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北海道のオーバーツーリズムの状況
美瑛町
美瑛町は、丘陵地帯に広がるパッチワークのような田園風景や「白金青い池」「ケンとメリーの木」などの観光スポットで知られ、年間240万人以上が訪れる人気エリアです。しかし、観光客の集中による問題が深刻化しています。
交通渋滞: 青い池周辺ではピーク時に駐車場待ちの車列が2km以上に及び、狭い農道に大型バスが停車することで住民の通行が妨げられるケースが頻発。
マナー違反: 観光客が私有地の畑に無断で立ち入り、農作物を踏み荒らしたり、「牧草ロール」に登るなどの行為が問題に。特に農業が主産業である美瑛では、こうした行為が農家の生活に直接影響を及ぼし、過去には観光名所の「哲学の木」が農家によって伐採される事態も発生しました。
対策: 町は「持続可能な観光目的地実現条例」を施行し、私有地への立ち入りを禁止。2026年からは「入場税」の導入も検討中で、観光客の混雑状況をカメラでモニタリングし、情報を発信する取り組みも進めています。
小樽市
小樽市は歴史的な街並みや映画のロケ地「船見坂」で知られ、2023年度には約760万人の観光客が訪れました。しかし、オーバーツーリズムによる影響が住民生活に及んでいます。
マナー違反と事故: 観光客が車道で写真撮影を行ったり、線路内に立ち入る行為が相次ぎ、2025年1月には朝里駅で外国人観光客が列車と衝突し死亡する事故が発生。
住民の不満: 住宅街での撮影やクラクションの騒音に悩む声が上がっており、特に春節などの大型連休時には混雑がピークに。
対策: 市は警備員を配置して観光客に注意を促し、JR北海道も駅に警備員や通訳スタッフを増員するなど対応を強化しています。
函館市
函館市でも観光客の集中が課題となっています。
混雑: 函館山ロープウェイでは80分待ちが発生し、市電が満員で乗車できない状況が報告されています。
対策: 観光マナー啓発のため、忍者のコスプレをしたスタッフが呼びかけるユニークな取り組みが始まり、観光客にルール遵守を促しています。
ニセコエリア
世界的なスキーリゾートとして知られるニセコ(倶知安町、ニセコ町、蘭越町)では、外国人観光客の増加が顕著です。
交通事故: 慣れない雪道での運転による事故が急増し、地域住民との軋轢も発生。
環境負荷: 観光客の集中によるインフラへの負担やゴミ問題も指摘されています。
全体的な傾向と対策
北海道全体では、コロナ禍後の観光需要の急速な回復に伴い、2023年度以降、特に中国や韓国からのインバウンド観光客が増加。春節などの時期にはさらに顕著で、例えば旭山動物園では観光客がペンギンの散歩を大群衆で囲む光景が見られます。これに対し、道庁レベルでは知事が「インバウンドを3倍に増やす」目標を掲げる一方で、地元住民との共存を目指し、市町村に最大500万円の補助金を支給する方針を表明。また、入域税の検討もあったものの、中国への配慮から見送られた経緯があります。
課題と今後の展望
オーバーツーリズムは経済的な恩恵をもたらす一方で、住民の生活環境の悪化や自然景観の損失、マナー違反によるトラブルが課題です。美瑛町のように観光と農業の両立を目指す地域もあれば、小樽市のように安全対策を急ぐ地域もあり、対策は地域ごとに異なります。国や自治体は、観光客の分散化やデジタルツールの活用、マナー啓発を通じて「持続可能な観光」を模索しており、2025年以降もこの動きが加速する見込みです。
北海道のオーバーツーリズムは、観光資源の魅力と地域の生活基盤のバランスを取る難しさを浮き彫りにしています。
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