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2007.12.12
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テーマ: いい言葉(573)
カテゴリ: カテゴリ未分類
シェイクスピアから生まれたバラ9(黒い貴婦人5

美青年への賛美、黒い貴婦人との甘い愛の日々、泥沼の三角関係、ライバルの詩人の登場と美青年との別れ、そして再会と決別で終わる恋物語を歌ったシェイクスピアの『ソネット』。すでに紹介したように、第1番から第126番までが美青年に対する愛のサイクルが描かれ、第127番から第152番までは黒い貴婦人に対する愛の物語が紹介されています。残りの第153、154番は、黒い貴婦人に対するソネットとも考えられますが、より普遍的な愛のソネットと解釈することもできます。

ここからが謎解きです。まずはこれを読んでください。

TO THE ONLY BEGETTER OF
THESE INSUING SONNETS
MR. W. H.
(この恋を歌ったソネット集の唯一の産みの親であるW・H氏に捧ぐ)

つまり『ソネット』は、詩に啓示を与えたとみられるW・H氏に捧げられているんですね。ところが、このW・H氏が誰だか、さっぱりわかりません。貴族のパトロン(ウィリアム・ハーバート)だという説もあれば、当時の美貌青年貴族サザンプトン伯ではないかとの説もあります。でもどちらも推測に過ぎず、矛盾点もあることから人物の特定に至っていないんです。

その中で非常に面白いのが、『幸福な王子』を書いたアイルランド出身の劇作家オスカー・ワイルド(1854-1900年)の女形少年俳優説です。ワイルド説に従うと、W・H氏とはウィリー・ヒューズという、当時シェイクスピアの劇団に所属していた少年役者であったことになるんですね。

ご存知のように、当時の劇場では女性が舞台に上がることは禁じられていましたから、女性の役はまだ声変わりのしていない少年が演じました。その女形にシェイクスピアが恋をした。舞台の上で輝く美青年に対する恋心が募り、それを詩にしたというわけです。



ワイルド説を採ると、さしずめライバルの詩人はクリストファー・マーロウとなり、人気女形をマーロウの劇団に奪われたという構図が浮かんできます。ただしワイルド説でも黒い貴婦人は謎のままです。

では、シェイクスピアは同性愛者だったのでしょうか。
同性愛者として『ソネット』を読むことも、もちろんできます。第80番なんか、肉体関係を伴う、かなり卑猥な詩であると解釈できますからね。ワイルド自身(結婚して子供もいましたが)、クイーンズベリー侯爵の息子アルフレッド・ダグラスと同性愛の関係を結んだため、有罪となっています。

幸か不幸か、私は同性愛者ではありませんが、人生で一度だけ、美青年に一瞬心を奪われたことがあります。今まで知らなかった感情が自分の内に存在することに非常に驚きました。なぜそのような感情が生まれるのか、とても不思議だったのです。およそ輪廻転生があるのだとしたら、男性であったときもあれば、女性であったときもあるのでしょうから、恋心が生まれるのに性別は関係ないのかなとも思います。あのときの気持ちを突き詰めていけば、シェイクスピアが歌った美青年に対する想いも、ワイルドと同様に理解できたかもしれません。

同性愛者ではなかったのだとの解釈も可能です。同性愛的傾向があっても肉体関係はなかった、あくまでも人間のもつ「若くて美しいエネルギー」に対する愛の賛歌であると読むのも自由です。自分の人生に照らし合わせて、『ソネット』をお読みください。

でも、一つだけ言えることがあります。シェイクスピアが同性愛者であったかどうかにかかわらず、『ソネット』が「薔薇族」のバイブルになっていることです。これも「シェイクスピアから生まれたバラ」なのかもしれませんね。

バラ





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最終更新日  2007.12.12 11:33:42
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