輸血犬のお願いをご紹介くださり、どうも有難うございます!

村上春樹の「国境の南 太陽の西」は読んだことがありません。少し前に話題になっていた「1Q84」は読みました。

>余りにも売れ過ぎている、という訳の分からぬ理由>で、

いえいえ、お気持ち何となくわかります! (2009.09.29 19:02:40)

偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2009.09.29
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カテゴリ: 若草読書会

若草読書会

 一昨日、27日は若草読書会でした。本は、村上春樹「国境の南 太陽の西」(講談社文庫)。村上春樹は色んな賞に輝く日本を代表する現代作家の一人であるのでしょうが、余りにも売れ過ぎている、という訳の分からぬ理由で、小生は今まで一作も読まずに来たので、発表者の凡鬼さんが、当初予定の小田実「オモニ太平記」から本書に変更して下さったお陰で、遅ればせながらこの作家の小説に初めて触れることができたのは幸いなことでした。

 この本は、心の奥深くにたたまれていた初恋の女性が男の前に立ち現われて・・という小説であるが、作者の意図とかは別にして、小生には比較的面白く一気に読めてしまった。しかし、さて、作者は何を言いたかったのかとなると、いささか茫洋として来てしまう。

 人生は、と言うか、人の「今」は過去の様々の「生きざま」と「選択」と「もののはずみ」との結果としてある。恋であれ、結婚であれ、就職であれ、人は節目で何がしかを選択して生きて来た。何かを選ぶということは、選ばなかったその他のものを捨てるということでもある。人生が運命や神の意志によって予め決められていた時代から個人の意志と責任で選択できる時代になって、僕らは今の人生と、もう一つか二つかは知らないけれど、何処かで捨てて来た「ifの人生」を何処かで引き摺りつつ、それとの比較に於いて、今の「人生」の相対的価値づけをするということをしているようにも思われる。

 「初恋を想うべし」は我が敬愛する犬養孝先生の言葉だが、初恋の懐かしさには何かもの悲しいものが立ちまじっているのは、過去に捨てて来た「その他のもの」つまり「ifの人生」が象徴されている所為なんだろう。人生は一回きり、非可逆的なものにてあれば、過去の選択をやり直すことはできない。過去の過ちも後悔すべき愚行も心ない行いも、償われることなく永遠に過去に閉じ込められているのだ。だから、僕らはそれとの関係で「今」を、「明日」を生きることになる。しかし、常にifの方が多くなる。選ぶものよりも捨てるものの方が常に多いのだから仕方ありませんな。そのことに気付かず懸命に明日を目指しているというのが青春という奴なんでしょうが、人生の目鼻がついてしまった辺りから、捨てて来た過去が時に立ち現われる。

 初恋の女性「島本さん」との再会は、主人公の白昼夢に立ち現われた過去のifであるのだろうか。だから彼女は生活感のない、何か抽象的な存在になっている。

 太陽の西が存在しようもないように、ifの人生も存在しようがない。

 Reise nach Gomskという短編小説を大学のドイツ語の教科書として若い頃に読んだが、人は何がしかのGomskへの旅をしているのかも。しかし、それは太陽の西にあるのだ。
 村上春樹の小説は初めて故、勝手な解釈・感想でした。凡鬼さんのようには深く理解できてはいません。

家にありし  ( ひつ ) ( をさ ) めてし
           恋の ( やっこ ) の つかみかかりて (巻16-3816)

<輸血犬のお願い>
ブログ友のnanasuguさんがそのブログで輸血犬のお願いをされています。小生は犬を飼っていないので、協力のしようもありませんが、1歳から7歳までの体重10kg以上の犬を飼って居られる方で、これに協力できる方が居られましたら、宜しくお願い申し上げます。
詳しくは以下をクリックして、nanasuguさんのブログ記事にて内容をご確認下さいませ。 <緊急!輸血犬のお願い>






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最終更新日  2016.05.19 23:28:12
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Re:太陽の西(09/29)  
nanasugu  さん

nanasuguさんへ  
けん家持  さん
 輸血犬の件。小生に出来ることはこれ位しかないので、申し訳ありません。
 ワンちゃんにも色々な難病があるのですね。輸血がうまく行くといいですね。でも、1回の輸血でどれ位の期間大丈夫なのか存じませんが、常に輸血の心配をし続けなくてはなりませんから、飼い主の方も大変ですね。
 人間で言えば、再生不良性貧血とかいう奴でしょうか。もしそうなら、根本治療は骨髄の移植しかありませんが、これは、骨髄バンクのある人間の場合でもなかなか適合する型が見つからず、難しいことですから、ワンちゃんでは尚更です。
 沢山の輸血協力犬が出てくれるといいですね。首尾よくゆくことをお祈り申し上げます。
 「1Q84」読まれましたか。三巻目が近いうちに発売されるらしいですから、それを機に小生も読んでみますかな。視力低下の所為か、この頃読書量随分減ってます。
 壁と卵との間で卵の側に立つ、と言ったエルサレム賞受賞講演の言葉は共感できるものでしたから、売れ過ぎだけれど、少し「お付き合い」してもいいかな、と思っています(笑)。友人凡鬼さんによると、この作家は「自然描写は余り得意ではない。しかし、比喩表現はとても上手いものがある。」とのことでした。
(2009.09.29 21:36:37)

Re:太陽の西(09/29)  
るるら.  さん
捨ててきたものと選択した結果の現実。。。
もしもあの時。。。という想いは過ぎりますね

私もこれからも何かを捨てるのでしょうけど、
少しの未練があるというのは、それだけ素晴らしいものであったという証しなのかもしれず、必ずしも
未練というものが悪しきものとは思えなくなるブログ
内容のように感じました。

これまた、私の勝手な感覚ですみません。。

前を向いて進むことと、時には後ろを振り返ること
その両方が必要なのかもしれませんね (2009.09.29 22:27:01)

るるら.さんへ  
けん家持  さん
 別に意識して過去を思い出すこともありません。忘れ難いもの、忘れてはならないものは、よきも悪しきも心の内に否応なく残っているものなのだから。そして、今との関係でそれが立ち現われて来べきものならば、その意志とは関係なく立ち現われて来ますから。それは過去の総体として「今」があるのであってみれば当然のことですな。
 未練があるものは未練を残し続けたらいい。無理に断ち切ることもない。いや、無理に断ち切っても「恋の奴の掴みかかりて」ではないけれど、ある日突如掴みかかられるに違いないのです。
 いや、何を僕は言っているのでしょう?
 このブログは偐万葉集ですから、このような物言いは余り似合わないですな(笑)。今日の記事は本歌集には相応しくなかったかも(笑)。 (2009.09.29 23:41:15)

Re:太陽の西(09/29)  
木の花桜  さん
家持さまが現界に生まれなおされたら、村上春樹を読みますでしょうね、なんて考えていたら、
今日のお歌がまた素敵、
心の奥深く押し込めたはずの、恋の思いにつかみかかられるんですね。
忘れたはずの、if、油断禁物です。
(2009.09.30 00:13:14)

Re:太陽の西(09/29)  
オガクニマン さん
小生の初恋は高校時代。他校のマドンナで電車内
片思いでした。でも今 目の前に現れて欲しくは
ないですな。最近よく思うのですが我が人生も
ifの連続で成り立っており、あの時のifが無かったら
なんて考えると ゾッとすることがいっぱいです。
結果として(今も継続中ですが)最高の人生だと
ifに感謝の毎日です。
我が家にも犬はいますがチワワですのでお役に立てず
申し訳ないです。 (2009.09.30 09:41:21)

木の花桜さんへ  
けん家持  さん
 ようこそ偐万葉田舎家持歌集へ。
 「大伴家持は村上春樹を読むだろう。」ですか。面白いですな。
 「恋の奴」の歌は穂積皇子の歌ですね。穂積皇子は坂上郎女の恋人にもなりましたが、その昔は高市皇子の妃であった但馬皇女との許されざる恋に身をやつした人物ですから、晩年に至っても時に彼女とのことを思い出しては、心ざわつくものがあったのかも知れません。
 但馬皇女が亡くなった後、冬の雪降る日に、その墓を遠望して詠んだという歌を記して置きます。

ふる雪は あはにな降りそ 吉隠(よなばり)の 猪養(ゐかひ)の岡の 寒からまくに(巻2-203)

 但馬皇女の墓は今は何処とも知れないけれど、近鉄名張駅西北の吉隠の小高い山中に志貴皇子妃の橡媛(とちひめ)の墓があり、その付近とも言われています。その墓への細い山道を登ってゆくと、いかにもこの歌に相応する風景にも思われても来ます。
(2009.09.30 09:42:31)

オガクニマンさんへ  
けん家持  さん
オガクニマンさん
 初恋が高校時代とは、その後のオガクニマンさんらしくないオクテでありましたな(笑)。小生の場合は・・いや、止めて置きましょう。未だその時にはあらず、です(笑)。
 「最高の人生」でしたか。そう思えるのは男らしい潔さであり、幸せなことであります。小生なんかは、カリソメの人生を生きて来てしまった、という思いですな。きっと、どんな道を選んでもそう感じるのだろうな、という思いもありますので、我が人生を後悔しての物言いでは勿論ありません(笑)。
 もう、太陽の東に居ますから、西には回り込めませんです。 (2009.09.30 10:13:48)

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