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2007.12.03
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テーマ: いい言葉(573)
カテゴリ: 文学・芸術
ロマンス劇のバラ2(ペリクリーズ後半


そのとき、売春宿で働くボールトが次のようにマリーナのことを形容します。

BOULT
For flesh and blood, sir, white and red, you shall
see a rose; and she were a rose indeed, if she had but--

ボールト
生身の体について言えば、旦那様、白と赤のバラのようです。
彼女(マリーナ)は間違いなくバラでございましょう。もし彼女が・・・

flesh and bloodは慣用句で「肉体」とか「人間」という意味です。二行目のwereは仮定のifを受けていますね。ifの後は、「彼女が客を取れば」というような意味の台詞が入りますが、太守の手前、ボールトはあえて売春とは言わないようにしています。



第四幕はここで終わり、第五幕になりますが、幕間に老詩人ガワーが現れて、次のように語ります。

GOWER
Marina thus the brothel 'scapes, and chances
Into an honest house, our story says.
She sings like one immortal, and she dances
As goddess-like to her admired lays;
Deep clerks she dumbs; and with her needle composes
Nature's own shape, of bud, bird, branch, or berry,
That even her art sisters the natural roses;
Her inkle, silk, twin with the rubied cherry:

ガワー


1行目のthe brothel 'scapesの'scapesはescapes。語順を正すとescape the brothelとなります。channceには,運を試すという意味があるようです。4行目のlayは歌のこと。inkleは編み糸のことです。彼女の刺繍や編み物の美しさをバラや桜桃にたとえていますね。

ガワーはこんな調子で幕間に現れては、物語の進行役を務めます。

こちらも物語を進めましょう。マリーナが売春宿に売られたころ、主人公のペリクリーズが14年も経ってからようやく娘を引き取りにサーサスのクリーオン夫妻を訪れます。ちょっと遅すぎますよね。夫妻は自分たちがやった悪事がばれたらまずいので、マリーナが死んだことにしてしまいます。

嘆き悲しむペリクリーズ。そんなに悲しむぐらいなら、もっと早く迎えに来いと言いたくなりますが、後の祭り。放心状態の彼を乗せた船は偶然、ミティリーニに立ち寄ります。その様子を見た太守のライシミカスはペリクリーズを気の毒に思い、マリーナを呼び寄せて歌を歌わせます。

ペリクリーズはその歌声や話し振りや顔立ちに惹かれ、マリーナの生い立ちをたずねます。すると、自分の娘であることがわかるんですね。14年ぶりの親子の再会です。



なんともシュールで奇想天外な話です。死の悲劇から曲折を経て再生・再会へと変質するロマンス劇の誕生です。シェイクスピアも年を取って、親から子へと受け継がれる「再生の循環」ともいえる営みに思いを馳せるようになったのかもしれませんね。

昨日に続いて紅葉とバラのツーショットです。

バラと紅葉





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最終更新日  2007.12.03 13:14:34
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