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2023.06.05
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テーマ: 読書(8265)
カテゴリ: 本日読了
2023/06/05/月曜日/雨過ぎて爽やかさは中くらい




〈DATA〉 作品社 / 著者 三田誠広
2022年7月20日  第1刷印刷
2022年7月25日  第1刷発行

カヴァー写真/日光山輪王寺蔵 木像天海僧正坐像


〈私的読書メーター〉〈 108歳まで生き、三代の将軍に仕えた天海の存在は寛永寺縁起で知っていたが、確かに叡山修行僧ならではの、都鎮護に基づく江戸ランドスケープの発案というのもあり得るかも。「見てきたようにウソを付き」というのが小説家の才能の一つとも覚ゆ。戦国時代の数多の傑物らの志や欲望のヒダを縦横無尽に動き回り、戦さの無い平和な浄土を日本国に現出せんと謀り、図り、計る。戦乱の只中に生まれ、太平の徳川の世を見届け、更に先の世までを透視した250年の江戸の安寧。天海が生涯を賭して平和を希求した動機の印象が薄い、それが惜しい。〉


初めて訪ねた川越市立博物館で、偶然にも学芸員による喜多院蔵の天海僧正坐像修復の話を伺った。

その前に訪れた寛永寺の縁起を通して開祖天海さんについての記憶があった。

長命の秘訣を尋ねられて、曰く

気は長く つとめはかたく 色うすく
食ほそうして 心ひろかれ

長命は粗食 正直 日湯 陀羅尼
おりおり御下風あそばさるべし


最初のうたは素直に理解できる〉〉食ふとうして、心せまい、なあワレハ、笑

次も日湯というのは、日日の湯浴みで身体を清潔に温めることかと考える。その次の陀羅尼は、はて。

奈良當麻寺の古い薬、陀羅尼助かしらん。胃腸を涵養しなさい、かな?と思案して検索してみる。

能(よ)く総(すべ)ての物事を摂取して保持し、忘失させない念慧(ねんえ)の力をいう。 と、あるではないか。

なるほど。これは覚えておこうというときには、腹中に陀羅尼と唱えてみるのもよいかも?

くわばらくわばら、つるかめつるかめ、だらにだらに。のご呪文でござろうよ。

更に続く

おりおり御下風あそばさるべし

これは味わい深い。

晩年は日本仏教界の首座にあり、家康を神の座に押し上げた天海大僧正

偉ぶってはなりませぬぞ、折に触れ誰かの風下、弟子の体でおりなさいよ、と自身、戒めるかのように諭された、ということらしい。

文言の中には実にその人らしさが垣間見える。


物語では、そんな天海が、明智光秀が辿り着けなかった 欣求浄土の日本の姿を、家康に重ねて描いてみせる。

狡く、己の弱さを知っている苦労育ちの家康であればこそ、天下を治めることができる、と天海は考えた。かもしれない。


有名な家康遺訓

人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。
不自由を常と思えば不足なし。こころに望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。
堪忍は無事長久の基、いかりは敵と思え。
勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる。
おのれを責めて人をせむるな。
及ばざるは過ぎたるよりまされり。

たいてい冒頭だけが紹介され、本書でも家康が2回ばかりそこを呟く。

私がよいなあ、と感じるのは

堪忍は無事長久の基、いかりは敵と思え。
勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる。 おのれを責めて人をせむるな。

とりわけても

堪忍は無事長久の基、いかりは敵と思え。
おのれを責めて人をせむるな。

がよい。

大局に立ち物事をながむるには、これが肝心だと理解しつつ、いざ我が身に嫌なことが起きれば、そんな理解はどこはやら。凡夫に付ける薬なし。

だらにだらに。












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最終更新日  2023.06.05 19:17:46
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