんに比べて遺伝子変異が多く、PD‐L1の発現が多くみられます。海外の臨床試験で免疫チェックポイント阻害薬のより高い有効性が示されています。治験の対象は、胆道がんと診断され、職業に関連した業務により労災認定を受けた20歳以上の切除不能または再発胆道がん(肝内胆道がん、肝外胆管がん、胆のうがん、乳頭部がん)の患者で、2施設で最大16人を予定しています。
2019.06.27
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関西医科大は日、膵臓がんの新治療法の臨床試験を実施するため、インターネットで寄付を募るクラウドファンディング(CF)の利用を始めました。1000万円を目標に広く支援を求めます。CFで治験の資金を調達する例は珍しいそうですが、国の科学研究費補助金に申請しても認められず、製薬会社の支援もないため決断したそうです。膵臓がんは早期発見や治療が難しく、5年生存率は1割に満たず、他のがんに比べ極めて低くなっています。特に腹膜への転移は手術が難しいうえ、腹水がたまると腹部の痛みなど患者の苦しみも大きいそうです。計画する治験では、腹膜に転移した膵臓がんの治療に抗がん剤の「S-1」と「パクリタキセル」の併用が有効か調べます。この治療法は既に胃がんで保険適用され、膵臓がんに対する第1、2相の治験でも生存期間延長や症状緩和などの効果があったとしています。第2相は2015年に終わりましたが、全国30施設で大規模に有効性を確かめるための第3相は資金不足で実施できずにいました。治験で有効性を確認し、国の審査を通れば、保険が適用されるようになります。
2019.06.12
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麻疹の感染者の報告数が、今年に入ってから5月26日までに566人となり、昨年1年間の282人(暫定値)の2倍となりました。都道府県別では大阪が最も多く142人で、東京96人、三重54人、神奈川50人、愛知37人などとなっています。5月26日までの1週間では新たに26人の報告がありました。神奈川5人、埼玉、福岡、佐賀各4人など、小規模な発生が続いており、終息の気配はないようです。タイプとしては、流行地のフィリピンやベトナム、ミャンマー、インドネシアなどと同じ遺伝子が検出されているようです。渡航者が感染し、免疫のない人がうつり、ウイルスが国内に居座りつつある状況との見方があります。
2019.06.10
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脳梗塞は年間6万2千人の死因となっており、介護が必要になる要因のトップにも数えられています。脳の血管が詰まると、ブドウ糖や酸素が行き渡らなくなり脳の神経細胞が死んでしまいます。詰まった血管をいかに早く再開通させるかが治療の鍵を握ります。現在、主に使われているのは血栓溶解剤t-PAという薬ですが、時間経過と共に出血リスクが高まるため、原則発症後4時間半までしか使えません。脳梗塞は寝ている間に発症し、時間が経過してから気づくケースも多く、実際にt-PAを投与されるのは患者全体の7、8%程度だそうです。t-PAを投与できない患者にも使えると期待される新薬の主成分がSMTPで、東京農工大学大学院の蓮見教授が、沖縄・西表島で見つかった黒カビから取り出した化合物です。画期的なのは、血栓を除去する作用だけでなく、炎症を抑制し出血を抑える作用を併せ持つことだそうです。もともとリスクの高い疾患が対象なだけに、製薬企業の協力を受けるのに苦労したそうですが、大学発の大型新薬となるでしょうか。
2019.05.29
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マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにする改正健康保険法などが、参院本会議で自民、公明、立憲民主、国民民主各党などの賛成多数で可決、成立しました。利便性を高め低迷するカード普及率を向上させるとともに、受診時の本人確認をより確実に行えるようにするのが狙いで、2021年3月からの施行を目指すとしています。改正法はまた、外国人労働者の受け入れ拡大に対応し、健康保険が適用される扶養家族を原則国内居住者に限定する規定も盛り込んでいます。医療費の抑制や不正利用の防止が目的です。マイナンバーカードの保険証利用では、医療機関の窓口で、カード裏面のICチップの情報を機器で読み取り、保険診療の支払い審査機関への照会などを通じて患者の保険資格を確認できるようになります。制度が浸透すれば、健康保険組合などが保険証を発行する必要性も薄れるとみられています。
2019.05.18
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