小説を書こう!

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2009.01.09
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「はい」
 そう返事をして、壇上に上がる。そして中央で校長先生に向き直り卒業証書を受け取った。私の背中のほうからぱらぱらと拍手が聞こえた。私はその拍手を聞きながら、それでいて私の心の中には何の感慨も浮かんでこなかった。
 卒業式が終わり、私たちは体育館を出て教室に向かった。廊下を歩きながら私の周りでは、クラスの子たちが先ほどの卒業式についての話をしている。その中の一人が眼を真っ赤に腫らして泣いているのを見て、私は素直に驚いた。なぜ泣いているんだ、と思った。きっとその子は、中学に進学したらクラスの友達と分かれなければならないからそれが寂しいとでも言うつもりだったのだろう。私は異星人を見るような気持ちでその子を見る。そのような気持ちが私の中にはこれっぽっちも無かったし、そのような気持ちを理解することもできなかった。私にとって小学校とは、早く抜け出すべき蟻地獄のようなものだったから。
 私たちは教室に入っていく。その列についっていって私も教室に入ったのだけど、入って黒板を見ると何か文字がびっしりと書かれていた。自分の席についてその文字を読む。
「負けないこと、逃げないこと、あきらめないこと、それが一番大事」
 後になって知ったのだけど、その当時にはやっていた歌の歌詞だった。
 しばらくしてから担任が教室にやってきた。そして、
「これは、卒業する皆さんに送りたい言葉です」
 そう言って、その歌詞をゆっくりと朗読した。読みながらその担任の眼も赤く滲んでいく。私は不思議な思いを抱きながらその光景を見ていた。これは何なんだ、と思った。まるでテレビの中のくだらないドラマのように茶番に見えた。






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Last updated  2009.01.09 07:47:59


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