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2021.12.10
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テーマ: 文楽(11)
カテゴリ: 本日読了
2021/12/08/水曜日/夜半の雨

〈DATA〉
演劇出版社/鷲見房子
昭和55年1月16日発行

〈私的読書メーター〉
〈浄瑠璃作家鷲見房子さんの限定800部。ほぼ私家版とも言える本書は彼女の生い立ちとその創作浄瑠璃や詩歌などが行きつ戻りつしながら最後の幕引きまで、惚れ惚れとする文芸一幕だ。生まれし時よりの文楽三業の縁の濃さ、もはや浄瑠璃の神様に選ばれしお人という他ない。2作目だったか「宝暦治水噂聞書」あゝこれを文楽で是非とも観たいもの。この創作に纏わる話がまた浄瑠璃噺。「古書には浄瑠璃は『夜歩きの友』」とあるそうな。著者は夜道を人世に置き換え、浄瑠璃を「孤独な心を寄せるもたれ木」のようなという。芸能精進の孤高者を想う。〉

山川静夫氏の『文楽思い出ばなし』に出てくる鷲見房子さんの預かり娘お染めの話。

その全てが「娘『そめ』こと」の章で開帳される。鷲見さんと桐竹紋十郎との父娘のような交情の件は、これこそ私らが失ってはならぬこの国の美わし、と思う。

紋十郎弁「この首(かしら)をなあ、弟子にやったら、そら喜びますやろ。おおけにいうてなあ。それではわての気イがすみまへん。昔と今は違いま。人形遣いになるまでの血イの滲む苦労を知ってくれてはるお人にもろてもらわんと、これと生死を共にした甲斐がおまへん。わての娘だす。その娘を奥さんのおうちへ嫁入りだん。」

紋十郎は、戦災の炎の中を食べ物も何も捨ててこの首だけをリュックにしまい逃げ惑ったという。その命そのもののお染めを鷲見さんに嫁入りさせに来たのだ。

それに答えて鷲見さんご主人の言葉がいよいよ泣けるのである。紋十郎は更にそれに応えてどれだけの用意をしたか。このように生きていきたいと思わせるだけのものがここにある。

そしてこのエッセイに続けた短い創作の「炎」。雨風はこれを消しにかかるが…「炎は 炎自身が燃えたいとき 燃え上がる」と筆を措く。これ凄くない?この炎こそ芸の血脈、と言っているように思う。

蘭医の娘、細香の話。番の鴛鴦の仲良き様を見て小石を投げつける、ままならぬ恋想いの才媛細香の歌に対する良き理解者たる鷲見さん。


これだけでもう、物語が翼を持ち空に舞い上がるよう。

昔話を創作した「たにし妻」。これはすぐにでも老若男女は向けて舞台で様々な演出可能と感じた。





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最終更新日  2021.12.10 07:50:35
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