人生とサムマネー
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「A男くんは資産家の跡取でお金があっていいけど、B男くんも性格は包容力があっていいのよね。」結婚相手の候補を品定めしながら悩んでいる若い女性に、二股膏薬どころか三股でも四股でも張ることを勧めますと云ったら不謹慎かもしれません。しかし、投資の世界は数多くの良さそうなものの中から、どれかひとつに決めなければダメなどとケチで非情なことは云いません。逆に、良さそうなものをみんな一緒にまとめて買ってしまおうというのが基本です。これを運用の世界では分散投資と云います。「やっぱりお金よね」とA男くんに決め打ちして結婚した後、ダンナのとんでもない性格が分かるような悲劇を避けるのが分散のメリットです。モダン・ポートフォリオ・セオリーを提唱しノーベル経済学賞を受賞したH・マーコビッツが聞いたら呆れてしまいそうな分散投資メリットの説明となってしまいました。彼の主張はギリシャ文字を使った数式で説明されるので見るだけで頭痛がしてきますが、幸にして、そのエッセンスを簡単に例示したものがあります。左の「フリーページ」書評で紹介しているB・マルキール「ウォール街のランダム・ウォーカー」の中から拾ってみました。離れ小島に流れ着いたと想像して下さい。そこでは会社がたった2社しか存在しておらず、1社はビーチやテニスコートを経営するリゾート企業で、もう1社は傘メーカーです。両社とも業績は天気に左右され、晴れの時期はリゾート企業が繁盛するが傘は売れない、逆に雨の時期は傘メーカーが潤うがリゾートは客不足となります。あなたなら、どちらの企業の株式を買いますか?どちらか1社の企業の株を買えば、あなたの投資も天候に影響を受けることになります。つまり、ビーチが好きだからといってリゾート企業を買ったら絶好の日和が続き株価は急上昇ということもあります。しかし、いつも幸運の女神が微笑んでくれるとは限りません。雨が降り続くようだと業績不振で株価は下落することになります。それじゃというので逆を選んでみたら、今度は晴天続きということになり傘がサッパリ売れず、傘メーカーの株価が下落してしまいます。困ったなと悩んでいるときに閃くアイデアが、持っているお金を2分して両方の会社の株式を買ってしまおうというものです。そうすれば、晴天なら傘メーカーの株価は冴えなくてもリゾート企業が上昇し、雨天の時期はリゾート企業の不振を傘メーカーの株価上昇が補ってくれるので、天候がどうなろうともあなたの保有株価の合計は安定したリターンを産むというものです。これが分散投資のメリットです。天候を的確に予想しベストな選択をすれば最高のリターンが得られるでしょうが、予想が外れれば逆に最悪の結果もあり得ます。その意味では、分散投資は焦らずゆっくりと中庸を行くスタイルと云えるでしょう。同じ金融市場を対象にしていても、最近多くなったデイトレーダーのような投資スタイルとは全く別なものです。億万長者かスッカンピンかそんなギャンブルを好む人は別ですが、分散は決定的なダメージを避けることを可能にし、躓きから身を守る術となります。選択肢があっていずれかを選ばなくてはならない、しかも先が読めない時、なるべくリスクを避けたい、後悔したくないと願うケースが人生には幾度となくあります。誰しもそうした岐路に立ったことがあると思います。進学や就職、結婚など真剣に悩まざるを得ないでしょうし、その真摯な姿勢が実りある人生を彩るものだと思います。しかし、投資はその点柔軟に考えることができます。運用の世界では、特に金融市場では数多くのものに分散投資することで相対的に安定した収益を得ることができます。賢明なる投資家を目指すなら、そのメリットを享受しない手はありません。どちらか一方に決めなくてはと真剣に悩むのは、ユジンがジュンサンかサンヒョクかで揺れる純愛ドラマ(「冬のソナタ」)が似合っていると思います。恋愛でさんざん悩み抜いた賢いユジンは、きっと運用では、あれもこれも購入する分散投資を選ぶのではないでしょうか。
2004/09/17