再出発日記

再出発日記

PR

フリーページ

お気に入りブログ

ドバイチョコレート New! はんらさん

週刊 マンガ便 小… New! シマクマ君さん

源氏物語〔7帖紅葉賀… New! Photo USMさん

『絵はがきの大日本… New! Mドングリさん

大阪ことばの数え歌… New! 天地 はるなさん

カレンダー

2009年10月30日
XML
カテゴリ: 加藤周一
貧稿である、低調である、と云ふ。云ふほうも面白くないが、聞かされる方も大抵飽きたであろう。



ただ、三木清氏は一高の講演で日本には学生を措いて本当のインテリゲンチアはないと言ふ意味のことを宣告した。この宣告の意味することはそれ(文化的情熱のこと私注)から逃避することである。わたしの考へでは同時にそれは敗北を意味するのだが。

当時の日本の最高の知性である三木清と自分たちを同等においていることにはやはり末恐ろしいものを感じるのである。(大学時代には集会で横光利一を苛めたというのは有名な話)


加藤周一が書いた加藤周一
これは1938-2008にかけて書かれた加藤周一氏の「あとがき集」である。その大部分は一度は目を通したものであるはずなのに、このように年代順に並べられ、一通り読むと、改めて氏の文章の変遷、思想の変遷が分かって非常に面白かった。

いくつかの画期がある。敗戦、留学、「三題話」、「言葉と戦車」、「日本文学史序説」、「加藤周一著作集」…。
1979年著作集14の後がきのなかで加藤周一氏は 「世の中の基本的な構造が変わらぬ以上、その世の中に対するわたしの立場が基本的に変わるはずもないだろう」 と書いた。氏は73年「歴史・科学・現代」という対談集のあとがきのなかで 「わたしは座談を好んで、演説を好まない」 と書いている。しかし、96年に「同時代とは何か」という「講演集」が出る。10年にわたった講演をまとめたものだという。だとすると、氏は86年くらいから講演を始めたということになる。「世の中の基本的な構造」のどこが変わったのだろうか。中曽根の不沈空母発言はこのころであった。

90年代から、「日本美術史序説」の構想があったことも、あとがきでわかる。「鴎外・茂吉・杢太郎」も未完成に終わる。それを犠牲にしてでも、90年代から本格的に講演や対談が増えていく。 九条の会を発足させる十年以上前から、氏は次第と社会に対する働きかけを強めて言ったということなのだろう。

また変わらぬものもある。「日本文化における時間と空間」は07年の発行だが、そのほぼ完成の原型は90年代にはすでに出来ていた。



著作集15「上野毛雑文」のあとがきには、よく読めば、氏の住んでいる周りの描写が詳しい。駅前のパン屋「モンテ・ヤマサキ」はまだあるのだろうか。こんど東京に行ったときには、必ずこのあたりを散歩することに心に決めたのであった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009年10月31日 00時02分27秒
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

ヒフミヨは天岩戸の祝詞かな@ 自然数の本性1・2・3・4次元で計算できる) ≪…三角野郎…≫は、自然数を創る・・・  …
永田誠@ Re:アーカイブス加藤周一の映像 1(02/13) いまはデイリーモーションに移りました。 …
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
生まれる前@ Re:バージンブルース(11/04) いい風景です。 万引きで逃げ回るなんて…
aki@ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) 日本有事と急がれる改憲、大変恐縮とは存…
北村隆志@ Re:書評 加藤周一の「雑種文化」(01/18) 初めまして。加藤周一HPのリンクからお邪…
ななし@ Re:「消されたマンガ」表現の自由とは(04/30) 2012年に発表された『未病』は?
ポンボ @ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) お元気ですか? 心配致しております。 お…
むちゃばあ@ Re:そのとき 小森香子詩選集(08/11) はじめまして むちゃばあと申します 昨日…

バックナンバー

・2024年09月
・2024年08月
・2024年07月
・2024年06月
・2024年05月
・2024年04月
・2024年03月
・2024年02月

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: