あむ日よむ日あくる日

あむ日よむ日あくる日

PR

プロフィール

天然風

天然風

カレンダー

コメント新着

天然風 @ Re[1]:道に拾う(07/17) りぃー子さんへ なかなかスムーズにお返…
天然風 @ Re[1]:トライアングルモチーフバッグ完成(07/19) りぃー子さんへ お返事に気づかずすみま…
りぃー子 @ Re:トライアングルモチーフバッグ完成(07/19) わー!素敵なバッグです。 しかも、重みが…
りぃー子 @ Re:道に拾う(07/17) こんにちは、モグラの子、今まで二度ほど…
天然風 @ Re[1]:旧朝倉家住宅(02/20) 富久道義さんへ いつもありがとうございま…

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2022.03.01
XML
テーマ: 読書(8198)
カテゴリ: 本日読了
2022/02/25/金曜日/穏やかな春晴れ

〈DATA〉
岩波書店/リチャード・チャーチ作
大塚勇三訳
1980年 岩波少年少女の本
★1996年5月 岩波少年文庫

〈私的読書メーター〉〈岩波少年文庫版で読む。オリジナルは1950年、文庫版は1996年。それにしては会話がいかにも古めかしい。いや、古めかしいのが好きな児童諸君もいるとは察する、現に私自身そのような子だったが…。おまけに最初の一行目「ワラビの海原」からつまずいた。ワラビという名の湾があるのだと勘違いしたのだが、海に例えたワラビは蕨であった。そもこの読書対象者よ、君知るや蕨?ただ少年5人の冒険そのものは彼らのパーソナリティとキャラクターの展開として読むと俄に興味深い。これが主題かも。本邦児童文学にそれを描いた作品あるかな?〉

1980年に初訳されている。訳者の大塚勇三氏は私にリンドグレーンを思い出させる大好きなお人だ。しかしながら、文庫に落としたのは1996年だ。前年にはWindows95が出て、主婦もPCのグラフィカルユースを楽しみ、様々なトピックの会議室を覗き、世界から情報を引き出していた時代が始まっていたのだ。

文中に見える「けぶり」って?気配のこと?そぶりのこと?これら用語の一つ一つを丁寧に手を入れないまま初訳を再利用したのであれば編集者の読書に対する横柄な態度が疎ましい。石井桃子さんは亡くなるまで推敲を重ねたのだ。さて、それはともかく。



しかし、その冒険を通して彼らの変化しないキャラクターと変化していく、もしくは立ち現れてくるパーソナリティは今を子どもとして生きている人たちに訴えてくるものがあるかもしれない。

恐らく家が没落の最中にある、冒険のための豊かな持ち物も自信もない憂鬱なジョージが徐々にリーダーとして現れたり消えたりする様子、その魂の立ち現れ。洞穴内を照らすカンテラはジョージのアトリビュートでもあろうか。

はて、洞穴での人間劇は私にプラトンの洞窟の比喩を思い出させる。囚われの我らが理解するに至らないイデアについて。

影を真実と捉える我らの知覚を超越したところにある、物事の本来あるべき姿、善そのものを目指すことの重要性。

冒険を終えた物語の最後、ジョンが最初に一人で潜り込んだとき失くしたジャケットのボタンを、ジョージは「そうそう忘れないうちに」と言ってジョンに渡す。作者は物語中ジョージがそれを見つける場面は描いていない。善のイデアをボタンに象徴させたやり取りではなかろうか。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2022.03.01 11:03:45
コメントを書く
[本日読了] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: