2003.11.19
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西武池袋線池袋駅から一駅の椎名町という駅が家の最寄で、急行でも快速でも準急でもない普通列車に乗らないとその駅では降りられない。池袋駅で改札の中に入り階段を上ったところのいつものホームに停まっていた電車に飛び乗った。いつもよりも混雑しているような気がしたが本を読んでいたからあまり気にならなかった。読んでいたのは誕生日プレゼントとしてカラコから贈られてきたキングの「刑務所の中のリタヘイワース」という本で、映画「ショーシャンクの空に」の原作であり、恐怖の春夏秋冬という連作の「春」に位置付けられている。ショーシャンクの空にという映画は何度も見たし、読み進むうちに映画のシーンが浮かび上がってきて、映画をなぞっているような不思議な感じに襲われながら読んでいる。元銀行員の囚人アンディの顔はティムロビンスで、調達屋レッドはモーガンフリーマンのイメージで固定されているということも、さくさく読めている原因の一つかもしれない。

次の駅で降りなければならないのに、かなり長い間電車に揺られているような気になってきて、ふと本から目を外した。扉の上の電光掲示板に「次の停車駅は、練馬」という文字が流れるのを見てようやく、乗る電車を間違えてしまっていたことに気づいた。乗ってしまったものは仕方がなく、練馬へ着いたら3駅ぐらい引き返さなければならないと思った。なれない準急は予想以上に揺れて、その揺れに耐えきれなくなり、よろけそうになるカラダをひきとめるため、わずかに足をずらした。そのときとなりにいたおねいちゃんのつま先を革靴のかかとで踏んでしまったようで、おねいちゃんは「あ」とかいうような声にならない声を出してしまった。オレも誰かの足を踏んづけてしまった感触が革靴を通して神経から脳へ伝わり、とっさに「すみません、ごめんなさい」といったが彼女はまだ痛がっていて、「いえ大丈夫ですから」のような、オレが期待していた言葉は遂に聞かれなかった。

練馬で降りて、引き返すためのホームへ昇りなおしたとき、次の電車が来るまでの時間があと10分以上あると知ったときには絶望的な気持ちになったのだけれども、悔やんでもどうにもならない。普通と準急とを間違えて乗ってしまったオレのミスが原因のこととはいえ、普段普通列車が停まっているはずのホームに準急がいることや、折り返すために10分もの間隔が空いてしまう時刻設定にしている鉄道会社に憤りを感じないこともない。しかし鉄道会社を呪い否定するということは、オレが住んでいる地域への否定にもつながる。おねいちゃんの足を踏んづけてしまった自己嫌悪からくるストレスは、謝ったにもかかわらず許してくれなかったおねいちゃんへを呪う気持ちで発散させようとしている。なにもかも悪循環だ。

やっぱり考えることを一切止めることにして、本を読み始めた。高架にかかる駅のホームは11月の冷たい風にさらされていた。工場の屋上にタールを塗るってビールを獲得するシーンになっていて、少しだけ寒さがまぎれた。レッドがアンディとの出会いについて語っているような調子でオレも、早く家に帰って誰かとの出会いを綴る今日の楽天日記を書きたくなった。





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最終更新日  2003.11.20 21:01:21
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