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2006.02.07
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カテゴリ: メディア
▼突然の悲劇

赴任した一年目の夏、大型の台風が愛知県に上陸、中部・北陸地方を縦断する見通しとなった。その夜は、誰かが支局に泊り込み警戒に当たらなければならなかったので、当然新人記者の私に白羽の矢が立った。

真夜中を過ぎて四階にある支局の窓がガタガタと鳴り始めた。富山の真上を通過しているのだろうか。NHKの台風情報をぼんやりと聞きながら時々、通信司令室(110番を処理するところ)や消防署に警戒電話をかけて、様子をうかがった。30分ほど仮眠を取ったが、ほとんど寝ずに夜が明けた。幸い、大きな被害は出なかったようであった。

午前8時ごろには支局長が出社。「ご苦労さん」と言ってねぎらってくれ、富山署の記者クラブで警電をかけた後、家に帰って休んでもいいということになった。午前一〇時ごろ帰宅、眠気でふらふらになりながら寝床に潜り込んだ。「ああ、ようやく眠れる」。深い眠りであった。

しかし、その安らかなひと時も2時間ほどで破られた。けたたましくなる電話に起こされたのだ。何事かと思って受話器を取ると、「すぐに出社しろ」との天からのお言葉。昨夜の台風で黒部川が増水、上流の沢で山登りをしていた登山者7人が鉄砲水に流され行方不明になったというのだ。

7人が遭難するというのは一大事だ。寝ている場合ではない。支局に駆けつけると、先輩記者がてんてこ舞いの状態。状況を把握した上で富山署の記者クラブに出向き、富山県警山岳警備隊から送られてくる情報を次々と支局に伝えた。

夜になると、遭難者の家族が山岳警備隊本部にやってきた。新聞記者の取材で何が嫌かというと、被害者の家族に質問することだ。悲しみにくれる家族から話を聞きだすのはつらい。幸い、幹事社が代表で話を聞いてくれることになり、私もカメラとメモ帳を抱えて、即席の狭い会見場へと向かった。

遭難の報を聞きうなだれる家族――。翌日の共同通信加盟社の紙面には私の撮った写真と被害者家族の記事が掲載された。

翌日朝は早くから黒部署に出向き、捜索隊の取材をした。捜索隊と一緒に黒部峡谷のトロッコ電車に乗り、山奥へと分け入っていく。当時は携帯電話などないから、持って行ったのは、かばんほどの大きさのある重たい携帯無線機。山に入ると感度が悪く、途切れ途切れの電話送稿となった。



黒部川の鉄砲水の様子は こちら をご覧下さい。





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最終更新日  2006.02.07 09:14:05
コメント(8) | コメントを書く


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Re:新聞記者の日常と憂鬱8(02/07)  
リンク先の写真を見てきました。自然の恐ろしさを感じます。鉄砲水や津波などは逃げる間もありませんね。
捜索隊と一緒に山奥に行くのも大変そうですが、心配している家族に話を聞くのは仕事とはいえ、やはり嫌なものなのですね。強靭な体力と精神力が必要ですね。もちろん知力も。 (2006.02.07 12:29:16)

Re:新聞記者の日常と憂鬱8(02/07)  
かめ さん
こんにちは

世の中の事象や動きにご自分の生活を合わせていく・・・
それも緊急事態であればあるほど、瞬発力と冷静さが求められるのですね

しかも、ご家族の痛みも理解しつつ、心をほどいていただいて
必要なメッセージを受け取られてそれを発信していく・・・

私の頭で理解しているより、もっと複雑なお仕事だったのだと唸っております (2006.02.07 13:20:11)

Re:新聞記者の日常と憂鬱8(02/07)  
あわただしく動きまわる記者さんたちの姿が、目に浮かぶようです。

昼夜関係なく、取材や、泊まりがけの待機など、ほんとに、事故や事件は、いつ起こるか、さっぱりわかりませんから、常に、とっさの状態を想定してないと、対処が大変でしょうね。

黒部川が、こんな鉄砲水になるとは。
上流まで行ったことないですが、自然とは恐ろしい側面をもっていますね。
(2006.02.07 19:14:22)

Re[1]:新聞記者の日常と憂鬱8(02/07)  
白山菊理姫  さん
ヘリオトロープの小部屋さん
こんばんは。

>リンク先の写真を見てきました。自然の恐ろしさを感じます。鉄砲水や津波などは逃げる間もありませんね。

急激に水かさが増し、逃げる間もなく流されてしまうようですね。自然の力の凄さを感じます。

>捜索隊と一緒に山奥に行くのも大変そうですが、心配している家族に話を聞くのは仕事とはいえ、やはり嫌なものなのですね。強靭な体力と精神力が必要ですね。もちろん知力も。

遭難者の家族にインタビューするのが、いちばん大変です。言葉が見つかりません。確かに精神的にタフな仕事ですね。 (2006.02.07 21:42:48)

Re[1]:新聞記者の日常と憂鬱8(02/07)  
白山菊理姫  さん
かめさん
こんばんは。

>世の中の事象や動きにご自分の生活を合わせていく・・・
>それも緊急事態であればあるほど、瞬発力と冷静さが求められるのですね

夜中に寝ているところを起こされるのは、サツ回りの日常茶飯事です。休みで国内旅行をしていても呼び出されることもあるくらいです。そういえば、新婚旅行の海外旅行先で事件が起きたので、取材をさせられた人もいましたよ。

>しかも、ご家族の痛みも理解しつつ、心をほどいていただいて
>必要なメッセージを受け取られてそれを発信していく・・・
>私の頭で理解しているより、もっと複雑なお仕事だったのだと唸っております

ちょっとしたコメントを取るのも大変なことがありますね。ただし、単純で簡単な仕事もあります。取材先も千差万別で、インタビューしやすい人と、しづらい人がいますね。怒り出す人、泣き出す人、黙り込む人、いろいろです。 (2006.02.07 21:57:28)

Re[1]:新聞記者の日常と憂鬱8(02/07)  
白山菊理姫  さん
きときとさん☆☆☆さん
こんばんは。

>あわただしく動きまわる記者さんたちの姿が、目に浮かぶようです。

事件発生直後は本当にバタバタします。上へ下への大騒ぎです。

>昼夜関係なく、取材や、泊まりがけの待機など、ほんとに、事故や事件は、いつ起こるか、さっぱりわかりませんから、常に、とっさの状態を想定してないと、対処が大変でしょうね。

普段は何もないんですけれど、大きな事件は夜中や早朝に飛び込んでくることが多いように思います。でも、いつも気を張っていると疲れてしまいます。休めるときに休んでおくのも重要ですね。メリハリをつけるのが、コツでしょうか。

>黒部川が、こんな鉄砲水になるとは。
>上流まで行ったことないですが、自然とは恐ろしい側面をもっていますね。

黒部川の鉄砲水は登山家の間では有名なようです。確かに崖が両側から迫っていますから、余計逃げ道がなくなってしまいますね。 (2006.02.07 22:05:28)

Re:新聞記者の日常と憂鬱8(02/07)  
ほわいと さん
白山菊理姫さん、こんにちは。

黒部川の鉄砲水の様子を今拝見してきました。1分という時間を考え、恐ろしくなりました。

三人の皆さんがコメントされているように、私も同様の印象をもちました。
(2006.02.08 01:17:44)

Re[1]:新聞記者の日常と憂鬱8(02/07)  
白山菊理姫  さん
ほわいとさん
おはようございます。

>黒部川の鉄砲水の様子を今拝見してきました。1分という時間を考え、恐ろしくなりました。
>
>三人の皆さんがコメントされているように、私も同様の印象をもちました。

鉄砲水は雨が降った後、時間差があって生じるところが怖いですね。空が晴れていても突然、やってくるようです。ちょっとした油断や無謀ともいえる判断が、死を招くときもあります。雲仙普賢岳では火砕流で大勢がなくなりました。 (2006.02.08 08:47:05)

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