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2008.01.05
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テーマ: いい言葉(574)
カテゴリ: 文学・芸術
▼酒と薔薇2


'And which is the blessedest,' Cumhal said,
'Where all are comely and good?
Is it these that with golden thuribles
Are singing about the wood?'

「では皆が見目麗しく、良き人たちばかりならば」
とクーアルは言った。「一番祝福されているのは誰ですか?
黄金の香炉を持ち、森を歌いさまよう
者たちでありましょうか?」


'With the secrets of God half blind,
But I can see where the wind goes
And follow the way of the wind;

「私の眼は光り輝いている」とデェシイは言った。
「神の秘密を湛えながら半ば盲目となりつつも、
しかし私には、風がどこから吹いているかを見ることもできれば、
風の後を追っていくこともできる」

'And blessedness goes where the wind goes,
And when it is gone we are dead;
I see the blessedest soul in the world
And he nods a drunken head.


風が止むと、私たちにも死が訪れる。
私にはこの世界で最も祝福されたものが見える
酩酊して頭をたれるものが見える」

'O blessedness comes in the night and the day
And whither the wise heart knows;

The Incorruptible Rose,

「ああ、祝福されしものは、夜となく昼となく現れる
どこに現れるかは、賢き心が知る。
ワインの赤さの中に祝福を見出すものもいる、
あの朽ちることのない薔薇に」

'That drowsily drops faint leaves on him
And the sweetness of desire,
While time and the world are ebbing away
In twilights of dew and of fire.'

薔薇はその人の上に色淡き葉と、
欲望の甘き香りを落とす。
一方、時とこの世界は、
露と炎のたそがれの中で、衰え消えていくのだ。

ここで詩は終わります。この世界で一番祝福されているものは誰かとのクーアルの質問に対して、木の精、もしくは賢者であるデェシイは、すべて風の吹くところはどこも祝福されていると答えます。おそらく風は生命の息吹のこと。賢者は、生きていることが実は祝福であるのだと説いているようでもありますね。

my eyes are blinkingは、そのまま訳すと「私は目をしばたたかせている」となりますが、blinkは眼の中の輝きと解しました。何しろ神の秘密を湛えているわけですから、まばたきではイメージが合いません。デェシイが木であるとすると、木漏れ日のきらめき、あるいは、緑の葉に反射する太陽の光、ということになるでしょうか。木であるなら、「半ば盲目」という説明にも納得してしまいますね。木は目が見えなくても、風の行方を知ることができます。

その賢きものが知るという「祝福」が、酔っ払いが見る葡萄酒の赤さの中にあるというのも面白いですね。ここでやっと薔薇が出てきます。永遠の美しさ、祝福の象徴としての赤い薔薇です。その薔薇の祝福の中にいる間だけは、時間は止まったようになります。心の欲するままに生きる甘美な世界――幸福は熱中や没頭の中にあるということでしょうか。だけどその間にも、外の世界では時が進み、衰退への道を歩むのだと賢者は言っていますね。ここにも、イェイツがよく描く、この世とあの世の世界の対比があるように思われます。そのようなことを踏まえながら、前後半を通してお読みください。偶数行で脚韻を踏んでいますが、blindとwindだけは正しく韻を踏んでいません。もしかしたら、windを[waind]と読ませたのかもしれません。

ところで、私もよく葡萄酒を飲みます。これからは、光にワインレッドを透かし、祝福を感じながら飲ませていただくことにいたしましょう。

今日の薔薇は、房咲きの赤い薔薇。

祝福

たくさん祝福されているように感じますね。

明日は「秘密の薔薇」です。
(続く)





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最終更新日  2008.01.05 11:33:41
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イェイツの世界観  
furafuran  さん
こんにちは。

房咲きの薔薇は、どうしてこんなにも愛らしいのでしょう。そう思う今日のお写真でした。

日本語の中の美しさ『見目麗しく』や『頭をたれる』『葡萄酒』なども、音の響きや漢字のバランスなどで、美しさを語りだします。原文の音のバランスと、楽しみは2つありますね。イェイツの世界観は、文字の中だけでは収まりきらない『続き』を感じます。 (2008.01.05 13:33:09)

Re:イェイツの世界観(01/05)  
白山菊理姫  さん
furafuranさん
こんばんは。

>房咲きの薔薇は、どうしてこんなにも愛らしいのでしょう。そう思う今日のお写真でした。

愛らしくて、ゴージャスでもありますね。12月1日に撮影したものですが、さすがに中旬以降は咲いておりませんでした。

>日本語の中の美しさ『見目麗しく』や『頭をたれる』『葡萄酒』なども、音の響きや漢字のバランスなどで、美しさを語りだします。原文の音のバランスと、楽しみは2つありますね。イェイツの世界観は、文字の中だけでは収まりきらない『続き』を感じます。

「ワイン」にしようか「葡萄酒」にしようか迷ったのですが、詩の訳としてはワインにしました。葡萄酒のほうが良かったかもしれませんね。明日やる予定の「秘密の薔薇」も「神秘の薔薇」としたほうがいいかなと考えているところでした。詩の訳は時事英語と違って骨が折れます。一つ一つの言葉の持つイメージが大事ですね。学生時代はイェイツの詩を勉強したことはありませんでしたが、とても私好みの詩になってきました。 (2008.01.05 21:16:40)

Re:薔薇シリーズ78(01/05)  
薔薇に対して、すごく深い思いがあるのですね。
白山菊理姫さん自身が、薔薇を愛しているからなのかなー。

訳すときに、色んな深い思いを汲み取って、翻訳されるところは、やはりセンスがないと難しいでしょうね。

富山は、雪が溶けてきて、また過ごしやすくなりましたよ。

(2008.01.06 11:18:02)

Re[1]:薔薇シリーズ78(01/05)  
白山菊理姫  さん
きときとさん☆☆☆さん
こんにちは。

>薔薇に対して、すごく深い思いがあるのですね。
>白山菊理姫さん自身が、薔薇を愛しているからなのかなー。

人類が古代から薔薇に対して様々な思いを抱き、文学などに取り上げてきたことに、とても興味があります。薔薇を育てたことはありませんが、子供のころは実家にあった薔薇の木の棘を取って、鼻の頭にくっつけては、「サイごっこ」をしていました。その意味で、とても愛着があります(笑)。

>訳すときに、色んな深い思いを汲み取って、翻訳されるところは、やはりセンスがないと難しいでしょうね。

特に文学作品の訳は大変ですね。意味だけを伝えるだけでは不十分で、できるだけ格調高い作品に仕上げなくてはなりませんから。

>富山は、雪が溶けてきて、また過ごしやすくなりましたよ。

寒波の第一波が通り過ぎたようですね。東京地方も今日はとても穏やかな天気でした。 (2008.01.06 17:32:29)

Re[1]:イェイツの世界観(01/05)  
furafuran  さん
こんばんは。

きのうも今日も、イェイツの世界が理解できるのは、白山菊理姫さんの翻訳のおかげです。実は宿題の前半だけ自分で訳を試みましたが、まったく情景が浮かびませんでした(笑)。個人的にイェイツ作品を読んでも、神話と聖書をミックスした世界だということも知らなかったことでしょう。

文学をこういう形で掘り下げて翻訳いただいたものにふれることができて、とっても幸せだと思ってしまいます。「秘密の薔薇」も「神秘の薔薇」も、それぞれすてきな薔薇で、明日も楽しみにいたしますね。 (2008.01.06 20:24:32)

Re[2]:イェイツの世界観(01/05)  
白山菊理姫  さん
furafuranさん
こんばんは。

>きのうも今日も、イェイツの世界が理解できるのは、白山菊理姫さんの翻訳のおかげです。実は宿題の前半だけ自分で訳を試みましたが、まったく情景が浮かびませんでした(笑)。個人的にイェイツ作品を読んでも、神話と聖書をミックスした世界だということも知らなかったことでしょう。

私も結構、苦労しています。とくに言葉の背景にある神話や物語を知らないと、止まってしまいますね。何とかネットでそれらしい物語を見つけて、悪戦苦闘しながら訳しています。

>文学をこういう形で掘り下げて翻訳いただいたものにふれることができて、とっても幸せだと思ってしまいます。「秘密の薔薇」も「神秘の薔薇」も、それぞれすてきな薔薇で、明日も楽しみにいたしますね。

ありがとうございます。励みになりますよ。楽しみにしていただいているなら、止めるわけにはいきませんね。このまま突っ走らせていただきます。「猫シリーズ」は当分先になりそうです。 (2008.01.06 22:43:00)

救われました!  
ほわいと さん
白山菊理姫さん、こんにちは。

新年まだ6日だというのに新春にふさわしくない日を過ごし、気が滅入っておりました。
でも、本日の「房咲きの赤い薔薇」に癒され、救われました。ありがとうございます! (2008.01.06 23:53:43)

Re:救われました!(01/05)  
白山菊理姫  さん
ほわいとさん
おはようございます。

>新年まだ6日だというのに新春にふさわしくない日を過ごし、気が滅入っておりました。

それは大変な年明けでしたね。でも、「災い転じて福となす」「待てば海路の日和あり」です。きっと近々、いいことがありますよ!

>でも、本日の「房咲きの赤い薔薇」に癒され、救われました。ありがとうございます!

いいえ、こちらこそ、ありがとうございます! そう言っていただけると、うれしいです。薔薇で癒されるのでしたら、何よりです。 (2008.01.07 08:11:03)

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