未完成のブログ

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Aug 11, 2017
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マジック・ザ・メイカー2話「魔女と少女2」

「マアアアアアアアオ……ゴロロロロロ……」

「……」

 晴凛の膝の上で猫と呼ぶにはあまりに野獣めいた鳴き声を漏らす銀色の猫スフィンクス。冥珂のスフィンクスは下校時に現れ晴凛の家にまでついてきた。

「あの時のように鎧はついてないし、ふわふわの銀毛だし、顔も整ってるし良いんだけど……なんかすごく重いし足太いし猫というより小さなライオン……」

「ゴルルルルルルル……」

「なついてるのだろうけどちょっとコワイ」

 冥珂の事、スフィンクスの事で頭がいっぱいになっていた晴凛は一日中授業は上の空で過ごしてしまった。

「戦車のカード……『勝利、全身、コントロール。イケイケドンドンで前向きに問題に立ち向かうのが良い。晴凛ちゃん何か悩んでることがあってどうして良いか迷ってるんちゃう?』って冥珂さん言ってたけど」



「あ!お母さんだ!!スフィンクス隠れて!!」

「グルアッ」

 スフィンクスは一瞬でタロットカードに入っていった。慌ててソファに座りなおす晴凛、すぐにリビングにはいってくる母親。

「なあに晴凛今の鳴き声みたいなの、へんな生き物家に入れてないでしょうね?」

「まさか?携帯ゲームの音だよ」

「それならいいけど。水槽とかカゴで飼えるのなら考えもするけど」

「あはは……(カードの中にいるとか言っても信じてもらえないだろうなぁ)」

「夕飯の支度したらすぐに出かけるからね。お風呂入っておきなさいよ」

「またでかけるの?」

「お母さんにも色々あるのよ」

 晴凛の母親は最近夕方になると出かけることが多い。働くためではないらしい事は晴凛は知っていた。一度母親が携帯電話で話しているのが聞こえてきたところによると何かの会の集まりらしかった。



「……うん」

 あの事とは両親が離婚した場合どちらと住むかの選択である。冥珂の事があってそのことからは意識が離れていたが急に引き戻され底なし沼に足をつけたような気分になった。考えれば考えるほど深みにはまり苦しくなる。

 母親は白米を炊き買ってきた惣菜を温め直した後すぐに出かけていった。

「……戦車のカードは……前向きに行動」



「あ、バスに乗るんだ……どうしよう一緒に乗ったら尾行ばれるし」

「グルルロロロ……」

 晴凛のポケットから飛び出すスフィンクス。その姿を電動クロスバイクに変形させた。

「電動自転車になった!え?なになに?スフィクスって人間の言葉分かるだけじゃなくてそんな機転をきかせる行動とるんだ」

「ウガオ……」

 さっさと乗れと言わんばかりに唸るスフィンクス。晴凛はスフィンクスに乗り、塀の物陰からバスが来るのを待った。

「お母さんバスに乗った……行くよスフィンクス」

「ガアオ」

 バスを追う晴凛。住宅街を抜け大通りに出る。更に進み隣町に入っていく。電車駅近くのバス停で晴凛の母親は降りた。

「あれ?この辺初めて来たけど何か暗くない?晴れてるけど曇ってるような?」

「ゴロロロロ……」

 スフィンクスは猫の姿になり晴凛の足元に音もなく着地した。住宅街の細い道を進んでいく母親、迷宮のように入り組んだ道を進み三階建てのビルのテナント喫茶に入っていった。晴凛はそっと植え込みに潜り込み窓から店の様子を伺う。黒いカーテンが閉められていたが隙間からなんとか母親の姿を確認できた。他にも数人大人の男女が居た。

「うわぁ……いかにも怪しい内装だ」

 得体の知れない動物頭の化物の彫像、絵、魔法陣などが見える。晴凛はその中に冥珂のコンパクト越しに見たフクロウ頭の化物の像を見つけた。

「お母さんのそばにいる爺さん……なにアノ服装」

 母親に話しかけているのは上下の白スーツに杖、緑のフードマントの老人。

「映画とかに出てくる博士っぽいね。悪魔喫茶博士だ」

「グルグルグル……」


 晴凛が悪魔喫茶博士と呼ぶ老人はキラキラ輝くおもちゃの光線銃のような、ライトのようなものを取り出し光を母親と周囲の人間に浴びせかけた。

「怪しい!怪しすぎる!!」

 光を浴びた母親らは晴れ晴れとした表情で天を仰ぎ両手を広げ何やら歌い始めた。

「あああああ……ヤバイよあれ!どうしようどうしようスフィンクス!警察に言ったほうがいいかな?」

「ゴロロロロ……」

 スフィンクスは晴凛のカバンに首を突っ込み冥珂の黒い名刺を咥えて見せた。

「冥珂さんに知らせろって?でも電話番号も何も知らないよ、この名刺にそんなもの書かれてないし」

「ウガア」

 名刺が浮き上がり黒い球体となると教科書でしか見たことのないような電話の受話器に変形した。晴凛は恐る恐る受話器を耳に近づける。

「……もしもし?」

『晴凛ちゃんどうしたん?ま、大体何があったか察しつくけどな』

「悪魔喫茶博士がお母さんを……!どうしたらいいですか冥珂さん」

『ほーん……悪魔喫茶博士ねぇ、ふむふむ……って、ぜんっぜん分からんわ!せやけどヤバイってことは分かる。フクロウ頭と関係するなんかを見たんちゃう?』

「あ、そうなんです!フクロウ頭とか色んな像置いてありました!!」

『スフィンクスおるしよほど無茶な事をせん限り晴凛ちゃんは大丈夫やけど……あんたのおかんはそうもいかんみたいやしな、すぐ行くわ。ちょっとそのまま待っててな!』

 晴凛は名刺に戻った黒電話をしまうと再び店の中に目をやる。悪魔喫茶博士と呼ぶ老人がマントを翻し窓に近づいてきた。

「やば……見つかった?」

「フホホ……こんなところに迷い子が。さぁさ怖がることはない入ってきなさい」

 上下式の窓を開け作り笑いを浮かべる。

「あっ」

 悪魔喫茶博士は金属ライトを晴凛に浴びせかけた。

「ギャギャギャーオ……!」

 スフィンクスが悪魔喫茶博士に飛びかかる。爪の一撃で金属ライトを跳ね飛ばし晴凛の前に着地、全身の毛を逆立てる。めまいを起こした晴凛はその場に尻餅を付いた。

「なんっだ……このネコは!……ネコなのか?」

「クルルルルルルル……」

 野獣めいた唸り声を上げるスフィンクス。

「主人を守る気かネコよ健気な事だ。しかしお前は間違っているぞ、危害を食え会える気はない、むしろ救済しようというのだ」

「クルルルルルルル……」

「獣には理解できぬか。いいだろう私が手に入れた奇跡の力見るが良い」

 両腕を広げる悪魔喫茶博士。照明を落としたかのように周囲の光が落ちていく。

「なになに……!?」

「フホホホホホホ……」

 ぬるりと音もなく窓から出る悪魔喫茶博士。

「私は……マスター・サウス!刮目せよ奇跡の力!!」

 マスター・サウスと名乗った南田外志明(みなみだとしあき)はスフィンクスに手をかざす、手の動きに合わせゆっくりと宙に浮いていくスフィンクス。

「ギャギャギャーオ!!」

「あ、あああ……スフィンクス!」

「フホホホホホ……獣よどうすることもできまい!」

 マスター・サウスは手を下に振り下げる、スフィンクスは地面に叩きつけられた。

「こんなものではないぞ?私の得た力は!」

「あ……あ……」

 今度は晴凛に手をかざす。腰が抜け動けない晴凛、カチカチと奥歯が小刻みにかち合う。

「グルルルアアアア!!」

 スフィンクスは跳ね起きて晴凛に飛び込む。次の瞬間、銀の光に包まれ晴凛は銀の鎧姿に変身した。

「なんだと……!?」

『聞こえるか小娘』

「はっ」

 晴凛の頭の中に響く若い男の声。

『俺様だ、スフィンクスだ!いいかよく聞け、目の前のジジイは相当厄介な奴だ、俺様だけならまだしもお前のような小娘を守りながらは戦えねえ。だからお前は何も考えず俺様に体を任せろ、いいな?そしたらこの場から生きて帰してやる』

「え?ええええ~……!?」

『おっと、ガタガタ震えて恐怖のあまり失禁なんてするなよ?俺様はきれい好きなんだ』

「いや、突っ込みどころはいっぱいあるけれど何で急にしゃべりだしたの?」

『急にじゃねえ、ずっと俺様は喋ってたんだよ。お前が聞き取れなかっただけでな!こうしてとり憑いてお前の脳に直接語りかけてようやく通じるようになったんだ』

「とり憑くってさらっと言ってるけど……えええ~!?」

『俺様はチャリオット(戦車)だ!本来はお前が俺を使いこなさなきゃいけないんだ、今回はまぁチュートリアルってことでサポートしてやるよ!!』

「昨日から超常現象のメガ盛りで頭がついていけないんですけどー」

『理解できなくてもついて来い!今起きてることから目を背けるな!!いくぞ!!』

「ぬうん!」

 手をかざすマスター・サウス。手から黒いもやが伸びて掴みにかかる。スフィンクスは伏せて回避、その体勢からロケット弾めいた体当たりを放つ。

「ぐふっ」

 後方回転し植え込みに突っ込むマスター・サウス。

『ちっ妙な手応えだな』

「何今のもや!もしかしてあれがスフィンクスを地面に叩きつけたの?」

『ああ、さっきは見えなかっただろうがあれが正体だ』

「あれはなんなの?」

『科学じゃ証明できねえものさ。科学だって万能じゃねえそれが全てじゃないって事だ。詳しいことは冥珂のババアに聞きな!!また来るぞあのジジイ!!』

「やるではないかネコよ。私の力、もっともっと見せてやろうぞ!」

 両手を上げるマスター・サウス。黒いもやが周囲から集まりその姿をフクロウ頭の狼に乗った異形の者へと変えていく。

「あれは昨日バスのところで見た!」

『あの時のとコイツは別物だが同じ力を使っているな。お前晴凛と言ったか?気絶しないでおくれよ?全開でいくからなァ!』

 尻尾を槍に変形させるスフィンクス、両手をついた低い構えでマスター・サウスを睨みつける。フクロウ頭に変身したサウスは木の枝を拾い黒い剣に変えスフィンクスに向かって突進する。跳躍で回避したスフィンクスは尻尾の槍でサウスを攻撃、防御するサウス、黒い剣から火花が散る。着地と同時に尻尾槍で連続攻撃を仕掛けるスフィンクス、マシンガンめいた刺突を剣で防御するサウス。

「ぬうん!」

 またがっている狼が火炎弾を発射、サイドステップで回避するスフィンクス。

「ひええ……」

『ちっ……冥珂早く来いよ……晴凛の体じゃあこのジジイを倒すのは無理だ。ただのカルト宗教の教祖だと思ってたが……』

 火炎弾を連続発射するサウス、徐々に追い詰められていくスフィンクス。

『もうそろそろ限界か晴凛?』

「ううう……吐きそう……気が遠くなってきた」

『ちっ……こうなったら奥の手を使うしかないか……』

「フホホホホ……観念したかネコよ?大人しくその娘をよこすがいい」

「そこまでや!」

 上から声がした。スフィンクスとサウスが見上げると夜空となった空間をぶち破って冥珂がほうきにのって現れた。

「なんだ!?結界が破られただと!?」

『なんとか間に合ったか……』

「冥珂さん!」

 4回転半ひねりでほうきから飛び降り着地する冥珂、ほうきをサウスに向ける。

「あんた、その力どこで手に入れた?何かきっかけがあったはずや」

「いきなり現れて何を言い出すかこの女!」

「アタシは立花冥珂、こっち方面の厄介事の処理はそれなりにこなしてきたもんでな。で、あんたは何者なん?」

「私はマスター・サウス!救済する者!!お前も私が救ってやろうぞ!!」

「あーはいはい、そういう系ね。その力どこて手に入れたか吐いてもらうで!」

 タロットカードを放り投げる冥珂、蝶の羽をはやした子供が現れ冥珂とサウスの後ろに光の帯を作る。

「19のSun(太陽)!」

「ぬ!?」

「晴凛ちゃんには手を出させへんで、杖の9、Strength(強さ)!!」

 8本の光の矢が出現し冥珂に吸収されていく。そして19の太陽で作った光の帯から細い帯が伸び、冥珂に繋がり山吹色に輝くローブ姿に変わった。

「ハァイ!冥珂ちゃん太陽と強さのフォーム!!」

「フホホホホ!いい年をした大人が何を!!」

 火炎弾を吐き出すサウス、冥珂が手をかざすと火炎弾は跳ね返りサウスの顔面に命中する。冥珂は接近しほうきの連打を叩き込む。殴られた箇所から火を噴く。

「グファ……!?」

「さぁさぁさぁ!ドンドンドンドン剥がれていくでー!!」

「力が抜けていく……こんな……馬鹿な!!」

 剣で斬りつけるサウス、冥珂はほうきで受け止め口から炎を吐いた。サウスの全身を炎が包み込む。

「ぬああああああ……」


続く





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Last updated  Nov 11, 2018 08:58:28 PM
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長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
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