昨日(21日)は先月27日に続いて2回目のナナ万葉の会でした。
今回は、身近な万葉歌を、ということで、地元の生駒山に因む歌や弓削の川原の歌などを取り上げ、解説・鑑賞する傍ら、遣新羅使や防人のことなどを説明し、ついでに弓削ということで、弓削の道鏡の関連で孝謙(称徳)天皇誕生の経緯や仲麻呂の乱など長屋王の変から光仁天皇即位までの歴史の流れをざっと説明させていただきました。
出席者は、男性2名、女性8名の全10名。午後2時過ぎに開始、途中休憩を挟んで4時半頃に講話終了。質問などの雑談時間を持って5時頃に終了。その後、お時間の許す方はどうぞということで、参加者の中の一人の男性が自らの体験を通じての「神と神ながらの生き方」のお話を30分余されました。小生も拝聴させて戴く。全てが終って帰宅の途についたのは5時45分位になっていたでしょうか。勿論、往復の足はMTBです。
(2014年5月21日の喫茶ナナ)
上の写真は、男性がお話しされている途中で、店に一般のお客様が二人入って来られた合い間を利用して、煙草休憩のため店の外に出て撮影したものです(笑)。
撮影を済ませて店内に戻ると、男性のお話が丁度終ろうとしている処でした。
さて、本日、取り上げた歌は下記の通りです。
1.・・
平城
の
京師
は かきろひの 春にしなれば 春日山 三笠の野辺に 桜花
木
の
晩
隠
り かほ鳥は 間なくしば鳴く 露霜の 秋去り来れば
射
駒
山
飛火
が
岳
に 萩の
枝
を しがらみ散らし さ雄鹿は 妻呼びとよむ 山見れば 山も見が欲し 里見れば 里も住みよし・・(巻6-1047
)
<・・奈良の都は、かぎろいの立つ春になると、春日山の三笠の野辺で、桜花の木陰に隠れてかお鳥が絶え間なく鳴く。露や霜の置く秋になると、生駒山の飛火が岡で、萩の枝を身にからませては散らしながら、牡鹿は妻を呼んで鳴き声を響かせる。山を見ると山は魅力的である。里を見ると里も住みよい様子である。・・>
2.妹がりと 馬に鞍置きて
射駒
山 うち越え来れば もみち散りつつ
(巻10-2201)
<妻の許へと、馬に鞍を置いて、生駒山を越えて来ると、紅葉がしきりに散っている。>
3.君があたり 見つつもをらむ 生駒山 雲なたなびき 雨はふるとも(巻12-3032)
<あなたが居られる辺りを眺めながら過ごしましょう。生駒山には雲がかからないで欲しい。雨は降っても。>
4.夕されば ひぐらし来鳴く 生駒山
越えてぞ
吾
が来る 妹が目を欲り
(
秦間満
巻15-3589)
<夕方になるとひぐらしが来て鳴く生駒山を越えて私は大和に来ている。妻に逢いたくて。>
5.妹にあはず あら
ば
術
なみ
石根
ふむ
生駒の山を 越えて
ぞ
吾
が来る (巻15-3590
)
<妻に逢わずにいるとどうしようもなくたまらないので、岩のごつごつしている生駒山を越えて私はやって来たよ。>
6.
難波津
を 漕ぎ
出
て見れば
神
さぶる
生駒
高嶺
に 雲そたなびく
(
大田部三成
巻20-4380)
<難波津を船で漕ぎ出て見やると、神々し生駒の高嶺に雲がたなびいている。>
7.おし照る 難波を過ぎて うちなびく 草香の山を 夕暮に わが越え来れば 山も
狭
に 咲けるあしびの
悪
しからぬ 君をいつしか 往きてはや見む(巻8-1428
)
<押し照る難波を通り過ぎて、うちなびく草ではないが、その草香山を夕方にわたしが越えて来ると、山を狭しと咲いているあしびの花よ。そのあしびのように素敵なあの方のもとに行って早くお逢いしたいものです。>
8.
難波潟
潮干
のなごり
委曲
に見む
家なる妹が 待ち問はむため(
神社忌寸老麻呂
巻6-976)
<難波潟の潮の引いたあとの様子をよく見て置こう。家に居る妻が私の帰りを待っていて尋ねるだろうから。>
9.
直越
えの この道にして 押し照るや
難波
の海と 名付けけらしも(同上 巻6-977
)
<この日下の直越えの道だからこそ、昔の人は「押し照るや難波の海」と名付けたらしいよ。>
10.
真鉋
持ち
弓削
の川原の
埋
れ木の
あらはるましじき ことにあらなくに(巻7-1385)
<ま鉋を持って弓を削る、その弓削ではないが、弓削の川原の埋もれ木が現れないということがないように、われわれの仲もやがては人に知られてしまうことでしょう。>
11.家にあらば 妹が手まかむ 草まくら 旅に
臥
せる この
旅人
あはれ(巻3-415
)
<家であったら妻の手を枕にするだろうに、草を枕の旅先で倒れ臥しておられるこの旅人はお気の毒なことである。>
12.
級
照る
片足羽河
の さ
丹
塗りの 大橋の上ゆ
紅
の 赤裳すそびき 山あゐもち すれる
衣
着て ただひとり い渡らす兒は 若草の
夫
かあるらむ かしの実の ひとりか
寐
らむ 問はまくの ほしき
我妹
が 家の知らなく (高橋虫麻呂 巻9-1742
)
<級照る片足羽河の赤く塗った大橋の上を、紅の赤裳の裾を引いて山藍で摺り染めにした衣を着て、たった一人で渡っている、あの娘は、若草のような夫がいるのだろうか。それとも樫の実のように一人で寝ているのだろうか。尋ねてみたいと思うあの娘の家が何処なのか知らないことだ。>
反歌
大橋の
頭
に家あらば うらがなしく ひとりゆく兒に 宿かさましを(同上 巻9-1743
)
<大橋のたもとに私の家があったなら、もの悲しい様子で一人行くあの娘を泊めてあげたいものである。>
13.明日香川 もみち葉ながる
葛城
の 山の
木葉
は 今し散るらし(巻10-2210
)
<飛鳥川に黄葉が流れている。葛城山の木々の葉が今まさに散っているらしい。>
14.この里は 継ぎて霜や置く 夏の野に
わが見し草は もみちたりけり
(孝謙天皇
巻
19-4268
)
<この里はいつも霜が降りるのでしょうか。夏野で目にした
澤蘭
(ヒヨドリグサのこと)は色づいていました。>
なお、次回3回目は6月18日午後2時からです。参加はどなたでもご自由です。ご希望のお方はどうぞ当日直接、喫茶ナナまでお越し下さいませ。
<参考>「 cafe de nanaでの万葉の集い
」2014.4.27.
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