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yuko1022

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December 1, 2004
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昨夜はロックフェラーセンターのクリスマスツリー点灯式にくりだしましたが、予想をはるかに超えた人だかりが道にあふれ、広場に近づくこともできませんでした。人の波にはまったが最後、今度は抜け出れない(泣)。


しかしそれが大きな間違いだった。
私は3歳からピアノをやっていました。コンクールの経験もそれなりに積み、大学もピアノでではありませんが音大に行きました。20云年のクラシック音楽のバックグラウンドがある手前、物を言わせていただきますと、彼女の演奏ほどひどいものを人生において聞いたことがありません。

コンサート前半は有名どころのショパンの曲が6曲続きました。もちろんすべて私も弾いたことがあるので、私なりに曲を解釈済みなのですが、彼女はまず右手に頼る演奏家だということ。左手は添え物のように音を弾いているだけで、決して前にでてこない。右手と左手の対話がないから、音にも音楽性にも重厚間がなく、非常に表面的で薄っぺらな響きになってしまっていました。
右手が相当弾ければ、それなりに曲としてまだまだ聴けるのかもしれませんが、彼女の音表現に使われる指や手のひら、腕のテクニックはたった2通り。指先だけの圧力で弾くか、手首をへにゃーと上方向に放りだすことによって音に歪曲性をつけるかのどちらか。手首をあんなにふにゃふにゃしてたら、バリっとハードに音をつかまえないといけない和音のところなんか、もう台無しもいいところ。だから「幻想即興曲」と「革命」はかなり骨なしな音楽になっていた。
さらに悪いことに、彼女の聴覚障害が問題となってか、ペダルテクニックがあまりにひどく、至る箇所で(特にペダルが一番タブーで神経を使うとされている下降のアルペジオで所かまわずペダルを用いるので)音が濁る濁る。音が濁ってしまったら一音一音の意味がまったくなくなってしまうし。曲全体がにじんだ絵の具で書かれた、はっきりとしない絵画のような印象になってしまった。

音楽表現にしてもしかり。音楽には感情の波という力学がある。
波が岸に打ち寄せ引く時、波の大きさ(感情の持ち方)は演奏者によってさまざまでも、その波の力(音が持つ動力)はある頂点に達するまで岸に打ち寄せる(クライマックス)し、そこからスムーズにまた海へと引いてゆく。

感情の入れ方は音楽家それぞれの音楽解釈や表現法によって大きく異なるが、ある程度、聴衆はそれを予期して楽しめるはずなのに、彼女の演奏ときたら、まったくの期待はずれもいいところ。劇的で情熱的に弾ききるべきと解釈される部分で急に速度を変えてへなへなと力尽きたり、もっとバリっと弾ききって欲しいところで変に腕をくねくねするもんだから、音にも演歌的コブシがかかる。もたせなくてもいい箇所で間を持たせるものだから、音楽の全体的な動きが滞る。

今まで音楽を聴いてストレスを感じたことなどありませんでしたが、今日ばかりはストレスがマックスに達し、小休憩のときに残り半分を聴かずに帰宅しました。

観客は日本人がほとんどで、なかには恍惚と「はぁ、すごい」と感動している方もいました。
音楽は結局個人の感性にどうフィットするかなので、「これが正統の演奏だ」というものはありませんし、自分が好きだと感じればそれに尽きる世界なので、気持ちよくなっている人を乱すように私が「いやぁ、あれはちがう」とはその場では言いませんでしたが、あの演奏がショパンが意図したものかどうかには大きな疑問が残ります。彼女の演奏にはあのワルシャワの厳しい冬の寒さや当時の政治的革命の人々の苦悩と生死がまったく音として表現されていなかった。
自分の解釈だけで演奏したいのなら素人にでもできます。素人と演奏家のちがいは、テクニックもさることながら、深いところでの作品解釈と自己表現を融合させることではないでしょうか。
確かに彼女は音楽家として有望視されていた矢先に、音楽家にはなくてはならない聴覚にダメージを受け、それでも音楽を愛し彼女のその情熱がある人に感動を与えるのかもしれません。
彼女の力強い人生観にはもちろん拍手喝さいしますが、彼女をプロフェッショナルの演奏家かどうかを問うとき、私は断固として否と言いたい。

何よりも悲しかったことは、あの音楽の殿堂といわれたカーネギーがこの程度の演奏家を受け入れるということ。これもまた、現在音楽ビジネス、とくにクラシック部門が直面している売り上げの伸びの悪さを、なんとかフジコの奇跡的なイメージでもって回復しようというレコード会社の戦略的な意図もみえないでもない。





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Last updated  December 2, 2004 01:35:27 AM
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