DHHU 外伝グレイ・イーター編その4
アリナに受けたダメージを思い出す。いまだに痛みは残りグレイ・イーターの食欲を少し押さえている。
「ガゴゴゴゴゴゴッゴブガッ!」
顎を外しハリーのサイコパワーで無理やりトラックを小さく丸めこんで飲み込んでいく。
「何やってるんだー!」
刀耶は銃撃をグレイ・イーターに浴びせる。
「ギャワワワワー! クソが! 邪魔すんじゃねー !! 」
飲み込んだトラックの体積分巨大化するグレイ・イーター。 3m 程の大きさになっている。
「あれはマズいか?」
「食べさせないように攻撃を仕掛けましょう! 師匠が来たらストライクスマッシュを当てる隙を作ってくれるはずですそれまで粘るのです!」
「オッケ~」
刀耶はナイトケースの銃口 8 門全てをグレイ・イーターに向ける。
「フルバスター!」
ナイトケースでつくられたエネルギー粒子を圧縮した砲撃を一斉発射する。ストライクスマッシュとは違い刀耶の体力は消費しない。
赤い波動がグレイ・イーターの皮膚を焼く。
「ストライクスマッシュの隙が……いけるか」
「 GYAHAHAHAHAHA ‼ サイコビーーーーーーーーーーーーーーーーーーームゥ!」
刀耶がストライクスマッシュの体勢をとる前にグレイ・イーターはハリーのサイコビームを目から発射。
「ぐうううううっ……!」
両腕の装甲で耐える刀耶、ナイトケース内の温度が急上昇。 3500 度の熱でも平気で耐える設計ではあるが負担は大きい。
「そこまでや!」
スケボーめいてギター箒に乗る冥珂が現れた。空中に浮かんだカードから 6 本の青白い閃光が放たれグレイイーターの体を削る。
「 GYAHAHAHAHA ! お前もくらえ! サイコビーーーーーーーーム!」
「効かへんで!」
冥珂の前に現れた黄金のカードがサイコビームを反射。グレイイーターの頭部に命中。
「何だその力……食らうしかないな」
「そう簡単にいくか!」
冥珂の青白い閃光でトラック装甲は徐々に剥されていく。刀耶は冷却をすませストライクスマッシュの準備に入る。
「刀耶君! アタシがアイツの動きとめるからバチコーンて強烈なのかましたって!」
「うっす!」
冥珂のカードが複数飛びグレイイーターを囲む。
「こんな物! 喰ってやる!」
カードに飛びつくもあっさり回避され飛翔するカードから電撃を受ける。
「ギャワワワワワッ!」
「よし! 今だ !! 」
盾を大剣に組み換えブースターで突進する刀耶、大きく振りかぶる。
「ストライクスマッシュ!」
大剣から放たれる弧月のエネルギー。対象の全身を駆け巡りピンポイントでダメージを与えることができる。オーグルにターゲットを絞ったストライクスマッシュのエネルギーはグレイ・イーターの全身に広がった。
「トーヤ! 手ごたえがおかしいです!」
リティーシャの声が聞こえる。刀耶の目の前で両手足を広げて仰け反っているグレイ・イーターは崩壊を始めない。
「なにが起きている?」
ストライクスマッシュのエネルギーがグレイ・イーターの心臓部に集まっていく。
「 GYAHAHAHAHA ! 成程なぁっ! これで俺の中のオーグルを消滅させるつもりだったか。だが残念だったな! ハリーの異能を得たことでオーグルは強化されギリギリ耐える事が出来た、このエネルギーは貰っておくぜ!」
「なん……だと !? 」「そんな!」「ヤバいで……」
「学びを得たぞ……異能に魔法とやら……これらでグレイマンに対抗するのだなこの星の頂点生物は。なるほどなるほど……グレイストームのように文明支配もグレイビーストのように繁殖もグレイキャリバーのように抑止力による制圧も面倒だ! 喰って強くなって蹂躙する !! シンプルで圧倒的な破壊を見せてやる !! 」
「ストライクスマッシュ!」「はああっ!」
ストライクスマッシュと冥珂の魔法が放たれる。サイコフィールドを張りながら全身に口を出現させ二人の攻撃を飲み込んでいく。
「理解できれば喰うのは簡単……もっとやってこいよ」
「ヤバイで刀耶君……ああいいのうはパワーで一気に叩き潰さんと手が付けられへんようになるで」
「パワーっていってもどうします?」
「あたしが魔法で周辺の車とかぶつけたって決定打にはならんやろうな……アイツを一発でぶっ潰せるような大砲とかが欲しい……戦艦並みの」
「……」
刀耶は京都で戦ったグレイビーストを思い出す。敵が核エネルギーに匹敵する一撃を放とうとした場面が思い起こされる。
「(グレイビーストは膨大なエネルギーを錫杖メイスに込めて投擲してたな……真似できるかな?)」
「アタシは一旦退くことをオススメするで……流石にこのまま戦って無事で済むとは思えへんしな」
「最後に一回だけ試したいことがあるんですが」
刀耶と冥珂はグレイ・イーターの口から放たれる火球を避けながら言った。
「ナイトケースのエネルギーに俺のエネルギー+冥珂さんの魔法でナイトケースが耐えられるギリギリのチャージをしてアイツにぶつけたいんです!」
「一か八かって奴? 今試さなあかんかな?」
「京都でのグレイビースト戦で見たやつなんですが……」
刀耶は冥珂に説明する。
「う~ん……ちょっとオススメできひんな。さっき TMI 長官ジェームズから連絡あったんやけど、 TMI 物理最強っていわれてるアリナちゃんでも倒し切れへんかってんで? 今ここでそれ以上の攻撃できるかな?」
「物理最強っていっても個人の身体能力アップでしょう?」
「えっとな……刀耶君に分かりやすく言うと映画ハイパーマンの主人公とガチの殴り合い出来る程度の身体能力アップやねん」
「ええっ !? 」
「だからここでギャンブルせんと退いて作戦立てよ? 大丈夫アイツがこの星の何処にいようがもうアタシからは逃れられへんで仕込みはバッチリや」
グレイ・イーターの周囲が爆発し煙に包まれる。
「撤退や! リティーシャも!」「はい」「あ、はい!」
離脱する三人。グレイ・イーターはしばらく火球をばら撒きながら煙を吸い込む。
「逃げたか……まぁいいこれでしばらくゆっくりと喰い放題だな」
程なくして街には非常事態宣言が報じられ軍と警察によるグレイ・イーター対策本部が立てれる事となり住民は避難を余儀なくされた。
***
「状況は良くない……」
机に両肘をついて手を組み目を閉じる TMI 長官ジェームズ。会議室には 20 人程の TMI エージェントが集まっている。
「次の手を考えなあかんね」
冥珂は窓際でタバコをふかしながら言った。
「奴の位置は冥珂のおかげで把握している。ゆっくりと街を食い尽くしながら東へ進んでいる……警察は住民は避難と混乱する街中の対処、軍はグレイ・イーターをけん制して誘導、奴の体は徐々に大きさを増している現在 15 メートルだ」
「あんまり大きくなられるとどうにもならんくなるで」
「解っている……奴を確実に仕留める為の兵器を考え得る人脈全てを使って探している。今のことろ有効だと思われているのがハイパーレールガンだ」
「ハイパーレールガン?」
「合衆国がシークレットで開発していた兵器だ。貫通力であれば核兵器など比べ物にならないそうだ。問題は試作品の為 1 度外せば第 2 射まで数時間かかるところだな」
「確実に動きを止め一発で仕留められる体勢から撃ち込む必要があると……どの位の範囲までいけるん?」
「奴を地面に倒せると想定すれば……体長 100 メートルでも貫通して砕くことができる」
「外しても影響のない射線、設置場所、撃つまでの準備、グレイ・イーターの誘導、拘束……全部クリアしないと無理ってことやね?」
「そうだ……」
TMI のエージェントら、冥珂たちはそれを聞いて沈黙する。
「アリナさんにもう一度グレイ・イーターの相手をしてもらえれば……」
刀耶は発言する。
「……それはかなり難しいな。彼女は先程のグレイ・イーターとの戦闘でかなりの負担を受けた……異能者の力は精神に大きく影響する彼女はしばらく出せない」
「そうなんですか……」
「一部の者には説明したが……現在のアリナ君とハリーの状態をもう一度説明しよう」
ジェームスは壁のパネルに資料を映す。
「ジェームズの状態だが……記憶が無くなった。再生できる異能者と最高の医療器具を使った。だが肉体は治せても記憶はどうにもならない。生まれた直後の赤子と変わらない状態で今は睡眠ポッドに入っている」
「グレイ・イーターに脳を喰われたせいやね」
「ああ、一部残っていた細胞から再生したが記憶だけはどうにもならなかった。彼は今の所再起不能だ」
「アリナちゃんは?」
「 PTSD を発症し非常に不安定な状態だ。グレイ・イーターに対抗するために倒したはずの念爆者に対する怒りの感情を無理やり呼び起こしグレイ・イーターを念爆者と思い込む自己暗示をかけて異能を発動させた。自己嫌悪と過去のトラウマと消えない念爆者への怒りで彼女はとても戦場に立てる状態ではない。今は U チームが付きっきりで彼女の傍にいる」
「……そう」とだけ呟いた冥珂はタバコを消して窓を閉める。
「グレイマンが活動を始めたのなら白魔女がしゃしゃり出て来るはずなんやけどジェームズ、どうなってんの?」
「実は……アイスクラーピウスに滞在している。今はセレスティア博士と一緒に居るはず」
「ふ~ん……」
ジェームズと冥珂のやり取りを聞いてざわつく TMI エージェント達。
「で、何やってる訳?」
「勿論グレイ・イーターに対抗する為の準備だとも。しかし……あの者に任せて良いものか疑問なのだ」
「どういう事?」
「白魔女はオーグルのデータに興味を持ちセレスティア博士に近づいて新兵器の開発を提案した。グレイ・イーターに対抗するには数が必要だと、完璧に統率された兵士なら勝てるとね」
「はああああ !? 冗談じゃないですよ‼」リティーシャが叫ぶ。
「解るよリティーシャくん、しかしこれはオーグルを使ったものではなくてあくまでデータを参考にしただけだ。流石に白魔女もそこはわきまえている」
「ちょっと詳しい資料を見せてください!」
リティーシャはジェームズの端末から資料をダウンロードする。
「これは……蝗害 !? 」白魔女の周囲を舞う夥しい量の白い飛蝗の群れが映っている。
「その通り。グレイ・イーターに対抗する為現れた白魔女は飛蝗使いだ」
「……あ~あ、最悪な魔女が白魔女になったもんやね」
冥珂は大きくため息をついた。
「白魔女が言うには東海岸にグレイ・イーターが到着した時が奴の終わりらしい。だがそれでは被害が大きすぎる……それまでに止めたいと考えているのが大統領と我々だ」
「ハイパーレールガンの準備はいつからできますか?」
リティーシャはハイパーレールガンの画像を見ながらナイトケースと組み合わせられないか考えながらジェームズに質問する。
「既に連絡はしてある、これから向かっても構わんよ」
「わかりました……ナイトケースのストライクスマッシュと合わせればグレイ・イーターを消滅させられるハズです。対象をオーグルではなく、本体に設定します」
「ふむ……では冥珂、刀耶君、リティーシャ君はすぐにハイパーレールガンの準備に向かってくれたまえ、現在侵攻中のグレイ・イーターについては TMI のエージェントらと軍でなるべく足止めをする作戦だ」
「行きますよ師匠、トーヤ!」
透明の完全紫外線シャットアウトバブルヘルメットを装着したリティーシャはナイトケースハートのドローンに乗る。
「はいはい」「ちょっとまて……ああもういいぜ行こう!」
ジェームズから渡された座標を入力し飛ぶリティーシャ、続く冥珂に刀耶。
***
――超大型病院飛空艇アイスクラーピウス
「ミス・グラス」
神名・セレスティア・白夜は薄緑色のロングヘアの女性話しかける。
「なにかねミス……えっと」「セレスティアでおねがいします」
ああそうだと手を叩いて薄い複眼模様の付いた眼鏡の位置を治すグラス。
「すまないね、どうも人の名前を思えるのが苦手で。君の姿声匂いは覚えているんだが」
「それで、オーグル兵量産について話をしたいのですが」
「おぉー……ワタシの魔法の力を借りたいってコトね?」
「話が早くて助かります」
「しかしねぇ……この施設に魔法に詳しいものが居ないってのは問題ダヨ? ワタシが退去した後どうするのかね?」
「大丈夫です、データを取るのに必要なだけですから。最終目標到達点は別の所ですし」
「フゥ~ン……いやぁこの施設とんでもないよねぇ。君たちは神にでもなる気かい?」
「まさか、神とは常に目標にすべき存在、自ら至ってしまう事ではないですよ」
「今の時代の人類が禁止しているものがここにはあるよね~まぁワタシはグレイマンを倒したらこの時代のこの世界から退去して白魔女神殿に戻るだけだしどうでもいいか」
「話はこのくらいで、行きましょう」
二人はアイスクラーピウスの甲板に上がる。
「おや? 施設内ではない?」
「ええ、ここはサンプルとデータ管理の保管です。何かあった時困るでしょう?」
セレスティアの操る人型戦闘兵器が 4 体現れる。
「ミス・グラス、そちらに乗って」「ん?ああ、背面から中に入るのね……ほうほう」
飛び上がる人型戦闘兵器。北に飛び山に向かう。
「これはこれは……こんなもの量産出来てるなら戦争で圧倒できるでしょうね」
「いえ、これは限定的な場面でしか使いません。最前線や過酷な戦場に送り込むのは別のものです」
「へぇ~……」
山の中腹にカモフラージュされたトンネル。そこに二人は入って行く。
「さぁこちらです」
人型戦闘兵器から降りる二人。厳重な金属扉にエネルギーフィールドが張られている。
続く
DHHU外伝その8 Jun 13, 2025
DHHU外伝グレイ・イーター編その7 Jun 2, 2025
DHHU外伝グレイ・イーター編その6 Apr 14, 2025
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