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「過ちを改むるに憚ることなかれ」と云われても、凡人の私たちは自尊心が邪魔して簡単にはいかないのが常ですが、とりわけ投資の上での失敗を認めることは難しいと云えます。身近な例で考えてみましょう。為替市場では先月の中旬から円高が進み、最近は対ドルで102円台をつけたことから、金融機関(銀行・証券・保険)がここぞとばかりにドル建て商品を勧めています。そろそろ買い時かなと考えている個人も多いようです。しかし、一方で、かつて130円台や120円台の円安水準で買ってしまった人は、評価損の拡大を気にしながら、どこまで円高が進むのだろうかと不安に思い始めています。過去の円安水準では、外貨預金や外債を購入したケースが殆どのようです。「円金利では利息がつかないが外債は金利が高い」、「外貨預金なら素人でも手軽にできる」という金融機関の誘いや、「テレビでも為替レートは毎日報道されるので分かりやすい」、「日本の景気は悪いから円安になるだろう」など色々考えて始めたのだと思います。しかし、いざ始めてみると円高に進み評価損を抱え込んでしまい、そんなに長く持つつもりではなかったにも関わらず、1~2年塩漬けになってしまったという投資家が不安感を募らせています。聞けば、せいぜい4~5円くらい円安に行ってくれれば御の字だと思っていたとか、仮に為替が横ばいでも米ドルの高金利の利息だけで十分だったのにとぼやいています。結果は予想に反し10%を優に超える評価損となり、いまさら損切りすることもままならず、そのまま放置しているとのこと。このまま円高が進むとさらに評価損が拡大してしまうので、何とか良い方法があれば教えて欲しいというのが本音なのでしょう。別な投資を考えたことはないのか尋ねると、売ると実現損となるのでしたくないという答えが返ってきました。つまり、売却しない限り、損失額として確定しないので売らないと決めている訳です。しかし、評価損も実現損も、会計上は別として、経済的には全く変わりがないことに気づくべきでしょう。あるいは、気づいていても気づかないふりをしているのかもしれません。中には、売却しない限り損失はないと思い込んでいる人もいるようですが、こうなるとやや救いがたい気もします。一般に、投資が当初の意図に沿わず、逆に損を招く事態は避けられないものです。しかし、私たちはどうしても、自分がそうした馬鹿なマネをおかしたとは認めたがらない。売却して評価損を実現してしまうと、その馬鹿を認めざるを得ない。その結果、いつまでも過去の失敗にしがみつき、反転してくるまで延々と待つことになります。(*)個人が行っている個別株の投資を見れば、この種の話は枚挙に暇がありません。いまだに売るに売れず、NTTを保有している個人投資家の話は良く耳にします。投資は、一面において、合理性を備え情報を冷静に分析できる人が、そうでない人からお金を巻き上げる合法的なゲームであると云えます。自分が合理的であると云うには、私たちはあまりに情緒的に生きていますし、また、価値観としても、時に感情に支配されることを完全に排除すべきとは考えていません。それでいて、結構自分こそ合理的な人間だと自惚れていたりします。そんなナイーブな人が金融市場のルールも十分理解できないままに参加すれば、早晩カモとなる日が来るのは避けられないと考えるべきではないでしょうか。誰にも相談せず、独りでやってみようという投資家の陥りやすい罠は数多くあります。自分がわき道に逸れるような時に指摘してくれるアドバイザーを傍に置きながら、地道に一人で頑張るのも良策と思います。また、信頼できるプロフェッショナルを探してその人に頼み、時間と知力とエネルギーを費やし、自分のためのアドバイスを提供してもらうことが有効な方法だと思います。オンライン取引が増え、マネー雑誌が氾濫し、情報洪水の中で金融機関に誘われるがままに投資に入る人が多いのを見ていると、耳に痛い諫言をしてくれるアドバイザーの存在が一層尊いものと考えることができます。決して、甘言を弄して近づいてくる金融機関のセールスマンをアドバイザーにしてはならないと思います。(*)こうした心理を逆手に取ってウソを云う金融機関がいることに注意すべきです。「外貨預金で評価損が出たら、そのまま海外旅行に行った際に使いましょう、そうすれば損しないですみます」と。人を小馬鹿にしたような話ですが、案外これを本気にしている個人が多いのには驚いてしまいます。もっとも、云っている金融機関の人が理解していないまま話していることがあるので、必ずしも悪意とは云えないかもしれませんが。因みに、千ドルを1ドル=130円で買い外貨預金をした場合、必要な円貨は13万円。その後、円高が進んで1ドル=100円になったとします。海外旅行で、千ドルの外貨預金を取り崩し使ってしまえば、3万円={(130-100)×千}の評価損を実現しないで済むというのが金融機関のトークです。しかし、甘言につられて外貨預金などをせず、普通に1ドル=100円で買えば10万円ですんだことと比較すれば、千ドルを買うのに3万円余計に使っていることが分かります。これを損と云わずして・・・と思わざるを得ません。損をしたくない、自分の誤りを認めたくないという人の心理を突いた巧妙な騙しのテクニックと云えます。
2004/11/23
米国のリタイアメント事情から抜粋してみました。 -*-*-*-*-*-*-リタイアした人を見ていると興味ある現象に気づく。リタイアしたあと短期間のうちに病気になったり死んでしまったりする。しかも、肉体的な病気や疾患が先ではなく、退屈に耐え切れなくなり精神的な病が先行してやってくる。彼らは、それまで自分の人生・生活に満足感を与えてきた大切なもの(それは自分自身の一部と言っても良い)から切り離されたようなものだ。ゴルフコースや秘境を巡る海外旅行で満たそうとしても、結局同じ問題に立ち返ることになる。日がな一日「サボって」いるには若すぎるし時間がもったいないと感じているのだ。こうした人々にとっては、気楽な老後は苦痛の生活と紙一重になりかねないのである。----------------------------------------------------<エピソード>隣に住む彼はIT業界のSEとして仕事づくめの毎日を過ごしていた。何度か一緒にゴルフでも行かないかと誘ってみたことがあるが、大きなプロジェクトを抱えていて土日も休めない状態という。とにかく文字通り忙しいという人だった。彼の話に出てくる人物は会社の人しかいなかった。ある日彼の会社がリストラに着手した。彼は早期リタイアに追い込まれる羽目になり、それが原因で一種の鬱病に陥った。日がな一日、ボーっと窓の外を眺め遠くを見ている。話しかけてみたものの、無表情で全く相手にされなかった。会う度ごとに少しずつ悪化していくようだった。彼がこう呟いていたことがあった。「自分は57歳のSEだ。57のSEなんてどこもお呼びでない。」かつて一日15時間も誰とも口をきかず働き続けてきた彼が、多少なりと付き合いがあったのは同じプロジェクトで働いた同僚である。しかし、その同僚は仕事に忙しく、彼を再び世の中に順応させる時間的余裕はなかった。9ヵ月後に彼は病気となり、その2ヵ月後儚くなった。-----------------------------------------------------リタイア後の人生において幸せのバロメーターはお金ではない。周囲の世界とどう繋がっているかが重要であり、おそらく働いていた時以上に大切であろう。あたたの心をなごませ、あなたが話す関心事に耳を傾けてくれ、あなたがリタイア後も依然として価値ある人物であると思わせてくれる人がいるかどうかで、あなたの人生は大きく変わってくるだろう。 -*-*-*-*-*-*-何のために働くのか、何のためのお金なのか、自分の幸せが何なのか、ゆっくり考えてみたいと思います。
2004/11/21
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