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2007.12.15
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テーマ: いい言葉(573)
カテゴリ: 文学・芸術
▼ギリシャ神話と薔薇

薔薇

ギリシャ神話にはバラに関するエピソードがたくさん出てくるので、今日はそれを紹介しましょう。すでに紹介したように、ギリシャ神話では、アフロディーテが誕生したときに、大地が彼女に同じぐらい美しいものとしてバラを生み出しました。また、アフロディーテがあまりにも美しかったので、神々がバラを彼女に捧げたという話もあります。

そのバラの花は当初、何の香りもしなかったそうですが、アフロディーテの息子エロス(キューピッド)がバラの花にキスをしたら香りが生じたということです。

一方、次のような話もあります。バラを摘んでいたエロスは、あまりの美しさにバラの花にキスをしようとしたところ、花の蜜を吸っていた蜂がエロスの唇を刺しました。これを知ったアフロディーテは、怒って蜂をたくさん捕らえさせて、エロスの弓に数珠つなぎにします。そして蜂の針を抜くと、エロスが怪我をしたのはバラのせいであると八つ当たりして、バラの茎に蜂の針を植えつけました。だからバラには棘ができたのだそうです。アフロディーテはバラに嫉妬していたのかもしれませんね。

エロスがオリンポスの山頂で開かれる会議に急ぐ途中、躓いて手に持っていた神酒ネクタルをこぼしてしまいました。そのこぼれたネクタルがバラになったという神話も残っています。いやはや、もう何でもバラになってしまいますね。

バラにまつわる悲しい物語もあります。
ミルラの木から生まれた美少年アドニスに恋をしたアフロディーテは、冥界の女王ペルセポネとアドニスを取り合います。天界の裁判が開かれた結果、アドニスは1年の3分の1をアフロディーテと、3分の1をペルセポネと過ごし、残りの3分の1はアドニスの好きにしてもよろしいということになりました。ところがアドニスは、残りの3分の1もアフロディーテと過ごします(アフロディーテの独占欲が強く、アドニスをペルセポネに返そうとしなかったという話もあります)。

ペルセポネは気に入りません。そこでアフロディーテの愛人である軍神アレスに「アフロディーテはあなたを差し置いて、人間ごときに恋をしている」と告げ口をします。嫉妬に狂ったアレスはイノシシに化けて、狩りをしていたアドニスを牙で刺し殺してしまいます。旅の途中でアドニスの悲鳴を聞いたアフロディーテは、イバラを踏み分け足から血を流しながら、悲鳴が聞こえた現場へ急ぎます。そこで見つけたのは、アドニスの亡骸。アフロディーテは亡骸を抱いて大粒の涙を流します。その涙で白バラは赤く染まり、アドニスの血に染まった大地からはケシの花が生まれた(深紅のアネモネになったとの話もあります)そうです。

これだけ読むと悲恋話ですが、もともとアドニスがどうしてミルラから生まれたかを考えると、単なる悲恋物語ではありません。ここにもアフロディーテの嫉妬が絡んでいるんですね。

フェニキア(シリア)王キニュラスには、ミュラという名の非常に美しい王女がいました。一族の者はみな、アフロディーテを崇拝していましたが、その一人がミュラのことを「アフロディーテよりも美しい」と賛美してしまいました。それを聞いたアフロディーテは激怒して、ミュラが父親を愛するように仕向けます。そして祭りの夜の暗がりに乗じて、父娘は肉体関係を結びます。明かりの中で実の娘と関係してしまったことを知ったキニュラス王は娘を殺そうとしますが、ミュラは何とか逃げ延びます。これを知った神々がミュラを哀れに思って、ミルラの木に変えます。そのミュラの木にイノシシがぶつかって、裂けた木の中から生まれたのがアドニスだったんですね。



やがてアドニスが少年に成長すると、アフロディーテが迎えにやってきます。ずいぶん自分勝手な話です。自分で養育を放棄しておいて、後になってから取り戻しに来るなんて承知できません。そこでペルセポネの間で恋愛裁判(養育権の争い?)が開かれたわけです。

ギリシャ神話はこのように不倫、嫉妬、怒り、復讐など愛憎のオンパレード。バラの花言葉(黄色いバラですが)に嫉妬があるというのも、納得してしまいますね。





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最終更新日  2007.12.15 10:55:08
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ギリシャ神話  
furafuran  さん
こんにちは。

最近は神話になっているいくつかのお話は、本当にこんなことがあったのかなと思うこともあります。神様といえどとても人間らしく(?)、最悪と思えることを平気でしてしまうこともありますが。アフロディーテは美しさ以外はいいとこなしにもみえますが、女性が強かった時代にできたお話なのでしょうか。

バラという花が目立つばかりに、「嫉妬」の意味まで生まれてしまった黄色いバラにはいい迷惑かなと思ってしまいます(笑)。 (2007.12.15 17:28:36)

Re:ギリシャ神話(12/15)  
白山菊理姫  さん
furafuranさん
こんばんは。

>最近は神話になっているいくつかのお話は、本当にこんなことがあったのかなと思うこともあります。神様といえどとても人間らしく(?)、最悪と思えることを平気でしてしまうこともありますが。

本当にゼウスをはじめ、ギリシャ神話に出てくる神々はどうしようもない”人たち”ですよね。権力を持っているからやりたい放題。今のアメリカに似ています。

>アフロディーテは美しさ以外はいいとこなしにもみえますが、女性が強かった時代にできたお話なのでしょうか。

美しいことを笠に着て、アフロディーテもやりたい放題ですね。外見が美しければ何でも許されると思っているようで、困ったものです。周りの神々がちやほやするから、こんなになっちゃったんでしょうね。

>バラという花が目立つばかりに、「嫉妬」の意味まで生まれてしまった黄色いバラにはいい迷惑かなと思ってしまいます(笑)。

薔薇も人間のように嫉妬したりするんでしょうか。仮にそうだとしても、人間ほどひどくはないと思います。そうすると、薔薇にとってはいい迷惑になりますね。

私のイメージでは嫉妬の色は赤か黒なんですけど、西洋文明では黄色を悪く言う癖がありますね。 (2007.12.15 20:04:11)

Re[1]:ギリシャ神話(12/15)  
furafuran  さん
こんばんは。

バラはきっと愚かな人間ごときに嫉妬したりはしないでしょうね(笑)。そんな心を持ったなら相手と同じレベルになってしまうと、気高い花でありそうです(勝手な人間の解釈ですが)。

西洋文明では日本人をはじめアジアに対しても、黄色のイメージが色濃い時代もありましたね。どこか今もでしょうが。確かに嫉妬や憎悪の色は私も赤や黒に思います。色のイメージは、きっと国ごとに違うのかもしれませんね。 (2007.12.15 22:12:17)

ギリシャ神話  
薔薇のエピソードは強烈ですが、ケシの花が生まれた神話が心に残りました。 (2007.12.16 00:19:47)

Re[2]:ギリシャ神話(12/15)  
白山菊理姫  さん
furafuranさん
おはようございます。

>バラはきっと愚かな人間ごときに嫉妬したりはしないでしょうね(笑)。そんな心を持ったなら相手と同じレベルになってしまうと、気高い花でありそうです(勝手な人間の解釈ですが)。

きっと、そういう薔薇さんもいらっしゃるでしょうね(笑)。「私たちは人間のように野蛮ではないわ」と言っているかもしれません。

>西洋文明では日本人をはじめアジアに対しても、黄色のイメージが色濃い時代もありましたね。どこか今もでしょうが。確かに嫉妬や憎悪の色は私も赤や黒に思います。色のイメージは、きっと国ごとに違うのかもしれませんね。

フランス語でも英語でも黄色には悪いイメージや意味が刷り込まれています。アジアはその黄色に色分けされており、今でも西洋社会では差別の対象となっている場合があるようです。「黄禍」「イエロージャーナリズム」などの言葉がそれを表していますね。yellowには嫉妬深いという意味のほかに、臆病、卑屈という意味もあります。

竹内文書では五色人みな同じなんですけどね。古代においては、日本は五色がかなりミックスされていたのではないかと思っています。 (2007.12.16 08:39:21)

Re:ギリシャ神話(12/15)  
白山菊理姫  さん
ヤンチャリカ☆358さん
おはようございます。

>薔薇のエピソードは強烈ですが、ケシの花が生まれた神話が心に残りました。

赤いアネモネになったとの話もあります。アネモネはギリシャ語の「風」を語源としており、花言葉は「はかない夢」です。アネモネとケシのどちらが主流なのかわかりませんが、ケシは文学的には後に、ボードレールの「悪の華」として開花しました。シャーロック・ホームズもケシ(アヘン)の常習者でしたね。
(2007.12.16 08:57:17)

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