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2007.12.15
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カテゴリ: 文学・芸術
▼ギリシャ神話と薔薇

薔薇

ギリシャ神話にはバラに関するエピソードがたくさん出てくるので、今日はそれを紹介しましょう。すでに紹介したように、ギリシャ神話では、アフロディーテが誕生したときに、大地が彼女に同じぐらい美しいものとしてバラを生み出しました。また、アフロディーテがあまりにも美しかったので、神々がバラを彼女に捧げたという話もあります。

そのバラの花は当初、何の香りもしなかったそうですが、アフロディーテの息子エロス(キューピッド)がバラの花にキスをしたら香りが生じたということです。

一方、次のような話もあります。バラを摘んでいたエロスは、あまりの美しさにバラの花にキスをしようとしたところ、花の蜜を吸っていた蜂がエロスの唇を刺しました。これを知ったアフロディーテは、怒って蜂をたくさん捕らえさせて、エロスの弓に数珠つなぎにします。そして蜂の針を抜くと、エロスが怪我をしたのはバラのせいであると八つ当たりして、バラの茎に蜂の針を植えつけました。だからバラには棘ができたのだそうです。アフロディーテはバラに嫉妬していたのかもしれませんね。

エロスがオリンポスの山頂で開かれる会議に急ぐ途中、躓いて手に持っていた神酒ネクタルをこぼしてしまいました。そのこぼれたネクタルがバラになったという神話も残っています。いやはや、もう何でもバラになってしまいますね。

バラにまつわる悲しい物語もあります。
ミルラの木から生まれた美少年アドニスに恋をしたアフロディーテは、冥界の女王ペルセポネとアドニスを取り合います。天界の裁判が開かれた結果、アドニスは1年の3分の1をアフロディーテと、3分の1をペルセポネと過ごし、残りの3分の1はアドニスの好きにしてもよろしいということになりました。ところがアドニスは、残りの3分の1もアフロディーテと過ごします(アフロディーテの独占欲が強く、アドニスをペルセポネに返そうとしなかったという話もあります)。

ペルセポネは気に入りません。そこでアフロディーテの愛人である軍神アレスに「アフロディーテはあなたを差し置いて、人間ごときに恋をしている」と告げ口をします。嫉妬に狂ったアレスはイノシシに化けて、狩りをしていたアドニスを牙で刺し殺してしまいます。旅の途中でアドニスの悲鳴を聞いたアフロディーテは、イバラを踏み分け足から血を流しながら、悲鳴が聞こえた現場へ急ぎます。そこで見つけたのは、アドニスの亡骸。アフロディーテは亡骸を抱いて大粒の涙を流します。その涙で白バラは赤く染まり、アドニスの血に染まった大地からはケシの花が生まれた(深紅のアネモネになったとの話もあります)そうです。

これだけ読むと悲恋話ですが、もともとアドニスがどうしてミルラから生まれたかを考えると、単なる悲恋物語ではありません。ここにもアフロディーテの嫉妬が絡んでいるんですね。

フェニキア(シリア)王キニュラスには、ミュラという名の非常に美しい王女がいました。一族の者はみな、アフロディーテを崇拝していましたが、その一人がミュラのことを「アフロディーテよりも美しい」と賛美してしまいました。それを聞いたアフロディーテは激怒して、ミュラが父親を愛するように仕向けます。そして祭りの夜の暗がりに乗じて、父娘は肉体関係を結びます。明かりの中で実の娘と関係してしまったことを知ったキニュラス王は娘を殺そうとしますが、ミュラは何とか逃げ延びます。これを知った神々がミュラを哀れに思って、ミルラの木に変えます。そのミュラの木にイノシシがぶつかって、裂けた木の中から生まれたのがアドニスだったんですね。



やがてアドニスが少年に成長すると、アフロディーテが迎えにやってきます。ずいぶん自分勝手な話です。自分で養育を放棄しておいて、後になってから取り戻しに来るなんて承知できません。そこでペルセポネの間で恋愛裁判(養育権の争い?)が開かれたわけです。

ギリシャ神話はこのように不倫、嫉妬、怒り、復讐など愛憎のオンパレード。バラの花言葉(黄色いバラですが)に嫉妬があるというのも、納得してしまいますね。





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最終更新日  2007.12.15 10:55:08
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