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暴力を働いて刑務所に送られていた、ルース・スレイター (サンドラ・ブロック)。刑期を終えて出所した彼女だったが、犯罪を犯した者を決して許そうとはしない社会の冷たさを感じる。故郷に戻るものの、そこでも人々からの厳しい批判や叱責を受けたルースは、犯してきた罪を償う意味も込めて、やむを得ぬ理由で置き去りにして離れ離れになったままの妹を見つけ出そうとする。人知れず苦痛に耐え忍んできたルースの真実に胸がヒリヒリと痛む!こちらはNetflixの映画。の、割にはおもしろかったよ笑いかんせんNetflix作成の映画に対する評価は、、まあ、正直あまり高くないというのが本音。だからこそ期待してなかった分、本作は普通に楽しめる部類だった。あくまでNetflix製作の映画の中ではの話だけど笑お話はある女性、ルースが保護観察官に付き添われて保釈されたきたところからはじまる。彼女が行った犯罪は警官殺し。20年服役し、この度模範囚として仮釈放した形だった。だが、世間の風当たりは強く、ルースは自分を受け入れてくれない毎日に心を閉ざしながら、唯一の肉親である妹の行方を追うために動き出す。妹は20年前、ルースが警官殺しをした現場に居合わせていたが、彼女が服役してからは養子に引き取られて何不自由なく生活していたのだった。ルースは妹に会えるのか、そして20年前の事件の真実とは、、そんな感じのおはなし。まあ感想諸々の前にまず、ちょっとした違和感が一つだけある。それは、べつにこれって妹設定じゃなくて娘でもよくね?ってところ笑年齢のことを言うのは野暮だけど、サンドラ・ブロックは御年57歳。もちろん、そんな年齢に見えないほど綺麗だってことはわかる。スピードの頃からチャーミングさと綺麗さを兼ね備えてきて、歳を重ねてなお貫禄はあるとはいえ美しいと思う。だけど、妹キャサリン役のアシュリン・フランシオーシは今年28歳。実に年齢差は30歳で、これだったら娘という間柄でもよくない?って普通に考えてしまう。なにか妹にする絶対的な理由でもあるのかなって思ったけど、、娘だったら感情が深くなりすぎるからとか?親を亡くして歳の離れた妹を育ててきたルースにとって、キャサリンは娘同然とか?なにか歴とした理由があったのか、作中ではわからなかった。この年齢差のある姉妹、という設定が個人的にはずっと違和感だったなー厳密にはもうちょっと年の差がない設定なんだろうけど、、なんで?ってなる。ストーリー的には終始、淡々と進む。仮釈放のルースは魚の加工工場で働き、ブレイクという男と知り合うけどなかなか心を開けず。そしてルースに父親を殺された兄弟は彼女に復讐の機会を伺い、最終的には人違いでケイティではなく、ケイティの養子先の妹(多分、この子も養子っぽいのかな)が巻き込まれて、、この、父親が殺された兄弟、最初はお兄ちゃんの方?が「あいつ親父を殺しといて20年だけで出所してきやがったゆるせねー」って感じだったけど、それをとめてた弟の方が徐々にルースに対する嫌悪と復讐心を持つのが、なんかリアルだった。口に出している側よりも、口に心を出さない側がより過激になるかんじ。この弟の環境も丁寧に描かれていて、人工呼吸器をつけて先の短い母親が横たわるベッドの壁に、在りし日の父親が保安官としての職務を果たして活躍している新聞の記事が飾られてて、、夫を、父親を失ったこの家族も、この20年間辛かったんだろうなと感じさせた。(暴走するきっかけが妻と兄の不倫なのが気の毒すぎるけど)で、それに比べてルースはちょっと身勝手かなーとおもったりするかな。ルースが昔自分が住んでた、そして事件現場にもなった家を訪ねて、現在の持ち主と知り合うのはちょっと、、ってなるよ。しかも偶然にも家主は弁護士。この弁護士の妻の言い分は正しいよ。殺人犯が殺人現場に戻ってきたんだから、身元がわかってたら悠長に会話なんて出来ないし、普通はしないよね。子供達も危険だし。あと、やっとの思いで里親に会えるってなってもさーいちいち感情的すぎる。そりゃ、里親の態度もこれまた正しいよ。今のルースにケイティを合わせるのは悪影響しかない。ケイティの人生にルースを介入させないことが、親としての役割だと思うのは当然。で、ルースは切れる。ブチ切れる。せっかく自分の得意を仕事にするために得たリノベーションの現場で暴れまくる。だめたこりゃ、、と、思いきや実はルースが警官を撃ったわけではなかったというどんでん返し。ショットガンで警官を撃ったのは、当時まだ5歳のケイティの方だった。この真実を知ると、ルースに対する見方が180度かわるのが、この映画のキモかな。ルースがどれだけ耐え忍んできたのか、妹を守るために数々のことを、人生までをも犠牲にしてきたのかがわかる。そして泣ける。まじ、泣ける。で、最後はいろいろあったけど、ルースはケイティと再会する。ルースの20年は、ケイティが健やかに育っているのをちゃんと確認してこそ報われるんだろうな。やっと妹を抱きしめることができたルースの表情がいい。何よりも大切で人生をかけて守った存在をちゃんと確かめるように抱きしめるシーンがいい。本当にいいラストだった。主演のルース役はサンドラ・ブロック。まあ、あれだね、味気ない話しをすると、サンドラ・ブロックが主演してて、ただの人殺しの 前科者というだけで終わるはずはないと思ってたよ、一応。それでもルースが真実を口にした場面は胸がえぐられるほどひりひりした。さすがの一言。彼女は本当にコメディからシリアスからこなせる魅力的な俳優さん。そんなルースの年の離れた妹役は先述の通りアシュリン・フランシオーシ。初見さんです。なぜか自分も前科者なのにルースの前科にビビってルースの素性が職場に知れ渡る原因を作った真面目にダサ男であるブレイク役はジョン・バサル。ブレイクに関しては「送ろうか?」みたいに誘ってルースを車に乗せたあと、自分がドラムを演奏するバンドの曲を聴かせるあたり、、うん、こういう奴いるわってなった。まじやめた方がいいよ、君のそういうところ。ジョン・バサルは言わずもがなウォーキング・デッドのシェーン。シェーンは結構好きだったんよ、、現実主義な必要悪なところが。ある意味事故物件に住んでる弁護士のジョン・イングラムはヴィンセント・ドノフリオ。wikiみて初めて気づいたけど、メン・イン・ブラックのエドガーだ!懐かしすぎる!そんな彼の妻はヴィオラ・デイヴィス演じるリズ。「殺人を無罪にする方法」の人という印象しかないなーこのドラマもみたことないし。今作は殺人は無罪にならなかったけど、言ってることは100%正しい。
2021.12.23

第1次世界大戦が始まってから、およそ3年が経過した1917年4月のフランス。ドイツ軍と連合国軍が西部戦線で対峙(たいじ)する中、イギリス軍兵士のスコフィールド(ジョージ・マッケイ)とブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)に、ドイツ軍を追撃しているマッケンジー大佐(ベネディクト・カンバーバッチ)の部隊に作戦の中止を知らせる命令が下される。部隊の行く先には要塞化されたドイツ軍の陣地と大規模な砲兵隊が待ち構えていた。撮り方が秀逸で、まるでゲームの主人公を操作しているような圧倒的な臨場感と没入感!久しぶりだよ映画。本当に久しぶりに見たよ映画。いや、まじで久しぶりに見たよ面白い映画。本作のことはなんとなく知っていた。あらすじとかは分からないけど、とにかく撮影手法が独特で、まるで一兵卒の戦場での一日をドキュメンタリーでも見ているかのような感覚で追うことができる。ある意味究極の長回し。渡鬼なんか目じゃないよ、と思うけど、もちろんどこかで編集点が入っている。その編集点を探すのもちょっと楽しいかも笑あと、最近のSPFゲームってこんな感じじゃない?ってちょっと思った。それくらい、一人の人物にフォーカスを当てた撮り方。だからこその大袈裟な演出や展開があるけど、不自然じゃないから全然観ていられる。お話は第一次世界大戦。、、、第一次世界大戦のヨーロッパ戦線って本当によくわからんのよ笑この時どんな戦況だったのか、ここどこ?感が強いけど、とりあえずイギリス兵がドイツ軍の罠を遠くにいる自陣に伝令するべく、フランスの野を駆け抜ける、というお話。最初はプライベート・ライアンの第一次世界大戦バージョンかなーとか思ったけど、今回の任務についているのはライアン二等兵ばりの下っ端の兵卒。(一応上等兵だけど)しかも一人はただ単に地図を読むのに明るい、そして伝令する方の陣地に兄がいるため意気軒昂の若者。もう一人は、そんな彼の隣にいたから選ばれた友人の兵士。こんなトップダウンの命令ってある?笑急に呼び出されて、将軍から一命を授かるってあるのかな?この時代。そしていきなりこの将軍はコリン・ファースだったりする。ストーリー展開はおいといて、この配役だけで期待値が上がるのは仕方ないことかな笑最初、主人公はこの、兄がいるから真昼間でも敵陣突っ走る系男のブレイクかと思いきや、最後に伝令を届けるのは冷静沈着なスコフィールドの方。そう、ブレイクは道半ばで死んでしまう。前情報を何もない状態で観たから、ブレイクの死は結構衝撃的だった。しかも彼の優しい部分が裏目に出た結果なのが本当に辛い。敵兵でも見捨てるのがいいのかな、ああいう場面では、、でも人情味あるブレイクには無理だよ、、そこからスコフィールドがブレイクに変わって、まさに命をかけた伝令を届ける役目を負う。最初は気乗りしなくて、ドイツ兵の罠にハマった時も「なんで俺を選んだんだ!」って怒りをあらわにしてたスコフィールドが、ブレイクの死を無駄にするまいと、奮闘する様は鳥肌ものだった。自陣の姿が見えないまま夜明けを迎え、死人のような顔で木に寄りかかるスコフィールドの表情、、そこから、まだ自陣は出撃しておらず、伝令を届ければ最悪の事態を防げるかも、と走り出す彼の使命を帯びた顔は明らかに変わっていた。クネクネ入り組む塹壕を一心不乱に駆ける。突撃命令の出ている陣内はいきり立っている。みんな緊張しているし、みんな心のどこかでは怖がっているのも分かる。スコフィールドに最初に「突撃は中止です」みたいに言われてた下っぱの伍長?みたいな人も、「俺にそんなこと言うな!」ってなるよね、、意気を削ぐような真似はするな、下手に怖気づけば配下の兵士たちが怖がって迷うんだから、、突撃の緊張感が否応にも伝わってくる。全編通してだけど、この塹壕の演出もすごいよ。第一次世界大戦は塹壕戦なんだよね。穴を掘ってそこに隠れて、相手からの攻撃に耐えつつ突撃を待つ。ものすごく効率の悪い消耗線、、だけど、この時の彼らは勝利を信じてその戦い方をしてるんだもんな、、なんか無情を感じる。で、ラストのハイライトは戦場ならぬ、突撃前線の激戦地を横に駆け抜けるスコフィールドです。だけどこのシーンね、、ちょっとシュールなんよ、、笑全然わかるよ?話の重みとかすごく伝わるし、ああスコフィールドの決意とか、仲間であり友人でもあるブレイクの意思を継いだ感じとか、殺せるものなら殺してみろ!死んでも伝令を届けてやるっていう、一種の投げやりの境地みたいなのが現れてるんだろうけど、、ちょっとシュールすぎるよ、、感動するけどシュールだわ、、で、最後の最後で伝令を届けるマッケンジー中佐はお馴染みベネディクト・カンバーバッチですわ。いや、これもわかるよ、最初と最後に名優を据たいのわかるけど、絶対ベネディクト・カンバーバッチは突撃命令を中止する系の人間じゃない?笑彼が無慈悲にこの映画の根底を覆す決断をするはずない。良くも悪くも、カンバーバッチが出てきたときに、「あ、絶対突撃命令は中止になるわ」って思ってしまったよ。そしてスコフィールドの思いが伝わり、突撃命令は中止になる。ただ、少ない出番でもマッケンジー中佐の苦悩はちゃんと伝わってくる。今日の朝には突撃中止と命令され、来週にはまた突撃せよと命令が下る。気が休まらないどころの話ではない。常に緊張していなければならない。それならいっそ、玉砕覚悟で突撃した方が楽なのかもしれない、、そんな戦場の、前線を指揮する司令官の苦悩もちゃんと描かれている。(ちょっと嫌なやつだったけど)最後、スコフィールドはブレイクの兄を見つけ、一応のハッピーエンド。これでお兄ちゃんが死んでたらちゃぶ台ひっくり返すよ、まじ。そしてお兄ちゃんがブレイクと同じでいい人そうなのがツライ、、あと、エンドロール前に、この映画を誰々に捧ぐ、みたいに実話を匂わせるテロップが流れたけど、、そういう手法なのか、本当なのかはわからない。そこは匂わせて濁したままでもいいのかも。主演はウィリアム・スコフィールド(通称スコ)役はジョージ・マッケイ。まだまだこれからの若き俳優さん。初見さんだけど、素晴らしい俳優さんだと思う。愉快で快活で頼れるいい奴なトム・ブレイクはディーン=チャールズ・チャップマン。正直、彼も他の映画では見たことのない顔だけど、まだ若いからね。マーク・ラファロにちょっと似てるかも?(個人的な感想です)彼らに任務を授けるエリンモア将軍は説明不要のイギリスの名優コリン・ファース。そして伝令を受け取る先にいるマッケンジー中佐役はこちらも名優ベネディクト・カンバーバッチ。この二人が最初と最後を締める役割をしていることで、映画にこれ以上ないほどの重厚感を生んでいる。そしてこの二人は存在感がありすぎる笑いい配役。他にもブレイクを失って憔悴状態のスコを励ましつつ、車で送ってくれたスミス大尉にマーク・ストロング。裏切りのサーカス、イミテーション・ゲーム、キングスマンあたりかな。
2021.12.12
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