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遇龙 Miss The Dragon第4話一夜の宿を取った流螢(リィゥイン)尉遲龍炎(ユーチーロンイェン)は当たり前のように一緒に寝ると言ったが断られてしまうそれもそのはず、流螢はまさか龍王と共寝していたとは夢にも思っていない「人間は未婚の男女が同じ部屋で寝たりしないの」龍炎は部屋から追い出され、仕方なく客桟の屋根に落ち着いた…我らは同じ床に入った、つまりもう結婚しているということか?うーん、難しい…流螢が寝ついた頃、龍炎はまた勝手に寝床に現れたすると寝返りを打った流螢は無意識のうちに龍炎を押し倒し、抱きついてしまう龍炎は戸惑いながらも、流螢の爽やかな香りに癒されながら目を閉じた流螢は客桟の寝台ながら、どういうわけかよく眠れた花点(ファディェン)を抱いて客桟を出た流螢、龍王はもう隠龍天池に帰ったのだろうかふと寂しさを覚えながら町を歩いていると、龍炎が現れる再び2人は一緒に旅を始めたが、龍炎は道すがら赤子をあやす若夫婦に目を留めたそこで赤子の代わりに花点を抱いて真似をしてみるさらに夫婦のように腕を組むよう流螢に催促してみたが、流螢は不思議そうに腕が痛いのかと聞いた一方、羅酆(ラホウ)閣で閣主の世話をすることになった青青(チィンチィン)は失敗続きだったお茶を注げば閣主の本を濡らし、慌てて机にあった手巾で拭けば、その手巾は狐仙からの贈り物だと叱られてしまう時には墨をすりながら居眠りして燭台を倒し、小火を出した閣主があっさり法術で消してくれたが、法力を封印された青青は不満が爆発する( ๑≧ꇴ≦)<私だって法力があれば青鳥に戻ってこんな小火、消せたのに! (Ŏ艸Ŏ)おっと(# ー̀ωー́)<3日だ…食事を3日抜く(* >ω
2021.05.31
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遇龙 Miss The Dragon第3話龍王のおかげで見知らぬ山からひとりで帰ることになった流螢(リィゥイン)途中で怪我を負った猫を保護し、薬草を探しながら歩いていたするとうっかり転んでしまうそこへ突然、尉遲龍炎(ユーチーロンイェン)が現れた( ๑≧ꇴ≦)<また出たーっ!(  ̄꒳ ̄)<猫を助けたいなら手伝うぞしかし流螢は断って逃げるように行ってしまう龍炎は流螢の冷たい態度に憤慨し、龍隠天池に戻ったするとまた流螢の幻覚が現れ、困惑する『私のことが心配なの?』「?!話せるのか?!」しかし幻はすぐ消えてしまう再び薬草探しに戻った流螢、すると突然、魔精が現れたしかし危ないところで龍炎が現れ、龍気で魔精を一掃してくれるそこへ羅酆(ラホウ)閣の配下たちがやって来た「私は冰星(ビンシン)、我らが追っていた魔精を退治していただきありがとうございます 閣下のお名前をうかがっても?」「尉遲龍炎、羅酆閣は魔精の管理もできないのか?」「…龍王でしたか、この恩はいつかお返を…ではこれにて…(シュッ!」龍炎は流螢をかばって腹に傷を負っていた(  ̄꒳ ̄)<ふっ、かすり傷だ(´⊙ω⊙)<ダメよ!すぐ治療しなくちゃ!流螢は龍炎に傷口を見せるよう頼み、少し照れ臭そうに薬を塗った「助けてくれてありがとう」龍炎へのわだかまり解けた流螢、すると包帯を背中に回すたび、2人は抱き合うように接近する…流螢が近づくとなぜか顔が熱くなるな…一方、鳥妖・青青(チィンチィン)は額の傷を消す方法を探すため、命格星君の蔵書閣に忍び込んだしかしすぐ見つかってしまう命格星君は今回は見逃すことにしたが、青青は解決策が見つかればすぐ去ると食い下がったその時、拝礼したせいで青青の末額が外れて傷があらわになってしまう鳥妖の傷が流星痕だと気づいた命格星君は、大かた人間に恋でもして傷をどうにかしたいのだろうと揶揄した青青はまさかと驚き、人間の朋友なら恩人である夏侯(シァホウ)府の流螢ただひとりだという「夏侯府の流螢…か(ボソッ」そこで命格星君は今回だけ例外として書庫から″輪道法書″を出した実は額にある傷は″流星痕″と呼ばれ、元神の記号だという青青は流星痕が羅酆閣にある浮生琵琶で消せると知ると、一目散に飛んで行った流螢は猫の怪我の手当てを始めた( ˙꒳˙ )<さあ、小点(シャォディェン)、あなたの番よ!( ತ _ತ)<みんなに名前を付けているのか?!(; ˙꒳˙ )<特別な時だけよ…( ತ _ತ)<では最も特別なのは誰だ?!(; ˙꒳˙ )<それは…その…もちろん…(指差し)喜んだ龍炎は″小白″とかぶらないよう、猫の名前を花点(ファディェン)に変えろと命じた流螢は花点という名を気に入り、猫の足に薬を塗ってやるすると龍炎は流螢の愛読書″白蛇傳″に目を留めた早速、本を招喚して目を通す龍炎…ふむふむ、白蛇も恩返ししたのか…挿絵には雨の中、ひとつの傘に入る男主・許仙と女主・白素貞の姿が描かれていた猫の手当てを終えた流螢は下山することにしたその時、急に雨が降って来る龍炎は早速、白蛇傳の挿絵にあった男主に変身し、傘を差し出した物語から飛び出して来たような公子の姿に心ときめく流螢、しかしどこか気恥ずかしくてぎこちないするとしばらくして雨があがった龍炎は傘を閉じたが、流螢が咄嗟に龍炎の腕をつかみ、せっかく手当てした傷口が濡れてしまったと慌てる「…私の心配を?」「ぁ…包帯を取り替えましょう」龍炎は流螢の自分への態度が変わったと気づいた今回は白蛇傳の湖で傘をさす章を参考にしてみたが、どうやら効果があったらしいその頃、青青は羅酆閣に忍び込んでいた新生の元神は歴劫へ行く前、羅酆閣で八泪を飲まされ、過去を忘れて人間界へ向かう閣主・雪阡尋(シュェチェンシュン)と言えば冷血無情で知られ、私心に囚われることなどないとか青青は閣内の陰気な雰囲気に身震いしながら、とにかく琵琶を探しに向かったふもとの町へ到着した流螢と龍炎若い娘たちは美しい龍炎の姿に目が釘付けとなり、流螢も満更ではない様子中にはわざと転んで龍炎に助けを乞う娘までいたが、龍炎は決して手を差し伸べなかった流螢は思わず自分から龍炎の腕に手を回し、連れて行ってしまう…私ったら何してるんだろう…流螢は慌てて手を離したが、龍炎が流螢の手を取ってまた自分の腕に回したしかし流螢は焦って手を放し、深い意味はなかったと釈明する「恩返しすると言っただろう?」「龍王大人(ダーレン)、男女はむやみに触れ合わないのが礼儀だと…」「知っている、許仙が白素貞に傘を貸した時に同じことを言ってた、白素貞は…」「恩返しは必要ありません」そこで龍炎は流螢に″邪魅君王の恩返し″を渡し、この本のせいでやり方を間違えたと説明した龍炎は春画を見て動揺、こんな本を読んではいけないと教える(  ̄꒳ ̄)<?人間は悪さを教える本も書くのか?すると龍炎は本を消し去り、白蛇傳で恩返しを学び直すことにしたその頃、青青はついに閣主が所有する浮生琵琶を見つけた命格星君の話では琵琶の玄をすり潰し、それを傷に乗せれば痕が消えるというしかし琵琶に手を伸ばしたその時、冰星たちが現れる青青は閣主の前に連行された墨絵を描いていた雪阡尋はいちべつもせず、侵入者を殺せと命じる驚いた青青は命乞いしたが、閣主が耳障りだとばかりに机を叩いて顔を上げた思わず端正な閣主をまじまじと見つめる青青、すると冰星から閣主のご尊顔を見るとは不遜だと叱られてしまう青青はとにかく額の傷跡を消したかっただけだと訴えたが、冰星は琵琶で傷が消えるなど聞いたことがないと呆れ、掌(ショウ)を放った一撃に倒れた青青は末額が外れ、流星痕があらわになるその傷を見た雪阡尋は思わず立ち上がると、急に激しい頭痛と共に断片的な記憶が蘇った…千年以来、浮生琵琶を私に借りに来た者などいなかった…この小妖、どこか怪しいそこで雪阡尋は罰として青青を婢女として百年、自分に仕えさせると決定、逃げ出さないよう法力を奪ってしまう…よく調べさせてもらおう、お前の本当の目的が何なのか流螢は一夜の宿を取った龍炎は客桟の屋根の上で白蛇傳を読みふけっていたが、読破すると流螢の部屋に現れる「分かったぞ、千年妖蛇の白素貞は許仙へ恩返しするため人間界へ降った 蛇妖は恩返しのため恩人に嫁いだんだ、この恩返しの方法が気に入っているなら、私も君に嫁ぐ」「私は娶れないわ…だってお金がないし…」「平気だ、本座には龍隠天池と千年の霊力がある、金の心配など必要ない それに私はほとんど食べないし、君でも十分に養えるぞ」「無理よ」「なんだ、まだ気に入らないことが?」「違うの、実はあなたを助けたのは私じゃなくて小姐よ?恩返しなら小姐に…」すると龍炎が急に流螢に接近し、首元の匂いを嗅いだやはりあの時、自分を助けた人間の香りがする、間違いない龍炎は自分が人間でないため流螢が嫌なのだと考えた「心配ない、本座はそなたの好きなように変われるぞ」龍炎は名士、将軍、富豪と変身して見せたが、流螢は疲れたのでもう休みたいと言った(  ̄꒳ ̄)<うむ、そうだな( ゚д゚)<…あの〜帰らないの?(  ̄꒳ ̄)<一緒に寝ないのか?つづく(^ꇴ^)龍王~屋根の上で白蛇傳を読破してるwwwそれにしても命格星君は中の人のせいでどうしても何か悪巧みしていると疑っちゃうわ(笑
2021.05.30
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遇龙 Miss The Dragon第2話人間界の娘・流螢(リィゥイン)に救われた龍王・尉遲龍炎(ユーチーロンイェン)白蛇に間違われ、小白(シャォバイ)と名づけられた龍炎は人間に戸惑いながらも、流螢の心地よい香りが気に入ったすると翌朝、流螢の部屋に青鳥が好物の桂花糕(ケイカコウ)をもらいにやって来る龍炎は流螢に分からないようこっそり脅し、青鳥を追い出した山へ逃げ戻った青鳥は鳥妖・青青(チィンチィン)しかしふとこのままでは恩人の流螢が龍妖に食べられてしまうと焦ったその夜も龍炎は人形(ヒトガタ)に戻って流螢の隣で寝ることにしたすると急に寝返りを打った流螢の唇が思いがけず自分の唇に触れる…何だ?この柔らかい感触は…しかし流螢はすぐ体勢を変え、今度は″甘栗″と寝言を言った…甘栗?…体力を回復した龍炎は甘栗を残し、姿を消した流螢は小白を探しに落英谷へ、すると小白を発見するしかし小白は突然、人間に姿を変えた( ゚д゚)ポカーン ((( ̄꒳ ̄ )))ボワン!( ๑≧ꇴ≦)<うわあぁぁぁぁーっ!流螢は悲鳴をあげ、慌てて逃げ出した(  ̄꒳ ̄)?…なぜそんなに怖がるのだ?龍炎はふと命格星君の言葉を思い出し、外衣をまとっていなかったせいだと反省したそこで正装して先回り、再び流螢の前に現れる「そう怖がるな、私は小白だ…これからは龍王大人と呼ぶように(エヘン 私を探していたのだろう?なぜ怖がるのだ」龍炎は甘栗を買ったのは自分だと教え、全力で恩返しすると約束する「で、どうすればいい?」「見返りが欲しくて助けたわけじゃないし…結構です あ…ひとつだけあったわ、あなたのために買ったドリアンを食べてくれない? 私はあの匂いが苦手で…」龍炎は流螢の好物だと思って無理して食べていたが、誤解だったその時、屋敷の誰かが流螢を探しに来たため、流螢は慌てて帰ってしまう命格星君は龍隠天池を訪ねたてっきり最後の天劫に向けて修練しているかと思えば、龍炎はこれから人間界へ出かけるという天界の1日は人間界の1年、時間はまだある青青は流螢が無事かどうか確認に来たしかし部屋に流螢の姿がないやはり龍妖に食べられたのかと心配したが、机に桂花糕があったまだ焼き立てだったことから青青は流螢が生きていると確信、その時、突然、龍妖が現れる驚いた青青はすぐ姿を消して山で一息入れたが、龍妖が後を追って来たヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ( ತ _ತ)<私は龍王、流螢とどんな関係だ?聞けば青青も足を怪我した時に流螢に助けられ、恩人を見守っているという( ತ _ತ)<まともに変身もできんのか?σ( ー̀ωー́ )<額の傷は生まれつきですっすると龍炎はこれから自分に従えば悪いようにはしないと告げ、今後も流螢を見守ることを許した夏侯(シァホウ)府の小姐・雪児(シュェアー)は母と巡礼に出かけることになった自分の布団でしか眠れない流螢は留守番することになり、小姐を見送ってから街に出てしばし自由な時間を満喫する龍炎はこっそり流螢のあとをつけながら彼女の好みを探っていたすると流螢が書物を買うのを見るそこで龍炎は店主に恩返しの本はないか聞いてみると、ある本を勧められて購入した″邪魅君王の恩返し″という本を読み、人間界の恩返しを学んだ龍炎そこで早速、夏侯府に戻り、いきなり流螢を抱き上げた(  ̄꒳ ̄)b<分かったよ、恩返しとは以身相許(添い遂げること)だと…これから同衾しよう( ๑≧ꇴ≦)<何言ってるの?!早く降ろして!(  ̄꒳ ̄)b<本に書いてあった、女子の嫌よ嫌よは好きの裏返しだと( ๑≧ꇴ≦)<何言ってるの?!ここは私の部屋よ!出て行って!(  ̄꒳ ̄)<お、そうだった、ではこれから龍隠天池に連れて行こう!龍炎は流螢を背中に乗せて天に向かって飛んだ٩(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)۶<今すぐ降ろせぇぇぇ!驚いた龍炎は仕方なく近くの山へ降りる(# ꒦ິ⌑꒦ີ)<ここどこよーっ!家に帰りたい~うわ~ん!実は流螢は高所恐怖症、龍炎はすぐ送っていくと言ったが、流螢は2度とゴメンだと歩いて行ってしまう(  ̄꒳ ̄)?<あの本を真似たんだが、何がダメだったんだ?龍隠天地に戻った龍炎はやけ酒で流螢を忘れようとしたが、かえって流螢の幻覚を見てしまう命格星君は龍炎が人間に片想いしていると知って呆気に取られた結局、流螢のことが忘れられない龍炎は再び人間界へ行ってしまうその頃、流螢は山で怪我した猫を保護していた一方、青青は人間界で末額(マッコウ)を手に入れ、額の傷を隠すことにしたしかし下を向くとあっさり外れてしまうすると妹分の鴬児(インアー)が命格星君の蔵書閣なら消す方法が分かるかもしれないと教えた(^ꇴ^)それだ!つづく
2021.05.29
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天舞纪 Dance of the Sky Empire第15話雲杉(ウンサン)は自分のために殴られた蕭鳳鳴(ショウホウメイ)のため、鶏汁を作った。王女のお手製と聞いた鳳鳴は麒麟退治の時に差し入れてくれた王女の汁物を思い出し、一瞬、ひるんでしまう。しかし王女の厚意を無にすることもできない。鳳鳴は思い切って口をつけたが、明らかに表情がおかしかった。「…おいしくないの?」「いえ、すごくおいしいです」雲杉は心配して味見してみたが、予想外の不味さに驚いた。「おかしいわ、なぜこんなに苦いの?」「公主、苦杏仁(クキョウニン)を入れたのでは?」実は雲杉が生姜だと思っていたのは苦杏仁だった。雲杉はすぐに捨てようとお椀に手をかけたが、鳳鳴がもったいないと王女の手を止める。そんな2人を見かけた同級生は、王女と鳳鳴が手を握っていると誤解した。辺令誠(ヘンレイセイ)は聖域から戻った蘇猶憐(ソユウレン)と李玄(リゲン)が親密になっていると気づいた。そこで昼休み、食堂で一緒になった猶憐に聖域で何があったのか聞いてみる。崔嫣然(サイエンゼン)は猶憐と李玄が付き合っているのかと興味津々、しかしそこへ姉の翩然(ヘンゼン)が現れ、和やかな雰囲気が一変した。実は翩然が未来の護国師夫人になるという。李玄の縁談を知った猶憐は気が動転し、思わず席を立った。心配した御風穆(ギョフウボク)は猶憐を追って食堂を出ると、李玄に縁談が真実なのか確かめに行こうと誘う。しかし猶憐は必要ないと強がった。「だって李玄の結婚よ?私には関係ない」雲杉と鳳鳴が食堂にやって来た。鳳鳴はこれ以上、王女と噂にならないよう別の席に行こうとしたが、雲杉にここに座れと命令されてしまう。「嫣然、どうして猶憐は先に帰ってしまったの?」「ふっ、それはきっと玉の輿の夢が破れたせいよ~」雲杉は翩然の話の意味が分からない。すると令誠は李玄と翩然が結婚すると教えた。雲杉は思わず失笑し、まだ李玄と令誠が結婚する方が信憑性があるという。しかし翩然も負けてはいない。「王女のくせに簡単に男とくっついたりして~親の許しも得ずによくやるわね~」翩然は雲杉と鳳鳴の仲は書院中が知っていると嘲笑した。これに雲杉は激怒、力尽くで黙らせようとしたが、鳳鳴が制止する。「君と恋仲ではないことを私が説明します!」中庭に生徒たちが集まった。鳳鳴は自分が何を言われても構わないが、王女への侮辱は許さないと一喝、真言(シンゲン)の陣で王女と自分が無関係だと証明し、噂を打ち消すという。真言の陣とは封印に用いる結界とは違い、陣の中に入った者に真実を語らせる結界だ。<鳳鳴?蓄えはどのくらいだ?「ない…書物に注ぎ込んだ…」<じゃあ生活費はどうしているんだ?「人の宿題を手伝ったり、書院の清掃で稼いでいる…」どうやら鳳鳴は本当に真実を話しているようだ。<雲杉とは恋人同士なんでしょう?「違う…」鳳鳴の本心を聞いた生徒たちは落胆したが、その時、令誠が聞き方を変えた。「鳳鳴、答えろ、公主を好きか?」「ああ、私は彼女が好きだ」鳳鳴の告白に色めき立つ生徒たち、しかし令誠は鳳鳴が王女を好きなだけで、恋人同士ではないとかばった。そもそも学院の男子の多くが王女に憧れており、鳳鳴が王女を好きだからと言って恥知らずとは違う。「これからはむやみにデマを流すのはやめようぜ!次は自分の番かもしれないぞ!」すると謝雲石(シャウンセキ)司業(シギョウ)と玄冥(ゲンメイ)常傅(ジョウフ)がやって来た。「その通りだ」謝司業は真言の陣を解いて鳳鳴を解放した。我に返った鳳鳴は慌てて謝司業に感謝すると、謝司業は真言の陣が使えるのも熱心に勉強しているからだと褒める。すると今後は流言飛語の類を禁ずると命じ、また同じ過ちを犯せば書院から永久に追放すると決めた。生徒たちは解散、鳳鳴は王女の汚名をすすげたと安堵した。しかし雲杉は気まずそうに走って行ってしまう。困惑する鳳鳴を見た令誠は、実は鳳鳴が王女を好きだと告白してしまったと教えた。「オワター!自ら恥をさらし、公主の名誉まで傷つけるとは…どうしよう…」鳳鳴はもし自分が本当に王女が好きなら身の程知らずにも王女に恋をした愚か者となり、否定すれば軽薄で浮ついた男になってしまうと慌てふためく。噂を打ち消すどころか、かえって王女に迷惑をかけることになったと後悔する鳳鳴、すると令誠は全く理解できないと呆れ、李玄に会いに行くことにした。李家は崔家への結納品の準備で忙しそうだった。令誠はともかく李玄に猶憐が縁談の件を知ったと伝える。驚いた李玄は令誠の協力で裏庭から脱出し、書院へ急いだ。一方、皇太子も李家と崔家の縁談を知った。しかし李玄は蘇猶憐に夢中なため、縁談が成立するかは分からないという。氷血(ヒョウケツ)の聖域から生還できたと思えば、今度は好きでもない女と結婚、皇太子は何とも愉快だと喜んだ。( ˙꒳˙ )たまには皇太子その夜、猶憐は李玄の縁談に動揺したのか、なかなか眠れずにいた。思わず枕の下から大切な瑠璃(ルリ)玉を取り出してみる猶憐、すると回廊から李玄の声がする。「トントン!開けてくれ!」猶憐が窓を開けると、李玄が嬉しそうに窓枠に腰掛けた。「翩然と結婚するそうね?」「親同士が決めたんだ、でも父の決定に従うつもりはない、もう結婚しているんだ お前という妻がいるのに、他の女を娶るわけないだろう?」「…誰が妻よ(クスッ」すると李玄は猶憐の手を取り、これを機に2人の関係を公表しようと言った。「俺を信じろ!」李玄は猶憐の額に口づけし、忍び込んだことがバレる前に急いで帰って行った。猶憐は幸せだった。すると突然、剣霊の陣に引きずり込まれてしまう。「ひざまずけっ!」師匠は猶憐を引っ叩き、李玄に寝返った裏切り者だと叱責した。しかし猶憐は裏切っていないと訴え、己の使命も龍皇(リュウコウ)の救出も忘れていないと釈明する。「ならばこれが最後の機会だ、2人の結婚を公表する場で令牌が欲しいとねだるのだ その後、奴を殺せ!」翌日、鳳鳴が書物を読みながら歩いていると、私服に着替えた雲杉が現れた。気まずい鳳鳴は慌てて引き返そうとしたが、雲杉は用があると引き止める。「昨日から私を避けているわね?」「めいよー」「そう、なら今日は大した授業がないわ、私はまだ城内を散策したことがないから案内して」雲杉は人目もはばからず、鳳鳴を従え街に出かけた。雲杉はにぎやかな市場を楽しんだ。無邪気な王女の姿に見とれる鳳鳴、すると雲杉は露店の装飾品に目を留める。しかし玉の腕輪や金のかんざしは高価で、苦学生の鳳鳴にはとても買えなかった。雲杉は手頃そうな木のかんざしを手にしたが、それでも1両だという。「…20銭じゃなきゃ買わないわ」雲杉は鳳鳴の体面を傷つけないよう自ら交渉すると、店主は20銭にまけてくれる。喜んだ雲杉は早速、髪に挿し、振り返って鳳鳴に見せた。「どう?」「ええ、素敵です」鳳鳴は雲杉を連れて城内を一望できる高台へ案内した。見事な展望に思わず崖っ縁から下をのぞく雲杉、すると驚いた鳳鳴が危ないので戻るよう告げる。「ねえ、私が落ちたら飛び降りて助けてくれる?」つづく(  ̄꒳ ̄)話が進まない…ってか師匠、自分でどうにかしろ( ̄▽ ̄;)
2021.05.29
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天舞纪 Dance of the Sky Empire第14話辺令誠(ヘンレイセイ)はようやく意識が戻った蘇猶憐(ソユウレン)に李玄(リゲン)はどうしたのか問いただした。すると猶憐は李玄が自分を逃がしてくれたことを思い出し、慌てて寝台から飛び出して行ってしまう。一方、怪我が治った李玄は再び天秀(テンシュウ)陣に挑んだ。今回は天書(テンショ)仙人と同じ作戦で食べ物で気を引くことにする。すると小坊主も差し入れを喜んだが、結局、李玄は如意棒でこてんぱんに殴られ、惨敗した。天書仙人は命からがら戻って来た李玄を介抱し、霊力で治療した。「全身の骨を折られても死なんとは…ふっ、お前もしぶといな~」李玄は天書仙人のおかげで少し動けるようになると、小坊主の倒し方を教えて欲しいと頼む。しかし天書仙人は天の機密を教えることはできないと断った。「…旺財(オウザイ)!旺財?!」「わん!」「待っていろ、次はお前も連れて行ってやる」李玄は旺財を利用して脅したが、天書仙人は旺財を外には出せないと言った。旺財は聖域に来て数百年、ここから出たらあっという間に肉体が滅びてしまう。すると天書仙人は旺財の毛並みを整えてやりながら、ここの良さが分からない李玄に呆れた。「誰かさんときたら目を見開くばかりで、何も見ておらん…なあ、旺財~」その言葉は李玄が結界を出る大きな手がかりとなる。一方、寝殿を飛び出した猶憐は一目散に鏡月(キョウゲツ)湖へ向かうと、再び飛び込んだ。回復した李玄は天書仙人に別れを告げ、厨房の釜から天秀陣に飛び降りた。この陣を解く鍵は立ち位置と小坊主の頭の灸の痕、実は李玄が正しい場所に立ちさえすれば、小坊主の攻撃は回避できる。見破られた小坊主は如意棒をあきらめ、李玄に渾身の一撃を放った。確かに小坊主の拳は李玄の腹を直撃したが、もはやただの子供の力に過ぎない。すると李玄は小坊主を抱えて尻を叩き始めた。「こいつ!よくも俺を殴ったな!」「うわ~ん!」「出口はどこだ!」小坊主は泣きべそをかきながらある方向を指さした。湖に潜った猶憐だったが、令牌がなく聖域を見つけることができなかった。やがて息が苦しくなり朦朧としながら沈んで行く猶憐、その時、李玄が現れ、口移しで息を送ってくれる。猶憐は次第に頭がはっきりして李玄の姿を認識したが、今度は李玄が意識を失った。猶憐は李玄を連れて無事に書院へ戻った。手当てした紫極(シキョク)は李玄の傷がなぜ治っていないのか訝しんだが、ともかく薬を飲ませて休ませれば大事はないだろう。猶憐たちは一安心すると、御風穆(ギョフウボク)が駆けつけた。そこで沙国の良薬を猶憐に渡したが、猶憐は薬を受け取るとすぐ、李玄の元へ戻ってしまう。猶憐を湖に落としたせいで崔翩然(サイヘンゼン)への風当たりは強かった。翩然は居たたまれなくなって実家に帰ったが、機嫌が悪い。すると妹の嫣然(エンゼン)も李玄のために薬を分けてもらおうと帰って来た。ちょうど中庭にいた崔母は荒れる翩然を心配し、嫣然に学院で何かあったのか尋ねる。仕方なく嫣然は李玄を心配しているとだけ教えたが、崔母は翩然が李玄を好きなのだと理解した。風穆は猶憐を寝殿の外へ連れ出した。「君も大変だっただろう?例の毒は?」「天書仙人が除いてくれた…とても愉快なおじいさんなの」ふと聖域での生活を思い出し、猶憐はうっすら笑みを浮かべる。風穆はそんな猶憐の様子に困惑した。すると兄を探していた雲杉(ウンサン)がやって来る。「哥っ!まだ寝てなくちゃだめじゃない!」「何かあったの?」「兄さんはあなたの…」「雲杉!」風穆は何でもないとごまかすと、その時、蕭鳳鳴(ショウホウメイ)の叫び声が聞こえた。「目覚めたよ!」すると猶憐は慌てて寝殿に戻ってしまう。枕元に駆けつけた令誠は李玄の身体の傷が消えていないと気づき、心配になった。しかし李玄は聖域で受けた傷は普通と違うのかもしれないとはぐらかす。そこへ猶憐が走って来た。しばし見つめ合う2人、すると令誠は気を使って鳳鳴と封常青(ホウジョウセイ)を連れて出て行った。猶憐もまた李玄がなぜ全身傷だらけなのか分からなかった。「天書仙人に殴られたの?」「まさか、お気に入りの俺を叩くわけないだろう?」李玄は猶憐の涙をぬぐった。「…私のせいね」「馬鹿だな、俺たちは正式に結婚した、夫が妻のために何かするのは当然だろう?」そこへ突然、李淑徳(リシュクトク)が使用人を連れて乗り込んで来た。李淑徳は息子がこれ以上、命を粗末にしないよう屋敷に連れて帰るという。猶憐と離れたくない李玄は拒否したが、猶憐は将軍の言う通りにするよう説得した。「会いに来てくれよ?」「コクリ…李将軍、李玄の怪我は私のせいなのです、どうか責めないでください」驚いた李玄は猶憐が湖に突き落とされただけだとかばったが、それがかえって猶憐の印象を悪くしてしまう。「なるほど…蘇姑娘は気を引くのが上手いらしい 他人のために必死になったことがない息子が命懸けで助けるくらいだからな」すると李淑徳は使用人に李玄を縛り上げてでも連れて帰れと命じた。李玄が聖域から生還したことで、紫極はその実力が本物だと分かった。あとは道を誤らぬことを祈るばかり、しかし謝雲石(シャウンセキ)は心配無用だと太鼓判を押す。確かに李玄は素行が悪いが情に厚く、義理堅いと分かった。「人族に危害は加えないでしょう」すると昆吾(コンゴ)族の残党を調べていた謝司業(シギョウ)は尤安(ユウアン)の動きをつかんだと報告した。どうやら残党は尤将軍の元に集結している様子、そこで集まるのを待って奇襲する計画だという。猶憐は師匠から一晩中どこへ行っていたのかと追及された。そこで冰血(ヒョウケツ)の聖域に3ヶ月いたと報告したが、剣霊の話では聖域の100日は現実の世界の1日だという。しかし令牌を持たない猶憐が聖域に入れたと知り、剣霊はすぐ李玄と一緒だったと分かった。「令牌を手に入れたのか?!」「いいえ…でも聖域で助けてくれた李玄から令牌を奪うことは仁儀に反します」口答えされた剣霊は激怒、これ以上、引き伸ばすなら容赦しないと脅した。李府に崔尚書の夫人が翩然を連れてやって来た。夫人は李玄と翩然の縁談を持ちかけ、李玄も家を構えれば心がけも立派になると助言する。「それにしっかり者の妻がついていれば、自然と悪さも収まりましょう」李玄に手を焼いていた李淑徳は夫人の話にも一理あると納得した。翩然は李玄の見舞いに行った。李玄は背を向けて無視していたが、翩然が薬を塗ってやると腕をつかむ。怒った李玄は気安く男に触るものではないと叱り、自分には妻がいると教えた。翩然は分かりやすい嘘に呆れたが、そこへ李淑徳と崔夫人がやって来る。「息子よ、未来の娘子(奥さん)の前で御託を並べるでない」李淑徳は早速、卜者(ボクシャ)に日取りを決めさせると言った。すると李玄は機転を利かせて結婚に賛成する。「後妻が欲しいと言ってたもんな~父上の婚儀には喜んで参列するよ」「にっ(你)!」李淑徳が手を上げると、護衛の常青が現れ阻止した。こうしてその場は何とか乗り切った李玄だったが…。その頃、学院に育閔(イクビン)が現れた。王女をあきらめきれない育閔は雲杉に珍しい玉を贈ろうとしたが、袖にされてしまう。すると生徒たちのひそひそ話が聞こえた。<公主は鳳鳴と恋仲なのに、あの殿方もあきらめが悪いわね~<本当ネー(*´・ω・)(・ω・`*)ネー面白くない育閔はちょうど鳳鳴を見つけ、いきなり首をつかんだ。「お前、公主を横取りするとはずい分と厚かましいじゃないか? 皆がお前たちの噂をしているぞ?お前も公主も恥を知れ!」育閔は何度も鳳鳴の顔を殴りつけた。雲杉は鳳鳴が育閔に殴られていると聞いて慌てて駆けつけた。すると育閔が鳳鳴に沙国の王女が男にだらしないと認めるよう迫っている。鳳鳴は自分のことならまだしも、王女を侮辱するなと激怒、思わず掌(ショウ)を放ちそうになったが、咄嗟に手を出すまいとこらえた。その様子を見た育閔は生意気だと横面を思い切り殴りつけ、鳳鳴は回廊に倒れ込んでしまう。「やめなさいっ!」雲杉は鳳鳴を助けると、霊力を使って育閔を殴り飛ばした。「(バシッ!)これは私を侮辱したお返し(バシッ!)これは同級生を暴行したお返しよ!」育閔を追い返した雲杉は鳳鳴の傷だらけの顔を手当てした。「あんな男、簡単にやっつけられるでしょう?」「霊力や仙術を使ってやり合うのは不公平だと思ったんだ」「…バカね」しかし雲杉は鳳鳴が一瞬、自分のために戦おうとしていたことを知っていた。つづく( ;∀;)旺財…うちのワンコたちも聖域で元気だといいな〜@アニマルプラネットか?w
2021.05.28
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天舞纪 Dance of the Sky Empire第13話天書(テンショ)仙人の部屋にある本で昆吾(コンゴ)族の惨状を見た蘇猶憐(ソユウレン)。一族を救うためには急いで帰らねばならないと気づき、李玄(リゲン)にここから早く出たいと訴えた。李玄は猶憐と暮らす聖域での生活が気に入っていたが、猶憐の必死の説得で帰ると決める。そこで2人はひとまず最初に落ちた場所へ戻った。すると李玄の令牌(レイハイ)が反応し、結界が出現する。2人は霊力で結界を破ろうとしたが、反噬(ハンゼイ)を受けて跳ね飛ばされた。「身の程知らずめ!」その声は天書仙人だった。氷血(ヒョウケツ)の聖域の力をあなどるなかれ、無事にここから出られる方法などなく、どうあがいても無駄死にするだけだという。実はこの数百年の間、生きてここから出られた者は1人もいなかった。2人はひとまず屋敷へ戻った。李玄は衰弱した猶憐を自分の霊力で治療すると、天書仙人から脱出する方法を聞き出してみると安心させる。そこで再び料理で懐柔を試みたが、失敗した。「哀れなじいさんめ、まあ、千年も1人でいたら誰だって寂しくなる」「お前たちが来る前だって1人で楽しく過ごしておったわ」「なら俺たちを帰してくれよ」「…本気で帰りたいなら、方法がないわけでもないがな」「本当か?!じいさんはやっぱりすごいな~最高の仙人だよ!」李玄は天書仙人の肩を揉みながらおだてた。すっかり気をよくした天書仙人は帰してやっても良いが、代わりに李玄の一番大切な物を譲って欲しいという。それは李玄に子供の頃から備わっている怪我があっという間に完治する能力だった。李玄は猶憐のため、命を守る大事な能力を譲った。すると天書仙人は実は結婚祝いに贈った瑠璃(ルリ)玉があれば聖域を出られると教える。すでに瑠璃玉を持っていた李玄は能力を騙し取られたと憤慨、しかし天書仙人は瑠璃玉には使い方があると言った。説明を聞いた李玄はそれで自分たちを結婚させたのかと納得したが、その時、天書仙人が大事なことを思い出す。「(はっ!)しまった!その瑠璃玉を使って聖域から出られるのは1人だけなんじゃ」翌朝、猶憐は李玄から結界を出られると聞いて喜んだ。何も知らず天書仙人に別れを告げる猶憐、天書仙人は2人を見送りながら、李玄が黙って娘だけ帰すつもりだと気づく。「なかなかの男じゃな…」李玄は猶憐を連れて結界へやって来た。やけに感傷的な李玄、すると猶憐はいつかまた一緒に来ようと慰める。「…無理なんだ」すると李玄は瑠璃玉を出し、自分の指を切って血を垂らした。「さあ、君も…これで帰れる」猶憐は早速、同じように指を切って血を垂らすと、瑠璃玉が輝きを取り戻す。実は李玄は天書仙人から瑠璃玉に2人の血を垂らし、2人の気持ちが本物なら瑠璃玉を呼び覚ませると聞いていた。李玄は猶憐の自分への気持ちを知って密かに喜んだ。「失くすなよ?肌身離さず持っていろ」「うん」すると李玄は思わず猶憐を抱きしめ、涙をこらえた。「どうしたの?」「聖域の中では夫婦でいられる…今のうちに抱いておかないと」「悪知恵が働くんだから」李玄は笑顔に戻ると猶憐を手放し、そっと肩を押して結界の向こうへ送り出した。「李玄?…早く来て」「猶憐、元気でな…」「どうしたの?ちゃんと話して!」「俺は帰れない…ここでお前を思い続けるよ、ずっと」「そんなの許さない!一緒に帰ろうって約束したじゃない!李玄!1人にしないで!」猶憐は1人しか帰れないと知った。驚いた猶憐は自分も残ると言ったが、その時、聖域の結界が開いて吸い込まれてしまう。離ればなれになってしまう李玄と猶憐、その時、猶憐の流した涙が一粒だけ李玄の元へ飛んで行った。昏睡していた御風穆(ギョフウボク)がようやく目を覚ました。しかし付き添っていた雲杉(ウンサン)から猶憐はまだ戻らないと聞いて愕然となる。再び湖へ行こうとする風穆、驚いた雲杉は聖石で救われた命を粗末にしては駄目だと止めた。そこへ護衛・疤頭(バトウ)が駆けつける。「蘇姑娘は無事です!」李玄は寂しさを紛らせるように酒を飲んでは猶憐の幻を見た。しかし抱きしめようとすると猶憐は消えてしまう。李玄はとぼとぼ屋敷へ戻ると、門で王財(オウザイ)が待っていた。「わん!」王財はまるでついて来いと言わんばかりに行ってしまう。王財に導かれ天書仙人の部屋へ入った李玄は文机に天書を見つけた。確かにこの天書を読めば世の中の全てを知ることができる。そこで李玄は本を開いて左の頁に手を乗せると、右の頁にうなされている猶憐の姿が浮き出た。「猶憐…」どうやら猶憐は無事に書院へ帰れたらしい。「聖域から脱出する方法を教えてくれないか?」すると今度は頁に宇宙のような暗闇が映し出された。「これは…この結界が出口なのか?」その時、天書仙人が戻って来る。天書仙人は李玄が見た結界が天秀(テンシュウ)陣だと教えた。しかしあれほど難解不落な結界は挑むだけ無駄だという。李玄は死んでも聖域を出ると食い下がったが、癇癪を起こした天書仙人がいきなり李玄の首を絞めた。「今すぐ死にたいか?どこにも行かせんぞ!」「ならば殺せ…ここで生きるなら死んだ方がマシだ…」驚いた天書仙人は我に返り、李玄を解放した。「聖域に留まれば永遠の命を得られるぞ?俗世の苦しみから逃れたいと思わんのか?」「愛する人に会えないなら、どんなに永く生きられたとしても意味がないよ」李玄は猶憐のためにも必ずここから出ると決意した。そこで早速、天秀陣を探しに向かったが、体力を消耗するばかりで見つけることはできない。すると屋敷に戻るなり李玄は激しく喀血してしまう。天書仙人は仕方なく天秀陣の場所を教えることにしたが、実は結界は厨房の中にあった。「よく考えろ、生きて出られる確率は皆無に等しい」しかし李玄は迷わず釜に飛び込んだ。李玄は天書が映し出した宇宙空間に落ちた。そこには瞑想している小坊主がいる。李玄が小坊主の頭を指で小突くと、小坊主は大きな目を開けて如意棒を招喚した。「俺と勝負を?…子供の相手はしない、大人を出せ」その時、小坊主が飛び上がり、巨大化した如意棒で李玄を殴り飛ばした。すると天書仙人の声が聞こえて来る。『北の方に逃げて戻って来い!』李玄は北極星を目指して走り出すと、満身創痍で厨房へたどり着いた。特殊能力を失った李玄は大怪我を負った。気がつくと身体中に包帯が巻かれ、足は動かないように吊るされている。それにしてもあの強い小坊主は何者なのか。李玄は苛立ちを隠せず、骨にかぶりついている王財に八つ当たりした。「お前、食い過ぎだぞ!」一方、書院に戻った猶憐はようやく意識を取り戻していた。「猶憐!みんな心配していたのよ?1日中どこへ行ってたの?」崔嫣然(サイエンゼン)の話を聞いた猶憐は驚いた。…聖域には3ヶ月はいたはずよ?…つづく( ー̀ωー́ )誰もここからは出られん!…とか言ってるわりに脱出方法はいくつもあるのねw
2021.05.27
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天舞纪 Dance of the Sky Empire第12話天書(テンショ)仙人のおかげで解毒に成功した蘇猶憐(ソユウレン)。李玄(リゲン)は静養している猶憐のため、料理を作り始めた。するといつの間にか厨房の片隅で天書仙人が勝手に料理を食べている。そこで李玄は次々料理を出すと、天書仙人は口では文句を言いながら片っ端から料理を平らげ始めた。李玄は天書仙人が無我夢中で食べている間に自分たちの分を持って猶憐の元へ向かった。「これ李玄が作ったの?」「どうだ?やるだろう?見直したか?」すると猶憐は李玄の顔の汚れに気づいて拭き取ってやる。ふと見つめ合う2人、しかし猶憐は急に恥ずかしくなって視線を外した。「冷めちゃうわ、食べましょう」李玄が庭に出ると天書仙人が庭に座ってうとうとしていた。「爺爺(イェイェ)?何でも知っているって言ってただろう?…実はひとつ教えて欲しいことがあるんだ」「駄目だ、天の機密は教えられぬ、それにわしは何事にも厳格でな」そこで李玄は再び料理を作り、天書仙人を懐柔する。「まあ~わしは厳格な性格ではあるが、例外を認めよう( '༥' )ŧ‹”ŧ‹”」天書仙人は李玄の聞きたいことが猶憐のことだと分かった。「あの娘、お前に気があるようじゃ~」「本当に!…で彼女は俺と同じ種族かな?」すると天書仙人は急に箸を置いて李玄を見つめ、そのまま動かなくなってしまう。「どうかした?」「(はっ!)…うむ、同じ種族だ」「確かか?」「確かだ、わしの目に狂いはない」「(ボソッ)そうだったのか、龍嶶児(リュウビジ)のとんちんかんめ! 蘇猶憐が昆吾(コンゴ)族なわけがない~ふふ♪」「何をブツブツ言っておる…は~食った食った、茶を入れてくれ」「…ふん!自分で入れな!」安心した李玄は急に態度を変えて部屋に戻ってしまう。翌朝、李玄は朝食を作るため厨房へ向かったが、天書仙人の泣き叫ぶ声が聞こえた。李玄が様子を見に行ってみると、天書仙人は仙鏡に映った赤子を見ながら悲しみに暮れている。「何事だ?」「あの女の子が悲運すぎて…生まれたばかりだと言うのに、父親があの子を殺すと言うのだ 母親が人に預けようとするも、行く先に追っ手が…なんて可哀想な話だ」「確かに可愛いが運が悪すぎる、親がいないのでは苦労するだろうな」「わしもあんな赤子が欲しい~」李玄はならば思い切ってさらって来ようかと提案したが、天書仙人はこの赤子の話は18年前の出来事だと教えた。恐らく今や立派な娘に成長していることだろう。すると天書仙人が良い方法を思いついた。天書仙人は李玄と猶憐に結婚を迫り、子供を作るよう命じた。思わぬ提案に驚きながらも満更でもない李玄、しかし猶憐は使命があるため断ってしまう。天書仙人は思い通りにならず苛立ったが、ふと気がついた。「ん?わしも若い頃はそこそこ色男じゃった…その小僧が嫌ならわしと夫婦になるしかない つまりだな、わしと…」「やめろって…もう~聞いてられない、孫のような年の娘を嫁にするって言うのか?」「(コソッ)お前は娘に嫌われておる」「だからって年寄りを選ぶわけないだろう?」すると天書仙人は癇癪を起こし、李玄の首を締め上げた。猶憐は慌てて李玄に嫁ぐと了承、李玄を解放させたが、天書仙人に弱みを握られてしまう。「娘を従わせるためには小僧を痛めつければ良いのか…では1刻後に婚礼だ!」その夜、李玄と猶憐は成り行きで婚儀を挙げた。天書仙人が部屋を後にすると、李玄は花嫁の面紗(メンシャ)をはずし、2人で寝台に座る。|ェ・)<小僧!しっかりな!わしの苦労を無駄にするでないぞ!どうやら部屋の外では天書仙人が愛犬・旺財(オウザイ)と中の様子をうかがっているらしい。猶憐は見せかけの結婚だとばれないよう思わず李玄を押し倒し、夫婦のふりだけでもしようと言った。すると李玄が猶憐を組み伏せる。「晴れ着を着て式も済ませた、もう夫婦だろう?」「意地悪ね」李玄は猶憐と唇を重ねようとしたが、猶憐が顔を背けた。そこで李玄は猶憐の頬にそっと口づけすると、猶憐は困惑して背を向けてしまう。猶憐が目を覚ますと朝になっていた。横にはあどけない寝顔の李玄がいる。思わず李玄の顔に触れる猶憐、すると寝たふりをしていた李玄が猶憐の手に口づけした。天書仙人は李玄と猶憐が出て来るのを今か今かと待っていた。そこへ仲睦まじい2人が現れる。天書仙人はすでに子供のおもちゃを準備、赤子を早く産めと急かした。呆れた李玄は赤子と言えば生まれるまで十月十日かかるものだと言ったが、天書仙人は約束が違うと大騒ぎする。「仕方ないだろう?10ヶ月経たないと生まれないんだから!」「…嘘だったら2人とも食ってやるからな」李玄は先に猶憐を部屋へ逃すと、天書仙人が2人に結婚祝いがあると言った。「瑠璃(ルリ)玉じゃ、長年、大切にして来た宝だ、ほれ」しかし李玄にはその価値が分からなかった。一方、学院では生徒たちが必死に李玄と猶憐を救出する方法を模索していた。すると痺れを切らした御風穆(ギョフウボク)が自ら猶憐を助けに行こうと思いつく。知らせを聞いた雲杉(ウンサン)が慌てて湖に駆けつけると、兄が湖底に向かって霊力を放っていた。蕭鳳鳴(ショウホウメイ)は無理な突破は命を失いかねないと危惧したが、その時、封常青(ホウジョウセイ)が沙国王子に加勢、2人の霊力で結界を破ろうとする。しかし2人は反噬(ハンゼイ)を受け、激しく霊力を消耗して行った。雲杉は兄の元へ駆けつけたいが、鳳鳴が自分たちの霊力では死んでしまうと引き止める。その時、紫極(シキョク)が駆けつけ、2人を捕まえて陸上へ連れ戻した。「戻れた者がいないと知りながら突入するなど、命を捨てるも同然だ」紫極は無謀な2人を叱り、すぐ手当てするよう命じる。氷血の聖域では紫極の力を以っても助けるのは無理、今回ばかりは李玄を信じて待つほかなかった。風穆と常青は昏睡状態になった。紫極の話では″霊力が回復するまで眠り続ける″という。鳳鳴は2人を早く目覚めさせようと、懸命に書物を調べていた。学院でそんな騒ぎになっているとも知らず、李玄と猶憐の距離はぐっと近づいていた。すると天書仙人が子供ためにブランコが安全かどうか試したいと、仙術で無理やり李玄を座らせてしまう。「うわーっ!やめろーっ!」天書仙人のブランコは天高く舞い上がったかと思うと急降下、李玄は生きた心地がしなかった。「助けてーっ!降ろせ!じじい!降ろせってば!」やがて李玄はどこかへ飛ばされ、消えてしまう。(´-ω-`)<うむ…やはりだめか、改良せねばな~李玄はブランコの仕返しを思いついた。そこで庭で居眠りしている天書仙人の手と旺財の首輪を縄でつなぐ。( ・ノェ・)コショッ<旺財! ピキッ∑U・x・U李玄は旺財に餌を見せると、遠くへ放り投げた。すると旺財は全力で走り出し、天書仙人を引きずって雪原の彼方へ消えてしまう。夕食の時間になり、猶憐は天書仙人を迎えに行った。しかし部屋には誰もいない。その時、ふと文机にある分厚い本に目が留まった。猶憐は興味が湧いて本をめくってみたが、なぜか何も書いていない。適当に頁を開いて手で押さえた猶憐、すると隣の頁に昆吾族の惨状が浮かび上がった。つづく( ๑≧ꇴ≦)あははは~爺爺に呆れる李玄の表情恐らく全視聴者が同じリアクションしたと思われwww
2021.05.26
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※邦題「龍王の恋」と決定しました!″遇龙″はWeTVにて日本語字幕版が同時配信されたドラマこのご時世、アプリをDLするのはちょっと…という皆様、お待たせしました♪いよいよYouTubeでも騰訊さんで視聴可能となりました~(゚∀゚ノノ゙パチパチパチパチ残念ながら日本語字幕はありませんがengsubがあります今回は第1話の簡単なあらすじをご紹介第1話(物語は女主が白龍の背中に乗って空を飛んでいる様子から始まります)…私の心が覚えている、かつて彼と出会い、彼を愛したことを…彼は私にこの世界で最も無垢な愛をくれた…夢でも現実でもいい、甘くても苦くてもいい…私の望みはただひとつ、あなたと再会することだけすると流螢(リィゥイン)は白龍の絵を愛おしそうに指でなぞった3年前のある日、流螢は夏侯雪(シァホウシュェ)のお供で出かけた帰り道、馬車の中で書物を手に取った「何を読んでいるの?」「(千年遇龍)これが龍王、これが人間の少女です 二人はありとあらゆる困難を経験し、最後は幸せに暮らすのです」その時、馬車が急停止、夏侯雪は激しい揺れに驚き、足をひねってしまう実は郊外にいた流民が食料を求め、馬車を止めていたのだ騒ぎはすぐ収束したが、足を痛めた夏侯雪を手当てしなくてはならなかったしかし町に戻るまで医者は見つからないすると流螢は道すがら梔子(クチナシ)の木があったことを思い出した流螢は小姐を馬車から降ろし、木の根元に座らせたすると父から教わった通り梔子の果実で軟膏を作り、小姐の足首に湿布する夏侯雪は確かに気持ちが良いと喜んで馬車に戻ることにしたが、その時、流螢が空を指差して叫んだ「小姐!本物の龍です!」「はいはい、すごいすごい、次は龍と結婚するのかしら?」夏侯雪は本の読みすぎだと思ったのか、空を見ずに鼻であしらうしかし流螢の目には確かに雲の切れ間から白龍の姿が見えていた実はその白龍は天劫を受けたところだった池に落ちた尉遲龍炎(ユーチーロンイェン)は人形(ヒトガタ)に変身して上がると、衣をまとうすると命格星君が現れた「おめでとう、龍王、2回目の天刧で九道の雷を受け、これでいつも人形でいられます しかし服を着るのを忘れないでください、もし私が女子だったら変態だと思いますから」「龍隠池に来る女子などおらぬ、どうせ我ら二人だけだ、気にするな それともまさか恥ずかしいのか?」「なっ何をおっしゃるやら…」その時、急に龍炎が喀血してしまう脈診した命格星君は龍炎の心脈が傷ついていると気づいた実は数日後には3回目の天刧が待っているあと1回で真の龍上仙に昇格できる龍炎、この機会を絶対に逃すわけはにいかなかったすると命格星君が″上古金甲″で身を守れば次の天劫を乗り切れると気づく確か天庭で盗まれたと聞いていたが、命格星君はこの金甲を天魔双煞(ソウサツ)が持っていると教えた「しかし手に入れるのは簡単ではない…」一方、屋敷に戻った流螢は保護した青鳥の怪我の様子を見ていたどうやら足は治っているそこで青鳥を放してやったが、すぐに青鳥が舞い戻って来た青鳥は恩人に小さな花を贈ると、机の上にある菓子をねだるその時、突然、落雷があり、驚いた青鳥は思わず流螢の手に留まった…この人間は良い匂いがするわ…龍炎は洞窟で上古金甲を見つけたすると天魔双煞が現れ、龍王に襲いかかるしかし2人は龍炎の敵ではなく、あっけなく龍気で消散してしまうこうしてあっさり金甲を手に入れたかに見えたが、その時、突如、洞窟が崩れ始めた…罠だったか…流螢は小姐と裏山へやって来たまさかこんな近くに落英谷があるとは知らず、その美しさに目を見張る流螢は早速、一面に敷き詰められた花びらを拾い始めたが、その時、空から何かが落ちたような音がした落英谷に落下したのは洞窟から脱出した龍炎だったしかし龍炎は深傷を負い、喀血してしまうすると誰かがこちらへやって来るのが分かった流螢は小姐と2人で異変がないか付近を調べていたするととぐろを巻いた白蛇を見つける「うわーっ!小姐!蛇がいる!」流螢は幼い頃に蛇に噛まれて以来、大の蛇嫌いだったしかし夏侯雪は蛇が動いておらず、怪我をしていることに気づく「美しい小蛇ね、こんな美しい蛇ならきっと貴重なはずよ」夏侯雪は怖がる流螢を説得し、蛇を連れて帰るよう勧めた流螢は屋敷へ戻ると、先日まで青鳥が入っていたカゴの中に蛇を入れた…人間が本座をカゴに入れるとは!…蛇は憤慨しているのか、柵越しに威嚇してくる仕方なく流螢は檻から蛇を出すと、寝台に被子(布団)を丸めて寝床を作ってやったすると蛇は気に入ったのか、自ら寝床に包まって落ち着くそこで流螢は薬箱を持って来た「動かないで、これは私の爹爹(ディェディェ)独自の特別な軟膏なの 爹爹は外傷の達人よ…もし今も生きていたら私だって… ぁ…爹爹はきっと神仙になって私を守ってくれているわ だから私は夏侯府でこうして小姐と一緒に育ててもらえたんだもの」父を思い出してしんみりする流螢、そんな流螢の身の上に同情したのか、白蛇はおとなしく薬を塗らせてくれた流螢は不思議と白蛇のことが怖くないと気づき、銀白の蛇に″小白(シャォバィ)″と名付ける「ヨシヨシ…」気がつくと蛇嫌いだった流螢は小白の頭をなでていた流螢は小白のためにうずらの卵を持って来た。しかし龍炎は生ものなど食べられず、咄嗟に仙術で灯籠を落とし、流螢が拾っている間に流螢の昼食だった羹を食べてしまう流螢は小白が蛇でも生ものを好まないと気づき、夕食は小姐が残した糕点(コウテン)をもらうことにしたすると小白は流螢がお茶を入れている間にペロリと平らげてしまうしかし一気に飲み込んだせいでむせてしまい、流螢が入れてくれたお茶を飲んで流し込んだ「私の前で食べたくないのね?蛇なのにそんなこと気にするなんて~ふふ」そこで流螢は最後に小姐からもらったドリアンの飴をあげた龍炎は口に入れたものの、あまりの臭さに吐き出したいが、流螢の前で失態は犯せない必死に我慢する龍炎、その様子を見ていた流螢はてっきり小白がドリアンを気に入ったと誤解した就寝時間になった流螢は小白にすっかり慣れたが、オスかメスかわからないの一緒に寝るわけにいかないという「男女授受不亲(男女はむやみに触れ合わないのが礼儀)って言うでしょう?」そこで流螢は寝台を小白に譲り、床で寝ることにした流螢が熟睡する頃、龍炎は人形に戻った「″男女授受不亲″とはなんだ?本座に娶って欲しいのか?」すると龍炎はあまりに寝相がひどい流螢を抱き上げ、寝台へ運んだあどけない流螢の寝顔、龍炎は横になって流螢を見つめていたが、やがてそのまま一緒に眠ってしまう翌朝、龍炎はふと目を覚ましたすると流螢が胸に抱きついて眠っているつづく( ๑≧ꇴ≦)龍王まさかのマッパwからの登場さて″永遠の桃花″を視聴済みの方なら″玄女が素素になった″と言えばどんなお話か察しがつきそう?なんと今回は四生四世だそうで、どうなるのか楽しみ1話30分で全36集元ネタは同名のゲーム※劇中のセリフはかなりアレンジされていますのでご了承ください(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾ペコ
2021.05.25
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天舞纪 Dance of the Sky Empire第11話手毬(テマリ)の勝負で劣勢に立たされた蘇猶憐(ソユウレン)率いる白組。しかし李玄たち紅組が鞠を操る様子を観察しているうち、猶憐は霊力を使って勢いを削ぐことに気づいた。猶憐は早速、白組の仲間に操り方を指南、そのおかげで白組は怒涛の反撃で紅組に追いつく。すると面白くない崔翩然(サイヘンゼン)が隙を見て背後から猶憐の肩に暗器を刺した。猶憐は急なめまいに襲われたが試合時間はもうわずか、恐らく卑怯な手を使ったのは後ろにいる翩然だろう。そこで猶憐は自ら暗器を抜き去ると、吹き飛ばした暗器が翩然を直撃、頬を傷つけてしまう。その時、鞠がちょうど猶憐の頭上に飛んできた。猶憐はすかさず飛び上がって鞠を蹴ると、見事に的をとらえて逆転する。「…私たちの勝ちね、令牌を渡して」「禁じ手を使ったな?」李玄はてっきり猶憐が翩然に暗器を放ったと誤解、憤慨して帰ってしまう。猶憐は李玄を引き止め、令牌を渡せと食い下がった。しかし李玄は暗器を使ってまで令牌を欲しがる理由が分からない。その時、猶憐が苦しそうに喀血した。李玄は猶憐の肩に傷があると気づき、実は翩然が猶憐に毒針を刺していたと知る。すると2人に追いついた翩然が現れ、いきなり猶憐を突き飛ばした。毒のせいで霊力が弱っている猶憐は湖に落下、驚いた李玄は猶憐の後を追って飛び込んでしまう。李玄は湖底に沈んで行く猶憐を捕えた。すると急に懐に入っていた令牌が光を放ち、2人は激しい水流に巻き込まれる。李玄は離ればなれにならないよう猶憐を強く抱きしめたが、やがて氷の渦にのまれ、李玄は猶憐をかばって傷だらけになってしまう。その頃、湖には李玄と猶憐を心配して生徒たちが集まっていた。御風穆(ギョフウボク)と封常青(ホウジョウセイ)は湖に潜って2人を探していたが、どこにも見当たらない。辺令誠(ヘンレイセイ)は猶憐を突き落とした翩然を激しく非難、すると翩然は全て猶憐が悪いと訴えた。しかし風穆は翩然の頬の傷は崔家の毒だと見抜き、猶憐に罪を着せたと暴く。そこへ報告を聞いた謝雲石(シャウンセキ)がやって来た。湖の中を探しても見つからないのなら、2人は氷血(ヒョウケツ)の聖域の中に落ちた可能性が高い。ここ鏡月(キョウゲツ)湖は一見、普通の湖だが、実は書院で最も危険な聖域の1つだった。李玄の持つ令牌は聖域の入り口を開く力を秘めているため、聖域に導かれてしまったのだろう。李玄と猶憐は雪が降り積もる極寒の地に落ちた。「まさか…これは…」李玄は令牌を持っていたせいで湖の底にある聖域に来てしまったと気づく。すると猶憐は自分のために湖に飛び込み、背中が傷だらけになった李玄を心配した。李玄は自分のことより毒に侵された猶憐を気遣い、ひとまず洞窟で寒さをしのぐことにする。「…大丈夫なの?」「心配しなくていい、このくらいの傷なら自然と治るんだ…ほら」李玄は首の傷を見せると、確かに裂傷がみるみる治っている。「生まれた時からこうなんだ、理由は分からない」しかし李玄は激しい眠気に襲われ、思わず猶憐の肩を借りた。「しばらく寝かせてくれ…」李玄と猶憐はいつの間にか眠っていた。やがて2人は目を覚ましたが、その時、洞窟の入り口に立つ怪しい人影に気づく。一方、宮中では龍嶶児(リュウビジ)が書院から戻った鄭百年(テイハクネン)から李玄と猶憐の件を聞いていた。「氷血の聖域は天書(テンショ)仙人の住みかで、脱出するのは至難の業だとか」「…嫌な予感がするな」その頃、書院では生徒たちが手分けして2人を助け出す方法を探していた。李玄と猶憐が目を覚ますと、大きな庭石に寝かされていた。すると白髪の老人が現れ、今日は猶憐を食べると言って煮えたぎった釜の上に猶憐を招喚してしまう。「わしは何百年も生きて多くのものを食べた、唯一、食べたことがないものは生きた人間じゃ そこへちょうどお前たちが現れた、まさに老天爺からの贈り物じゃな」慌てふためく李玄、その時、ちょうど目の前にお座りしている犬に気づき、咄嗟に捕まえた。「この犬が死んでもいいのか?!」「小僧!わしの旺財(オウザイ)に触るな!」「煮るぞ!どうだ!彼女が死んだら犬も死ぬ!」老人は愛犬を救うため2人を食べないと約束、しかし解放された猶憐が再び喀血してしまう。「おやま~裂心散(レッシンサン)の毒を食らったか、1刻も経たぬうちに死ぬぞ~な?旺財♪~ヨシヨシ…」「この毒の名前を?!」「ふん、わしは天書仙人、生き字引きじゃ、何でも知っておる」「天書仙人?!…あなたがかの高明な天書仙人!では解毒方法を?!どうか猶憐を助けてください!」「助けるわけなからろう?!わしの可愛い旺財をいじめおって!」そこで猶憐は天書仙人を煽った。「李玄、もういいの…天書仙人にもできないことがあるのよ~(チラッ」「待て待て待て待て~誰が治せないと言った?!」「天書仙人ったってどうせただの寂しい隠居老人だろ?…心配するな猶憐、一緒に死のう ここでひとり寂しく暮らすよりはマシだ」「わしがいるのに2人で仲良く死ぬだと?!えーい!絶対に治してやる!」こうして2人はまんまと天書仙人を口車に乗せ、猶憐は身体から毒を抜いてもらうことに成功した。皇太子は李玄が氷血の聖域に消えたと聞いて大喜びした。ここ数百年、あそこから生きて帰れた者は1人もいない。皇太子は早速、書院へ駆けつけると、生徒たちが湖で途方に暮れていた。「李玄は戻らない、いくら待っていても無駄だ、皆ももう帰りなさい、解散だ!わははは~」猶憐が目を覚ますと李玄が付き添っていた。李玄は猶憐が回復するまでもう少し待とうと話し、自分が守ると安心させる。「腹が減っただろう?ちょっと待ってろ」李玄が屋敷を出ると、猶憐に寝所を奪われた天書仙人が庭で寝ていた。李玄は厨房を借りて料理を始めた。手際良く一品目を作ると、つぎに二品目を完成させる。すると厨房の片隅で天書仙人が勝手に一品目を食べていた。( ̄꒳ ̄)<どうだい?(๑≧ꇴ≦)b<絶品だ!あ…(; ̄◇ ̄)つづく(^ꇴ^)天財が可愛い~でも仙人のペットが柴犬ってどうなの?!と言うか…これ何の話?(笑
2021.05.24
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天舞纪 Dance of the Sky Empire第10話座学で居眠りしていた李玄(リゲン)。ふと目を覚ますと、前の席にいた蘇猶憐(ソユウレン)と沙国王子・御風穆(ギョフウボク)が意味ありげに目配せしていた。面白くない李玄は急に席を立つと、玄冥(ゲンメイ)常傅(ジョウフ)の講義は眠くなるので帰るという。うっかり失笑してしまう辺令誠(ヘンレイセイ)たち、すると憤慨した玄冥は李玄に逃げた捕虜たちの捜索を手伝うよう命じ、笑った生徒たちも付き合わされる羽目になった。風穆は耀輝(ヨウキ)城主に謁見することにした。そこで城主へ届ける貢ぎ物の荷に昆吾(コンゴ)の捕虜たちを紛れ込ませることにする。猶憐や尤安(ユウアン)将軍は沙国王子の協力に心から感謝したが、護衛・疤頭(バトウ)は王子の身も危険になると気が気でない。しかし風穆は沙国にとって昆吾族は友だと言った。李玄は令誠、封常青(ホウジョウセイ)、崔翩然(サイヘンゼン)と城門の番を手伝った。その周りを兵士たちが囲んでいたが、李玄が逃げ出さないよう見張っているようにみえる。そこへ沙国王子の馬車がやって来た。疤頭は門衛に通行証を見せると、風穆が馬車の帳(トバリ)を開けて顔を見せる。すると風穆の隣に猶憐が座っているのが見えた。王子を確認した門衛は通行許可を出したが、猶憐の同行を怪しむ翩然が咄嗟に制止する。「ちょっと甘過ぎじゃない?積荷も調べないなんて…」しかし李玄は黙ったまま様子をうかがっていた。その時、後ろの馬車で何かが動くのが見える。翩然は早速、馬車に向かって歩き出すと、猶憐は剣を握りしめた。猶憐の放った剣が翩然を阻んだ。危ないところで駆けつけた李玄は剣をつかんで止めると、猶憐と風穆が馬車から現れ、猶憐は自分の剣を取り返す。怒りが治まらない翩然は猶憐に仕返ししようと剣を招喚したが、李玄が止めた。「思い出せ、ここに派遣された目的を」その時、兵士が後ろの馬車から猫を連れて来た。「音の主はこの猫でした」しかし納得がいかない翩然は王子の馬車も調べようと訴える。疤頭は無礼だと激怒、そこで李玄が護国師である自分が調べるという。「本気なの?」猶憐は思わず馬車の前に立ちはだかり、李玄に確認した。「本気だ…助けなら奴に乞え」李玄が馬車の中に入ったが、特に問題はなかった。そこでなぜ2人がお忍びで遠出するのか聞いてみる。するとその時、馬車から物音がした。李玄は再び馬車の中へ入ると、なぜか化粧箱が落ちている。緊張が走る猶憐と風穆、しかし結局、李玄は問題ないと言って城門を通してくれた。一方、蕭鳳鳴(ショウホウメイ)を意識し始めた雲杉(ウンサン)のもとに、見知らぬ公子から文が届いた。全く興味がない雲杉、しかし侍女・小英(ショウエイ)が会うだけ会ってはどうかと勧める。そこで雲杉は謎の公子が待っているという涼亭に行ってみた。どこかで見た顔だと思えば、宮廷の舞比べの宴で自分を見つめていた軽薄そうな男だと思い出す。「育閔(イクビン)と申す、母は陛下の姉妹、父は育公爵だ」育閔は王女の美しさに魅了されたと告白、雲杉が断ってもしつこく食い下がる。すると雲杉はちょうど庭の掃除中だった鳳鳴を見つけた。「鳳鳴!こちらへ!」雲杉は鳳鳴も自分に告白したことがあると嘘をついて腕を組んだ。「麒麟を倒せたのはこの人の結界陣のおかげなの、顔だってあなたよりかっこいい 彼のような傑士こそ、私を好きになる資格があるわ!」すると育閔はあきらめて帰って行った。しかし鳳鳴は自分を利用した雲杉を非難し、強引に王女の手から腕を引き抜く。「″女と子供は手に負えない″と言うが本当だな!」鳳鳴は心外だとばかりに掃除に戻って行った。昆吾族の捕虜は無事に郊外まで脱出した。猶憐は尤安に一族の生き残りを任せ、国を復興させるため龍皇(リュウコウ)を解放すると誓って見送る。すると風穆は李玄が気づいていながら見逃してくれたのだと言った。実はあの時、李玄は馬車の中で荷物の奥にいる捕虜を見つけていた。しかしまだ幼い子供たちが怯える姿を目の前にして何もできず、見逃してしまう。その夜、常青は思い悩む李玄に声をかけた。「気になるなら本人に確かめては?」李玄は草笛を吹くのをやめたが、ただうつむいて何も言わなかった。剣霊は李玄が猶憐の正体に勘づいた可能性があると心配した。しかし猶憐は本当に気づいたなら見逃すはずがないという。「こざかしい男ゆえ用心せよ、再び令牌の奪取にかかれ」「承知しました」翌日、学院では鳳鳴と王女が恋仲だという噂で持ちきりだった。令誠にからかわれた鳳鳴は誤解だと訴え、思わず王女を好きではないと誓ってしまう。そこへ運悪く雲杉が現れた。「あなたなんて大嫌っ!」鳳鳴は不本意ながらまた王女を怒らせ、頭を抱えた。今日の実技は霊力を使って筆を自由自在に動かす授業だった。退屈していた李玄は楽しみながら霊力を高められる方法があると提案し、手毬(テマリ)で勝負しようという。「負けた組みは掃除当番だ」生徒たちは大喜び、仕方なく謝司業も認めた。しかし猶憐は遊び方も知らず、参加しないと決める。すると李玄がやって来た。「蘇猶憐、令牌が欲しいんだろう?俺に勝ったらやるぞ?」ただし沙国王子とは別の組になるのが条件だという。「王子なしでも勝ってみせるわ!」生徒たちは裏山の広場に集合した。試合は6人ずつの2組で勝負、結界内を自由に動き回って良いが、場外の者の霊力は借りられない。故意に相手を傷つける行為は反則とし、重大な反則を犯せば退場、小休止は各組1回、的は規則的に回転し、鞠が入るごとに1点、得点の多い組が勝ちだ。試合が始まった。しかし鞠は普通の球ではなく、勝手に動いてしまうため扱いが難しい。コツを知っている李玄が点を重ねる中、猶憐や雲杉たちは手こずるばかりだった。さらに猶憐は翩然に突き飛ばされ転倒してしまう。心配した李玄は中止を提案したが、猶憐は何としてでも令牌を手に入れるため、試合を続行した。…鞠くらい操れるわ、何としても勝つのよ…猶憐は意地になり、鞠に食らいついた。すると鞠が暴走、猶憐は鞠を抱えたまま空中で振り回されてしまう。李玄は鞠を放せと叫んだが猶憐は必死にしがみついた。しかしやがて鞠に振り落とされ、背中を強打してしまう。李玄は猶憐を休ませようと小休止を取った。どうやら鞠は力で抑えようとすればするほど制御できなくなるらしい。実はこの鞠は紫極(シキョク)の宝物、見学していた風穆は猶憐の白組が勝てる見込みはないと知る。一方、崔嫣然(サイエンゼン)は満身創痍の猶憐に負けを認めようと勧めた。しかし猶憐は拒む。「絶対、認めない」李玄はそんな頑な猶憐の態度に困惑した。…蘇猶憐、令牌のためになぜそこまでする?…このままでは命を落とすかもしれないぞ試合が再開された。白組の足を引っ張る鳳鳴だったが、雲杉をかばって鞠に当たってしまう。そんな中、猶憐は鞠を的に入れる好機に恵まれた。しかし至近距離にも関わらず的を外してしまう。李玄は鞠を制御できないようでは白組に勝ち目はないと言い放ち、降参を勧めた。「降参しない、続けるわ!」すると猶憐は李玄たちが鞠を操る様子を観察した。…そうか、霊力で勢いを削ぐのね…つづく( ー̀ωー́ )<なぜそこまでする?…って、うっそ〜ん(笑それにしても剣霊のじいさんが感じ悪過ぎ( ತ _ತ)
2021.05.22
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天舞纪 Dance of the Sky Empire第9話第二皇子・龍嶶児(リュウビジ)は令牌に執着する蘇猶憐(ソユウレン)を昆吾(コンゴ)族だと疑った。二皇子の指摘に言葉を失う李玄(リゲン)、すると舞比べの大取りを務める蘇猶憐の踊りが始まる。その美しさに沙国王子・御風穆(ギョフウボク)も目が離せなかった。雲杉(ウンサン)は猶憐に見とれる兄の様子に気づき、思わず結婚を考えたらどうかと助言する。「からかうなよ」しかし風穆もまんざらではなかった。猶憐の舞に会場は大歓声、これには梁(リョウ)王もさすがに素直に負けを認めるしかなかった。喜んだ皇帝は功労者である皇太子に褒美を授けると決めたが、皇太子は国の名誉のために務めるのは当然とあえて辞退する。皇太子の手柄に思わず顔を歪ませる謝貴妃、すると猶憐が自ら御前に飛び出した。「陛下!欲しい褒美があります!」嶶児は猶憐が何をねだるのか大よその検討がついたが、李玄は猶憐なら金銀財宝の類だろうと言葉を濁す。すると上機嫌の皇帝は猶憐の無礼を咎める様子もなく、何が欲しいのか尋ねた。「蘇猶憐!」猶憐は李玄の声に驚いて振り返った。「本当に欲しい物が何かよく考えてみろ!」しかし猶憐は迷わず皇帝から令牌をもらうことした。「陛下、私に金のかんざしを…(え?)」なぜか猶憐は心にもないことを口走ってしまう。「私に金のかんざしを…(はあ?)私が欲しいのは金のかんざし…(まさか!)」猶憐は必死に言い直そうとするが、李玄の術のせいで″金のかんざし″としか言えなくなっていた。李玄が宮道を歩いていると、怒り心頭で猶憐が待ち伏せしていた。「なぜ私の邪魔をしたの?!」金のかんざしを李玄に投げつける猶憐、すると李玄は慌ててかんざしを拾って話をそらす。「望み通りの褒美をもらったのに不満なのか?」「ふざけないで!」猶憐は本気で李玄を蹴り飛ばし剣を招喚、石垣にぶつかった李玄めがけて突進した。しかし剣は李玄の顔をかすめて石垣を突き刺し、猶憐は警告だけで帰ってしまう。第二皇子の護衛・鄭百年(テイハクネン)は猶憐の正体を暴かないのか確認した。猶憐が昆吾族だと分かれば皇太子も責任を問われ、立場を失うだろう。しかし嶶児は自分が皇宮に戻るなり皇后と皇太子が失脚すれば皇帝に疑われると懸念した。猶憐の件もまだ証拠がなく、皇太子を陥れようとして返り討ちに遭うのは避けたい。どちらにしても猶憐が昆吾族ならいずれ問題を起こすはずだ。皇后は皇太子から宴の話を聞いて胸がすく思いだった。「龍嶶児は太子の座を狙っているけど、とんだ思い上がりだわ 陛下のお心は皇后である私が一番、知っている」皇后は慎重に過ごしてさえいれば大丈夫だと息子を安心させた。あの親子に皇太子の座を奪うことなどできないだろう。風穆は第二皇子の寝宮を訪ねた。「私を呼んだのはどういったご用件でしょうか?」「力を貸して欲しい」風穆は弱小国の王子に何の力もないと卑下したが、嶶児は沙国が天啓国の属国から脱却したいはずだと察していた。「少なくとも王子はそう思っているはず…」「そう言う殿下こそ、二番手に甘んじるのは嫌なようですね…で、私は何をすれば?」猶憐は孤独だった。ひとりにぎやかな街を歩きながら、こんな時に姉がいてくれたらと思わずにいられない。猶憐は人混みの中に姉の幻覚をみて涙が込み上げて来たが、その時、風穆が現れた。互いに故郷から離れて暮らす者同士、喧騒で寂しさを紛らわせたいのは同じらしい。すると風穆は猶憐の手を握り、故郷を探しに行こうと言った。風穆は猶憐を連れて郊外にやって来た。「身を置く場所が変わっても、空だけは昔のまま、私たちを見守っている」猶憐は美しい星空を眺めながら、まだ小さい頃に姉から聞いた話を思い出した。『昆吾族の人は死んだら星になるんだって、人はみんな死ぬの?』『私が死んだ後、また会いたいと思ったら、一番大きな星を探して、それが私よ』しかしその時はまだ姉が死ぬなど考えたこともなかった。「一番明るい星が姉だわ…空の上で何をしているのかしら?私に会いたい?」すると猶憐はそっと涙をぬぐってから風穆に笑顔をみせた。「今日はありがとう、もう遅いから帰りましょう」「はお」猶憐と風穆が城内に戻ると、ちょうど擎天城(ケイテンジョウ)に移送された昆吾族の捕虜を見かけた。すると長旅で疲れた老人が倒れ、怒った兵士たちに乱暴されている。驚いた猶憐は助けに行こうとしたが、咄嗟に風穆が止めた。「今、飛び出したら君の身が危うくなる」風穆は猶憐の正体に気づいていた。しかし正体など関係なく、猶憐は盟友だという。「信じてくれ、沙国は昆吾の味方だ、昆吾族と人族の間に優劣の差はないだろう?」その時、護送兵の前に外套を目深にかぶった男が現れた。兵士は男が昆吾の残党だと気づき、恐ろしくなって捕虜の老人を盾にした。しかし老人は自分に構わず子供たちを救って欲しいと懇願する。男は手が出せずにいたが、その時、白い影が動いたかと思うと、兵士たちをあっという間に片付けた。「将軍!」「聖女様!またお会いできようとは…」「生きていたのね、てっきりあなたも…」「確かに昆吾の同胞はわずかな人数しか生き残っていません」すると風穆が仙術で捕虜たちの拘束具を外してやった。「長居は無用だ、場所を変えて話そう」風穆と猶憐は捕虜たちをかくまった。猶憐は風穆の協力に感謝したが、もう1つ頼みがあるという。「逃がしたいのかい?」「私には同胞を助ける義務があるの」崔翩然(サイヘンゼン)と嫣然(エンゼン)姉妹は使用人から実家の荷物を受け取っていた。何でも昆吾の捕虜がさらわれたとか、物騒なので出歩かないようにと父からの伝言を聞く。そこへ猶憐が帰って来た。嫣然は菓子があるのでお裾分けすると声をかけたが、猶憐の袖口に血がついていると気づく。「怪我したの?」「あ…平気よ、仙術の練習で傷つけただけよ」しかし翩然はどこか変だと怪しんだ。剣霊は令牌の奪取が急務だと命じた。問題は李玄だが、邪魔者は消さなくてはならない。驚いた猶憐は李玄が殺されれば犯人探しが始まり、もし正体が暴かれたら龍皇(リュウコウ)解放が果たせないと訴えた。「まさか本気で李玄に惚れたのではないだろうな?情でも湧いたのか?!」「違います、ただ令牌を奪うために殺しまでしなくても…」「情けは無用だ!」師匠はいずれにせよ李玄を消さなくてはならないと釘を刺した。沙国王子の護衛・疤頭(バトウ)は昆吾の捕虜を助けるのは危険だと諫言した。すると風穆は天啓国に来た目的はまさに昆吾族を助けるためだという。龍皇の解放にしても猶憐ひとりでは危険だろう。しかしこの件が騒動になるのは必至、疤頭は下手をすれば収拾がつかなくなると言った。「案ずるな、策なら講じてある」李玄はなかなか眠れず、金のかんざしを手に月をながめていた。…猶憐、怒っていたな…一方、ようやく床についた猶憐も悩みがつきない。同胞を助けるために李玄を殺すべきなのだろうか?その頃、正義(セイギ)堂でひとり書物を呼んでいた蕭鳳鳴(ショウホウメイ)は、いつの間にか居眠りしていた。するとまた無意識に立ち上がり、ふらふらと歩き始める。そんな鳳鳴の姿を偶然、雲杉と侍女・小英(ショウエイ)が見かけた。2人はまた夢遊病だと気づいて鳳鳴を追ったが、結局、見つからず朝になってしまう。雲杉たちは仕方なく寝殿に戻ったが、殿前の回廊で眠っている鳳鳴を見つけた。小英に起こされた鳳鳴はてっきり沙国王女が自分の寝殿に来訪したと思ったが、ようやく雲杉の寝殿だと気づく。「オワタ…また遊行を…」鳳鳴は雲杉に殺される前に慌てて逃げて行った。眠れぬ夜を過ごした李玄は早々に修練場へ向かった。すると偶然にも霊力を訓練している猶憐を見つける。( ̄꒳ ̄).oO(謝っておくか…しかし先に風穆が猶憐に声をかけてしまう。(* >ω
2021.05.21
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天舞纪 Dance of the Sky Empire第8話師匠に令牌を奪うよう急かされ、李玄(リゲン)の寝殿に忍び込んだ蘇猶憐(ソユウレン)。そこで寝台に上がり、眠っている李玄の懐に手を入れて改めてみたが、急に目を覚ました李玄に逆に組み伏せられてしまう。猶憐は恥ずかしさから思わず視線をそらすと、李玄が隣に寝転がり、沙国王子が好きなのかと聞いた。「好きよ…書院の仲間は全員」「じゃあ俺は?…俺のことはどうなんだ?」李玄は珍しく神妙そうに聞いたが、すぐいつものお調子者に戻った。「俺を好きなのか?」李玄は猶憐をからかって口づけしようと迫ると、驚いた猶憐が慌てて寝台から飛び降りた。「あなたは嫌いっ!」李玄は猶憐の背中を見送りながら失笑した。それにしても猶憐はなぜここまでして令牌を手に入れようとするのか。一方、部屋に逃げ帰った猶憐は急いで戸を閉めた。…私どうしたのかしら?胸が高鳴っている、まさか李玄を?…翌日、座学の授業が終わると、常傅(ジョウフ)は近日中に歴史の試験を行うと発表した。しかも落第すれば退学にするという。辺令誠(ヘンレイセイ)は仙術を使っても玄冥(ゲンメイ)なら見破れないと余裕だったが、当日は謝雲石(シャウンセキ)司業も監督に当たると知った。そこで武術はだめでも学問に強い蕭鳳鳴(ショウホウメイ)を懐柔することにする。一方、昆吾(コンゴ)族の猶憐は天啓(テンケイ)国の歴史をよく知らず、このままでは書院を追い出されて龍皇(リュウオウ)の解放が難しくなると焦っていた。日も暮れる頃になると、正義(セイギ)堂に残って勉強しているのは猶憐だけとなった。やがて疲れて机にうつぶしてしまう猶憐、するとちょうど食事から戻って来た李玄たちが回廊を通りかかる。いつの間にか眠ってしまった猶憐はふと目を覚ましたが、なぜか肩に上着が掛かっていた。試験当日、李玄は早々に書き終えて席を立った。御風穆(ギョフウボク)は沙国にない漢字に苦戦していたが、鳳鳴と試験勉強した雲杉(ウンサン)は問題ない。猶憐も徹夜のかいがあって無事に答案を書き終え、結局、生徒全員が及第した。その夜、封常青(ホウジョウセイ)は紫尊の碁の相手をしていた。すると久しぶりに李玄の笛の音が聞こえて来る。「ぁ…少爺(シャォイエ)の土笛です」「こんな時間に土笛か?」「眠れぬのでしょう、寝る時は私がいつもそばにいますので…」常青は李玄が悪夢にうなされることがあり、その時は話し相手になっているという。そこでこの機会に李玄の母のことを聞いてみたが、紫極(シキョク)の顔色が一変した。「常青、私が命じた任務を言ってみろ」「少爺の護衛です」紫極は護衛が余計な詮索をするなと釘を刺し、宿舎に帰した。自分でも気づかぬうちに李玄のことを考えてしまう猶憐、すると剣霊の陣に引き込まれた。師匠は猶憐の変化を見抜き、まさか李玄を好きなのかと驚く。「まさか!師匠…違います」すると師匠は人族である李玄は敵だと念を押し、万が一にも心を許せば昆吾族が黙っていないと牽制した。昼休み、天啓(テンケイ)国の代表として舞を披露する崔翩然(サイヘンゼン)は皇帝から当日の衣装を賜った。食堂で受け取った翩然は生徒たちから声援を受け、鼻が高い。その頃、皇太子から舞を頼まれた猶憐は楊(ヨウ)公公から舞の教本を渡されていた。「3日しかないのに新しい踊りを覚えろと?」「太子は蘇姑娘が″驚鴻(ケイコウ)の舞″を踊るのをお望みです」猶憐は困惑したが、ふと踊りで1等になれば令牌が手に入ると思い出し、期待に応えられるよう励むと言った。その夜、猶憐は修練場でひとり舞の特訓を始めた。するとどこからともなく響き渡る土笛に気づく。…懐かしい音色だわ…猶憐はまだ幼い頃に偶然、耳にした土笛を思い出したが、誰が吹いているかは分からなかった。宮中での宴には各国から要人たちが集まった。摩雲(マウン)書院の新入生たちも招待されたが、なぜか龍嶶児(リュウビジ)は礼服をまとい皇太子と一緒に現れる。実は嶶児は第二皇子だった。何も知らなかった令誠は李玄から聞いて驚き、もっと仲良くしておけば良かったと後悔する。それにしても猶憐の姿がないが、一体どこへ行ってしまったのか。すると皇帝は謝(シャ)貴妃を玉座に一緒に座らせ、いよいよ舞比べが始まった。各国はそれぞれ個性的な舞を披露し、宴は盛り上がった。いよいよ次は翩然の出番、天啓国は10年連続で1等のため大きな期待がかかる。するとさすが踊りが得意な翩然はどの国にも引けを取らない素晴らしい舞を披露し、皇帝も謝貴妃も満足した。大喝采を受ける翩然、そんな中、犬猿の中の雲杉だけは不貞腐れている。しかし最後に思わぬ強敵が現れた。梁(リョウ)国の舞姫たちは幻術を使った斬新な舞を披露、招待客の目を釘付けにした。誰もが今年の1等は梁国だと絶賛、皇帝は機嫌を損ねてしまう。その時、皇太子が立ち上がり、結論を出すのはまだ早いと言った。「先ほどのはほんの余興に過ぎません」李玄はその意味を悟り失笑する。「…太子がこれほどやり手とはな」すると隣の席に座る嶶児に声をかけた。「それにしてもよく身分を隠し通せたな?」「私だけではない…蘇猶憐は令牌に執着し過ぎだと思わないか?」嶶児は猶憐が昆吾ではないかと疑っていた。つづく(  ̄꒳ ̄)あ、座学の席順は毎日、早い者勝ちなのねでも二皇子が嶶児って、え?だって男装しているよね〜あきらかにそれにしても翩然=ほんの余興って…さすがに可哀想( ;∀;)
2021.05.20
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天舞纪 Dance of the Sky Empire第7話上古麒麟(キリン)の妖術に手も足も出ない李玄(リゲン)。しかし見知らぬ公子が現れ、麒麟の顔を傷つけることに成功する。これが好機となり、李玄と生徒たちは一丸となって麒麟を攻撃、捕らえることに成功した。摩雲(マウン)書院では謝雲石(シャウンセキ)司業(シギョウ)と玄冥(ゲンメイ)常傅(ジョウフ)が李玄の帰りを待っていた。しかし朝になっても戻って来ない。やはり未熟な生徒たちに任せたのは無謀だったのか。謝司業は諦めて紫極(シキョク)に指示を仰ぐことにしたが、その時、満身創痍の李玄たちが正門に現れた。生徒たちは各々、居所に戻って傷の手当てに忙しかった。しかし李玄だけはみるみる傷口が再生して行く。それを見た辺令誠(ヘンレイセイ)はまるで化け物だとため息をつき、額に負った自分の切り傷を嘆いた。「…それにしても昨日の男は誰だ?」麒麟退治に現れた謎の男が気になる李玄、すると驚いたことに謝司業が昨夜の男を連れてやって来る。実はその男は新入生の沙国王子・御風穆(ギョフウボク)だった。風穆は挨拶がわりに沙国の傷薬を渡したが、李玄は口先だけで礼を言うと令誠に投げ渡してしまう。どうやら自分は歓迎されていないと気づく風穆、そこで司業に妹の雲杉(ウンサン)と蘇猶憐(ソユウレン)に会いたいと頼んだ。李玄は風穆と猶憐が知り合いだと聞いて内心おだやかではなかったが、体面を守って冷静を装う。「なら俺が連れて行ってやるよ」猶憐が霊力で傷を癒していると、崔嫣然(サイエンゼン)が薬の差し入れにやって来た。嫣然はいつも怠けている李玄が先陣を切って人を助けるとは意外だったと話し、見直したという。確かに李玄はいつもと違っていた。思い返せばいざという時には必ず猶憐を助けてくれた李玄、その時、見覚えのある公子が現れる。「あなたなの?どうしてここに?!」「再会したのに、また傷を負っているね、具合はどうだい?」「平気よ!あなたの言う通りまた会えたわね!」李玄は嬉しそうな猶憐の様子に苛立ちを隠せなかったが、嫣然が風穆に話しかけてくれたおかげで、猶憐にこっそり師匠の薬を渡すことができた。猶憐と親しいところを王子に見せつける李玄、実は風穆も猶憐に沙国の薬をあげるつもりだったが、嫣然を無下にもできず、渡しそびれてしまう。その頃、雲杉は自分をかばって深傷を負った蕭鳳鳴(ショウホウメイ)を見舞っていた。病床の鳳鳴はまだ動けず、今の状態では約束通り5丈離れることができないと慌てる。「ふふ、鈍いのね」すると雲杉は差し入れの薬湯を自ら飲ませ、鳳鳴が助けてくれなければ自分も白骨化しているところだったと感謝した。「礼には及びません、相手が誰でもきっと助けました」女心が分からない鳳鳴、王女が急に怒って帰って行ったが、自分の何が悪かったのか分からなかった。雲杉が寝殿に戻ると風穆が待っていた。「哥!」(∩≧ꇴ≦∩<グァ!←言いたいだけw「本当に困った妹妹だ、決められた結婚から逃れるために天啓(テンケイ)国まで来るとは…」雲杉は無能な夫などお断りだと反発、兄のような英雄に嫁ぎたいという。すると風穆はおだてても無駄だと呆れ、ふと昨夜、妹を救った学友がいたと思い出した。しかし雲杉が急に怒り出し、鳳鳴など大嫌いだという。風穆は動揺する妹の様子に驚いたが、それが意識している証拠だと分かった。紫極は閉関し、龍皇(リュウコウ)を封印している沈月(シンゲツ)の陣を強化していた。すると回廊から謝司業の声がする。「紫尊、何とか麒麟を捕らえることが出来ました、李玄は期待に応えましたね」「うむ、師匠として私の苦労もこれで少しは報われた」しかし先日の刺客の件に関してはまだ何も進展がなかった。新入生の沙国王子が座学に現れた。風穆の美しさに正義(セイギ)堂は女弟子たちの歓声に包まれる。これまで学院の花形だった李玄は動揺し、何より猶憐と親しげな風穆が気に食わなかった。すると授業中、雲杉が近くの席にいる兄に丸めた紙を投げ、鳳鳴に飛ばして欲しいと懇願する。風穆は仕方なく法術で窓際に座っている鳳鳴に向かって投げたが、李玄が鳳鳴の隣に座る猶憐に投げたと誤解して阻止した。憤慨した風穆は再び投げたが李玄がまた阻止、思いがけず丸めた紙をめぐって2人の法術対決が始まってしまう。その時、背中を向けていた常傅(ジョウフ)が振り返り、風穆は咄嗟に丸めた紙を後ろに投げた。常傅から指名された令誠は答えが分からず、思わず机に飛んできた紙を広げて読んでしまう。「えーと…あなたのような間抜けは片手で倒せる(はっ!)」気まずい雲杉と自分への文だと察する鳳鳴、すると常傅は暴言を吐いた令誠に激怒し、追い出した。李玄は自分の誤解だと気づいて居たたまれなくなり、どさくさに紛れて令誠の後を追って出て行ってしまう。遅刻した崔翩然(サイヘンゼン)はなぜか自分が噂の的になっていると気づいた。嫣然の話では自分が″麒麟退治から逃げた臆病者″と揶揄されているという。面白くない翩然だったが、嫣然がなだめて姉を引っ張って行った。すると偶然、猶憐に弓を教えている見たことのない生徒に気づく。「あの人は誰?」「沙国の風穆王子よ、新しい同級生」王子と聞いた翩然は目を輝かせたが、李玄に続いてまたも猶憐と親しいと知り、悔しがった。今日は弓術の授業、男女2人1組になり、的中した数が多い組が優勝だ。早速、相手を探し始める生徒たち、猶憐は李玄に声をかけたが、李玄は照れ隠しでつい憎まれ口を叩いてしまう。「あの〜」「お前は下手だからな、考えさせてくれ」するとそこへ風穆が現れ、猶憐を誘った。「李玄の言う通り私の腕前じゃ迷惑をかけちゃうわ、それでもいいなら…」「行こう!」李玄はぐずぐずしているうちに猶憐を取られてしまう。一方、雲杉は男弟子たちから大人気だったが、自ら武芸のできない鳳鳴を指名した。李玄は不本意ながら翩然と組むことになった。隣で猶憐と風穆王子の仲睦まじい様子を見ながら嫉妬に駆られる李玄、その時、雲杉が犬猿の仲の翩然を懲らしめようと、矢をつがえたところでこっそりつぶてを投げる。つぶては翩然の足に命中、すると翩然はバランスを崩し、李玄を道連れに倒れ込んでしまう。その夜、猶憐は居所でひとり悶々としていた。…李玄なんか大嫌い!でもどうしてこんなに胸が苦しんだろう?…李玄と翩然が抱き合うように転んだ姿を目の当たりにした猶憐はなぜか心のもやもやが晴れない。すると急に剣霊の陣に引き込まれた。師匠は傷が治っても次の行動を起こさない猶憐を訝しむ。「分かっています」仕方なく猶憐は李玄の寝殿に忍び込むことにした。李玄の護衛・封常青(ホウジョウセイ)は猶憐が忍び込んだことに気づいていた。しかし李玄が猶憐を好きだと知っているため、見逃してくれる。その後、令誠が訪ねて来たが、常青は今は駄目だと追い返した。その頃、猶憐は殿内を探っていた。しかし令牌は見つからず、残るは李玄の寝台のみとなる。そこでこっそり寝台に上がって枕の下を探していたが、自然と李玄の寝顔に近づいていた。すると猶憐は歓迎会の夜に渡気(トキ)の術で李玄と口づけしたことを思い出し、ふと我に返る。…令牌を取りに来たのに、私ったらどうかしてる…つづく|ω・`)これは…シューカイ迷じゃないと…
2021.05.19
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天舞纪 Dance of the Sky Empire第6話封印を解かれた上古麒麟(キリン)はその夜、百花楼(ヒャッカロウ)に忍び込んだ。部屋には静児(セイジ)という妓女が思い詰めた様子で鏡を見ている。麒麟は妓楼に売られたうら若い娘に同情しながら近づくと…。一方、李玄(リゲン)と封常青(ホウジョウセイ)はなかなか眠れずにいた。今日の乾淵閣(ケンエンカク)での一件、駆けつけるのがあと一歩、遅ければ蘇猶憐(ソユウレン)の命はなかっただろう。李玄は何か裏がありそうだと疑ったが、その時、回廊を歩く怪しい影を見た。曲者の正体は蕭鳳鳴(ショウホウメイ)だった。先に追いついた常青は鳳鳴を引き留めようとしたが、突然、鳳鳴が攻撃してくる。思いがけず手合わせになった常青と鳳鳴、その様子に李玄は我が目を疑った。「あいつが武術を使った…嘘だろう?!」すると鳳鳴は常青に机を投げつけ、その隙に逃げて行ってしまう。鳳鳴は颯爽と空中を飛んでいたが、ふと我に返って急降下した。その頃、沙国王女・雲杉(ウンサン)は優雅に沐浴していた。しかし突然、叫び声が聞こえたかと思うと、窓を突き破って鳳鳴が湯船に飛び込んで来る。雲杉は鳳鳴に湯を浴びせかけ、その間に素早く湯船を飛び出して衣をまとった。(; ̄▽ ̄).oO(完了…(# ̄꒳ ̄)<蕭鳳鳴、出て来なさい恐る恐る王女の元へ向かった鳳鳴、すると雲杉はいきなり回し蹴りをお見舞いした。李玄と常青は鳳鳴を追って王女の寝殿へやって来た。すると侍女に叩かれながら鳳鳴が外へ飛び出してくる。鳳鳴は夢遊病だと釈明したが、雲杉が駆けつけ、今すぐ殺すと断罪した。しかし李玄が制止し、明日の夜に本当に鳳鳴が夢遊病が調べようと仲立ちする。雲杉は鞭(ムチ)まで招喚したものの、いざとなると鳳鳴を殺せず、李玄の提案に従った。李玄は鳳鳴を中庭に連れて行った。「なぜ今まで武芸ができることを隠していた?」そこでいきなり殴りつけると、鳳鳴はまともに受けて鼻血を出してしまう。「よけろよ?…本当に何なんだ?常青とやり合っただろう?」「知らないよ!病気のせいだ!」つまり鳳鳴は遊行中のみ武芸ができるのだろうか。翌朝、座学に向かった鳳鳴はちょうど正義(セイギ)堂の前で雲杉と出くわし、思わず後退りした。雲杉は鳳鳴が本当に夢遊病らしいと知り、故意でないなら責められない。しかし念のため侍女に鳳鳴を警戒するよう命じた。その頃、謝雲石(シャウンセキ)司業(シギョウ)は閉関している紫極(シキョク)を訪ねた。「紫尊、麒麟が城内の民を次々と殺しています」「李玄がしでかしたことだ、本人に始末させよ」謝司業は今の李玄では麒麟を倒せないと心配したが、紫極はそうとも限らないという。李玄は天に選ばれた護国師、人族を守ることが李玄の責任であり宿命なのだ。予言の時が至れば民を救えるのは李玄のみ、紫極は麒麟退治が良い経験になると期待した。座学の授業になぜか謝司業がやって来た。実は昨夜、乾淵閣から解き放たれた麒麟が多くの遊女を殺し、城内の民が恐れおののいているという。何でもこの騒ぎを知った皇帝が激怒、3日以内に麒麟を捕らえるよう摩雲(マウン)書院に命じていた。しかし数千年も妖術を磨いた上古麒麟に敵うはずもなく、生徒たちは及び腰になる。そこで謝司業は半ば強引に護国師である李玄に一任し、早々に引き上げて行った。困惑する李玄だったが、責任を感じた猶憐が早速、麒麟退治に同行すると言ってくれる。すると正義感の強い崔嫣然(サイエンゼン)や鳳鳴、雲杉たちも名乗りを上げた。その夜、李玄は猶憐に男装をさせ、百花楼へ聞き込みにやって来た。顔馴染みの女将に当日の話を聞いてみると、元気だった娘が突如として白骨化していたという。犠牲者に共通している点は美女ということ以外、何も思い当たらなかったが、その時、侍女が悲鳴をあげて飛び出して来た。「女将!またです!」遺体を確認した李玄は思わず後から入って来た猶憐の目を手で覆った。猶憐は自分なら平気だと言ったが、実際に白骨を見ると驚いて飛び出して行ってしまう。そこで常青に猶憐を任せ、李玄はひとり部屋の中を調べた。猶憐と常青が外で待っていると、李玄が戻って来た。結局、手がかりはなく、何もかも謎だらけ、それにしてもなぜ麒麟は遊女ばかりを狙うのだろうか。「美女が多いからでしょう?」「美女といえばお前だって…(はっ)」(´⊙ω⊙`)へ?@猶憐 (・Д・)お?@常青 ( ̄◇ ̄)え?@管理人うっかり口を滑らせた李玄は急に気まずくなり、慌てて書院へ帰ろうと言った。書院に戻った李玄は殺された妓女の似顔絵を並べ、共通点を探った。妓楼に目がない令誠は被害者を全員、知っていたが、確かに美人で豊満だという以外に共通する点は思いつかない。つまり麒麟は色魔なのか…。そこへ鳳鳴がやって来た。鳳鳴は武芸ができないので同行は辞退すると伝えたが、長年、結界術を研究した経験から、″乾坤六合(ケンコンリクゴウ)陣″でなら麒麟を封印できると助言する。「…蕭公子?俺たちに一晩で習得しろというのか?」「あ…言われてみればそうですね」鳳鳴は結局、陣を敷くため同行することになったが、どうやって麒麟を誘き出すつもりだろうか。すると李玄がニヤリとした。「俺に考えがある」李玄の計画とは男子たちが女装して麒麟が好む豊満な祇女に成りすますことだった。猶憐たちは鳳鳴、令誠、常青の女装姿に失笑、しかし陣を敷くにはあと2人足りない。そこへ偶然、龍嶶児(リュウビジ)と鄭百年(テイハクネン)が通りかかった。「命懸けの戦いを前に、こんなところで何を遊んでいるのだ?」「2人ともいい時に来たな?(ニヤリ」李玄は意味ありげに笑った。謝司業は李玄が策を思いついたと聞いた。しかし玄冥(ゲンメイ)常傅(ジョウフ)もどんな策までかは分からないという。「お手並み拝見といこう、もし李玄が退治できれば紫尊の人選が正しいことになる」そこへ沙国王子が到着したと知らせが来た。すると雲杉の兄・御風穆(ギョフウボク)が現れ、2人に挨拶する。実は風穆こそ、あの日、猶憐が落ちた馬車に乗っていた公子だった。いよいよ麒麟の捕獲作戦の夜、鳳鳴は妓楼の露台の周りを囲むように6つの陣を置いた。一方、猶憐ら有志たちはそれぞれ物陰に隠れて待機する。その頃、女装した嶶児は川に映った自分の姿をまじまじと見つめていた。李玄は自分に見ほれる嶶児に気づき、やけに女装がさまになっているといぶかしむ。「男と知らなかったら勘違いしそうだ」「…お前もサマになってるぞ?」すると鳳鳴が準備できたと声をかけた。李玄たち6人は祇女に成りすまし、川沿いの露台で舞を披露した。猶憐たちは6人の踊りを見て笑をこらえきれなかったが、雲杉は気がつくと鳳鳴を目で追ってしまう自分に気づく。その時、ついに麒麟が現れた。李玄は麒麟が陣に入るギリギリまで引きつけ、6人が一斉に飛び上がって結界を敷く。するとあっさり麒麟を封印することに成功し、猶憐ら有志たちも露台に出て来た。しかし安心したのも束の間、麒麟は激しい霊気を発して封印を破ってしまう。李玄たちは麒麟に挑んだが、手も足もでなかった。令誠はひとまず逃げようと提案したが、李玄は自分の行いの責任は取ると退かない。すると麒麟がこれみよがしに同級生を無惨にも川に突き落とした。李玄はこれに激怒、再び麒麟に襲いかかるも、吹き飛ばされてしまう。麒麟は次々と生徒たちを投げ飛ばしていった。雲杉は鞭で麒麟を縛り上げたが、あっという間に解かれてしまう。絶体絶命の雲杉、その時、鳳鳴が現れ、雲杉をかばって麒麟の掌(ショウ)をまともに胸に受けた。2人はそのまま投げ飛ばされ、もはや逃げ場がない。すると風穆が駆けつけ麒麟を阻止した。「(はっ)哥っ!」( ๑≧ꇴ≦)ぐぁ!←言いたいだけw「早く逃げろ!」風穆は麒麟を放り投げ、妹を守った。屋根に登り格闘する風穆と麒麟、すると凄まじい麒麟の霊力で風穆も吹き飛ばされてしまう。しかし風穆は別の屋根に着地し、かろうじて麒麟の顔に傷をつけていた。この傷に気づいた麒麟は呆然、怒りから両目がみるみる真っ赤になり、ついに巨大な神獣・麒麟が姿を現す。すると李玄が雄叫びをあげる麒麟にひるむことなく、屋根に飛び乗った。その姿を見ていた猶憐もすぐ後を追う。そして有志たちも次々に追従、仲間たちが屋根に並んだ。つづく( ๑≧ꇴ≦)おうじーっ!
2021.05.17
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天舞纪 Dance of the Sky Empire第5話その夜、蘇猶憐(ソユウレン)は擎天(ケイテン)城の東にある山に登り、止血に効果がある薬草を手に入れた。しかし毒蛇に襲われ、うっかり手を離して落下してしまう。そこへ偶然にも山道を行く馬車が通りかかり、猶憐は馬車の屋根を突き破って着地した。猶憐は馬車に乗っていた見目麗しい公子の膝の上に落ちた。…なんて美しい公子なの…すると護衛が慌てて馬車の中を確認する。「公子?!」「大丈夫だ」護衛は公子が女子を抱きかかえる姿に困惑し、気まずそうに帳を閉めた。公子に見とれていた猶憐もふと我に返り、慌てて皇子の膝から降りる。一方、公子は空から降って来た謎の娘に不思議な縁を感じていた。…彼女から特別な霊気を感じる、まさか…公子は猶憐が摩雲(マウン)書院の新入生だと知り、馬車で送って行くことにした。すると道すがら公子は仙術で壊れた馬車の屋根を修復する。やがて書院に到着、公子は次に会う時までに傷が癒えていることを祈っていると言った。「また会えるの?」「必ずね」笑顔を見せて帰って行く猶憐、まさか公子が摩雲書院に入学するとは知る由もなかった。龍嶶児(リュウビジ)は精鋭たちを全滅させたのが猶憐だと分かり、驚きを隠せなかった。護衛・鄭百年(テイハクネン)の話では回収した死体に見たことのない傷があったという。そこで嶶児は猶憐の腕前を探るため、百年にある作戦を授けた。紫極(シキョク)は刺客の捜索で書院をしらみつぶしに調べたが何も出てこなかった。しかし明らかにあれは昆吾(コンゴ)族の仕業、そこでさらに詳しく調べるよう命じ、明日から閉関して沈月(シンゲツ)の陣を強化するという。一方、李玄(リゲン)は猶憐の額の傷を心配して眠れずにいた。それにしてもあの傷は一体いつできたのか。そこで李玄は見舞いに行くことにしたが、護衛・封常青(ホウジョウセイ)に結局、猶憐に会いたいだけだと見透かされてしまう。その頃、猶憐は薬草のおかげで無事に止血していた。李玄は窓枠にこっそり薬瓶を置いて帰ろうとしたが、偶然、猶憐が窓を開ける。うっかり猶憐の手を握ってしまう李玄、すると急に恥ずかしくなったのか、傷薬だと教えて逃げるように帰ってしまう。そんな李玄の慌てた様子を見ながら、猶憐は思わず失笑した。剣霊は李玄の薬など捨てろと叱った。猶憐は李玄が悪い人とは思えなかったが、師匠は前任の護国師が龍皇(リュウコウ)を封印した張本人だと憤る。その頃、猶憐を助けた公子は客桟に到着していた。「″殿下″?ご機嫌ですね?さては書院への入学が楽しみになったので?」「そうだ、会うべき人が増えたからね」翌日、李玄は相変わらず座学で寝てばかりだった。実技では生徒たちが各々、武器に霊力を注入し、攻撃力を強化する訓練に入る。辺令誠(ヘンレイセイ)はのんびり木陰で休んでいる李玄のもとへ駆けつけ、どの武器が良いか相談した。「でお前の武器は?」「常青だ」すると常青はついに凄まじい炎を発する長槍を生み出した。崔翩然(サイヘンゼン)は天啓(テンケイ)国の踊り手に選ばれ、昼休みも自慢げに食堂で訓練に励んでいた。すると近くの席で昼食を取っていた百年が翩然に聞こえるようにわざと猶憐の話を始める。「聞いたか?陛下が蘇猶憐のことを知って、朝政の場で絶賛したらしい」「平凡な娘だと思ったが、大活躍だな」「すごいよな~」「何でも護国師も一目置いているとか…」「あ、この前、2人でいるのを見たぞ!」「あんな才色兼備に惚れない男はいないな」李玄を慕っている翩然は機嫌が悪くなり、そこで練習を切り上げることにした。しかしちょうどそこへ生徒が山のような書物を抱えて現れ、翩然とぶつかって本を落としてまう。「気をつけてよ!」「そっちがぶつかって来たんだろう?!」生徒は書物を拾い始めたが、その時、翩然は″摩雲禁地録″という書物を見つけた。思わず拾って開いてみると、″書院の禁地・乾淵閣(ケンエンカク)″と書いてある。生徒は禁書を読むなと怒って取り返すと、百年に目くばせした。猶憐は額の傷がきれいに治り、包帯を外した。すると李玄からの文が届く。…乾淵閣で会おう…猶憐はまた李玄が何か企んでいると疑ったが、とにかく出かけてみることにした。崔嫣然(サイエンゼン)はちょうど居所を出た猶憐と出くわした。「傷の具合はどう?」「もう心配いらないわ」すると猶憐は李玄から乾淵閣に呼び出されたと言って別れた。乾淵閣は寂れた宮殿だった。中に入ってみると凄まじい妖気を感じる。「変な場所ね…」そんなこととは知らず、李玄は令誠、常青と食堂にいた。常青がばらしたせいで令誠にまで李玄が猶憐に気があると知られてしまう。すると昼食に来た嫣然が李玄に気づいた。「李玄、なぜ食堂に?…おかしいな~あなたに呼ばれて猶憐は乾淵閣に向かったわよ?」「乾淵閣?…まずい!」猶憐が殿内に入ると、いつの間にが忍び寄って来た蔦(ツタ)に拘束された。すると見知らぬ男が現れる。男は碁ができるかと確認、打てないなら用はないと蔦で首を絞め始めた。「この蔦の霊力は強大だ、逃げられた者はいない、やがてお前は生気を吸われ、ただの白骨と化す!」「まっ待って!出来るわ」猶憐は仕方なく嘘をついたが、空中に出て来たのは見たこともない難解な棋局だった。…もういいや、碁で負けても殺されるよりはましよ…そこで猶憐は適当に石を打ってみたものの失敗、碁石がバラバラと落ちて来てしまう。嶶児と百年は乾淵閣の様子をうかがっていた。実はここには上古麒麟(キリン)が封印されている。嶶児はここに猶憐を誘き出し、一体どんな方法で戦うのか見たかったのだ。すると思いがけず李玄と常青が駆けつけた。猶憐は碁を解けず、男の怒りを買った。再び蔓で首を絞められてしまう猶憐、その時、李玄と常青が飛び込んで来る。李玄は常青が男に応戦している隙に猶憐の救出に向かったが、猶憐は碁を打たないと逃げられないと教えた。すると常青も蔓に捕まってしまう。「わはっははは~!邪魔をするとその女が白骨と化すぞ!」猶憐も常青も徐々に首に蔓が食い込み、顔が赤くなって来た。焦った李玄は碁なら打てると訴え、猶憐を解放するよう要求する。そこで男は次の一手が正しければ逃がしてやると言ったが、間違えれば命はないと迫った。男は再び碁石を空中に並べた。李玄はどこかで見た棋局だと気づき、苛立つ男をなだめながら記憶をたぐり寄せる。確かあれは紫極に罰として涼亭に閉じ込められた時だった…『こんな棋局は無理だ!早くここから出してくれ!』しかし紫極は正しい一手を打てば出られると笑って行ってしまう…李玄はあの時の一手を思い出し、ついに碁の陣を解いた。「うわ〜っはははは!感謝するよ、封印を解いてくれて!私はついに自由を手に入れた!」男は喜び勇んで天井から飛び出すと、李玄は咄嗟に猶憐を抱きしめ、崩れ落ちる屋根から守った。常青と李玄は慌てて外へ飛び出したが、すでに麒麟の姿は見えなくなっていた。「完了完了完了(オワタオワタオワタ)…」「あの人は誰なの?」「麒麟だ、棋局で封印されていたのに、俺たちが逃がした」すると猶憐は黒幕に気づいて走り出した。物陰に隠れていた嶶児と百年は李玄が紫尊の陣を破ったことに驚いた。やはり李玄はただ者ではないらしい。果たして李玄は自分たちの新たな敵になるのか、それとも…。猶憐は修練場で踊りを練習していた翩然を捕まえた。「よくも騙したわね!」「ただのいたずらよ!」そこへ李玄たちが追いつき、自分たちも死ぬところだったと憤慨する。すると早速、謝雲石(シャウンセキ)司業(シギョウ)が現れた。麒麟を逃した李玄と猶憐はひとまず謹慎処分になったが、国の代表で踊る翩然だけは1ヶ月間の掃除を命じられる。しかし正式な処罰は紫極の閉関が明けてから決まることになった。その頃、麒麟は百花楼(ヒャッカロウ)に忍び込んでいた。部屋には静児(セイジ)という妓女が思い詰めた様子で鏡を見ている。つづく王子キター‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/››‹‹\( ´ω`)/››ーッ!でも最初の映り方が心なしかオジ…(´゚艸゚)ゲフンゲフン
2021.05.15
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天舞纪 Dance of the Sky Empire第4話蘇猶憐(ソユウレン)は歴史の授業で人族が非道な昆吾(コンゴ)族を倒したと教えられた。現場を目撃した猶憐は激しい憤りを覚えながら、鳳尾(ホウビ)谷での昆吾族と人族の戦いを思い出す…あの時、姉・九霊児(キュウレイジ)は命を懸けて龍皇(リュウコウ)を氷のまゆで封印したすると姉は消散し、最後の力で猶憐と龍皇の宝剣を安全な場所へ送る猶憐が目を覚ますと、宝剣と共に洞窟の中にいたすると宝剣の剣霊が姿を現し、氷の封印は一時的なもの、聖女の猶憐なら聖石で封印を解くことができると教える猶憐は聖石を体内に宿した昆吾族最後の聖女だった実は猶憐が持っていた緑の石は初代聖女の瞳で、絶大な力を秘めているという猶憐は剣霊の弟子となったそこで剣霊は猶憐を極寒の山に連れて行く実は昆吾族はそこで人族の捕虜となり、危険で過酷な労働を強いられていた猶憐は幼いながらも人族への恨みを募らせ、その小さな肩に重責を担う覚悟を決める…玄冥(ゲンメイ)常傅(ジョウフ)は予言から国を守るためにも勉学に励むよう鼓舞した。「昆吾族を根絶やしにするのだ!」すると居眠りしていた李玄(リゲン)が急にうるさいと暴言を吐き、昆吾族にムキになり過ぎだと呆れる。驚いた玄冥はかつては昆吾族が人族を圧政の下に統治していたが、紫尊が魔法陣を張って龍皇を封印したおかげで今の生活があると諭した。「ふん、昆吾族がどれほど非道か知らないが、人族が昆吾族にしてきた仕打ちなら知ってる 極寒の地に追い込み、奴隷として働かせただろう?」これに玄冥は憤怒、出ていけと怒号を響かせた。しかし李玄はありがたいとばかりに教室を去り、辺令誠(ヘンレイセイ)と封常青(ホウジョウセイ)が後を追う。猶憐は3人が出て行く様子を見ながら、なぜ李玄が昆吾族の味方をしたのか首を傾げた。歴史のあとは中庭で実技の授業が始まった。実技では謝雲石(シャウンセキ)司業(シギョウ)が霊力を使った術を教える。昆吾族は自然を操る術を生まれ持っているが、人族は鍛錬を通して同じ能力を習得する必要があった。仙術の威力は霊力の強さによって決まる。そこで生徒たちは輪になり、霊力を高める訓練を始めた。すると崔翩然(サイヘンゼン)は蕭鳳鳴(ショウホウメイ)の小さな霊力を見て失笑する。「ふっ、下手ね、書院にふさわしくない」しかし謝司業に集中するよう叱られてしまう。そんな中、李玄はひとり木陰で休んでいた。李玄は謝司業に見咎められたが、急に腹が痛いふりをしてごまかす。こうして初日の授業が終わった。生徒たちが寮へ戻る中、猶憐のもとへ皇太子の使いがやって来た。何でもお茶の誘いだという。嫣然(エンゼン)は皇太子に誘われるとはすごいと驚いたが、面白くない翩然は妹を引き離した。「男をたぶらかす女に近づいてはだめよ!」すると回廊で様子をうかがっていた龍嶶児(リュウビジ)が何やら鄭百年(テイハクネン)に指示した。皇太子は蓮(レン)湖の楼閣で猶憐を待っていた。実は来月、要人が集まる宴で各国の踊りが披露されるが、天啓(テンケイ)国を代表して猶憐に踊って欲しいという。「最も秀でた舞を披露すれば無限の栄華を得られる、欲しいものは何でも手に入れられるぞ?」猶憐はうまく行けば令牌をもらえると思いつき、快諾した。しかし喜んだのも束の間、楼閣に突然、矢の雨が降る。衛兵は全滅、猶憐はひとり応戦して皇太子を連れて外へ逃げたが、いつの間にか舟が消えていた。皇太子は桟橋で呆然となり、李玄の仕返しだと気づく。「李玄!お前の仕業だな!本気で殺そうとするなんて!絶対に許せん!」そこへ黒衣の刺客が次々と現れた。猶憐は昆吾族の霊力でなければ対抗できないと考えた。そこで皇太子を手刀で突いて卒倒させると、空へはばたき、照雪(ショウセツ)術を放つ。猶憐は見事に刺客を一掃したが、その頃、書院で思わぬ異変が起こった。ちょうどお茶を飲もうとしていた鳳鳴は急に激しい目の痛みに襲われ、突如、目が赤くなってしまう。しかしまばたきした一瞬の出来事だったため、本人には何があったのか分からなかった。一方、紫極(シキョク)と謝司業も昆吾族の霊気を察知、そこで紫極は厳戒態勢を敷き、書院も調べるよう命じた。東宮では皇太子が李玄に怒り心頭だった。いたずらでは飽き足らず、刺客をよこすとはやり過ぎだろう。しかし李(リ)少傅は李玄なら人の手を借りるはずがないと訝しみ、そもそも皇太子を殺害しても何の得もないと説明した。「しかしあの方なら…」「分かったぞ!」刺客を送ったのは嶶児だった。しかし信じられないことにあの精鋭部隊が全滅したいう。「太子もやるな…」「殿下、今後の指示を」すると嶶児は百年に刺客の死体を隠すよう命じた。その頃、猶憐は李玄に狙われたと誤解して部屋に押し入った。すると沐浴していた李玄は咄嗟に上着を羽織り、風呂をのぞきに来たのかとからかう。驚いた猶憐だったが引っ込みがつかず、背を向けたまま、なぜ自分たちを殺そうとしたのか聞いた。確かに李玄には皇太子への復讐計画があったが、何の話か分からない。はぐらかされた猶憐は苛立ちを隠せず、剣を招喚していきなり沐浴中の李玄に襲いかかった。しかし常青が駆けつけ霊力で猶憐を吹き飛ばす。その時、湯船が割れて湯が飛び散った。猶憐は慌てて物陰に隠れたが、額が濡れて聖女の印が現れたと気づく。動揺する猶憐、すると外から昆吾族の刺客が現れたと叫ぶ声が聞こえた。李玄と常青は警告に気を取られると、その間に猶憐が窓から姿を消してしまう。何とか居所へ戻った猶憐、しかし鏡を見るとやはり聖女の印が浮かび上がっていた。刺客の捜索のためか、生徒たちは全員外に出ろと叫ぶ声が聞こえる。「今から書院を捜索する!」書院の中庭に生徒たちが集まった。翩然は猶憐がいないと気づき、怪しいと疑う。その時、額に包帯を巻いてふらふらになった猶憐が現れた。こうして全員が揃うと、謝司業は玄冥常傅に使用人を、李玄に弟子たちを調べるよう指示する。李玄は虚御鏡(キョギョキョウ)を受け取り早速、調べ始めたが、猶憐は緊張のあまり冷や汗が流れて来た。そんな猶憐をますます怪しむ翩然、そこで猶憐の順番になったところで、こっそり仙術を放って包帯をはずしてしまう。すると額から生々しい傷が現れ、生徒たちは思わず目を背けた。李玄は常青との手合わせで怪我をしたと勘違いし、責任を感じて立ちすくむ。しかし翩然に早く調べろとせつかれ、猶憐に鏡を向けた。…師父、龍皇、誰か助けて…「お待ちを!検査は必要ない!」李玄が鏡をのぞき込もうとしたまさにその時、宮廷から使いが現れた。猶憐は咄嗟に鏡に背を向けると、楊(ヨウ)公公が駆けつける。実は皇后が蘇猶憐に薬を賜り、届けに来たのだ。楊公公の話では蘇猶憐が昨日、蓮湖で皇太子と謁見した際、潜伏していた刺客に襲われ、身を挺して皇太子を守ったという。すると安心した猶憐が卒倒、李玄が抱き抱えて居所へ送って行った。嶶児は刺客を全滅させたのが猶憐だと知り、にわかに信じられなかったが…。猶憐が目を覚ますと李玄がいた。李玄は心配して額の傷を見ようとしたが、猶憐に拒否されてしまう。「ちゃんと休めよ…あ、信じてくれなくてもいいが、俺は刺客なんて汚い手は使わない」すると李玄は帰って行った。猶憐は自ら聖女の印をえぐり取っていた。しかし昆吾族の薬草がないため、血が止まらない。そこで宝剣の陣に入り、師匠に助けを求めた。師匠の話では擎天(ケイテン)城の東にある山なら薬草がたくさん生えているという。その夜、猶憐は早速、寮を抜け出し、険しい岩山をツルを頼りに登った。すると山肌の中腹あたりでようやく止血に効果がある薬草を手に入れる。しかし運悪く毒蛇と出くわした。逃げ場がない猶憐に狙いを定める蛇、その時、蛇が猶憐めかげ飛びかかる。驚いた猶憐は思わず手を離し、そのまま落下した。そこへ偶然にも山道を行く馬車が通りかかる。つづく(´⊙ω⊙`)おおお?予想外にも鳳鳴に秘密が?!
2021.05.14
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天舞纪 Dance of the Sky Empire第3話蘇猶憐(ソユウレン)は危ないところを助けてくれた護国師・李玄(リゲン)に好印象を持った。しかし結界がある聖域に入るためには李玄から令牌を奪わねばならない。そこで猶憐はわざと李玄にぶつかって汁物をこぼし、汚れた衣を拭くふりをして令牌を探った。必死に探すあまり李玄の身体をしつこく触ってしまう猶憐、すると呆れた李玄は自分が好きでもいきなり襲うなとからかう。「恥知らずね!」「どっちが?お前が触ってきたんだろ?よく聞いておけ、お前のような女は眼中にない!」「何よ!フン!」猶憐は憤慨して引き上げたが、確かに李玄は令牌を持っていないようだった。猶憐は師匠に令牌を奪えなかったと報告した。そう言えば今夜は歓迎の宴、猶憐は思わずどんな宴か楽しみだと口を滑らせ、師匠から使命を忘れるなと釘を刺されてしまう。一方、李玄は紫極(シキョク)に捕まっていた。紫極は李玄が昨夜、自分の部屋に忘れていった令牌を返し、もっと大事に扱うようたしなめる。李玄には護国師として龍皇(リュウコウ)の復活を阻止するため、この摩雲(マウン)書院で仙術を磨いて人族を守護する務めを果たして欲しい。しかし李玄は自分にそんな力はないと困惑した。「ぉぉ〜そう言えばお前は母親について調べたがっていたな?ならば師父が約束しよう もしお前が令牌をしっかり守り抜き、1年間、務めを果たしたら、どこに行こうが止めはせぬ」「本当か?!約束だからな!」謎の美少年・龍嶶児(リュウビジ)は歓迎の宴を欠席することにした。護衛の鄭百年(テイハクネン)は大切な社交の場だと説得したが、嶶児は書院に入れたのなら慌てる必要はないという。「李玄をどう思う?」「彼に護国師は務まりません」「私はそうは思わない、紫尊に重用されるならただ者ではないはずだ」歓迎の宴には全学年が集まっていた。猶憐は先輩たちが着ている書院の装束を気に入ったが、その時、蕭鳳鳴(ショウホウメイ)が沙国王女・雲杉(ウンサン)に追われて逃げ込んで来る。聞けば鳳鳴が本を読みながら歩いていたところ、王女に気づかず、うっかり手が触れてしまったというのだ。雲杉はわざとだと激怒したが、辺令誠(ヘンレイセイ)が間に入り、鳳鳴に悪気などないとかばう。「お前なんかに触るかよ」「何ですって?!」「君のその言い方は雲杉公主に失礼だ、僕が謝るよ」結局、鳳鳴は自分の非礼を詫び、令誠は馬鹿を見ることになった。歓迎の宴に皇太子が現れた。皇太子は李玄に気づき、急に無礼講だと言って衛兵たちを追い出す。「今日は親交を深めるために来た、諸君、共に楽しもう~宴の開始だ!」上級生たちが皇太子に舞を披露した。すると新弟子たちが崔翩然(サイヘンゼン)は踊りの達人だと持てはやし、1曲ほど披露して欲しいと頼む。翩然はもったいぶっていたが、李玄の目を引こうと自慢の舞を披露することにした。妖艶な翩然の舞は皇太子や弟子たちから絶賛された。鼻高々の翩然、そこで猶憐に恥をかかせようと思いつき、皇太子に猶憐も歌や踊りが得意らしいと嘘をつく。目立ちたくない猶憐は踊りが下手だと否定したが、皇太子から命じられたら断ることもできない。「おいおい~あまり怖がらせるなよ」李玄は助け船を出したが、猶憐はかえってムキになった。「怖くなんかないもん!」大方の予想を裏切り、猶憐の踊りは優雅で美しかった。会場は大いに盛り上がったが、当然、翩然は面白くない。そこでいきなり楽士の太鼓のばちを奪い、凌雲(リョウウン)曲で踊ってみろと言い出した。激しいリズムと難解な緩急、しかし猶憐は見事に踊りこなしてみせる。さすがの李玄も目を見張ったが、なぜかふいに何とも言えない懐かしさが込み上げて来た。…この踊り、どこかで見たことが、この記憶は夢か?幻なのか?…翩然は何とか猶憐に失敗させようとムキになって太鼓を叩いているうち、ばちが折れた。そこでようやく曲が止まり、猶憐は喝采の中、舞台を降りる。翩然が逃げるように会場を出て行くと、翩然と犬猿の仲の雲杉が猶憐を労った。「崔翩然もこうなるなんて思わなかったでしょうね?ふふふっ!」皇太子は李玄がひとり会場を出て行く姿を見た。そこで配下を連れて待ち伏せし、李玄が厠(カワヤ)を出て来たところで袋を被せて捕まえてしまう。その姿をちょうど部屋に戻ろうとしていた猶憐が見ていた。皇太子は裏山に埋められた仕返しに李玄を裏庭に埋め始めた。しかしこんな時に限って護衛の封常青(ホウジョウセイ)がいない。何とか逃げ出したい李玄は第二皇子が擎天(ケイテン)城に戻って来たことを思い出し、自分を殺して皇帝から罪に問われたら第二皇子に口実を与えることになると脅す。「お前は皇帝になりたいんだろう?少しでもヘマしたら終わりだぞ?」皇太子は李玄の言い分にも一理あると気づき、第二皇子が自分の動きを監視している可能性もあると考えた。するとそこへ猶憐が現れる。「太子殿下、宴が散会しましたので、夜は結界で出入りができません」皇太子はちょうど引き上げる良い理由ができた。李玄は思いがけず猶憐に助けられ安堵した。しかし猶憐は救出するどころか、さらに土をかけて李玄を肩まで埋めてしまう。実は猶憐の目的は護国師の令牌だった。「出してあげてもいいけど、令牌をちょうだい」「令牌が欲しいならそう言えばいいだろう?そのために俺を殺すのか?」呆れた李玄は動けないので令牌を取り出せないと訴え、先に出してくれという。「騙されないわよ!ならここで死ぬのを待って、それから掘り出して奪うからいいわ」すると李玄は大事な令牌を持ち歩くと思うかと大笑い、隠し場所は自分しか知らないという。「令牌は…俺が…息ができな…い…」李玄はそこで気を失ってしまう。猶憐は慌てて李玄を助け出した。しかしどうやら本当に息をしていない。…どうしよう?今、死なれたら令牌を奪えない…そうだ!師匠が言っていた、渡気(トキ)の術を使えば救えるって猶憐は仕方なく李玄の口に息を吹き込むと、李玄が目を覚ました。「何をしている?俺に口づけするとは…」「わっ私はあなたを助けただけよ!」「いいんだ…俺が悪いんだ…この美しい姿を見れば魔が差すのも分かる」「この変態!」驚いた猶憐は恥ずかしくて逃げて行った。「あ…令牌…また騙された」翌朝、正義(セイギ)堂で座学が始まった。猶憐が講堂に入ると、雲杉が早速、鳳鳴に5丈離れる約束だと迫り、机を移動させている。一方、後ろの席では嶶児と百年が李玄の姿を探していた。そこへ李玄が令誠、常青と一緒に窓から入って来る。「少爺、本気で太子を消そうと?」「太子の代わりなんていくらでもいるさ~」すると李玄に気づいた猶憐が昨夜、助けた代わりに令牌をよこせと迫った。2人の間に何があったのか興味津々の令誠と常青。「こいつ俺のことを襲おうと…」「ちょっと!…最低!」猶憐は憤慨して席に戻ると、李玄たちは猶憐の後ろの席を陣取りった。玄冥(ゲンメイ)常傅(ジョウフ)の歴史の講義が始まった。しかし昆吾族を悪者にした解釈を聞き、猶憐はひとり悶々とする。…時は天啓元年、人族と昆吾族は鳳尾(ホウビ)谷で激しい戦いを繰り広げた…当時、非道な龍皇が率いる昆吾族は人族を迫害し、人族は苦しい生活を強いられる…人族は昆吾族を倒すべく一丸となって戦ったが、…龍皇・石星御(セキセイギョ)の霊力は強く、互角の戦いとなった…そこで紫尊が魔法陣を設け、土と火と雷電をもって龍皇に打撃を与える…最後の一撃を下そうとした瞬間、昆吾族の聖女・九霊児(キュウレイジ)が氷の繭に変身し、龍皇を包んだつづく( ̄人 ̄).oO(だんだん面白くな〜る〜♪ついに催眠術に頼り出す管理人wで、第1話のあれは氷の繭だったのね…えっ?w
2021.05.13
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天舞纪 Dance of the Sky Empire第2話天啓(テンケイ)国の護国師・李玄(リゲン)は都からの脱出を邪魔した蘇猶憐(ソユウレン)に仕返しするため、蜂攻撃の罰を思いついた。客桟の一室で椅子に縛り付けられた猶憐。これから一体、何が始まるのかと思えば、いきなり顔に蜂蜜を塗りたくられてしまう。すると李玄は椅子と蜂の巣が入った籠を紐でつなぎ、さらにその紐を部屋中に巡らせ、最後に椅子を傾けながら、ちょうどバランスよく立つ角度に細工した。後ろに倒れても前に足がついてもダメ、猶憐が蜂に刺されないためにはその傾きのまま保つしかない。| ̄꒳ ̄)))<健闘を祈る! ちょっと!待って!>((( ≧ꇴ≦ )))客桟を後にした李玄は親友の辺令誠(ヘンレイセイ)、護衛・封常青(ホウジョウセイ)と合流した。しかし令誠から蜂の毒で死ぬ者もいると聞いて慌てて引き返す。その時、客室ではちょうど椅子の足がついてしまった猶憐がまさに蜂に襲われようとしていた。驚いた李玄は咄嗟に自分の外衣を猶憐に被せて縄を解く。2人は窓から外へ飛び降りたが、結局、李玄は自分が蜂に刺されて笑い物になった。翌朝、猶憐は入試に参加するため、山頂にある摩雲(マウン)書院にやって来た。…ここが書院ね、龍皇(リュウコウ)、必ず救出します…すると猶憐は受付で出身地を聞かれ、困惑してしまう。その時、大街で見かけた店を思い出し、″秦記(シンキ)磁器″から名前を取って秦器城(シンキジョウ)と告げた。「どこだって?」「秦器城です」猶憐は適当に言ったが、無事に身分牌を受け取った。院内にはすでにたくさんの受験生が集まっていた。すると因縁の沙(サ)国王女・雲杉(ウンサン)と崔翩然(サイヘンゼン)が早速、言い争っている。しかし傲慢な姉とは正反対で争いが苦手な崔嫣然(サイエンゼン)が強引に姉を引っ張って王女から離れた。その時、偶然、猶憐に気づいて追いかける。「あなたも受験するのね?私は崔嫣然よ、あなたは?」「私は蘇猶憐」「昨日の件は悪く思わないで、姉の性格なの…」嫣然はそこで翩然に呼ばれ、戻って行った。猶憐は広場に出て来た紫極(シキョク)に気づいた。…龍皇を封じ、姉を死に至らしめた男だわ…当時、まだ幼かった猶憐は物陰から姉の最期の姿を見ている。紫極は自分を睨みつける娘に気づいたが、その時、司業(シギョウ)から龍嶶児(リュウビジ)が現れたと耳打ちされた。「何か思惑が?」「人族のために尽力したいと思ったのやも?」「うむ…」にわかに信じがたい紫極、その時、李玄の姿がないと気づいたが、時間になったので入試を始めることにした。今年は昆吾族の聖女が予言した10年後。魔雲書院は天啓国の最高学府として昆吾族を討つためにも、今回の試験で精鋭を選び抜くという。受験生は1対1で手合わせを行い、勝者が次の腕比べへ、最終的に勝ち残った20名が魔雲書院の新弟子に決まる。さらに及第した20名は1度だけ護国師と対戦が認められ、もし勝利すれば護国師の令牌(レイハイ)を貰える特典があった。この令牌があれば書院内ならどこでも出入り自由となり、聖域に入ることや秘術を習うことも可能だという。…令牌があれば聖域にいる龍皇を解き放てるのね…猶憐は何としてでも勝ち残り、護国師と対戦しようと闘志を燃やした。腕比べは熱戦が繰り広げられた。その頃、李玄は書院に行かないと言い張って屋敷で寝ていたが、激怒した父がそのまま李玄を布団で包み、馬で引きずって行く。一方、書院では決着がつき、20名が勝ち残った。令誠と常青はもちろん、猶憐、雲杉、崔姉妹、龍嶶児、また頭脳戦で勝ち残った蕭鳳鳴(ショウホウメイ)の姿もある。しかし護国師との対戦はなく、常傅は明日の歓迎の宴には皇太子も臨席すると説明した。令牌を狙っていた猶憐は不満を募らせ、思わず常傅に護国師と手合わせしたいと嘆願する。その時、父から強引に引っ張り出された李玄が現れた。猶憐は李玄に直接、対戦を申し出たが、李玄はまたあの娘だと苦々しい顔をする。「お前が俺の相手を?」「コクリ…令牌が欲しいの」そこで李玄は懐から令牌を取り出し、欲しいならあげるという。令牌には″摩雲首席″とあった。呆気に取られる猶憐、すると常傅がやんごとなき事情が発生したため護国師との対戦は中止だと叫び、令牌はそのまま李玄が持つよう命じた。新弟子たちは居所に移動した。これから毎朝、卯の刻に修練場で点呼をとり、辰の刻より正義(セイギ)堂において座学が始まる。すると常傅は部屋割りの前に希望を募った。早速、龍嶶児が人付き合いは苦手なので東端の宿舎を1人で使いたいと申し出て認められたが、女子の近くが良いという李玄は却下される。「…では蕭鳳鳴は西一房、李玄は西二房、南一房は広いため、崔姉妹と蘇猶憐の3人で使え」しかし猶憐は相部屋では正体がばれてしまうと焦り、1人がいいと訴えた。「なぜ3人じゃ嫌なんだ?ぉお~分かった!いびきや歯ぎしりがうるさいんだな?足も臭いとか」李玄に揶揄され失笑を買う猶憐、しかし猶憐はそれを逆手に取った。( ̄꒳ ̄)<そうなんです! ((((゚ロ゚ノ(゚ロ゚ノ(゚ロ゚ノ(゚ロ゚ノ(゚ロ゚ノ(゚ロ゚ノ(゚ロ゚ノ)ノ″猶憐は1人部屋を手に入れると、師匠の指示を仰いだ。令牌を取り損ねたと知った師匠は必要とあらば李玄を殺して奪えと言ったが、ひとまず聖域の入り口を探るよう命じる。そこでその夜、猶憐は早速、緑の石を頼りに入り口を探し始めた。やがて石の光に導かれ寝殿にたどり着くと、運良く部屋には誰もいない。すると飾り棚のからくりを発見、猶憐はその後ろに聖域の入口を発見した。しかし結界を破れず、やはり令牌が必要だと気づく。猶憐はひとまず飾り棚を閉じて帰ることにしたが、近づいてくる足音に気づき、慌てて箪笥の中へ隠れた。李玄は紫極が宮廷に出かけたと知り、悪計を思いついた。そこで鬼の居ぬ間に土瓶に薬を混ぜたが、その時、師匠が戻って来てしまう。李玄は慌てて箪笥に逃げ込むと、驚いたことに猶憐が隠れていた。仕方なく2人は箪笥の窓紗から紫極の様子をうかがう。すると帰宅した紫極はすぐ白湯を飲もうとした。笑いをこらえる李玄、しかし紫極はなぜか土瓶のふたがずれていることに気づき、誰か忍び込んだと勘づく。湯呑みを置いた紫極はすぐ箪笥の中が怪しいと考え、戸を開けた。李玄は咄嗟に猶憐を押しながら箪笥の隅へ移動、思いがけず2人は抱き合うように接近してしまう。もはや絶体絶命の李玄と猶憐、しかし運良く師匠の金魚が跳ねて床に飛び出した。紫極は慌てて金魚を救出すると、潔く出て来いと告げる。そこで李玄は自ら箪笥を出ると、師匠の気をそらしながら、その間に猶憐を逃した。無事に寝殿を出た猶憐、すると師匠から折檻される李玄の叫び声が山に響き渡る。猶憐は蜂の時も今回も李玄が助けてくれたことに驚き、それほど悪い人ではないと思い直した。部屋に戻った猶憐はすぐ師匠に報告した。聖域への入り口は見つかったものの結界があるため入れず、やはり令牌が必要だと伝える。しかし危ないところを李玄に助けてもらったことは言わなかった。「李玄から令牌を奪わねばならぬな…腕比べに応じぬなら他の策を講じよう」一方、李玄は常青の肩を借りて部屋へ戻った。「少爺、よりによって紫尊を怒らせるとは…一体、何度目の仕置きですか?」腰を打たれた李玄は仰向けになれず、うつぶせになって枕を抱えた。「あの丫頭(ヤートウ)さえいなければ下し薬を飲ませられたのに…チッ!」「あの丫頭(ヤートウ)?」「あ~もう何でもない」それにしてもあの蘇猶憐という娘、入学早々に紫極の屋敷に忍び込むとは何を考えているのだろうか。翌朝、李玄は令誠に昨夜の一件を話していた。すると回廊でばったり崔翩然と出くわす。翩然は差し入れを半ば強引に李玄に押し付けて引き返したが、李玄はもう飲んだと嘘をついて返すことにした。そこへ突然、飛び出してきた猶憐が激突、李玄はその衝撃で汁物を浴びて床に落としてしまう。猶憐は謝りながら李玄の汚れた服を拭いて令牌を探ったが、なかなか見つからなかった。つづく(  ̄꒳ ̄)合格者は18人しかいませんでしたけど…で、なぜか李玄も入学?龍嶶児は龍皇つながり?でも聖女を知らないのは変だよね〜
2021.05.12
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天舞纪 Dance of the Sky Empire第1話…かつて昆吾(コンゴ)族は人族と共存していた大きな翼と尖った耳を持ち、神通力を備えた昆吾族これまで人族を虐げることはなかったが、それをいい事に人族が昆吾族の領地に侵攻、ついに昆吾族の長・龍皇(リュウコウ)を捕らえたしかし激怒した龍皇が力を解放し、宝剣を招喚して敵兵を吹き飛ばす「お前たちが平和を望まぬなら、我らは一族を挙げて戦うのみ!」すると護国師(ゴコクシ)・紫極(シキョク)が卑怯にも人族に嫁いだ龍皇の妹を人質として引っ張り出した『哥っ!』『青笙(セイセイ)!』その頃、少年は姿を消した母を探して懸命に走っていた紫極は青笙の手のひらから一滴の血を抜き、龍皇めがけて放ったその血は龍皇の額に吸い込まれ全身を駆け巡ると、龍皇は絶叫して倒れてしまうその時、空から昆吾族の女が現れ、大きな翼を広げながら急降下、人族の兵士をなぎ倒した青笙はその隙に兄の元へ駆け出したが、背後から紫極の一撃を受け、絶命するその様子を母を探していた少年が見ていた『娘(ニャン)っ!』昆吾族の女は照雪(ショウセツ)術を放った紫極は雪に対抗して炎鎖を放ち、女を縛り上げる身動きが取れなくなった女は龍皇を守るため、己の翼を犠牲にしたすると女が放った羽が龍皇にまとわりつきながら氷となり、龍皇を固めて封印する『私は昆吾族19代聖女・九霊児(キュウレイジ)、命を懸けて天に宣言する! 10年後、龍皇は必ず目を覚まし、人族は滅ぶであろう!』すると翼を失った聖女は消散、龍皇の宝剣もどこかへ消えてしまう戦いは終わったしかしその時、母を殺された少年が紫極に襲いかかる紫極はあっさり少年を拘束したが、怒りに満ちた少年の目は不思議な色をしていた少年の名は李玄(リゲン)、李玄は宮廷に連行され、磐龍鎖(ハンリュウサ)で拘束された官吏である父・李淑徳(リシュクトク)は妻を殺した紫尊を恨むどころか、実は息子が生まれた時から覚悟していたと明かし、命乞いするすると紫極は李玄を助ける代わりに自分の弟子にすると決めた猛反発する李玄、しかし有無を言わさず母の記憶を封じ込められてしまう…それから10年が経った。李玄は母の記憶を失ったはずだったが、近頃、なぜか血まみれになった母の夢を見るようになる。今日は立太子の儀、文武百官が宮中に集まっていた。東宮は厳重な警備体制が敷かれていたが、大皇子は悪賢い李玄を衛兵だけで防ぐことは無理だと分かっている。実は大皇子にはある妙策があった。その頃、李玄は東宮へ向かう侍女たちの話を小耳に挟んでいた。「大皇子はなぜ侍女の衣をご所望に?」「大きな衣は少ないのにねえ~」東宮から儀式へ向かう駕籠(カゴ)が一斉に出発した。一方、大皇子は侍女になりすまし、人通りのない宮道をかっ歩している。「こんな手を使うとは李玄も思うまい」大皇子は侍女が差し出すぶどうを頬張りながら、李玄が悔しがって泣いている姿が見られないのが残念だと笑った。「李玄ならすぐおそばにおります」実はぶどうを持ってついて来たのは李玄だった。儀式の時間になったが、主役の大皇子がいつまで待っても現れなかった。苛立ちを隠せない天啓(テンケイ)帝、そこへ急報が届く。「大皇子が失踪しました!衛兵の話では恐らく…李玄大人(ダーレン)かと…」師匠の紫極は面目丸潰れ、焦った父の李淑徳はすぐ捕まえると進言した。その頃、昆吾族の蘇猶憐(ソユウレン)は師匠と一緒に山から擎天城(ケイテンジョウ)を眺めていた。龍皇が擎天城にある摩雲(マウン)書院にじ込められて10年、昆吾族で唯一の聖女である猶憐は一族の存亡をかけ、龍皇を救出しなくてはならない。「師父、ご安心を、猶憐がご期待に応えてみせます!」師匠は剣に姿を変えて猶憐に同行するが、書院は紫極が結界を張っているため手助けすることができないと警告しておいた。すると師匠は猶憐が昆吾族の聖女だとばれないよう、耳の形や瞳の色、額にある聖女の印を消す。ただし額の印は水に触れると出現するため、注意が必要だった。「では参るとしよう」擎天城は厳しい検問のせいで和安(ワアン)門に長い行列ができた。すると順番を待っていた猶憐がふと″お尋ね者″の張り紙に目を留める。「この人は誰?」「この人は李玄と言ってな、紫極の弟子であり、天啓国の護国師さ」親切にも後ろの男が教えてくれた。何でもその護国師は昆吾族の龍皇と張り合えるほど強いとか。「張り合えるわけないわ…(ボソッ」李玄は皇太子を裏山に拘束した。あとは顔に白粉を塗りたくって死体に成り済まし、親友・辺令誠(ヘンレイセイ)が荷車を押してくれる。実は李玄は皆が皇太子を探しているうちに城外へ脱出する計画だった。猶憐は検閲のため荷物と剣を置いた。しかし昆吾族の本来の姿を映し出す虚御鏡(キョギョキョウ)があることに気づく。引き返そうにも師匠から明日の試験に間に合わないと言われ、足がすくむ猶憐。衛兵は娘を怪しみ、早く鏡の前に立てと迫った。「分かりました(まずいわ、どうしよう…)」「どいた!どいた〜!伝染病の死者だ!」そこへ偶然にも令誠が押す荷車が通りかかった。衛兵は念のため荷車を止めた。猶憐は衛兵の感心が荷車に移った隙にどさくさに紛れて入城しようと試みたが、衛兵に見咎められてしまう。もはや絶体絶命、その時、猶憐は荷車の遺体の手が動いているのを目撃した。「官爺(グァンイエ)?この人、変です!」難癖をつけられた令誠は信じられないなら見てみろと高をくくった。相手は伝染病で亡くなった遺体、当然、誰も手を出すはずがない。すると娘がいきなり荷車に近づき、躊躇せず筵(ムシロ)をめくった。(」゚ロ゚)ノ<おまわりさ~ん!この人です!遺体を見た猶憐はお尋ね者の李玄だと気づき、張り紙を外して遺体の上に乗せた。思いがけず正体を暴かれた李玄は潔く起き上がり、娘の顔を恨めしそうに睨みつける。しかし今は追及している時間がなかった。「グズグズするな!」令誠は一気に荷車を押して強行突破、衛兵たちが一斉に追いかけた。そのおかげで猶憐はさっさと荷物を引き取り、ちゃっかり城内へ入ってしまう。李玄の荷車はまさに城門から出ようとしていた。…今回は捕まらないぞ…その時、門衛がいきなり車輪に槍を突き刺し荷車が急停車、すると李玄は上手い具合に荷台から放り出される。「うわあああぁぁぁぁ…あぁ?!脱出成功だ!」あとは着地するだけの李玄、しかし突然、紫極の放った術に捕まってしまう。「これで何度目だ?」「臭老頭めっ!辺令誠っ!助けてくれ!」その頃、辺令誠は野次馬に紛れてやり過ごそうとしていた。しかしちょうど引き上げようとしていた紫尊にあっさり見つかってしまう。一方、李玄の護衛・封常青(ホウジョウセイ)は裏山で肩まで土に埋まった皇太子を見張っていた。しかし衛兵たちの声が聞こえ、咄嗟に姿を消す。憤慨した皇太子は駆けつけた衛兵に封常青を捕らえろと命じたが、そのまま置き去りにされてしまう。「おいっ!なぜ1人にするんだ!おーい!」李淑徳は息子に杖罰を与えた。「(ダシッ!ダシッ!)殿下を捕らえ、立太子の儀を遅らせた上、紫尊に暴言を吐くとは!」「俺は百暁生(ハクギョウセイ)に会って娘(ニャン)の死因を聞きたいだけだ」理由を聞いた李淑徳は呆然となった。「(ん?)なんだよ驚かせるなよ~死んだのかと思ったわ」←とは言ってないwすると李淑徳は我に返り、最後の1回を思い切り叩いた。李淑徳が中庭に出ると紫尊が待っていた。「まさか消したはずの記憶が残っていたとはな…」「ほんの断片でしょう」「だがすまぬことをした…」しかし過去を蒸し返してもどうなることでもない。明日は年に1度の書院の入試、護国師は必ず立ち会わねばならなかった。すると紫極は昆吾族の予言から10年経つため、警備の強化を命じる。「聖女の予言は全て現実のものになっている、油断は禁物だ」李玄と冷誠は物置小屋に監禁された。李玄はなぜ父が母の話になると黙り込んでしまうのか分からない。すると冷誠は辛い思い出がよみがえるからだろうと言った。「玄儿?娘が亡くなったと時のことは夢に出てこないのか?」「夢の中の娘はいつも血まみれで、その理由を尋ねると消えてしまう」「でもなぜ大人たちは当時のことを口にしないんだろう…」実は令誠も何度か父に聞いてみたが、はぐらかされていた。「これでこそ友だちだろう?」「ああ、城門でも義理堅かったしな〜」「あれはそもそもあの女のせいだろう?!」「そうだった!すっかり忘れていた!あの女を懲らしめねば!」そこへ見張りを倒した封常青が現れた。都の客桟には明日の書院の入試に向けて受験生たちが集まっていた。今年の入試はこの10年で最大規模となり、皇族も受けるという。首席及第者には紫尊から秘術が伝授されるとか。すると賑わう店内に尚書の令嬢・崔翩然(サイヘンゼン)と嫣然(エンゼン)姉妹が入って来た。あいにく食堂は満席のため店主は別の店を勧めたが、男性客たちがこぞって自分たちの席を譲る。しかし唯1人、興味なさそうに背を向けて座っている男がいた。翩然はいきなりその男の前に座り、この席にするという。「でもまだ食事の途中なんですけど…」蕭鳳鳴(ショウホウメイ)は困惑したが、翩然は侍女に命じて男を無理やり立たせた。仕方なく鳳鳴はすぐ食べ終えて席を譲ると妥協案を示したところ、翩然は面倒になって銀子で方を付ける。「横暴にも程がある!」反発する鳳鳴、その時、上階から高貴な娘が降りて来た。「横暴なのは誰?」鳳鳴が美しい娘に目を奪われていると、客たちが沙国の王女だと噂するのを耳にする。「ふっ、尚書の娘ごときが威張り散らすなんて…笑止っ」すると激怒した翩然が王女に襲いかかった。翩然と王女は店から大街に飛び出し、手合わせとなった。そこへ偶然、猶憐が通りかかる。てっきり大道芸だと思った猶憐は人混みをかき分け前に出たが、ちょうど翩然が吹き飛ばされて来た。猶憐は倒れた翩然を心配して駆け寄ると、2人とも見事だったと感心する。「皮肉ってるの?!」「うぉ(我)…あ、投げ銭が欲しいのね?」「私を物乞いだと?!」「めいよー大道芸だと思って…」一方、鳳鳴は恩人の王女の元へ駆けつけた。そこで是非とも恩返しがしたいと訴えたが、王女は必要ないという。鳳鳴は真の善人だと感激、王女を称賛した。すると王女は恩返しなら1つだけ頼みがあるという。「今すぐ5丈以上離れて私に話しかけないでちょうだい」鳳鳴は仕方なく足元を確認しながら下がり始めたが、その間に王女は客桟に帰ってしまう。翩然は無礼な娘に腹を立て、猶憐が神器を盗んだと言いがかりをつけた。そこで侍女たちに命じて身体検査しようとしたが、ちょうど李玄がやって来る。すると驚いたことに城門の忌ま忌ましい娘がいた。翩然は護国師にこの娘が神器を盗んだと訴えると、李玄は自分が尻尾をつかんでやると申し出る。しかし猶憐はむしろこの男が相手なら造作ないと余裕だった。「私は盗んでいないわ」「常青!思い出させてやれ!」李玄は猶憐を客桟の一室に閉じ込め、椅子に縛りつけた。「私は盗んでいない!…こっちに来ないで!」「頭のてっぺんから足の先まで調べ上げてやるぞ…ふふふ」つづく(^ꇴ^)大人気シューカイ君主演ドラマ実は管理人のお目当ては男主と女主CPではなくハーニー( ๑≧ꇴ≦)キターッ!そしてこれから登場予定の沙国王子です王子の登場まで続くかな?でも全28話と短いので完走できるといいなあ~
2021.05.11
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三千鸦杀 Love of Thousand Years最終話「再会の日を願って」覃川(タンセン)が目を覚ますと朝になっていた。しかし傅九雲(フキュウウン)の姿が見えない。「九雲?…九雲?!」覃川は九雲を探して出雲(シュツウン)閣を飛び出すと、竹林へやって来た。そこには決戦の前に2人で名前を刻んだあの竹がある。覃川は竹の名前を眺めながら、昨日の記憶をたぐり寄せた。確か玄珠(ゲンシュ)が自分の身代わりとなって霊灯に魂を捧げたところまでは覚えている。あの時、必死で止めようとしたが間に合わず、吹き飛ばされたところで記憶は止まっていた。覃川はその時、全てを悟る。玄珠が魂を捧げて霊灯をともしたのなら、灯心の九雲は…。(´-ω-。` )おぅ…覃川は竹にもたれかかり1人で泣いた。そこへ眉山(ビザン)君が迎えにやって来る。眉山は妖王の呪いを解かねば1年以内に死んでしまうと警告したが、九雲が消散してしまった今、覃川にはもはや生きてる意味などなかった。「九雲に会えるなら、今すぐ死にたい…(涙」「生きていればまた会えるかもしれないぞ?これが永遠の別れではない」覃川は眉山の気休めだと分かっていた。しかし眉山は覃川の居場所を九雲から聞いたという。確かに灯心として魂は飛散したが、時が経てば再び姿を取り戻すかもしれない。眉山は全て九雲から伝えられた話だと教え、覃川の治療も託されたと言った。「生きろ、九雲は必ず戻って来る、あいつを待て」覃川は眉山の山荘に身を寄せた。幸せだった思い出を胸に九雲の帰りを待つ日々、やがて季節も流れ1年が経ったが、結局、九雲は戻って来ない。そんなある夜、覃川が竹林で物思いにふけっていると、すでに酔っ払った眉山が現れた。「お前はもう大丈夫だ、飲め、呪いは全て解けた、快気祝いだ」眉山は覃川にひょうたんを渡した。しかし覃川は中身が薬だと分かって投げ返してしまう。「この1年、飲み過ぎよ?」「俺はわざと酔っているんだ~お前の嘆きを聞かずに済むようにな?」覃川は小さくため息をつき、ただ黙って遠くを見つめていた。「この竹林は鳳眠(ホウミン)山にあったものだ、ここでおとなしく九雲を待っていればいい」すると覃川は竹に刻まれた2人の名前を袖で拭き始める。「なんだ?まだ疑っているのか?九雲は約束したんだ、必ず帰るとな あいつが元の姿に戻るまで…ふっ、あはははは~」「元の姿ですって?彼は燃え尽きて消えたのよ?もう嘘はつかないで…いいの、分かってる 私に生きて欲しいのよね?九雲もそう願っていた、幸せになって欲しいのね ふっ…でも無理なの、彼のいない世界では生きる価値もない」「よく聞け、九雲は必ず戻る、絶対に…」「そう信じているなら、なぜお酒ばかり飲むの?!」覃川は眉山が毎日ひとりになると泣いていたことを知っていた。「分かってるわ…九雲にはもう会えないって…2度と…」「…九雲め、俺たちを悲しませるなんて、許せん!お前なんか待つものか!」眉山はまた酒をあおった。「私、もう…あなたを待つのはやめる」この世界から妖魔が消え去り、人々は平穏を取り戻していた。その日、師匠の墓参りに来た桃小令(トウショウレイ)、ふと懐かしい人の気配を感じて振り返ったが、誰もいない。一方、桃源(トウゲン)鎮では酥油餅(スーユービン)屋の店主がいつの間にか″仙客 来たる″と看板を掲げていた。店主は焼き立ての酥油餅を客の席まで届けて戻ったが、いつの間にか酥油餅が1枚消え、銭が置いてある。その頃、左相国(サショウコク)と左紫辰(サシシン)は学堂を開いていた。紫辰はちょうど子供たちを教えていたが、ふいに門の外を懐かしい人が通り過ぎたような気がする。そこへ秋華(シュウカ)夫人がやって来た。「どうかした?」「いいえ…何でもありません」すると秋華夫人は子供たちの服を洗ったので皆に返すよう頼んだ。皋都(コウト)の燕燕(エンエン)飯店は今日も繁盛していた。すると郭(カク)大婶がふと誰かを探すように通りを眺めている。そこへ老板娘がやって来た。「何を見ているの?」「何でもないわ」その夜、宮殿では皇帝となった亭渊(テイエン)が政務に追われていた。趙(チョウ)管事は帝位に就いて以来、働きづめの亭渊を心配し、そろそろ休んではどうかと進言する。「大丈夫だ」疲れた亭渊を癒すのはふと漂う龍涎香(リュウバンコウ)の香り、亭渊は今でも腰に下げている香袋を手に取ると顔をほころばせた。その時、ふと予感がして突然、席を立ち、慌てて書斎を出て行ってしまう。「陛下?どうなさいました?!」覃川は九雲を待つのをやめて自ら会いに来た。宮殿に保管されている霊灯の前に立つ覃川、まるで九雲と過ごした幸せな日々が昨日のことのように思える。すると急に霊灯が輝き出した。覃川は愛おしそうに霊灯に触れると、ちょうどそこへ亭渊が駆けつける。「川兒っ!」しかし門を開けた瞬間、霊灯からまばゆい光が放たれ、驚いた亭渊は思わず目を覆う。そして再び目を開けた時にはすでに覃川と霊灯が消えていた。…ここは驪国帝女の寝殿風邪で寝込んでいた帝女が目を覚ますと、両親の顔があったすると帝女が突然、泣き出してしまう『私は燕燕(エンエン)じゃない…燕燕じゃない…うわ~ん!』何事かと思えば帝女はおかしな夢を見ていた『夢の中である老先生に言われたの、私は川兒(センジ)として新しい生活を始めるんだって 父皇と母后と離れたくない!うわ~ん!』皇后は娘が高熱で幻覚を見たのかと慌てたが、皇帝は心配ないと言った…やがて美しく成長した燕燕、しかし帝女は阿満(アマン)の顔になった覃川だった。…燕燕は久しぶりに宮中を訪ねた従姉妹・玄珠(ゲンシュ)をもてなしたすると玄珠は急に優しくなった燕燕の変わり様に驚く『燕燕も大人になったと母亲は褒めていたけど、どうせまた悪巧みでしょう?』『玄珠姐姐と姨娘のことが本当に好きなだけよ』そこへ兄が文才を誇る左紫辰を連れてやって来た互いに好印象を持つ玄珠と紫辰、すると燕燕は音楽の才能があるなら玄珠とお似合いだと行って早々に退散してしまう燕燕は遠目から琴を奏でる紫辰と耳を傾ける玄珠の姿を見たが、なぜかとても幸せな気持ちになった燕燕が寝殿に戻ると侍女が出迎えたそこで燕燕は自分も琴を弾くことにしたが、なぜか弾き方が思い出せない『阿満?』『公主?私の名は小翠(ショウスイ)ですよ?』『あ、そうだった…ねえ、″東風桃花曲(トウフウトウカキョク)″の弾き方を忘れてしまったの』『それは大変ですね~』『…昨日のあの曲よ、曲名は東…何だっけ?』『公主、私に聞かないでください、音楽のことなんて分かりません』そんなある日、燕燕は兄と書房にいた兄が書写している間、画を見ていた燕燕、しかしこの桃の木の画になぜか違和感がある確かこの絵には詩と琵琶が書いてあったような…『琵琶が…』『燕燕?何だ独り言なんか言って』『独り言?私が何か言った?』『琵琶がどうとか?』『琵琶?聞き間違えじゃないの?この絵には琵琶なんてないもの』すると燕燕の脳裏にふと絵の中に飛び込んだ時の記憶が蘇るあの時、確かに絵の中には琵琶が置いてあった…この絵を返そう…燕燕は振り返ったが、そこにいるのが誰かは思い出せないその時、突然、涙があふれ出した燕燕は自分でもなぜ泣いたのか分からず、困惑するある夜、燕燕が急に泣き出した夜番だった小翠は慌てて駆けつけると、燕燕は白衣の男の夢を見たという『その人に言われたの、″そなたはもうすぐ私を忘れ去ってしまう″って… 思い出したいのにどうしても思い出せないの!」小翠は悲しみに暮れる公主を抱きしめ、夢など忘れるようなだめた皇后の誕生日、皇帝は燕燕の許嫁である天原国太子・亭渊を招いた亭渊は皇帝と皇后に挨拶を済ませると、新婚祝いに父が集めてくれた宝物を燕燕に届けに行くその中には香取(コウシュ)山主からの贈り物があった『どういうわけか絵を贈って来たらしい』亭渊は燕燕が興味を示した仙画を早速、広げて見せる画集は色々な人物が描かれていたが、一番最後に白衣を来た男の姿絵があったすると燕燕は急に涙を流したかと思うと、やっと大切なものを見つけたかの様に微笑む全ての記憶を取り戻した燕燕、その時、急に絵の中に吸い込まれて行った覃川は気がつくと桃花の絵の中にいたすると椅子の上に確かに琵琶がある『あなたなのね?』桃の木の下では白衣の男が琴を弾いていた『川兒…』覃川はついに九雲と再会を果たし、固く抱き合った…完工エエェェ(;╹⌓╹)ェェエエ工何度も言ってますけど、最終回で全ての印象が変わるわけですよせっかく後半で盛り上がったのにねえ~何これ?(笑それとも本国では原作を知っていることが前提でドラマを見るものなの?それなら失礼しました( ̄▽ ̄;)ではココノコボ的最終話考察です!突然、霊灯と共に消えた覃川、覃川が戻ったのは過去の驪国でしたそもそも妖王は妖神を復活させて三界を掌握するのが目的そのため人間たちの本来の命数を改ざんして妖神を広めて来たのですしかし霊灯がともって妖界が消滅したため、人間たちは元の正しい運命に戻ったと予想恐らく燕燕が戻ったのは妖王が命数を変える前の世界、もちろん今後、燕燕にあの悲惨な運命が訪れることはありません正しい世界では当然、妖王が送り込んだ靂渊もいない、亭渊が大皇子として燕燕の許嫁として登場しますそして帝女は本来、阿満の顔でした〜というオチで次に傅九雲です九雲に関しては眉山君の言葉にヒントがありましたドラマでは眉山君が覃川に「灯心として魂は飛散したが、時が経てば再び姿を取り戻すかもしれない」と言っています実は原作ではもう少し詳しく説明があるそうで「もし霊灯がともされたら彼の魂は飛散し、どこかで眠りにつく、そしていつか誰かが霊灯を消すことができれば、彼はまだ戻ってくるだろう」と…(  ̄꒳ ̄)はて、霊灯を消す?何が?そこで思い出したのが覃川のセリフです確かに覃川が亭渊に「霊灯は燃え続け、苦しみも永遠に続く」って言ってましたね~覃川の深い愛情が消したのか、ともかくw覃川が霊灯を消したことで九雲も目覚めたのでは?(灯心九雲=霊灯、九雲も霊灯の中で一緒にいられると言ってましたし、霊灯で寝ていたと予想)ここで忘れてはならないのが、記憶が消えたのは人間だけで仙人たちは全て覚えているという点です香取山主は心を入れ替えて修行に出ましたが、恐らく九雲のために燕燕にわざわざ画集を贈ったのでしょうそれを見た燕燕はほとんど忘れかけていた記憶を取り戻し、九雲がこもっている仙画の中へ引き込まれたのです…もし映像化したとすると…覃川が霊灯の前に立ち、実は燃え続けていた霊灯を消す覃川と霊灯が消える→この後、亭渊や左紫辰たちも砂の様に消散→物語の世界も全て消散その頃、天界では司命星君が人間界の命運簿を見て、無事に正しい命数に戻ったと安堵天君に「妖王が歪める直前の時間に戻しました」と報告…こんなイメージです以上が管理人の解釈になります、主観につきご容赦ください(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾ペコ
2021.05.10
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第29話「愛する力で」仲間たちを守るため2人だけで妖王との決戦に挑んだ傅九雲(フキュウウン)と覃川(タンセン)。しかし九雲が分身と張った五行の陣は妖王に破られ、反撃を受けてしまう。妖王の妖術は覃川をかばった九雲だけでなく、洞窟に足止めされていた眉山(ビザン)君たちにも及んでいた。覃川は自分をかばって動けなくなった九雲の異変に気づいた。「九雲?九雲!どうしたの?…九雲に何をしたの?!」「傅九雲は内なる魔境に捕らわれたのだ、1刻以内に気が尽きて死ぬであろう」妖王は九雲を助けたくば清瑩石(セイエイセキ)を捨てて、おとなしく霊灯を渡せと迫った。…師匠の絵の中で戦鼓を叩いている驪(リ)国の帝女九雲は危機一髪のところで覃川を救い出したが、敵兵に崖まで追い詰められた『九雲!怖いわ』『川兒、安心しろ、今度は絶対に守ってみせる』九雲はたった1人で応戦していたが、その間に覃川がうっかり足を滑らせ、崖から転落してしまうしかし咄嗟に駆けつけた九雲が危ないところで覃川の手をつかむことに成功した『九雲!助けて!』九雲は覃川の手を離すまいと堪えていたが、このままでは2人もろとも落下してしまう…覃川は清瑩石をあきらめ、九雲に駆け寄り必死に声をかけた。「九雲、しっかりして、私はここにいるわ」…その時、九雲は崖っぷちで覃川の手を必死につかんでいた『傅九雲!その手を離して!』覃川は九雲の魔境に入り込み、九雲を説得する『離さないぞ…離すものか…』九雲は取り憑かれたように幻覚の覃川を助けようとしていた……眉山は竹林の中で愛しい辛湄(シンビ)の姿を見つけたしかし辛湄は背を向けたまま、顔を見せてはくれず、そのまま去って行く『辛湄!こっちを見てくれ!待ってくれ!分かっている!俺が悪かった!』眉山は慌てて追いかけようとしが、足が土に埋まって歩けない『辛湄!愛している!…辛湄!行かないでくれーっ!』…左紫辰(サシシン)は驪国に攻め入った父に剣を突きつけていた『はっはっはっ!裏切り者はお前の方であろう?それは天原国の詹事(センジ)服ではないか?』『違う!私は裏切り者ではない!』すると父の姿が消え去り、いつの間にか自分が詹事服をまとっていることに気づく『私は裏切り者ではない!』…玄珠(ゲンシュ)は香取(コウシュ)山にいた『紫辰〜!花を見に行きましょう!』しかし琴を奏でる紫辰の隣には覃川が座っている覃川は玄珠に気づいて振り返ると、勝ち誇ったように満面の笑みを浮かべた『私のものが欲しいの?』その時、妖術を受けた亭渊(テイエン)は苦しそうに胸を押さえていた。しかしふと気がつくと、他の3人の様子がおかしい。3人は焦点が定まらない様子で、何やら独り言をつぶやいていた。「左詹事?大丈夫か」「違う…私は裏切ってなどいない…」「眉山?どうした?」「辛湄、愛しているんだ…」「玄珠姑娘?」「紫辰…」亭渊は自分だけ妖術に掛からなかったと気づき、結界を破いて出て行った。…九雲は覃川の手を離すまいと必死だったしかしふいにもうひとりの覃川の姿に気づく『手を離すのよ、九雲、離して!』九雲は覃川の必死の説得でついに幻影の覃川の手を離し、ようやく目を覚ました。「まさか内なる魔境から抜け出せたのか?!」妖王は感心していたが、すでに清瑩石はその手の中にある。「早く霊灯をよこせ!さもないと命はないぞ!」すると九雲は覃川と手を取り合い、立ち上がった。「それもよい…共に死ねるなら」九雲と覃川は決死の覚悟で妖王に挑んだ。しかし7つの力が揃った妖王にとって2人は敵ではなく、九雲と覃川は激しく投げ飛ばされ、もはやなす術ない。その時、突如、亭渊が現れ、不意をついて妖王の胸に剣を突き刺した。「グフッ!たかが人間ごときに私が倒せると?」「長年、耐えて来たが、特別な力を持つ本当の天原国太子は…この私だ!」すると苦しみもがく妖王の手から清瑩石が転がり落ち、洞窟にいる3人も魔境から解放された。( ๑≧ꇴ≦)えええーっ!亭渊いまさら?!亭渊は覃川と九雲に早く五行の陣を作れと叫んだ。「もうもたないぞ!」すると妖王は亭渊の首を絞め、投げ飛ばしてしまう。しかし一足先に清瑩石を奪い返した九雲が五行の陣で妖王を捕らえ、陣主の覃川が術を唱えた。「うっ…私が死ねば天下太平になるとでも?私が死んでも間もなく妖神が復活する! 全ての妖魔がよみがえるのだ…この世はこれから妖魔の天下だあぁぁぁぁーっ!」火口に響き渡る妖王の断末魔、やがてその身体が離散すると、覃川は霊灯で妖王の魂を吸い込んだ。覃川と九雲はついに妖王を倒した。喜んだ覃川は自分に生きる幸せを教えてくれた九雲に心から感謝し、ずっと一緒にいたいと願う。九雲は人も羨むような夫婦になろうと誓い、妖魔を倒して添い遂げようと笑った。「宿命は変えられるわ、約束して、必ず生き抜くと」「約束だ」その時、眉山たちが駆けつけた。眉山は自分たちを閉じ込めた九雲に怒り心頭だったが、紫辰が長居は無用だと急かす。しかし突然、地響きと共に火口が揺れ始めた。妖王の死をきっかけに妖神が復活したのである。するとついに湧き上がる溶岩と共に巨大な妖神が姿を現した。「南蛮妖王の目的は妖神の復活だったのか…」九雲はようやく師匠が言い残した言葉の意味を理解する。「妖神が復活したら止められる者はいない…師父、未来の災いとはこのことだったのですね」巨大な妖神が火の玉を投げた。覃川たちは咄嗟に避けたが、その凄まじい威力で吹き飛ばされてしまう。するとちょうど同じ場所にいた眉山と亭渊、紫辰が妖神の標的となり、3人は力を合わせて何とか持ちこたえた。覃川は3人を助けようと立ち上がったが、九雲が咄嗟に引き止める。「川兒…終わらせるんだ」「嫌よ…」妖神を倒すためには霊灯をともし、覃川の魂を捧げるしか方法はない。しかし覃川は九雲と一緒にいたいと拒んだ。「宿命は変えられぬ… 川兒、誰もが妖魔のいない世界を願っている、私の存在はそのためのものなのだ そなたとの日々が私の一生で最も幸せだった…」「ダメよ!霊灯はともさない!ずっと一緒にいるのよ…離れたくない…そうでしょう?九雲! お願いよ…あぁぁぁぁ…」泣き崩れる覃川、しかし帝女の使命を果たそうと思い直し、覚悟を決めるのだった。(つД`)ノ ぁぁぁぁ~一方、ひとり岩陰に投げ出された玄珠は、目の前に霊灯が転がり落ちていることに気づいた。確かにしがない諸侯の娘だったが、一度は燕燕(エンエン)の代わりに公主として驪国の民を守ろうと誓ったことを思い出す。目の前には紫辰が覃川を守ろうと必死に妖神の攻撃を抑える姿があった。その時だった。「玄珠!何をするの?!」覃川は霊灯を手にした玄珠の姿に気づいて驚愕した。「今回は私の方が先よ、私たちには血のつながりがある、私の血でもいいはずよ?」覃川は慌てて駆け出したが間に合わず、玄珠が自分の胸に霊灯を突き刺し、魂を捧げてしまう。すると霊灯が開いて激しい霊気を放ち、覃川は吹き飛ばされ岩に激突、意識を失った。霊灯が開くとすぐ妖神の攻撃が止まった。すると玄珠の身体は宙に浮いたまま結界に閉じ込められ、紫辰がどんなに叩いてもびくともしない。「一体どうして…何をするんだ?」「紫辰、私は諸侯の公主、でもあなたの前ではつまらない存在だった そうだとしても構わない、初めて会った時から好きだった 驪国が滅び、全てを失った…香取山に身を寄せ、毎日、一緒に瓊花(ケイカ)海を散歩した あなたに菓子を作ったり、目に薬を塗った日々が一番、幸せだったわ この世であなたを一番、愛しているのは私よ? …そばにいられるだけで嬉しかった、他には何も望まない 身の程は知っているわ、それなのに彼女はいつも私からあなたを奪って行く 彼女のためならあなたは命をかけ、屈辱にも耐えた こんな状況になってもまだ彼女のために…紫辰、結局、私は邪魔者なのよ! あなたは思ったより冷たい人だった…私を見て、そして一生忘れないで! 私が馬鹿だったの、でももう死ぬわ、私の最期を見届けて、紫辰…」「玄珠、愛している…君を愛しているんだ! 私が愚かで弱いせいでそなたを傷つけた!この目を潰して香取山の日々に戻りたい! ずっと前から愛していた!なぜ分かってくれないんだ!」しかしついに玄珠の身体は消散してしまう。「玄珠?!…行くな!玄珠!」(つД`)ノ ぁぁぁぁ~最後まで誤解したまま〜玄珠が霊灯をともし、妖神が崩れ始めた。そして次々と霊灯が妖魔を吸い込み始める。「川兒、帰ろう…」燃え始めた九雲は覃川を抱き上げ、その場からそっと立ち去ることにした。亭渊はそんな2人の姿に気づいたが、覃川を引き止めたくてもできない。すると眉山が咄嗟に九雲に声をかけた。「九雲…俺の家で」「はお」「今宵も飲むぞ?」「酔うまでな、ふっ」九雲はいつもと変わらぬ笑顔で約束する。しかしこれが眉山が見た最後の九雲の姿になった。(つД`)ノ ぁぁぁぁ~九雲は出雲(シュツウン)閣に戻り、覃川を寝台に寝かせた。「…眠いわ…まさか眠り薬を…」「誰かさんがよく使う手だ、私は使わぬ」覃川は九雲の顔を見ていたいと言ったが、眠気に負けて目を閉じた。すると九雲は覃川の寝顔にそっと口づけする。やがて霊灯は三界全ての妖魔を吸い付くして蓋を閉じた。その瞬間、九雲も覃川との思い出を胸に霧消してしまう。(つД`)ノ ぁぁぁぁ~つづく(つД`)ノ ぁぁぁぁ~何この悲しい話〜
2021.05.09
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第28話「清瑩石の主」南疆(ナンキョウ)の海底。傅九雲(フキュウウン)の師匠でも見つけられなかった清瑩石(セイエイセキ)が覃川(タンセン)を主に選んだ。こうしてついに清瑩石を手に入れた覃川と九雲は次の渦潮が起こるまでの1日、巨大な貝殻に横たわってしばし休息を取ることにする。「私ね、最近よく考えるの、未来の2人のこと、子供は何人か?どちらに似るのかな?って… 今まではこんなこと考えもしなかった 霊灯をともすこと以外は何も必要ないと思ってたから、志を遂げたら死のうって…」覃川もいつの間にか女子なら誰もが思い描くような普通の幸せを夢見ていた。「大丈夫よね?時間はたくさんある、これからはずっと一緒ね?」「霊灯の中ではずっと一緒だ」すると九雲は自分を好きになったのはいつかと聞いた。星空の下で想いを全て打ち明けた夜なのか、それとも自分が描いた皇女の頃の絵を見た時だろうか。しかし覃川はいたずらっぽく全部だとはぐらかした。「あなたは知っていたのね、時間など無意味だって…一緒ならそれでいい あの世で悪霊が私たちを引き離したり、私だけが先に死んだりしなければ…私はそれで幸せよ」「川兒…愛している」覃川は優しく微笑むと、答える代わりに九雲に口づけした。九雲は千年も想い続けた絵の中の娘とついに結ばれた。「私が妖魔を倒したら、もう何も心配しなくていい、何も考えず私の腕の中に身を任せて欲しい 命ある限りそなたを愛し、守り続けるよ」こうして愛を誓い合った2人は海底を離れ、無事に海岸に打ち上げられた。覃川と九雲は焚き火で暖を取りながら冷えた身体を暖めた。すると覃川は夕日がこんなに美しいと思わなかったという。九雲はそれは覃川の心が満たされているせいだと言った。「あなたがいるから満たされたの」「ふっ、霊灯はいいのか?」「…江湖には名前を聞くだけで妖魔が恐れる夫婦がいるの 霊灯に頼らなくても妖魔を倒すことができる、驪(リ)国人の生活も守られるのよ?」「うむ…それは忙しくなるな、たくさん子供を産んで手助けしてもらわなくては…」甘いひと時を過ごす覃川と九雲、しかしそろそろ出発する時になった。今頃、眉山(ビザン)君が鯪魚(リョウギョ)城で心配しているだろう。すると覃川は九雲にしがみつき、わずかな時間を惜しんだ。鯪王府で眉山と亭渊(テイエン)が九雲と覃川を出迎えた。2人の様子で何があったのか察する眉山と亭渊、すると九雲の身体を心配していた眉山が慌てて九雲を寝殿に引っ張って行ってしまう。そこで覃川は亭渊に清瑩石を見せることにした。「もし九雲に騙されたりしたら私にすぐ言ってくれ、天原国の力を総動員して殺しに行く」(; ゚ェ゚)お、おぅ「天原国の太子妃の座は君のために空けておくよ」覃川は意味が分からず、笑ってごまかすしかなかった。眉山は九雲を手当てしたが、あくまで一時的なものだった。このまま無理をすれば霊灯に関係なく九雲は死んでしまうだろう。しかし九雲は清瑩石が手に入ったからには早く妖魔を倒さねばと焦った。清瑩石の結界は5人の力を使って五行の陣を作るが、実はもう1人、清瑩石を持つ核となる陣主が必要となる。ただし陣主は妖魔と共に結界に入る必要があり、取り残されれば命に関わる危険があった。「私がやるわ」そこへ覃川が入って来た。「南蛮(ナンバン)妖王に復讐すべきは私よ?私がやる」驚いた九雲は危険すぎると反対し、覃川と口論となった。眉山は慌てて2人を落ち着かせると、亭渊と左紫辰(サシシン)が協力してくれるが、どちらにしてもかなり危険だという。紫辰から結界の話を聞いた玄珠(ゲンシュ)は協力を申し出た。「驪国のためだもの、諸侯の娘として責任を果たすわ」紫辰は思わず玄珠を抱きしめ、全てが終わったら桃林へ行こうと言った。「俗世を離れて暮らそう」幸せそうな紫辰、まさかその腕の中で玄珠が冴えない表情をしているとは知る由もない。一方、火山では妖王が歓喜に湧いていた。「我が神よ!時は来た!ついに復活の時が!」その夜、寝台に入った覃川と九雲は2人で結界の件を話し合った。「本気なんだな?」九雲が最後に確認すると、覃川が黙ってうなずく。すると2人は決戦を前に固く抱き合って眠った。翌朝、覃川が厨房で料理していると玄珠がやって来た。珍しく素直に手伝い始めた玄珠、すると覃川に初めて本音を明かす。「私を誤解しているわ、子供の頃、初めて見たあなたは綺麗な着物を着て華麗に舞っていた その時、私が何を思ったと思う?嫉妬したと? 私はこう思ったの、あの着物はあなたにしか似合わないなって…」玄珠は燕燕(エンエン)が自分を嫉妬深く、皮肉屋で嫌な女だと思っていることは分かっていた。すると覃川は自分の方こそ幼稚だったと反省する。「…以前は自分の目的のことでいっぱいで、他人を思いやれなかった でもある人と出会って生きることの意味を知ったの、失いたくない存在もできた」覃川は思わず玄珠の手を握った。「あなたにもそうであって欲しい」「私も同じよ」「必ず生きて帰ると約束して」「清瑩石も霊灯もある、妖魔を永遠に葬れるわ」そこで玄珠は霊灯を見せて欲しいと頼んだ。覃川は乾坤(ケンコン)袋から霊灯を出して渡したが、玄珠は急に黙り込んでしまう。実はその時、玄珠は香取山主から聞いた霊灯の話を思い出していた。…霊灯をともせば妖魔を封じることができる、三世界の全ての妖魔をな…血の契約をすれば霊灯が主と認め、主が魂を捧げると灯がともる…しかし主は未来永劫、苦しみ続けることになる「どうしかした?」「はっ!何でもないわ」九雲は食事をすっぽかし、覃川を連れて竹林へやって来た。すると竹に短刀で印をつける。「この竹が伸びれば私の名も人目に付く、皆が私の名を知ることになる」「でももう伸びてるけど?」「そうか?」そこで覃川は短い竹を見つけて自分の名を彫った。九雲は思わずその隣に自分の名を彫り、この竹は2人の物だという。「たとえ肉体が滅んで魂も記憶も何もかも失ったとしても、私たちが生きた証になる」「竹が伸びる頃、私は生きていたらおばあさんよ?それでもいいの?」「その時は仙人をやめて共に老いるさ」覃川たちはついに極寒の地までやって来た。以前よりはるかに溶岩の量も増え、眉山たちに緊張が走る。すると火口にいた妖王はどうやら客が来たと高笑いした。覃川と九雲は火山の洞窟に入ると、いきなり結界を張って眉山たちを閉じ込めた。あの夜、覃川はこれ以上、誰かを巻き込みたくないと訴え、2人だけで決行したいと提案する。『本気なんだな?』こうして九雲は覃川の願いを叶え、2人だけで火口へ向かった。「九雲っ!」「燕燕っ!」残された眉山たちは必死に叫んだが、2人は行ってしまう。妖王は火口で待っていた。九雲は宝剣を招喚、幻影の術で4人の分身を呼び出し、妖王を囲む。一方、眉山は必死に結界を破ろうとしていた。しかし九雲の術を破ることができず、業を煮やした亭渊が結界の前に立つ。その頃、九雲は分身と五行の陣を張り、覃川が清瑩石を取り出していた。すると妖王が五行の陣を破り、清瑩石など無用とばかりに覃川を吹き飛ばしてしまう。驚いた九雲は急いで覃川の元に駆けつけたが、覃川をかばって妖王の妖術に捕らわれた。亭渊が結界を破ろうとしたその時、黒煙が洞窟に飛び込んできた。すると黒煙は九雲の結界をあっさり突き破り、眉山たちも妖術に捕らわれてしまう。こうして九雲、眉山、亭渊、紫辰、玄珠はそれぞれの心魔に惑わされ、抜け出せなくなった。つづく( ๑≧ꇴ≦)妖王の第三形態が妖神の像だと思ってたけど別ものか〜
2021.05.09
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第27話「よみがえる妖魔」傅九雲(フキュウウン)の懸念は的中、実は妖王は生きていた。「妖神大人(ダーレン)、私が命拾いしたのは妖神大人のお導きのおかげです!」妖王は火口に感謝を捧げ、待ち続けていた日が間もなく訪れると高笑いする。すると極寒の地で封印されていた火山が噴火し、ふもとの住人たちは慌てて避難した。一方、鯪(リョウ)州王府に身を寄せた左紫辰(サシシン)は衰弱した玄珠(ゲンシュ)を付き切りで看病した。しかし翌朝、玄珠が目を覚ますと薬湯だけ残して紫辰の姿がない。そこで紫辰の部屋へ向かったが、中から亭渊(テイエン)の声が聞こえて来た。「覃川(タンセン)が帝女だと知っていたんだな?彼女は霊灯で敵を討つつもりだろう?」実は驪(ラ)国の帝女・燕燕(エンエン)は天原国の第二皇子の許嫁だった。決まったのは亭渊がまだ12歳の頃だったが、まさかこんな形で許嫁と出会うことになるとは…。すると紫辰は静かに燕燕のことを語り始めた。「霊灯について話す彼女の顔はとても穏やかで、家路につく旅人のようでした… 私が代わりに命を捧げると申し出ましたが、もちろん聞き入れてはくれなかった」燕燕の意志は固く、このまま失意のうちに一生、過ごし続けるのは耐え難いことだったのだろう。亭渊は覃川が国のために死ぬことを自ら望んでいると知り、なぜ喜んで人生を終えようとするのか腑に落ちた。「こうなると知っていたら、少年時代に彼女を娶っておけばよかった」「二皇子殿下、これまでの経緯があったからこそ彼女を愛したのでは?」「そなたは彼女をどう思っているんだ?」立ち聞きしていた玄珠は紫辰の答えを聞くのが怖くなり、そこで引き返した。紫辰は燕燕への未練はないと答えた。実は亭渊も紫辰の想い人が玄珠だと気づいていたという。そこでもっと積極的になり、玄珠を待たせるべきではないと助言した。一方、玄珠は自分たちを迎えに来た左相国(サショウコク)と回廊でばったり出くわしていた。左相国はまず息子に話があると断ったが、玄珠が自分も同席したいという。左相国は帝女が驪国のため自ら香取(コウシュ)山に入り、霊灯を奪取したと報告した。自分に化けた妖魔と靂渊(レキエン)を倒し、ついには南蛮(ナンバン)妖王に決死の戦いを挑むため、犠牲になる覚悟だったという。左相国は大きくため息をつき、自分が代役を努められるのも長くないと言った。帝女を失えば驪国の民は意気消沈するはず、しかし帝女は敵討ちで頭がいっぱいなのだろう。すると玄珠が自分が帝女の代わりになると申し出た。左相国はそれよりまず元気になって欲しいと遠回しに断り、ともかく今は帝女の邪魔だけはできないという。「紫辰、公主殿下は本当にご無事なのか?妖王の力を侮ってはならん、仙人とて…」その時、左相国は紫辰の目配せに気づき、玄珠を傷つけたと分かって話をやめた。玄珠は中庭でひとり敗北感に苛まれた。…誰も彼も帝女のことばかり、私の努力は何だったの?…身分なんてどうでもいい、結局、帝女には何ひとつ勝てないのね「もうたくさんよっ!」元気を取り戻した覃川は九雲と一緒に川兒(センジ)餅店を始めた。そんなある日、店に2人の男が現れ、旅で金を使い果たしたので安くして欲しいと値切って来る。実はその2人は北の果てからやって来た旅人だった。旅人の話では突然、火山が噴火、氷原に沈んでいた火山がせり上がり、何でも山肌の溶岩に奇妙な模様が浮き出ているのを見た人がいるという。その姿形はまるで妖魔のようだったとか。覃川は結局、旅人に餅を半額で売ると、妖魔への不安を募らせた。覃川と九雲は宿に戻った。すると九雲は覃川に用事があるので先に戻るよう告げる。そこで覃川はひとり上階の部屋へ入ると、ふと旅人の話を思い出して手鏡に話しかけた。「小白?今日はとても恐ろしいことを聞いたの」しかし手鏡は何の反応もない。困惑した覃川は水に浸かっていた手鏡を取り出したが、それはただの手鏡だった。一方、九雲は宿にいる香取山主の姿に気づき、声をかけた。「茶を飲みに来たのか?」「礼を言いに来たんだ」山主は強欲ゆえ多くの罪を犯したと反省し、修行に入る前にしがらみを断ちたいという。そこで清瑩石(セキエイセキ)の本当の在りかを教えることにした。「恐らく南疆(ナンキョウ)海底の最深部だ 清瑩石は玉石のように冷たく、潮のように澄んだ光る石で、普段は貝に化けている 見つけ出すのはかなり難しいだろう、ただ清瑩石は自ら主を選ぶと言われる 選ばれれば探さずとも得られよう」「そこまで知っていながら、なぜ手を出さなかった?」「南蛮妖王に関わるものなど怖くてかなわんさ、宝より命が大事だ」「師父でさえ、ついぞ見つけられなかった清瑩石が本当に南海にあると?」「お前の師父は見当違いな場所を探し続けた 神聖な清瑩石が仙界ではなく、妖魔がはびこる南海にあるとは思いもしなかっただろう」すると山主は話が終わったと言って席を立った。「九雲…さらばだ、自分を大切にしろ」「…修行の道は険しいぞ、保重!」山主が出て行くと、眉山(ビザン)君が姿を現した。「あいつを信じるのか?」「ああ、だが南海より先に行くところがある」九雲と眉山は再び極寒の地を訪ねた。すると火山の想像以上の威力に驚愕し、どうやら妖王だけの力ではないと気づく。「九雲、山肌を見ろ」「…まさか、妖神か?!」九雲が宿に戻ると覃川はまだ起きていた。しかし覃川の様子がおかしい。「あの手鏡は偽物ね?本物の小白はどこへ行ったの?」「川兒…すまない、小白は死んだ」覃川は白(ハク)公子が自分たちを守って犠牲になったと知り、呆然となる。「無駄死にではない…」すると九雲は覃川を抱きしめ、気が済むまで泣かせてやった。玄珠は中庭でひとりぼんやりしていた。すると紫辰がやって来る。「玄珠、今後はどうしたい?」「…さあ、分からないわ」「白河龍王から譲り受けた白河氷原の小屋で暮らそうか?父亲が建ててくれた桃林の家はどう? 私はどこでも構わないが…ふっ」しかし玄珠は紫辰の本音が分からず困惑した。「何が言いたいの?」「私は…そなたと一緒にここを出たい!2人さえ幸せなら世界がどうなってもいい! そなたとずっと一緒にいたいんだ!」玄珠はようやく紫辰の想いを知って笑顔を見せると、急に″東風桃花曲(トウフウトウカキョク)″を弾いて欲しいと頼んだ。翌朝、九雲は覃川を連れて湖に向かった。風呂に入るのが好きだった小白は水の中なら安らかに眠れるだろう。すると九雲は白月星雲鏡(ハクゲツセイウンキョウ)のかけらを投げ入れた。覃川は小白の犠牲を無駄にしないためにも、一緒に清瑩石を探しに行こうという。「あなたのためなら深淵の中にだって飛び込めるわ」玄珠は紫辰の演奏で燕燕が踊った東風桃花曲を舞った。しかしうっかり足がもつれて転んでしまう。「玄珠!大丈夫か?」「…帝女みたいだった?ふっ」「玄珠、思い詰めるな」すると玄珠は居たたまれなくなって逃げるように部屋へ戻ってしまう。玄珠は自分でも自分の気持ちが分からなかった。紫辰と一緒にいたい、紫辰の告白は嬉しいはずなのに、どうしても燕燕と自分を比べてしまう。…あの子に勝たなければ自分のこともあなたのことも愛せないわ…( ๑≧ꇴ≦) メンドクセー!覃川と九雲は南疆の海岸へ到着した。九雲は覃川に丸薬を飲ませ、これで海の中でも溺れないという。すると1日1回だけ起こるという大きな渦潮が見えて来た。九雲はあの渦潮に入れば海底にたどり着けると説明、覃川と海へ入る。「川兒、何があっても絶対にこの手を離すな」「うん」( ๑≧ꇴ≦)って早速、手を離してますけど~w九雲と覃川は渦潮まで泳いだ。やがて激しい海水の流れに引き込まれ、九雲は覃川と離れ離れにならないよう強く抱きしめる。それからどれくらいの時間が経っただろうか。「…川兒、もう大丈夫だ、目を開けろ」覃川がゆっくり目を開くと、静かな深淵まで潜っていた。「ここはとても寒い…怖くてたまらないわ」「川兒には私がいる」すると2人は自然と顔を近づけ、口づけを交わした。九雲と覃川は無事、海底に到着した。覃川はその美しさに感激しながら、早速、清瑩石を探すことにする。そこで目に付く貝を開けてみると、美しく大きな真珠があった。最初こそ真珠に目を輝かせていた覃川、しかしさすがに落胆の色を隠せなくなる。「この丸い形もそろそろ見飽きたわ…」「嫌なら捨てればいいだろう?」その時、覃川は自分の後をついて来る貝に気づいた。九雲は気のせいだと言ったが、覃川がふいに振り返ると、同じ貝が動いているのを目撃する。「ほら!見間違いじゃない!」覃川は貝を捕まえ、なぜ追いかけて来るのかと迫った。すると貝が自ら口を開き、美しい玉のような石が現れる。九雲は清瑩石が自ら主を選ぶと聞いたことを思い出し、これが清瑩石だと確信した。つづく|ω・`)あらやだ、いつの間にか九雲は″川儿″呼びに変わってたのね〜
2021.05.08
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第26話「愛する人のため」傅九雲(フキュウウン)は霊灯の灯心だった。妖王から真実を聞いた覃川(タンセン)は驚愕し、崩れ落ちるようにへたり込んでしまう。「そりゃ〜お前に言えるはずがない まあ〜お前を霊灯から引き離すためには嘘もつくだろう、己の命が惜しいからな? お前の亡国の恨みなど、奴の長〜い命に比べたら取るに足らぬ ひどい仙人もいたものだ〜ここまで身勝手とはな?お前の真心を踏みにじったのだ でも傅九雲はもう虫の息だ、お前の顔を見て悪あがきされたら面倒だが、 真相を教えたのは何も知らずに騙されている一途なお前が哀れだからだ」すると泣き崩れていた覃川が妖王にすがりつき、九雲に会わせて欲しいと懇願する。妖王はおとなしく燃えるよう九雲を説得するなら会わせると条件を出したが、そこへ何も知らずに亭渊(テイエン)が現れた。そこで妖王はこの機会に亭渊も片付けようとしたが、覃川が止める。「羅(ラ)国帝女が天原国皇子の命乞いか?」「…いいわ、彼に会わせて」亭渊はついに覃川の正体が驪国の帝女・燕燕(エンエン)だと知った。一方、左紫辰(サシシン)は氷の扉に閉じ込められた玄珠(ゲンシュ)を見つけた。しかしどんなに割ろうとしても氷はびくともしない。その時、洞窟が揺れて崩れて来た。玄珠は紫辰だけでも逃げるよう訴えたが、紫辰は諦めずに血まみれの拳で氷を殴り続ける。するとついに氷にヒビが入った。|ω・`).oO(かんざしで刺せば良かったんじゃ…妖王が覃川を連れて火口へ戻って来た。驚いた九雲は来てはだめだと叫んだが、覃川は岩に横たわっている九雲の元へ飛び降りてしまう。「九雲、苦しんだのね…教えて、あなたは灯心なの?」「そうだ、隠すつもりはなかった、そなたを死なせたくなくて…でもそなたの意思は固かった 小川、霊灯をそなたに渡すと決めた時に決心した 霊灯をともすなら、そなたには知らせずに燃え尽きようと…」覃川は九雲の深い愛情に心打たれ、思わず抱きしめた。「私も一緒よ…」すると覃川が白紙仙術で仙鶴を招喚する。仙鶴はその身体を燃やしながらも、2人を無事に火口まで送り届けてから燃え尽きた。九雲は戦える霊力などなかったが、覃川を守るため果敢にも妖王に襲いかかった。しかしまともに掌(ショウ)を受け、激しく吹き飛ばされてしまう。妖王は九雲に駆け寄る哀れな覃川を眺めながら、不敵な笑みを浮かべた。「驪国帝女よ、肉親が死ぬのは見たであろう?…次は愛する者だな?」驚いた覃川は傷だらけの九雲を抱きしめ、燃えないようかばう。妖王はそんな2人めがけて一撃を放とうとしたが、その時、ふもとで待っているはずの白(ハク)公子が立ちはだかった。「やっぱり僕が必要だろう?」「小白!」「ぶはっはっはっは、白月星雲鏡(ハクゲツセイウンキョウ)か、たかが仙鏡が出る幕ではないわ!」妖王はあっさり小白を投げ飛ばし、九雲を黒煙で捕まえ引き寄せた。覃川と小白は九雲を救おうと妖王に立ち向かったが、近づく間もなく吹き飛ばされてしまう。「傅九雲、仲間を助けたくば早く灰になったほうが良いぞ?」覃川はなす術なく呆然と座り込んでいた。するとふいに師匠の言葉を思い出す。…白紙仙術の究極の境地に達するには身を差し出すのです…いつか分かる時が来るでしょうそこで覃川は短剣を握りしめ、自分の心臓を突き刺してから白虎を招喚した。九雲は妖王が白虎に襲われている隙に覃川の元へ駆け寄った。しかし白虎も火口へ突き落とされ、激怒した妖王は全員を始末しようと溶岩を集め始める。驚いた小白は最後の力を振り絞って九雲たちの前に立つと、妖王が放った炎を全て飲み込み、一気に吐き出した。すると激しい熱波を浴びた妖王は思わず霊灯を落とし、そのまま火口へ消えて行く。こうして九雲と覃川を守った小白だったが、白月星雲鏡は粉々に割れた。( ;∀;)えーっ!しゃぉばい…その頃、紫辰はついに氷を割ることに成功、玄珠を救出した。一方、眉山(ビザン)君はようやく火口へ到着したが妖王の姿はなく、九雲が意識のない覃川を抱きしめている。「何があった?!」「私を救うために自ら心臓を突き刺したんだ」そこで眉山は仙術で覃川の心臓を封じ、一刻も早く下山するため小白を探した。しかし九雲が小さな鏡の破片を見せる。破片にはもはや小白の姿は映らなかった。九雲が覃川を抱いて立ち上がると、その時、瓶が転がり落ちた。すると瓶から香取(コウシュ)山主の叫ぶ声が聞こえる。山主は必死に靂渊(レキエン)に騙されたと訴え、命乞いした。しかし眉山はそもそも強欲な山主が全ての元凶だと断罪する。そこで火口に瓶を投げようとしたが、九雲が止めた。「これ以上、誰かが死ぬのは見たくない…」仕方なく眉山は瓶を火山に捨て置き、九雲の後を追った。九雲たちは桃源(トウゲン)鎮の宿に落ち着いた。覃川を手当てした眉山は九雲と部屋を出ると、あと少し深くまで刺していたら危なかったと告げる。「かなり消耗している、寿命が縮むかもしれん」「霊灯をともせば命はわずかだ、寿命など…」眉山は覃川もさすがに九雲を燃やそうとは思わないと言った。しかし九雲は自分が灯心と知っても覃川にやり遂げて欲しいという。「共に生き、共に死ぬなら怖くない… むしろ怖いのは彼女が私のために宿願と信念を捨て、苦しみの中で生きることだ」九雲の覃川への揺るぎない愛と理解に眉山は深く感銘を受け、ただ黙って九雲の肩をポンと叩いた。すると眉山がふとあの火山がおかしいと思い出す。「確かに、火山…妖王…」九雲は師匠の最期の言葉から手がかりを探した。…目の前の災いはわしが止めた…この先の未来の災いはもう抑えられん…今後はやつに近づいてはならん、霊灯を守るのだ、お前の命のために「″未来の災い″とは一体、何なのだ?」九雲は妖王がこうもやすやすと死ぬとは思えず、何か別の目的があって消えたと疑った。|ω・`),oO(師匠の″最期″の言葉って書いたの何度目かとw一方、亭渊は紫辰と玄珠を連れて鯪(リョウ)州王府に戻っていた。すでに香取山に連絡したため、明日には左相国(サショウコク)が迎えに来てくれるという。玄珠は沐浴しながら、自分を必死に助けようとした紫辰の姿を思い出して笑顔になった。しかしふと宮女たちの噂話が耳に入り、再び自尊心が傷ついてしまう。<一番上等の薬湯を使うなんて驪国の公主かしら?<じゃあ第二皇子に嫁ぐっていう?<違うわ、彼女は帝女じゃなく藩国の公主よ<え~っ!厚かましいわねえ~覃川は傷の痛みで目が覚めた。付き添っていた九雲は傷口が開いたと気づき、薬を塗ることにする。「…生きていたのね」「ああ、そなたのおかげだ、妖王は火口へ落ちたぞ、霊灯も戻った」「…小白は?姿が見えないけど」すると九雲は手鏡を出し、霊力を使い果たして眠ってしまったという。「休みが必要なんだ…」九雲は風呂好きの小白のため、手鏡をおけの中に浸けてやった。九雲は覃川を起き上がらせた。そこで上着を緩めて肩を出そうとしたが、覃川が慌てて拒む。「誰が包帯を巻いたと思っているんだ?」九雲が失笑すると、覃川は素直に薬を塗ってもらうことにした。「う″っ…」想像以上の激痛に顔をゆがめる覃川、すると九雲は左手を差し出し、自分の手を噛むよう勧める。「…こんな痛みを何度も経験して来たのね?」「そうだな」「痛い時は誰の手を噛んだの?…小白?」九雲はうっすら笑みを浮かべただけで、何も答えなかった。「もし霊灯をともしたら…とても痛い?」「…さ、済んだぞ」薬を塗り終わった九雲は何と答えたら良いのか分からない。「九雲、私…」覃川は辛そうに言葉を詰まらせると、九雲も黙って覃川を見つめた。しかし急に覃川の表情が和らぐ。「私、酥油餅(スーユービン)が食べたい…クスッ」( ;∀;)小川…その夜、玄珠は悪夢を見ながらうなされた。「寒い…寒い…紫辰…寒い…逃げて、紫辰…」付き添っていた紫辰は布団をもう一枚かけたが、玄珠の震えは止まらない。そこで紫辰は隣に横たわり、玄珠の手を握りしめて温めてやった。「1人の時はいつもこうだったのか?…今まで苦労かけた、これからは私がそなたを守る」すると紫辰は玄珠を抱きしめた。(  ̄꒳ ̄)紫辰…告白は起きてる時に言いなさいよ~翌朝、九雲は覃川を連れて酥油餅の露店にやって来た。覃川は自分も酥油餅屋を開きたいと話したが、そこへ店主が焼きたての酥油餅を持って来る。「良い時に来たね~ここは驪国の隣だろう?1年前は店でも家でも肉を食べられなかったんだ 妖魔が来るのが怖くてね~ それがどうしたことか、妖魔の大半が南蛮に行った、道士の話では妖王が戻ったらしい」「老板、焦げているぞ?」九雲は覃川の耳に余計な話を入れないよう、店主を追い払った。つづく( ๑≧ꇴ≦)餅が食べたい!でも糖質が高い(←そこかw
2021.05.07
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第25話「皇女の務め」公主として重責を担わされた玄珠(ゲンシュ)、しかし祭典の直前、思いがけず左紫辰(サシシン)の本音を聞いてしまう。紫辰は覃川(タンセン)に驪(リ)国を復興に導けるのは覃川しかいないと説得していた。玄珠はやはり自分では駄目なのだと思い知らされる。こうして復興の祭典が始まった。玄珠は無事に拝礼の義を済ませたが、ちょうど祭壇にある燕燕(エンエン)の位牌が目に入る。どうやら紫辰の説得も無駄に終わったのだろう。すると玄珠は無性に覃川に腹が立ち、帝女の位牌を投げ捨て、民の前で覃川こそ本物の驪(リ)国帝女だと暴露してしまう。「逃げてばかりいるから現実を見せてあげたのよ!」左相国(サショウコク)は訳がわからず呆然と立ちすくみ、民たちは料理長だった覃川に説明を求めて詰め寄った。「鎮まれ!彼女がどれだけの犠牲を払ったと?!」紫辰は咄嗟に覃川をかばい、怒号の中から助け出した。紫辰は覃川を逃がし、玄珠の元へ急いだ。しかし秋華(シュウカ)夫人が玄珠ならすでに香取(コウシュ)山から去ってしまったと教える。紫辰は何があっても見つけると約束したが、秋華夫人が止めた。「あなたの本心が見えない、燕燕が生きていると知っていたのね? それなのになぜ玄珠を代役に?…これ以上、苦しめないで!」←え?!( ̄▽ ̄;)「玄珠は私にとって大切な人です、必ず連れ戻します…」すると紫辰は玄珠のあとを追った。その頃、下山していた玄珠は道すがら、見慣れない廃屋を通りかかった。すると山主が現れ、一緒に下山しないかと誘う。玄珠は相手にしなかったが、急に山主の声が変わった。「愛妃(アイフェイ)?…一体どうした?何を怒っている?」その声は死んだはずの靂渊(レキエン)だった。覃川は左相国(サショウコク)を訪ね、丁重に拝礼してから帝女だと認めた。実は当初から覃川に懐かしさやを親しみを感じていたという左相国、ようやくその理由を知って腑に落ちる。帝女はあの日、師匠に救われて妖魔の封じ方を聞き、顔を変えて香取山へ潜入していた。「見た目は違えど、驪国への思いは変わりません…左叔叔に再会できたことを嬉しく思っています」すると左相国はすでに玄珠からこれまでの経緯を聞いたと明かし、霊灯のことは諦めて欲しいという。「公主殿下に万一のことがあったら、先帝に何とお詫びすれば良いか…」しかし覃川は自分が霊灯を失ったせいで民にまで災いが及ぶことを懸念した。「左大人、私の代わりに民を導いてください、覃川として民への説明は果たします」覃川は立ち上がって出て行くと、中庭で民たちが集まっていた。公主殿下!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<公主殿下!覃川は帝女としての使命を果たすことも叶わず、やりきれない思いを酒でまぎらせていた。すると白(ハク)公子が駆けつけ、傅九雲(フキュウウン)がこの姿を見たら悲しむと叱る。「九雲は私が幸せならいいって…私にできることなんて何もないの」「九雲は今、この時、因縁の場所にいるんだ 妖王を倒すために清瑩石(セイエイセキ)を探しに危険な地へ行った 分かるだろう?全部、お前のためなんだよ!」小白はうっかり口を滑らせ、覃川から九雲の居場所を問い詰められてしまう。一方、九雲と眉山(ビザン)君は極寒の地にいた。恐らく火山は法術で氷の下に隠されているのだろう。確かに氷河の中を歩いているのに、奇妙なことにどんどん暑くなって来た。眉山はひとまず小休止、どんな火傷もすぐ治る飲み薬や、身につけていれば炎の中でも燃えないという寒天麒麟甲、飲むと7日間だけ延命できる血錦丹(ケッキンタン)を準備して来たと話す。その時、突然、激しい吹雪が2人を襲った。すると九雲の姿がこつ然と消えてしまう。小白は九雲が鏡を持っていないので様子が分からないと困惑した。すると覃川は九雲が自分の銅鏡を持っていると思い出す。小白は早速、銅鏡を通じて九雲を映し出すと、火山でひとり妖王と戦っていた。どうやら妖王が火山に清瑩石があると嘘をついて九雲を誘き出したらしい。しかしさすがに九雲でも7つの力が揃った妖王が相手では歯が立たず、やがて一撃を受けた九雲は激しく血を吐いた。妖王はその隙に九雲を黒煙で捕らえ、火口に突き落としてしまう。小白は九雲が北の果ての火山にいると分かった。驚いた覃川は今から出発しても10日もかかると苛立ちを隠せない。すると小白は氷河の結界には入れないが、ふもとまでなら転送できると気づいた。覃川は白月星雲鏡(ハクゲツセイウンキョウ)を抜けて極寒の地へやって来た。しかし小白はあまりの寒さで身体にヒビが入り始めている。「鏡の仙人には寒すぎるのよ!無理すると割れてしまう、ここにいて、私が行って来る!」その頃、玄珠を追って下山していた紫辰はちょうど廃屋に差し掛かった。すると道端に落ちている玄珠の耳飾りに気づく。しかし突然、何者かに襲われ、意識を失った。紫辰を捕まえたのは江湖の術士・独孤堕天(ドッコダテン)だった。すると目を覚ました紫辰の前に天原国の第二皇子・亭渊(テイエン)が現れる。「見たところ玄珠姑娘(グーニャン)は香取山主に連れ去られたようだ、その山主の正体は靂渊だ」「まだ靂渊の魂が生きているのか?」「…魂だけでなく肉体も生きている」亭渊は靂渊を追って香取山へ来たと教え、靂渊に見つからないよう紫辰を連れ去ったという。そこへもう1人の配下・百里噬月(ヒャクリゼイゲツ)が玄珠の居場所を突き止めて戻って来た。「北の果てです、お任せください、空間法術など朝飯前です」覃川は吹雪の中を必死に進んでいた。その途中、なぜか玄珠が現れ、ここは師匠の修行場所なので自分も修行しているという。「あなたが来るなんて嬉しい~ちょうど暇だったから話したいと思って~」覃川はやけに馴れ馴れしい玄珠に困惑し、先を急いでいると断って歩き出した。すると突然、靂渊の声が聞こえ、覃川は恐る恐る振り返る。「…似ていなかったか?あ~そうか、お前たちは仲が悪かったな?」紫辰たちは陣を通って火山の洞窟へ飛び出した。人の気配に気づいて物陰に隠れた紫辰たち、すると山主が現れる。そこで亭渊は慎重に行動しようと釘を刺そうとしたが、百里堕天(ヒャクリダテン)の2人がいつの間にか飛び出していた。すると無謀にも山主に戦いを挑み、あっさり殺されてしまう。意識が戻った覃川は洞窟で寝かされていた。そっと様子をうかがうと、横たわった靂渊の肉体を見守る妖王の背中が見える。その時、山主が入って来た。覃川は寝たふりをして2人の会話を聞いていたが、そこで靂渊が実は妖王の息子だと知る。すると靂渊は南蛮の妖魔より自分が心配だという妖王の言葉を信じ、初めて父と呼んだ。「ではそなたの魂を肉体に戻そう」靂渊は父の情を信じて自分の肉体の隣に横たわり、山主の口から抜け出す。しかしその瞬間、妖王が靂渊の魂をつかんだ。「靂渊、鎖霊釘に苦しめられて死ぬ思いだった父を助けてくれ!」「父亲(フーチン)!不要(ブーヤオ)!」「力を返してもらおう、そなたの力はもともと私のものだ!」妖王は無常にも息子の魂を吸い込み、鎖霊釘で失った霊力を補ってしまう。妖王が振り返ると覃川が起き上がっていた。「傅九雲はどこ?!」「やつはあそこだ」すると妖王は火口内の岩の上に倒れている九雲の姿を映し出す。覃川は深傷を負った九雲の姿に驚愕し、どうするつもりかと迫った。「奴が燃えるのを待っている…おや?まさかとは思うが知らぬのか? 霊灯をともすには灯心が必要だが、傅九雲こそ、その灯心なのだ」実は九雲はこの山で生まれ、いずれここに帰る運命だという。つまり覃川が霊灯をともせば自分だけでなく、九雲も灯心となって燃え尽きてしまうのだ。「お前たちは2人とも死ぬ…聞いておらぬのか?」つづく( ̄꒳ ̄)b 三羽ガラス豆知識第12話で亭渊が″百里堕天″と呼んだのは、双子の″百里さん″と″堕天さん″のことでした
2021.05.07
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第24話「不穏な前触れ」中秋節の夜、傅九雲(フキュウウン)は覃川(タンセン)を連れ出し、空中散歩を楽しんでいた。一方、香取(コウシュ)山主の身体を乗っ取った靂渊(レキエン)はひとり、中秋を祝う驪(ラ)国人たちを冷ややかに眺めている。するとふいに少女がやって来た。皆の輪に入れない男を見つけた小花(ショウカ)は一緒に天灯を上げないかと誘ったが…。左紫辰(サシシン)は先に帰った玄珠(ゲンシュ)を心配して訪ねると、ちょうど父がいた。驪国の習わしでは皇帝が毎年、自ら先祖代々の魂を祭り、皇后が補佐を務めていたが、この重要な儀式を玄珠に任せたいという。しかし玄珠は紫辰への当てつけで、形ばかりの公主である自分になど務まらないと卑下した。左相国(サショウコク)は儀式の本当の目的は民を鼓舞することだと明かし、唯一の驪国公主である玄珠こそが驪国人の心をつかむ力を持っていると説得する。「適任の皇族がいない場合、代理が認められるのです、公主大人に1つだけ不都合があるとすれば… ぁ~未婚であることです」すると秋華(シュウカ)夫人が思わず良い相手が目の前にいると笑った。紫辰も喜んで公主に付き添うと承知したが、玄珠は紫辰の本心が分からず困惑してしまう。夜空に浮かぶ天灯の間を行きながら、覃川はいつの間にか鬱々とした気分が吹き飛んでいた。「この空で一番きれいな光はその瞳だ…」覃川は九雲の甘い言葉にも素直に感激し、思わず首に手を回して抱きつく。ようやく苦労が報われた九雲、しかしその時、白(ハク)公子から連絡が来た。『九雲大人、大変だ!村の子供が襲われた!』その知らせは紫辰たちのもとにも届いた。「公主!大変です!村で妖魔が暴れています!多くの民が怪我を!」九雲と覃川は小白の案内で林の中で倒れた小花を発見した。「精気を奪われたな…」そこで九雲は小花に仙気を注ぎ、覃川に世話を任せて小白と村の様子を見に行ってみる。すると妖魔が暴れたのか、民家が燃やされ、民たちが逃げ惑っていた。九雲は小白に村人たちを守るよう頼み、ひとり妖魔を探しに向かう。やがてがれきの中で不満を爆発させている山主を発見した。「平民の分際で仙人の山を汚すとは!家を奪われた私の気持ちをお前たちも味わえ!」「…力を全て失ったはずでは?怪しげな炎まで放つとは」九雲は善良な蛇だった山主の変わり様を嘆き、民を害する者は殺すと宣告して剣を招喚した。驚いた山主は命乞いし、咄嗟に清瑩石(セイエイセキ)の在りかを知っていると訴える。「どこだ?」「北の果てにある火山の噴火口だ、今まで隠していたのはお前と霊灯を失いたくなくて…」山主は北の果てにある火山こそ九雲が探していた答えだと言ったが、帰れる保証はないと心配した。しかし妖王がいずれ九雲の居場所を見つければ、その時は覃川や驪国人も道連れになるだろう。九雲は山主の正体が靂渊だと見抜けず、結局、見逃した。出雲(シュツウン)閣に戻った九雲は亡き師匠と最後に交わした言葉を思い出していた。『灯心よ、泣かなくてよい…それともまさか、このわしがお前を燃やすとでも思ったか?』『師父が授けてくれたこの命、いつでも喜んで差し出します』師匠の敵討ちと愛する覃川への深い愛、九雲の心は揺れていたが、清瑩石があればすべて解決できる。すると回廊で先に戻った覃川が待っていた。「何か悩み事があるのね?…何よ?私に言えないこと?」「そなたに隠すようなことはない」九雲は笑顔を見せると、眉山(ビザン)君に酒に誘われていると言って出かけてしまう。九雲は眉山に山主の話を伝え、清瑩石を探しに行くと言った。驚いた眉山はその身体で行けば死んでしまうと反対したが、九雲は自分には覃川の運命を変えてしまった責任があるという。「妖王を倒す最後の機会だ、あきらめたくない、まあいい、明るく送り出してくれ」すると眉山は自分も一緒に行くと決め、ただ出発までに準備することがあるという。そんな2人の話を偶然、小白が聞いていた。九雲はすっかり元気を取り戻した覃川に旅に出ることを伝えられずにいた。すると小白が現れ、自分も一緒に行きたいと懇願する。いつの間にか自分を気遣えるほど成長した小白に感慨深い九雲、そこでならば覃川を見守って欲しいと頼んだ。「それが最大の助けになる」一方、村の建て直しを手伝っていた玄珠はうっかり足を怪我した。紫辰は慌てて駆けつけたが、玄珠はどこかよそよそしく、以前のように強がっている。そこで紫辰は玄珠を背負い、自分の前では本当の気持ちを見せて欲しいと話した。玄珠は本当に自分と一緒に儀式を行うつもりか尋ね、誰かに強要されたのではと心配する。しかし紫辰はあっさり違うと答え、玄珠の足の傷の手当を始めた。「あの時のあなたの言葉は本心だったの?」「…やっぱり医者に見せよう」紫辰は玄珠を抱きかかえると、慌てて連れて行った。覃川は時間ができると大工を手伝いながら木彫りを学んでいた。そこへ玄珠が現れ、大工に儀式の準備はどうか尋ねる。大工はまもなく完成すると報告し、あとは先祖の名を位牌に刻むだけだと言った。すると玄珠は帝女の位牌の名入れを覃川にやってもらうという。大工は大事な位牌は熟練の匠に頼むべきだと進言したが、玄珠は有無を言わせず位牌を渡した。「亡き帝女のために心を込めて刻むのよ?」覃川は九雲の帰りを待ちながら、聴風(チョウフウ)亭で位牌に自分の名を彫っていた。するとようやく九雲が戻って来る。「そう言えば何か話があるの?」「別に…ただ鏡をなくしたからそなたに借りようと思ったんだ 小白は妖魔を映す鏡だろう?この端正な仙人の顔を映すには向かない」覃川は失笑し、驪国の至宝である銅鏡を渡した。「死んでも離さないさ」「え?」「なんてな…」九雲はその夜、覃川を自分の寝台に引っ張り込み、腕の中に抱いて眠ることにした。やがて安心して寝息を立てる覃川、そこで九雲はそっと寝台から抜け出し、名残惜しそうに覃川の寝顔を眺める。しかしそこへ支度ができた眉山が迎えにやって来た。翌朝、覃川が目を覚ますと九雲の姿がなかった。そこで小白に九雲の居場所を聞いたが、ただ出かけたとしか教えてくれない。「大事な用事があるらしい…」小白はなぜか元気がなかった。紫辰は朝から儀式の準備に追われて忙しかった。身支度を整えた玄珠もいよいよ凝碧(ギョウヘキ)殿へ向かったが、その途中、偶然、紫辰と覃川の話を聞いてしまう。実は紫辰は覃川が自分の位牌を仕上げている姿を目撃し、慌てて止めていた。「なぜこんなことを?!玄珠がやらせたのか?!」「新生驪国のためだもの、これくらい平気よ」「本当に真実から逃げられると思うか?」「真実は民が決めるの、みんなにとっての帝女はもういない」「私はそうは思わない、帝女は今も私の目の前にいる、思い出してくれ そなたはどんなに辛い境遇でも高潔な志を持って自分と向き合って来た 分かっているだろう?驪国を復興に導けるのはそなたしかいないと…」玄珠は紫辰の言葉を聞いて深く傷ついた。…やはり私では駄目なのね…つづく(  ̄꒳ ̄)紫辰…なんなの?
2021.05.06
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第23話「つかの間の平穏」本格的に驪(リ)国の再建に動き出した左相国(サショウコク)。そこで皇族の血を唯一引き継ぐ玄珠(ゲンシュ)を公主として担ぎ上げることにした。さすがに玄珠は諸侯の娘には荷が重すぎると尻込みしたが、秋華(シュウカ)夫人は娘が女帝になると知って目の色を変える。左相国や民たちのすがるような目に困惑する玄珠、その時、覃川(タンセン)の姿に気づいた。すると対抗心がわき上がり、思わず公主として使命を果たすと宣言してしまう。玄珠は覃川を追いかけ、引き止めた。「逃げるの?民にも私にも合わせる顔がないから? そうよね?私がいなければ靂渊(レキエン)は殺せなかった、だから公主まで私に押し付けるの? 今のあなたには霊灯に命を捧げる資格なんてないわ」「誰から聞いたの?!」「それは関係ない、あなたが愚かだと言いたいだけ あなたが死んでも誰も感謝しない、結局、人は自分さえ良ければいいのよ」「…あなたには関係ない」覃川は昔のように玄珠へ言い返す気力もない。「もう諦めたの?民のことも見捨てたのね?本当に私に公主の地位を譲るの?」「玄珠…あなたは昔から何でもやり遂げて来た、私より勇敢だわ、公主にふさわしい 民のことはあなたに任せたわ…」「やめて、国の復興なんて興味ない、こんな人数で戦っても死ぬだけよ 公主になった気分はいいわ~皆が仰いでくれるもの でも代わりはごめんよ、自分の役目は果たしなさい」しかしどんなに挑発しても、覃川を奮起させることはできなかった。そんな覃川を元気づけるため、傅九雲(フキュウウン)は白(ハク)公子を差し向けた。すると小白は鏡に燕燕(エンエン)の姿を映し出し、鼓舞する。「しっかりしろ!公主はお前だろ?あの偽物を見るとムカムカするんだ~! 元気出せよ!たかが霊灯をなくしただけだろう?」「霊灯のことじゃないの…」「九雲に浮気されのか?!」河原で2人の様子を鏡で見ていた九雲は何の話だと失笑した。実は覃川は自信を失っていた。二萌(ジホウ)や偽の左相国にまんまと騙され、白虎を守れず、1人では靂渊も殺せない。しかも九雲まで傷つけてしまったのだ。「僕のことも割ったしな、2回も!」「あ~そうだった、ごめんね…ほらね?役立たずなの」(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)ウンウン (^_^;)<認めるんかい覃川はいつかもっと多くの人を傷つけるのではないかと恐れていた。「私はただ平凡に生きるだけの運命なのかも…」「平凡なわけないだろう?白月星雲鏡(ハクゲツセイウンキョウ)を割ったのはお前だけだ どうした?死も恐れず突き進んで来たのに、なぜ弱気になった?お前は強い!」小白は過ぎたことは気にするなと励まし、問題があれば解決しようと言った。九雲は小白が上手く覃川を励ます姿を見て安堵した。その時、急に鏡が映らなくなる。九雲は続きを見ようと鏡の枠を叩いていたが、そこへ突然、覃川が駆けつけた。「傅九雲!立って!」「(はっ!)何で分かった?」「小白があんなこと言うわけないでしょう?!」すると小白が現れ、自分が悪者になると言ってその場を収めた。仕方なく覃川は矛を収めて魚を捕って来いと指示、九雲と小白は逃げるように出かけて行く。その様子を見ながら、覃川はふと気がつくと久しぶりに笑顔を取り戻していた。そこで区切りをつけるため、密かに師匠の仙弓を大木の下に埋めてしまう。眉山(ビザン)君が九雲の治療にやって来た。聞けば覃川は以前より元気になり、毎日、野菜や花の世話で農民のような生活をしているという。安堵した眉山はここで2人で静かに過ごし、100年経ったらまた一緒に気ままにやろうと言った。「何百年か過ぎればゆっくりと忘れるさ~これが一番いい結末だ」「…だがすっきりしない」九雲はこれが本当に覃川の幸せなのか疑問だった。一方、あれから天原(テンゲン)国は皇帝も妖神の呪縛が解け、平穏を取り戻していた。第二皇子・亭渊(テイエン)は都から妖魔を追い払った功績を称えられ、ついに父皇に靂渊の死を報告することになる。その時、皇太子の到着を知らせる前触れが聞こえた。すると死んだはずの靂渊が現れ、亭渊は驚愕する。しかし靂渊はまるで魂が抜けたように生気がなく、亭渊は馬を駆けて都を飛び出した。覃川は九雲の大きな愛に包まれ、次第に落ち着いてきたように見えた。そんなある夜、覃川は九雲と食事をしながら、ふと今の暮らしは好きかと尋ねる。「この香取山で野良仕事や縫い物をして静かに暮らすの」「誰とだ」「あなたよ?」すると九雲はすぐには答えず、酒を飲んだ。「私はそうしたい、ただ…」しかし覃川はそれから先は聞きたくないとばかりに話を遮ってしまう。その時、突然、雷鳴がとどろき、激しい雨になった。「大変だわ!」覃川は雷雨の中、急いで畑に向かった。しかしすでに大雨で土が流れ、せっかく芽が出た野菜の根が出てしまう。(←あくまでイメージ「やっぱり私は何をやってもダメなのね…」覃川はそのまま泣き崩れた。九雲は雨に打たれながら自分を責め続ける覃川にかける言葉もなく、ただ強く抱きしめることしかできなかった。( ;∀;)覃川、切ない…その頃、山主は霊灯を手に入れるため、覃川の居所に忍び込んだ。すると覃川の寝台で小さな袋を見つける。袋の中には瓶が入っていたが、突然、光を放った。「やっと来たか…お前を助けてやろう、私の力は霊灯の比ではないぞ?」欲深い山主はかつての栄華を取り戻すため、瓶の蓋を開けて靂渊の魂を取り込んでしまう。しかし靂渊は身体を乗っ取ると山主の魂を追い出し、代わりに瓶へ閉じ込めた。出雲(シュツウン)閣に戻った九雲は眉山の治療を受けた。「鎖霊釘(サレイテイ)は凶悪な術だ、良く耐えたな」眉山は毒を抜いたが、1ヶ月は安静にして仙術は使うなと無駄な注意をする。すると九雲は妖王が7つの力を揃えた今、鎖霊釘の効力は数日しかないと漏らし、平穏な日々は長くないと言った。確かに清瑩石(セイエイセキ)があれば一挙に片付けられるが、師匠が見つけられなかったこと思うと、ただの伝説なのかもしれない。しかし眉山は冠仁(カンジン)師匠から直接、清瑩石で妖王を倒せると聞いていた。「傅九雲?…覃川に感化されてないか?」九雲はふと覃川からなぜ仙人は妖魔を滅ぼさないのか聞かれたことを思い出した。その時は三界には各々の道があると答えたが、まさか覃川が自分と同じ運命を背負い、同じ敵を持つ日が来ようとは…。「眉山、誰が運命の輪廻から逃れられる?」「九雲、これは輪廻ではない、因果と呼ぶべきでは?初めて見た時にお前があいつの運命を変えた 覃川に敵を作ったのはお前かもしれん」「…じきに中秋だな」九雲は回廊から月を見上げた。一方、身体を手に入れた靂渊は密かに妖王と交信していた。妖王は靂渊の身体なら取り戻したと教え、愚かな天原帝は全く気づいていないという。「身体が戻ったなら早く戻って来い」しかし靂渊は山主が九雲と懇意なことから、ここに残れば何か意外な収穫があるかもしれないと期待した。すると妖王は傅九雲に勝機があるとすれば清瑩石しかないという。「清瑩石?」覃川は中秋節の支度をする幸せそうな一家を眺めていた。すると皇宮での家族との思い出が走馬灯のように蘇る。自然と顔がほころぶ覃川、しかしふいに現実に引き戻され、寂しさが募った。九雲はしばらくその姿を見ていたが、ようやく声をかける。「中秋節は家族で祝う…小川、羨ましくなったのか?」「…そうね」「私が叶えてやろう…子供を作ろう!」「ったく、消えて」九雲は覃川がいつもの調子に戻ると、自分たちも中秋を祝いに行こうと誘った。玄珠は紫辰へのわだかまりが消え、ようやく素直になって2人の距離も近くなった。その夜、紫辰が学堂の子供たちと天灯を上げる準備をしてると、ちょうど玄珠がやって来て手伝ってくれる。すると子供が無邪気に天灯は好きな人と上げるものなのか聞いた。紫辰はようやく玄珠の想いに応えられる時が来たと感慨深かったが、玄珠は黙った紫辰がまた燕燕を思い出していると誤解、急に天灯から手を離して帰ってしまう。「天灯は好きな人と一緒に上げるんだ…」紫宸は空に上がって行く天灯を眺めながら答えたが、気がつくと玄珠は帰路についていた。つづく(; ̄▽ ̄)紫辰よ…いつか女心が分かるようになるのだろうか…
2021.05.05
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第22話「祖国再建を目指して」覃川(タンセン)は復讐すべき相手を間違えていた。しかも奪われた霊灯が傅九雲(フキュウウン)にとって師匠から託された大切な物だと知る。「私のせいね…」罪悪感に苛まれる覃川、しかし九雲は気にするなと優しかった。「霊灯は失ったが得た物もある、これを…」実は九雲は靂渊(レキエン)の魂を瓶に閉じ込めていた。「今夜はここで休もう、明日、驪(ラ)国人が集う場所へ連れて行くよ」翌朝、張(チョウ)太尉は捜査命令を出し、驪国人を全て追放した。屋敷を追い出された秋華(シュウカ)夫人は最後まで官兵相手にごねていたが、すでに馬車に乗っていた玄珠(ゲンシュ)にたしなめられてしまう。「もうたくさん、天原(テンゲン)国に用はないの!…私はもうあなたの人形じゃないのよ?」秋華夫人は初めて娘に反発され、慌てて馬車に乗り込んだ。驪国の民が集まっていたのは香取(コウシュ)山だった。「またここに戻って来るなんてね…」九雲は覃川の手をつないで歩き出そうとしたが、その時、馬車が続けて到着するのが見える。一台からは玄珠と秋華夫人が降りてきたが、もう一台から降りてきたのは左紫辰(サシシン)と左相国(サショウコク)だった。覃川は自分が殺した左相国が偽物だったと知った。左相国が驪国の民を前に国を再建すると誓う姿を見ながら、覃川は居たたまれなくなってしまう。すると左相国は湧き上がる民たちの輪から寂しそうに離れていく娘の姿に気づいた。覃川は無力感に苛まれながらひとり歩いていた。そこへ左相国が現れ、何か心配事かと尋ねる。そんな2人の様子を紫辰が遠目から見ていた。「家族はいるのかい?」「おりません」「驪国の民は皆、家族だと思っている、安心して頼ってくれていいんだ」しかし覃川はかえって己の不甲斐なさを思い知り、辛くなって早々に話を切り上げた。紫辰は覃川を追いかけ、呼び止めた。「燕燕(エンエン)!…燕燕、なぜ真実を言わなかった?復讐はしないのか? 私では力になれなかったが、父上ならきっと助けてくれる」「紫辰…ごめんなさい」「謝るなよ、殺されたのは父ではなかったんだ」「…謝ったのは全ての驪国人に対してなの」すると紫辰は燕燕からもらった玉のかんざしを返し、過去は水に流して前に進む時だと励ました。覃川も前に進みたかったが、なかなか立ち直れなかった。居所に戻った覃川は子供からもらった折り紙でふと白虎を思い出し、涙があふれ出す。その姿をちょうど好物を持って来た九雲が戸の隙間から見ていた。そこで代わりに白(ハク)公子を送り込むことにする。小白は相変わらず遠慮ない物言いで酥油餅(スーユービン)を差し入れると、覃川は泣きながらも少しは以前のような顔をのぞかせ、好物を頬張った。九雲は眉山(ビザン)君のもとへ向かった。しかし覃川が気になって上の空、眉山からしばらく覃川に関わるなと釘を刺される。九雲は確かに自分の存在が今は覃川の後悔を募らせるだけだと分かっていたが、どうしても放っておけなかった。そんな情けない九雲の顔を見た眉山は思わず、何の悩みもない頃が懐かしいと漏らす。「自由気ままで楽しかったな~」「人間だったら愚痴を言って眠れば悩みもすぐに忘れる、だが我ら仙人は? 虚しさだけが残る、それも永遠に… どんな人間にも悩みはあるが、いつか終わりが来る、でも仙人は? 終わらない苦しみを抱えて何千年も生きるんだぞ?!」「じゃあ俺が霊灯をともしてやんよ、楽になれるぞ?!」思わず眉山が口を滑らせると、九雲が怒って机を蹴った。気まずくなって黙り込む2人、すると眉山が沈黙を破る。「…霊灯が妖王に渡れば7つの力が集まって世界に危険が及ぶ、ここの結界だって耐えられないぞ」「鎖霊釘(サレイテイ)の効力も長くはもたない、奴はじきに動くだろう 霊灯を破壊したいなら私を探すはず…」その時、九雲は清瑩石(セイエイセキ)を思い出し、師匠が見つけていれば霊灯を使う必要もなく死なずに済んだと言った。「妖魔も人間には手を出さなかった…」「ぁぁ~それを言ってどうする?」眉山は歯牙にも掛けなかったが、九雲は何やら考え込んでいた。翌日、紫辰がひとり瓊花(ケイカ)海を眺めていると、九雲がやって来た。九雲は偶然を装っていたが、紫辰は自分に話があるとすぐ見抜く。「彼女の様子は?」「良くなっている、彼女のことなら私の方が詳しい…」「幼なじみの私より知っていると?」「私は千年、見て来たんでね…って、冗談だ」すると何とか覃川の肩の荷を降ろしてやりたい九雲は柄にもなく口数が多くなった。「この世には大それた望みを抱く者がいる 全て自分の責任だと思い、人々の願いを一身に背負おうとする者が… 君たち驪国人とって彼女は神も同然、国を救い、妖魔を追い払ってくれる希望だ」「彼女自身が望み、決めたことだ、私に何ができる?」「その通りだ、だが君たちの前では神であっても、彼女に普通の女子としての幸せはないと? 彼女が自分の負けを認め、諦めない限り、君たちにとって彼女は希望の神だ だが私にとっては違う、神は私だけで十分だろう?彼女の幸せは誰にも奪わせはしない」「だから彼女を霊灯から遠ざけようとしたのか?」「守ることが愛だと思っていたが、やっと分かった、受け入れるのが愛だと…」九雲は眠っている覃川の顔を愛おしそうにながめていた。すると外から香取山主の声が聞こえて来る。「九雲?九雲?!」九雲は覃川を起こさないよう外へ出ると、山主が力を回復して欲しいと頼んだ。驪国人たちはあろうことか自分のお宝で漬物を漬けている始末、この惨状にとても我慢できない。九雲は妖王との戦いでそんな力がないと断ったが、山主はならば霊灯があれば自力で取り戻せると言った。仕方なく九雲は今の山主では霊灯の力に耐えられないため、もう少し修練するよう勧める。「それに霊灯を失くしてしまって…」「まさか!隠すのはあの女のためか?」「ないものはないんでね…」「分かった、ならせめて驪国人を追い出してくれ、山はめちゃくちゃだ!」しかし九雲はこれも山主のためだとごまかして追い返した。紫辰は燕燕への想いにケジメをつけ、玄珠と生きて行こうと決めた。そんな矢先、左相国は息子に自分の命が残りわずかだと明かし、もしもの時は紫辰に国の復活を託したいという。帝女の燕燕が亡くなり、今や玄珠だけが皇族の生き残りだと誤解している父、しかし紫辰は何も言えなかった。一方、玄珠は自分の後をついてくる蛇に気づき、隙を見ていきなり蛇を捕まえて地面に叩きつけた。すると蛇は山主の姿に戻り、自分の山を好き勝手に荒らす驪国人への不満を漏らす。「九雲が霊灯を渡せば私は力を取り戻せるのに…その時は驪国人どもを追い出してやる」「霊灯?霊灯にそんな力が?」「当然だ、だから白河(ハクガ)龍王もお前に盗めと命じたんだ」山主は他にも霊灯をともせば妖魔を封じることができると教えた。しかし霊灯をともすには血の契約が必要だという。↓本気出すと怖い玄珠wつづく
2021.05.04
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第21話「死闘の果てに」中元節、ついに天原(テンゲン)国太子・靂渊(レキエン)を討つ時が来た。玄珠(ゲンシュ)の協力で靂渊が昊天(コウテン)殿にいると知った覃川(タンセン)は、左紫辰(サシシン)、第二皇子・亭渊(テイエン)と共に殿内に入る。人の気配はなかったが、紫辰が地下から琴の音がすると気づいた。床の図柄を見た亭渊は何か仕掛けがあると考え、″太極陰陽魚図(タイキョクインヨウギョズ)″についてうんちくを語り始める。しかし紫辰が剣で図柄の中心を押すと、あっさり床が開いて地下への階段が出現した。「急ごう!」一方、覃川が昊天殿へ入るのを見届けた傅九雲(フキュウウン)は師匠の最期の言葉を思い出していた。あれは師匠と妖王が戦った時のこと、師匠は霊灯と血の契りを結び、妖王の霊力を吸い取ることで撃退する。…九雲、今、わしにできるのはここまでじゃ…災いは必ず再び訪れる、未来はお前に託したぞ…妖王が持つ7つの霊力のうち、わしが奪い取った2つをお前の体内に封印する…妖王には近づくな、霊灯をお前に託す、自分の命は自分でしっかり守りなさい九雲もまた師匠の敵を討とうとしていた。九雲が殿内に入ると勝手に門が閉じた。すると妖神の像から車椅子に乗った国師が現れる。「傅九雲、私が思い描いたとおりの男だな…」「お前の姿は少し期待はずれだったがな」妖王は国師に化けていた。「分かっているだろう?師父の借りはお前が返せ!」妖王は九雲から霊気を奪い取りながら、自分たちは陰陽のごとく表裏一体の関係にあると言った。九雲の体内の霊力は分身のようなもの、7つの霊力が再び集まれば三界は自分のものだ。その頃、覃川たちは妖神を祭る地下の密室で靂渊と玄珠を発見していた。亭渊は靂渊にじりじり迫りながら、中元節になると自分から逃げ回る兄をついに見つけたと不敵な笑みを浮かべる。「今日こそお前を殺す…」亭渊は逃げ惑う靂渊をついに斬りつけたが、その瞬間、靂渊と玄珠が消散した。「亭渊!これは罠よ!」覃川が叫ぶと、柱に縛り付けられた本物の玄珠が姿を現す。すると妖神の像からツルが伸びて覃川たちに襲いかかった。九雲は霊灯の在りかを決して教えなかった。痺れを切らした妖王は地下でツルに捕まった覃川の様子を映し出し、覃川がどうなってもいいのかと脅す。「あの女が魂を捧げて霊灯をともせば、灯心のお前も燃えて道連れになるぞ!」妖王は九雲があの娘に真実を告げていないと察し、思わず高笑いした。覃川たち3人はツルに捕らわれ、身動きがとれなくなった。すると靂渊が姿を現し、すでに何もかもお見通しだったと言いながら紙人形を投げ捨てる。実は覃川が喪服の着替えを手伝った時も、靂渊は侍女の企みに勘づいていた。そして玄珠までこんな危険を冒したのは紫辰のためだと分かっていたが、紫辰が愛しているのは玄珠ではなく、この侍女だと気づく。靂渊は勝ち誇ったように覃川の顔をつかむと、驚いた亭渊は触るなと叫んだ。思いがけず弟の弱みを知った靂渊、その時、この娘こそ自分を狙った刺客・胡姫(コキ)だと気づく。「髪と瞳の色は前の方が良かったぞ?ふふ」すると靂渊は殺せるものなら殺してみろと挑発し、覃川の乾坤(ケンコン)袋から霊灯を奪った。「お前は一体、何者だ?まあいい、お前も妖神の供物にする」靂渊が妖神の像に向かって歩き始めると、覃川は後ろ手のまま白紙を放って白虎を招喚した。しかし白虎が背後から靂渊を襲おうとしたその時、妖神のツルに捕まってあっけなく消散してしまう。「猫猫(マォマォ)っ!」妖王はついに九雲から2つの霊力を回収した。九雲は崩れ落ちるように膝をつき、激しく喀血してしまう。「待ちわびていた時がついに来た…」すると妖王は車椅子から立ち上がり、九雲に掌(ショウ)を放とうと構えた。しかしその時、急に霊力が逆流して激しく血を吹き出してしまう。九雲はゆっくり起き上がると、呆然とする妖王を見て思わずにやりとした。…深傷を負った九雲は香取(コウシュ)山主を頼っていた山主は白河(ハクガ)龍王に霊力を奪われたせいで蛇の姿にかえっていたが、九雲が人形(ヒトガタ)に戻してくれる『わはははは~!九雲よ!お前は恩人だ!』『霊力を取り戻したいだろう?この力を鎮めてくれたら必ず手助けする』しかし今や何の力もない山主はもはや封印大師ではなかったすると山主はせめてものお礼に最後まで手放さずに持っていた唯一の法具を譲る『この2本の蛇牙(ジャガ)を使え、鎖霊釘(サレイテイ)という香取山に伝わる禁断の仙術だ 敵に強い一撃を与えられるが、その反動が自分にも返って来る、並の仙人には扱えない代物だ』鎖霊釘は体内で陰陽をかき乱す効力を持っていた九雲が2つの力と共に妖王の中に送り込めば、鎖霊釘の効力が全体に及んで妖王は霊力を御せなくなるというそして体内で霊力が暴れ回った妖王は苦しみを味わい続けるだろう…覃川は相棒の白虎を失い、靂渊への憎しみを募らせた。しかしツルに縛られ身動きが取れない。その時、靂渊に捨てられた紙人形が起き上がり、覃川の背中を登ってツルを切り始めた。妖神に祈りを捧げた靂渊はまず覃川を生贄にすると決めたが、亭渊が咄嗟に愛する人の先に死にたいと懇願する。すると思わぬ弟の可愛い頼みを知り、靂渊は叶えてやろうと言った。覃川を守るため生贄に志願した亭渊、しかし危機一髪のところで紙人形が覃川のツルを切った。覃川は即座に仙弓で亭渊と紫辰のツタを切断して解放、そこで紫辰はこの機に玄珠を救出する。しかし再び妖神のツタが襲いかかり、覃川たちは窮地に追い込まれた。同じ頃、上階では九雲が師匠の敵を討つべく、妖王と最後の戦いに挑んでいた。しかし妖王への攻撃はそのまま九雲の身体にも跳ね返って来る。「…愚か者め、この私がお前にやすやすと殺されてたまるか」追い詰められてもなお妖王は強気だったが、九雲の反撃でついに地下の妖神への霊力が途絶える。すると妖神のツルが消失した。霊力を失ったと気づいた靂渊は逃げ出そうとしたが、覃川の放った矢に阻まれてしまう。覃川は仙弓を引いて靂渊にじわじわと迫った。「私が何者か聞いたわね?…あなたが血眼になって探している人物よ」その時、靂渊は仙鶴で逃げて行った驪国帝女のことを思い出した。「あなたは父皇と母后の命を奪い、罪のない民を殺した…靂渊、驪国の敵(カタキ)っ!」覃川はついに矢を放ち、靂渊の心臓を貫いた。「驪国の…帝女?…生きていたのか…ウッ…」靂渊は膝から崩れ落ち、霊灯を落としてばったり倒れた。「驪国を踏みにじった罪人は逃さない、1人たりとも…」すると靂渊の死を知った妖王は衝撃のあまり絶叫し、激しい霊気を放って消散した。覃川は霊灯を掲げ、さまよう靂渊の魂を吸い込もうとした。しかし深傷を負った九雲が駆けつけ、すぐ逃げろと急かせる。「もうすぐ奴が来るぞ!早く逃げるんだ!」焦った覃川は咄嗟に霊灯を投げ、靂渊の魂を吸わせようとした。そこへ肉体を失った妖王の元神が現れ、霊灯と靂渊の亡骸を奪ってしまう。九雲は危険を感じて斬りかかると、妖王の元神を覆っていた黒煙が散り散りになった。「ふっ、まさかお前が驪国の帝女だったとはな、復讐の相手を間違えてはおらぬか?」妖王は高笑いすると、バラバラになった黒煙を集めて逃げ出した。張(チョウ)太尉に化けた眉山(ビザン)君が禁軍を連れて駆けつけた。そこで紫辰は玄珠を先に送るよう頼み、このまま密室を調べることにする。一方、覃川はただ呆然と立ちすくみ、自分の浅はかさを思い知っていた。すると亭渊が駆け寄り、復讐を果たした覃川を労う。「ここにいてくれ…これからは私が面倒をみる」しかし九雲が現れ、覃川の腕をつかんだ亭渊の手を離した。「また後日に、小川…帰ろう」その頃、紫辰は地下牢を発見していた。牢には罪人なのか、繋がれたまま気力をなくした人たちがいる。紫辰は錠を壊して入ってみると、その中に李(リ)侍郎がいた。「李大人(ダーレン)?!」「どなたかな?」「…左紫辰です、お忘れですか?」「ああ~そうか、あなたが朝廷で会っているのは本物の私ではない」すると助けが来たと気づいた老臣たちが集まって来た。聞いてみれば国師に化けた妖王が朝廷を掌握した時から、老臣たちは皆ここに閉じ込められてしまったという。表舞台にいるのは全て偽物、しかし妖術を使って老臣たちに化けているため誰も気が付かなかった。その時、牢の奥から紫辰の名を呼ぶ声がする。紫辰は様子を見に行くと、ぼさぼさになった髪の毛の下から父の顔が現れた。紫辰は父と再会した。実は左相国(サショウコク)は天原国の危険を奏上するつもりだったが、その前夜に妖魔に襲われてしまう。あれから何年もの間、ここに監禁されていたが、いつか息子が助け出してくれると信じて生き延びていた。九雲と覃川はひとまず太尉府に戻った。覃川は危うく天原国の皇帝まで殺すところだったと困惑し、九雲がなぜ妖王を知っているのか訝しむ。全ての元凶である妖王はもともと南蛮にいたが、天原国に移ったあと皇帝を惑わせ、国師の座に収まっていた。実はかつて南蛮の妖王が暴れた時、霊灯で力を封じたのが九雲の師匠・冠仁(カンジン)だという。覃川はようやくあの霊灯が師匠から託された九雲の大切な物だったと知った。つづく(´⊙ω⊙`)えーっ!九雲が灯心?!って霊灯ってどんな構造なのか?wいよいよファイナルシーズンへ!(←って勝手にw
2021.05.03
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第20話「作戦決行の日」左紫辰(サシシン)は宮廷で屈辱を強いられる玄珠(ゲンシュ)に心を痛めた。「玄珠、とにかく太子には嫁ぐな、幸せになどなれない」「幸せ?幸せって何?それって美味しいの?」もちろん好きな人と添い遂げたいと願って来た玄珠、しかしこれまでの努力は全て無駄だった。そこで玄珠は紫辰の手をにぎりしめ、最後にもう一度だけ、その心に自分の居場所があるのか尋ねる。しかし紫辰は嘘をつけず、黙っていた。玄珠はそれが答えだと悟り、これで終わりにすると決める。「左詹事(センジ)、これからの私の人生はあなたと関係ない これから私ががどんな目に遭おうが心配無用よ…」すると紫辰はそんな玄珠を見放せず、思わず後ろから抱きしめた。「2人だけでここを離れよう…玄珠、もう意地を張らないでくれ、太子には嫁がせない!」紫辰は全てを忘れ、玄珠と2人で生きると約束した。傅九雲(フキュウウン)は丸一日、寝込んだが、ようやく床を離れた。眉山(ビザン)君は九雲がこれほど弱ったことに驚き、封印を解いたこと後悔する。すると覃川(タンセン)に投げ捨てられたせいで頭を打った白(ハク)公子が痛くて眠れなかったと憤慨した。「あいつのせいだ!あのバカな小川が…」その時、九雲が思わず扇子で机を叩き、驚いた小白は口をつぐんだ。その夜、屋敷に戻った玄珠は荷物をまとめた。何も知らない秋華(シュウカ)夫人は娘が皇太子妃に決まったようなものだと夢見心地になっている。「私は無理だったけれど、あなたなら皇后になれるわ」玄珠は黙ってうなずき、後は全て紫辰に任せることにした。天原国太子・靂渊(レキエン)はついに玄珠を太子妃にすると決意、皇帝に許しをもらった。そこで紫辰に宣旨(センジ)を務めるよう命じる。「もうすぐ中元節だ、玄珠姑娘(グーニャン)は太子妃として皇室のしきたりに従い、宮中で祈祷する 宣旨のあと、宮中に迎えろ」翌朝、紫辰は宣旨として玄珠を迎えにやって来た。すっかり舞い上がっている母を横目に動揺を隠せない玄珠、しかし紫辰が帰り際に密かに声をかける。「落ち着け、ひとまず宮中に入るんだ、時を見て連れ出す…信じてくれ」主衣(シュイ)局の侍女に紛れ込んだ覃川は喪服を届ける道すがら、入宮した玄珠を見かけた。まさか天原国の皇太子に嫁ぐとは…。覃川はやるせない思いを抱えながら仕事へ戻ったが、回廊で運悪く紫辰に見咎められてしまう。「…燕燕(エンエン)、私の父はすでに報いを受けた、復讐はここまでにするんだ」「死んだら全ての罪が消せるとでも?私も驪(リ)国の民も永遠に許さない」「分かっているが私だってそなたを許せない!私の父だぞ?!私が…」しかし覃川が話を遮った。「好きだったわ、あなたに嫁ぎたかった…本心よ、でも全て変わってしまった あなたが好きだった燕燕は死んだの、私が好きだった紫辰ももういない、だから…構わないで」紫辰は愛する燕燕の無念の思いを初めて知り、何も言えなくなってしまう。すると覃川は最後に警告した。「…中元節の日は靂渊に近づかないで、父親の敵ならすぐ討てるわ」( ;∀;)燕燕…切ない靂渊は今年の中元節は正妃となる玄珠と2人で祈祷したいと言い出した。そこで紫辰に婚儀と併せて祈祷についても取り仕切ってほしいと頼む。驚いた玄珠は恐れ多いと辞退したが、なぜか紫辰は皇太子の気持ちを受けるべきだと勧めた。こうして中元節の前日、覃川は紙人形を密かに隠し持ち、主衣局へ向かう。一方、玄珠はちょうど身支度を整えたところだった。そこへ紫辰が現れ、皇太子から伝言があると嘘をつく。玄珠は侍女たちを下げると、紫辰がこっそり令牌(レイハイ)を渡した。「今夜、皇族が一斉に祈祷する、戌(イヌ)の刻は警備が手薄だ 祈祷が終わったら、これを使って南門から出ろ、門衛には話を通した、馬車も用意してある」すると紫辰は最後の仕事を終えたら合流すると言った。「玄珠、必ず皇宮から出るんだ、私が遅れても待たなくていい…分かったな?無事でいてくれ」祈祷が終わり、靂渊は着替えを待ちながら15歳の時にできた指の傷跡を眺めていた。そこへ主衣局が喪服を持ってやって来る。覃川は皇太子の身支度を始めたが、そこへ紫辰が現れた。覃川の姿に気づいて内心、動揺する紫辰、その時、覃川が密かに靂渊の背中に紙人形を貼り付けてから外衣を羽織らせる。しかし安心したのも束の間、目覚めた紙人形が勝手に床へ降りて来た。焦った覃川は靂渊の気をそらすため、思わず声をかける。「殿下っ!寸法はいかがでしょうか?」「よい、下がれ」すると紫辰は靂渊が覃川の方を見ている間に紙人形を踏みつけ、下がる際に隙を見て拾っておいた。( ๑≧ꇴ≦)紙人形~驚いて変な声、出ちゃったわw玄珠は予定通り馬車に乗って待っていたが、紫辰は間に合わなかった。仕方なく先に城門を出ることにしたが、ふと紫辰との会話を思い出し胸騒ぎを覚える。あの時、紫辰は無事でいてくれと言って玄珠の頬に触れた。まるでこれが最後の別れだというように…。「待って!」その頃、紫辰は覃川を連れて詹事房にいた。覃川は紙人形を返すよう頼んだが、紫辰は厳戒態勢の東宮に行けば死ぬと止める。そもそも心臓を射られても傷ひとつない靂渊に何ができるというのか。そこで覃川はその理由を説明し、返してもらえなくてもまた作ると譲らなかった。「燕燕、なぜ聞いてくれないんだ!」そんな2人の会話を引き返して来た玄珠が聞いてしまう。…燕燕と呼んだ?彼女のためだったのね、覃川、なぜいつも現れるの?…「止められないなら紙人形は私がつけるよ、靂渊に近づけるのは私しかいない、そなたへの償いだ」…彼女に命で償うつもりなの?!なら私は?私にはどう償ってくれるの?!…「だめよ!」覃川が紫辰を引き止めたその時、突然、玄珠が入って来た。覃川は玄珠に誤解しないよう訴えた。しかし玄珠は外で一言一句もらさず話を聞いたという。まさか最後の仕事というのが覃川のことだったとは…。覃川に父親を殺されたと知りながら、それでもまだ助けるというのか。「分かってたわ、詹事になったのは彼女のためだと…でも私と逃げるという言葉を信じてしまった やっと分かったの、彼女のために私を追いやったのね?!」「玄珠、私と紫辰は今日、会ったばかりよ?」「燕燕、過去を引きずって生きているのはあなたの方よ?このままでは私たちは自由になれない」「悪いと思ってるわ…」玄珠は紙人形を渡せと言った。復讐が終わらねば自分たちの苦しみも終わらない。すると紫辰は玄珠の手を取り、自分の胸に当てた。「紙人形はここだ、だが行けばそなたも死ぬ」「今は死ぬより、生きる方が辛いの」その時、宦官の声が聞こえた。「詹事?殿下が姑娘を東宮へお連れしろと…」「分かった、すぐ行く」覃川は紫辰を連れて第二皇子・亭渊(テイエン)と合流した。経緯を聞いた亭渊は玄珠では心許ないと動揺したが、覃川は玄珠がやると言ったやるという。「心配ないわ」その頃、玄珠は靂渊と一緒に地下の密室へ続く階段を降りていた。隙を見て背中に紙人形を貼り付けた玄珠、すると靂渊が急に自分を陥れようとする者がいたらどうするか尋ねる。玄珠は命をかけて皇太子を守ると言ったが、靂渊は失笑した。覃川はじっと地図を眺めていた。するとついに地図に青い光が灯る。「来たわ!…東宮じゃない」「やはり思った通りだ」亭渊は北三所の昊天(コウテン)殿だと教えた。昊天殿はかつての書院で廃太子を幽閉していたが、ここで死んでしまったという。「それからは使われていない…行こう!」一方、張(チョウ)太尉に化けた眉山はそれらしく禁軍に指示を出していた。すると1人になったところで九雲が現れ、必ず覃川を守るよう釘を刺しておく。「九雲、気をつけろよ」九雲は笑顔で煙消すると、昊天殿へ到着した。物陰から様子をうかがう九雲、殿前には侍衛たちの目をかいくぐってやって来た覃川たち3人の姿があった。つづく
2021.05.03
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第19話「覚悟の一手」覃川(タンセン)は傅九雲(フキュウウン)から靂渊(レキエン)に敵がもう1人いると言われ、ある人物を思い出した。そこで鯪(リョウ)州王府に天原国第二皇子・亭渊(テイエン)を訪ねる。実は亭渊はそろそろ覃川が現れる頃だと気づいていた。覃川は本物の霊灯を見せて自分が靂渊を殺すと持ちかけたが、亭渊も簡単には諦められない。すると覃川は血の契約をした者だけが霊灯をともせると教えた。亭渊は灯心もないのに火がつくのか半信半疑だったが、ならば自分がやると申し出る。しかし霊灯をともすには代価があった。人は身体が滅びても魂はこの世に残るが、霊灯に必要なのはその魂、霊灯は燃え続け、苦しみも永遠に続くという。「それでもやるの?…私はやる」亭渊はさすがに怖気付いたが、ここまで覚悟できる覃川に驚いた。「君は何者だ?…靂渊が探している胡姫(コキ)とは君なんだな」覃川は靂渊にどんな武器も法術も効かなかったと話した。すると亭渊が兄の秘密を教えてくれる。靂渊が生まれた年、天原国にひどい長雨が降った。外では妖魔の声が響いていたが、靂渊が生まれるとなぜかその声は止んだという。国師は特別な力を持つ不死身の子供だと告げ、剣も法術も効かぬ子は妖神が現れる吉兆だと進言した。それ以来、天原国では妖神が信じられている。しかし亭渊は幼い頃、不死身の兄にも弱点があると知った。あれは靂渊の15歳の誕生日のことだった。靂渊は父皇から西域の宝剣を賜り、自ら手を斬りつける。その時、亭渊は怪我や病気と無縁だった靂渊の指から血が流れるのを見た。靂渊は咄嗟に手を隠してごまかしたが、それからと言うもの、中元節に姿を見せなくなったという。中元節にどこにいるのかは皇太子妃が知っていたようだが、実は皇太子妃は病気で早逝していた。しかも皇太子妃の命日は中元節の翌日だという。恐らく中元節に靂渊が普通の人間になると知ってしまったせいだろう。亭渊は偽物で懲りたため、霊灯を奪うつもりはないと安心させた。そこで覃川は偽物にすり替えたのが九雲だと教える。亭渊は九雲が自分たちを探しに来るのではと心配したが、覃川は自分が死なない限り問題ないと断言した。「…私たちは立場こそ違うが、大きな目的を持つ同士だ」「一緒にしないで、私は復讐のために霊灯を盗んだ、驪(リ)国の民の幸せのために闘ってる でもあなたは野心のためでしょう?」「それは違う、権力に興味はない、国師は靂渊を使って妖神の信仰を広めた 私は皇子だ、妖魔を除く責任がある、君も天原国も驪国も全ての民を救いたい!私が君を守る!」何事にも絶対はない。亭渊は必ず血の契約を破る者が現れるに違いないという。「君は生きなければ…生きていないと意味がない」「命なんて関係ない…私たちは違うのよ、今までも、これからも」すると亭渊はともかく話は全て片付いてからだと決めて作戦を考えようと提案した。中元節に靂渊がどこにいるのか調べるにはどうすればいいのか。一方、空回りしてばかりの九雲は眉山(ビザン)君と一緒に酒で憂さ晴らししていた。そこへ白(ハク)公子が現れる。実は九雲は小白に覃川の身辺を探らせていた。「亭渊は帝位に就いたら覃川にも良くすると言っていた、全ての民を大切にして彼女を守るんだって でも覃川は同志じゃないってさ」「当たり前だ!何が同志だ!」九雲が思わず声を荒げると、眉山と小白は失笑した。 それにしてもこんな神器の使い方はさすがに仙人の常識を外れている。眉山が苦言を呈すと、小白も思わず不満を漏らした。「覃川をそばに置けばいいだろう?僕を何だと思っているんだ!都合よく鏡にしたり眠らせたり…」しかし九雲からやめてもいいと突き放され、仕方なく小白は報告を続けた。覃川は香取山で白紙仙術を学んだと嘘をつき、紙人形を靂渊に貼り付けようと考えた。そうすれば靂渊の霊力が消えたのか、その時どこにいるのかも分かる。しかし当日の大祭は身分によって行動が決まっているため、亭渊は皇太子と接触の機会がなかった。「私がやるわ」帝女だった覃川は皇室の儀礼に詳しい。天原国の皇族たちも焼香に行く時に喪服に着替えるはずだ。「そうだ、喪服はすでに主衣(シュイ)局にある」「なら喪服を運ぶ侍女に紛れて宮廷に忍び込む」亭渊は主衣局に知り合いがいると思い出し、覃川を母の侍女として紛れ込ませることにした。秋華(シュウカ)夫人は栄華を取り戻すまであと一歩だった。今日も宮廷から皇太子の使者がやって来る。秋華夫人は娘の身支度を手伝ったが、玄珠は浮かない顔をしていた。「太子殿下はあなたを気に入っているわ、山ほど贈り物も来ている」「そうですか…母妾(ムーチン)、ご満足ですか?」「何ですって?!これもあなたのためでしょう?」母の言いなりになるしかない玄珠、すると使者がなぜか侍女に玄珠の採寸を命じた。実は中元節には喪服を着る習わしで、皇太子の命で玄珠にも喪服を仕立てるという。亭渊は覃川のために侍女の衣装を手に入れた。片や覃川は黒い喪服に貼り付けても目立たないよう、紙人形を墨で塗りつぶし、真っ黒にする。一方、九雲は覃川が再び宮殿に潜入するつもりだと知り、悶々としていた。どんなに強がっても覃川が心配で仕方がない九雲、そこで酔い潰れた眉山を起こし、宮廷に遊びに行こうと誘う。覃川は亭渊から天原国の儀礼を学び、いよいよ宮中に上がることになった。その頃、眉山は張(チョウ)太尉に変身、公子斉(コウシセイ)に皇后の肖像画を描かせると言う名目で九雲を参内させることに成功する。しかしそんな九雲に国師の魔の手が迫っていた。皇后の姿絵を描き終えた九雲は眉山と2人で主衣局の様子をうかがっていたが、その時、突然、九雲が首の封印を押さえて苦しみ始める。「どうした?!確かに封印したはずなのに」「…奴からの宣戦布告だ」眉山は九雲の真の目的が妖王だと気づいて止めたが、九雲はこれも覃川のためだと訴えた。命懸けで復讐しようとしている覃川をこのまま見捨てることはできないという。そこで九雲は妖王の居場所を突き止めるため、封印を解くよう頼んだ。すると国師は九雲の発する力がすぐ近くにあると気づく。「時が来たぞ、傅九雲…ここへ来る勇気があるなら歓迎しよう~わはははは~」傅九雲は眉山について来るなと釘を刺し、解放された力がおもむくまま歩いた。するとしばらくして昊天(コウテン)殿の前に出る。その時、運悪く覃川が現れた。九雲は咄嗟に力を鎮め、何食わぬ顔で奇遇だと笑顔を見せる。「覚えているさ、霊灯にもそなたにも関わらない ただ中元節にそなたとバカな豆豆(トウトウ)哥が何を企んでいるのかちょっと見たくてな」「なぜそれを?」うっかり口を滑らせた九雲は黙っていられなくなった。「よく考えろ、本当に宮廷で事を起こすのか?あんな人形なんかで靂渊を殺せると? それにあの豆豆哥だ、帝位に就いたらそなたも驪国も天原国の民も救うと信じているのか?」覃川は小白を通じて全て九雲が見ていたと気づいた。激怒した覃川は手鏡を割ろうとしたが、九雲が咄嗟に止める。「よく聞け、靂渊はそんな甘い相手ではない!」しかし興奮したせいか九雲は急に苦しくなり、思わず背を向けて欄干にもたれかかった。「…どうしたの?」「来るなっ!…私から離れろ、行けっ!」九雲から初めて拒絶された覃川は深く傷ついたが、必死に涙をこらえた。「分かった、行くわ」覃川は怒りに任せて手鏡を捨て、走り去ってしまう。靂渊は東苑で側室たちに玄珠を紹介した。しかし玄珠はひとりうつむいたまま、笑顔はない。側室たちは自分たちが世話をすると優しい素振り、ちょうどそこへ左紫辰(サシシン)が現れた。「太子殿下、国師がお見えです」すると靂渊は側室たちに玄珠の舞を見てしっかり学ぶよう指示し、左紫辰は残って玄珠を部屋まで送るよう命じた。玄珠は側室たちから早く踊れと迫られ、仕方なく涙を流しながら舞を披露した。母親のために屈辱に耐える玄珠、その痛々しい姿を見た紫辰は胸が痛い。結局、側室たちは参考にもならない踊りだと揶揄し、さっさと帰って行った。「私は身分も尊厳もない、宮廷で遊ばれるだけの女よ…私には何もない、本当に…何も…」「玄珠、とにかく太子には嫁ぐな、幸せになどなれない」つづく(  ̄꒳ ̄)あああ~なるほど、小白は九雲の都合で鏡になったり人形に戻ったりするのね…覃川がずっと持っていたんだ(←今さらw
2021.05.02
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第18話「失敗」万花楼(バンカロウ)で始まった花創(カソウ)大会。天原(テンゲン)国太子・靂渊(レキエン)は玄珠(ゲンシュ)を侍らせ、美女たちの舞をながめていた。「どうだ?良い女子はいるか?」すると玄珠は人によって容貌の評価は異なるが、舞なら驪(リ)国の女子には及ばないという。「胆力はそなたに及ばぬな…ふっ」靂渊は玄珠の腰を抱き寄せると、両側の席にいた左紫辰(サシシン)と第二皇子・亭渊(テイエン)は見て見ぬふりをした。一方、公子斉(コウシセイ)こと傅九雲(フキュウウン)は三児(サンジ)に化けた眉山(ビザン)君をお供に花創大会を楽しんでいた。すると九雲は不機嫌そうな紫辰に気づき、暇つぶしに昔の憂さを晴らすことにする。九雲は酒を持って紫辰の隣に腰を下ろし、馴れ馴れしく肩を組んだ。「ところで左大人(ダーレン)は天才的な詩人として有名だ〜それに楽曲の改編もお得意だとか〜? 私の″東風桃花曲(トウフウトウカキョク)″をどう書き換えたのです?教えてくださ〜い」しかし紫辰は酔っ払いにからまれたと思ったのか、公子斉を早々に追い返した。九雲が席に戻ると、眉山は呆れた。「余計なことを~」「恋敵をやっつけてやろうと…」「恋敵など い な い」しかし九雲は紫辰を眺めながら、確かにあの物腰の柔らかさ、覃川(タンセン)が好きになるのも無理はないという。すると眉山は書童に化けていることも忘れ、思わず九雲の背中を叩いた。その時、ついに西域の胡姫(コキ)に成り済ました覃川が登場する。覃川の美しい舞に皇太子は目が釘付け、その時、紫辰と玄珠は胡姫の正体に気づいて思わず顔を見合わせた。美女たちのお披露目が終わり、覃川はその見事な舞で花創大会の勝者となった。観客たちは面紗(メンシャ)を外して顔を見せろの大合唱、しかし皇太子が自ら胡姫の顔を見たいと希望し、大会はそのままお開きとなる。すると店を出た亭渊は馬車の前でちょうど1人で皇太子を待っている玄珠を見つけた。そこでお互いのために香取山のことは秘密にしようと耳打ちする。しかし運悪く靂渊に見られた。「何を話している?!」亭渊は咄嗟に兄の好みはふくよかな人だと助言しただけだと取り繕ったが、靂渊は納得しない。「それで?」「それと~私も胡姫の顔が見たいです」「だめだ」皇宮に戻った靂渊は胡姫と祝杯を挙げ、寝殿へ連れて行った。そこで早速、胡姫を抱き上げて面紗を外そうとしたが、覃川はその手からするりと抜け出す。「私が酒に仕込んだ薬が効き出す頃です…」覃川は軽やかに飛び上がると、振り向きざまに仙弓を引いて靂渊の心臓を射抜いた。ついに2人目を仕留め、霊灯を掲げる覃川、しかし靂渊が目を覚ましてしまう。「…霊灯か、左相国(サショウコク)を殺したのはお前だな?」靂渊が掌を放つと、覃川はあっけなく吹き飛ばされた。「私は強いぞ?」すると突然、殿内に無数の白い鳥が舞い込み、靂渊に襲いかかる。駆けつけた紫辰が鳥を追い払ったが、その間に胡姫は逃げ出していた。覃川は九雲が放った鳥のお陰で難を逃れ、月明かりのもと林の中を走っていた。そこへ突然、紫辰が現れ、剣を突きつける。「覃川、2度と現れるな」すると紫辰は引き返し、覃川を見逃してくれる。一方、書童の姿から解放された眉山はようやく酒にありつき、九雲が何だかんだ言いながら結局、覃川を助けたと揶揄していた。翌朝、街では皇太子を襲撃した刺客の手配書が張り出された。覃川は似顔絵を確認してみたが、異国の娘の絵姿は自分とは似ても似つかない。安堵して店に戻ることにした覃川、すると玄珠が現れた。玄珠はその身なりなら確かに胡姫とはほど遠いと呆れた。「約束でしょう?紫辰に近づかないで」「別の用事で来たの」「そのようね、でも失敗した、あなたは役立たずだわ」玄珠は紫辰が詹事(センジ)を引き受けたのは覃川のためだと言った。しかし覃川はあくまで紫辰自身が選択したに過ぎず、誰の助けもいらないという。「玄珠、いい加減、私に執着するのはやめて、もう大人でしょう? 過去を引きずって生きてはだめよ」覃川は一方的に話を終わらせ帰って行った。覃川は玄珠に強がって見せたものの、復讐の失敗は大きな痛手となった。とぼとぼ燕燕(エンエン)飯店に帰って来た覃川、すると老板娘が慌てて出迎える。「小川!昨夜はどこに行っていたの?!ずっと探していたのよ!」「ぁ…郊外に用があって…」「とにかく早く来て!」老板娘は覃川を店の中へ引っ張って行くと、公子斉が待っていた。公子斉は差し入れの料理が気に入り、娘を譲って欲しいと頼んだ。「無論、ただとは言わぬ、この黄金の花と交換しよう」覃川は拒んだが、老板娘は覃川が見初められたと勘違い、郭(カク)大婶も黄金に目が眩んで覃川を引き渡してしまう。覃川は九雲に無理やり引っ張られて行った。何とか九雲から逃れようと腕に噛みつく覃川、その時、官兵たちがかたっぱしから年頃の娘を捕らえている様子を目の当たりにする。「胡姫が着ていた衣装なら私の部屋にあるぞ?その中でも特に偽物の瞳が好きだな~」覃川はこのままでは捕まると焦り、仕方なく太尉府について行った。覃川は九雲の寝殿に到着するなり、そのまま寝床へ入った。驚いた九雲は勝手に寝るなと叱り、料理を作れという。「ハイハイ、本当は困っていないくせに~」「何だと?!」しかし昨夜から一睡もしていない覃川はあっという間に眠ってしまう。覃川が目を覚ますと、すでに外は暗かった。寝床から出た覃川は殿内を見回しながら歩いていると、文机の上に広げられた絵に気づく。それは燕燕が幸せな公主だった頃の正殿の様子だった。覃川はふとあの頃に戻ったような錯覚に陥ったが、そこへ九雲が現れる。すると九雲は早く厨房へ行けと言った。九雲は最高級の肉を準備し、涼亭で焼くことにした。相変わらず素直になれず、口では覃川のためではないと言いながら、自ら肉を焼いてご馳走する。「そうだ、本物の胡姫は逃した、今頃は帰路についている」覃川は九雲の心遣いに感謝したが、肉には手をつけなかった。「あなたには関係ないことよ、止めないで」「止めるまでもないだろう?今回の失敗で思い知ったはずだ、奴に傷すら負わせられなかった」「挑み続けるわ、何度でもね…だから霊灯はあきらめて 絵なんかで私を説得することはできない、それどころかあの絵を見て自分の使命に確信が持てた」そこで九雲は仕えてくれたよしみで1つ助言すると切り出した。「靂渊の敵はもう1人いる… おとなしく私の料理長を努めればいい、そのうち″誰か″が靂渊を殺してくれるさ」しかし覃川は急に立ち上がり、行ってしまう。「小川!なぜ香取山の時のように忍耐強く待てないんだっ!(はあ~)困らせるな…」九雲は思わず箸を投げた。その夜、鯪(リョウ)州王府に覃川が現れた。「待っていたぞ」亭渊はそろそろ覃川が現れる頃だと気づいていた。そこで覃川は乾坤(ケンコン)袋から霊灯を取り出し、本物の証として左相国の魂を見せる。「疑うならあなたも入ってみる?驪国人にとってはあなたも宿敵よ?…なんてね~ふふふ」覃川は冗談だと笑って霊灯をしまうと、率直に靂渊を殺したいと言った。「あなたの代わりに靂渊を殺してあげる」つづく(; ゚ェ゚)胡姫は逃げられたろうけど、無駄に捕まった娘たちの立場は…
2021.05.01
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