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ミュジニーと言えば大抵の人は繊細で気位が高い赤を考えるだろうが、私は断然白である。白には赤のような妖艶さはないが、気高く高潔な感じを受ける。広いミュジニーの一角にあるテール・ブランシュと呼ばれる区画はそこだけが石灰質であり、まるで大海に浮かぶ小島のようである(外からではそういう風に見えないが)。その一角から作り出されるMusigny Blancはコートドニュイで作られる野暮ったい白とは比較にならないどころか、コートドボーヌの優れた白も凌駕するような繊細でミネラリーなワインに仕上がる。ブルゴーニュにおけるテロワールの考えが一番端的に具現されている例である。植え替えの為、93からRetrogradeされ、ブルゴーニュブランとして出されているが、00はその前のVTよりも一段と凝縮度が高くなっているように思う。香りは圧倒的にフローラルで、果実はむしろバックグラウンド。スワーリングなしでも漣のようにグラスの底から湧き上がってくる。しばらくは香りだけで楽しむ。2分ほど待って飲んでみるとパレットに淡い白果実の味わいを感じる。途中からミネラルを強く感じ、サヴィニエールを思わせる。フィニッシュは酸がきりっと締める。抜群のバランスである。品格からすると、並のモンラシェを凌駕するだろう。文句なしにGC。値段はそれなりだが超お買い得である。それにしてもVogueはホント、太っ腹である。1級にもGCを入れているし、ヴィラージュにも1級を入れている。このキュベも何時GCになっても良いのに・・・どこぞやのドメーヌとは大違いである。
2005/11/06
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新興宗教の教祖というものは誰もが人を魅了するカリスマを持ち、教祖の話を一言聞いただけでトランス状態になってしまう。ブルゴーニュにおいては教祖はやはりJayer氏である。私も20年程前に一言(一口?)説話を聞いて(ワインを飲んで)以来魅力に取り付かれ入信したが、最近はお布施(ワインの購入)が足りないのでいつまで経っても末端信者である。最近10年程はお布施ゼロなので普通ならもう追放であろう。この教祖には直接教義を指導した二人の使徒がいて、後継はこの二人から選ばれるとされていた。ところが最近はもう一人の使徒が現れ、教祖と行動を共にし、自分こそ正統であると主張し鼎立状態になっている。諧謔的に言えばそういう構図になるのだろう。これはその「第三の使徒」のワインである。まあ、素人にはそんな背景はどうでも良く飲んでみて美味しいかが大事である。抜栓後の香りはちょっと暗めの黒果実。ジャムだけでなくドライフルーツも混じる。動物臭もあるのはテロワールのせいか。樽はあまり感じない。一口味わってみる。やはりトーンが低い。口の中で果実は丸まり収縮する。中心にエピスや土を強く感じ、フィニッシュは舌にざらっという感触が残る。全体的に凝縮感があり、良いワインではあるがどうしても垢抜けなく飲んだ後熱狂的ではなく、むしろ寡黙にさせるワイン。何となくTrapetに似ているのはTerroirによるものであろう。さて、この後継争いどうなるのであろうか?信者としては大いに興味があるところである。私としては一代限りで滅びるように思う。残念だが。
2005/11/05
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さて、本題に戻る。Jayerの陰であまり注目されなかったが、彼も負けないほど素晴らしいワインを作る。ほんの僅かしかないVougeotのヴィラージュ。(他に誰が持っているんだろう?)テロワールとしてはClos Vougeotと殆ど変わらない位ポテンシャルがあるように感じる(掘ってはいないので土壌は判らないがCdVの下部よりはよっぽどましであろう)。93は一般的に堅いVTであるが、彼の作りはあくまでも柔らか。香りは中音のトーンでカシスが主体。スパイスはカカオ、丁子にコーヒーが入る。心なしヨードもある。味わいも黒果実のコンフィチュール系が主体だが酸があるため、口当たりは柔らかく奥行きを感じる。全般的にしっとりと落ち着いている。勿論Musignyのような気品、St. Vivantのような気高さは無いが、ちょっとはにかむような優しさがある。ブルゴーニュでは醸造設備や畑のみならず栽培や醸造、いやワイン作りの信念まで親から子に受け継がれていく。有名ヴィニュロンが幼い子供を連れて農作業をしている光景は良く見るし、年頃になればもう立派な助っ人である。醸造なども高校を卒業して修行した後、親の引退前実家に戻り数年、見習いをしてドメーヌを継ぐ。ピノという単一セパージュのワインにはテロワールだけでなく、家族に伝わる伝統が込められている。そんなブルゴーニュでは親の名声は、七光りどころか子供への重圧となることが多い。大抵はうまく乗り切るが、残念ながらこの場合はどうも違うようである。96年に引退して畑ごと娘婿に渡したのだが、何故か全く違うワインになってしまった。引継ぎがうまくいかなかっただろうか? 作り方を変えたのだろうか? 真相は解らないが娘婿のワインはどうも楽しくないのである。残念ながら娘婿のワインを買うことは無いだろう。こちらの方は勿論生産が終わっているし、Jayer程注目されてなかったので市場に出物も少なく、ワイン通でも中々手に入れることは難しいだろう。だが市場で見かけたら一飲の価値はある。ただ彼の作りはJayerよりトーンが低く、違うタイプであることを心して欲しい。残念ながらJayerには値段も質も及ばないことも含めて。
2005/11/04
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RP氏の功罪についてとやかく言われているが罪の方は別にして一貫して無濾過、無清澄を言い続けたのは彼の大きな功績だと思う。80年代のブルゴーニュは一部の例外を除いてフィルターを使う生産者が多く、樽のワインのポテンシャルが瓶の中で出ていない理由がフィルターだと喝破したのが彼であった。無濾過・無清澄のワインは香り・味わい共深みが増すが、瓶中への滓の混入だけでなく、どうしても樽熟成期間が長くなるのでキャッシュフローが悪くなり、樽・場所の使いまわし効率が悪くなる。場合によってはインポーターにフィルター使用の引導を渡されることもある(最近は逆に使わないよう指導されているようだが)。80年後半から一流ドメーヌが挙ってフィルターをやめ、赤に至っては無清澄、無濾過(ni colle, ni filtre)、白はベントナイト清澄をすることはあるが、無濾過というのが一流ワインのスペックとして確立した。これはもともとネゴシアン卸が主の無名ののドメーヌだったが、RP氏の薫陶を受け、フィルターを廃止したら質が向上したという見本みたいなものである。今は彼からコンスタントに90点前後を取っている。このブルゴーニュ・ブランには滓がもこもこ舞っていて、一見、Dart et RiboやChassorneyのようであり、ちょっと嫌な予感。しかし、白果実の香りは柔らかく、花の香りも混じり、ごてごてしたところを感じさせない。口に含むと酸も高いのであまりぽってりした感じは受けず、あくまでもナチュラルに感じる。勿論このクラスなのでそれ程凝縮度はないが、あくまでも成熟した樹から作ったというマチエールは感じられる。ミネラルは畑のせいもあり、中庸。フィニッシュもそれ程長くないがこのクラスとしては秀逸。ルフレーヴのブルゴーニュより好きである。因みにここは極少量だが素晴らしいサントネ・ブランも作っているし、Jadotのバタールは実はここのドメーヌで作られている。畑はMonrtachetの直ぐ下に位置する為かあまりアグレッシヴでは無く、私好み。以前、ブラインドでNiellonより圧倒的に良いと思った理由が判った。ドメーヌ物は残念ながら日本未入荷。カーヴにて
2005/11/03
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シャブリの問題点はあまりにもいい加減なワインが多すぎることである。普通のヴィラージュ(米ではStraight Chablisと呼ぶ)はもとより、プチ・シャブリに至っては殆どマチエールが感じられないものが多い。機械摘みで規定限度一杯まで生産され、なんでもかんでも一緒くたにしてしまうからであろうか? また名前もあちこちで盗用され、つい最近まではカリフォルニア・シャブリの名の下でバルクワインが売られていて、イメージも悪い。そんな中でも勿論珠玉の生産者は居るわけで、樽発酵で有名なRavenau, Dauvissatは両横綱として確立しているし、大手の中にはLaroche, Fevresなどのようにシャンパーニュのメゾンのようにトップラインと普通ラインのワインを区別したマーケティングで経営と名声の二兎を追うところも出てきた。老舗であるが、ステンレス発酵のこのドメーヌはまだそれ程知られていないと思う。シャブリのクリマの違いはステンレス発酵により発現されるとの信念で作られるワインはどれも酸が高く、若いうちは真価が判りつらいこともある。このワインは熟成から10年程経ち、香りに火打石、後はペトロル、トリュフなどのミネラル香。果実香はほのか。味わいも林檎、梨などの果実は時間を経てちょっとローストした感じであるが強くなくミネラルによる透明感を強く感じる。果実はあまり感じず、Raveneauがどちらかと言えばピュリニーに近いのに対し、これはロワール。フィニッシュは1分弱。素晴らしいワインであるが、惜しむらくはRaveneau程長熟のポテンシャルが無いことである。
2005/11/02
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ワインもある程度飲みつけると、ワインの味わいには果実・酸・タンニンという要素の他に、厚みと奥行き、それに時間という3軸があることが判ってくる。厚みと奥行きはそれぞれ口の中での横、縦の広がり、時間はフィニッシュの消え方である。南やイタリアのワインは概して果実は厚ぼったく奥行きが無く、酸も少なく、フィニッシュも短い。ワイン歴が長くなると好みも変わり、厚ぼったいワインが品無く思えてくるから不思議である。そういうワインは単純な食事で仲間と1~2杯飲むのには適しているだろうが、ワインを楽しむまでには行かない。仏人の友人曰く「肉片を流し込む液体」。Monthelieを日常的に飲みだしたのは7~8年前のことだろうか? ムルソーの隣にあり、標高は100m程高いため、ヴォルネィ程の凝縮味は無いが、ワインはワインはエレガントで、優雅、きちんと縦に広がる。酸が高いため、フィニッシュも長く、ニュアンスに富む。ただしこういうデリケートなテロワールはmediocreな作り手だとワインは弱く、インクのように味気ないことが多いので作り手を選ぶことが必須不可欠である。勿論これは超一流の作り手である。98は秋霜のためかちょっと変に濃くて出来は今ひとつだが、97はテロワールを反映して優雅に仕上がっている。香りはイチゴ、しかもジュースのように淡く、コンフィチュールの重さは無い。味わいは酸が高いため、イチゴに加え、グロゼイユの要素も感じる。タンニンも弱く口当たりはシルキーでtres feminin。樽由来のスパイスはチョコレートが少々。フィニッシュは長く、ピュアに消える。 ワインだけ飲んでも良いし、ポークやVeauなどのエスカロップとも合う。因みに彼はモンテリーブランも作っていてこっちも非常に酸が高く果実も綺麗でエレガントに仕上がっている。こちらは残念ながら一般小売は無い。
2005/11/01
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昨日、ブルゴーニュルージュはフェミナンに作る方が良い場合が多いと書いたが、それを実感させる一本であった。この手のを自分では買うことはめったに無く、定宿からの差し入れ品である。前回は00だが今回は01になっている。抜栓後の香りは弱い。これは決して悪いことではなく、このクラスのワインで香りが強い方がむしろ不自然である(Truchotは別です)。グラスに入れてスワーリングすると、苺、ラズベリーの赤果実。トーンは高く、フェミナンであることを確信する。酸も高そうで良い感じ。味わいは非常にデリケート。最初の印象は薄いが、酸・果実のバランスが良く取れており、華奢な感じである。コートドボーヌ赤のエレガントさが出ていて余韻も長く、綺麗に仕上がっている。勿論、エピスやミネラル、獣などのニュアンスは全く感じられず、シンプルである反面、ピュアで果実を邪魔しない。 00の方がちょっと重さもあったが、01は明るく私好み。並みのドメーヌを凌駕する。宿の主人に頼んでもう1本貰うことにする。
2005/10/31
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このBlogを始めたときにはワインのみならず、自分自身の記録として自分の料理や旅の記録を書こうと思っていたが何やらワイン専門になってきてしまった。まあ成り行きなのでしばらくこの路線で続ける。来週からはイタリア圏に入るのであまりワインに関しては期待できないが(苦笑)。さて、これはちょっと前に私の友人が主催してくれたワイン会の写真である。記憶では前々日に私のCoche-Dury1990とRougetの87が散々な結果であった為、もう一度FaiveleyとRamonetの白でリターンマッチを申し込んだ。これらのボトルは私の友人達が私を迎え撃つ砲弾である。結果、私の圧倒的敗北で恥の上塗りになってしまった。ちなみにこの中の最高はJayerのブルゴーニュ85。レジョナルとは思えない程凝縮しており、複雑。果実は赤果実だが完熟から来るコンフィチュールのような強さがある。ヴァニラ、カカオ、丁子等のスパイスも綺麗に溶けている。そして私が好きな土の香り。一般的に優れたブルゴーニュ・ルージュは逆にマチエールの不足を生かしてフェミナンである傾向が強い。無理にマスキュランにしようとすると、どうも凡庸なワインになりがちだが(こういうブルルージュは多いので、敢えてドメーヌ名は挙げない)、これはその常識外であった。(因みに彼の他のVTのブルゴーニュはどちらかと言えばフェミナンである)。ブラインドで飲んだらNSG Murgerと思わせる強さ、朴訥さ。記憶に残る1本である。ワインを飲むのにエチケットに頼ってはいけないと改めて自戒する機会にもなった。
2005/10/30
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ブルゴーニュを良く知っているワイン通でもこのドメーヌを知る人は極少数であろう。Jean Fauloisは80年代半ばからDomaine Meo-Camuzetの醸造責任者を務め、Meo-Camuzetの礎を確立する一方、Meoからメタヤージュ契約で優れたワイン(CdV, Chaume、VR(Communal))を創っていた。94年にメタヤージュが切れ、畑を返却し、ドメーヌを廃業と同時にMeoの醸造責任者も引退。 彼のCdVの畑は下部にあるためかどうしても重くなりがちだが、ChaumeはVVで凝縮度もあり、良かったという思い出がある。(因みに前回Jean Nicolasを訪問したときにChaumeの出来が良く、彼が樹齢を自慢したので思わず「それは95以降の話だよね。」とつっこんでしまったら頷いていた。意地が悪い。色合いはそれ程濃くないが抜栓後しばらくは果実の香りがしない。スワ-リングすると重めの果実がほのかに香ってくる。ミュール、カシス、スリーズ。そして早朝の森の香り、スパイスはあまり感じない。全体的に中音が主でJayerやRougetのスタイルとは違う。味わいは凝縮度は中庸、自然でクラシックな作り。決して悪くない。惜しむらくはフィネスが足りないが、これはTerroirの限界であろう。同一VT、(同一の作り手による)MeoのCdVはもうちょっとトーンが高く、フィネスの片鱗を感じる。Jayer、Rouget, Meo-Camuzetの陰で日が当たらず、ワインブーム、ブルゴーニュブームが興る前に引退し、スポットライトを浴びることは無かった。残念である。いつかNSGの彼の家を訪ねて隠れたファンがいたことを知らせてあげたい。Meoの責任者は彼の息子Christianが継いでいるがJean Nicolasが力をつけて来たので関与は大分減っているように見える。労役に精を出す他の従業員とは区別されているようには見えず、心なしショックを受けた。
2005/10/29
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ワイン・ジャーナリズムによって華やかにスターダムを駆け上る作り手もいれば、蹴落とされる作り手もいる。90年代まで評論家はあくまでも裏方であったが昨今はある意味で作り手よりも力が出てきたように思う。その中でも最も影響力のある人はRP氏であることに異論を唱える人はいないであろう。最近はA.MeadowやS.Tanzerも出てきたがやはり彼のPointは業界の指針になっていることは否めない。彼の影響力はブルゴーニュでも大きく90年代初頭Faiveleyが批判的に書かれ評判を落とす一方、Leroyはドメーヌの創立期に擁護され、RCの後継問題の危機を乗り越えた。この作り手(ネゴシアン)もRP氏により潰されたと言っても良いのではないだろうか?ブルゴーニュはムルソーだけ、しかも97が最初で最後のVTになってしまった。香りはきちんと白果実にフローラルブーケが出ていて良い作りであることが判るし、味わいも南方系の膨らみは無く、マチエールもあり、決して悪い作りではない。酸も綺麗であり、変な樽の味はしない。勿論優れた作り手に見られる強いミネラル味、爆発するような果実の凝縮度、フィネスの片鱗というものは見られないが、ネゴシアンのヴィラージュとしては上出来である。RP氏のテースティングの際に粗相があって嫌われたと聞いているが、真相はどうであれ、彼がその後やめてしまったのは非常に残念である。私自身、評論家の存在は消費者にとって良いと思うが(評論家が良心的であれば)、否定的な事を書くときは愛情を持って書いて欲しいと思う。潰される方にも魂がある。
2005/10/28
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Truchot氏が引退まじかで次のマイ・ドメーヌを探す必要に迫られている。ワインを飲み始めた頃はいろいろ本を読んだり、試飲したりして(インターネットが無い時代)新しいドメーヌをトライするのが楽しかったが、年をとり、飲み方が変わると(ワイン会には行かずほぼ毎日食事と合わせる)、必然ケースで買うマイ・ドメーヌを持つようになってくる。これはある程度ワインの経験を積み、毎日飲むようになると必然と判ってくることである。DRCやRougetを毎日飲めれば問題はないが、勿論、資力が無いので(15年前はRougetやJayerを毎週飲んでいる時があった)どうしてもあまり知られていないドメーヌを探すことになる。あくまでもディリー中心であるため、特級、1級よりもコミュナル、レジョナルの良さが一つの目安である。候補の一つのドメーヌ。昔から好きであったが、まだそれ程知られていなうので価格もそんなに高くなっていない。これはちょっと前に友人に飲ませて頂いた特級であるが、香りは名前の通り、グリオットが漂いちょっとTruchotより音域は低いがエレガントさを感じる。味わいも濃すぎず、かといってきちんとマチエールはあり、クラシックな作りである。樽はあまり感じずピュアな印象を受ける。テクスチャーはちょっとシルキーで全体的にフェミナンにまとまっており、フィニッシュも長い。私の好みである。若いうちに飲んでも良いがTruchotのRocheよりも若干タンニンがあるので彼よりもちょっと長く、10年程は持つと思う。訪問して樽から一応全部キュベを飲ませて頂いたが04は良い印象であった。特にクロサンジャックの強さ、バランスの良さが光った。ジュブレのヴィラージュも良い出来である。一つ決定か。ナイスガイ。RP氏批判で大いに盛り上がった。
2005/10/27
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Echezauxは好きな畑である。Musignyのような繊細さ・気高さはないし、隣のGrand Echezauxのようにスケールも大きくない。それでも優れた生産者のものは柔らかく、エレガントでフェミナン、ちょっと洗練されていない野生味もあり、独特の良さがある。音楽で言うとChopinか。ワインを飲み始めて好みが二転三転したがこの畑はずっと好きである。勿論広く生産者も多いので選ぶ必要がある。個人的にはDRCのEchezauxはどうもGrand Echezauxの小型版ということであまり感心せず、最近始めたJean NicolasのEchezauxも重過ぎるように感じる。Cachexのはちょっと軽すぎるし、やはりRougetであろう。(そういえば、彼のEchezauxはクリマ毎にアッサンブラージュなしで瓶詰めということを聞いたことがあるが、確かめる必要がある)。あとはMugngret-Gibourg。このドメーヌも柔らかいEchezauxを生み出す。香りはフランボワーズ。ルジェよりも若干軽やかである。88は大柄な年であるが、エレガントに仕上がっていることがすぐ解る。味わいはフランボワーズ、赤スグリの高音に若干ミュールの中音が重なる。樽からの成分は殆ど感じない。タンニンもしっかり落ちてテクスチャーは絹のようではなく艶やかではなくヴェルヴェットのようにさらっとしている。フィネスは長い。所謂クラシックな作りで私好みである。残念ながら御当主は今年夏に急逝され、もうこのワインも終わりである。せいぜい今のうちに何本か買っておくか。
2005/10/26
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ワインをある程度飲むようになると、ボトル・ヴァリエーションという言葉が熟成状況によるものではなく、出荷段階の事であることが判ってくる。ボルドーやブルゴーニュでも大きなドメーヌの場合はきちんとアッサンブラージュをしているのでそれ程問題にならないが、零細ドメーヌの場合、まだ樽から直に詰めたりしてすることもあり、ボトル差が大きい。中でも私の好きなTruchotはそれが激しく、いつも悩まされる。特にブルゴーニュ・ルージュ。当たった時は香りから果実に混じって菫、トリュフなどの複雑なファクターがあり、このクラスでフィネスまであり、Jayerと同格である。が、外れると何の変哲もない凡庸に重いワインでそこらの大手ネゴシアン物と変わらない位退屈である。02に関して言えば現在4勝7敗3分(うち1つは圧倒的大勝)というところか。こういうワインは抜栓して最初の試飲の時、極度に緊張する。まるで我が子の出産に立ち会う心境だ。CotatやVatanも同様。最近はこういうワインが好きになり、困ったものである。こういう経験があるので新しいドメーヌを試す時は少なくとも3本は買うようにしている。1本目で当たればポテンシャルがあると見做し、できるだけ訪問してもうちょっと詳しく感覚をつかむ様にしている。逆に外した場合は数ヵ月後2本目も試し、やっぱり駄目だと3本目は米人のパーティーに持って行く(笑)。さて、このワインはどうであろうか?ドメーヌはビオディナミ、畑はMontrachetの横ということが売りだが現地を見ればMontrachetのシャサーニュ側の端は崖であり、この畑標高は2メートル位低く、表土も多そうである。おまけに隣はN7・・・ 香りはそれ程強くなくのっぺりした感じであまり漂って来ない。花の香りがあるが、主体はあくまでも白果実、ミネラル香も少ない。味わいはアルコールを感じるのであまりマチエールが無いと思われる。フィニッシュも太い。ビオだからだろうか? どうも1本目は外したようである。結論を出す前にとりあえずもう1本試してみなければいけない。
2005/10/25
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このところコテコテのワインばかり取り上げていたので今日は「消えていったスター達」という感じで書いてみる。ブルゴーニュ界はある意味で芸能界と同じで毎年スター(ヴィニュロン)が生まれる。スターを発掘するのはスカウト(クルティエ)、プロモーションするのは芸能プロ或いはレコード会社(インポーター)と言う感じである。芸能雑誌や評論家(ワイン・ジャーナリズム)も一役買っている。これが業界の仕組みであるので別段良いも悪いも無い。結局力の無いタレントが淘汰されるのと同様、美味しくないワインはどうやっても早年消えていく。数えていないがここ10年で2割も残っていないのではないか。この作り手もその「淘汰されつつある人」の一人になるのであろうか? 数年前までは新樽使用で売り出し、人気絶頂であった。ワインはパワフルでフルーティー、樽香も強く、まずアメリカで受け、すぐさま日本にも波及した。今でもまだあるかもしれないが、当時ファンクラブも設立されていたように覚えている。私も当時飲んでみた(Grand Echezaux 91)ところ、味わいは凝縮され好いのだが、どうも樽の違和感を感じ、発注には至らなかった経緯がある。最近、彼の評判が凋落していると聞き、セラーにあったこのワインを飲んでみる事にした。9年ほど経ち、色は中庸だが香り・味ともにフェードしている。酸の少なさからしてある程度は予想していたがかなり早い速度。樽味はまだ強く若干エグミを感じ、果実に溶け合わずオフバランスである。フィニッシュにかけて口に雑味が残り、切れが良くない。マキアージュがだんだん剥がれて、スッピンを見てしまったという気持ちになる。最近のブルゴーニュはテロワール回帰で、彼も新樽を前面に出して売るのは控えたようだが(多くのヴィニュロンが「ワインはブドウ畑で作るものである」って正論を言っている中、新樽200なんてかっこ悪くて言えないだろう。)今後彼が復権するのは難しいであろう。実は彼の樽はなかなか有名であり、ワインはともかく、樽で売れるのではないか? ウーリエでも使っていたと思うし、南のTardieu-Laurentは決して悪くない。実際、ローヌの方が彼の樽の真価を発揮できると思う。エチケットにD.でなくDom.とあるところに何となく哀しさを感じてしまう。
2005/10/23
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ワインの点数付けは、便利なものではあるが反面、点数を見た途端、ワイン(と作り手)に対する敬意と自己の言葉でワインを表現しようとする努力を停止させてしまう。デジタル化・偏差値教育の反映であり好きになれない。あくまでも個人の意見である。ワインならともかく、ブルゴーニュのVT、特に白を点数で評価するのは本当に難しいと思う。ボルドーなら同じスタイルに仕上げるため、アッサンブラージュをしたり、培養酵母を使うのである程度VTの良し悪し(確立されたスタイルの達成)が客観的に判断できる。ブルゴーニュの場合は天候が直に葡萄だけでなく、酵母にも影響してくるので各年ちがう性格のワインになる。振り返ってみると90年代はそれぞれ違う個性を持ったVTが揃っていて、例えば、93はちょっと未熟で小ぶりだが酸が綺麗(殆どのドメーヌで多分補糖をしている)、完熟してトロピカルな92(ドーヴネなどは過熟で貴腐香も感じる)、フルーティーで陽気な95、ポテンシャルが高いのにかたくなな96、とそれぞれにユニークである。94の白は最近最評価され、“点数“が上がってきている。が私はどうも苦手である。酸が少なく、厚ぼったくポッテリとしているのに92のような酸が無く、フィニッシュが短いのでどうしてもdull に感じてしまう。このワインも決して例外ではない。香りこそ通年のような強いミネラル・花の香りはあるものの、味わいは酸が低いトロピカルフルーツがドミナントだがフィニッシュが短いために奥行きが無い。テロワールを反映する峻烈さは全く感じられない。若干、生姜、シェリーを感じるので酸化の感じも出てきている。今、ピークの峠であろう。
2005/10/22
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私にとって一番印象に残るワインを1本と言われば何を選ぶだろうか? 勿論DRCを最初に飲んだ日の事も忘れないし、私がそもそもワイン道に入るきっかけとなった81Ducruも初恋の人(古いな~)を想い出すような懐かしさがある(今でも何故かあのエチケットを見ると胸がときめく)。でも1本はやはりこのワインを置いてないであろう。彼のワインは86からJayer共々飲んでいるが、86(難しいVT)はJean-Nicolas同様酸が高すぎ失敗、Jayerとは雲泥の差であり、彼の評価は低かった(RPのブルゴーニュ初版88年では3つ星)。87はJayerとほぼ同じスタイルでかなり近づいたものの、88はちょっとJayerより重たく魯鈍な感じがし、89は逆に軽く、どうしてもJayerのワインを越えられなかった。が、Jayerが引退(第一の)した最初のVTとなったこのワインは本当にJayer以上にJayerであった! 一説にはJayerから畑を受け継いだと言う話もある(Echezauxに関してはRougetの畑よりもJayerの畑の方が良い)し、醸造を手伝ったという話もある。真偽は判らないがこの年だけは別格である。(因みにJean-Nicolasは87年が一番Jayerに近い。以前彼に理由を聞いたところ無言であった)リリース時に試してみた抜栓直後の香りはまさに媚薬であった。高いトーンのベリー、、グロゼイユにトリュフ香、そしてスミレ。豊かである。その後、数限りない程のブルゴーニュワインを飲んできたが、この香りを超えるものは無い。味わいもテノールの歌声が聞こえてくるような甘いストロベリーとフランボワーズ、それでいて中音域を受け持つチェロ・ビオラのようなスグリやミュール。それを締めるヴァニラ、カカオ、ナツメグ等のスパイス。この時初めてブルゴーニュのストラクチャーと言うものがボルドーとは異次元のものであることが解った。「素晴らしいボルドーを飲むと人は沈黙するが、素晴らしいブルゴーニュは人を歌わしてしまう。」ブルゴーニュは各要素がポリフォニーとなり一つのメロディーを奏でる。この時結局ありったけ(2ケース程)買い込み、毎年ちょっとずつ飲んでいる。時を経て熟成して味わいがこなれ、各要素が溶け合い、ますます良くなっている。 先日飲んだのも素晴らしかった。その後のVTも買っているが93、96のようなVTでもこれを超えられない。彼はどうなるのであろうか?
2005/10/21
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Ponsotというのは魔性の作り手である。一度彼の最高のワインを飲むと虜になる。So2の代わりにCo2を使い保存されたワインは20年以上の熟成を経ってもフレッシュ。それでいて更に新樽を一切使わないので果実味はあくまでもピュアであり、勿論収量を抑えているのでワインは強く、凝縮している。結果、ワインは非常にエレガントでチャーミングかつ深みがある。例えが悪いが可愛さを残したまま齢を重ねた美しく妖艶な女性のようなワイン。惹かれる。更に、切れる際に全く不純物の味が残らず、何杯でも飲める。(実際1本飲んだことがある)85、88は文句無くブルゴーニュを代表する作品であろう(特に85)95も悪くは無かった。また、難しいとされているVT、例えば91でも凄いワインを作り出したりする不思議さも魅力だ。ところがVTによっては全く外れることがあるのが彼の問題点である。89なんていう良いVTもはずしているし、96に至っては論外である。消費者はまだ買わないという自由があるがインポーターとなると大変である。長年の付き合いということで買わざるを得ない時もある(一度買わないと次から取れなくなる)、更にSO2を使っていないので時に樽の中で変質と行かないまでも劣化することがあるということも巷では言われている。この96ロッシュVVもその口である。抜栓直後からちょっと発酵事故を思わせるVAの匂い。飲んでみるとそれ程は気にならないがとにかく薄い。赤果実のフレッシュさもあり、ピュアなのだが厚みが無く、まるでサンセールの赤のようである。香りが気になるので軽く栓をして次の日にもう一度試してみるとVAの香りは無くなったがあくまでも薄い。これ以上のコメントは無意味であろう。15ケースも取ったインポーターに合掌する。(まだ11ケース残っているそうだ)でも当たった時の幸福感を夢見て私は彼を買い続けるだろう。だれかの言葉ではないが「女性の素晴らしさを知ってしまって貢ぎ続ける中年男のように」
2005/10/20
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シャブリというのは場所が広く生産者も多く、バラつきが非常に大きい。残念ながら殆どの生産者は品質を省みず、多産に走っているため、ワインはドライではあるが、酸が強すぎてミネラルに欠け、テロワールの特質を感じられない。その中でもRaveneauはシャブリのみならず、ブルゴーニュ、いや世界の白の中でも一番偉大な生産者の一人である。ワイン中級者なれば必ず知ってるだろう。90年は彼にとっての当たり年でどのキュベも素晴らしい。勿論、これは最良のキュベ。このワインは実家に10年余置いてあったもので高温の為、液面はネック下とかなり噴いていた。以前に飲んだ同様の状態だった90のモンテドトネールは完全に逝ってしまっていたのでこれも駄目かと思いきや、かなり良い状態であった。若干酸化によりビスケットなどのトーストは出ているものの、香りには白い花を感じ、劣化していないことがわかる。味わいはライチ、ちょっと梨、酸は殆ど無いが果実分が豊富なせいかあまりアルコールを感じない。ミネラルが非常に多く、鋼を感じる。樽の成分はあまり感じられない。アフターティストは30秒超と素晴らしく長い。バターのようなとろみは無く、切れが日本酒のようである。ワインは生きていた。残り2本は状態が良いので5年後位に試してみよう。
2005/10/19
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いやはや強いワインである。ラフォンと比べる為にわざわざ同じVTを空けてみることにした。以前に飲んだのは3年位前でリリース直後のことであり、その時よりは幾らか酸が和らいでいるのではと思っていたが見事なまでに強さを保っていた。抜栓直後から、木のような還元状態の香りを強く感じる。花の香りはあまり感じられない。一口すすっただけで口の中一杯に酸が拡がる。白果実はその陰にわずかに感じる。トロピカルフルーツは無く、凄く切れ、どの畑か解らない(Narvauxのような気がする)がムルソーのイメージ通りである。一日目はあまりに強いため1杯で止め、二日目にも試してみる。二日目にはちょっと酸も和らいで梨が顔を出す。酸化したためか、ちょっと焼いた感じも出てきて、ワインに膨らみが出てきた。樽由来であろうか、ちょっとエピスも感じる。フィネスも長く、綺麗なワインではあるし、まだ10年は優に持つ長熟なワインであるが、あまりに峻烈過ぎてちょっと自分としては合わない。値段もあまりにも高く(ラフォンよりも高い)、現在持っている以外、これから購入することは無いであろう。格付はBB。
2005/10/18
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ニエヨンの娘婿とのことで売り出し中の若手ネゴシアン。あまり話題に上らないし、以前に飲んだときもそれ程記憶に残っていないのでもう一度真剣に飲んでみることにした。う~ん、香りからして非常に厚ぼったい。花の香りに混じって南方系の果実やバニラなどの樽の香りがする。テロワールとはちょっと乖離している感じである。一口飲んでみてビックリである。非常にこってりしている。南方系、パイナップル、マンゴーなどに混じってバニラ、スパイス、バターなどを強く感じる。各要素が溶け合っておらず、ばらばらに口の中で広がる。酸は少ないし、ミネラルは感じないし、フィニッシュは超短く、まるで南の白である。或いはCAのシャルドネか。ミネラルたっぷりでちょっと薬草の味わいもある私のジュヌブリエールのテロワールイメージとはかけ離れている。マリアージュも天麩羅等脂の強い料理なら良いが、普通の魚には合わないであろう。2杯でダウン。追記:2日後に飲んでみたら樽香は少し飛んでおり、若干良くなってしていた。が、最後までブルゴーニュらしさは感じられず。格付はC。
2005/10/17
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やはり白ワインと言えばラフォンに尽きる。モンラシェやペリエールが評価が高いが私個人としてはクロドラバールが一番好きである。高貴な気品という意味ではモンラシェの方が上であるし、ミネラルの強さで言えばペリエールに譲る。だがトータルなバランスで言えば、クロドラバールの完成度は両者と互角ではないであろうか? 勿論まだ十分持つので熟成させるべきであるが、「熟成度チェック」と言い聞かせて飲んでみることにする。今年当初にラフォンは卒業したはずだったのにまだ煩悩がある証拠か。抜栓直後から花の香り。しかも複数の花でまさにブーケ。控え目だが波のように段々とグラスに充満する。一口味わうと、梨、花梨、ライチの白果実。南方系フルーツは無く、品の良さは抜群である。ミネラルは非常に多く、鋼の味まで感じる。当然フィニッシュは非常に長い。99白は一般的にバランスが良く、当初から評価が高かったがラフォンも素晴らしく、個人的には90年代で90と双璧ではある。(96はもう一つであったし、出来の悪い98の後なので余計そう思うかもしれない)10年はまだ持つだろうが、今飲んでも至福である。真に最高の1本だと感じる。残念ながら最近は買えないどころか出物も見なくなってしまった。
2005/10/16
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ヴァンダンジュもとうに終わり、発酵も終わり頃で、1カ月位するともうヌーボーか?1年も早いなと感慨にふけっていたら、ふと、去年日本の友人に貰ったヌーボーがそのままになっていることに気付く。飲まなきゃとそそくさと地下へ降り、セラーから取り出してきて早速空ける。ヌーボーは数年ぶりである。一口飲んで、まだフレッシュさを残していることにビックリする。流石はルロワ。フレッシュな苺だがちょっぴりストラクチャーもあり、よくありがちな薄さは感じない。ただワインは平板で最初の一杯は勢いで飲めるものの、マチエールがないせいか、アルコールを強く感じ(表示は12%だが)、あまり先が進まない。印象をあれこれ書くのも面倒であるので、残りは料理用。結構高かったと思うし、貰った人には申し訳ないがやはり体は正直である。今年もヌーボーを飲まずに過ごすことになるだろう。
2005/10/15
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ニュイは私の好きなアペラシオンの一つである。飲むたびに何となく懐かしさを感じるのはワインを飲み始めた頃に出会ったせいもあるが、やはりニュイのもつ優しさのせいであろう。シャンボールのようにエレガントでも無いし、ヴォーヌのように気取ってもいないが、ニュイはいつも優しく包み込む大地の香りがあり、独特の魅力がある。JayerやMeo, Rougetのニュイはヴォーヌとは違った暖かさを感じたものである。ニュイの現在の1級は1860年の区分だとヴォーヌの特級と並んで当時実質特級に格付けされ(1級~4級に区分)、テロワールのポテンシャルが高いことがわかる。ただ若干フィネスに欠けるところがあるので現在の区分に至ったのであろう。このワインはニュイを代表するドメーヌで私のお気に入りの一つである。畑は村名にもなっている一番の畑。(余談だが、南仏の田舎レストランでニュイ特級とあったので頼んでみたらこの畑が出てきたことがある)88は漸くこなれて来て果実を感じられるようになってきた。香りは赤果実・黒果実、ちょっぴりカカオも混じる。味わいは酸が少なくなって、赤スグリにミュール、プルーンが混じった果実、それにチョコレート、シナモンなどの樽から出た成分が綺麗に溶け合っている。余韻は長く綺麗に消えるため、幾らでも飲める感じである。素晴らしい1本。最近は子供2人が次ぎ、規模を拡大しているのでちょっと質が心配であるが。
2005/10/14
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「秋も深まり「マールの季節」になった」というショコタさんの言葉にまた触発され、ちょっと残っていたマールを頂く。マールはいろんなドメーヌで作っているがVieux Marcといっても各ドメーヌ基準がまちまちでワイン以上に千差万別である。値段も10ユーロから200ユーロ超まででいろいろある。ワインでは素晴らしいドメーヌでもマールはからっきし駄目だったりすることも多い。フィーヌも悪くは無いが、私にはちょっとおとなしすぎ。マールは独特の薬草のようなエグミが好きである。ちょっと退廃感も感じるのが良い。ワインを外してもう料理酒でもするしかないと落胆しているときの状況には最高である。もう1本空ける罪悪感を感じなくてすむ。これは勿論マールの最高峰であるが、それだけの価値はある。ハーブ、蜂蜜、バニラ、種々のスパイスが加わり味わいは幾層にも重なり複雑。1杯当たりを考えるとワインと比べてむしろ安いくらいだ。マールにもVTがあり、ある程度良し悪しがあるのが面白い。この後に出た84はあまり感動しなかった。
2005/10/14
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久しぶりのロワールである。サンソニエールはビオで有名でAnjouのLuneは素晴らしく綺麗なワインである。このキュベは接木なしということだが初めて飲む。香りはレモンタルトのように柑橘系とちょっと焦げたビスケットの香りが漂う。勢いがあり、グラスの淵を越えて辺りに漂う。既に強さを感じさせる。味わいは完全に南方系の果物である。CBは色んなキャラになるがここまでトロピカルなのは始めてである。酸は中庸で厚みもあり、更に焦げの味もあるが柑橘系の高いトーンがあり、ミネラルもあるので切れは良くワインのよさを感じる。ただあまりに強くとてもたくさんは飲めない。2杯ほど飲んで後はダウン。格付けはBで発注しない。一期一会的なワインである。
2005/10/14
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シャンベルタンには結構はずれることがある。テロワールとしては他のGCの何たらシャンベルタンより格が一つ上のGC中のGCとされているが、色々な作り手がいてしかも面積が大きいせいか、ばらつきが多いように思う。勿論MortetやPonsotなどのように素晴らしい作り手はいるが中庸のドメーヌや大手のネゴシアン物は名前で売れるせいか、どうも感動に乏しい。このワインもどうも頂けなかった。紫がかった色からワインが強いことは解っていたが、香りは黒果実で強いのだが平板でどうもシャンベルタン特有のニュアンスのある赤果実が無い。紅茶、土や動物の血の味も混じり、タンニンも強く、どうも自分の持つシャンベルタンのイメージとはちがうがさつな味を感じる。フィニッシュもあまり長くなく、マジやシャルムならまだ解るがシャンベルタンとしては落胆である。
2005/10/13
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一般的にVolnayはシルキーで女性的、Pommardと対称的だと捉えられているようである。それ自体は決して間違いではないが、実際はVolnayのテロワールは非常に複雑であり、ワインの性格も非常に多様である。あまり広くないアペラシオンながら、複雑に絡み合う土壌と傾斜を反映して1級の数は30以上あり(多分ブルゴーニュ1であろう)、歴史的にそれぞれが別の性格のワインを作ると認識されてきた。大雑把に言うとPommard側ではシルキーでエレガント、Meursault側では同様エレガントながらも骨格があり、そして中心部では密度が濃く熟成に耐えうる複雑なワイン、と分けることが出来る。私自身はVolnayが好きである。勿論Lafon, Cocheと素晴らしい作り手(彼らの赤は白以上に好きである)がいることもあるが、あまり知られていないが一流の通好みの作り手も多く。このワインはそういった中の一人。彼の旗艦はClos des Ducsとされているが、私はより力があるClos des Chenesの方を推す。10年余の熟成を経て、香りは黒果実にちょっぴり土、茸も混じり複雑に進化している。一口飲んでみると絹のようにカシスがさらっと広がる。フィニッシュは長く淡く、苺のような赤果実も感じられ、ピノの儚いニュアンスがきちんと出ている。このVTとしてはすばらしい出来である。
2005/10/09
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ブルゴーニュ好きの人でもPommardだけは苦手だという人は随分多いようだ。Pommardが好きだという人も良く聞いて見るとRugiensだけだったりして、他の1級には見向きもしない。伝統的に除梗をせず、大樽で長期間発酵させたワインはタンニンが多くトーンが低くなりがちで若いうちに飲むとピノの持つ軽やかさは無く、むしろローヌなどの南仏の重さが感じられることも多い。ポテンシャルを出し切るには十年以上の熟成が必要でそれだけ時間もスペースも無い現代社会にはそぐわなくなっている。Pommardは一般的に熟成ポテンシャルは高く、十年以上経つと、タンニンの角が取れ、獣や革などのアロマが発現し複雑で奥行きのあるワインになる。若い生産者の中には除梗をし、フルーティさを出そうとする人も出てきているが、その一方、古くからの作りを変えない頑固な作り手もまだいる。この生産者はその中の一人である。頑なに昔のままのスタイルを貫いている。ワインは非常に重くタンニンを感じるがその奥に凝縮した黒果実も感じられ、ポテンシャルの高さは実感できる。デゥブルキャラファージュで強制的に起こしてやると土、血、獣の混じった味も感じられ複雑味がある。フィニッシュの切れに感じる柔らかさからワインはどちらかというとフェミナンであると思う。ピークはまだ10年以上は先であろう。多分今時分は66位を飲んでいるのではないかと思い、作り手に「普段は何年を飲んでいるのですか?」と聞いたら、「水」という答えが返ってきた。本当の話である。
2005/10/08
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Santenayというアペラシオンもかなりマイナーである。Chassagneでは植え替えで赤が減り、白が主になりつつあるが、ここではまだ8割以上が赤である。Chassagneと一緒くたにされることが多いがエレガントでチャーミングなChassagneに比べてワインは重めでタンニンも感じられられることも多い。ブラインドで飲んでアロースやボーヌと間違ったこともある。ただ優れた作り手だとブラックチェリーのような黒果実、ちょっと土を感じるスパイス系の味をうまくまとめ、フィネスは感じられないもののコート・ド・ニュイの村名に十分匹敵するワインを作り出す。先代の御当主が亡くなったのが97年10月だったと覚えているのでこのワインは先代の最後のVTである。香りはカシスに土や血の香りが混じり、重さを感じさせる。味は苺やグロゼイユのような明るさは無く、黒果実に土が混じる感じだが、クラシックな作りで厚ぼったくはない。タンニンは幾分やわらかめで、酸は十分あり、フィニッシュは淡く消える。高貴ではないが品格を持ったワインである。先日、買収後の同じドメーヌのワインを飲んだが、いかにもアメリカ人好みのコッテリ系のワインになっていることを再確認した。ブルゴーニュも古い世代が引退して、段々変わっていくのであろうか?
2005/10/07
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ショコタさんの言葉に刺激され、ソゼを空けてみた。95年の白は結構過小評価されているように感じていたが、このワインを飲んでみてその思いを強くした。香りは平板であるが花の香りが強くワインに力があることがわかる。95に共通だが味わいはトロピカル・フルーツが主体でよい意味で厚みがあり、ヴィラージュを超えている。ある意味でアグレッシヴでありバタールの片鱗さえ感じさせる。フィニッシュは長く、綺麗に消え、ワインが素晴らしい出来であることを実感する。以前と作りは違うが90年代半ばからもソゼは素晴らしいのか?一旦出した結論をもう一度検証してみなくてはならないと思うほど素晴らしい出来であった。
2005/10/06
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私見であるがブルゴーニュ・ルージュに比べてブルゴーニュ・ブランというのはどうも感心しないことが多い(Vogueは別です)。特にコートドボーヌのブランは一流の作り手であっても何故か密度が薄く疎でミネラルも感じないのである。土壌に加え、多分若い樹をretrogradeしているからなのであろうか?これも一流の作り手。香りは菩提樹の花の香りであるが薄く平板である。最初15度位に設定したが、白果実が主体の味わいは綺麗であるが、あまりに薄く、粘性も低く、口の中に広がらない。それほどアルコール度は高くないはずなのに何故かアルコールを感じてしまう。何か良いワインをアルコールで割った感じである。これでは飲めないので8度位に冷やすと口ざわりが若干よくなる一方、只でさえ少ないミネラルが全く感じられない。これではソアーヴェやフラスカッティを飲んだほうがまだ懐に優しい。格付けはC。
2005/10/05
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「有名ドメーヌの1級(や村名)とMediocre(二流)ドメーヌの特級とどちらが上か」という命題はワイン通の間でよく議論の対象になる。まあ大抵はワイン会に何を持ってくるかという時の口論の元であり、1流スーパーのバラ肉と2流スーパーのフィレとどちらがお得かという次元と同じである。この議論では入手度(レア性、Rarity)から言って前者の方を好む人は多いはずである。だが私の経験からするとむしろ後者である。へなちょこなネゴシアンならともかく、ある程度のドメーヌではテロワールにそれなりの敬意を払うことが多く、ある程度収量を抑えて熟成期間も長く取っておりフィネスを感じることもある。有名ドメーヌの村名や1級もきちんと作られているがごく一部を除き、やはりテロワールを越えることはできないように思う。このワインはどちらかというと後者に属する。香りは菩提樹などのニュアンスはまり無く、南方系や柑橘系といったバタールに近い香り。味わいもマンゴー、パイナップルといったトロピカルフルーツにちょっとトースト、蜂蜜がかかっている。熟成もかなり進んでおり、バターのようなとろみさえ感じる。ミネラルはあまり感じられず、フィニッシュは短い。ブラインドならバタールだろう。ただ同じ位の値段である超一流の下のクラス、例えばルフレーヴのクラヴォワイヨンなどと比べるとこちらの方が奥行きや楽しみがあるような感じである。ただスーパーに関してはやはり一流どころのばら肉の方が良いと思うが。
2005/10/04
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Savignyというアペラシオンもかなり人気がない。コート・ド・ボーヌの赤自体がマイナーである上にVolnay, Pommardといったはっきりとしたテロワールとは対照的に女性的なのか男性的なんだか解らないようなテロワールである。Savignyで白を作っている人もいるが飲んでみるとボーヌの白などのように繊細な一面があるわけでもなく、あくまでも厚ぼったくコート・ド・ニュイ以上にコート・ド・ニュイである。結局「安くてそれなりに旨い」という評価になるのであろうか。勿論例外は幾つかあり、このワインもその一つである。樹齢100年を超える超VVから作られるワインは紫色で一目で凝縮していることが解る。香りは赤果実に動物香、なめし革が混じり複雑である。味わいはカシス、イチジクなど非常に重心の低いトーン、土、エピスもかなり混じる。フィネスは無いが、圧倒的な力でパレットに迫る。タンニンもPNとは思えないほど荒い。子羊や猪でも全く大丈夫である。切れは太く続く。色、香り、味わい、非常に濃く力に漲る。まるで野武士である。
2005/10/01
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いっぱしのブルゴーニュ通になると特級畑の中にも格付けがあり、真に特級の名に値するアペラシオンと優れた1級よりも劣るものがあることが経験則で判ってくる。勿論作り手にもよるが、RichebourgやClos de la Rocheなどはどの作り手も素晴らしいワインを作り出している一方、CdVやCortonなどは畑が広いということもあるが、バラツキも大きいし、総じて感動するワインに出会う確率は低い。19世紀半ばに為された格付けを見ると(年代は忘れた)畑が1級から4級に分かれていて当時の2級とされた畑も現在では特級になっていたりする。バタールが好例であり、モンラシェに近い部分は1級に格付けされているが、村へ近い下部半分は2級である。この畑は当時も1級に格付けされテロワール的にはすばらしい筈である。が何故か今まで一度も感動したことがない。香りはわずかに菫のニュアンスを感じるが赤果実中心で複雑さはないし、トーンも低めで官能性に乏しい。味わいは香り通り低いトーン。一方ラ・タ-シェのような力強さは無く、何となくコルトンに似た重さを感じる。あくまでも並の特級である。近年ドメーヌ元詰を復活させたが、質が上がったのであろうか?(あまりに高いので買えないので検証不可能だが)
2005/09/30
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モレという村はジュブレ、シャンボールというブルゴーニュ赤を代表する村に挟まれ注目されていない。どうもぎすぎすした無骨で男性的なイメージがあるテロワールも市場であまり人気が無い理由であろう。リニエやルーミエといった超花形ドメーヌでもモレのキュベは比較的容易に買える(値段はそれなりだが)。だがモレは実際のところ非常に面白い村である。特級畑の数も多いし、1級は畑により超マスキュランで無骨なワインからシャンボールのように女性的で繊細なワインを生み出すこともある。ジュブレと違い村名境界はN74の手前であり、ヴィラージュもジュブレと違い質が安定している。注1)TruchotはJayerが引退し、Rougetが買えなくなって以来、私の最も好きなドメーヌである。あまり知られてなく値段もそれ程高くないところも気に入っている(ここ2年程の間に結構上がったが)。このキュベは彼のワイン作りの真髄を一番具現している。非常に繊細で抜栓直後からフランボワーズ、苺などの甘く高いトーンの香りがグラスの縁を超えあたりを満たす。澱引き3回の威力である。味わいも繊細で非常にフェミナン。アタックは殆ど感じられないが漣のように押し寄せ、最後は圧倒する。新樽を使わないのであくまでもピュアな果実である。フィニッシュも30秒位かかって薄く消えていく。素晴らしいワインである。残念ながら今年(05)で引退で畑は全く対極のワインを作るDavid Duband注2)に売られる。新しい所有者がどういうClos de la Rocheを作るか興味もあるが、やはりJackyの引退は私にとって大きな痛手である。注1) 因みにジュブレでは特級境界がN74に接しているところもある。注2) 濃厚だが品のあるワインを作る。Echezeauxが愁眉である。セラーにて
2005/09/29
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私はシャサーニュの赤が大好きである。軽快でチャーミング、果実味たっぷりで若いうちから楽しめる。値段が安いため殆ど新樽を使っていないので非常にピュアに感じる。また、数年熟成させるとそれなりに複雑味も出てくる。赤に向く土壌のために歴史的には赤が多かったこのアペラシオンだが、高く売れるため、PNを引っこ抜いて白に植え替えるドメーヌが現われはじめた。(昔ブラン=ガニャールでどの畑が白、どの畑が赤に向いているか教えて頂いたが忘れてしまった。カイユレは赤向きだったように覚えているが)気持ちは判るが残念である。そういった中でも未だにPNを作り続けているドメーヌにはがんばってほしいと思う。これは10年以上我がセラーで忘れ去られていた物。色合いはわずかに赤味がかかっているがまだ紫色を保っている。香りはテロワール通りにストロベリー主体だが熟成を経てニュイに感じるような土や血のようなトーンが低い香りも混じる。味わいはやはりストロベリー主体だが若干土のような濁りを感じるのは熟成が進みすぎか。厚みはあまり無く、構成は比較的単純。樽味は感じない。タンニンは殆ど無く、舌触りは非常に滑らか。フィニッシュはそれ程長くないが綺麗にフェードアウトする。シャサーニュ、しかも村名としては非常に上出来であろう。2~3年前に飲んであげれば良かった。
2005/09/28
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ワインを始めた頃はVTの「良し悪し」ということにこだわっていた。勿論大柄で芳醇な年を良年として尊重することに異存は無い。だが難しいとされる年でも飲み頃を間違わなければチャーミングでそれなりに楽しめるし、むしろ作り手やテロワールの個性が出たりするので面白かったりする。またワインが柔らかいので料理にも合わせやすい。ブルゴーニュではVTは自然のサイクルでありそれぞれのVTに個性があると考える人が多い。顧客もそれを判っていて個人的に思い入れのある作り手のワインを毎年買いそれぞれの違いを楽しんでいる。94の赤も冷夏と降雨で完熟せず難しいとされている。私の大好きな作り手のこのワインも通年のような果実の凝縮は無く、引っ込み思案でいつものように歌いかけてこない。だが良く味わうと彼独特のトーンの高い赤果実と絹のような舌触り、香りにもムスクなどの動物香、チョコレートなど複雑な味わいが感じられ薄いながらもフィネスを感じさせる。樽味はあまり感じられないのでVTに合わせて新樽の割合をきちんと変えているのだろう。赤身肉でなく、より繊細なパンタードや魚の赤ワインソース(ルジェやオマール)なら抜群の相性だ。
2005/09/27
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モンラシェの凄さはバランスに尽きると思う。若いうちは南方系果実主体のパワーのあるバタールに惹かれることが多かったが経験を重ねるにつれ、モンラシェやシュヴァリエの品の良さ、奥ゆかしさが判ってくる。酸、ミネラル、果実が綺麗に溶け合う。ひざまずくのは決して力にひれ伏す訳ではなく、均整のとれたポリフォニーに対する畏敬である。同時にバタールの名の言われも何となく納得する。87の白は赤同様、非常に繊細、悪く言えば弱いVTである。このワインも一見は非常に内気で抜栓直後は全く語りかけてこない。スワーリングすると仄かに菩提樹の花や白果実の香りがする。酸はかなり抜けているが、アルコール度も低いためか一応バランスは取れている。果実は白果実が中心で南方系の果実は殆どなく、若干タンジェリンのようなかすかな甘い苦味を感じる。ミネラル、フィニッシュは中庸だがふんわりと消えていく品の良さはラフォンのムルソーなどとはまた違う趣がある。全体的に小さくまとまっているがやはり品格は違う。
2005/09/26
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1998の白が難しいというのは周知の事実である。収穫時の秋霜のために果実が変に凝縮し、どのワインも得てしてふくらみがちである。彼のペリエールも例外ではない。抜栓直後からヴァニラの混じった白い果実。ラフォン特有である。ただ香りに鋼のようなミネラル香は無く、ペリエール特有の力は感じない。酸は綺麗でさすがだが果実は厚く広がるが奥行きは無い。フィニッシュはラフォンにしては短く、細く続かない。 別段今すぐ急いで飲むことは無いと思うがまああと3~4年位にはフラットになるであろう。
2005/09/23
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この作り手が最初に話題にのぼったのは12,3年前位だったろうか?確かラフォンの元で修行したという触れ込みだったと思う。当時としては質の割りに値が安く、気に入っていたのだが最近はあまり見ない。現れては消えていく新興ドメーヌの一つだったのか。94年の白はちょっと膨れているが意外とチャーミングに仕上がっている。香りはあまり強くないがスワーリングして目を覚ませてあげると、洋梨のような膨らんだ香りが拡がる。熟成を感じさせるトースト香もある。味わいは熟成から来るナッティも綺麗に溶け合っている。フィニッシュに生姜、シェリーを感じるので若干酸化していることが判る。コルクのせいであろうか。実際、彼の1級はコルクが悪いことが多い。ミネラルはきちんとあり、ワイン自体はきちんとシャサーニュ最良の1級畑であるテロワールを反映しているだけに残念である。
2005/09/22
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テロワール、VTを反映してワインは非常に繊細である。以前に2本程開けているが(93年3月と00年2月)、その時より赤色が強くなり、かなり熟成が進んできている。抜栓直後から赤果実、スミレのような花、麝香が混ざり合ったト香りが充満する。トーンが高く妖艶であるが、あくまでも気品をもっている。味わいはフランボワーズのような赤果実に、ヴァニラ、カカオ等が溶け合っており口の中で味わいが刻々と変わっていく。決して凝縮感を感じないが密度を感じる。フィニッシュは淡いが恐ろしく長い。ネゴシアン物のMusignyとしての最後に相応しいものである。最後の1本はあと2年程に終えよう。LeroyのMusignyも最近は恐ろしく高くなってしまったがこの頃は1万円ちょっとで買えた。良き時代であった。
2005/09/21
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87年のブルゴーニュはリリース時には弱いとされ、それ程人気は出なかったが10年を経た頃から次第に真価?を発揮して非常にエレガントになってきた。86とは逆である。ブルゴーニュには良くあることだがVTの見極めは本当に難しい。このワインも買った当初はテロワールを反映して非常に重かったのだがさすがに20年近くたってこなれている。色合いはエッジに赤み。抜栓直後からカシス、ダークチェリーの黒果実香。スワーリングするとちょっと濡れた土の香りも立つ。味わいも黒果実中心だが深くあくまでもマスキュラン。 20分ごろからちょっと血のような動物香も感じる。フィニッシュは長く、いろいろな要素が複雑に絡み合って綺麗に消えていく。ボーヌのテロワール通りのワイン。ここまでポテンシャルを出し切ればワインも本望だろう。だが、タンニンは完全にこなれ、酸も少なくなってきている。もう限界か。 もう数年するとフラットになる。
2005/09/20
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凄まじい凝縮である。アルコール度14.2%。アグレマンを貰えたのは猛暑だった03の例外的措置であろう。のっけから薔薇、しかも赤い薔薇の香り。蜂蜜。SB特有のハーブ香もする。梨、林檎に混じって南方系の果実もある。ミネラルもきちんとあり、フィニッシュも長い。残糖は無く、あくまでもドライである。難を言えば最後の切れにちょっと苦味を感じる。だが全体的に素晴らしい出来に仕上がっており、Cotat従兄弟も酸が少なくのっぺりとしたワインになっているのを考えればよくここまで仕上げたと思う。まさに彼の最後のVTにふさわしい幕引きである。1.5ヘクタール、例年でさえ500ケースしか作られないのに03はその半分以下だろう。手に入っただけでも奇跡である。
2005/09/18
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完敗である。ブラインドで試され「ミネラルと酸のバランスの良さからピュリニーかムルソー」だがちょっと厚みがあり垢抜けないところもあるのでムルソー、それもピュリニー寄りのヴィラージュ、高地のLieu-dit。ミレジムは98。」と答えた。まあ何年飲んでもこんなところである。もっとも先日のように大陸を間違えなかっただけましだが。サンロマンは非常にマイナーなアペラシオンで私もグラかシャソルネィしか思い出さない(後者は田舎っぽい南のワインみたいで私の好みではないが)。勿論このドメーヌははじめてである。抜栓直後から白い花と果実のブーケ、あくまでも品は良く、マコンやシャルロネーズとは生まれが違うことを感じさせる。果実は若干弱いものの酸は端麗でミネラルも十分あり、フィニッシュは長い。猛暑だった03のサンロマンは全体的に出来が良いとのことで、探してみようと思う。ところでエチケットのヴィオロンはドメーヌ名に掛けてあるのだろうか。謎である。
2005/09/17
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最近になって友人(フランス人)に言われた言葉「ブルゴーニュで一番贅沢なのはヴィラージュをきちんと寝かせて飲むことだよ。」という真意が解ってきた(ような気がする)。勿論金額的には1級や特級の方が高いし、お金を出せばある程度熟成した物を買うことも出来る(特に日本では)。ヴィラージュをきちんと寝かすにはまず、素晴らしい作り手を選び、ある程度まとめ買いし、数年から十数年セラーで寝かし(その間熟成を心待ちにして)、ワインのポテンシャルをフルに引き出して味わう。あくまでもハレのワインではなく、日常の飲み物としてである。これは最後の一本である。88は大柄で難しい年とされているが、近年素晴らしく開いてきたように感じる。香り・果実とも数年前よりも蘇っている。ただ驚嘆。果実は非常に高いトーンのベリーだが、コンフィのような重さもあり、マスキュランでバリトンを思わせる。がニュイのような土臭さは一切無く、フィネスを感じる。樽のヴァニラは十数年を経て綺麗に溶け合っている。タンニンは完全にこなれ(澱がべったりついている)味わいは非常にクリア。ヴィラージュの域を超えている。近年ルソーやDugat従兄弟の影であまり目立たないが素晴らしい作り手である。
2005/09/16
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Chablisで有名なドメーヌと言えば、勿論樽発酵のRavenauやDauvissatだろうがステンレス発酵のLong-DepaquitやLouis Michelもミネラリーでシャブリの特徴が良く出ている。Long-Depaquitの中ではやはりMoutounneがぴか一であろう。Le ClosやBlanchotなども決して悪くはないが、Moutounneの繊細な花の香りとミネラルには敵わない。抜栓直後は典型的な淡い白い花の香。味は13年を経て酸は非常に少なくなっており、果実、梨も弱めである。ちょっと生アーモンドのような膨らみもある。ダイレクトにミネラルを感じる。アフターティストは長く、全体的に繊細な素晴らしいワインである。だが92年はそろそろ終わりだという感じを強くした。残り数本、早く飲みきらねば。
2005/09/15
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このBlogも当初の目論見とは違い、段々Degustation Recordになってきた。今回のワインはAccadの影響がどうか?という検証。と言っても2年ほど前に飲んだ経験から大抵は想像できるが・・・結果はやはり予想通りであった。良く言えば濡れた土のような、平たく言えば雑巾臭の抜栓直後の香りは強い還元状態にあった感じであろう。色はまだ深く、15年を熟成したとは思えない。90にも拘わらず、果実は死に絶えている。その割りにタンニンが残っており、いわゆるHigh&Dryの状態。トーンは非常に暗く、1杯が限度か・・・・ ドテ。Accad's Disasterと呼ばれる訳が解る。
2005/09/14
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前回に続いてこの有名ドメーヌを飲んでみる。以前何度か飲んだ時はあまり感動しなかったのだがRMに関してはNVでもリリース時(或いはVT)によってばらつきがあるので非常に難しい。Prevostなど数年前にはそれ程良いと思わなかったのだが02は素晴らしく力があり、感激した。これは廉価版のキュべ。NV表示だがVTは99、00が主である。熟成(Viellessment)は長く44ヶ月。抜栓直後は白い花に混じって赤果実の香りもあり、前回の上級キュべに迫る感じだ。難を言えば、ドザージュの香りが立ちすぎている。ティストは以前飲んだVTよりも良くなっているし、梨のような白果実に加え、ナッツ、トースト等も加わって奥行きもある。フィニッシュにドザージュを感じるのは上級キュべ程の凝縮感は無い理由であろう。値段はドメーヌの有名さを反映してドメーヌでも既にプレミアム価格である。まあ、他のRMで十分だということで格付けはBBで発注しない。
2005/09/12
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優れた貴腐を作るシャトーは時にははっとするような辛口を作ることがある。テロワール上、決してフィネスのある繊細なワインには仕上がらないが、ハーブやフローラルさの香りに加えて奔放なフルーティで厚みのあるワインは独特の趣がある。Yがよい例であろう。さて、このワインはP氏がYquemを上回ると評した(確か95年は100点だった筈だ)シャトーで作られた辛口。アペラシオンの規定上、VdP扱いである。香りは確かに菩提樹等のハーブ、フローラル系でまとまっている。だが味は酸が弱く、アルコールを強く感じる。果実はマンゴーを感じるが凝縮味は無い。フィニッシュは太く、短い。決して変な味はしないが、典型的なMediocreな南ワインであり、飲むのに疲れるワインである。落胆。残りは料理に使う。格付け:CC
2005/09/11
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Cote de Nuitのシャルドネはごく一部の例外を除いて国道沿いの低地で作られている為どうしてもぽったりとし田舎っぽい作りになることが多い。コートドボーヌのようなフィネスはないが、値段も手ごろでアペリティフやカジュアルな感じで楽しる。優れた赤の作り手の中にはわざわざ白を作ってみたいという人もいて、ざっと考えただけでもDujac、Vigot, R.Chevillonなどが浮かぶ。PonsotやB.Clairなどもわざわざアリゴテを作っている(多分一番高いアリゴテであろう)。そういえば以前B.Dugatを訪ねた時、彼もそう言っていたと思う(ムルソーに畑を買うと言っていたっけ)。抜栓直後はトロピカルな香り。ただ白い花もあり、シャルドネであることが分かる。樽香は感じられない。口の中はトロピカルで厚みもあるがちょっと切れもある。酸は少し低いものの、きちんとあり、バランスはなかなかである。ミネラルは中庸、フィニッシュも長い。このクラスでは中々であろう。ただ値段(20ユーロ超)を考えるとちょっと躊躇う。まあ、レア物(2樽)として考えれば良いのかもしれない。
2005/09/10
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