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2007.12.26
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カテゴリ: カテゴリ未分類
▼血と薔薇

赤い薔薇

サッチャーが「犯罪行為」としたIRA(アイルランド共和国軍)の活動について、なぜこのような武力行使を伴う活動が続かなければならなかったのかを、一つの薔薇の詩を紹介しながら、振り返ってみましょう。その詩とは、20世紀最高の詩人の一人とも称される、アイルランドのウィリアム・バトラー・イェイツ(William Butler Yeats)が書いた『薔薇の木』です。

The Rose Tree

'O words are lightly spoken,'
Said Pearse to Connolly,
'Maybe a breath of politic words
Has withered our Rose Tree;
Or maybe but a wind that blows
Across the bitter sea.'

「ああ、言うのは簡単だ」

「政治的な言葉のささやきが、
われわれの薔薇の木を枯らしたのかもしれない。
あるいは、激しく荒れる海を渡って
吹き付ける風のせいかもしれない」

'It needs to be but watered,'
James Connolly replied,
'To make the green come out again
And spread on every side,
And shake the blossom from the bud
To be the garden's pride.'

「水を掛けてやらなければ」

「そうすれば、緑の葉が再び茂りはじめ
枝が四方八方に伸び、
蕾から揺れながら花が咲き
庭園の誇りとなるだろう」

'But where can we draw water,'

'When all the wells are parched away?
O plain as plain can be
There's nothing but our own red blood
Can make a right Rose Tree.'

「でも、どうやって水を引こうか」
ピアースはコノリーに言った。
「すべての井戸が枯れている時に?
ああ、答えは明々白々だ。
われわれ自身が流す赤い血以外に
あるべき薔薇の木を作ることはできない」

おどろおどろしい詩ですね。薔薇を育てるには、人間の血、すなわち流血以外に道はないと言っています。この詩を理解するには、ちょっとアイルランド独立史を勉強する必要があります。そうすれば、それほど難しい詩ではありません。

登場人物はコノリーとピアースですね。コノリーは1868年、アイルランドからの移民としてスコットランドのエディンバラで生まれました。14歳で英国軍に入り、アイルランドに駐留しますが、そこでアイルランド人に対する英国人の差別や迫害を目撃して敵愾心を募らせます。軍隊を辞めてスコットランドで一時働いていましたが、28歳のときに意を決しアイルランドに戻り、反英運動に身を投じます。

パトリック・ピアースは1879年、アイルランドの首都ダブリンに生まれました。17歳のころ、アイルランド語の復興を唱えるゲール語連盟に加入して民族運動に目覚めます。やがて、プロテスタントの過激思想者がアイルランドの自治に反対するアルスター義勇軍を設立して非合法な弾圧を始めると、ピアースはこれに対抗して、アイルランド義勇軍の軍事部門の指導者となります。

そして1916年の復活祭の当日、ピアースとコノリーらは、アイルランド独立を求めて武装蜂起します。しかし、圧倒的な英国軍の武力の前に反乱は鎮圧されます。捕らえられたコノリーとピアーズは処刑されるのですが、コノリーはすでに立つことができないほど重傷を負っていました。そこで病院のベッドに寝ていたコノリーを無理やり椅子に座らせ、銃殺しました。

この英国軍のやり口に、アイルランド独立の機運はますます盛り上がり、アイルランド義勇軍は、憲兵や武装警官隊に対してゲリラ戦を展開します。IRAもこのゲリラ戦に参加、イギリスは非情な報復をもってこれに応えたため、イギリスとアイルランドの間は、戦争状態となりました。

こうした独立闘争がやっと功を奏して、イギリス政府も1921年にアイルランド自由国の成立を承認します。ただし、アイルランドのアルスター州9州のうちプロテスタントが多い6州の独立は許されず、北アイルランドとしてイギリスに組み込まれたままとなったため、禍根を残したわけです。

そういうわけで、アイルランド人にとって、ピアースとコノリーは独立運動の英雄です。詩の中で薔薇の木は、彼らが目指した理想の国、自由な国家を象徴していることがわかりますね。

明日もイェイツの薔薇の詩を紹介します。





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最終更新日  2007.12.26 12:20:07
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